Pj LbSS/IoT

2018年1月10日 (水)

IoTSWC2017参加報告

 昨年10月3日から5日にかけてIoT Solutions World Congress 2017(以下、IoTSWC2017)に参加してまいりましたので、そちらのご報告を致します。IoTSWCは、毎年10月にスペイン・バルセロナで開催されるインダストリアルIoT(以下、IIoT)に関するイベントとなります。本イベントにはインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(以下、IIC)が関わっており、IIoTに関するリファレンス実装等が多数のテストベッド(複数社による実運用レベルに近いユースケース検証)として報告されることから、IIoTに関する様々な仕様のデファクトスタンダード形成の場として注視しております。
                  
 現在、産業機器等から吸い上げたデータの有価情報を効率よく取り出しクラウドに送信する、超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究に従事しておりますが、本研究の先端技術調査として前年度にも本イベントに参加した際には、テストベッドを有する先端企業からIIoTに関する多くのヒアリングを実施でき大変有益な機会となった為、今年度も技術動向の定点的な調査を実施して参りました。
                  
                  


図 1 バルセロナの街並み
                  


[概要]
 本年度は、来場者数は114ヶ国240社から約13000人(72%が経営幹部・上位管理職)となり、会場も昨年度比1.7倍の規模で実施されました。会場ではIoTプラットフォームに関するコンセプト展示だけでなく、農業、トランスポート、そしてインダストリ分野から、Siemens社、Intel社による油入装置監視、Analog Devices社による果樹園霜被害予兆監視等、具体的なユースケース展示が多く見受けられ、特にテストベッドの約7割がインダストリ分野からの出展となるなど、IIoT分野の盛り上がりを見せておりました。
                
                  
                  


図 2 展示会場の様子
                 


                  
                  


図 3 各国の講演数(カンファレンス資料より算出)

 

 また、今年はEdgeX Foundryのようなコンソーシアムの動きも目立っており、エッジコンピューティングに関する実装例もございました。EdgeX Foundryに参画する企業によるEdgeXゲートウェイの活用例としてのデモ展示は、OPTO社のブースで風車タービンの遠隔監視デモとしてエッジ側ゲートウェイにEdgeXゲートウェイを採用する例がありました。OPTO社の場合、サーバから、WANインタフェースとなるgroov Boxを介しFAN側コントローラであるOpto 22 SNAP PACsまでの一連のデータ送受信の環境を提供できることからシステムとしては自前で完成しておりましたが、Opto 22 SNAP PACsでは吸収しきれない将来的なプロトコル等に関して相互運用性を向上させる為に、EdgeXゲートウェイを一段仲介させることでエッジ側の抽象化を実現しておりました。クラウドにおけるUIダッシュボードからのビジネスロジックを解釈し異なる装置に対して、PLCコマンドのような制御コマンドを投入するにはエッジを抽象化するインタフェースの役割が明確にする必要がありますが、従来は管理対象ごとに作りこみを行っていたダッシュボードが発行するAPIからFAN側への制御コマンドを変換するアダプタにおいてコネクティビティを持たせる為にEdgeX Foundryが行うエッジインタフェースの標準化の取り組みは、今後きわめて重要な活動になっていくのではないかと感じております。このため、こうしたコンソーシアムの動向にも注目していきたいと思います。

 反面、相互接続性を上げていくことで古い装置に対する接続性が増し、セキュリティホールを有する古い装置を入口とした他の装置への攻撃のリスクを上げてしまうことにもなりかねません。また、ゲートウェイ側で抽象化する部分がオープンソースであることを利用しソースコードから脆弱性を類推するなどといった、プロプライエタリではないことに起因するセキュリティの脅威に対しても、相互接続性を担保しながら対策していくことが今後の課題となりそうです。
                  
                  


図 4 講演会場の様子


[講演]
 講演企業の中にはIoTプロジェクトの75%程度において期待通りの価値を提供しきれていないと感じている社もありました。これは、データ収集からデータモデル構築、そして分析を行うアルゴリズムのデプロイを行う一連のサイクルの中で、広域に据え付けられる数千単位でのデバイス・ゲートウェイに対するデプロイに、概念検証の段階では見えない課題が多数あり、実運用の段階でデータ収集力に直結するスケーラビリティに制限が課せられるケースがある為です。これまで工場の単一ラインでは、データ収集から知見獲得までをオートメーション化してきましたが、IIoTはこれに加えて、広範囲のデバイスやゲートウェイに対してセキュリティパッチや特定の状況下に適する分析アルゴリズムをあまねく導入後に継続適用していくことで全体最適を行っていく必要があります。
                  
[展示ブース]
 今回、技術動向調査を行ったなかから、LbSS研究に関係がありそうな技術展示2件、ご紹介させて頂きます。
                  
 1件目は、Intel社、BOSCH社による大気モニタリングに関する共同展示になります。ダスト排出量モニタリングによる、建設現場における大気汚染防止に関する法令の遵守度を測定する環境基準トラッキングとそれに応じた建設リソーススケジューリングが特徴です。また、CO検知センサにより、例えば無煙の熱分解等を分析することで火災報知器が検知しない火災の予兆検知にも適用可能と思われます。大気モニタリングといった汎用的な技術をビルの建築・設備運用における各フェーズのユースケースに適用することで、ビルのライフサイクルの初期からシステムを提案・導入できるメリットがある為、他社と比較し競争力のあるモニタリングシステムだと感じました。尚、建設中は本システムが屋外設置となる為、デプロイを正しく機能させることで中継器の不具合によるアップデート未実施を回避しサイバー攻撃による踏み台対策を行うだけでなく、装置そのものを盗難され物理的なメモリアクセスを介して行われるリバースエンジニアリングにも対処しなければならないと思われます。
                  
 2件目ですが、昨年度に引き続き、HPE社、NI社、およびPTC社が提供する予兆保全プラットフォームが展示されておりました。既に前年度の調査で燃料ポンプに対するキャビテーション検知を行うFlowserve社の適用例として本プラットフォームのことは把握しておりましたが、本年度はDeloitte社による振動アノーマリ検知による装置故障の予兆保全にも適用されるなど、本システムが汎用的なIoTプラットフォームとして提供可能なことが示され興味深く感じました。本予兆保全プラットフォームは、NI社の制御ハードウェアからHPE社のコンバージドIoTシステムにセンサデータを送信する際に帯域を圧迫しないよう、コンバージドIoTシステム上では全データから異常と判断されるデータの範囲が分析し、NI社の制御ハードウェアが次回以降の送信時に異常値のみを送信することで転送データの大幅な削減が可能となるデータ転送制御を実装している点が特徴です。実際には、予兆保全は10秒に1回のような頻度の閾値検知で事足りると思われますが、工場のラインではリアルタイム監視による画像データでの製品判定も行うことがあり、こうしたユースケース等ではセンサのデータ転送量が課題となることから本プラットフォームが適用される場面も多そうです。
                  
 今回、会場で見られた展示では特定のユースケースに特化したプラットフォームが多く、大量のセンサ端末やゲートウェイに対してスケーラビリティを考慮しないシステムはユースケースが個別最適になりがちでした。スケーラビリティを考慮することでゲートウェイ間での接続性も増し、従来システムとは違ったIoTプラットフォーム独自のメリットを享受できると思われます。
                  
[所感]
 日本・欧米等の産業先進国では独自の古いインタフェースを持つPLCを有する工場が未だ多いなか、こうしたインタフェースを扱う為の属人的な手順・ノウハウに頼る部分に対して汎用的なIoTプラットフォームを適用するには多くの課題が残っていると感じています。欧州における本会場でも適切な専門知識やOT知見を有する技術者の不足が聞かれており、スケーラビリティやコネクティビティを向上させることで、本来の高度な技能が必要とされる知見以外でシステムが属人化しない工夫が必要です。こうした点を踏まえたうえで、より高度な解析を行うIoTプラットフォームを構築するには、概念検証の期間にデータモデルの構築に注力する必要があり、データを即日といった短期間で収集開始できるよう、下回りはビルトインのフィルタや既製のプラットフォーム・ダッシュボードを利用するのが望ましいと考えます。
                  
[次回開催]
 今回の技術動向調査で得られた結果はベンチマークとしてフィードバックし、研究開発を継続してまいりたいと思います。次回のIoT Solutions World Congress 2018は、2018年10月16日~18日に開催が予定されております。
                  
                  

           技術研究組合 NMEMS技術研究機構 相見 眞男

                  

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2018年1月 5日 (金)

「新年のご挨拶」

新年あけましておめでとうございます。

 本年はSociety5.0の実現を世界に打ち出していくための新たな産業・社会の在り方として、「コネクテッド・インダストリーズ」に大きな注目が集るとされています。特に、製造現場、自動走行、健康・医療・介護等の現実の「リアルデータ」を巡る競争が激しくなると予想されていますが、その「リアルデータ」を収集する最前線にMEMSを中心とする多様なセンサが位置しています。従いまして、ナノ・マイクロ技術分野における研究開発や普及促進等を長年担ってきた私どもマイクロマシンセンターの責任はさらに重くなっていくものと考えております。

 仏のヨール社によれば、世界のMEMS市場は消費者用や自動車用がけん引し、2017年の132億ドルから2022年には254億ドルと年率14%で伸びるとされています。MEMSデバイスとしては、スマホの4G/5G 化の進展によりMEMSフィルタの伸びが大きく、従来からの慣性センサ、圧力センサ、ジャイロなどを凌駕していくと見られます。

 このような中、当センターでは2000年代に注力したMEMS技術そのものの研究開発から、2010年代にはセンサネットワーク技術にシフトし、現在は道路やライフラインのインフラモニタリングに加えて、ファクトリやプラントのスマートセンシングの研究開発に注力しています。そして、昨年は経産省・NEDOがコネクテッド・インダストリーズの重点分野として推しているロボティクスや自動走行の鍵となるAI融合高精度物体認識システムの研究開発に着手しました。

 また、それらの研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとして、7年前に開設したつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」も今や中小・ベンチャーを含む40社以上からの研究や工程の受託により、フル稼働の状況にあります。さらに設備整備や技術向上に努めて、我が国のMEMS開発需要に応えてまいります。

 そして、上述の成果などを公開する場として、昨年、MEMSセンシング&ネットワークシステム展を刷新して、初めてCEATECと同時開催とし、5万人を超える来場者の方々にお出でいただくことができました。本年はさらにCEATECやAll about Photonics展とのシナジー効果を高め、IoTシステム、さらにはコネクテッド・インダストリーズの最先端技術展としてのプレゼンスを高めてまいります。

 当センターとしましては、本年もMEMS・スマートセンシング技術の開発や普及に真摯に取り組み、我が国のコネクテッド・インダストリーズの推進に微力ながらも貢献してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。

 皆様方には以下の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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2017年11月25日 (土)

INDTCE2017参加報告

 インフラモニタリングセンサ用エナジーハーベスタ調査の一環として、2017年11月21日(火曜日)〜23日(木曜日)にかけて、アメリカハワイのカウアイ島で開催された、Innovative Non-Destructive Testing for Civil Engineers(INDTCE2017)に参加してまいりました。また、それとともに2017年11月20日(月曜日)にハワイ大学(オアフ島)にも訪問して来ましたので報告します。

 まず、INDTCE2017については、今回初めて開催された国際学会であり、本プロジェクトのメンバーでもある京都大学の塩谷智基教授(写真1)がチェアとして中心となって立ち上げられ開催されました。また、初開催にもかかわらず、日本をはじめ、アメリカや韓国などの大学、企業の関係者も参加し、多くの発表、意見交換がされました。特に従来の国際学会と大きく異なり、土木系とともに、我々のようなエナジーハーベスティング、物理センシングを研究している電気系、物理系なども一堂に会しており、従来では難しかったそれぞれ最新の情報交換をする場が設けられました。それによって、ある分野では常識的なことが、別の分野では新鮮であったりして、非常に有意義な試みであったと感じました。


写真1 京都大学の塩谷智基教授(チェア)

 初日、最初のキーノートスピーチは、「Development of AE and Visualized NDE for Maintenance of Concrete Structures」と題して、現在京都大学にいらっしゃる大津政康教授(写真2)によるものでした。内容は、コンクリート構造物は、従来ではメンテナンスフリーと一般的に考えられて来ていましたが、その頃から大津教授らは人体の健康診断と同様に、コンクリート構造物にも診断が必要だと考え、AE法(Acoustic Emission Method)をはじめとした、非破壊検査法の確立など様々な活動をして来られた、というもので、ご講演の中ではそれらの一つ一つを丁寧にご説明されていました。それゆえ、我々のような分野が異なる研究者にとっても、その歴史を垣間見ることができる素晴らしい内容であったと同時に、大津教授らのこの分野における貢献度に感服しました。


写真2 キーノートスピーチの大津政康教授

 その後、午前中のひとつのセッションとして、私たちの取り組みであるインフラモニタリング用のエナジーハーベスティング技術、歪みを計測する新たな物理の創出、またそれらの商品化、製品化に向けた取り組みに関して、合計3件の発表を行いました。その中で、自分はNEDOのエネルギー・環境新技術先導プログラム/トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動発電デバイスの研究として取り組み、その後、RIMS用の振動発電デバイスとして開発している、橋梁モニタリング用のMEMSエナジーハーベスタを中心に発表をしました。内容は、実際に高速道路の橋梁で振動計測をした結果や、その結果をもとにしたエナジーハーベスタの設計コンセプト、実際に製作した高効率MEMS振動発電デバイスの実験結果、デモンストレーション動画等を紹介しました。本先導研究では、学会チェアでもある塩谷教授のグループと連携して行っていたテーマでもあり、その連携による効果などを塩谷教授が土木系の方々に補足でご説明してくれた(写真3)こともあり、期待以上に成果を訴求できたと思います。また、このセッション自体も非常に盛り上がり、セッション終了後には早速、こんなことはできないか、こんなところで使えないか、など具体的な質問、意見交換を活発に行うことができました。


写真3 エナジーハーベスタの発表(三屋、塩谷教授の補足)

 2日間に渡った会議も、終始活発に同分野、異分野の垣根なく意見交換、情報交換(写真4)ができ、非常に有意義な経験になりました。また、今後実際に何件かの新たな取り組みにつながりそうな話もあり、このような機会がさらに増えると面白いのではないかと個人的には思いました。


写真4 異分野の情報・意見交換の様子

 次に、INDTCE2017に先立って訪問したハワイ大学についてご報告します。ハワイ大学マノア校は州立大学であり、土地がら海洋学、火山学、天文学などの研究が活発に行われています。今回はハワイ大学のCosmochemistry研究所(写真5)で、特に隕石などに含まれるイオンなどの分析をご専門にされているNagashimaマネージャーを訪ね(写真6)、校内、研究設備等を見学させていただいた後、実際に、イオンの分析を見せていだだきながら、我々のイオン分析手法などについて意見交換を行ってまいりました。


写真5  Cosmochemistry研究所


写真6 三屋(左)、小野さん(中)、Nagashimaマネージャー(右)

 同研究所では、世界でも数台しかない高感度2次元イオン検出による結像型SIMS(Secondary Ion-microprobe Mass Spectrometer、日本では2次イオン質量分析計)を保有しており(写真7)、その分解能はppb(parts per billion 、十億分の1)と非常に高いとのことです。また、本質量分析計の電圧や磁場は、光学顕微鏡におけるレンズの役割を担っており、細く絞ったイオンビームを試料に当ててイオン化し、その2次イオンを「レンズ」によって元の位置情報を保ったまま質量分析計の検出器へ導くことができるとのことです。また、その検出器は、独自に設計・開発したイオン撮像器で、1個~100万個の入射イオンの個数を計測出来る素子が並べられており、2次元イメージングが可能とのことでした。これにより、隕石などを分析する宇宙科学・地球科学分野において、多くの世界最先端の科学成果をあげられているとのことでした。

 
写真7 高感度2次元イオン検出による結像型SIMS

 我々が研究しているエレクトレットも、絶縁物中にイオンを含有することで形成されておりますが、その2次元分布は観察できなかったため、どのよう分布なのかわかっておりませんでした。しかしながら、条件次第ではあるが、この装置を使用すればわかるかもしれないとのことでしたので、具体的に検討していこうということになり、非常に有意義な意見交換となりました。

 今回は、(学会の分野違いと同様に、)隕石のイオン分析という、一見異分野のように感じますが、対象物が半導体と隕石と違うだけで分析方法はまさに我々と同じようなものでした。それにもかかわらず、半導体業界では知られていないが故にできないと思っていたことを、隕石の分析業界ではいとも簡単に観察されていることに非常に驚いたのと同時に、このような異分野にも目を向ける重要性を改めて実感しました。

 また、ハワイという常夏の地に冬の日本から訪れ、異分野との交流をする、という非常に非日常な体験でした。しかしながら、その中で従来の延長ではない、新たな引き出しを見つけることができ、非常に有意義であるとともに、このような交流をすることの重要性を、身をもって実感いたしました。今後も是非積極的にこのような活動をしていきたいと思います。

2017年11月25日
技術研究組合NMEMS技術研究機構 三屋裕幸

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2017年10月 6日 (金)

「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」最終日(3日)を迎える


                  
                  

                  

                  
   盛況開催中の「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」は本日、最終日3日目を迎えました。
   昨日2日目も初日同様、展示会場は、IoTに不可欠な技術分野ということで来場者からも関心が高く、例年にも増して多くの来場者にあふれた活気に満ちた会場風景となりました。
                  
   本日は、国際マイクロマシン・ナノシンポジウムを開催いたします。
                  
                  

                  

 最終日もよろしくお願い致します。
                  
  昨日開催した研究開発プロジェクト成果報告会では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や国から受託し、研究開発を進めているプロジェクトについて、各プロジェクトの責任者から報告がなされ、聴衆者が熱心に聞き入っていました。
                  
                  
                  


                  司会・進行を行う長谷川専務理事
                  
                  

                  特別講演を行う 経済産業省 徳増伸二参事官
                  
                  

                  LbSSの成果発表を行う 東大 藤田教授
                  
                  

                  RIMSの成果発表を行う 東大 下山教授
                  
                  

                  ULPACの成果発表を行う 産総研 柳町主任研究員
                  
                  

                  UCoMSの成果発表を行う 東大 伊藤教授
                  
                  

                  AIRsの研究開発を発表する 東大 下山教授
                  
                  

                  講評を行う NEDO 弓取ロボット・AI部長
                  

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2017年10月 5日 (木)

「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」2日目を迎える

                  

   開催中の「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」の1日目の様子をお知らせします。まず、展示会場ですが、IoTに不可欠な技術分野ということで来場者からも関心が高く、CEATECからの来場者も多く活気に満ちた会場風景となりました。

   本日は、研究開発プロジェクト成果報告会を開催します。プログラムは、以下のとおりです。本日もご来場をお待ちしております。

                  

                  

   昨日開催しましたMEMS協議会フォーラムには、多くの参加者があり盛況の内に終了しました。                   

                  
                  開会挨拶 MMC青柳副理事長
                  
                  
                  MMC調査研究・標準部長 大中道崇浩
                  
                  
                  MNOIC開発センター長 荒川雅夫
                  
                  
                  会場風景
                  
                  
                  立命館大学理工学部 教授 小西 聡
                  
                  
                  MMC産業交流部長 今本浩史

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2017年8月 9日 (水)

MEMSセンシング&ネットワークシステム展の開催準備進む(10月4日-6日)

 MEMS関連の技術・製品・アプリケーションを一堂に展示する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2017」の開催準備が進んでいます。
                 
  名称:MEMSセンシング&ネットワークシステム展2017
          -IoTシステムの最先端技術展-
  会期:2017年10月4日(水)~6日(金)
  会場:幕張メッセ 国際展示場ホール7、国際会議場会議室302
  同時開催:InterOpto/LaserTech/BioOpto Japan/LEDJAPAN/
       CEATEC JAPAN 2017
               URL:http://www.mems-sensing-network.com/
                 
  開催内容を順次ご紹介しますが、今回は「研究開発プロジェクト成果報告会」のプログラムをお伝えします。
                 
  名称:研究開発プロジェクト成果報告会
  開催日時:2017年10月5日(木)10:30-16:10(昼休み1時間を含む)
  趣旨:工場の操業状況や道路インフラ構造の健全性などを確認するために、センサをいたるところに配置し、無線ネットワークで測定データを集めるIoT(Internet of Things)が注目されています。本セミナーでは、NEDOや国から受託し、研究開発を進めているプロジェクトについて報告します。
                                                                                                                                           

オープニング  発表者
10:35-
       11:15
特別講演
                        (仮)”Connected Industries”に向けた我が国製造業の課題と取組
経済産業省
         参事官
     徳増 伸二
第一部  
11:15-
       12:15
超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステム(LbSS:Learning based Smart Sensing                        System)の研究開発東京大学教        藤田 博之
12:15-
    13:15
昼休み 
第二部  
13:15-
    14:15
道路インフラの統合的な常時監視を実現するモニタリングシステムの研究開発成果発表東京大学教授
      下山 勲
14:15-
    14:45
センサ端末同期用原子時計(ULPAC:Ultra-Low Power Atomic Clock)の研究開発成果発表 産総研
     柳町 真也
14:45-
    15:00
休憩  
第三部  
15:00-
    15:50
ライフラインコアモニタリングシステムの研究開発成果発表東京大学教授
     伊藤 寿浩
第四部  
15:50-
   16:10
空間移動時のAI融合高精度物体認識システムの研究開発東京大学教授
      下山 勲
                  


  成果については展示会場ブースにおいても展示・説明を行っておりますので、是非お立ち寄りください。
                                <成果普及部 水島 豊>

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2017年7月21日 (金)

IoT World 2017参加報告

 2017年5月16日-18日開催されたIoT World 2017に参加してまいりましたので、ご報告を致します。IoT World 2017は、毎年5月に米国・サンタクララで開催される米国最大級のIoTに関するイベントとなります。イベントでは、主にヘルスケア・農業・ファクトリー分野における講演、ブース展示が実施されていた他、コネクティッドカーに関する展示エリアが併設されておりました。今年は来場者数が約11000人となり、スタートアップ企業の参加も約80社となる等、会場全体で盛り上がりを見せておりました。
               
                  
                  


図 1 開催地であるシリコンバレー近辺の街並み
                  


 本イベントは講演・技術展示ブースともに米国現地企業によるものが多く、展示説明員からヒアリングを行うことでR&D段階の技術が米国のユースケースに今後どのように適用されるか把握することができ、米国のユースケース適用に関する動向調査を行ううえでも最適なイベントでした。
                  
                  
                 

 
図 2 会場入り口の様子
                  


 本イベントのブース展示は、医療制度や農業の社会問題に課題点が多い米国らしく、ファクトリーの可視化・予兆保全よりも、ヘルスケア・農業分野におけるユースケースに関わる展示が多いように感じました。また、可視化においては、デバイスマネジメントやセンサデータ表示を行うダッシュボードと呼ばれる統合管理画面におけるユーザインタフェースに力が入れられており、グラフや数値データ表を配置する従来のダッシュボードだけでなく、CADを開発するAutodesk社による3Dのダッシュボードなどが、来場者の目を引いておりました。3Dや映像データを配置するグラフィカルなダッシュボード画面は、単にレイアウトとして見やすいだけでなく、現場管理者が、火の色といったアナログな映像データを見ることで、目視確認で状況把握を即座に行えます。その後、現場管理者は、把握した状況に応じて他部門や他作業員に指示を送る際に、他部門や他作業員に行う説明を補強するための材料として数値データを用いることができます。こうしたケースでは、映像データや数値データを揃えるだけでなく、ユースケースにおけるデータの関係性が一目で把握できるレイアウトや画面遷移が鍵になると感じました。ダッシュボードは現場管理者だけが理解できる画面では意味がなく、障害発生時に原因から対策までを他部門と協力し、迅速な対応を検討するうえで必要なデータがどれだけ不足なく揃えられるかが重要です。また、映像データに関してもIoTゲートウェイやクラウドに蓄積すればよいだけではなく、確認したいタイミングで確認したい時間帯の映像データを検索できる仕組みが必要になります。今回参加した企業には、IoTゲートウェイやクラウドに転送し蓄積した映像データを必要な機会に検索できる仕組みを検討している企業も御座いました。
                  
                  
                  


図 3 講演会場の様子
                  


                  
                  


図4 各国の講演数(カンファレンス資料より算出)
                  


[講演]
 基調講演にありましたが、IBM社によりますと、クラウド等に収集されるデータの9割は直近2年以内に生成されたデータで占められているようです。

 蓄積されるデータ量は年々増加しておりますが、データ量が大きくなることで、予兆保全はおろか、可視化を行うためだけのデータ検索処理のレイテンシも無視できなくなってきます。エッジコンピューティングには、未加工のフォーマットのデータや、サンプリングされていないデータを扱える利点もあるため、IoTゲートウェイで処理を行うことで、より高度な分析処理が行える可能性がありますが、エッジコンピューティングを行うIoTゲートウェイは、クラウドよりもハードウェア性能が低いことが多く、マイクロバッチ処理のような複雑なウィンドウ集計を行う必要が出てきた際には、高い応答性能を出すことが難しくなると思われます。

[展示ブース]
 今回、動向・技術調査を実施したなかから、LbSS研究のエッジコンピューティングと関係がありそうな技術展示物1件を、ご紹介させていただきます。

 HPE社では航空機の遠隔監視に特化したユースケースにおいて、約2900機の航空機から集められたセンサデータのうち、直近の60分間のフライトデータ(高度、軌跡、等)をリアルタイムに可視化するデモを実施しておりました。こちらのデモでは、合計レコード数として約1782万件のデータから、時系列を考慮した大量のフライトデータを検索していたようです。

 直近60分間のフライトデータを可視化する場合、高度や軌跡、その他の航空機に据え付けられた数多くのセンサを分析する必要があるため、一度の検索で対象となるデータの範囲が広くなります。また、航空機の場合、障害発生時の原因調査が厳しく行われるため、航空機の時系列データは取得間隔の短く、精度の高いデータが要求されており、データ量も大きくなるため、大量のデータに対する高頻度な検索に耐えられる仕組みが必要となります。

 IoTゲートウェイの場合、センサ側のインタフェースから入力されるセンサデータ転送量が大きく、WAN側のインタフェースから出力されるセンサデータのデータ転送量が小さい場合、IoTゲートウェイでは未処理のデータをどのように管理するか考慮しなければなりません。また、センサデータを多角的に分析する場合は、特定のセンサデータを何度も検索することになりますが、大量のデータに対する読み書き処理がIoTゲートウェイのボトルネックになることで、データ欠損、処理遅延、データの矛盾、等、様々な問題が生じてきます。エッジコンピューティングでは、ストリーミング処理を高速に行うことが求められますが、ユースケースによっては性能がシステム全体に及ぼす影響も大きくなり、ミッションクリティカルな制御システムに関してはレイテンシが許容できなくなる可能性もあります。
 今回、エッジコンピューティングにおけるストリーミング処理の技術デモの展示は、この1件だけのように見受けられました。しかし、インメモリ・時系列データベース分野の技術開発により、ストリーミング処理で大量のデータを低いレイテンシで行うことが可能になってきているため、今後のIoT Worldでは、大量データをエッジコンピューティングで扱うユースケースの技術展示が一気に増えるのではないかと感じました。
                  
[全体を通して]
 今回ファクトリーの可視化・予兆保全の技術展示が少ない印象だったのですが、現地でヒアリング調査を行ったところ、米国の工場も日本と同じような課題が見えてきておりました。米国の工場でも、産業機器に接続されているPLCの出力インタフェースが古く、PLCの分析結果を取得し、クラウドで可視化を行うことは容易ではないようです。PLC内部のロジックとしては高度な統計処理が為されているため、PLCのデータをフルに活用できれば、現場作業員による目視確認以上のデバイスマネジメントが可能になるはずです。機械やセンサの相互通信に関して標準化された技術のPLCへの導入も進んできており、スマートファクトリーに参入する壁も低くなってきていることから、米国でもファクトリー分野に関する技術展示が今後増えてくるものと思われます。

[次回開催]
 今回の技術・動向調査で得られた結果はベンチマークとしてフィードバックし、研究・開発を継続してまいりたいと思います。次回のIoT World 2018は、2018年5月14日~17日で開催が予定されております。

         技術研究組合 NMEMS技術研究機構 相見 眞男
                  

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2017年1月30日 (月)

IEEE MEMS2017への参加報告


 2017年1月22日から28日まで、米国ラスベガスで開催されたMEMS2017に参加したので、その第1報を取り纏めましたので報告します。

 MEMS2017開催期間中、参加者は704名、オーラルは86件・ポスターは261件(合計367件)で、採択率40%でした。昨年のMEMS2016と比較していずれも微増にとどまっていました。参加国数は25ヶ国ありました。採択数は米国が約100件、次いで日本が約64件、中国が約46件、韓国が約38件の順でした。

 発表分野においては、エナジーハーベスタやガスセンサに関するセッションもあり、IoT関連デバイスの最新技術動向を広く把握できる学会でした。

 参加者にの傾向は、大学や研究機関が約8割と多くを占め、他が企業からの参加でした。代表的な大学や研究機関は、わが国からは東京大学・京都大学・立命館大学・神戸大学から参加しており、海外ではベルギーのIMEC、米国のMIT・Georgia Institute of Technology School・University of California, Berkeley・Stanford University・CALTEC、ドイツのFraunhofer 、スイスのCSEM・ETHZurich、韓国のKAIST、中国のShanghai University等であった。代表的な企業は、Apple・Intel・TSMC・Robert Bosch GmbH・Hitachi・Toshiba・InvenSense, Inc.・LG Electronics・Qualcomm ・Tanaka Precious Metals・Azbil Corporation・NXP・Texas Instruments・Analog Devices, Inc.等であった。IoTセンサネットワークにおけるクラウド層から、個別センサの分野まで、広範囲に渡っていた。

 Student Awardのノミネートは14件(オーラル13件、ポスター1件)あり、3件が受賞(①3D PRINTED THREE-FLOW MICROFLUIDIC CONCENTRATION GRADIENT GENERATOR FOR CLINICAL E. COLI-ANTIBIOTIC DRUG SCREENING,E.C. Sweet, J.C.-L. Chen, I. Karakurt, A.T. Long, and L. Lin, University of California, Berkeley, USA、②64-PIXEL SOLID STATE CMOS COMPATIBLE ULTRASONIC FINGERPRINT READER,J.C. Kuo, J.T. Hoople1, M. Abdelmejeed, M. Abdel-moneum, and A. Lal Cornell University, USA and Intel Corporation, USA、③ENVIRONMENTALLY ROBUST DIFFERENTIAL RESONANT ACCELEROMETER IN A WAFER-SCALE ENCAPSULATION PROCESS,D.D. Shin, C.H. Ahn, Y. Chen, D.L. Christensen, I.B. Flader, and T.W. Kenny Stanford University, USA, InvenSense Incorporated, USA, and Apple Incorporated, USA)

 IEEE Fellowsには、Christofer Hierold,ETZ Zurich, Gwo-Bin Lee,Ntional Tsing Hua University,Olav Solgaard,Stanford University,Xin Zhang Boston Universityの4名が選ばれた。

 Bosch Awardには、Clark C,-T. Nguyen,University of California ,Berkeley, USA が選ばれた。 

 次回のMEMS2018は、BELFAST、NORTHERN IRELENDにて開催。 

MEMS2017のロゴ


 赤外線アレーセンサに関する技術動向としては、オーラル1件、ポスター1件の発表があった。いずれもサーモパイル型で、新規の画素構造により高感度化している。しかしながら、従来研究と比較して感度は同等であるため、NMEMSの赤外線アレーセンサの開発において、これらの研究が脅威になる可能性は低いと思われる。


セッションの座長を務められる年吉先生


 IoTにおけるデバイスに関して、広い範囲で質の高い発表を聴講する事ができ、非常に有意義な学会であった。また、他の研究者と交流を深める事ができ、ネットワーク作りの場としても非常に有益であった。したがって、来年度もLbSSプロジェクトとして参加すべきだと思った。 




ラスベガスの街並み

             

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2016年12月 9日 (金)

PowerMEMS2016 参加報告

 2016年12月6日から9日にわたって、パリで開催されたThe 16th International Conference on Micro and Nanotechnology for Power Generation and Energy Conversion Applications(PowerMEMS2016)に出席した。組織委員長は、Philippe Basset (Universite Paris-Est, France) と、Skandar Basrour (Grenoble Alpes Universite, France) が務め、Technical 論文委員長はEinar Halvorsen (University College of Southeast Norway) であった。会場はエッフェル塔のほぼ真下に当る好立地であり、行きは朝日に照らされた姿、帰りは日が暮れるのが早いのでイルミネーションをまとった美しい姿を見上げながら会議に通った。

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 付随した行事として5, 6日にはPowerMEMS school が開催された。大学院生を中心に30名ほどの参加者を集め、一日目は講義、二日目は実習があった。6日の夕刻に会議の登録とウェルカムレセプションがあり、7日から9日には研究発表と討議が行われた。招待講演は全員参加、一般講演は2会場のパラレル形式であった。会議の組織委員長がフランスの方であったためか、招待講演者はいずれもフランスから選ばれていた。その他、発表とデモンストレーションの両方を行うPowerMEMS in Actionという新企画があった。

159件のアブストラクト投稿があり、そのうち123件(77%)が採択された。口頭発表が40件、ポスター発表が83件である。トピックスとしては、環境発電が77%と大半を占める。採択された論文の数の国別分布は、フランス:22件、日本:20件、アメリカ:15件、イギリス:14件、中国:6件、等々である。また参加者は、おおよそ200名で内訳は、53%が欧州、19%がアメリカ、29%がアジアとなっていた。

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 発表に関して概括的な感想を述べると、利用に耐える大出力が発電できるものは掌サイズのやや大きなものであり、小型で新規な材料や原理を用いて発電するデバイスではあまり大きな出力が得られていない。この点で、我々(東京大学生産技術研究所・静岡大学・鷺宮製作所)が電力中央研究所の助けを借りながらNEDO先導研究で開発している、小型で大出力の静電型振動発電デバイスは、他に比べて著しい優位性があると感じた。圧電デバイスについては多くの発表があったが、その中では多孔質圧電膜やナノワイヤをポリマーに含浸したフレキシブルな圧電材料の発表が興味深かった。その他、振動発電デバイスから取り出した電流を、有効にコンデンサーに蓄積する電源回路に関する発表も興味深かった。以下、注目すべき講演の内容について、簡単に記す。

W3A02
First experimental demonstration of a Self-Oscillating Fluidic Heat Engine (SOFHE) with piezoelectric power generation
T. Monin, A. Tessier-Poirier, E. L´eveill´e, A. Juneau-Fecteau, T. Skotnicki, F. Formosa, S. Monfray and L G Fr´echette
一端を閉じたパイプに液を入れ、その端を熱くして液体を蒸発させて泡を作る。泡が成長し開口端の方にまで広がると、そこの部分は冷たいので泡の中の蒸気が液体に戻る。このため、泡の端部は温・冷の境を中心に、自励振動する。この振動を圧電膜デバイスに導いて、振動発電した。全長は20cmと大きなデバイスである。115~140℃で働いた。原理は面白いが発電量は小さい。これは、PowerMEMS in Actionの企画論文であり、発表の後の休み時間に、実際のデバイスで発電する様子を実演していた。

T1A03
A Frequency-Independent Vibrational Energy Harvester using Symmetrically
Charged Comb-Drive Electrodes with Heavily Doped Ion Electrets
H. Mitsuya, H. Ashizawa, K Ishibashi, H. Homma, M. Ataka, G. Hashiguchi, H. Fujita
and H. Toshiyoshi
本プロジェクトで得た研究成果を発表した。カリウムドープのシリコン酸化膜に、バイアス電圧を印加しながら熱処理してエレクトレットを形成した。帯電した櫛歯電極を、対称に配置することで可動電極への静電引力を相殺し、わずかの力で振動するようにしたデバイスを作った。インパルス状の振動など、幅広い周波数を持つ外部入力を効率よく電力に変換できることを示した。このため、定常的な周波数の振動に依存しない発電デバイスとして有効である。
次のような質疑応答があった。
「エレクトレットの帯電電圧はいくらまで上昇可能か」答:500Vまでである。
「寿命はどれだけか」答:真空中では劣化は見られない。
「周波数に依存しないというが、やはり振動特性はある周波数帯に限られるのではないか」
答:確かに無限の周波数に対応できるわけではない。インパルス状の振動など、幅広い周波数を持つ外部入力を効率よく電力に変換できるという意味で、このように呼んでいる。
その他「帯電電荷密度が一定とすると、ギャップ間に生じる電圧はギャップ長に依存する。実験で求めた帯電電圧を表記する時は、この点に留意すること」とのコメントがあった。

T2A04
Superhydrophobic surfaces’ influence on streaming current based energy harvester
Florent Fouch´e, Thomas Dargent, Yannick Coffinier, Anthony Treizebr´e, Alexis Vlandas and Vincent Senez
マイクロチャネルに水溶液などを満たすと、流路の表面が負に帯電し、液の方が正になる。100μm以下の高さの流路では、液を動かすと液とともに正電荷が動いてチャネル両端に電圧が出る。壁面を超撥水にすると、弱い圧力で液体の流れを作れるし、壁面での液のスリップがあって電荷が動きやすく、出力が向上する。銀ナノ粒子で加速したSiエッチングでナノワイヤの林を作り、超撥水の壁面とした。これを用いて、5nWがとれた。

FPA-1 招待講演
Thermal transistor with phase change materials and in the quantum regime
Karl Joulan
ギャップ間の熱放射による熱伝達の理論解析に関する講演である。近接場では熱放射が遠距離場に比べて格段に大きい。間隙長が10-8mで、熱伝達が~103倍になる。放射波だけでなくエバネッセント場が効いてくるからだ。誘電率の温度依存性が違う面を対向させ、近接場熱伝達を計算するとダイオード特性になる。しかし残念ながら、小さい整流効果しか得られない。大きい整流効果を生むためには、相変化材料を使うのがいい。たとえば、ある温度を境に誘電体⇔金属という相変化をするVO2を黒体と向い合せた構造が考えられる。また、超伝導体対黒体や、SiC対SiO2も考えられる。熱トランジスタでは、ゲートを相変化材料として、そこの温度を変化する場合には、0.1Hzまでの低周波では熱が制御できる計算結果となる。量子ドットなどの量子系での熱トランジスタや熱ダイオードも考えられる。磁場中でスピンを利用するデバイスを考えると、良い特性が得られるはずである。

F1B01
Novel thick-foam ferroelectret with engineered voids for energy harvesting applications
Z. Luo, J. Shi and S. P. Beeby
フェロエレクトレット材料に加熱時に発泡する化合物粒子をまぜ、成型する。その後、加熱すると化合物が発泡してスポンジ状になる。型の中で熱成型してから、泡を作って固める。この製法で、いろいろな形状のフェロエレクトレットができる。ある形状を作った後、コロナ帯電と接触帯電で、エレクトレット化できる。

F1B03
A paper-based electrostatic kinetic energy harvester with stacked multiple electret
films made of electrospun polymer nanofibers
Y. Lu, D. Amroun, Y. Leprince-Wang and Philippe Basset
2枚の紙を湾曲して重ね、その間にエレクトレット膜を挟み、押しつぶすと発電する。エレクトレット膜は、エレクトロスピニングした糸をランダムに重ねたポーラス体に、パリレンをつけたものである。これをコロナ帯電した。3枚入れた時が最も発電性能が良くて、45.6μW/16MΩ(30V)が出た。全波整流してコンデンサーに貯めると、450回押して0.72μJのエネルギーを蓄積できた(まだ、最適ではないので改善の余地がある。

                                 2016年12月9日

           技術研究組合NMEMS技術研究機構    藤田 博之

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2016年10月27日 (木)

IoTSWC2016参加報告

IoTSWC(正式名称、IoT Solutions World Congress)は、2015年より1年に一度、スペインのバルセロナで開催されるIIC(正式名称、Industrial Internet Consortium)主催のイベントになります。本イベントは、実運用に向けた検証プラットフォームであるテストベッドが公開される場となっており、Industrial Internet of Things(以下、インダストリアルIoT)分野の最先端技術を用いたリファレンス実装や、その先の社会実装を調査するうえで最適なイベントと考えます。今年は、2016年10月25日から27日までの3日間で来場者数が70ヶ国8000人以上となり、来場者の54%が経営幹部や上位管理職の方々となったようです。また、テレビ局の取材も多数行われる等、インダストリアルIoT分野の盛り上がりを感じさせるものでした。

1 開催地バルセロナの街並み

2 講演会場の様子


[IICに関して]

 IICは米国の通信キャリア、重工業、コンサルティング、ネットワーク機器、半導体関連の企業により2014年3月に設立され、インダストリアルIoTの社会実装の検証と、標準化団体への検証結果の引き渡しを目的とした団体として活動しております。IIC自体は標準化団体ではありませんが、2016年11月時点では各国から250以上の組織が加盟する規模となっていることから、インダストリアルIoT分野におけるデファクトスタンダード形成の場として動向を注視していく必要があると考えております。

[動向調査]

 イベントは、IICに関連するテストベッド展示、一般展示の他に、ヘルスケア、製造、輸送、インフラ、先端技術、事業改革に関する講演や、パネルディスカッションが実施されました。講演した企業、団体の国別内訳では、北米と欧州で全体の9割を占めており、IICの活動に対して積極的な参加を行う北米、欧州からの講演が目立つものとなりました。(図3)

 

3 各国の講演数(カンファレンス資料より算出)


 欧州企業の講演でも特に、ドイツの板金加工機械メーカーであるトルンプ社のスマートファクトリーのリファレンス実装のデモや、自動車部品メーカーのボッシュにおける生産性能管理プロトコルの標準化活動の紹介では、具体的な活動内容が公開されていることから、研究から運用に至るまで他社を先行しているようにも思えました。

 今回の業界動向調査では、IoTゲートウェイでのデータ転送量制御の最適化技術に関連して、センサデバイス、IoTゲートウェイ、データフォーマット、の観点から企業・団体がどのような技術を有しているのか、調査を実施して参りました。

 この中で印象に残る展示としましては、HPE(Hewlett Packard Enterprise)社、NI(National Instruments)社、PTC社(Parametric Technology Corporation)の共同提案による燃料ポンプ監視システムがありました。本デモでは、燃料ポンプに取り付けられた多数のセンサデータをNI社の制御ハードウェアが集約し、HPE社のコンバージドIoTシステム上でエッジコンピューティングにより解析することで、キャビテーションを引き起こすような深刻な燃料ポンプの異常を可視化するものでした。NI社の制御ハードウェアからHPE社のコンバージドIoTシステムにセンサデータを送信する際に帯域を圧迫しないよう、コンバージドIoTシステム上では全データから異常と判断されるデータの範囲が分析され、NI社の制御ハードウェアが次回以降の送信時に異常値のみを送信することで転送データの大幅な削減が可能となるデータ転送制御を実装している点が特徴です。

 また、コンバージドIoTシステムでは、グラフィカルなダッシュボードも具備しており、燃料ポンプを構成する各パーツにおける異常データをPCモニタ上で可視化しておりました。さらに、本デモではPTC社による拡張現実(Augmented Reality)技術を用いることにより可視化結果を現実の燃料ポンプに投影でき、オペレータは燃料ポンプの監視を行いながら修復作業を行えるようです。

 このように本イベントでは、実運用レベルのユースケース検証を複数社が共同で実施し、その結果を展示していたことも非常に興味深い点でした。

[全体的な傾向]

 IICに関連するテストベッドや参考展示のほとんどが、複数社共同でのユースケース検証を目的としたものであり、一社単独の提案だけでインダストリアルIoT分野を突き進むことが難しいことを再確認致しました。イベントを通して、センサデバイス、ゲートウェイ装置、クラウド分野の米、欧州の企業や通信キャリアが共同で、IT(Information Technology)におけるデバイスの集合とOT(Operational Technology)をどのように連携させ新たな価値を生み出すか、全体論的な話し合いが活発に行われているように感じました。

[次回開催]

 次回のIoTSWCは、2017年10月3日~5日に開催が予定されております。IoTSWCで得られるインダストリアルIoT分野の動向調査の結果をベンチマークとしてフィードバックし、今後も将来を見据えた研究を継続していきたいと思います。

             技術研究組合NMEMS技術研究機構
                    相見 眞男

 

 

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