Pj RIMS研究開発

2018年11月28日 (水)

道路インフラの新たなモニタリングイメージを披露
  ~ ハイウェイテクノフェア2018へ出展 ~

 5か年計画で進めてきたRIMSプロジェクトですが、いよいよ最終年度を迎えたこともあり、東京ビックサイトで開催されたハイウェイテクノフェア2018(11/28~11/29)において、これまで開発した4種類のセンサによって実現される新たなモニタリングイメージのデモ展示を行いました(表1 新たなモニタリングイメージとデモの一覧)。具体的な活用シーンを来場者に思い描いていただけるように、ぞれぞれのデモでは1/25スケールの道路インフラの模型に実際のセンサを組み込み、リアルタイムで結果を表示するといった形態をとりました。その甲斐あってか、NEXCO中日本の宮池社長をはじめとして多くの皆様にご見学いただいた他、具体的な引き合いにも繋がるなどの成果を残すことができました。

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 ハイウェイテクノフェア2018は、2日間で23,000名を超える来場者があり、活気に満ちた展示会でした。来場者の多くは、RIMSビジネスのステークホルダーであり、その皆様と意見交換できたことは非常に有意義でありました(写真1 NMEMS技術研究機構の出展ブースの様子)。

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 展示会を通して、RIMSプロジェクトの必要性に関して多くの賛同を得て、その方向性は世の中の動向と合致していることが再確認できました。このことを糧に、プロジェクト一同責任をもって社会実装に邁進したいと思います。

           (技術研究組合NMEMS技術研究機構 中嶋 正臣)

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2018年10月30日 (火)

Future Technologies from Sapporoで14件の発表を実施

 センサ・マイクロマシン分野における日本最大のシンポジウムであるFuture Technologies from Sapporoが2018年10月30日(火)~11月1日(木)に開催されました。
 Future Technologies from Sapporoは、電気学会、応用物理学会、日本機械学会、化学とマイクロ・ナノシステム学会がそれぞれ主催し、相互参加可能な複数のシンポジウムや研究会から構成され、学・協会を超えた討議の場となっています。更に今回は、NEDO インフラ維持管理技術シンポジウムも同時開催されたことから、900名を超える参加者での活気に満ちたイベントとなりました。
 なお、先のブログにある第35回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウムは、電気学会が主催したシンポジウムとなっています。

 マイクロマシンセンター(MMC)及び技術開発プロジェクトであるRIMS(Road Infrastructure Monitoring System)とUCoMS(Utility Infrastructure Core Monitoring System)からは、基調講演やレビューを含め表1に示す14件の発表を行いました。

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 基調講演では、予防保全を前提としたインフラの定量的な診断手法が話題となり、RIMSでの振動センシングアプローチの成果、特に橋梁床版での内部損傷の診断を中心として講演が展開されました。
 レビューでは、Society 5.0を実現するためには、複数のセンサの統合化・小型化や、触覚をはじめとした新たなセンサの開発などやることがたくさんあり、MEMS技術が今後益々重要になることが述べられました。

 シンポジウム全体を通しては、IoTの進展に伴ってか、研究にとどまらず、サービスのデザインまで一気通貫でといった大きな流れがあったように感じました。そういった流れの中で、実用化が近い我々の技術を実フィールドでの実証結果を含めて提示することで、多くの参加者の記憶に残る成果のPRができたのではないかと捉えています。また、電気、物理、機械、化学といったさまざまなバックボーンを有する研究者との討議(写真1)は非常に有意義でありました。
 発表した新規開発センサやモニタリングシステムの会場での評価は良好でした。このことを踏まえ、社会実装に向けた取り組みを加速します。

1a_5           (技術研究組合NMEMS技術研究機構 中嶋 正臣)

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2018年10月19日 (金)

MEMSセンシング&ネットワーク展2018 盛況の内に閉幕

                  

                   2018年10月17日(水)から19日(金)まで、幕張メッセで開催した「MEMSセンシング&ネットワーク展2018」は、3日間の開催を終え盛況の内に閉幕しました。来場された皆様方には御礼申し上げます。

 最終日は、マイクロマシンセンター主催特別シンポジウムを開催致しました。
 以下は、シンポジウムでご講演頂いた講師の方々です。

【セッション1】
・開会挨拶

                  

経済産業省 産業技術環境局 松本 真太郎 室長
                  

・スマート社会と空間情報

                  

東京大学 芝崎 亮介 教授
                  

・人工知能技術運用によるスマート社会の実現(空間の移動分野)の目指す姿

                  

産総研 小島 功 イノベーションコーディネータ
                  

・地理空間情報プラットフォームの構築と空間移動のスマート化

                  

産総研 中村 亮介 研究チーム長
                  

・空間移動におけるAI融合高精度物体認識システム

                  

東京大学 高畑 智之 講師
                  

・社会レベルの行動モデリング・シミュレーションの研究開発

                  

産総研 大西 正輝 研究チーム長
                  

・物流サービスの労働環境と付加価値提供のためのサービス工学×AIの研究開発

                  

産総研 大隈 隆史 研究グループ長
                  

・AI活用により安全性向上を目指したスマートモビリティ技術の開発

                  

産総研 阪野 貴彦 研究チーム長
                  

・本テーマへの期待

                  

NEDO 小川 泰嗣 プロジェクトマネージャー
                  

【セッション2】
・開会挨拶

                  

理事長 山中 康司
                  

・ナノ機能を駆使した未踏微笑シグナルセンシング技術への挑戦

                  

東京大学  下山 勲 教授
                  

・グローバルIoT時代におけるセキュアかつ高度な生体医工学拠点のの形成に向けて

                  

東京電機大 桑名 健太 准教授
                  

・東芝のスマートセンシング技術

                  

東芝 黒部 篤 首席技監
                  
                  

 今回ご来場頂きました皆様に御礼申し上げます。
                   また来年もご来場頂けますよう関係者一同お待ちしております。

                  
                  
                  
成果普及部 水島 豊
                  

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2018年10月18日 (木)

MEMSセンシング&ネットワーク展2018 2日目

                   本日2日目も初日同様、展示会場は、IoTに不可欠な技術分野の関心が高く、多くの来場者にあふれ活気に満ちた会場となりました。

 本日は、研究開発プロジェクトの成果報告会を国際会議室302で催し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や国から受託し、研究開発を進めているプロジェクトについて、各プロジェクトの責任者から報告が行われ、聴衆者は熱心に聞き入っていました。

 成果発表を行った講師の方々です。

                  

開会挨拶を行う長谷川専務理事
                  
                  

                  RIMSの成果発表を行う 東京大学 下山教授
                  
                  

ULPACの成果発表を行う 産総研 柳町主任研究員
                  
                  

                  UCoMSの成果発表を行う 東京大学 伊藤教授
                  
                  

アニーリングマシンの成果発表を行う 日立製作所 山岡主任研究員
                  
                  

                  LbSSの成果発表を行う 東京大学 藤田教授
                  
                  

                  LbSSの成果発表を行う 日立製作所 高浦主管研究員
                  
                  

                  SSI国際標準化の成果発表を行うMMC 中嶋担当部長
                  
                  
成果普及部 水島 豊
                  

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2018年10月17日 (水)

MEMSセンシング&ネットワーク展2018  初日

                  

                   10月17日(水)から19日(金)までの3日間を会期とした「MEMSセンシング&ネットワーク展2018」が開幕しました。会場は幕張メッセ内の国際展示場7及び国際会議室302です。

 展示会場の概要は、以下のとおりです。

                  

                  MMC全体
                  
                  NMEMS前面
                  
                  NMEMS来客
                  

 初日は、オープニング合同特別シンポジウムとしてMEMS次世代テクノロジーフォーラム&MEMS協議会フォーラムを開催し、多くの参加者があり盛況に終了しました。
講師の方々は、以下のとおりです。

【オープニング合同特別シンポジウム】
・MEMSとLSIのヘテロ集積化、試作インフラと情報の提供

                  

                  東北大学 江刺 正喜 教授
                  

・高度運転支援・自動運転とセンシング技術

                  

                  ㈱デンソー 川原 伸章 先端技術研究所長
                  

                  ・STのMEMSソリューション ~新たな応用分野への挑戦~

                  

                  STマイクロエレクトロニクス㈱ 古川 雅一 部長
                  

・国際会議発表を通してみるMEMS関連研究の動向

                  

                  立命館大学理工学部 小西 聡 教授
                  

【医療×最先端技術セミナー】
・オリンパスのX(Cross)InnovationとMEMSセンシング&ネットワーク

                  

                  オリンパス㈱ 小川 治男 取締役専務執行役員 
                  
                  
成果普及部 水島 豊
                  

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2018年7月13日 (金)

The Sixth Japan-US NDT Symposium 出張報告

7/8~12にかけて米国ハワイ州ホノルルのハワイコンベンションセンター(図1)にて開催されたThe Sixth Japan-US NDT Symposiumに参加した。4年に1度開催されている日米の非破壊検査協会の交流シンポジウムであり、今回は日本側の主催であった。参加者は日米両国からを中心に100名ほどで、2セッションパラレルで進められ、非破壊検査技術全般についての講演があった。同シンポジウムにて、口頭発表によるRIMSの成果アピール、および講演聴講による非破壊検査技術の市場可能性の調査を行った。

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図1 シンポジウム会場(ハワイコンベンションセンター)

セッションの内訳を筆者がまとめたものを表1に示す。基調講演などを含めて全部で85件の講演があった。セッションのテーマから見ると、社会インフラに関するものが28件と最も多く、更に社会インフラ関連のセッションに分類されていない講演であっても社会インフラへの適用を想定しているものが多かった。検査手法に関しては、超音波関連のセッションで8件の講演があったが、その他のセッションでも超音波やAEといった弾性波を利用した技術に関する講演が多く見られた。今後、簡単な検査手法や高度な分析手法への発展が期待される有望な技術として注目されているものと思われる。

表1 セッション内訳

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筆者の口頭発表(図2) では、"Effective Detection of Internal Cracks of RC Bridge Decks with Rain-induced Elastic Wave"と題して、降雨等による内在損傷検出手法を供試体および実橋梁に適用した結果について報告した。本手法では、AE計測により降雨時の雨滴が路面に衝突した位置と分布を解析し、本来の分布からの乱れを元に、内在する損傷を検出する。本技術を用いて、実際に内在損傷検出に成功した成果について紹介した。発表後は活発な質疑が行われ、本技術に興味を持っていただくとともに、成果をPRできたものと思われる。実際に雨や水滴を内在損傷検出に利用できていることが興味を引いたようで、雨が強すぎて雨滴を分離できない場合に処理できるのか、複数の雨滴が同時に当たった場合どう処理するのか、などについて詳細な質問を受けた。分析には個々の雨滴が分離できる必要があることや、解析に有効でない雨滴の信号を除くフィルタリング方法などについて回答した。また、適度な雨の条件でしか計測できないのか、との疑問も出たため、散水車等を利用することで、人工的に最適な弾性波を発生させて計測することも可能である旨を回答した。

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図2 筆者の講演の様子

講演全体の傾向としては、参加者の所属によるところもあると思われるが、日本側の発表が橋梁等、道路インフラに関する講演が多かったのに対して、米国側からの発表では、3DプリンタによるAdditive Manufacturingや鉄道軌道に関する講演が目についた。
3Dプリンティング技術が普及、高度化してきており、従来にない構造の内部の欠陥検出は難しいようで、今後ニーズが広がっていくことが考えられる。鉄道に関しては、米国の広い国土を網羅する鉄道軌道を検査するには、環境変化に対応でき、効率に優れた検査技術が必要とされており、軌道の探傷を高度化する試みがいくつか見られた。
主な講演の概要について下記に紹介する。

“NDT and Additive Manufacturing: State of the Art, Opportunities, and the Path Forward”, Ahmed Arabi Hassen(Oak Ridge National Laboratory)
積層タイプの3Dプリンティング技術であるAM(Additive Manufacturing)を用いることで、大型で複雑な形状の物を製造することが可能になってきている中、新たな非破壊検査技術が必要とされているとの話であった。検出したい欠陥には、層間の分離、空孔、マイクロクラック、マイクロボイドなどがあるが、従来の検査手法では、アクセスが困難であったり、表面形状の影響を受けたり、深いところにある100㎛ オーダーの欠陥の検出が非常に難しいなどで、品質の検査に十分対応できない。今後、損傷検出技術の新たな適用先として、市場が広がる可能性も考えられる。

“Phased Array NDE for Railroads”, Troy Elbert (Herzog Servises, Inc.)
166, 000マイルに及ぶ米国の鉄道軌道を検査するための超音波フェーズドアレイ装置の開発について紹介された。使用環境により、レールが変形した場合など、従来の装置では本来の検出性能が出せなくなるのに対して、レーザースキャンにより変形を検出し、超音波の波面をそれに合わせて調整することで、精度を保ったまま効率良く点検できるように改良した。従来の装置でも47km/hの計測が可能であるが、少し計測するごとに調整が必要となり、これに時間を要するため効率的な検査ができなかった点が改善された。大量のインフラ等を検査するにあたって、移動しながら検査するにしても、我々のようにセンサを設置するにしても、計測の効率に加えて、計測に伴う付随作業の効率も非常に重要となることを再認識した。

(技術研究組合NMEMS技術研究機構 高峯英文)

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2018年6月21日 (木)

AEWG-60 参加報告

今年で60回目となる米国AE会議(AEWG: Acoustic Emission Working Group Meeting)がサウスカロライナ大学のPaul Ziehl教授のホストで開催された。本会議は、AEに特化した国際会議として、大学はもとより、企業や公的機関からもAEに関するあらゆる技術、システム、応用事例に関する報告がなされる場である。本学会に参加し、AE技術のビジネス展開に着目し、調査を行った。今回は6セッション37件の講演発表と7件の企業講演があり、56名(米国39、日本5、英国5、中国3、ドイツ3、韓国1)の参加者があった。以下に、いくつかの講演を抜粋して概要を報告する。

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写真1 会場のMiles House Hotel

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写真2 会議場内の様子

<開催概要>
Meeting date: Jun 19-20, 2018
Venue: Miles House Hotel, Charleston, SC, USA
Host & Program Chair: Prof. Paul Ziehl (University of South Carolina)

セッション:(括弧内は講演件数)
1) Keynote I (1)
2) Technical Session I : Infrastructure (4)
3) Technical Session II: Infrastructure (5)
4) Commercial Presentations (7)
5) Technical Session III: Aerospace & Composites (4)
6) Technical Session IV: Aerospace & Composites (3)
7) Keynote II (1)
8) Technical Session V: Sensors/Sensing/Signal Analysis/ Modeling (5)
9) Technical Session VI: Sensors/Sensing/Signal Analysis/ Modeling (4)
10) Technical Session VII: Fatigue/Fracture (5)
11) Technical Session VIII: Fatigue/Fracture (5)

■Keynote, Lee Floyd, P.E.(recently SCDOT: South Carolina Department of Transportation)
元サウスカロライナ交通局のエンジニアのLee Floyd氏による講演。管理者の立場から点検やモニタリングの現状に関する発表があった。米国ではNBIS((National Bridge Inspection Standards)と呼ばれる橋梁の点検基準があり、それに基づいた点検を実施しているが、モニタリング技術の進展によって、”Good”と”Poor”の中間領域を管理できるようになることに大きなメリットがあるとのことである。安全性を向上するだけでなく、不必要な荷重制限の緩和や、修復or架替えの判断にも役立つことが期待されるとのことであった。今後は、ロングスパンの橋梁に対するモニタリング需要が増えるだろうとのことである。

■”A Deep Learning Approach to Localization of Acoustic Emission Sources in Plate-like Structure with One Sensor,” Arvin Ebrahimkhanlou (University of Texas at Austin)
テキサス大のDeep Learningを使ったAE源位置標定に関する発表である。本発表は航空機のモニタリングをターゲットとし、複合材プレートのリベット付近からAEが発生することを想定している。従来の位置標定は、複数センサ間の時間差をもとに、位置を推定する方式が一般的であるが、本アプローチは1センサで位置標定まで行うという点で新しい発想である。プレート内のあらゆる位置からAEが発生した場合のセンサ波形の特徴を事前に学習させることで、1センサでもある程度の位置標定が可能であるという内容であった。今回のAEWGではAEの信号処理にDeep Learningを活用した事例が出てきており、今後も同様の傾向は続くとみられる。

■”Using Artificial Neural Network in a Methodical Approach to Develop Suitable Classification Systems of Acoustic Emission Data Generated in Tribological Contacts,” Knut Wantzen (Karlsruher Institute fur Technologie)
カールスルーエ工科大学からはIndustry4.0の実例ともいえる、製造工程でのAE応用事例に関する報告があった。旋盤のシャフト加工時に発生するAEを基に、製造工程の品質制御(Quality Control)を行っている。従来数量ベースでチップ交換を行っていたものを、AEによるモニタリングデータを活用し、品質ベースでの交換を行うようにした、という内容である。AEパラメータの時系列変化を学習し、品質(良/不良)を判定するニューラルネットワークを構築し、交換時期を決定している。シンプルな内容であるが、AEの特徴を上手く活用したIoTの王道とも言える事例である。

■”A Review of the Application of Acoustic Emission Testing in Composite Repair,” Fady F. Barsoum and Isabel M. McBrayer (Embry-Riddle Aeronautical University)
エンブリー・リドル航空大学から、複合材料の修繕を評価するためのテストとしての非破壊検査手法に関する包括的なレビューがあった。航空宇宙分野、船舶、自動車などで複合材料が広く使われるようになってきているが、一度損傷すると極端に強度が下がるという面がある。また、劣化予兆を検知することが難しいとのことであった。複合材料は損傷があれば交換がスタンダードで、修復は一般的ではなく、コスト高につながっているとのことである。修復と強度に関するデータベースが増えれば、積極的に修復することでコストを抑えられる。世の中の非破壊検査手法をレビューした結果、稼働中の損傷を検出できるという点でAE法には他の手法にない大きなメリットがあるとの結論であった。

次回は2019年、IIIAEとのジョイント開催でイリノイ州シカゴでの開催が予定されている。

(技術研究組合NMEMS技術研究機構 碓井隆)

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2018年1月31日 (水)

第6回MEMS協議会・海外調査報告会を盛況に開催

 第6回MEMS協議会海外調査報告会を1月31日に新テクノサロンで開催し、約50名の方にご参加いただきました。このイベントはマイクロマシンセンター/MEMS協議会(MIF)が行っているMEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するものです。毎年のように北米や欧州を中心に学会等のイベント、海外の大学や研究施設、関連企業の訪問見学の報告を行ってきましたが、今回は前回に引き、欧州の橋梁モニタリングに関連する報告を、特別報告として企画致しました。
                  
                  

                  
                   


                    写真1 会場の様子

                  
                  

                  
                   MEMS協議会事務局長・長谷川英一からの主催者挨拶のあと、最初の報告は特別報告として「海外における橋梁・大規模モニタリングの現状と動向」と題して技術研究組合NMEMS技術研究機構の武田宗久氏から、最初にオーストラリアのブリスベンコンベンションセンターにおいて開催されたアセットマネージメントの国際会議である12th World Congress on Engineering Asset Management (WCEAM2017)への参加報告、日本より先行していろいろな活動が行われている海外の橋梁・大規模インフラモニタリングの現状を把握するため、欧州各地の橋梁:van Brienenoord橋(オランダ)、Marchetti橋(イタリア)、Chillon高架橋(スイス)、Sydney Harbor橋(オーストラリア)等の長大橋、発電施設であるBéznar ダム(スペイン)、遺跡建造物であるVenaria宮殿(イタリア)やEl Giraldillo(スペイン)等の大規模インフラの現場等を訪問し、その管理、モニタリングの実態に関する報告がありました。報告者の感想では、欧州は橋梁等のインフラモニタリングは日本よりも進んでいるが、センサは既存の物であって有線接続を使っている。日本はセンサの開発や、無線応用、エネルギーハーベスタ等の技術を平行して進めており、技術的にはむしろ進んでいるとのことです。
                  
                  

                  
                   


                    写真2 武田氏から報告

                  
                  

                  
                   続いて、「IoT社会に向けたセンサ動向調査と産業動向調査報告」と題して、技術研究組合NMEMS技術研究機構および一般財団法人マイクロマシンセンターの今本浩史から報告がありました。
                   米国MEMS & Sensors Industry Group主催で、2017年11月1日~11月2日の間、米国カリフォルニア州サンノゼにて開催されたMEMS                   & Sensors Executive Congressに、IoT社会にむけたMEMS&センサの動向調査の一環として参加したものです。報告者の感想として、産業用IoTに関して様々な事例紹介があったようですが、今までの研究レベルの振動センサによって振動状態のみで故障予測を行うのは、その解釈が困難な場合が多く、他のセンサとのフュージョンが今後重要とのことです。更にバッテリを持たないセンサの発表も紹介されました。更に、産業動向調査委員会にて2025年までのMEMS産業の市場予測を行う取り組みの紹介もありました。
                  
                  

                  
                   


                    写真3 大中道氏から報告

                  
                  

                  
                   次は「マイクロマシンサミット2017」と題してMEMS協議会・国際交流担当の三原が報告しました。2017年の第23回「国際マイクロマシンサミット」は5月15日(月)から17日(水)までスペインのバルセロナで開催されました。今回のトピックスは、”Micro and Nano Systems for Smart Cities applications”です。スペインは、センサやMEMS、無線、半導体や集積回路、ナノ材料と言った複数の専門分野の研究者が同居する研究所が多く、専門領域の融合が進んでいるのが特徴ですが、今回のオーガナイザーは、CNM-CSIC(National Microelectronics Center of Barcelona)の所長Carles Cane教授でした。今回は欧州での開催で参加者も多く、21の地域から73名のデレゲイト、更にスペインからの10名程度のオブザーバの参加もあり、比較的規模が大きいものでした。今まで何年か不参加の期間があった、イギリスやカナダ、オーストラリア等の復帰、更にアイルランドや東欧の新規の参加国もあったのが特徴です。今回はパネルディスカッションとして、バルセロナで実際に中小企業を中心に行われたスマートシティ構想、すなわちエネルギーや交通と言った様々なデータをセンサで取得して、都市の省エネや生活に有効に役立てるための試行の取り組みが印象に残りました。2018年のサミットはアルデンチンのブエノスアイレスで5月14日から16日に開催されます。
                  
                   続いて「MEMS関連の国際会議報告」とのタイトルでMEMS協議会・標準部の大中道崇浩から報告がありました。2017 年 6月 18日~22日に台湾・高雄(Kaohsiung)で開催された、隔年開催の                  Transducer 技術に関する国際会議である、International Conference on Solid-State Sensors,                  Actuators and Microsystems(Transducers2017)の報告がありました。マイクロマシンセンターでは、「国内外技術動向調査」という取り組みとして、MEMS分野の著名な国際会議等をターゲットにした定点観測的な調査を例年行っており、本国際会議はその調査の対象学会です。国内外技術動向調査は、有識者から成る委員によって分析を行い例年報告書として発行しますが、今回は事務局として学会に参加し、今後の調査報告書の作成により具体的・現実的な側面で支援可能と思います。
                  
                   最後は「MEMS国際標準化に関する活動状況」と題して、同じく大中道崇浩から報告がありました。MEMS国際標準化はIEC(国際電気標準会議)で進められており、日本はMEMS分野を担当する分科委員会SC47Fの幹事国として主導的に推進しています。IECの全体会議は毎年開催され、2017年は6月に東京で、10月にロシア・ウラジオストクで開催されました。今回、これらの国際会議を通して、特性計測方法、信頼性評価、エネルギーハーベスティング、スマートセンサ等でのMEMS関連の技術分野における国際標準化の状況についての報告がありました。更に現在、一般財団法人マイクロマシンセンターを中心に取り組んでいるスマートセンサのインターフェースの関わる標準化を日本が主導する取り組みの紹介がありました。
                   MEMS協議会の会員サービスとして始めた本海外調査報告会も6回を数えるほど、長期間継続しています。本会へのご参加はリピータが多いことも特徴で、会員交流の側面も有しています。海外の状況はインターネット等で公開されているとは言っても、中々生の情報や、専門化の印象&感想を聞ける機会は少ないのが現実です。今回もSPPテクノロジーの神永様に貴重なコメントや、報告会の後に行った会員交流会でのご挨拶を頂く等、IoTの最新状況や日本の課題を議論することが出来ました。 最後のこの場を借りて、今後のMEMS協議会への積極的なご参加をお願いしたいと思います。
                  
                  

                  
                   

(MEMS協議会 国際交流担当 三原 孝士)
                   

                  

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2018年1月 5日 (金)

「新年のご挨拶」

新年あけましておめでとうございます。

 本年はSociety5.0の実現を世界に打ち出していくための新たな産業・社会の在り方として、「コネクテッド・インダストリーズ」に大きな注目が集るとされています。特に、製造現場、自動走行、健康・医療・介護等の現実の「リアルデータ」を巡る競争が激しくなると予想されていますが、その「リアルデータ」を収集する最前線にMEMSを中心とする多様なセンサが位置しています。従いまして、ナノ・マイクロ技術分野における研究開発や普及促進等を長年担ってきた私どもマイクロマシンセンターの責任はさらに重くなっていくものと考えております。

 仏のヨール社によれば、世界のMEMS市場は消費者用や自動車用がけん引し、2017年の132億ドルから2022年には254億ドルと年率14%で伸びるとされています。MEMSデバイスとしては、スマホの4G/5G 化の進展によりMEMSフィルタの伸びが大きく、従来からの慣性センサ、圧力センサ、ジャイロなどを凌駕していくと見られます。

 このような中、当センターでは2000年代に注力したMEMS技術そのものの研究開発から、2010年代にはセンサネットワーク技術にシフトし、現在は道路やライフラインのインフラモニタリングに加えて、ファクトリやプラントのスマートセンシングの研究開発に注力しています。そして、昨年は経産省・NEDOがコネクテッド・インダストリーズの重点分野として推しているロボティクスや自動走行の鍵となるAI融合高精度物体認識システムの研究開発に着手しました。

 また、それらの研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとして、7年前に開設したつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」も今や中小・ベンチャーを含む40社以上からの研究や工程の受託により、フル稼働の状況にあります。さらに設備整備や技術向上に努めて、我が国のMEMS開発需要に応えてまいります。

 そして、上述の成果などを公開する場として、昨年、MEMSセンシング&ネットワークシステム展を刷新して、初めてCEATECと同時開催とし、5万人を超える来場者の方々にお出でいただくことができました。本年はさらにCEATECやAll about Photonics展とのシナジー効果を高め、IoTシステム、さらにはコネクテッド・インダストリーズの最先端技術展としてのプレゼンスを高めてまいります。

 当センターとしましては、本年もMEMS・スマートセンシング技術の開発や普及に真摯に取り組み、我が国のコネクテッド・インダストリーズの推進に微力ながらも貢献してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。

 皆様方には以下の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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2017年11月25日 (土)

INDTCE2017参加報告

 インフラモニタリングセンサ用エナジーハーベスタ調査の一環として、2017年11月21日(火曜日)〜23日(木曜日)にかけて、アメリカハワイのカウアイ島で開催された、Innovative Non-Destructive Testing for Civil Engineers(INDTCE2017)に参加してまいりました。また、それとともに2017年11月20日(月曜日)にハワイ大学(オアフ島)にも訪問して来ましたので報告します。

 まず、INDTCE2017については、今回初めて開催された国際学会であり、本プロジェクトのメンバーでもある京都大学の塩谷智基教授(写真1)がチェアとして中心となって立ち上げられ開催されました。また、初開催にもかかわらず、日本をはじめ、アメリカや韓国などの大学、企業の関係者も参加し、多くの発表、意見交換がされました。特に従来の国際学会と大きく異なり、土木系とともに、我々のようなエナジーハーベスティング、物理センシングを研究している電気系、物理系なども一堂に会しており、従来では難しかったそれぞれ最新の情報交換をする場が設けられました。それによって、ある分野では常識的なことが、別の分野では新鮮であったりして、非常に有意義な試みであったと感じました。


写真1 京都大学の塩谷智基教授(チェア)

 初日、最初のキーノートスピーチは、「Development of AE and Visualized NDE for Maintenance of Concrete Structures」と題して、現在京都大学にいらっしゃる大津政康教授(写真2)によるものでした。内容は、コンクリート構造物は、従来ではメンテナンスフリーと一般的に考えられて来ていましたが、その頃から大津教授らは人体の健康診断と同様に、コンクリート構造物にも診断が必要だと考え、AE法(Acoustic Emission Method)をはじめとした、非破壊検査法の確立など様々な活動をして来られた、というもので、ご講演の中ではそれらの一つ一つを丁寧にご説明されていました。それゆえ、我々のような分野が異なる研究者にとっても、その歴史を垣間見ることができる素晴らしい内容であったと同時に、大津教授らのこの分野における貢献度に感服しました。


写真2 キーノートスピーチの大津政康教授

 その後、午前中のひとつのセッションとして、私たちの取り組みであるインフラモニタリング用のエナジーハーベスティング技術、歪みを計測する新たな物理の創出、またそれらの商品化、製品化に向けた取り組みに関して、合計3件の発表を行いました。その中で、自分はNEDOのエネルギー・環境新技術先導プログラム/トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動発電デバイスの研究として取り組み、その後、RIMS用の振動発電デバイスとして開発している、橋梁モニタリング用のMEMSエナジーハーベスタを中心に発表をしました。内容は、実際に高速道路の橋梁で振動計測をした結果や、その結果をもとにしたエナジーハーベスタの設計コンセプト、実際に製作した高効率MEMS振動発電デバイスの実験結果、デモンストレーション動画等を紹介しました。本先導研究では、学会チェアでもある塩谷教授のグループと連携して行っていたテーマでもあり、その連携による効果などを塩谷教授が土木系の方々に補足でご説明してくれた(写真3)こともあり、期待以上に成果を訴求できたと思います。また、このセッション自体も非常に盛り上がり、セッション終了後には早速、こんなことはできないか、こんなところで使えないか、など具体的な質問、意見交換を活発に行うことができました。


写真3 エナジーハーベスタの発表(三屋、塩谷教授の補足)

 2日間に渡った会議も、終始活発に同分野、異分野の垣根なく意見交換、情報交換(写真4)ができ、非常に有意義な経験になりました。また、今後実際に何件かの新たな取り組みにつながりそうな話もあり、このような機会がさらに増えると面白いのではないかと個人的には思いました。


写真4 異分野の情報・意見交換の様子

 次に、INDTCE2017に先立って訪問したハワイ大学についてご報告します。ハワイ大学マノア校は州立大学であり、土地がら海洋学、火山学、天文学などの研究が活発に行われています。今回はハワイ大学のCosmochemistry研究所(写真5)で、特に隕石などに含まれるイオンなどの分析をご専門にされているNagashimaマネージャーを訪ね(写真6)、校内、研究設備等を見学させていただいた後、実際に、イオンの分析を見せていだだきながら、我々のイオン分析手法などについて意見交換を行ってまいりました。


写真5  Cosmochemistry研究所


写真6 三屋(左)、小野さん(中)、Nagashimaマネージャー(右)

 同研究所では、世界でも数台しかない高感度2次元イオン検出による結像型SIMS(Secondary Ion-microprobe Mass Spectrometer、日本では2次イオン質量分析計)を保有しており(写真7)、その分解能はppb(parts per billion 、十億分の1)と非常に高いとのことです。また、本質量分析計の電圧や磁場は、光学顕微鏡におけるレンズの役割を担っており、細く絞ったイオンビームを試料に当ててイオン化し、その2次イオンを「レンズ」によって元の位置情報を保ったまま質量分析計の検出器へ導くことができるとのことです。また、その検出器は、独自に設計・開発したイオン撮像器で、1個~100万個の入射イオンの個数を計測出来る素子が並べられており、2次元イメージングが可能とのことでした。これにより、隕石などを分析する宇宙科学・地球科学分野において、多くの世界最先端の科学成果をあげられているとのことでした。

 
写真7 高感度2次元イオン検出による結像型SIMS

 我々が研究しているエレクトレットも、絶縁物中にイオンを含有することで形成されておりますが、その2次元分布は観察できなかったため、どのよう分布なのかわかっておりませんでした。しかしながら、条件次第ではあるが、この装置を使用すればわかるかもしれないとのことでしたので、具体的に検討していこうということになり、非常に有意義な意見交換となりました。

 今回は、(学会の分野違いと同様に、)隕石のイオン分析という、一見異分野のように感じますが、対象物が半導体と隕石と違うだけで分析方法はまさに我々と同じようなものでした。それにもかかわらず、半導体業界では知られていないが故にできないと思っていたことを、隕石の分析業界ではいとも簡単に観察されていることに非常に驚いたのと同時に、このような異分野にも目を向ける重要性を改めて実感しました。

 また、ハワイという常夏の地に冬の日本から訪れ、異分野との交流をする、という非常に非日常な体験でした。しかしながら、その中で従来の延長ではない、新たな引き出しを見つけることができ、非常に有意義であるとともに、このような交流をすることの重要性を、身をもって実感いたしました。今後も是非積極的にこのような活動をしていきたいと思います。

2017年11月25日
技術研究組合NMEMS技術研究機構 三屋裕幸

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