Pj LbSS/IoT

2019年1月 4日 (金)

2018年MMC十大ニュース決まる

 マイクロマシンセンターでは、2018年の10大ニュースを選択いたしました。私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

1.インフラモニタリングプロジェクト(RIMS、UCoMS)、最終年度の開発実証試験成果が各種シンポジウム、展示会で注目
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」において、技術研究組合NMEMS技術研究機構(以下NMEMS組合)が提案した「道路インフラ状態モニタリング用センサシステムの研究開発」及び社会・産業インフラ維持管理・更新等の重要な社会課題の一つである都市機能を支えるライフライン系の都市インフラ(電気、ガス、上下水道、情報、エネルギー)の安全な保全のためのセンサーモニタリングシステムの研究開発の最終年度の実施を行いました。
 これらの成果は、国内外で開催された学会、シンポジウム、展示会等で広く発表を行い多くの関心を集めました。

2.スマートセンシング・インターフェース国際標準化案がIECで1年前倒しでNP提案が承認され審議入り
 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)/SC47F(MEMS分野分科委員会)にて、提案を行っておりました、「スマートセンサの制御方式」が、2018年、NP(New work item Proposal)承認され審議が開始されました。
 IEC国際標準化SC47E/WG1,2F合同アドホック会議において「スマートセンサの制御方式」について、IECへのNP(New work item Proposal)投票が完了し、エキスパート参加国6か国でNP承認(参加国4か国以上が必要)された旨、また、韓国・米国からそれぞれ1件ずつあげられたコメントへの対応方針を各国に説明しました。

3.MNOICの工程受託活動がPR拡大等により引き続き右肩上がりで推移
 研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとして、7年前に開設したつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」も今や中小・ベンチャーを含む40社以上からの研究や工程の受託により、フル稼働の状況にあります。さらに設備整備や技術向上に努めて、我が国のMEMS開発需要に応えてまいります。

4. MMC理事長が山西氏から山中氏に交代、MMCの新体制が始動
 2018年度はマイクロマシンセンター理事の改選期にあたり、MEMS理事会において2期4年にわたり当協議会会長(MMC理事長)を務めて頂いた山西健一郎三菱電機相談役から山中康司株式会社デンソー代表取締役副社長(MEMS協議会会長も兼ねる)に理事長が交代されました。
 新理事長には、続いて開催したMEMS協議会推進委員会において挨拶及び最近のトピックスとして1つはスマートセンシング&ネットワーク研究会(SSN研究会)に、医療MEMS研究会などのワーキンググループを設置し、新テーマ発掘に努めていること、二つ目は、設立から8年目のMNOIC事業が、2020年以降も事業の持続的拡大に向け、現場中心に着実に改善活動を進めていることを述べられました。

5. MEMS講習会、マイクロナノ先端技術交流会、海外調査報告会等セミナーが多くの技術者を集め活況
 マイクロマシンセンターでは、MEMS講習会、マイクナノ先端技術交流会、海外調査報告会を開催しており、多くの技術者の参加を頂き活発な意見交換が行われています。
 MEMS講習会は年2回開催し、そのうち1回は地方で開催しています。2018年は2月に九州で開催し、地方でのMEMS技術の普及に貢献しています。
 先端技術交流会は第2回医療MEMS研究会と兼ねて、「生体モニタリングの最前線」をテーマとして開催し、MEMS及び医療関係の技術者と意見交換が行われました。
 海外調査報告会は、MEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するものです。毎年のように北米や欧州を中心に学会等のイベント、海外の大学や研究施設、関連企業の訪問見学の報告を行っています。

6. MEMSセンシング&ネットワークシステム展2018、盛況でビジネスチャンスが拡大
 2018年 10月 17日(水) から19日(金)まで幕張メッセで開催された「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2018」は、3日間の開催期間を終え、盛況の内に閉幕しました。来場された皆様方に御礼申し上げます。

 初日は、展示会場内特設ステージでMEMS協議会フォーラムを10:00から12:30まで開催いたしました。2日目は、国際会議室で研究開発プロジェクト成果報告会を開催いたしました。最終日は、国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム及びスマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウムが10:00から16:05まで開催致しました。何れのシンポジウムも多くの聴衆が熱心に聞き入っておりました。
 会期中の様子は以下を参照ください。
 (初日)
http://www.nanomicro.biz/mems/2018/10/mems2018-be33.html
 (2日目)
http://www.nanomicro.biz/mems/2018/10/mems2018-9487.html
 (3日目)
http://www.nanomicro.biz/mems/2018/10/mems2018-fd87.html

 今回ご来場頂きました皆様に御礼申し上げます。

 次回は2020年1月29日(水)~31日(金)に、東京ビッグサイトにおいて、nano tech2020と同時開催を予定しております。
 次回もご来場頂けますよう関係者一同お待ちしております。

7. マイクロマシンサミット2018への参加や海外アフィリエート交流など、国際交流事業を活性化
 マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する場です。日本の提案により平成7年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。
 2018年は5月14日(月)から16日(水)までアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されました。南米での開催は、2014年にブラジル・サンパウロに続く2回目になります。今回のトピックスは、農業や畜産大国のアルゼンチンらしく”Agro-food & Environment. Other related applications and results from new and highly relevant R&D actions”でした。
 次回、2019年のマイクロマシンサミットは、中国・西安(Xi’an)で開催されることが決まりました。コーディネータはNorthwestern Polytechnical UniversityのWeizheng Yuan教授です。

8. LbSSプロジェクトも中間(5年のうち3年)に差し掛かり、成果が現実化
 本研究開発では、工場等の設備の稼働状況等の把握を目的とするスマートセンサモジュール、高効率MEH(Micro Energy Harvester)などの自立電源、及びスマートセンシングフロントエンド回路を開発し、動的センシング制御可能な無給電のスマートセンサ端末を実現します。さらに、同時に開発する学習型スマートコンセントレータとの連携により、従来の環境発電で収集可能な有価情報量を100倍化することを可能とする学習型スマートセンシングシステムの基盤開発と実証を行います。
 現在、学習型スマートセンシングシステムの開発として、有価情報を高めるための自立型センサ端末/学習型センシングアルゴリズムの開発、測定パラメータ可変型スマートセンサ、製造往路セス革新で小型・安価、高効率発電デバイスの開発を行っています。

9. センサ端末同期用原子時計(ULPAC)が世界最高水準の長期安定度を達成
 道路インフラモニタリングシステム(RIMS:ROAD Infrastructure Monitoring System)をはじめとするセンサ端末群は、ネットワークを介して時刻同期をすることで、データ取得の正確な時間を把握し、かつ、データ転送の効率化を図っています。もし、その時刻同期を不要とすることが出来れば、ネットワークの構築や運用にかかる負担を大幅に低減することができます。そこで、正確な時を刻む原子時計をセンサ端末に搭載可能なサイズや消費電力、価格にすることが出来るかを解析や試作を通して、長期間安定的に稼働する時計が完成しました。

10. 青柳副理事長、荒川センター長、野村総務担当部長などMMCの中興を担った方々が引退
 2018年に開催したMEMS理事会において、2003年MMC専務理事に就任し、2006年の当協議会発足に尽力した前MMC副理事長の青柳桂一氏も退任しました。
 また、マイクロマシンセンターを発展させてきた有力メンバーである荒川センター長及び野村総務担当部長が退職致しました。

成果普及部 水島 豊

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2018年10月22日 (月)

IoT Solutions World Congress 2018参加報告

 2018年10月16日‐18日にスペイン・バルセロナで開催されたIoT Solutions World Congress 2018(以下、IoTSWC)に参加してまいりましたので、ご報告します。IoTSWCは、スペイン・バルセロナで開催される欧米最大級のIoTに関するイベントで、来場エントリ数は120ヶ国から約16,250人以上となり2016年開催時の2倍となった他、一般展示ブースに加え、インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(以下、IIC)承認のテストベッド等も多数発表され、メディア等による記事数が2000を超えるなど、本イベントの注目度の高さが窺えるものとなっておりました。また、同イベント開催期間において、会場から少し離れたItalian Pavilion会場ではIoT Solutions Awardの受賞式が行われ、IICテストベッドからも多数受賞するなど、大きな盛り上がりを見せておりました。

 本イベントはIICが推進するテストベッドの展示も多数行われるため、インダストリアルIoT事業を複数社で共同して推進する社技術動向をベンチマークとして測るには非常に有益なイベントと考え、毎年の定点観測を行っております。


図 1 バルセロナの街並み

 一昨年リサーチ会社によるIoT市場予測において、2024年のIoT市場規模予測が1.6兆円から1.3兆円に下方修正されました。生産工場等の機密データや、そこで従事する個人に紐づく稼働データを収集するIoT機器においては、センサデータがクラウドに収集されるまでの経路においてデータを第三者の盗聴・改竄なしに正しく配送される必要があり、この認証情報をやり取りする経路のリソースを正しく配分するためのスケーラビリティを確保する構成にするには専門性の高いネットワーク技術者等のノウハウが必要となり、デバイス管理技術とセキュリティの両立への課題になっていると考えます。こうしたことが生産工場に存在する数千、数万といったセンサデバイスを一度に大量に、認証またはリボークする際のセッション管理やリソース確保においてネットワーク構成設定の煩雑化を招き、工場ごとにことなる構成のIoT機器の導入を難しくしております。また、ヘルスケアやウェアラブル端末からの情報収集等も考慮すると個人情報に結びつくデータを扱う可能性が非常に高いIoTゲートウェイにおいて特に欧州では個人情報の匿名化技術等も注目されつつあることから、こうした技術を発表する社もあり、IoT機器に関する技術動向調査として非常に有益な機会となりました。


図 2 会場入口周辺の様子

 一般的なIoTに対する課題には既存のIT技術を適用できますが、大量のセンサデータに対して、セキュリティやプライバシー保護のための処理を施すためにCPUリソースを大きく割くと、IoTゲートウェイが規定時間内にデータを処理するためのマイクロバッチにおいてデータの検証までを含めた高い応答性能を出すことが難しくなると考えます。

 既存解析基盤を連携させてより高度な処理を施す際に、規定した時間内で必要な応答を受け取って処理を継続するための連携手法に関してもヒアリングを実施しましたが、今後多数のセンサ端末を収容する際にセンサに対応するアルゴリズムを適用する動的な制御を行うプラットフォームを構築する場合、アルゴリズム間のインタフェースの差異によりレイテンシにも時間差がうまれ、意図した応答時間内に分析が終えられないことにより他のセンサデータの刈り取りが失敗しデータ欠損が発生するといった課題についても、膨大なセンサ群を接続するユースケースにおいて、検討が必要不可欠な事項であると考えます。


図 3 講演会場の様子


表 1 各国の講演者数(開催プログラムより算出)

 現在、産業機器から取得するデータをクラウドへ送信する際に有価情報を効率よく抽出する、超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究に従事していますが、本研究に関連が深い数社に関して抜粋し、ご報告致します。

 1社目は、I社 E技術によるデバイス・プロビジョニングの例となります。こちらは従来のPKIと同じく、1対1の秘密鍵と公開鍵を生成したうえで、当秘密鍵から複数の新たなMember秘密鍵を生成し、サードパーティ側でシグネチャを検証することでデータの改竄を検知します。サードパーティのクラウドからは署名されたデータが複数のMember秘密鍵のどの秘密鍵によるものか判別がつかない為、匿名性を保ったままで改竄検知等が行える点が特徴です。これにより例えばヘルスケアの現場ではIoT機器活用のユースケースの幅が増えると考えられます。ヘルスケアのような現場では、患者は医師に対してより正確な医療アドバイスを求める為に自己のデータをできる限り開示すると考えられますが、将来的な投薬研究や医療保険上のデータには収集の際に十分な匿名性が担保されることを望む傾向にあります。データ保護のレベルをデータの利用用途ごとに動的に変更する技術を、デバイスのユニークなIDで管理する技術はチップベンダの強みと考えます。

 2社目のH社はネットワーク構成、各設定を単一の汎用サーバのソフトウェアにより動的に変更するSoftware Defined Network(以下、SDN)技術を採用したIoTプラットフォームと、分散型対応かつリモート制御可能なIoTゲートウェイにより、エッジからクラウドまでの一元管理を実現しています。例えば製造現場の構成が変わりIoT機器の配置・数が変化するなど、IoTゲートウェイやクラウドの構成が大きく変わるリソース増減時には、各機器に対するファイアウォールや経路の設定が必要となりますが、従来は専門の知識を習得したネットワーク技術者が煩雑な設定手順を踏む必要があり管理コストが大きくなっておりました。SDNはIoTゲートウェイのネットワーク構成がモニタリング対象により動的に変化する場合も上記課題を解決し、管理コストの増加を大きく抑えることが可能になると考えます。また、H社は同時に、Kernel部分が10KB以下で省電力な動作制御が可能な超軽量OSアーキテクチャの発表を行っておりました。ウェアラブル端末は個人に紐づくデータが収集される為、ウェアラブル端末やヘルスケア現場でのコネクテッドデバイス上の動作を想定した、ARM、X86、RISC-V、Microcontrollersといった異なるアーキテクチャをサポートする超軽量OSの登場で、例えば1社目で紹介しましたI社E技術を抽象化するソフトウェアの実行環境も整えやすくなり、高度なデータ処理を要求するウェアラブル端末上等で、セキュリティやプライバシー保護に関する課題を解決できるのではと考えます。H社では、数千万台のデバイスのプラグアンドプレイや、通常よりも格段に容量が小さくIoT機器に搭載可能な超軽量OSの展示等、本展示会において積極的な展示を実施する社の一つであり、同社の車両用に特化したIoTプラットフォーム等2件でIoT Solutions Awardsを受賞していたことから、本イベントで存在感を際立たせておりました。

 3社目は、P社による顔認証が可能なIoTゲートウェイのデモです。額から顎までの大きさ、顔のライン、各パーツから、顔データの特徴を抽出することで1データを128Bytesに削減した顔データを扱っておりました。最低1000データが必要な顔認証用データも、IoTゲートウェイでデータを適切に間引き意味のあるデータ部分のみを蓄積することで、ゲートウェイ相互に顔認証で必要なデータのスムーズなやり取りを可能にし、当ゲートウェイの設定から、導入時のデータ収集、運用までを専門知識なしに導入可能な構成となっておりました。本IoTゲートウェイは社内の複数地点に設置し、社員からの顔特徴データをIoTゲートウェイ相互でやりとりし認証精度を向上させることが可能なため、ユーザ側の負担が極力抑えられるゲートウェイとなっている印象でした。ただし、例えばスペインでは、顔画像だけではなく顔特徴データも個人情報として扱いを受ける為、こうしたデータを各拠点間のIoTゲートウェイで相互にやり取りさせる場合には、データ自体やデータの所在を、匿名化または仮名化したうえでデータの改竄検証等を正しく行える仕組みも求められているのではないかと考えます。

 4社目のP社では、S社とのゲートウェイでの動体検出及び異常検知デモや、T社が推し進めるAR技術を利用した工場保守員支援システムの具体的なデモを提示しており、特定のユースケースに専用にチューニングされたエッジコンピューティングとしてシステムを開発する社のIICテストベッドを用いたパートナーシップ戦略が前年度に引き続きスムーズに進んでいる印象を受けました。

[所感]
 生産から配送までのデバイス・プロビジョニング、クラウド側のSDNを利用した一元管理等の技術を組み合わせることで、専門技術者の介在なしにデバイスが相互に認証しつながる柔軟なIoTのコネクティビティを向上させることが可能であると考えております。また、I社技術によりデータの出所を匿名化しつつ、データ自体の改竄を検出するような技術は、サードパーティ上のクラウドで匿名化技術を実装することなく、開発者の負担も軽減できることからPoCから導入までの一連のサイクルを短期間にこなす為の技術としても重要であると考えます。

 前年に引き続き、耐タンパ性を有するセキュリティチップ等を利用したセキュリティの議論が、G社、I社、M社、A社といった企業をはじめ、スペイン企業であるW社といった現地企業からも出ており、TPMを利用したデバイス管理技術のユースケースがより具体化したものとなってきた印象でした。こうした技術は改竄には効果を発揮しますが、IoTという特性上、悪意ある第三者の物理的な攻撃は全て防ぐことができるものではなく、クラウドやゲートウェイに対する意図しない制御データのIoTゲートウェイやデバイスからの侵入をどのように防御するか、多段レイヤの観点で検討していくことが、運用現場において完全性や可用性を担保するための要素であると考えます。

 今後もこうした技術動向調査で得られた知見をベンチマークに、研究開発を進めていきたいと考えております。次回の IoT Solutions World Congressは、2019年10月29日~31日に開催が予定されております。

技術研究組合 NMEMS技術研究機構 相見 眞男
            

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2018年10月18日 (木)

MEMSセンシング&ネットワーク展2018 2日目

                   本日2日目も初日同様、展示会場は、IoTに不可欠な技術分野の関心が高く、多くの来場者にあふれ活気に満ちた会場となりました。

 本日は、研究開発プロジェクトの成果報告会を国際会議室302で催し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や国から受託し、研究開発を進めているプロジェクトについて、各プロジェクトの責任者から報告が行われ、聴衆者は熱心に聞き入っていました。

 成果発表を行った講師の方々です。

                  

開会挨拶を行う長谷川専務理事
                  
                  

                  RIMSの成果発表を行う 東京大学 下山教授
                  
                  

ULPACの成果発表を行う 産総研 柳町主任研究員
                  
                  

                  UCoMSの成果発表を行う 東京大学 伊藤教授
                  
                  

アニーリングマシンの成果発表を行う 日立製作所 山岡主任研究員
                  
                  

                  LbSSの成果発表を行う 東京大学 藤田教授
                  
                  

                  LbSSの成果発表を行う 日立製作所 高浦主管研究員
                  
                  

                  SSI国際標準化の成果発表を行うMMC 中嶋担当部長
                  
                  
成果普及部 水島 豊
                  

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2018年5月18日 (金)

IoTWorld2018参加報告

 

 2018年5月15日‐17日に米国・サンタクララで開催されたInternet of Things World 2018(以下、IoT World)に参加してまいりましたので、ご報告します。
               
 IoT Worldは毎年5月に米国・サンタクララで開催されるIoTに関する米国最大級のイベントであり、今年の講演者はのべ約350人、来場者は約12000人にのぼったことから、本イベントに対する注目度の高さが窺えるものとなりました。
               
 今年は各ブースにおいて実際の現場に即したユースケースを模すデモの展示が増えており、例年コンセプト展示が多かった本イベントですが、IoTゲートウェイの活用事例がより幅広く報告される回となっておりました。また、欧米の工場には日本と同じく古いインタフェースのシステムが未だ多く残るという工業先進国特有の課題がありますが、レガシーなシステムから直結しデータを収集するだけでなく、IoTゲートウェイに多数収容される外付けのセンサからデータを収集する活用事例も多数ありました。
               
 現在、産業機器等から吸い上げたデータの有価情報を効率よく取り出しクラウドに送信する、超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究に従事しておりますが、こうした本イベントの調査内容からいくつか抜粋してご報告します。
                  
                  
                  


図1 マウンテンビューの街並み
                  


 本イベントは、本年度もサンタクララ・コンベンションセンターで実施されました。サンタクララからサンフランシスコ方面にかけては世界有数のIT企業がオフィスを構えており、会場へ向かう途中にこれら企業のオフィスが点在し拠点を構える光景が目に入るのが印象的です。このような米IT企業から、経営者だけではなく、多くの研究者やエンジニアが講演者や出展者として参加するため、直にIoT先端技術における市場動向や課題点をヒアリングできる点も本イベントの特徴で、インダストリアル・インターネット・コンソーシアムが主導するテストベッドのような形での複数社共同による技術展示はあまり見られなかったものの、米国やその他の国々でのユースケースに関する調査をするには最適なイベントとなっておりました。
                  
                  
                  


図 2 会場周辺の様子
                  


 講演では膨大なセンサ群を管理・制御するための仕組みとしてIoTプラットフォームに言及する企業が多く、なかでもセンサ端末やゲートウェイのスケーラビリティやセキュリティに関しての課題が挙がっておりました。
                  
 単独センサとしてデータを即時に取得可能な端末と、そのデータを簡易的に可視化する画面で構成されるシステムの数は年々増えてきております。こうしたセンサ群から得た複数のデータを突き合わせて知見を得ようとした場合はデータを蓄積しアルゴリズムを適用するためのインタフェースが必要となりますが、これには一般的な方法として、DBに蓄積しバッチ処理としてセンサデータのクレンジングと呼ばれる前加工の処理や、分析を行う方法と、データをバッファしマイクロバッチ処理として処理する方法が考えられます。
                  
 本イベントでは有力なクラウドベンダによるリソース管理に関する講演もありましたが、膨大なセンサ群をクラウド側で管理することでスケーラビリティが担保できるものの、マイクロバッチ処理を行った際にセンサをきめ細かく制御するようなリアルタイムに近いレイテンシでの応答速度を出すことが難しいといった課題も存在します。
                  
 ただし、マイクロバッチ処理は1つのセンサデータが処理を行うために割り当てられる時間を制約条件として正しく規定し、時間内に応答を正しく返せない場合の扱いを正しく設計しないと後続するデータが渋滞しデータ欠損が発生するなど、システム全体のボトルネックともなりかねません。データ欠損を起こさせないため、センサデータに対する非同期的または並列的な処理の技術を活用する場合、各センサデータの時系列データを正しく突き合わせるためのアルゴリズムの設計が非常に複雑になりがちです。
                  
 マイクロバッチ処理の分析でできるだけ多くの間引けるデータを導き出すことで、有益なデータのみを集中的に大量に取得することが可能になると考えておりますが、マイクロバッチ処理によるレイテンシの優位性を確保しつつ、リソース管理にもスケーラビリティを持たせることが、膨大なセンサ群を扱うための鍵になると考えます。
                  
                  
                  


図 3 講演会場の様子
                  


                  
                  


図 4 各国の講演数(カンファレンス資料より算出)
                  


 今回行った技術動向調査のうち技術展示2件をご紹介します。
                  
 1件目は、A社の数百km以内の航空機からのストリーミングデータをリアルタイムにキャプチャし高速処理するIoT実機デモとなります。市販のADS-B受信アンテナと専用のハードウェアデコーダを利用し、高頻度でRawデータを受信し、市販のシングルボードコンピュータでデータ変換を行うバッチ処理を施した後、A社DBに転送し、インターネットから取得可能な航空データと地理空間情報を突き合わせ、航空機の飛行速度、ルート、距離を算出することで、多数の航空機のリアルタイムの可視化を行うようです。本例はあくまでデータベース用のコンセンプトデモということでしたので、ADS-B受信アンテナが大量に航空データを受信した場合にシングルボードコンピュータでのデータ前加工処理にどれだけの負荷が掛かるかには言及されておりませんが、多数の飛行機から受信される膨大なセンサデータを扱うためには、シングルボードコンピュータの処理能力を最大限に引き出し、許容されるレイテンシのなかで適切にデータを間引くことができる加工処理を行うことが重要になってくると思われます。
                  
 2件目は、B社によるIoT機器への不正なファームウェア更新の防止デモとなります。Common Criteriaにおいてランク付けされるセキュリティ要件のうち、改ざん防止対策としてのセキュリティ実装を要件定義・設計段階から計画できるような高い基準を満たすSDKを実装しております。実行メモリ展開時にのみ復元されるセキュアイメージのブートや、ファームウェアおよび組込みデータのIoT機器導入後の改ざんを防止しているのが特徴で、特に、IoT機器での装置開閉といった物理的なアクセスが可能なことによる短期間での攻撃試行回数を容易に増加させる攻撃に対して、データを耐タンパ領域に保護すること攻撃の根本を絶っている点が特徴です。
                  
 サイバー攻撃に関して既知の脆弱性の対策をとることは不可欠ですが、IP層での遮断だけでなく物理的レイヤやアプリケーションのレイヤまで一貫して多段的に防御可能なアーキテクチャを検討していかなければなりません。特に、IoT機器やPLC等の装置と双方向性を有するアーキテクチャの場合、脆弱な機器がサイバー攻撃の侵入経路となる可能性が非常に高いため、IoTゲートウェイのアプリケーションの不具合を悪用されて行われる、IPレベルでは遮断不可能なアプリケーションレイヤでの攻撃、を防ぐための仕組みを検討していかなければならないと考えております。
                  
 本イベントでは、収容可能なセンサの数が年々増加するなかで担保しなければならないセキュリティやリソース管理のための技術的課題が健在化しているように感じました。
                  
 また、細かな測定ルールや周辺環境の条件が変化した場合に、迅速なカスタマイズ、またはカスタマイズなしにIoTゲートウェイを即時適用するためには、IoTゲートウェイとセンサ端末のプラットフォームを構築するほかにIoTゲートウェイそのものを管理するための統合的なダッシュボードも迅速に提供しなければなりません。熟練工によらず現場監視を的確に行うためには、現場で起きる異常をユーザが異常として把握できる必要がありますが、IoTゲートウェイを扱う現場作業者が異常に対して原因と事象の関係性をうまく把握できるよう、蓄積されたデータ群を適切かつ迅速にドリルダウンできるダッシュボードを構成するための技術も検討されなければならないと考えます。
                  
 今後もこうした技術動向調査で得られた知見をベンチマークに、研究開発を進めていきたいと考えております。次回のIoT Worldは、2019年5月13日~16日に開催が予定されております。
                  
                  
                  

技術研究組合 NMEMS技術研究機構 相見 眞男
                  

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2018年1月10日 (水)

IoTSWC2017参加報告

 昨年10月3日から5日にかけてIoT Solutions World Congress 2017(以下、IoTSWC2017)に参加してまいりましたので、そちらのご報告を致します。IoTSWCは、毎年10月にスペイン・バルセロナで開催されるインダストリアルIoT(以下、IIoT)に関するイベントとなります。本イベントにはインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(以下、IIC)が関わっており、IIoTに関するリファレンス実装等が多数のテストベッド(複数社による実運用レベルに近いユースケース検証)として報告されることから、IIoTに関する様々な仕様のデファクトスタンダード形成の場として注視しております。
                  
 現在、産業機器等から吸い上げたデータの有価情報を効率よく取り出しクラウドに送信する、超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究に従事しておりますが、本研究の先端技術調査として前年度にも本イベントに参加した際には、テストベッドを有する先端企業からIIoTに関する多くのヒアリングを実施でき大変有益な機会となった為、今年度も技術動向の定点的な調査を実施して参りました。
                  
                  


図 1 バルセロナの街並み
                  


[概要]
 本年度は、来場者数は114ヶ国240社から約13000人(72%が経営幹部・上位管理職)となり、会場も昨年度比1.7倍の規模で実施されました。会場ではIoTプラットフォームに関するコンセプト展示だけでなく、農業、トランスポート、そしてインダストリ分野から、Siemens社、Intel社による油入装置監視、Analog Devices社による果樹園霜被害予兆監視等、具体的なユースケース展示が多く見受けられ、特にテストベッドの約7割がインダストリ分野からの出展となるなど、IIoT分野の盛り上がりを見せておりました。
                
                  
                  


図 2 展示会場の様子
                 


                  
                  


図 3 各国の講演数(カンファレンス資料より算出)

 

 また、今年はEdgeX Foundryのようなコンソーシアムの動きも目立っており、エッジコンピューティングに関する実装例もございました。EdgeX Foundryに参画する企業によるEdgeXゲートウェイの活用例としてのデモ展示は、OPTO社のブースで風車タービンの遠隔監視デモとしてエッジ側ゲートウェイにEdgeXゲートウェイを採用する例がありました。OPTO社の場合、サーバから、WANインタフェースとなるgroov Boxを介しFAN側コントローラであるOpto 22 SNAP PACsまでの一連のデータ送受信の環境を提供できることからシステムとしては自前で完成しておりましたが、Opto 22 SNAP PACsでは吸収しきれない将来的なプロトコル等に関して相互運用性を向上させる為に、EdgeXゲートウェイを一段仲介させることでエッジ側の抽象化を実現しておりました。クラウドにおけるUIダッシュボードからのビジネスロジックを解釈し異なる装置に対して、PLCコマンドのような制御コマンドを投入するにはエッジを抽象化するインタフェースの役割が明確にする必要がありますが、従来は管理対象ごとに作りこみを行っていたダッシュボードが発行するAPIからFAN側への制御コマンドを変換するアダプタにおいてコネクティビティを持たせる為にEdgeX Foundryが行うエッジインタフェースの標準化の取り組みは、今後きわめて重要な活動になっていくのではないかと感じております。このため、こうしたコンソーシアムの動向にも注目していきたいと思います。

 反面、相互接続性を上げていくことで古い装置に対する接続性が増し、セキュリティホールを有する古い装置を入口とした他の装置への攻撃のリスクを上げてしまうことにもなりかねません。また、ゲートウェイ側で抽象化する部分がオープンソースであることを利用しソースコードから脆弱性を類推するなどといった、プロプライエタリではないことに起因するセキュリティの脅威に対しても、相互接続性を担保しながら対策していくことが今後の課題となりそうです。
                  
                  


図 4 講演会場の様子


[講演]
 講演企業の中にはIoTプロジェクトの75%程度において期待通りの価値を提供しきれていないと感じている社もありました。これは、データ収集からデータモデル構築、そして分析を行うアルゴリズムのデプロイを行う一連のサイクルの中で、広域に据え付けられる数千単位でのデバイス・ゲートウェイに対するデプロイに、概念検証の段階では見えない課題が多数あり、実運用の段階でデータ収集力に直結するスケーラビリティに制限が課せられるケースがある為です。これまで工場の単一ラインでは、データ収集から知見獲得までをオートメーション化してきましたが、IIoTはこれに加えて、広範囲のデバイスやゲートウェイに対してセキュリティパッチや特定の状況下に適する分析アルゴリズムをあまねく導入後に継続適用していくことで全体最適を行っていく必要があります。
                  
[展示ブース]
 今回、技術動向調査を行ったなかから、LbSS研究に関係がありそうな技術展示2件、ご紹介させて頂きます。
                  
 1件目は、Intel社、BOSCH社による大気モニタリングに関する共同展示になります。ダスト排出量モニタリングによる、建設現場における大気汚染防止に関する法令の遵守度を測定する環境基準トラッキングとそれに応じた建設リソーススケジューリングが特徴です。また、CO検知センサにより、例えば無煙の熱分解等を分析することで火災報知器が検知しない火災の予兆検知にも適用可能と思われます。大気モニタリングといった汎用的な技術をビルの建築・設備運用における各フェーズのユースケースに適用することで、ビルのライフサイクルの初期からシステムを提案・導入できるメリットがある為、他社と比較し競争力のあるモニタリングシステムだと感じました。尚、建設中は本システムが屋外設置となる為、デプロイを正しく機能させることで中継器の不具合によるアップデート未実施を回避しサイバー攻撃による踏み台対策を行うだけでなく、装置そのものを盗難され物理的なメモリアクセスを介して行われるリバースエンジニアリングにも対処しなければならないと思われます。
                  
 2件目ですが、昨年度に引き続き、HPE社、NI社、およびPTC社が提供する予兆保全プラットフォームが展示されておりました。既に前年度の調査で燃料ポンプに対するキャビテーション検知を行うFlowserve社の適用例として本プラットフォームのことは把握しておりましたが、本年度はDeloitte社による振動アノーマリ検知による装置故障の予兆保全にも適用されるなど、本システムが汎用的なIoTプラットフォームとして提供可能なことが示され興味深く感じました。本予兆保全プラットフォームは、NI社の制御ハードウェアからHPE社のコンバージドIoTシステムにセンサデータを送信する際に帯域を圧迫しないよう、コンバージドIoTシステム上では全データから異常と判断されるデータの範囲が分析し、NI社の制御ハードウェアが次回以降の送信時に異常値のみを送信することで転送データの大幅な削減が可能となるデータ転送制御を実装している点が特徴です。実際には、予兆保全は10秒に1回のような頻度の閾値検知で事足りると思われますが、工場のラインではリアルタイム監視による画像データでの製品判定も行うことがあり、こうしたユースケース等ではセンサのデータ転送量が課題となることから本プラットフォームが適用される場面も多そうです。
                  
 今回、会場で見られた展示では特定のユースケースに特化したプラットフォームが多く、大量のセンサ端末やゲートウェイに対してスケーラビリティを考慮しないシステムはユースケースが個別最適になりがちでした。スケーラビリティを考慮することでゲートウェイ間での接続性も増し、従来システムとは違ったIoTプラットフォーム独自のメリットを享受できると思われます。
                  
[所感]
 日本・欧米等の産業先進国では独自の古いインタフェースを持つPLCを有する工場が未だ多いなか、こうしたインタフェースを扱う為の属人的な手順・ノウハウに頼る部分に対して汎用的なIoTプラットフォームを適用するには多くの課題が残っていると感じています。欧州における本会場でも適切な専門知識やOT知見を有する技術者の不足が聞かれており、スケーラビリティやコネクティビティを向上させることで、本来の高度な技能が必要とされる知見以外でシステムが属人化しない工夫が必要です。こうした点を踏まえたうえで、より高度な解析を行うIoTプラットフォームを構築するには、概念検証の期間にデータモデルの構築に注力する必要があり、データを即日といった短期間で収集開始できるよう、下回りはビルトインのフィルタや既製のプラットフォーム・ダッシュボードを利用するのが望ましいと考えます。
                  
[次回開催]
 今回の技術動向調査で得られた結果はベンチマークとしてフィードバックし、研究開発を継続してまいりたいと思います。次回のIoT Solutions World Congress 2018は、2018年10月16日~18日に開催が予定されております。
                  
                  

           技術研究組合 NMEMS技術研究機構 相見 眞男

                  

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2018年1月 5日 (金)

「新年のご挨拶」

新年あけましておめでとうございます。

 本年はSociety5.0の実現を世界に打ち出していくための新たな産業・社会の在り方として、「コネクテッド・インダストリーズ」に大きな注目が集るとされています。特に、製造現場、自動走行、健康・医療・介護等の現実の「リアルデータ」を巡る競争が激しくなると予想されていますが、その「リアルデータ」を収集する最前線にMEMSを中心とする多様なセンサが位置しています。従いまして、ナノ・マイクロ技術分野における研究開発や普及促進等を長年担ってきた私どもマイクロマシンセンターの責任はさらに重くなっていくものと考えております。

 仏のヨール社によれば、世界のMEMS市場は消費者用や自動車用がけん引し、2017年の132億ドルから2022年には254億ドルと年率14%で伸びるとされています。MEMSデバイスとしては、スマホの4G/5G 化の進展によりMEMSフィルタの伸びが大きく、従来からの慣性センサ、圧力センサ、ジャイロなどを凌駕していくと見られます。

 このような中、当センターでは2000年代に注力したMEMS技術そのものの研究開発から、2010年代にはセンサネットワーク技術にシフトし、現在は道路やライフラインのインフラモニタリングに加えて、ファクトリやプラントのスマートセンシングの研究開発に注力しています。そして、昨年は経産省・NEDOがコネクテッド・インダストリーズの重点分野として推しているロボティクスや自動走行の鍵となるAI融合高精度物体認識システムの研究開発に着手しました。

 また、それらの研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとして、7年前に開設したつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」も今や中小・ベンチャーを含む40社以上からの研究や工程の受託により、フル稼働の状況にあります。さらに設備整備や技術向上に努めて、我が国のMEMS開発需要に応えてまいります。

 そして、上述の成果などを公開する場として、昨年、MEMSセンシング&ネットワークシステム展を刷新して、初めてCEATECと同時開催とし、5万人を超える来場者の方々にお出でいただくことができました。本年はさらにCEATECやAll about Photonics展とのシナジー効果を高め、IoTシステム、さらにはコネクテッド・インダストリーズの最先端技術展としてのプレゼンスを高めてまいります。

 当センターとしましては、本年もMEMS・スマートセンシング技術の開発や普及に真摯に取り組み、我が国のコネクテッド・インダストリーズの推進に微力ながらも貢献してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。

 皆様方には以下の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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2017年11月25日 (土)

INDTCE2017参加報告

 インフラモニタリングセンサ用エナジーハーベスタ調査の一環として、2017年11月21日(火曜日)〜23日(木曜日)にかけて、アメリカハワイのカウアイ島で開催された、Innovative Non-Destructive Testing for Civil Engineers(INDTCE2017)に参加してまいりました。また、それとともに2017年11月20日(月曜日)にハワイ大学(オアフ島)にも訪問して来ましたので報告します。

 まず、INDTCE2017については、今回初めて開催された国際学会であり、本プロジェクトのメンバーでもある京都大学の塩谷智基教授(写真1)がチェアとして中心となって立ち上げられ開催されました。また、初開催にもかかわらず、日本をはじめ、アメリカや韓国などの大学、企業の関係者も参加し、多くの発表、意見交換がされました。特に従来の国際学会と大きく異なり、土木系とともに、我々のようなエナジーハーベスティング、物理センシングを研究している電気系、物理系なども一堂に会しており、従来では難しかったそれぞれ最新の情報交換をする場が設けられました。それによって、ある分野では常識的なことが、別の分野では新鮮であったりして、非常に有意義な試みであったと感じました。


写真1 京都大学の塩谷智基教授(チェア)

 初日、最初のキーノートスピーチは、「Development of AE and Visualized NDE for Maintenance of Concrete Structures」と題して、現在京都大学にいらっしゃる大津政康教授(写真2)によるものでした。内容は、コンクリート構造物は、従来ではメンテナンスフリーと一般的に考えられて来ていましたが、その頃から大津教授らは人体の健康診断と同様に、コンクリート構造物にも診断が必要だと考え、AE法(Acoustic Emission Method)をはじめとした、非破壊検査法の確立など様々な活動をして来られた、というもので、ご講演の中ではそれらの一つ一つを丁寧にご説明されていました。それゆえ、我々のような分野が異なる研究者にとっても、その歴史を垣間見ることができる素晴らしい内容であったと同時に、大津教授らのこの分野における貢献度に感服しました。


写真2 キーノートスピーチの大津政康教授

 その後、午前中のひとつのセッションとして、私たちの取り組みであるインフラモニタリング用のエナジーハーベスティング技術、歪みを計測する新たな物理の創出、またそれらの商品化、製品化に向けた取り組みに関して、合計3件の発表を行いました。その中で、自分はNEDOのエネルギー・環境新技術先導プログラム/トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動発電デバイスの研究として取り組み、その後、RIMS用の振動発電デバイスとして開発している、橋梁モニタリング用のMEMSエナジーハーベスタを中心に発表をしました。内容は、実際に高速道路の橋梁で振動計測をした結果や、その結果をもとにしたエナジーハーベスタの設計コンセプト、実際に製作した高効率MEMS振動発電デバイスの実験結果、デモンストレーション動画等を紹介しました。本先導研究では、学会チェアでもある塩谷教授のグループと連携して行っていたテーマでもあり、その連携による効果などを塩谷教授が土木系の方々に補足でご説明してくれた(写真3)こともあり、期待以上に成果を訴求できたと思います。また、このセッション自体も非常に盛り上がり、セッション終了後には早速、こんなことはできないか、こんなところで使えないか、など具体的な質問、意見交換を活発に行うことができました。


写真3 エナジーハーベスタの発表(三屋、塩谷教授の補足)

 2日間に渡った会議も、終始活発に同分野、異分野の垣根なく意見交換、情報交換(写真4)ができ、非常に有意義な経験になりました。また、今後実際に何件かの新たな取り組みにつながりそうな話もあり、このような機会がさらに増えると面白いのではないかと個人的には思いました。


写真4 異分野の情報・意見交換の様子

 次に、INDTCE2017に先立って訪問したハワイ大学についてご報告します。ハワイ大学マノア校は州立大学であり、土地がら海洋学、火山学、天文学などの研究が活発に行われています。今回はハワイ大学のCosmochemistry研究所(写真5)で、特に隕石などに含まれるイオンなどの分析をご専門にされているNagashimaマネージャーを訪ね(写真6)、校内、研究設備等を見学させていただいた後、実際に、イオンの分析を見せていだだきながら、我々のイオン分析手法などについて意見交換を行ってまいりました。


写真5  Cosmochemistry研究所


写真6 三屋(左)、小野さん(中)、Nagashimaマネージャー(右)

 同研究所では、世界でも数台しかない高感度2次元イオン検出による結像型SIMS(Secondary Ion-microprobe Mass Spectrometer、日本では2次イオン質量分析計)を保有しており(写真7)、その分解能はppb(parts per billion 、十億分の1)と非常に高いとのことです。また、本質量分析計の電圧や磁場は、光学顕微鏡におけるレンズの役割を担っており、細く絞ったイオンビームを試料に当ててイオン化し、その2次イオンを「レンズ」によって元の位置情報を保ったまま質量分析計の検出器へ導くことができるとのことです。また、その検出器は、独自に設計・開発したイオン撮像器で、1個~100万個の入射イオンの個数を計測出来る素子が並べられており、2次元イメージングが可能とのことでした。これにより、隕石などを分析する宇宙科学・地球科学分野において、多くの世界最先端の科学成果をあげられているとのことでした。

 
写真7 高感度2次元イオン検出による結像型SIMS

 我々が研究しているエレクトレットも、絶縁物中にイオンを含有することで形成されておりますが、その2次元分布は観察できなかったため、どのよう分布なのかわかっておりませんでした。しかしながら、条件次第ではあるが、この装置を使用すればわかるかもしれないとのことでしたので、具体的に検討していこうということになり、非常に有意義な意見交換となりました。

 今回は、(学会の分野違いと同様に、)隕石のイオン分析という、一見異分野のように感じますが、対象物が半導体と隕石と違うだけで分析方法はまさに我々と同じようなものでした。それにもかかわらず、半導体業界では知られていないが故にできないと思っていたことを、隕石の分析業界ではいとも簡単に観察されていることに非常に驚いたのと同時に、このような異分野にも目を向ける重要性を改めて実感しました。

 また、ハワイという常夏の地に冬の日本から訪れ、異分野との交流をする、という非常に非日常な体験でした。しかしながら、その中で従来の延長ではない、新たな引き出しを見つけることができ、非常に有意義であるとともに、このような交流をすることの重要性を、身をもって実感いたしました。今後も是非積極的にこのような活動をしていきたいと思います。

2017年11月25日
技術研究組合NMEMS技術研究機構 三屋裕幸

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2017年10月 6日 (金)

「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」最終日(3日)を迎える


                  
                  

                  

                  
   盛況開催中の「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」は本日、最終日3日目を迎えました。
   昨日2日目も初日同様、展示会場は、IoTに不可欠な技術分野ということで来場者からも関心が高く、例年にも増して多くの来場者にあふれた活気に満ちた会場風景となりました。
                  
   本日は、国際マイクロマシン・ナノシンポジウムを開催いたします。
                  
                  

                  

 最終日もよろしくお願い致します。
                  
  昨日開催した研究開発プロジェクト成果報告会では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や国から受託し、研究開発を進めているプロジェクトについて、各プロジェクトの責任者から報告がなされ、聴衆者が熱心に聞き入っていました。
                  
                  
                  


                  司会・進行を行う長谷川専務理事
                  
                  

                  特別講演を行う 経済産業省 徳増伸二参事官
                  
                  

                  LbSSの成果発表を行う 東大 藤田教授
                  
                  

                  RIMSの成果発表を行う 東大 下山教授
                  
                  

                  ULPACの成果発表を行う 産総研 柳町主任研究員
                  
                  

                  UCoMSの成果発表を行う 東大 伊藤教授
                  
                  

                  AIRsの研究開発を発表する 東大 下山教授
                  
                  

                  講評を行う NEDO 弓取ロボット・AI部長
                  

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2017年10月 5日 (木)

「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」2日目を迎える

                  

   開催中の「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」の1日目の様子をお知らせします。まず、展示会場ですが、IoTに不可欠な技術分野ということで来場者からも関心が高く、CEATECからの来場者も多く活気に満ちた会場風景となりました。

   本日は、研究開発プロジェクト成果報告会を開催します。プログラムは、以下のとおりです。本日もご来場をお待ちしております。

                  

                  

   昨日開催しましたMEMS協議会フォーラムには、多くの参加者があり盛況の内に終了しました。                   

                  
                  開会挨拶 MMC青柳副理事長
                  
                  
                  MMC調査研究・標準部長 大中道崇浩
                  
                  
                  MNOIC開発センター長 荒川雅夫
                  
                  
                  会場風景
                  
                  
                  立命館大学理工学部 教授 小西 聡
                  
                  
                  MMC産業交流部長 今本浩史

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2017年8月 9日 (水)

MEMSセンシング&ネットワークシステム展の開催準備進む(10月4日-6日)

 MEMS関連の技術・製品・アプリケーションを一堂に展示する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2017」の開催準備が進んでいます。
                 
  名称:MEMSセンシング&ネットワークシステム展2017
          -IoTシステムの最先端技術展-
  会期:2017年10月4日(水)~6日(金)
  会場:幕張メッセ 国際展示場ホール7、国際会議場会議室302
  同時開催:InterOpto/LaserTech/BioOpto Japan/LEDJAPAN/
       CEATEC JAPAN 2017
               URL:http://www.mems-sensing-network.com/
                 
  開催内容を順次ご紹介しますが、今回は「研究開発プロジェクト成果報告会」のプログラムをお伝えします。
                 
  名称:研究開発プロジェクト成果報告会
  開催日時:2017年10月5日(木)10:30-16:10(昼休み1時間を含む)
  趣旨:工場の操業状況や道路インフラ構造の健全性などを確認するために、センサをいたるところに配置し、無線ネットワークで測定データを集めるIoT(Internet of Things)が注目されています。本セミナーでは、NEDOや国から受託し、研究開発を進めているプロジェクトについて報告します。
                                                                                                                                           

オープニング  発表者
10:35-
       11:15
特別講演
                        (仮)”Connected Industries”に向けた我が国製造業の課題と取組
経済産業省
         参事官
     徳増 伸二
第一部  
11:15-
       12:15
超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステム(LbSS:Learning based Smart Sensing                        System)の研究開発東京大学教        藤田 博之
12:15-
    13:15
昼休み 
第二部  
13:15-
    14:15
道路インフラの統合的な常時監視を実現するモニタリングシステムの研究開発成果発表東京大学教授
      下山 勲
14:15-
    14:45
センサ端末同期用原子時計(ULPAC:Ultra-Low Power Atomic Clock)の研究開発成果発表 産総研
     柳町 真也
14:45-
    15:00
休憩  
第三部  
15:00-
    15:50
ライフラインコアモニタリングシステムの研究開発成果発表東京大学教授
     伊藤 寿浩
第四部  
15:50-
   16:10
空間移動時のAI融合高精度物体認識システムの研究開発東京大学教授
      下山 勲
                  


  成果については展示会場ブースにおいても展示・説明を行っておりますので、是非お立ち寄りください。
                                <成果普及部 水島 豊>

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