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2012年10月26日 (金)

NANO2012参加報告(その4)

概要

MEMS・NANOテクロロジー関連およびNANOメディスンのセッションでの最新の技術動向調査。また、脂質二重膜を利用した膜タンパク質の検証の成果として「CURRENT MEASUREMENT OF MEMBRANE PROTEINS IN THE GLASS MICROFLUIDIC DEVICE」のタイトルで、膜タンパク質(αヘモリシン)の電流計測結果に関する発表をした。

内容、所感
 ギリシャのロドス島において、2012年8月27日(月)~8月31日(金)の日程で、国際会議NANO2012(Ⅺ International Committee on Nanostructured Materials)が開催された。
この国際会議NANO2012は、同じく国際会議であるMEMS(International Conference on Micro Electro Mechanical System)やu-TAS(International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Science)と同様に、2年に一度開催されるナノ材料およびナノ構造の世界有数の学会である。セッションとしては、【NANOMEDICINE, NANOBIOTECHNOLOGY ENVIRONMENT AND NANOTOXICOLOGY】、【 MECHANICAL BEHAVIOR OF NANOSTRUCTURED MATERIALS】、【NANOELECTRONICS, NANODEVICES, NANOCSEMICONDUCTORS, AND DEVICES】、【SELF-ASSEMBLY ON SURFACES AND FUNCTIONALIZATION IN ATOMIC CLUSTERS】、【NANOMATERIALS FOR ENERGY APPLICATIONS & GREEN NANO】、【NANOMATERIALS SOFT MATTER】、【CARBON NANOTUBES AND GRAPHENE】、【NANOMAGNETISM】の8セッションで構成され、6日間でplenary talkが6件、invited talkが189件、contributed talkが246件、さらに300件以上のポスター発表が行われた。
 発表の形式として、各セッションのオーラルセッションが8カ所で同時並行で行われたため、傾聴したい発表が重なった場合、選択を余儀なくされた。また、ポスター会場は別のスペースに設けられていたが、参加人数に対して、会場が狭く、また、各ポスター間の距離がほとんど無かったため、実際に説明員として説明している時はやりにくかった。
参加者数としては、世界約70カ国から、概ね1000人規模の参加者がありかなり大きな学会である事を認識した。

Nano2012watanabe01


技術動向調査
 ここで、著者は主に、【NANOMEDICINE, NANOBIOTECHNOLOGY ENVIRONMENT AND NANOTOXICOLOGY】、【 MECHANICAL BEHAVIOR OF NANOSTRUCTURED MATERIALS】、【NANOELECTRONICS, NANODEVICES, NANOCSEMICONDUCTORS, AND DEVICES】のセッションでの技術調査を行った。多くの発表があったが、今回の発表の中で、BEANSの研究に関連するもので、且つ興味を持った発表のうち2件を以下に報告する。

①Plenary Talk:Nano-Science for materials engineering and for the study of human disease (Dr Subra Suresh National Science Foundation, USA)
 主に人間の疾患の検証にナノ科学(材料、ナノ構造を持つデバイス)を利用した研究成果報告が行われた。特に発表の中で興味深かったのは、マラリアに感染した人間の赤血球をマイクロ・ナノ構造を持つデバイスにより検証していた。(赤血球の形状は、外径が7~8μmくらいで、厚み2~3μmであり、円の中心部が若干凹みを持っている。)
具体的には、健康な赤血球とマラリアに感染した赤血球を用意し、それぞれをナノピンセットにより機械的に引っ張り、延びの違いを観察していた。結果は、健康な赤血球は、マラリアに感染した赤血球と比較し、大きく伸びる(マラリアに感染した赤血球はほとんど延びが確認されなかった)。
また、別の方法で、マイクロ流路をもつマイクロフルイディクスデバイス内に健康な赤血球とマラリアに感染した赤血球をそれぞれ流した。ここで、一番細い流路の幅は、赤血球の径(7~8μm)より少し小さいサイズ(だいたい4~5μm程度)であった。
 結果は、健康な赤血球は伸縮性があるため、細い流路に差し掛かった時に、赤血球が折り重なるような形状となり、流路を通過し、広い流路に差し掛かると元の形状に戻っていた。それに対し、マラリアに感染した赤血球は伸縮性がない為、細い流路に差し掛かった時に、赤血球がスタックし、流路を塞ぎつまりを生じていた。(下図参照)


Nano2012watanabe02

②Nanofiber tubes as vascular grafts (E.Laourinne Technical University Dresden, Germany)
 カーボンナノチューブを用いた代用血管についての報告があった。
主な内容は、新しい代用血管の利用を視野に入れ、エレクトロスピニング法(Electrospinning)を用いて、生体適合性のあるポリマーを使い、2種類のポリマーを層状に構成することであった。2種のポリマーはそれぞれPCL(ポリカプロラクトン)とCS(キトサン)で、PCLは、エレクトロスピニング法と相性が良く、機械的に強く、劣化が少ない、また、疎水性である。CSは生体適合性があり、細胞を接着、増殖するが、機械的な特性に劣る。この2種のポリマーのそれぞれの特性を活かせば、機械特性に優れ、且つ、生体適合性のあるナノチューブが実現する。エレクトロスピニングのパラメータおよび条件は、電圧:20~40kV、距離:10~25cm、回転速度500rpmであった。
 結果は、PCLを内側、CSを外側とした2層のナノファイバーが製作できていた。しかし、機械的特性や生体適合性などの評価までの発表はなかった。

成果発表
 脂質二重膜の安定形成プロセスの開発の成果として「CURRENT MEASUREMENT OF MEMBRANE PROTEINS IN THE GLASS MICROFLUIDIC DEVICE」のタイトルで、膜タンパク質(αヘモリシン)の電流計測結果に関する発表をした。
 主な質問内容および回答は、以下に示す通りであった。

Q1:アプリケーションとしては何を考えているか?(3人)
A1:膜タンパク質を利用した高感度センサー
Q2:ヘモリシン以外の膜タンパク質の実績はあるか?(2人)
A2:まだ無いが、今後、予定している。
Q3:流路の具体的な数値(2人)
A3:数十μm程度である。
Q4:膜の形成時間(最長形成時間)は?(2人)
A4:最長24時間以上

  重複する質問が多かったが、中でもアプリケーションについて一番多くの人に聞かれた。また、ポスター前で足を止める人が多く、質問も活発にあったことから、全般的に発表内容について興味を持つ人がかったと感じ、今回の研究成果の発表について、成功したと考える。

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