« NANO2012参加報告(その1) | トップページ | NANO2012参加報告(その3) »

2012年9月11日 (火)

NANO2012参加報告(その2)

 国際会議NANO2012のNANOELECTRONICS, NANODEVICES, NANOCSEMICONDUCTORS, AND DEVICESのセッションにおいて、李が “MULTIPLE PROBES FOR PARALLEL SPM LAO NANO-LITHOGRAPHY” と題してオーラル発表を行いました。また、新規ナノ材料の形成及び応用などの分野を中心に、マイクロナノテクに関する最新研究動向の情報収集についても行いました。

以下にその内容について報告します。

研究成果発表

 大面積加工可能、またプローブ先端の耐久性と加工分解能を両立できるマルチ耐摩耗プローブ及びそれを用いたナノパターンの並列描画に関する研究発表を行いました。

 提案したマルチ耐摩耗プローブ先端は、マイクロスケールの機械的な接触部とその側壁に形成しているナノスケールの電極接触部、及び接触部から突出している庇部から構成され、プローブ先端に優れた耐久性とナノパターンの加工能力を持たせています。プローブの先端に庇構造を設けることで、回り込みを抑え、側壁のみへの金属性膜がウェハレベルでの加工が可能となっています。また、プローブ先端には、仮に摩耗が生じても安定して特性を維持できるように、均一な断面形状を持たせています。更に、本プローブ構造は複数本のプローブを持つため、SPMリソグラフィのスループットを向上させることもできます。

 発表では、MEMS技術を用いて作製した描画電極サイズが30nmのマルチ耐摩耗プローブに対して、(株)住友精密製のScanning Probe Nano Lithography(SPNL)システム((株)住友精密製)による描画実験により、マルチプローブによるナノパターンの並列描画に成功し、マルチ耐摩耗プローブ構造の有効性の検証ができたことを中心に報告しました。

 発表後、耐摩耗プローブリソグラフィの最高分解能や長距離描画後のプローブ形状変化の描画安定性に対する影響といった本質的な質問が寄せられ、本研究に対する聴講者の高い関心を感じました。

Nano2012li01

研究動向調査

 新規ナノ材料の形成及び応用などの分野を中心に、マイクロナノテクに関する最新研究動向の情報収集を行いました。多くのオーラルセッションでは新規ナノ材料の開発、作製及び応用に関する発表が目立っていました。

 特に注目した発表とその概要を以下に記します。

1)THE SYNTHESIS OF DIFFERENT ZINC OXIDE NANOSTRUCTURES: TETRAPOD-LIKE WHISKERS, NANOCOMBS, NANOAEROPLANES, NANOBELTS, BEAD-LIKE NANOFORMS.(S.A. Al Rifai, A.E.Popov, M.S. Smirnov, S.V. Ryabzev, E.P. Domashevskaya.
Russian Federation)

 化学蒸着法(CVD法)を用いて、テトラポッドのようなウィスカー(T-ZnO)、ナノ航空機状、ナノ櫛状、ナノベルト及びビーズ状の酸化亜鉛の合成に成功したとの報告でした。原料ガス混合比と酸化の速度は酸化亜鉛のこれらの形態の成長に大きな影響を与え、これらの条件を制御することにより、酸化亜鉛の形態を制御することを可能としています。テトラポッド状のウィスカー(T-ZnO)を石英管の壁上の触媒なしで成長させ、T-ZnOの構造や形態を調べることで、T-ZnOの4つの足がすべて針のような形になり、[001]方向に成長していることを明らかにしています。

2) STABILISATION OF ENZYMES USING NANOPARTICLES.(T. D. Clemons, M. Fitzgerald, S. A. Dunlop, A. R. Harvey, B. Zdyrko, I.Luzinov, K. S. Iyer and K. A. Stubbs)

 酵素は高い特異性と触媒特性を有するため、工業と医療分野で大きな関心を集めていますが、酵素関連技術では、その固有の熱的不安定性が主要な課題となっています。更に、酵素の安定化技術及び固定技術は、酵素活性化と持続可能性及びリサイクル性向上のキー技術となっています。
 本研究では、カチオン性磁気や蛍光高分子ナノ粒子の存在下で酵素の多様性(β-グルコシダーゼ、β-ガラクトシダーゼおよび酸性ホスファターゼ)の安定化について調べ、ナノ粒子の存在下で酵素はナノ粒子を含まない酵素と比較して、一定な温度範囲内で、熱活性化と永続性(安定性)が高くなることを明らかにしている。これらの酵素の安定化には、ラクトースフリー、乳製品の生産から菓子製造まで酵素関連業界の特定のアプリケーションへの展開可能性が考えられている。更に、磁気や蛍光機能のナノ粒子を導入することにより、生体内イメージングと追跡をすることも可能になる。

所感

 今回で10回目を迎えるNANO2012は、ギリシャ、ロドースのRodos Palace Convention Centerで2012年08月26日(日)から8月31日(金)の期間で開催されました。主催は、ICNM (INTERNATIONAL COMMITTEE ON ANOSTRUCTURED MATERIALS)で、ナノ材料及びナノデバイスなどが特徴としたナノテク分野のあらゆる方面に関して研究結果が報告されていました。なお、国際会議NANOは、欧州及び米国を中心に隔年開催されるナノ材料関係の最大規模の国際会議で、近年、800~1000人各分野の研究者を引きつけています。各セッションは、十分な発表者と聴講者の十分な交流を与える構成となっているため、成果の発表だけでなく、MEMS分野でのナノ材料やその応用に関する最新研究動向の情報収集という点でも絶好の機会が得られました。

|

« NANO2012参加報告(その1) | トップページ | NANO2012参加報告(その3) »

3D BEANS」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: NANO2012参加報告(その2):

« NANO2012参加報告(その1) | トップページ | NANO2012参加報告(その3) »