MNOIC/TIA

2023年4月25日 (火)

「MEMS Engineer Forum 2023(MEF2023)」出展報告

 4月19日(水)~20日(木)に、マイクロマシンセンター(MMC)からもほど近い東京両国のKFCホールで開催された「MEMS Engineer Forum 2023(MEF2023)」(写真1)に、MMCは昨年に引き続き、MNOIC(MicroNano Open Innovation Center)事業を紹介するパネル展示を行いましたので、簡単に報告いたします(写真2)。

 MEFは国内外企業からの出資によりエンジニアを中心に運営され、21世紀のキーテクノロジーとされるMEMS技術の現状と、向こう10年までの技術の将来に迫る国際会議で、今回は2009年3月の初開催から始まって第14回目の開催となり、32社のスポンサー企業が参加して8地域20名の講演者を迎え、この2日間で、13地域664名の方々が講演や出展を通じて、活発な議論が行われました。

 MEF2023の基調講演はセッション毎に1講演プログラムされ、全6セッションのトップで講演がありました。
 オープニング後のセッション1 “Streams of MEMS 1”では、台湾の国立清華大学Weileun Fang 教授から、“Leveraging Semiconductor Ecosystems to MEMS”と題し、特に台湾におけるMEMS関連産業の発展に関する解説がありました。印象に残ったのは、「台湾は狭い国土で、それゆえデザインハウス、ファンドリー、パッケージ、テストなど、MEMS関連産業の企業間、研究機関間の距離が近く、それがMEMSのエコシステム構築の一因となった」という見解で、戦略的な産官学連携がなされているように感じました。
 セッション2 “Core Equipment Technologies of MEMS”では、半導体装置、製造、販売を行う中国企業のAdvanced Micro-Fabrication Equipment Inc. (AMEC)(中微半導体設備(上海)股分有限公司)のGerald Yin氏から、半導体装置市場動向について紹介されました。半導体関連産業の中で、日本に優位性があるとされている半導体製造装置のセッションの基調講演が、中国企業から行われたことで、国内企業の更なる企業努力が必要であることを感じました。
 これら以外の基調講演としては、昨年に引き続きSi - MEMS の祖とも言うべきKurt Petersen 博士や、味覚、嗅覚センサの世界的権威の九州大学都甲潔特任教授などからの貴重な講演がありました。

 展示はKFCホールのホワイエとAnnexの2か所に分かれて開催され、国内外42社・機関からの出展と22社からの出展者プレゼンテーションが行われました。本展示会は質の高い参加者層が多いため、実ビジネスの交渉の場として有益であり、MNOICの活動について、提供できる技術や実用化や実用性に関連する内容などについての詳細な質問を受け、MEMS技術の成熟度とMNOICの知名度の高まりを感じました。

 今後もMNOIC活動を通じて、わが国の半導体・デジタル産業強化につながる活動を継続してまいります。
 本会議は毎年開催されており、次回は2024年4月17日(水)~18日(木)に、今回と同様KFCホールでの開催が予定されています。

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写真1 MEF2023

 

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写真2 パネル展示

(MEMS協議会 渡辺 秀明)

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2023年2月 8日 (水)

MEMSセンシング&ネットワークシステム展2023 開催報告 (2023年2月1日~3日)

  マイクロマシンセンター(MMC)の主催する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を2023年2月1日から3日の3日間、東京ビッグサイトで開催し、弊センターは会場出展並びに講演会を実施いたしました。
 MMCブースでは、研究開発プロジェクトとして「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC : High Stability Ultra Low Power Atomic Clock)」、「環境調和型MEMS技術の研究開発に関する戦略策定(EfriM : Environment friendly MEMS)」、昨年度から自主検討を開始した「感情センシング・フィードバックシステムの戦略策定」の紹介を始め、MNOIC事業、標準化事業、SSN研究会の概要などを展示しました。

Fig1_mems2023
写真1 MMC展示ブース

 ブース展示とともに例年通り各種講演会も開催いたしました。
 2月1日は特別シンポジウム「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」、2月2日は午前にTIA-MEMS ウインターセミナー MEMS講習会、午後に研究開発プロジェクト、SSN研究会公開シンポジウム、MEMS協議会フォーラムを開催しました。

●2月1日10:30~12:30:
 特別シンポジウム
 「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」@東1ホール
 本シンポジウムでは、MEMS、センサの実用化・応用先として期待される次世代テクノロジー(半導体、5G、IoT、DX、ロボット、AIなど)にフォーカス。次世代MEMS・半導体市場、最先端のMEMS・半導体技術が社会および産業に貢献するビジョンや方向性について、政策動向や最新情報が報告されました。 
 開会にあたって、MMCの長谷川専務理事より、「今回からMEMS次世代テクノロジーフォーラムからMEMS・半導体次世代フォーラムとしたが、もともとMEMSは国際半導体統計上もセンサという項目で半導体に分類されているが、日本ではロボット⇒マイクロマシン⇒MEMSという発展の経緯から半導体ということがあまり公言されていなかったところ、最近の半導体再興の機運の中で、経産省も製造装置やMEMSなどもまとめて半導体戦略の中で見ていくとの判断をされたことから、MMCとしてもMEMS・半導体フォーラムとしたものである。」旨の挨拶がありました。
 それを受けて、最初の講師に立たれたのが経済産業省情報産業課長の金指壽様で、「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」と題して、半導体産業の現状と我が国半導体産業復活の基本戦略の3ステップ(ステップ1:IoT用半導体生産基盤の緊急強化、ステップ2:日米連携による次世代半導体技術基盤、ステップ3:グローバル連携による将来技術基盤)についてご説明いただきました。
 次に産業技術総合研究所センシングシステム研究センター副研究センター長一木正聡様から「場でみるセンシングシステム」として、センシング技術により、人間活用あるいは生活環境の場から有意義な情報の抽出・解析を通じた価値創出が求められている中、産総研の直近の成果が価値創出にどのように寄与しているかご紹介いただきました。
 3番目の講演は、「セラミックエレクトレットの創成と静電ハーベスターへの展開」というタイトルで、東京理科大工学部准教授田中優実様からは、新規高性能無機エレクトレット材料と本材料の振動型エナジーハーベスターへの応用について、ご報告いただきました。
 本シンポジウム最後は「サーマルダイオード赤外線センサMelDIRと熱画像処理技術による活用」と題して、三菱電機の三輪祥太郎様から、赤外線センサMelDIRを活用した熱画像処理技術として深層学習を用いた人体検知技術について解説いただきました。

Fig2_mems2023
写真2 特別シンポジウム

●2月2日10:30~12:00:
TIA MEMS ウインターセミナー MEMS講習会
「MEMS最前線 大学におけるMEMS研究の面白さ」@102会議室

 今回は、筑波大学と新たにTIAに加わった、東京大学、東北大学の三大学の先生から、MEMSに関係する研究の取組みや最新の研究成果についてご報告いただきました。
 最初は「化学、バイオと微細加工」として筑波大学数理物質系教授鈴木裕章先生から化学、バイオ分野で進んでいるデバイスの微小化、集積化、高機能化を実現する微細加工技術についてご説明いただきました。
 次に「自分で考えて、作って、評価できる、MEMSの面白さ」として東北大学マイクロシステム融合研究開発センターセンター長・教授 戸津健太郎先生からはMEMS加工の醍醐味について語っていただき、東北大学のクリーンルームの様子も生中継いただきました。
 最後は「作って測って世界初」として東京大学教授附属システムデザイン研究センター 基盤デバイス研究部門研究部門長三田吉郎先生からスーパークリーンルームで学生と一緒に世界最高のMEMSを製造する過程についてご説明いただきました。 

Fig3_mems2023写真3 TIAウインターセミナー

●2月2日13:00~14:00:
研究開発プロジェクト成果報告会@102会議室

 防衛装備庁の委託で2019年度から開始した「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究」の成果である「移動体搭載に向けた小型量子クロック技術の研究開発」として日本電気桐原明宏様から「移動体搭載に向けた小型量子クロック技術の研究開発」として量子干渉効果に基づく小型原子時計について、移動体搭載を想定した安定性向上のための研究開発についてご報告いただきました。
 次にNEDO助成事業として実施している「非侵襲連続超高感度血中成分計測デバイス」について「『はかる』から始める行動変容アプローチ ~血中成分モニターの小型高精度化に向けて~」としてタニタ蔦谷孝夫様から研究進捗の経過報告がありました。

Fig4_mems2023写真4 研究開発プロジェクト成果報告会

●2月2日14:15~15:15:
感情センシングと環境調和型MEMSの研究開発シンポジウム
(SSN研究会公開シンポジウム)@102会議室

 SSN研究会において次期プロジェクト提案を目指して検討を進めている2つのテーマについての紹介がありました。
 セッション1では、人間の感情をセンシングし、それをフィードバックすることで様々な分野で活用する技術が徐々に実用化されつつある感性センシングについての技術動向について「Two-in-one system: 複数脳の同期と共感」として慶應義塾大学教授皆川泰代先生から人の協力行動や相互作用における脳の同期活動について、セッション2では、「自然に溶け込む調和型MEMS (EfriM : Environment friendly MEMS)」が活躍するインフラ分野に関して「BIMとセンサが実現するデジタルツイン」としてオートデスク株式会社アジア太平洋地域 土木事業開発部統括部長福地良彦様からBIMモデルとセンサ情報を統合し可視化することで実現するデジタルツイン技術について事例紹介がありました。

Fig5_mems2023写真5 研究開発プロジェクト成果報告会

●2月2日15:30~16:30:
MEMS協議会フォーラム@102会議室

 本フォーラムでは、MEMS協議会として長年続けている「国内外技術」と「産業動向」という2つの調査について最新の報告がありました。
 まず、長年MEMSの国際会議運営に携わってきた立命館大学理工学部小西先生から「国際会議発表を通してみるMEMS関連研究の動向」という題目でMEMSの研究開発動向について、わかりやすく解説頂きました。
 次に、弊センター長谷川専務理事からマイクロマシンセンター産業動向調査委員会が2022年度に取りまとめている「グリーントランスフォーメーション(Green Transformation : GX)を支えるMEMS」の調査結果報告が行われました。

Fig6_mems2023写真6 MEMS協議会フォーラム

 各講演会の会場はほぼ満席で、今回の講演テーマに対する関心の高さがうかがえました。
 2023年度は2024年1月31日~2月2日、東京ビッグサイト東ホールで開催を予定しております。

(MEMS協議会 八嶋 昇)

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2022年11月28日 (月)

第39回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム MNOIC 技術展示のご報告(2022年11月14日~16日)

 「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム(協賛 マイクロマシンセンター他)は1981年に第1回目を開催して以来、産学を中心にした研究グループ間の情報交換、アイデア討議の場として我が国のセンサ分野では最大のシンポジウムであり、本年で39回目を迎えました。

 COVID-19感染拡大の影響を受け、本会議も2020年、2021年と2年連続でオンライン開催となりましたが、今年は徳島市のアスティとくしまにて、3年ぶりに対面で開催されました。アスティとくしまは、四国最大級の5,000席の収容人数を誇る多目的ホールがあり、基調講演を始めとする各種講演以外に、ポスターセッションや出展者の技術展示が同一会場で行われるユニークな会場運営でした(写真1)。

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写真1 技術展示(手前)とポスターセッション(中)、
講演(奥)が1ケ所になった会場

 この多目的ホール以外にも、6室の会議室が整備され、本シンポジウムと併催の「機械学会 マイクロ・ナノ工学シンポジウム」、「応用物理学会 集積化MEMSシンポジウム」、「化学とマイクロ・ナノシステム学会 研究会」の複数の連携セッションにも十分対応できる立派な施設です。

 まず、開会式では、ミライズテクノロジーズの磯部良彦実行委員長から、942名(11月13日現在)の参加者と616件の発表があることが紹介されました。次にご来賓として飯泉嘉門徳島県知事から、本シンポジウムが徳島県で開催される意義について触れ、徳島県は、医薬品、LED、リチウムイオン電池などの先端産業が盛んで、製造業係数(全国水準を1としたとき)は1.36と高い工業立県であることなどが紹介されました(写真2)。


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写真2 飯泉徳島県知事の来賓祝辞

 本シンポジウムはセンサ・マイクロマシン技術の成果を4つの学会合同で討議する場を提供する形態となって10周年を迎え、それを企画し創設した大先輩からの講演やパネルディスカッションが実施されました。
 東北大名誉教授の桑野博喜先生からは、「挑戦を続けよう」として、MEMS、センサは今後も加速度的にグローバルに拡大していく技術だとして、挑戦のし甲斐のある領域だということを熱く語られました。
 京大名誉教授の小寺秀俊先生は、機械学会の「マイクロ・ナノ⼯学部⾨の始まりと発展」のテーマのパネラーとして登壇され、マイクロ・ナノ工学に関して学会同士が協力して会議を運営してその場で議論を行い、新たな価値を創出することの重要性について力説されました。
 また、基調講演として「多孔性錯体と無機材料の相乗的インターフェースの空間化学-新しい高感度、非接触、リアルタイム検出システム-」と題し、京都大学 高等研究院 物質―細胞統合システム拠点特別教授北川 進氏の講演がありました。物質捕捉、濃縮、貯蔵、輸送の空間機能を持つ多孔性配位高分子(Porous Coordination Polymer:PCP)と、電荷、電子輸送能を持つ無機半導体、伝導体材料を接合し、そのハイブリッド構造の構築、そのヘテロインターフェース空間を理解、制御する技術について紹介されました。
 その他のMMCにとって注目すべき基調講演として「B5G/6Gに向けた拡張無線ネットワークと時空間同期 マイクロデバイスからのボトムアップアプローチ-」と題し、国立研究開発法人情報通信研究機構電磁波研究所主任研究員 原基揚氏の、原子時計チップ化への取組みについて紹介がありました。
 さらに、NEDOの「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」の成果である、三屋 裕幸氏(鷺宮製作所)らの「カリウムイオンエレクトレット製デバイス量産化のための長期信頼性技術」が、ファイナリストセッション 優秀技術論文賞に採択されました。

 MNOICについては、会期中を通して技術展示を行いました(写真3)。

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写真3 MNOIC展示説明

 お問い合わせの内容としては、MNOICが提供するサービスの主要内容や、具体的な利用の仕方から、主要装置の詳細な仕様など、ファンドリーサービスに関係深い詳細な問い合わせを受けました。
 SDGsへの貢献や、IoTなどの分野において、MEMS、センサはほぼすべてのシステムの必須デバイスであり(上述の桑野博喜東北大学名誉教授の記念講演より)、その活躍が大いに期待されております。この分野でMNOICのサービスの実力をさらに向上させ、試作設備の共用化や、組織間の壁を低くし集団で力を発揮できるオープンイノベーションを推進し、我が国の次世代デジタル技術をはじめとする産業の発展に引き続き貢献していきます。 

(MNOIC研究企画部 渡辺 秀明)

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2022年4月25日 (月)

「MEMS Engineer Forum 2022(MEF2022)」に出展しました

 4月20日(水)~21日(木)に、東京両国のKFCホールで開催された「MEMS Engineer Forum 2022(MEF2022)(写真1)にマイクロマシンセンター(MMC)はMNOIC(MicroNano Open Innovation Center)事業を紹介するパネル展示(写真2)を行いましたので、簡単に報告いたします。

 MEFは、21世紀のキーテクノロジーとされるMEMS技術の現状と、向こう10年までの技術の将来に迫る国際会議で、2009年3月の初開催以降MEF2022は第13回目の開催です。対面式(In-person)での開催は2019年以来、3年ぶりとなり、COVID-19の感染対策を徹底しての開催でした。

 今年も世界のトップクラスの研究者や技術管理職に加え、大企業からベンチャーなどの多岐に渡る講演者を招き、活発な議論が行われました。
 MEF2022の基調講演は3講演で、米Trillion Sensors Summit社のCEOを経てExo社の共同創設者となったJanusz Bryzek氏、日本のボッシュの代表取締役社長Klaus Meder氏、そしてMEMS の祖とも言うべきKurt Petersen 博士と、リモート出演ながらも大変豪華な顔ぶれでした。
 招待講演は、クアルコムテクノロジーズのEvgeni Gousev博士ら全16講演で、日本からは、筆者にはBEANSプロジェクト時代の非冷却赤外線センサの研究が懐かしく、また昨今のコロナ発熱検知に不可欠な存在となっている赤外線センサの権威である元立命館大学教授の木股雅章先生の講演もありました。例年同様、MEMSにかかわる上流の技術から下流のビジネスまでの話題で、会場参加者は324名と少数ですが、現場の第1線で活躍しているエンジニアを中心とした会議のため、対面では3年ぶり開催と相まって大変盛り上がりました。

 展示はKFC HALL ホワイエと、KFC HALL Annexの2か所に分かれて開催され、国内外36機関から出展がありました。 質の高い参加者層が多いため、実ビジネスの交渉の場として有益であり、MNOICの活動について、提供できる技術や想定コストなどについての詳細な質問を受けました。

 今後もMNOIC活動を通じて、わが国の産業競争力強化につながる活動を継続してまいります。

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写真1 MEF2022

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写真2 MNOIC事業 パネル展示

 (MEMS協議会 渡辺 秀明)

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2021年12月 1日 (水)

第38回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム MNOIC出展のご報告 (2021年11月9日~11日)

 第38回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウムが、2021年11月9日から11日までの3日間にわたってオンライン開催され、マイクロマシンセンターMNOICがオンライン技術展示に出展しましたのでここにご報告いたします。

 本シンポジウムは、一般社団法人電気学会のセンサ・マイクロマシン部門が主催し、応用物理学会、日本機械学会、化学とマイクロ・ナノシステム学会の協力により行われる合同シンポジウムで、第38回を数える今回は、”Future Technologies from Himeji 2021 Online” の一環として開催されました。発表件数は、本シンポジウムの206件をはじめ、全体で484件を数え、環境・医用・バイオセンシングシステム、エネルギーハーベスタなどの注目すべき発表が行われ、838名の参加者による技術交流が行われました。

 技術展示のセッションでは、オンライン会議ツールを用いたバーチャルミーティングに加え、技術プレゼンテーションと展示コンテンツのバーチャル見学ツアーが行われました。オンライン展示出展のメリットとしては、訪問者のご承諾により情報交換実績やご興味をいただいた展示コンテンツ情報をデジタルデータで入手できることが挙げられます。今回の出展で、マイクロマシンセンターは、MNOICのMEMS研究開発支援サービスと国家プロジェクト参画によるプロセス技術の開発状況についてご紹介し、1日当たり約70名様程度のアクセスと、合計約30件の情報交換データを電子情報で入手しました。

 以下、出展内容について簡単にご紹介いたします。
MNOICのMEMS研究開発試作支援サービスは、国立研究開発法人産業技術総合研究所殿 (茨城県つくば市) の8/12インチウェハ対応MEMS研究開発拠点を活用して展開する事業で、2011年のサービス開始以来500件を超える試作契約実績をいただいており、研究開発初期段階から製品開発に至る幅広い試作開発をサポートしております。技術展示コンテンツとして、MEMS研究開発拠点の8/12インチMEMSラインと、触覚センサ、X線デバイス、国家プロジェクト成果であるAlN(窒化アルミニウム)圧電薄膜振動センサなどのMEMSデバイスの試作例をご紹介いたしました。MNOICでは試作開発のご希望を常時受け付けておりますので、私どもの窓口をご訪問下さるようお願い申し上げます。

 ご参考までに、次回は2022年11月14日から16日まで、徳島県のアスティとくしまにて開催されることが公表されました。

(MNOIC 原田 武)

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2019年12月18日 (水)

第36回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム参加報告(11月19日-21日)

 第36回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウムが、2019年11月19日から21日までの3日間にわたって静岡県浜松市のアクトシティ浜松で開催され、マイクロマシンセンターが技術展示に出展してきましたのでここにご報告いたします。

 本シンポジウムは、一般社団法人電気学会E部門の主催で行われる、当該分野における日本最大級の学術シンポジウムで、日本機械学会マイクロ・ナノ工学部門主催の「マイクロ・ナノ工学シンポジウム」、応用物理学会集積化MEMS技術研究会主催の「集積化MEMSシンポジウム」、化学とマイクロ・ナノシステム学会主催の研究会と、また一般社団法人エレクトロニクス実装学会連携セッションとの同時開催により、”Future Technologies from HAMAMATSU” の一環として開催されました。発表件数は、本シンポジウムの263件を始め、全体で582件を数え、高機能の物理・化学・イメージセンサデバイス、トランスデューサ、エネルギーハーベスタ、最先端パッケージング技術などの注目すべき発表が行われ、1,000名を超える参加者による熱心な技術交流が行われました。

 今回、マイクロマシンセンターは、本シンポジウムの技術展示コーナーにおいて、センサネットワークシステム用基盤技術としてのパッケージング技術の研究開発成果とMEMS研究開発支援サービスについて出展いたしました。

(1)インフラモニタリングセンサネットワークシステム用パッケージング技術
マイクロマシンセンターのマイクロナノ・オープンイノベーションセンター (MNOIC)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) 殿から技術研究組合NMEMS技術研究機構が受託した国家プロジェクト「道路インフラ状態モニタリング用センサシステム (RIMS) 研究開発」に参画して、インフラモニタリング用無線センサ端末の高耐久性パッケージング技術を開発しました。試作開発品として、屋外の過酷な環境での長年月の使用に耐える耐候性に優れた透光性セラミックスと特殊グレードのポリカーボネート樹脂材料からなる2種類のパッケージと高気密性封止センサ端末を出展し、センサデバイスの実装評価に携わる多くの研究機関や開発メーカーの方々にご興味を持っていただきました。本技術は主として物理・光・電磁センサの実装に役立つ基盤技術で、原理検証から実証評価までの各段階でお役に立てるものと考えております。

(2)MEMS研究開発試作支援サービス
マイクロマシンセンターの主要事業のひとつであるMNOICが担当するMEMS研究開発試作支援サービスの活動状況を展示いたしました。本事業は国立研究開発法人産業技術総合研究所殿 (茨城県つくば市) の8/12インチ対応MEMS研究開発拠点を利用して展開する事業で、2011年の創設以来400件を超える試作契約実績をいただいており、研究開発初期段階から製品開発に至る幅広い試作開発をサポートしております。技術展示では、MEMS研究開発拠点の8/12インチMEMSラインと、触覚センサ、圧電型振動センサ、マイクロ流路などのMEMSデバイスの試作例をご紹介いたしました。前項でご紹介したパッケージング技術も含めて、MNOICでは試作開発のご希望を常時受け付けておりますので、私どもの窓口をご訪問下さるようお願い申し上げます。

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写真1 展示会場と説明風景

(MNOIC 原田 武)

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2019年9月24日 (火)

SENSOR EXPO JAPAN 2019(2019年9月11日-13日)報告

 SENSOR EXPO JAPAN 2019は、フジサンケイ ビジネスアイ様の主催で、一般社団法人 次世代センサ協議会様の特別共催を得て、測定計測展、第15回総合試験機器展、地盤技術フォーラム2019、第21回自動認識総合展と同時開催されました。本展示会では、経済産業省 製造産業局 産業機械課 課長補佐 池田秀俊様による基調講演「我が国製造業の課題と展望」を始めとして、製品・技術発表会、次世代センサフォーラム展示、技術発表会、次世代センサ総合シンポジウムといった盛り沢山の企画が催され、出展団体63団体、ご来場者(3日間の合計)7,416名の皆様による熱心な技術交流が行われました。

 今回、マイクロマシンセンターは3つのテーマについて出展いたしました。
(1) 道路インフラモニタリング用センサ端末パッケージング技術開発成果
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) 殿から技術研究組合NMEMS技術研究機構が受託した国家プロジェクト「道路インフラ状態モニタリング用センサシステム (RIMS) 研究開発」に参画したマイクロマシンセンターのマイクロナノ・オープンイノベーションセンター (MNOIC) が開発したモニタリングシステム用無線センサ端末の高耐久性パッケージング技術として、セラミックスとポリカーボネート樹脂材料からなる新しい高気密性封止パッケージの試作品を出展いたしました。センサのメーカー様とユーザー様から、センサとシステムの実用化時期や価格など、熱心なご質問と技術資料の請求をいただきました。国家プロジェクト終了後は参画企業の自主事業に移行したセンサ及びセンサネットワークシステムの開発に弾みを付けたいと考えております。

(2)MNOICのMEMS研究開発試作支援サービス
マイクロマシンセンターの主要事業のひとつであるMNOICが担当するMEMS研究開発試作支援サービスの活動状況を展示いたしました。本事業は茨城県つくば市にある国立研究開発法人産業技術総合研究所殿の8/12インチ対応MEMSデバイス試作ラインをお借りして展開する事業で、年々右肩上がりのご利用契約をいただいております。MEMSセンサを開発課題としてお持ちのお客様から熱心なご質問をいただき、具体的な打ち合わせもさせていただきました。MNOICでは試作開発のご希望を随時受け付けておりますので、思い立ったらご遠慮なく、私どもの窓口にご連絡をお願い申し上げます。

(3)MEMSセンサ&ネットワークシステム展のご紹介
本展示会はマイクロマシンセンターがJTBコミュニケーションデザイン様と共同で主催する展示会で、2020年1月29日から31日の3日間にわたって、今回の展示会と同じ東京ビッグサイトの西2ホールで実施されます。1990年開始の「マイクロマシン展」から継続開催してきた展示会で、最近はビジネス志向の展示会「MEMSセンサ&ネットワークシステム展」に名前を変えて実施しています。出展申込締切日は9月30日ですが、それ以降でもお申し込みは可能ですので、是非出展のご検討をよろしくお願い申し上げます。
お申込みサイトURL: https://application.jcdbizmatch.jp/jp/nanotech2020/MEMS

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展示会場と説明風景

(MNOIC 原田 武)

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2019年6月21日 (金)

Smart Sensing 2019出展報告 (6月5日~7日)

 センシング技術で価値創造する新社会プラットフォームの展示会として、2019年6月5日から7日までの3日間にわたって東京ビッグサイト西4ホールで開催された、株式会社JTBコミュニケーションデザイン殿主催のSmart Sensing 2019に出展してきましたのでここに報告いたします。
 Smart Sensing 2019は、電子機器トータルソリューション展2019のひとつとして、JPCA Show、マイクロエレクトロニクスショー、JISSO PROTEC 、有機デバイス総合展、WIRE Japan Show、JEP/TEP Showと同時開催され、センサとその材料、プロセス、実装、応用にご興味のある方には非常に楽しみな展示会となっています。本展示会は、IoT社会におけるキー要素であるセンサとセンシング技術を主なテーマとする今回で3回目の新しい展示会ですが、出展団体が81団体で、初回から比べて2倍以上に増加し、今回の来場者は、初日が14,217名、2日目が15,354名、最終日が14,539名、合計44,110名となり、初回の6倍以上に増加した熱意ある参加者の皆様で賑わいました。

 今回、マイクロマシンセンターは3つのテーマについて出展いたしました。

(1) 道路インフラモニタリング用センサ端末パッケージング技術開発成果
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) 殿から技術研究組合NMEMS技術研究機構が受託した国家プロジェクト「道路インフラ状態モニタリング用センサシステム (RIMS) 研究開発」の一環として、そのメンバーであるマイクロマシンセンターのマイクロナノ・オープンイノベーションセンター (MNOIC) が開発したモニタリングシステム用無線センサ端末の高耐久性パッケージング技術を出展いたしました。高耐久性セラミックスと高耐候性ポリカーボネート樹脂材料からなり、高気密性封止材料で接合封止した2種類のパッケージの試作品を展示したところ、同様のニーズを持つメーカーの方々から熱心なご質問と技術資料の請求をいただき、インフラモニタリングセンサネットワークの市場ニーズが十分あることを感じました。

(2)MNOICのMEMS研究開発試作支援サービス
マイクロマシンセンターの主要事業のひとつであるMNOICが担当するMEMS研究開発試作支援サービスの活動状況を展示いたしました。本事業は茨城県つくば市にある国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)殿の8/12インチ対応MEMSデバイス試作ラインをお借りして展開する事業で、年々右肩上がりのご利用契約をいただいております。MEMSセンサを開発課題としてお持ちのお客様から熱心なご質問をいただきました。MEMSデバイスを製品化されているメーカー様でも、デバイス開発の初期段階ではご自分の会社の生産ラインを使用する余裕はなく、デバイス試作のアウトソーシングが必要になっているご様子です。

(3)MEMSセンサ&ネットワークシステム展のご紹介
 本展示会はマイクロマシンセンターがJTBコミュニケーションデザイン様と共同で主催する展示会で、2020年1月29日から31日の3日間にわたって、今回の展示会と同じ東京ビッグサイト西2ホールで実施されます。1990年から開始した「マイクロマシン展」以来、30年間にわたって継続開催してきた展示会で、最近はその発展形態としてビジネス志向の展示会「MEMSセンサ&ネットワークシステム展」に生まれ変わりました。Smart Sensing 2019にご興味のあるお客さまには、ぜひご出展、ご参加をお願いしたい展示会です。

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写真1 展示説明風景

(MNOIC 原田 武)

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2019年4月26日 (金)

「MEMS Engineer Forum 2019(MEF2019)」に出展しました

 IoT, センサネットワーク、Industries 4.0、Society 5.0など21世紀のキーテクノロジーであるMEMS技術の現状及び10年後までをエンジニアを中心に議論する国際会議である「MEMS Engineer Forum 2019」(MEF2019)は4月24日、25日、秋葉原のマイクロマシンセンター事務所からもほど近い、両国KFCホールにて、盛況に開催されました。マイクロマシンセンター(MMC)はこのフォーラムに、MNOIC事業を紹介するポスター展示を行いましたので、簡単に報告いたします。
 本フォーラムは、2009年3月の初開催以降、MEF2019で第11回を迎え、実行委員会委員長は10年間勤めていた東北大学の桑野博喜先生から、同じ東北大の田中秀治教授へ交代されました。また同時に副委員長も日立ハイテクノロジーズの野副真理氏と東京大学の三宅亮教授に世代交代がなされましたが、MEMSの世界で成功した人たちが展開する熱い議論の場という会議の性格には変更がありません。MEF2019の主な講演として、国立研究開発法人理化学研究所理事の小寺秀俊先生や、筆者にはBEANSプロジェクト時代の細胞ビーズの研究が懐かしい東京大学生産技術研究所准教授の松永行子氏からバイオMEMSに関するものがありました。一方産業界からは、現在最大の事業量と同時に高成長しているBAW(bulk acoustic wave)フィルタのQorvo社やMEMS業界の巨人のRobert Bosch社からの講演に加え、日本からは当協議会メンバー企業のTDK、ローム、村田製作所などから講演があり、MEMSにかかわる上流の技術から下流のビジネスまでの話題で例年以上に盛り上がりました。
 ポスター展示はKFC HALL ホワイエと、KFC HALL Annexの2か所に分かれて開催され、国内外35機関から出展がありました。質の高い参加者層が多いため、実ビジネスの場として有益であり、MNOIC( MicroNano Open Innovation Center)の活動について、提供できる技術についての詳細な質問を受けました。今後も、わが国の産業競争力強化につながる活動を継続してまいります。

2019mef 写真1 技術展示

                  (MEMS協議会 渡辺 秀明)

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2019年3月11日 (月)

「微細加工ナノプラットフォームコンソーシアム シンポジウム」でMNOICの 展示報告

 文部科学省の委託事業である微細加工プラットフォームは、大学等の施設の共用と蓄積された知による研究開発の推進と課題解決支援を目的として、2012年開始以来、この3月には7年を経過しました。この微細加工ナノプラットフォームについてのシンポジウムが本年3月8日(金)、東京大学 浅野キャンパス 武田先端知ビル武田ホールにて開催されました。ここ数年、本シンポジウムにMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター)の概要とサービスの内容についてポスター展示しておりますが、本年のシンポジウムの内容についてご報告します。

 この微細加工ナノプラットフォームシンポジウムは、最先端のナノテクノロジーの研究開発動向と、微細加工ナノプラットフォームを活用し産学官の緊密な協力の下で生まれた技術開発の成功事例、ならびに現在開発を進めている企業の生の声などを紹介するものです。

 冒頭、本プラットフォームコンソーシアムの16実施機関を代表して、国立研究開発法人理化学研究所理事の小寺秀俊先生(写真1)から、若手の研究者が本プラットフォームを利用することで、様々なイノベーションの創出が可能となったこと、一方で、日本海側にプラットフォームの拠点がないことが課題と報告されました。

写真1 小寺先生の挨拶

 そして、文部科学省研究振興局参事官齋藤康志氏の来賓挨拶の後、進行役に東京都市大の藤田博之先生(写真2)という豪華な顔ぶれで、基調講演として「ナノハブ拠点でつくるオンチップバイオテクノロジー」と題し、東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻教授 鷲津正夫先生(写真3)から、マイクロデバイスを用いた細胞融合に関する報告があり、細胞核よりも小さいマイクロオリフィスを有するマイクロデバイスを用いることにより,細胞核の混合が起こらないことなどが示されました。

写真2 進行役の藤田先生


写真3 鷲津先生の講演

 続いて特別講演として、「次世代に向けた医療機器戦略」について、シスメックス株式会社 技術開発本部 上席主任研究員 角田正也氏の講演がありました。京大が得意とするバイオ系分野のマイクロ流路作製などの京大プラットフォームを利用して、独自のリキッドバイオプシー技術や全自動免疫測定システムについての紹介でしたが、その肝となるデバイス部分についての詳しい説明はありませんでした。

 休憩後、微細加工ナノプラットフォームの利用事例として、「可変メタサーフェスを利用した光位相変調素子」東京農工大学岩見健太郎准教授、「循環腫瘍細胞の誘電特性測定用デバイスの開発」呉工業高等専門学校江口正徳助教、「容量型MEMS水素センサ向けPdCuSi感応膜開発」株式会社東芝の林裕美研究主務、「広帯域波長掃引パルス量子カスケードレーザの開発」浜松ホトニクス株式会社の杉山厚志氏から4講演があり、最後のセッションとして、実施機関の京大から「バイオ系分野への支援力強化の取り組み」と、北大から「原子層堆積装置(ALD)による支援技術)についての紹介がありました。

 講演会終了後は、ポスターセッションと意見交換会が武田ホールホワイエで開かれました(写真4)。ポスター展示には、微細加工ナノプラットフォームコンソーシアム16機関に加え、協賛機関、協力機関もセッションに参加し、各機関の特色に重きを置いた説明が各所で行われました。MNOICは、微細加工ナノプラットフォームで開発された成果の試作ファンドリーや技術移転先の一つとして期待されており、本コンソーシアムとの連携をさらに強化していきます。こうして、研究開発から商品開発までのリードタイムを短縮し、我が国の産業競争力強化と次代を担う人材の育成につながる活動を継続してまいります。


写真4 MNOICのポスター展示

(MEMS協議会 渡辺 秀明)

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