Pj RIMS研究開発

2017年6月16日 (金)

ベルギー、オランダ研究機関との技術交流報告

 NEDOの森口主査と京都大学の塩谷教授とともに2017年5月26日(金)にベルギーのVUB(ブリュッセル自由大学:Vrije Universiteit Brussel)と5月30日(火)にオランダのTNO(オランダ応用科学研究機構:the Netherlands Organization for Applied Scientific Research)を訪問し、技術交流を行いましたので、その内容を以下に報告します。
(1)VUBとの技術交流
 VUBはベルギーの首都ブリュッセルにあるベルギー有数の大学です。ベルギーが1830年にオランダから独立したときに、首都ブリュッセルに大学がなかったため、1834年に創立されたブリュッセル自由大学が1970年にフランス語系のUniversité Libre de Bruxelles(UL) とオランダ語系のVrije Universiteit Brussel(VUB) の2つの大学に分かれました。どちらの大学も「自由大学」と名前が付けられているように、自由を校風にしています。VUBには約15,800人の学生がいます。今回はVUBのMechanics of Materials & Constructions(MEMC)学科のDanny VAN HEMELRIJCK教授とDimitrios G. AGGELIS教授を訪問し、技術交流を行いました(写真1)。

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       写真1 VUBのMEMCの看板の前での記念撮影

 MEMCは実験と数値解析によって、材料と構造物の研究を行っている学科です。実験室には大型疲労試験機(写真2)や2軸疲労試験機(写真3)等の各種試験機があり、写真4に示すようなAEセンサを使ったコンクリート材料のリング試験等を行っており、各種材料の基礎的な実験データを取得するとともに、数値解析と合わせることで構造物の劣化状態を判別しておりました。橋梁、洋上風力発電設備、滑走路の照明設備やビール瓶等の幅広い構造物を対象としていました。

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            写真2 大型疲労試験機

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           写真3 2軸疲労試験機

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   写真4 AEセンサを使ったコンクリート材料のリング試験の様子

 実験室見学の後、会議室でMEMCのメンバーに、森口主査からNEDOの紹介(写真5)と武田からRIMSの概要説明(写真6)をしてRIMSの広報を行うとともに、博士コース学生(Alexandros Iliopoulos)からインフラ施設のSHM(Structural Health Monitoring)の最新技術の紹介を受け、技術交流を行いました。その様子はVUBのフェースブックでも紹介されています(https://www.facebook.com/MEMCVUB/)。引き続き技術交流を行っていくことを約束して散会しました。

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     写真5 NEDO森口主査からのNEDO概要紹介の様子

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        写真6 武田からのRIMS概要紹介の様子

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    写真7 Alexandrosからのインフラ施設のSHMの紹介の様子

(2)TNOとの技術交流

 TNO (オランダ応用科学研究機構(the Netherlands Organization for Applied Scientific Research) )は、1932年に設立されたオランダの総合受託試験研究機関で、オランダ全土に10箇所の研究拠点があり、今回はデルフト工科大学のキャンパス内にある拠点を訪問し、技術交流を行いました。(写真8、写真9)。

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    写真8 デルフト工科大学キャンパス内のTNO建屋のひとつ

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       写真9 TNO入口でDr. Pooriaと記念撮影

 今回の訪問では、インフラ関連のプログラムディレクタであるPeter-Paul van't Veen氏をはじめとする4名でご対応いただき、双方の組織概要と道路インフラモニタリングの取り組みを紹介しあうとともに意見交換を行いました(写真10~写真14)。

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     写真10 NEDO森口主査からのNEDO概要紹介の様子

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        写真11 武田からのRIMS概要紹介の様子

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        写真12 PeterからのTNO概要紹介の様子

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      写真13 Pooriaからの鋼橋劣化診断技術紹介の様子

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           写真14 意見交換の様子

 その後、デルフト工科大学の一角に開設されたTNOのエネルギ関連ラボで太陽電池を道路に埋め込んだソーラーロード(写真15)や新材料を使った蓄電システム(写真16)等を、また、強度評価ラボで大型強度評価装置(写真なし)も見学させて頂きました。

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          写真15 ソーラーロード

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        写真16 新材料を使った蓄電システム

 さらに、TNOがSHMの実証実験を実施しているvan Brienenoord Bridge(写真17~写真19)にて、SAセンサシステムの実証が可能かの確認を行いました。

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         写真17  van Brienenoord Bridge

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           写真18 センサ設置現場

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        写真19 データ取得用PC(橋梁内部)

 今回、ベルギーのVUBとオランダのTNOを訪問し、RIMSの広報を行うと伴に、技術交流を実施しました。両機関はRIMS関連で積極的な活動をしており、今後も引き続き連携を図っていく予定です。

                (NMEMS技術研究機構 武田宗久)

 

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2017年6月12日 (月)

AEWG-59参加報告

本米国AE学会(AEWG: Acoustic Emission Working Group)は、1967年に当時Aerojet-General Corp.のAllen T. Greenと、Battele-NorthwestのJack C. Spanner、両名の呼びかけにより集まった12名の研究者により設立されたAEに特化した会議である。当時Lawrence Radiation Laboratory(現Lawrence Livermore National Laboratory)で、AE分野に多大な影響を及ぼしたHarold L. Duneganが創設者の一人として在籍していたことでも知られ、まさにAE技術の発展をリードしてきた学会であるといえる。本会議の特徴としては、撮影や印刷物を制限する代わりに、AEに関するあらゆるOngoing workの発表を奨励しており、その場に参加しないと得られない貴重な情報が得られる点にある。またAE技術の進化を担ってきた専門家の集まりであり、有益なコメントが得られる場でもある。第59回目を迎える今回のAEWGは、CTL GroupのDr. David Kosnikのホストで、シアトルのCedarbrook Lodgeで開催された。

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写真1 会場のCedarbrook Lodge

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写真2 講演会場の様子

 参加者は30名程度、多くが米国内の研究者である。全体的な参加者は少ないものの、創始者の一人であるAllen T. Greenをはじめ、AE分野での著名な研究者が数多く参加していた。 セッションは以下の6パートに分かれており、発表は口頭発表18件と、企業からの技術展示3件という構成であった。

<セッション>(括弧内は講演件数)
1) Opening Technical Session(3)
2) Technical Session: Wire Breaks(3)
3) Technical Session: In-Service Monitoring(4)
4) Technical Session: Calibration and Uncertainty(3)
5) Technical Session: Source Location(2)
6) Closing Technical Session and Roundtable Discussion(3)

 RIMSからは碓井が、Opening Technical Sessionにおいて “An Event-Driven, Energy harvesting, Wireless AE Sensor System for Long-term Structural Health Monitoring”と題して講演発表を行った。本プロジェクトの成果である、エナジーハーべスティングにより動作する無線AEセンサシステムに関する基本コンセプトとイベントドリブンアーキテクチャを中心に説明した。発表に対してはAEシステムに関する最大手である米MISTRAS Groupや独Vallen Systeme GmbH、その他大学関係者を含め、延べ10件近くの質問や反響コメントがあり、本プロジェクトの取り組みを存分にPRできたものと考えている。その他、講演の聴講で印象に残った発表について以下に示す。


- Metamaterial design to focus wave energy in pipe-like structures
Minoo Kabir and Didem Ozebin (University of Illinois at Chicago)
UICのOzebin教授による、メタマテリアルの進捗に関する報告である。パイプラインのモニタリングのために、パイプに周期構造の突起を形成し、機械的なバンドリジェクトフィルタ(もしくはバンドパスフィルタ)を構成するというアイデアの発表であった。3Dプリンタで作った箱状の立方体を周期的にパイプの回りに接着する。ノイズの周波数が特定の周波数に決まっているようなアプリケーションであればAE検知時のSNを向上できるというもの。メカニカルなフィルタとして活用できる可能性もあると感じた。

- Long-term acoustic emission structural health monitoring of post-tensioned beams for wire break detection
Terry A. Tamutus, Richard Gostautas and Jon Watson (MISTRAS Group)
MISTRAS社による長大橋のモニタリング事例の紹介である。30システム、430チャネルを使った大規模なPCケーブルのモニタリングを行った。さすがに規模が大きく、業界最大手ならではの事例であるといえる。MISTRASのシステムは、デイジーチェーン型と呼んでいるもので、サブユニット間を数珠つなぎ状に有線接続するタイプのものである。1システムは、2chのユニットを最大16ユニット程度接続している模様である。各ユニットが有線接続されている点が我々の思想と異なる。配線に関しては課題が残るとのことであり、無線システムへの需要を再認識した。

- Intelligent AE sensors  and smart materials
Horst Trattnig (Vallen Systeme GmbH)
  AEセンサの新たな応用として、AEとひずみゲージを合わせたハイブリッドセンサの紹介をしていた。ファイバ型(光ファイバではなく、繊維タイプのひずみセンサ)を織り込んだシート状のセンサで、AEとひずみを同時に計測可能なセンサ試作品を開発したとのことであった。見た目は100mm角程度のCFRPシートで、コネクタが2つ(AE用とひずみ用と思われる)付属している構造になっている。ひずみとAEは同時に計測する場合が多く、新しい発想のセンサとして興味深い事例であった。

次回は2018年、サウスカロライナ大のホストでサウスカロライナ州チャールストンでの開催が予定されている。
       

 (技術研究組合NMEMS技術研究機構 碓井隆)

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2017年4月26日 (水)

フレキシブル面パターンセンサの研究開発成果プレスリリース

 道路インフラモニタリングシステムの研究開発において、産総研と大日本印刷で行っているフレキシブル面パターンセンサの研究開発成果のプレスリリースを4月11日(火)に産総研及びNEDOから行いました。
 
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2017/pr20170411/pr20170411.html
 今回のリリースでは 圧電MEMS技術で作製した極薄PZT/Siひずみセンサをフレキシブル基板上にアレイ化し、保護フィルム、接着フィルムと一体化するフレキシブル面パターンセンサの作製技術を開発したこと、また、このフレキシブル面パターンセンサを高速道路橋に貼り付け、車両通過に伴う橋梁の動ひずみ分布をモニタリングした一連の研究開発成果を紹介しています(図1)。今後は公共の亀裂進展のモニタリングを中心に、現場での実証実験を行います。
 

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図1(a)開発したセンサの全体像と拡大図、(b)(c)センサを用いた鋼橋溶接部付近のひずみ分布測定の様子

 リリースを受けて、本件に関する記事が下記の新聞およびウェブサイトに掲載されました。
 ・日刊工業新聞 4/12付 31面
 ・化学工業日報 4/12付 1面
 ・日刊産業新聞 4/12付 11面
 ・建設通信新聞 4/12付 3面
 ・日刊建設工業新聞 4/12付 3面
 ・日刊建設産業新聞 4/12付 2面
 ・マイナビニュース(WEB)4/12付
 (参照URL:http://news.mynavi.jp/news/2017/04/12/039/)
 ・日刊工業新聞 電子版(WEB)4/12付
 (参照URL:https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00424282)
 ・ASCII.jp(WEB)4/12付
 (参照URL:http://ascii.jp/elem/000/001/467/1467697/)
 ・EETIMES(WEB)4/12付
 (参照URL:http://eetimes.jp/ee/articles/1704/12/news026.html)
 ・Yahoo!ニュース(ニュースイッチ)(WEB)4/13付
 (参照URL:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170413-00010003-newswitch-ind)
 ・日経コンストラクション(WEB)4/19付
 (参照URL:http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/cntnews/15/00784/)
 ・日経産業新聞 4/25付 8面

       (国立研究開発法人 産業技術総合研究所 小林健)

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2017年2月20日 (月)

第5回海外調査報告会を盛況に開催

   第5回MEMS協議会海外調査報告会を1月30日に新テクノサロンで開催し、約50名の方にご参加いただきました。このイベントはマイクロマシンセンター/MEMS協議会(MIF)が行っているMEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するものです。毎年のように北米や欧州を中心に学会等のイベント、海外の大学や研究施設、関連企業の訪問見学の報告を行ってきましたが、今回は前回に引き続き、欧州の橋梁モニタリングに関連する報告を、特別報告として企画致しました。       

                   I1_2                                      
写真1 会場の様子
                  

  MEMS協議会事務局長・長谷川英一からの主催者挨拶のあと、最初の報告は特別報告として「欧州における橋梁モニタリングの現状と動向」と題して技術研究組合NMEMS技術研究機構の中嶋正臣氏から、エジンバラ大学をはじめとした研究機関やConnect  Plus Serviceといったインフラ管理のコンソーシアムとの橋梁モニタリングに関するディスカッションや、Forth Bridge及びForth  Road Bridge等の橋梁での現地調査の報告がありました。最初にNMEMS技術研究機構が中心になって推進している国家プロジェクトであるRIMS:ROAD  Infrastructure Monitoring Systemの説明がありました。これは最先端MEMS技術を駆使して開発されたスーパーアコースティックセンサと言う高周波を発するアコースティックエミッションから低振動まで広い帯域を網羅するスーパセンサや、大面積センサ等の橋梁モニタに特化したセンサデバイスを使った社会インフラモニタリングを行う活動です。 今回の目的としては、日本より先行していろいろな活動が行われている欧州(イギリス、オランダ)の橋梁モニタリングの現状を把握するため、調査団を結成して現地橋梁モニタリング現場の調査を実施するとともにRIMSプロジェクトの広報を図るとのことでした。                   

 調査場所としては、イギリス、ロンドンのConnect Plus Service(CPS)とXEIAD Ltd.、道路保守点検会社であるCPSおよび土木コンサルタント(XEIAD)、M25およびQueen Elizabeth II Bridge(QE2)、光ファイバ等センシング技術、イギリスのモニタリング技術の産業化実態調査のためのEpsilon Optics Ltd調査、エジンバラ大学(イギリス、エジンバラ)にてコンクリート等のインフラ主要構造部材の非破壊検査技術の権威であるProf.  Mike Fordeとの意見交換、イギリス、エジンバラでの代表的な橋梁であるForth BridgeおよびForth Road Bridge調査、特にForth Bridgeのモニタリング実態調査、さらにオランダ、デルフト/ロッテルダムのAEセンサを用いたAE挙動の評価のためのTNOの調査、またVan-Brienenoord Bridgeのモニタリング計測橋梁調査と極めて大規模なものになっています。          

 イギリスにおける、橋梁モニタリングの手段は、光ファイバによる歪センサ計装を使ったものです。とくに英国Epsilon Optics社は、構造設計と光ファイバ計装技術を組み合わせることで、土木、海洋、航空宇宙等の様々な分野へモニタリング技術を提供しています。同社は、光ファイバセンサ自体の開発は行っていないが、光ファイバセンサに対するパッチのアセンブリ等を様々な分野に実装することで、モニタリングに関する幅広いノウハウを有していることを強みとしているようです。その実績は、イギリス国内にとどまらずグローバルなもので、対象も橋梁やトンネルにおけるクラックのモニタリング、ヨットのキールや飛行機の着陸装置への負荷のモニタリング等幅広いようです。          

 また訪問したエジンバラ大学のProf. Mike Fordeは、コンクリートなどのインフラ主要構造部材の非破壊検査技術の権威であるとともに、超音波トモグラフィ、アコースティックエミッションの世界的先駆者とのことです。Journal                   Construction and Building MaterialsのChief Editorを務めている他、RILEM(International Union of Laboratories and Experts in Construction Materials, Systems and Structures)、BINDT(British Institute of Non-Destructive Testing)とACI(American Concrete Institute)等の重要な機関で主査を務めています。                   

 視察した英国のForth Bridge(フォース鉄道橋)は、1890年に完成した全長2530mのカンチレバートラス橋であり、包括的な構造モニタリングシステムが2002年に実装され、リニア変位変換器、回転ポテンショメータ、傾斜計、温度センサとひび割れ検知を含む様々なセンサにより、支承可動部の動きに加え、中央タワーおよびスパン接続部の3軸方向(垂直・水平方向および回転)の動きを検知できるとのことです。               

 最後に中嶋氏のまとめとして、「イギリス、オランダでは幹線道路の長大橋を中心に複数のセンサを用いた常時モニタリングを実施して、メンテナンスの効率化を図っている。但し、使われているセンサは有線のセンサであり、膨大な配線が施設されていた。既存のセンサ生データをそのまま常時モニタリングしているため、データ量が膨大になる、信頼性のある無線システムがないことから確実な有線センサを用いているのが現状であり、無線化や自立電源化に関しては、現場では未だ適用されていない。日本視察団を代表して下山教授からRIMSの概要を説明したところ、RIMSプロジェクトで開発しているセンサに関しては訪問したすべての機関で非常に興味をもって頂けた。」と報告を終えました。

                   

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写真2 中嶋氏から報告
                            

 続いて、「米国のMEMS産業動向」と題してMEMS協議会 今本氏から10月31日~11月2日に米国・フロリダで開催されたIEEE Sensors 2016、また米国MEMS & Sensors Industry Group主催で、2016年11月9日(水)~11月11日(金)に米国カリフォルニア州スコッツデールにて開催されたMEMS & Sensors Executive Congressへの参加報告がありました。この会議は毎年開催され講演やパネルディスカッションといったフォーマルな行事と、休憩時間等の空き時間でのインフォーマルな会話を通して、情報交換や人的なネットワークを形成することにより、MEMS関連産業のネットワーク構築が可能であることが特徴です。研究開発そのものの発表は少なく、事業化をどう促進するかが主題の会議となっている真に産業化のために推進会議になっています。

 またこの2つの大きな会合の間に、フロリダ大学(Yoon教授)・ジョージア工科大学(Ayazi教授・Tentzeris教授)・BSAC(Pister教授)にも訪問し、専門的な領域に踏み込んだ報告になっています。                

 まずIEEE Sensors 2016 参加報告では、日本からの発表が急増し、日本からの参加人数も 2013年の8人程度から2016年では30人                   以上、特にEnergy Harvesterのセッション追加されたこと、また企業からの発表が非常に少ないと言う特徴を持っています、                   

 MEMS & Sensors Executive Congress では、Trillion Sensorを巻き込み、途中でパラレルセッションになったためか、大学や国の研究機関が増えた感じがするが、一方しか聞けないのが残念とのことです。2013年には日本から2名の参加であったが、IoTの影響か日本からの参加が年々増加しているようです。またIoT関連の話題は以前から多いが、今回自動車関連(自動運転・新興国での新たな安全性や排ガス規制)が増えたようです

                  

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写真3 今本氏から報告
     
        
 

次は「マイクロマシンサミット2016と題してMEMS協議会・国際交流担当の三原が報告しました。マイクロマシンサミットは毎年、各国のMEMS関連状況をそれぞれ報告し、意見交換する場として開催され、今回は3回目(初回:京都、第6回:広島)となる日本・東京での開催で、マイクロマシンセンターが事務局を務めました。今回のテーマは「高齢化社会におけるセンサ・MEMS」、オーガナイザーは東京大学・下山勲教授でした。参加者は16の地域,から51人のデレゲイトであり、今回のテーマである健康・医療やライフスタイル・バイオ関連に対応するマイクロシステムに関する話題が多く出されました。発表数は約47件、Delegatesの多い国は、日本14名、ドイツ 6名、イタリア 4名、スイス 4名の順でした。        

 最後は「MEMS国際標準化に関する活動状況]と題して調査研究・標準部長の坂井氏より報告がありました。最近は、センサに無線システムが搭載され、更にエネルギーハーベストに対しての取り組みも強化されており、マイクロマシンセンターでもSSN(スマートセンシング&ネットワーク)研究会を設立して、その活動を強化しています。この分野は、応用分野別にセンサ・無線・エネルギーハーベスト・電源管理、実装と言った要素デバイスや技術の評価を含む国際標準化が必要ですが、特に無線等ではデファクトスタンダードに頼っている側面もあります。このような背景からMEMSの国際標準化はIECを舞台に、更に進められるように「プロダクトアウト/プロセス重視型」のアプローチから「マーケットイン/結果重視型」へと転換が進められています。IECから発行済みのMEMS関連規格は27件で日本提案が12件、韓国提案が13件、中国1件、ドイツ1件となっており、現在審議中が7件あります。審議中の案件には日本・韓国が2件づつ、中国3件となっています。

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写真4 熱心な議論
                                 

 最後に懇親会での乾杯の挨拶 として、マイクロマシンセンター副理事長の青柳桂一氏から熱心にご参加、ご議論して頂いた方々へのお礼、また中締めのご挨拶として、毎回ご参加頂き、熱心に議論して頂いているSPPテクロノロジーズのエグゼクティブシニアアドバイザーの神永氏から国際的な視野でのコメントがありました。(MEMS協議会 国際交流担当 三原 孝士)

                  
 

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2017年1月 4日 (水)

マイクロマシンセンター平成28年の10大ニュース

 
                 新年あけましておめでとうございます。
               
                 昨年は国内では熊本震災をはじめとする災害や多くの悲惨な事故・事件などが、そして海外でも多くのテロや紛争、英国のEU離脱、米国や韓国の政治情勢など、いろいろなことがありました。尻上がりに経済は良くなりつつありますが、波乱の中での年明けには違いありません。そのような中においても、IoT/CPS技術はここ数年の進展がさらに加速され、それらの実装が急速に進むことで、産業・社会の姿を大きく変えていくものとされています。
               
                 それらIoT/CPSのフロントエンドを支えるのが、スマートセンシングの技術です。当マイクロマシンセンターは四半世紀にわたり、まさにこのスマートセンシングに必須のナノ・マイクロ技術分野における研究開発や普及促進等を担ってきています。その中核を成すMEMSデバイスについては、ヨール社(仏)によれば、スマホや自動車用途が世界市場をけん引し、2015年の120億ドルから2021年には200億ドルと、年率約9%で伸びるとされています。特にスマホなどに単独で入れられるセンサに加えて、医療用や産業用などのIoTシステムに連なるスマートセンシング分野や、それらを支えるエネジーハーベスタなどが大きく伸びると見られています。
               
                 当センターでは、6年前に着手したグリーンセンサ・ネットワークのプロジェクトを皮切りに、道路やライフラインのインフラモニタリングシステムなど、MEMSによるスマートセンシングシステムの研究開発を行っています。さらに、このIoT時代に対応するために一昨年に発足したスマートセンシング&ネットワーク研究会において、様々なIoT関連のプロジェクト立案などを行ってきました。その結果を受けて、昨年からは、経産省/NEDOによるIoT横断技術開発の一環として、エナジーハーベスタも含む学習型スマートセンシングシステム(LbSS)の開発をスタートさせ、広くIoTシステムに応用されるようなスマートセンシングのデファクト的な技術開発を目指しています。
               
                 また、最先端のMEMSデバイスの試作開発を担う拠点として発足した、マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)の運営も6年目に入り、センター自らが行う研究開発のみならず、MEMSデバイスユーザーによる試作開発ファンドリとしての利用が大きく伸びつつあります。
                当センターとしましては、本年もMEMS/スマートセンシング技術の開発や普及に真摯に取り組み、我が国のIoT/CPS推進に微力ながらも貢献してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。
               
                 皆様方には以下の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。
               
                < 10大ニュース>
                (1) NEDO公募事業「IoT推進のための横断技術開発プロジェクトに提案の「学習型スマートセンシング(LbSS)の研究開発」が採用され、プロジェクトを開始して精力的に推進」
               
                 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」において、技術研究組合NMEMS技術研究機構が提案した「超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステム(LbSS:Learning                based Smart Sensing System)の研究開発」が採択されました。
               
                 本研究開発では、工場等の設備の稼働状況等の把握を目的とするスマートセンサモジュール、高効率MEH(Micro Energy Harvester)などの自立電源、及びスマートセンシングフロントエンド回路を開発し、動的センシング制御可能な無給電のスマートセンサ端末を実現します。さらに、同時に開発する学習型スマートコンセントレータとの連携により、従来の環境発電で収集可能な有価情報量を100倍化することを可能とする学習型スマートセンシングシステムの基盤開発と実証を行います。
               
                 その概要及びキックオフの様子は以下を参照ください。
                http://www.nanomicro.biz/mems/2016/07/index.html
               

                (2) ナノ・マイクロビジネス展をIoT時代の到来に合わせてリニューアルし、9月にパシフィコ横浜でMEMSセンシング&ネットワークシステム展として成功裡に開催(2017年は10月に幕張メッセでCEATECと同時開催
               
                 MEMSセンシング&ネットワークシステム展として名称と開催時期を変更しリニューアルした本展示会には多数の皆様のご来場を頂きました。同時開催の報告会、シンポジウムも盛況のうちに実施することができました。2016年9月14日(水)                から16日(金)までパシフィコ横浜で開催された「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2016」は、3日間の開催期間を終え、盛況の内に閉幕しました。
               
                 今回も各ブースには多くの来場者が訪れておりましたが、セミナー会場にも多くの聴講者にお出で頂き、立ち見が出るなど関心の高さが見て取れました。
               
                 最終日には、第22回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムが13:30から16:30まで開催され、ここでも満員の聴衆が熱心に聞き入っておりました。
               
                 次回は2017年10月4-6日に幕張メッセでCEATEC JAPAN 2017と同時開催を予定しております。
               
                会期中の様子は以下を参照ください。
                (初日) 
               
http://www.nanomicro.biz/mems/2016/09/mems-2016-e738.htm
               
(2日目)
                http://www.nanomicro.biz/mems/2016/09/mems-2016-abd6.html

                (3日目)
                http://www.nanomicro.biz/mems/2016/09/mems-20163-e26e.htm
l
                第22回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムの概要は以下を参照してください。
                http://www.nanomicro.biz/mems/2016/09/mems-2016-5c96.html
               
                (3) スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会を本格的に開始し、3つのWGでの検討がそれぞれULPAC、LbSS、SSIの各研究の開始に繋がる
               
                 2015年10月にMEMS協議会の下に発足したSSN研究会では、新たなプロジェクトの立案を目指して、3つのWGを立ち上げて精力的に検討を行ってきました。そのうちのLbSSとSSIはそれぞれ(1)と(4)に記載しています。
               
                 「センサ端末同期用原子時計(ULPAC:Ultra-Low Power Atomic Clock)の研究開発」については、道路インフラモニタリングシステム(RIMS:ROAD                Infrastructure Monitoring System)の2015年度加速テーマとして採択され、2016年度以降もプロジェクト内で継続していくことが決まりました。
               
                 RIMSで用いられるようなセンサ端末群は、ネットワークを介して時刻同期をすることで、データ取得の正確な時間を把握し、かつ、データ転送の効率化を図っています。もし、その時刻同期を不要とすることが出来れば、ネットワークの構築や運用にかかる負担を大幅に低減することができます。そこで、正確な時を刻む原子時計をセンサ端末に搭載可能なサイズや消費電力、価格にすることが出来るかを解析や試作を通して、技術的に検討しています。
                 
                (4) 経済産業省のエネルギー使用合理化国際標準化委託事業の公募に採択され、「スマートセンシング・インターフェース(SSI)国際標準化プロジェクト」を本格的に開始
               
                 SSN研究会の中で、新たなセンサネットワークの市場創出を目指し、センサ端末における共通プラットフォームの標準化についてWGにて検討を行ってきました。その検討を受けて、スマートセンサと端末モジュール又は自立電源と端末モジュールをつなぐインタフェースに関する国際標準化をテーマに、経済産業省の平成28年度エネルギー使用合理化国際標準化委託事業の公募に提案を行い、3月末に採択が決定しました。今後、国際標準化規格作成に向け実証作業を含めて検討を進めています。
               
                (5) 日本開催が3回目となる第22回国際マイクロマシンサミットが5月、新宿において「高齢化社会におけるセンサ・MEMS」をテーマに成功裡に開催
               
                 国際マイクロマシンサミットは21年前の1995年にマイクロマシンセンターが提唱して始まり、その後は毎年同程度の規模で継続されている国際会議です。通常の学会と異なり、各国の代表が、産業政策や科学技術政策、教育まで含めて議論するのが特徴になっています。日本での開催は、第1回の京都、第8回の広島、今回の第22回が3回目になります。今回のサミットのテーマは、「高齢化社会におけるセンサ・MEMS」であり、健康・医療やライフスタイルに対応するマイクロシステムに関する話題が多く出されました。
               
                 次回(2017)の開催場所は26日の各国代表者会議で、スペインのバルセロナに決定されました。(2017年5月15-17日)
               
                 マイクロマシンサミットの会期終了後の技術ツアーとして筑波地区の最先端技術を巡るイベントを企画しました。最初にフジキン先端事業所で、半導体装置用制御機器の紹介があり、高度の流体制御技術を用いたチョウザメの飼育の見学でした。フジキンはニードルバルブの世界的企業ですが、この技術を応用した様々な事業に挑戦されています。午後の最初の見学はKEKのフォトンファクトリーです。特にSOR光を使った計測や分析は世界中の研究者が利用しています。また普段は見ることが難しい見学として筑波大学・バイオマス研究施設を見学しました。これは淡水の藻を育成してバイオマス材料として利用する試みです。再生エネルギー研究施設に多くの研究者が興味深々でした。最後は産総研・サイエンススクエアを見学しました。
               
                サミットの報告については以下を参考してください。
                http://www.nanomicro.biz/mems/2016/06/mms2016-ebba.html
               
                (6) MNOIC(マイクロナノオープンイノベーションセンター)の工程受託コースの需要が増大し、人的な体制も強化し産業界のニーズに対応
               
                 当センターの研究支援サービスMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター、つくば産総研内)は、事業開始後5年を経て、本格稼動ステージに進み、着実にユーザが増加し、我が国有数のMEMSファンドリーになりつつあります。工程受託の充実、研究施設の拡充、技術ノウハウの蓄積、人材育成を活動の柱として、産官学連携を通じたTIAのオープンイノベーション活動を強化しています。
               
                 また、人材育成に力を入れており、8月には2016MNOIC実習講座「インフラおよび産業機器モニタに利用可能な、MEMSセンサの回路・システム実習」を実施しました。
               
                これらの状況は以下を参照ください。
                http://www.nanomicro.biz/mems/2016/08/2016mnoicmems-a.html
               

                (7) RIMS/UCoMSが3年目のNEDOステージゲート・中間評価で高い評価を得て通過し、来年度より本格実証の段階に
               
                 2016.11.1に開催されたNEDO研究評価委員会「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」(中間評価)分科会において、「道路インフラ状態モニタリング用センサシステム開発(RIMS)」及び「ライフラインコアモニタリングシステムの研究開発(UCoMS)」の説明を行った。現在これらの評価が行われており、2017年1月末ころには結果が決まる予定です。
               
                (8) MEMS関連の標準化について、IEC/TC47に振動発電関係の新提案を出すなど、引き続き日本がリード、また、東大の鈴木先生がTC47/WG7のコンビナに推挙され、さらに神戸大の磯野先生がIEC1906賞を受賞
               
                 IEC/TC47技術委員会傘下の、今後発展が期待される半導体デバイス分野であるWG6および、エナジーハーベスティング、エネルギー変換・伝送分野であるWG7のアドホック会議が、2016年4月6日から8日まで、中国・北京にて開催されました。議題としては、2015年10月の、ベラルーシ・ミンスクでの全体会議の審議状況の報告、および現在審議中の規格案について、コンビナから報告の後、意見交換が行われました。
               
                 IEC/TC47技術委員会傘下の、MEMS関連の分科会であるSC47Fのアドホック会議が、2016年6月9日から10日まで、中国・成都にて開催されました。議題は、WGと同じく、ベラルーシ・ミンスクでの全体会議の審議状況の報告、および現在審議中の規格案について、コンビナから報告の後、意見交換が行われました。この中で日本からの提案である「MEMSエレクトレット振動発電デバイス(PL:東京大学 鈴木雄二教授)」が現在CDV回付中である旨の報告がなされました。また、Future                workとして、神戸大学 神野伊策教授からMEMS圧電薄膜の信頼性評価についてのプレゼンテーションが行われました。
               
                 IEC/TC47技術委員会の国際会議が、2016年10月3日から7日まで、ドイツ・フランクフルトにて開催されました。ここでの議案は、2015年10月の、ベラルーシ・ミンスクでの全体会議の審議状況の報告、および現在審議中の規格案について、コンビナから報告の後、意見交換が行われました。Future                workとして、東京大学 鈴木雄二教授から「低消費電力電子機器向けの力学的環境発電デバイスの試験方法」についてのプレゼンテーションと、今後の日本からの環境発電に関する提案予定が示しました。
               
                 また、神戸大学の磯野教授は長年にわたり、IEC/TC47/SC47Fにおける国際標準化開発のプロジェクトリーダー及びエキスパートを務めてこられ、規格案作成・提案から標準化審議のフォローまで一貫して関われた功績が認められ、IEC1906賞を受賞されました。
               
                 東京大学の鈴木教授も長年のIEC/TC47での貢献が認められ、WG7のコンビナーに推挙されています。
               
                IEC/TC47/WG6,7アドホック会議(4月6-8日)の概要は以下を参照してください
                http://www.nanomicro.biz/mems/2016/04/iectc47wg6768-0.html
                IEC/TC47/SC47Fアドホック会議(6月9-10日)の概要は以下を参照してください
                http://www.nanomicro.biz/mems/2016/06/iectc47sc47f691.html
                IEC/TC47/技術委員会の国際会議が(10月3-7日)の概要は以下を参照してください
                http://www.nanomicro.biz/mems/2016/10/iec-tc47104-7-a.html
               
                (9) エネルギー・環境先導研究で実施中のMEHとIRiSが、2年間で良好な成果を出しつつあり、最終段階を迎える、共にイノベーションジャパン2016への出展が好評
               
                 イノベーションジャパンは2016年で13回目となる国内最大規模の産学マッチングイベントであり、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催し、8月25-26日に東京ビッグサイト西1ホールで開催されました。
               
                 このイノベーションジャパン2016に「高効率MEMS振動発電デバイス先導研究(MEH)」と「革新認識システムの先導研究(IRiS)」が出展しました。それぞれ、パネル展示、デモンストレーション、プレゼンテーションを行い、来場者からは好評を得ました。
               
                プロジェクトの概要は以下を参照ください。
                http://www.nanomicro.biz/mems/2016/07/2016mehiris825-.html
               
                (10) 先端技術交流会、MEMS講習会、海外調査報告会等各種イベントを好評裡に開催し、普及啓発活動が順調に推移
               
                 第4回MEMS協議会海外調査報告会を2016年1月21日に新テクノサロンで開催し、約40名の方にご参加いただきました。このイベントはマイクロマシンセンター/MEMS協議会(MIF)が行っているMEMS関連の海外調査及び国際標準化の状況について報告するものです。毎年のように北米や欧州を中心に学会等のイベント、海外の大学や研究施設、関連企業の訪問見学を行ってきましたが、今回は特に特別報告として世界の家畜に関連する報告を企画致しました。
               
                 第31回マイクロナノ先端技術交流会を2016年3月2日に新テクノサロンで開催しました。今回は「嗅覚センシングの新たな可能性について」と題しまして、生産ラインなどの整った環境から屋外へと活躍の場を広げている匂いセンシング技術につきまして、東京工業大学精密工学研究所の中本教授から「ロバストにおいセンシングシステム」、九州大学味覚臭覚センサ研究開発センターの小野寺准教授より「においを図るバイオセンサシステムの開発」と題しましてご講演いただきました。
               
                 第32回マイクロナノ先端技術交流会を2016年9g津20日に新テクノサロンで開催しました。今回は「バイオとエレクトロニクスの融合の新展開、サブタイトルとして、「生体とデバイスのしなやかで細やかな出会い」と題して、人とデバイスをつなぐ最新の取組みを、東京大学生産技術研究所教授の藤田博之先生から「MEMSとバイオの融合ナノシステムの取組み」、東京大学工学研究科教授の染谷先生からは「人と機械を調和する伸縮性エレクトロニクスの最善性」と題してご講演をいただきました。
               
                 2016年10月21日に一般財団法人マイクロマシンセンター(MMC)の新テクノサロンにおいて、第26回MEMS講習会「IoTを支えるセンシング技術、”見える化“                に取り組むIoT活用事例」を開催致しました。MEMS講習会は、MEMS協議会に所属するMEMSファンドリーネットワーク企業を中心に企画され、都内と地方都市で年に1回ずつ開催しています。
               
                第4回MEMS協議会海外調査報告会の概要は以下を参照してください。
                http://www.nanomicro.biz/mems/2016/02/4121-4e83.html
                第26回MEMS講習会の概要は以下を参照してください。
                http://www.nanomicro.biz/mems/2016/10/26mems-3687.html
               

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2016年12月 8日 (木)

IIIAE2016参加報告およびIAES Paper Award受賞報告

2016年12月5日から8日の間、京都テルサを会場としてAE(Acoustic Emission)に関する国際会議であるIIIAE2016が開催された。本国際会議は、欧州のAE関連の国際会議である8th International Conference on Acoustic Emissionと、同じく日本におけるAEの国際会議である23rd International Acoustic Emission Symposiumの共催として開催された。また、別報にもある通り、現在AEに関する学会活動をとりまとめる団体として、欧州のEWGAE(European Working Group of Acoustic Emission)、米国のAEWG(Acoustic Emission Working Group)に続き、日本における拠点としてIIIAE(International Institute of Innovative Acoustic Emission)が新たに設立され、IIIAEの設立記念を兼ねての開催となった。Organizing CommitteeのChairは京都大学の塩谷教授が務めた。
表1にIIIAEのセッション一覧および講演およびポスター発表の件数を示す。最大の件数を集めたのはCivil Engineeringのセッションであり、件数順にAE & Related NDT、Materials Scienceと続く。この傾向は、日本側の主催団体である土木学会や日本非破壊検査協会、日本コンクリート工学会などの、土木および非破壊検査を主な活動領域とする方々の参加が多かったためと推定される。講演件数は少ないものの、Medical Scienceのセッションもあり、AEの活用範囲の広さがうかがえる。

表1 セッション一覧および講演件数

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図1に講演およびポスターセッション発表者の国別一覧を示す。最大の参加者を集めたのは開催国の日本であるが、総数における日本の割合は半数を若干下回っており、欧州をはじめとして幅広い国の参加者を集めていた。

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図1 講演およびポスター発表者の国別人数

RIMSからは、高峯氏が京都大学インフラ先端技術共同研究講座およびNEXCO西日本と連名で「Efficient Damage Inspection of Deteriorated RC Bridge Deck with Rain-induced AE Activity」と題して、雨によって励起されるAEを用いたRC床版の効率的な非破壊検査手法について発表した。本発表の内容は、既に内部き裂が生じている床版の損傷を検査する手法として、継続的なAEモニタリングを必要とせず、雨滴を利用して10分程度の間に内部き裂を明らかにすることが可能であり、今後の床版検査への適用が期待されている。また、同じく大森が東京大学IRT研究機構と連名で「Elastic Wave Measurement using a MEMS AE Sensor」と題して、MEMS AEセンサであるSA(Super Acoustic)センサを用いたペンシルリードブレイク試験の位置標定精度を検証した内容を発表した。アルミニウム板上に設置したSAセンサを用いて、ペンシルリードブレイクの波形を受信し、受信波形のウェーブレット変換から、受信したLamb波の種類およびSAセンサを用いた位置標定の精度を評価した内容である。今後のSAセンサの実フィールド検証において、位置標定および受信波形判別は損傷評価を行う前提となる重要な情報である。また、Invited Talkとして、東京大学下山教授より「Super-acoustic Sensor for Bridge Health Monitoring」と題してSAセンサの研究状況についての講演が行われた。
結果、大森の投稿論文が査読時の委員によるpeer reviewで最高点を獲得し、IAES Paper Awardを受賞した。写真1にBanquetでの受賞告知の様子を示す。また、写真2に表彰式で京都大学塩谷教授より賞を受領した際の写真を写真3に受領したIAES Paper Awardの賞状を示す。RIMSにおける研究開発の成果が学術的にも高い評価に値することが認められ、非常に喜ばしいことである。

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写真1 BanquetでのIAES Paper Award告知

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写真2 表彰式で塩谷教授と握手する筆者

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写真3 受領したIAES Paper Awardの賞状

その他、講演の聴講で印象に残った発表について以下に示す。
T. Nishida et al., Damage Evaluation of RC Bridge Deck under Wheel Loading Test by Means of AE Tomography
京都大学西田准教授の講演で、床版の疲労試験として広く用いられている輪荷重試験の試験進展に従って、床版に入った損傷の様子を3D AEトモグラフィによって可視化した内容であった。輪荷重試験によって進展する損傷と、AEトモグラフィにより示唆される損傷進展領域は良い一致を示しており、AEトモグラフィ法の有用性を再確認できる好例である。

H. Asaue et al., Evaluation of Water Leakage Repair by One Side Access Elastic Wave Tomography Using Rayleigh Wave
京都大学麻植准教授の講演で、漏水によって損傷を受けたコンクリート構造物の補修前後において、表面打撃によってレーリー波を励起し、AEトモグラフィにより補修の効果を可視化した内容であった。補修により速度場が全体的に速い方向に移行しており、AEトモグラフィにより補修効果の確認がなされていた。

S. Fukumoto et al., Three-dimensional source location by water propagating waves in the hydraulic test of CFRP pressure vessel
株式会社IHI検査計測福本氏の講演で、CFRP製の圧力容器において、圧力容器表面に複数設置したAEセンサから、水圧試験によって発生したAEの3次元位置標定を行った内容であった。特徴として、CFRP容器ではなく、水中を伝わるAEによって3次元位置標定を行っており、社会インフラ分野で広く用いられる圧力容器の損傷位置を調べる方法として興味深い内容である。

E. Suarez et al., Influence of an optical fiber embedded on unidirectional CFRP laminates evaluated with the Acoustic Emission and 3D Digital Image Correlation techniques
グラナダ大学Suarez氏の講演で、CFRP内に光ファイバ型のセンサ(FBGセンサ)を埋め込んで外力が与えられた際に、外力によって光ファイバ周辺に損傷が発生し、AEが発生する様子と、デジタル画像相関法(DIC法)によるひずみ分布を比較した内容であった。荷重の方向と光ファイバ配置方向が直行している場合、光ファイバ周辺に応力集中が発生していたが、同じ方向であれば応力集中は発生しなかったとのことであった。FBGセンサはCFRPに適用されるセンサとして広く研究開発が行われているが、埋め込みには注意を要することを示す事例である。

O. Ley et al., Recent advances in structural health monitoring using acoustic emission
Mistras GroupのLey氏の講演で、AEを用いた構造ヘルスモニタリングの近年の進展について、2007年に行われた橋梁のeyebarのき裂モニタリングおよび、2011年に行われたコンバインドサイクルの発電用タービンブレードに発生したき裂のモニタリングの事例を紹介したものであった。タービンのモニタリングについては、Acoustic Combustion Turbine Monitoring System (ACTMS)として実用に供されており、数か月のモニタリングの末、タービンブレードの損傷が発見されたとのことであった。エネルギー分野にもAEの適用が進んでいることを示す好例である。

(NMEMS技術研究機構 大森 隆広)

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IIIAE2016出展およびTechnical Exhibition Award受賞


 2016年12月6日(火)~ 12月8日(木)に京都テルサにおいてIIIAE2016(http://iiiae.org/iiiae2016/index.html)が開催され、そのTechnical Exhibitionに出展してRIMSの研究成果の広報を行いました。また、参加者の投票によって最優秀展示に贈られるTechnical Exhibition Awardを受賞しましたので、以下にご報告致します。

 International Institute of Innovative Acoustic Emission (IIIAE) はこれまで3つの組織(Acoustic Emission Working Group (AEWG), the R & T Committee on AE of Japanese Society of Non-Destructive Inspection, aka, Japanese Committee on Acoustic Emission (JCAE), European Working Group on Acoustic Emission (EWGAE))でそれぞれ独自に活動していたアコースティックエミッション関連の活動を統一して実施するために組織された世界組織であり、今回その第1回目の国際会議としてIIIAE2016が開催されました(写真1:IIIAE2016の入口看板)。

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     写真1 IIIAE2016の入口看板


 国際会議の方は別途報告致しますが、併催されました技術展示会(Technical Exhibition)にNMEMS技術研究機構として3小間出展し、RIMSプロジェクトの広報を行いました。RIMSの概要説明として英語パネル18枚とパワーポイントによる説明及びセラミックパッケージとPZT/Si面パターンシートのサンプルの展示並びにスーパーアコースティック(SA)センサのデモ展示を行いました。(写真2:NMEMS技術研究機構出展ブースの全景、写真3:展示ブースでの説明の様子)。

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  写真2  NMEMS技術研究機構出展ブースの全景

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     写真3  展示ブースでの説明の様子


 IIIAE2016の参加者は200名弱で多くはなかったですが、アコースティックエミッション(AE)関連の学会であったため、写真3に示しますように、SAセンサのデモ展示には興味を持って参加者が来場され、密度の濃い意見交換ができ、RIMSプロジェクトの成果をアピールできたと存じます。


 また、IIIAE2016参加者による投票で最優秀技術展示に選ばれ、Technical Exhibition Awardを受賞しました。受賞式の様子を写真4、賞状を写真5に示します。RIMSの成果が高く評価された結果と存じます。

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 写真4 授賞式において京大塩谷特定教授とNMEMS今仲理事長

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 写真5 IIIAE2016 Technical Exhibition Awardの賞状


   (技術研究組合 NMEMS技術研究機構 武田宗久)



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2016年11月23日 (水)

欧州橋梁モニタリング実態調査報告


 日本より先行して様々な活動が行われている欧州(イギリス、オランダ)における橋梁モニタリングの現状を把握するため、2016年11月15日(火)~ 11月23日(水)に下山リーダを団長とする8名の調査団(写真1、五十音順:芦塚憲一郎、伊藤寿浩、茅野茂、塩谷智基、下山勲、武田宗久、中嶋正臣、渡部一雄)を組んで、欧州橋梁モニタリングの実態調査を行った。

   写真1 調査団一同とCPSのJulieさん

 

 今回調査したのは、次の組織と橋梁である。
  • CPS及びXEIAD社(イギリス、ロンドン)
  • Queen Elizabeth II Bridge(イギリス、ロンドン)
  • Epsilon Optics社(イギリス、ロンドン)
  • Edinburgh大学(イギリス、エディンバラ)
  • Forth Bridge及びForth Road Bridge(イギリス、エディンバラ)
  • TNO(オランダ、デルフト)
  • Van-Brienenoord Bridge(オランダ、ロッテルダム)
 以下に各調査先での調査結果の概要を報告する。

(1)CPS及びXEIAD社訪問とQueen Elizabeth II Bridge調査

 イギリスでは遠望目視による一般点検の頻度は1回/2年、近接目視による主要点検の頻度は1回/6年が義務付けられ、地方は英国道路庁の基準を準用することとされている。英国道路庁は点検を管理エージェントに委託し、地方はインハウスエンジニアが実施する。

 CPS(Connect Plus Service)は、ゼネコン、コンサル会社等の4社からなるコンソーシアムであり、M25(イギリス国内の全交通量の15%を占める主要幹線道路)に関連する路線の維持管理・保守点検業務に関する30年間の契約を2009年に英国道路庁と結んでいる。

 XEIAD社は、CPSの下、ロープによるアクセス、水中ダイビング等の特殊な技能を要する点検に特化した土木コンサルタントである。

 今回の訪問では、CPSのSteve Pattrickアセットマネージャー及びXEIAD社のOlivier Garrigue CEOをはじめとするメンバーにご対応いただき、RIMSの取り組み等のご紹介やモニタリングシステムのご提案とともに、CPSの管理下にあるQueen Elizabeth II Bridgeの実態を調査した。

 Queen Elizabeth II Bridgeは、ロンドン東部においてテムズ川を渡る全長450mの斜張橋である(写真2の左)。振動、変位、温度の計測のためのセンサが2014年から一部に設置されているが、高さ30mのコンクリートの橋脚(写真2の中央)やジョイント部(写真2の右)裏側の点検は、高所でのロープアクセスによる点検が必要となっており、我々のコンセプトである設置が容易なセンサによる常時モニタリングに対して高い関心が示された。

  写真2 Queen Elizabeth II Bridge
  (左:全景、中央:橋脚、右:ジョイント部)

 

(2)Epsilon Optics社訪問

 Epsilon Optics社は、構造設計と光ファイバセンサによる計測技術を組み合わせることで、土木、海洋、航空宇宙等の様々な分野へモニタリング技術を提供していることから、同社とのミーティングをセットし、イギリスにおけるモニタリング技術の適用実態に関する情報収集と意見交換を行った。

 Epsilon Optics社は、光ファイバセンサ自体の開発は行っていないが、光ファイバセンサに対するパッチのアセンブリ(写真3)等を通して様々な分野に実装し、モニタリングに関する幅広いノウハウを有していることを強みとしている。その実績は、イギリス国内にとどまらずグローバルなもので、対象も橋梁やトンネルにおけるクラックのモニタリング、ヨットのキールや飛行機の着陸装置への負荷のモニタリング等幅広く、RIMSプロジェクトの将来のビジネスモデルとして参考となるものであった。

 写真3 Epsilon Optics社による光ファイバセンサのアセンブリ

 

(3)Edinburgh大学訪問

 Edinburgh大学では、コンクリートなどのインフラ主要構造部材を対象とした非破壊検査技術の世界的権威であるMike Forde教授の元を訪問し、RIMSの取り組み等をご紹介するとともに、Mike Forde教授に企画いただいたラボツアーに参加した。

 Mike Forde教授には、我々の取り組みに関心を持っていただき、団長の下山教授に訪問に対する感謝状が渡された(写真4)。ラボにおいては、コンクリートの崩壊を模擬するための圧縮装置にAE(Acoustic Emission)センサを取り付け、崩壊過程を解析する取り組みや(写真5)、更に医療のCTを組み込み、X線を加えた4D化を試みるといった最先端の研究紹介がなされ、橋梁モニタリングへの応用が示唆されるなど、有意義なものであった。

   写真4 Forde教授から下山団長への感謝状(左)
   写真5 ラボツアーの様子(右)


(4)Forth Bridge及びForth Road Bridge調査

 2015年に世界遺産リストに登録されたForth Bridge(写真6)は、エディンバラ近郊のフォース湾に架かる鉄道橋である。全長2530mのカンチレバートラス橋で1890年に完成している。

   写真6 Forth Bridge

 

 Forth Bridge に並行して架かるForth Road Bridgeにおいては、定期点検の結果、2004年に大規模な腐食が主懸架ケーブルを構成するストランドに発見された。これを受けて、新たな橋梁としてThe Queensferry Crossingが2016年中の開通を目指して建設が進められている(写真7)。

 写真7 Forth Road Bridge(右)とThe Queensferry Crossing(左)

 これら3橋梁にはいずれもモニタリング用のセンサが取り付けられている。例えば、Forth Bridgeにおいては、包括的な構造モニタリングシステムが2002年に実装されており、リニア変位変換器、回転ポテンショメータ、傾斜計、温度センサとひび割れ検知を含む様々なセンサが備えられ、支承可動部の動きに加え、中央タワーおよびスパン接続部の3軸方向(垂直・水平方向および回転)の変位を検知することができる。しかしながら、いずれの橋梁においても信頼性のある無線センサがないことから確実な有線センサを用いているのが現状であり、我々がターゲットとしている無線化や自立電源化に関しては、現場では未だ適用されていない状況が確認できた。

(5)TNO訪問

 TNO (オランダ応用科学研究機構(the Netherlands Organization for Applied Scientific Research) )は、オランダ議会によって1932年に設立された 欧州では最大規模を誇る中立の総合受託試験研究機関である(写真8)。今回の訪問では、インフラ関連のプログラムディレクタであるPeter-Paul van't Veen氏をはじめとする7名でご対応いただき、双方の道路インフラモニタリングの取り組みを紹介しあうとともに意見交換を行った。また、デルフト大学の一角に開設されたTNOのOptics Labも見学させていただき、光ファイバセンサのデモ等、産学連携での取り組みの一端もご紹介いただいた。

 双方の課題認識が共通していたためか、帰国後すぐにTNOから共同での継続検討についての申し入れがあるなど、RIMSの国際展開に向けての足掛かりとなる成果を残すことができた。

   写真8 TNO玄関での記念撮影

 

(6)van Brienenoord Bridge調査

 ロッテルダムのvan Brienenoord Bridge(写真9)はオランダ国内で最も交通量が多いA16高速道路の一部である。

    写真9 van Brienenoord Bridge

  ブリッジの固定部分の約30m2の領域、拡張ジョイントの近傍の低速レーンの下に、ひずみゲージに加え、16個のAEセンサがTNOにより装備されている。最初のモニタリングは、2013年7月から開始されている。センサからのデータ転送には、ここでも無線通信は用いられておらず、50mのケーブルを使用して各センサを個別に接続しており、大量のケーブルが引き回されていることが印象的であった(写真10)。

 写真10 モニタリングの様子
(左:ひずみゲージの施工、右:ロガーに集まるケーブル)


今回の調査で、欧州(イギリス、オランダ)の橋梁モニタリングの実態を把握することができた。また、下山団長から各所でRIMSの紹介をしていただき、RIMSの活動を関係者に理解いただいて広報が図れた。我々の開発している技術にも興味を持って頂き、今後欧州での実証実験、その後のビジネスにおける協業を視野にいれて、今回の訪問先とは引き続き連携を図る予定である。

(NMEMS欧州橋梁モニタリング実態調査団:芦塚憲一郎、伊藤寿浩、茅野茂、塩谷智基、下山勲、武田宗久、中嶋正臣、渡部一雄)


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2016年11月 2日 (水)

IEEE Sensors 2016 参加報告(2)

                   今年のIEEE Sensorsは、米国フロリダ州オーランドで10月30日〜11月2日に開催され、以下のようなセンサ各分野の最新の成果が発表されました。

                    •センサアプリケーション
                    •センサネットワーク
                    •センサ/アクチュエータシステム
                    •機械的および物理的センサ
                    •光学センサ
                    •化学およびガスセンサ
                    •現象、モデリング、評価

                   会場は、オーランドの南部に位置するCaribe Royale Hotelのコンベンションセンターにて開催され、42カ国からの参加がありました。                   

                  

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       図1 学会会場 

 会議は、国防総省先進研究プロジェクト庁(DARPA)のトロイ・オルソン博士からのプレナリーで始まり、博士は既存のワイヤレスセンサシステムの限界を指摘していました。また、ワイヤレスセンサの寿命を数年に延長すると期待される新しいアプローチとコンポーネント技術を実証していました。
                  
 プレナリーの後、様々なパラレルセッションとポスターセッションが行われました。バイオメディカルアプリケーション用のウェアラブルセンサへの強い関心がみられました。 2件目のプレナリーでは、シンガポール国立大学のChwee Teck Lim教授による、さまざまな身体の動きを監視し、リハビリテーションプロセスに応用するための柔軟で着用可能な液体ベースの抵抗性マイクロ流体センサについて講演が行われました。Twente大学のPaul Havinga教授は、センサネットワークとリアルタイム動物追跡によって、密猟者から動物を守る方法についての講演を行っていました。追跡センサは人間または動物に限らず、ロボットのためのさまざまな例も示されました。最も革新的だった講演の1つが、グラスゴー大学のRavinder Dahiya教授のヒューマノイドロボットと一体化した薄膜のフレキシブル電子皮膚についての講演でした。このような電子皮膚は、薄膜圧力センサのアレイから構成され、周囲の環境とロボットをより良く統合することを今後可能にしていくと予想されます。
                  
 最終日はRIMSプロジェクトで開発された、SHMのためのフレキシブルセンサーアレイに関連する成果の発表を行いました。著者のダニエルは、印刷ひずみセンサアレイの研究開発成果をポスターセッションで発表し、センサネットワークセッションでは、山下研究員が極薄PZT/Si圧電ひずみセンサアレイについての招待講演を行いました。PENフレキシブル回路基板への極薄PZT/Siの転写、配線プロセスについて解説し、高速道路橋でのリアルタイム測定のデモンストレーションも行いました。
                  
 来年は英国のグラスゴーで、再来年はインドのニューデリーで開催される予定です。
                  

                  

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図2 印刷ひずみセンサアレイのポスター発表(ダニエル発表)                   

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   図3 山下研究員による招待講演

                  

 

                  

(技術研究組合NMEMS技術研究機構 Daniel Zymelka)

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IEEE Sensors 2016参加報告(1)

 1999年に設立されたIEEE Sensors Councilが、センサ、およびその関連技術に関する最も主要な国際会議として2002年より毎年開催しているIEEE Sensors 2016に参加し、RIMSの研究開発で得られた成果を発表するとともに関連研究の動向調査を行ってきた。

 第15回となる今回は2016年10月30日(日)から11月2日(水)を会期として、アメリカ・オーランドのCaribe Royale Hotel and Convention Centerで行われた。

 投稿論文数は1049件で、これは2010年以降の同学会の中では2番目に多い数であった(1番は2010年にハワイで開催された回で1082件。今回もそうだが、リゾート地で開催されると投稿数が伸びる傾向は否めない)。採択論文数は口頭発表が198件、ポスター発表が420件で、採択率は例年と同様に6割以下であった。基調講演は、アメリカ国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency, DARPA)のTroy Olsson氏の”Event Driven Persistent Sensing: Overcoming the Energy and Lifetime Limitations in Unattended Wireless Sensors”と題した、IoTを実現するための10nW以下の超低消費電力デバイスによるネットワークシステムに関する試み、シンガポール国立大のChwee Teck Lim教授の”Highly Flexible and Wearable Microfluidic Sensors”と題した、液体状の導電性材料とエラストマーで構成されたウエアラブル向けのフレキシブルセンサに関する内容、オランダ・トゥウェンテ大のPaul Havinga教授の”Pervasive Systems, Sensor Networks, IoT – Animal monitoring and poacher detection using wireless sensor networks”と題した、センサネットワークを駆使した密猟からの動物の保護に関するアプローチの3件、招待講演は筆者の発表も含めて18件であった。

 本年も昨年に引き続き、Live Demoという試みが行われていた。これは、ポスターセッション会場に、希望した研究者がセンサなどのデモ機を持ち込んで展示するシステムであり、聴講者に対してデモ機を交えてより具体的な説明が可能となっていた。
 また、これも昨年からの引き続きで、各セッションの座長とそのセッションでの口頭発表者が朝食をとりながら打ち合わせをできる時間が毎朝設けられていた。フランクな場で事前に座長に自身の研究背景や内容の理解の助けとなる説明をできるため大変重宝した。
 さらに、本学会は複数会場でのパラレルセッションで進行されるため、聴講したい発表が同時刻に重なった場合を考慮して、発表者のスライド資料と音声は録画・録音されており、本人の承諾を得られた発表に関してはWebで有料公開している(学会参加者は、会期終了後の数日間は無料でダウンロードできる特典がある)。聴講者にとっても聞き逃し防止になるが、発表者にとっても自身の研究を広く公開できるシステムである。
 
 さて、筆者らはSensor Network, Application and IoTのセッションで”Ultra-Thin Piezoelectric Strain Sensor Array Integrated on Flexible Printed Circuit for Structural Health Monitoring”と題して、これまで開発を行ってきた極薄圧電ひずみセンサをフレキシブルシート上にアレイ状に転写して実装し、鋼橋に貼り付けて車両の通行によって発生する動ひずみのモニタリングに成功した内容を招待講演として口頭発表した。聴講者からは、圧電ひずみセンサのゲージ率はどれくらいか?という質問があったが、筆者らが使用しているセンサは圧電タイプであるためゲージ率という特性はなく、センサの感度を回答した。やはりひずみセンサとしてはひずみゲージが一般的によく用いられるためゲージ率に関する疑問が生じたのだと考えられる。しかしながら、導体の抵抗変化からひずみ量を換算するひずみゲージはその動作に電力が必要であるが、圧電タイプのひずみセンサはセンサの動作そのものには電力を必要としないという利点があるので、動作原理も含めてより広く発信していきたい。他に、導電性ペーストによる上下電極のショートを防ぐために印刷している絶縁性ペーストはどのような材料のものか?という質問もあった。本研究ではエポキシ系の樹脂を使用しているが、ファインパターン用の高粘度絶縁性ペーストはそれほど需要がないこともあって市場にあまり出回ってないことから質問があったのだと考えられる。しかしながらスクリーン印刷という低コストのプロセスで広い面積に対して一度に絶縁を取れる本手法は聴講者の興味を引くようで、他の学会でも同様の質問を受けたことがある。すでに特許化している技術であるので、このプロセスに関しても広く周知したいと考える。
 会議全体を通しては,例年の各種センサ・アプリケーションのセッションに加え、本年は特別セッションとしてフレキシブル・ウェアラブルセンサや3Dプリンテッドセンサ、エナジーハーベスティング・低消費電力センサのセッションが新設されていた。これらのキーワードから思い浮かぶのは、IoTやトリリオンセンサを実現するキーテクノロジーであるということだ。この次世代センサネットワーク技術を達成するための鍵となるこれらテーマは今後ますます重要な研究課題となるであろうことから、上記セッションも非常に盛況であった。
以下に筆者が興味を持ったいくつかの発表の概要を記載する。

 (1) イギリス・Warwick大、Simon Leigh氏の招待講演: ”Polymer Composites for 3D Printing of Functional Sensors and Transducers”

 様々な機能性材料、例えば導電性・磁性・圧電性の材料を混合した3Dプリンタ用の素材を用いて各種センサを製造する研究に関する内容。プレゼンでも特に強調されていたのは、「センサのセンシング機能の部分に機能性材料の3Dプリンティング技術を取り入れようとしているにすぎず、決して回路基板等のすべてのパーツを3Dプリンティング技術でカバーしようとしているわけではない」ということであった。すなわち、回路基板などは既存のプリント基板製造技術を使い、一部3Dプリンティング技術を活用したハイブリッド製造であるということだ。これは筆者らが作製しているセンサアレイでも同様であり、センサの部分は高感度なシリコンベースの圧電構造を用いているが、基板の部分はフレキシブル材料や印刷技術を使っている。やはりそれぞれの技術には「できること」と「できないこと」があり、もちろん「できないこと」を「できること」に進歩させることも重要な研究ではあるが、スピード感を持って新規デバイスを開発する場面ではそれぞれの技術の「できること」をいかに上手く組み合わせるかが重要であると改めて感じた。また、圧電材料の3Dプリンティング技術による超音波センサの作製についての概要が述べられていたため、筆者らのセンサアレイ製造手法として応用できるかもしれない(圧電性高分子の配向方法などについて彼らの論文等をより詳しく調査する必要があるが)。

 (2) アメリカ・Case Western Reserve 大、Steve Majerus氏の招待講演: ”Wireless Bladder Pressure Monitor for Closed-Loop Bladder Neuromodulation”

 膀胱鏡内部に入れて使用するワイヤレス無線通信機能付きの微小な圧力センサに関する内容。生体用ということもあり、基板上に搭載されたMEMS圧力センサや無線通信用の回路やアンテナ部分もすべてPDMSモールドを用いたエポキシ系樹脂の埋め込みで保護されたデバイスであった。筆者らが作製しているセンサアレイは、センサ部分は極薄構造としているため耐候性フィルムを貼ることで保護するコンセプトであるが、無線通信やアンプ部は厚さが数mm程度のチップを使用しているため、現状ではフレキシブル基板上に集積することはできていない(耐候性フィルムを貼れない)。しかしながら、今後センサアレイのより簡便な施工性を目指す上ですべてのパーツをフレキシブル基板上に集積するコンセプトは 活かしたいため、極薄のセンサ部分はこれまで通り耐候性フィルムを貼ることで保護し、厚みのあるチップ搭載箇所は耐候性フィルムと同様の樹脂材料をモールディングで埋め込む加工技術を適用できるかもしれない。また、本デバイスはRFの無線給電用コイルも形成されており、小型バッテリーを遠隔で充電できる設計となっていた。現状では無線給電はまだ汎用的に用いることのできる技術ではないため、センサネットワークを構築する際はセンサ端末をいかに低消費電力とするか、という方向の議論が主となりがちであるが、今後より指向性や充電効率の高い無線給電技術が登場すればこのバッテリー問題の解の1つとなりセンサネットワークデバイスの応用領域も広がると考えられるため、それら技術の発展に期待したい。

(3) イギリス・Glasgow大、Ravinder Dahiya氏の招待講演: ”Large Area Electronic Skin”

 ロボットの皮膚に応用するための、センサをアレイ状に搭載した大面積フレキシブル基板の製造手法に関する内容。この研究においても筆者らと同様に新規のデバイスを開発するために有機・半導体材料をミックスしたハイブリッド構造によるアプローチが試みられている。具体的には、ポリイミド基板上にSU-8をスピンコーティングで塗布し、その上にシリコンウエハ上に作製したシリコンマイクロワイヤ構造をPDMSで転写する。その後、その転写したシリコンマイクロワイヤ上に銀ペーストのマイクロスポッティング技術でSource、Drain電極を形成し、絶縁性のUV硬化性樹脂をスピンコートした上に同様に銀ペーストでGate電極を形成してTFT構造を作製し、大面積のフレキシブル触覚センサとしている。極薄のシリコン構造を転写し、銀ペーストの塗布で電極を形成している点は筆者らの研究と類似しているため、このような製造手法はシリコンベースの極薄構造とフレキシブル材料とのハイブリッドデバイスを形成する定法として定着しつつあると感じた。一方で、他の研究機関が用いてる転写のプロセスは粘着性のあるPDMS等のゴム材料に写し取る手法がほとんどである。微細な構造を一括で転写できる点は優れているが、構造1点1点をアライメントしながら転写でき、極小支持構造で支えられた形状に加工することさえ可能なら本体形状の自由度は比較的高い筆者らの手法も広く普及させたい。

 このオーランドは市近郊にディズニー・ワールド(学会のバンケットもディズニー・ワールドの4大テーマパークの1つであるEpcotで開催された)やユニバーサル・リゾートなどのいくつものテーマパークやゴルフ場を有したアメリカでも屈指のリゾート地であり、気候も良く会期中は連日晴天であった。一方で、会場周辺のホテルはすべて中にレストランやショップを有したリゾートホテルであり、ホテルと各種テーマパークや空港とを車やバス・タクシーで移動することを前提とした交通網となっていた。そのため、ホテルの外に出て徒歩で移動することを想定した街づくりはされておらず、周辺はスピードを出した巨大なトレーラーが行き交うハイウェイに近い片側4車線の幹線道路だらけであり、横断歩道はもちろん、道路脇の歩道や 歩行者用信号も一切なかった。従って、この地域で学会が行われた際は学会会場のホテルに宿泊するのが吉である(筆者は会場から少し離れたホテルに宿泊したため、連日道なき道を歩き、命がけで歩行者用信号や横断歩道のない幹線道路を横断する羽目となった)。なお余談になるが、バンケット会場でお酒を飲もうとした際に年齢を確認された(筆者は35歳である)。とかくアジア人は若く見られがちであるので、盗難防止の意味も含めて飲食の際もパスポートは持ち歩くのが賢明である。

 次回は,2017年10月29日から11月1日を会期としてイギリス・グラスゴーで開催が予定されている。今回のオーランド同様日本からは少々遠いが、今後本格的なIoTやトリリオンセンサの時代が到来すると予想される中、それら技術を実現するセンサ端末・システム・アルゴリズム・アプリケーションなどを包括的に議論できる最大規模の国際会議であるため、自身も含めてぜひ有効に活用できればと考える。

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学会会場のプールサイドで行われたウエルカムレセプション

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Troy Olsson氏の基調講演

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Epcotで行われたバンケット

 

(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 山下 崇博)

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