活動全般

2023年7月12日 (水)

マイクロマシンセンター委員会、MEMS協議会活動報告について

 新型コロナウイルス感染症の沈静化により「5類」に引き下げられたことに伴い、MEMS協議会をはじめとするマイクロマシンセンター(MMC)の各種委員会活動(図1)も、対面形式での開催が徐々に復活して参りました。

 まず、6月13日に、産業動向調査委員会(委員長:東京大学 竹内昌治教授)を3年ぶりに対面開催(一部オンライン参加)し、議論の結果、我が国のMEMS業界の企業が事業撤退や買収などで、その顔触れも大きく変化してきていることなどから、今年度の調査テーマは「日本のMEMS関連事業者の動向に関する調査」と決まり、MEMS産業界の実態と今後の展望についてまとめることになりました。また、本委員会後、オンライン講演会「我が国MEMS関連産業/技術の今後の展望について」を開催し、「MEMS事業者連携委員会」発足のガイダンスを行いました。

 6月15日には、MMCの調査研究事業委員会(委員長:東京都市大学 藤田博之教授)をオンライン開催し、傘下の産業動向調査委員会、国内外技術動向調査委員会の前年度の活動報告と本年度の計画などが報告されました。また、これらのMEMS協議会委員会活動全般を統括する産業交流委員会を6月26日に書面開催し、MEMS協議会の2022年度活動結果と2023年度活動計画について、報告いたしました。

 さらに7月3日には、新型コロナウイルスにより国際交流が難しかったことから、流会となった年もあった国際交流委員会(委員長:東京大学 伊藤寿浩教授)を4年ぶりに対面で開催し、スマートセンシング&ネットワーク研究会(SSN研究会)や国際標準化活動に貢献する国際交流を行うなどの活動計画が議論されました。 

 さて、本年度新理事長に就任された西澤格理事長(MEMS協議会会長も兼ねる。株式会社日立製作所 執行役常務 CTO)と西澤新MEMS協議会会長からMEMS協議会副会長に指名された岡徹副会長(三菱電機株式会社上席執行役 開発本部長)、そして留任の伊藤寿浩副会長(東大教授)、長谷川英一事務局長(MMC専務理事)からなるMEMS協議会執行部の新体制(写真1)が発足しました。

 この新体制でのMEMS協議会推進委員会が、7月6日、4年ぶりの対面形式で、霞が関官庁街からもほど近い東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンスで開催されました(写真2)。
 まず、西澤会長による主催者挨拶があり、SSN研究会のWGで新プロジェクト立上げに努めていることや、MNOIC事業が工程受託を中心に着実に拡大していることなどを述べました。
 次に、経済産業省情報産業課長の金指壽様から、今、最も旬な政策の一つの「半導体・デジタル産業戦略検討会議」での議論結果を中心とした、我が国の半導体産業復活の戦略について触れ、その中でMEMSがその他重要分野の一つに加えられたことなどを紹介されました。
 その後、本年度のMEMS協議会活動についての議論に移り、センシング技術をIoT、AIなどと高度に融合させることにより、製造現場など多様な場面でセンサの活躍する場所が増えるだろうなど、多くの意見をいただくことが出来ました。

 この後、アソシエートメンバーと個人会員も含め約50名を超える参加者で行われたメンバー交流会では、産官連携研究の進め方やIoT社会の実現に必要不可欠なセンサについての基盤技術についての議論も活発に行われました。7月4日に着任されたばかりの清水英路デバイス・半導体戦略室長も、このメンバー交流会に急遽ご参加され、ご挨拶いただきました。
 やはり、対面での開催は、参加者の当事者意識を高め、参加者が互いの顔を対面で見ることで、話し合いに積極的に参加するようになるため、MEMS協議会推進委員会、MEMS懇話会など、より重要な委員会は、対面形式での開催を目指したいと思います。

MEMS協議会事務局 渡辺秀明

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図1 2023年度 委員会構成
(図をクリックで拡大)

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写真1 2023MEMS協議会執行部

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写真2 2023MEMS協議会推進委員会

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2023年4月 3日 (月)

マイクロマシンセンター 令和5年度事業計画について

 令和5年度事業において一般財団法人マイクロマシンセンターは、Society5.0の実現やDX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進に不可欠なマイクロマシン/MEMS分野及びスマートセンシング分野(以下、「マイクロマシン/MEMS分野等」という。)の一層の発展を支援するため、非営利セクターとしての利点を活かしながら、以下のとおり、基盤技術の研究開発、事業環境整備及び普及促進のための取組みを一層強化していきます。

1. MEMS協議会事業では、まず、MEMS分野におけるオープンイノベーション実践の我が国最大の拠点となったMNOIC(マイクロナノオープンイノベーションセンター)について、広範なユーザーからの多様な要望に応えていくことを目指して、更なる体制整備や活動強化に努めます。
 また、スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会においては、これまで実施してきたWG活動から、複数のナショナルプロジェクトが生まれるなど、一定の成果を上げてきましたが、本年度も産業技術力強化のためのプロジェクト提案を目指して研究会活動を推進します。

2. 我が国マイクロマシン/MEMS分野等のイノベーション創出に寄与し、Society5.0の実現やDX、GXの推進にも貢献すべく、本年度も、国/NEDO等が主導する以下の先端技術に係る研究開発プロジェクトや国際標準化の推進への取組みに参加します。

(1) 血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイス及び行動変容促進システムの研究開発(BaMBI)
   令和元年度~令和5年度

(2) 量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)
   令和元年度~令和5年度

(3) 薄膜圧電MEMSデバイスの寿命試験及び多方向折り曲げ信頼性試験方法に関する国際標準化
   令和3年度~令和5年度

(4) 振動発電エネルギーハーベスタの信頼性評価に関する国際標準化
   令和4年度~令和6年度

(5) 持続的・包括的標準化活動強化事業
   令和5年度~令和7年度

3. その他、マイクロマシン/MEMS分野等の国内外の技術動向や産業動向の調査をはじめとする調査研究、MEMSセンシング&ネットワークシステム展の開催なども含めた内外関係機関との交流・協力、標準化の推進など、これまで当センターが推進してきた諸活動も引き続き拡充強化しつつ実施していきます。
 また、これらの活動の広報や成果発信のために、インターネット上でのホームページ、ブログ及び月例ニュース(MICRONANO Monthly)など多様な媒体を活用した情報発信・情報公開に努めます。

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2023年1月 6日 (金)

新年のご挨拶(MMC/NMEMS 2022年10大ニュース)

 新年あけましておめでとうございます。
 本年もMEMS・スマートセンシング技術の開発や普及に真摯に取り組み、国の目指す Society5.0 の実現に向けて微力ながらも貢献してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

 昨年は1月にマイクロマシンセンターの創立30周年を迎え、MEMSの過去30年を振り返るとともに、今後20年の展望をいたしました。それに従い、DX、GXの流れも踏まえつつ、新たなプロジェクトの模索などを行ってきましたが、コロナ禍もなかなか終息を見ず、ロシアによるウクライナ侵攻や急速な為替変動など、我々を取り巻く環境は引き続き厳しいものがあり、その道筋は容易なものではありませんでした。
 それでも、JEITAが12月に発表した「電子情報産業の世界生産見通し」によれば、2023年の世界生産は3.5兆ドルを超え、過去最高を更新する見通しとなっています。この明るい兆しのもと、当センターは今年もDX、GXの推進に不可欠な各種MEMSセンサの開発の一環として、非侵襲で血中成分を計測するBaMBIプロジェクトや、小型原子時計の基礎研究であるHS-ULPACプロジェクトなどを推進するとともに、「環境調和型MEMS(EfriM)」のインフラ・防災分野等への適用や、ウェルビーイング社会の実現に資する「感情・共感センシングシステム」などの新プロジェクト化を目指してまいります。
 一方、昨年秋から当センターはこれまでの経済産業省産業機械課様に代わって情報産業課様の所管法人となりましたので、半導体の一部としてのMEMS(半導体全体の3~4%と規模は小さいものの)という新たな認識にも立って、その振興を図ってまいりたいと思います。当センターの有するMEMSミニファンドリーとしてのMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター)においても、MEMSの研究支援や工程受託などを継続して行いつつも、我が国半導体業界再興の末端を担うべく、最先端の設計・製造技術を磨いていく所存です。

 さて、当センターでは通算33回目にあたるマイクロナノ分野の展示会である「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2023」を2月1日から3日にかけて東京ビッグサイトで開催いたします。今回もセンターの活動紹介、MNOICの紹介、研究開発報告とともに、各種セミナーを開催し、興味深い様々な技術報告を行います。セミナーの冒頭には新たに所管いただく経済産業省情報産業課長様に半導体戦略関連のご講演をお願いしております。是非、多くの皆様にご来場いただき、今後のMEMSの発展のために当センターに対するご指導・ご支援を賜れれば幸いです。

 皆様方には以下のマイクロマシンセンターの2022年の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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マイクロマシンセンター/NMEMS技術研究機構
2022年10大ニュース
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1.2022年1月にMMC創立30周年を迎え、記念誌を発行
(「MEMSの過去30年と今後20年の技術展望」を収載)
 2022年1月23日に当センターは創立30周年を迎えました。毎年MEMS産業を取り巻く各種環境などを取り上げて、産業動向調査報告を行っていますが、昨年は当センター30周年ということもあり、これから益々のMEMS技術・産業の発展に資するため、過去30年を振り返り、この先20年を展望するという形の調査報告書を作成し「30周年記念誌」として3月に刊行し、会員法人の皆様と関係各所に配布いたしました。

2.MEMSセンシング&ネットワークシステム展2022
の中で「MMC創立30周年記念講演会」を開催
(パネルディスカッションに神永氏、江刺氏、下山氏、金丸氏がご登壇)
 2022年1月28日にMEMSセンシング&ネットワークシステム展2022の中でMEMSの過去30年の歴史と今後20年の技術展望をテーマとした創立30周年の記念講演会を開催しました。午前中の第一部では主に学生や若手技術者向けに「TIA-MEMSウィンターセミナー MEMS講習会」を開催するとともに、午後の第二部では、MMC30周年特別企画として、30年の歴史をMEMSなどの微細加工、製造技術の進歩とともに振り返り、未来へ続いていくために必要なことを、産業界、大学、国立研究所を代表する方々による基調講演とパネルディスカッションで展望しました。

3.MNOICの活動
 現行製品の継続した製造や実用化に向けたサンプルの試作などを請負う工程受託の急増に加えて、産総研と連携した研究受託や企業ユーザの研究支援など、将来のMEMS産業活性化に向けた取組み案件も着実に増加しています。2022年MEMS研究開発支援事業は約120件を獲得し堅調に推移しました。
 本年の顧客のご利用傾向としましては人の流れの回復基調を反映してかクリーンルーム立入り利用を含む研究支援コースの新規契約10件を獲得し、利用増加しました。

4.コロナ禍の中もMEMS展を継続して開催
 1月28日から30日の3日間に亘り「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を開催しました。今回で通算32回目の展示会となりました。今回の展示会はセンターが設立30周年を迎えるにあたり、例年通りのセンター、MEMS協議会、MNOIC、技術研究PJのブース展示のほかに、特別展示として今後20年のMEMS技術の展望として、MEMSの応用が期待される12分野と、予測されるMEMSデバイス・技術の展示紹介も行いました。

5.HS-ULPAC、BaMBIを順調に継続
HS-ULPAC
 移動体に搭載可能な高精度原子時計を実現するため、周波数変動要因を根本から解明するとともにプロトタイプを試作して実証・評価しています。MMCでは2022年度は最終評価に向け、
MEMSガスセル、実験室モデル量子部、プロトタイプ真空断熱型量子部の2次試作を行っています。
BaMBI
 2019年に始動した3年間のNEDO委託事業の結果、ステージゲートを通過し、2022年度からは事業化を目的とした株式会社タニタ主導の2年間の助成事業に進んでいます。非侵襲の血糖・脂質のディテクタ開発も順調に推移しています。

6.SNIFを終了
 2019年に始動したNEDO委託事業を2021年10月からオムロン主導の研究開発に切り替え、2022年6月に計画通り小型ウェアラブル計測端末の動作モデルの構築を終え、研究開発を終了しました。今後も医科歯科大学が中心となって、この成果の実用化に向けて、連携先などを募ってまいります。

7.活発なSSN研究会活動により次期プロジェクトの立案が進む
 新規国プロ獲得を目指して、SSN研究会のWG9において「環境調和型MEMS(EfriM : Environment friendly MEMS)」、WG10において「感情センシングPF」活動を推進し、NEDO先導研究や内閣府次期SIPのRFIへの提案を行うとともに、関連技術のブラッシュアップを行って、新規国プロの公募に応募すべく準備を進めています。
 WG9(EfriM-WG)では、2022年度は農業、インフラ、防災に関する3回の応用分野のWGを開催し、2022年度中にNEDO先導研究等への提案を予定しています。
 WG10(感情センシングWG)では、センサーフュージョンによる特徴量抽出アルゴリズム、生体信号による感情推定、脳波・脳活動センサ、共感状態の推定等に取組んでいる研究者をメンバーに迎え、感情センシングプラットフォームの価値、社会実装の実現に向けた枠組み等について議論を進めていきます。

8.国際標準化全体会議開催 及び 新規標準化委託事業の開始
 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)の国際標準化全体会議が、10月31日から11 月4日まで、サンフランシスコのHilton San Francisco Union Square Hotelで開催され、SC47F(MEMS分野)と、TC47/WG7(半導体デバイス エネルギーハーベスタ、エネルギー変換・伝送分野)に関する会議に参加しました。久しぶりの対面会議であったこともあり、各国主査等と会議前後の時間に交流を図ることができ、充実した会議となりました。
 また、経済産業省「令和 4年度省エネルギー 等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費」に、マイクロマシンセンター、兵庫県立大学、神戸大学と東京大学が共同で提案しました「振動発電エネルギーハーベスタの信頼性評価に関する国際標準化」が採択され、国際規格の開発を開始しました。

9.国際交流活動を徐々に再開
 新型コロナの影響で制限されていた国際交流活動に関しては、マイクロマシンサミットが3年連続で延期になる等、未だ影響は残っていますが、各国の入国制限が緩和され、国際会議もオンライン開催からハイブリッド開催に移行されだして徐々に再開の兆しが見えてきました。
 4月のMEMSエンジニアフォーラムにもMMCとして出展いたしましたし、MMCでも海外アフィリエートであるスペインカタルーニャ州政府貿易投資事務所と連携して、IOT Solution World Congressのアンバサダーになる等国際交流活動を徐々に再開しました。

10.役員改選による新体制始動と経済産業省の所管課が変更
 2022年度は当センター役員の改選期にあたり、理事長を2期4年にわたりお務めいただいたデンソー株式会社元取締役副社長の山中康司様がご退任され、7月に開催しました理事会において、株式会社日立製作所執行役常務の鈴木教洋様が理事長にご就任されました。
 また、当センターは、設立以来経済産業省製造産業局産業機械課の所管団体でありましたが、同省の組織規定類の改正に伴い、商務情報政策局情報産業課の所管団体に変更となり、半導体・デジタル産業戦略の末端を担っていくこととなります。

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2022年12月28日 (水)

MEMS協議会 2022年度MEMS懇話会開催(2022年12月27日)

 MEMS懇話会はMEMS協議会正メンバーの委員と経済産業省など行政側との意見交換を行う大変貴重な場となっております。本年も年末の押し迫った、12月27日にマイクロマシン・MEMS分野に係る今後の課題について、3年連続のWeb会議で意見交換を行いました。

 最初に鈴木教洋MEMS協議会会長(マイクロマシンセンター理事長)による主催者挨拶があり、MMC30周年記念誌を発行したこと、また、MEMS、センサ関連の国家プロジェクトで様々なMEMS技術を研究開発していること、さらに産学連携によるMEMS分野のイノベーション実現の場として設立したMNOICの活動について紹介されました。
 続いて、本年8月からMEMS分野を所管することになった経済産業省情報産業課課長の金指壽様から、半導体基盤技術の中で、今後IoTやエッジデバイスがますます進化することが見込まれることから、その核技術となるMEMSについても、情報産業課が担当することになった経緯や、最近の政策動向である「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」と題して、次世代半導体研究開発プロジェクトの進め方などを丁寧に説明されました(写真1)。

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写真1 経済産業省情報産業課金指壽課長からの最新の政策紹介

 次に、長谷川英一MEMS協議会事務局長(マイクロマシンセンター専務理事)から、産業・研究開発動向報告として、MEMS市場は、2021年136億ドルと前年比で17%増加し、2027年には、222億ドルまで増加すると予測されること、日系センサメーカーのMEMS 出荷額は2021年では1,638億円と5年間で18%増だったことなどが報告されました。

 これらの2つの話題提供の後、経済産業省、NEDO,産総研との意見交換が始まりました。今年度のテーマは「MEMS、センサなどの今後の半導体デバイスの研究開発において、注力すべき研究開発課題と、研究開発を進める上で必要な施策に対する行政・国研への要望」についてです。
 この中で、MEMS協議会推進委員から、2nmの先端ロジック半導体や、SiC、Ga系パワー半導体などの開発を是非推進して頂きたいことや、MEMSは日本が研究開発でリードする分野であり、社会課題解決に資すべく、デバイスとシステムの両輪の研究開発に支援をといった意見が出されました。
 行政側からはポスト5G基金による半導体支援など幅広く事業を行っているが、いずれにおいてもエッジ側のコンピューティング、センシングの重要性については益々高まるものと認識しているなどのコメントがありました。
 
 コロナ感染症拡大に伴いWeb会議開催が主流となり、本方式は会議場所まで移動するためのコストや時間がかからないなどのメリットがありますが、対面会議では、直接対面することで意思疎通がしやすいので、本来であればこのような懇話会は対面で実施したいところです。
 次回からは、議論が活発になった際にも話の内容も聞き取りやすく、参加者それぞれのインターネット環境に依存することもない対面会議で実施できるよう、コロナ収束を願うとともに、新型コロナと共存できるWeb会議運営法を磨いていきたいと思います。

(MEMS協議会 渡辺秀明)

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2022年7月 4日 (月)

マイクロマシンセンター委員会、MEMS協議会活動報告について

 新型コロナウイルス感染症の完全な収束が見込めない中、MEMS協議会をはじめとするマイクロマシンセンター(MMC)の各種委員会活動(図1)も、職場や自宅など、どこにいても参加できるオンライン開催が新たな会議形態としてすっかり定着して参りました。

 まず、MMCの第1回運営委員会、第1回理事会、定時評議員会をそれぞれ6月3日(書面)、6月13日(決議の省略)、6月28日(オンライン)に開催しました。 事業関連の委員会では、6月13日に、産業動向調査委員会(委員長:東京大学 竹内昌治教授)をオンライン開催し、議論の結果、今年度の調査テーマは「グリーントランスフォーメーションを支えるMEMS」と決まりました。

 6月21日には、MMCの調査研究事業委員会(委員長:東京都市大学 藤田博之教授)をオンライン開催し、傘下の産業動向調査委員会、国内外技術動向調査委員会の前年度の活動報告と本年度の計画などが報告されました。
 IEC/TC47/SC47Fの日本の国内審議団体として指定されているMMCの標準化事業委員会(委員長:先端素材高速開発技術研究組合 古田一吉部長)を6月23日に開催し、今年度の標準化事業計画について議論致しました。
 さらに翌24日には、新型コロナウイルスにより国際交流が難しかったことから、昨年度は流会となった国際交流委員会(委員長:東京大学 伊藤寿浩教授)を2年ぶりにオンライン開催し、スマートセンシング&ネットワーク研究会(SSN研究会)や国際標準化活動に貢献する国際交流を行うなどの活動計画が議論されました。
 同日、これらのMEMS協議会委員会活動全般を統括する産業交流委員会を書面開催し、MEMS協議会の2021年度活動結果と2022年度活動計画について、報告いたしました。

 さて、本年度はマイクロマシンセンター役員の改選期であり、7月1日にオンライン開催された第2回理事会にて、新理事長に選出された鈴木教洋理事長(MEMS協議会会長も兼ねる。株式会社日立製作所 執行役常務 CTO)と鈴木新理事長からMEMS協議会副会長に指名された佐藤智典副会長(三菱電機株式会社常務執行役 開発本部長)、そして留任の伊藤寿浩副会長(東大教授)、長谷川英一事務局長(MMC専務理事)からなるMEMS協議会執行部の新体制が発足しました。

 この新体制でのMEMS協議会推進委員会が、理事会後にオンラインで開催されました。
 まず、鈴木会長による主催者挨拶があり、SSN研究会に、感情センシングの研究などのワーキンググループを設置し、新プロジェクト立上げに努めていることや、MNOIC事業が工程受託を中心に着実に拡大していることなどを述べました。
 次にご来賓を代表して、経済産業省産業機械課課長安田篤様から、MEMS産業の所管が産業機械課から情報産業課に今後移行されることなどを述べられました。
 次に、新たにMEMSを所管することになる情報産業課デバイス・半導体戦略室長の荻野洋平様から、「半導体・デジタル産業戦略検討会議」での議論結果を中心とした、我が国の半導体産業復活の戦略について紹介されました。
 その後、本年度のMEMS協議会活動についての議論に移り、センシング技術をIoT、AIなどと高度に融合させることにより、製造現場など多様な場面でセンサの活躍する場所が増えるだろうなど、多くの意見をいただくことが出来まして、大変有意義な会議となりました。


(MEMS協議会 渡辺 秀明)

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図1 2022年度 委員会構成
(図をクリックで拡大)

 

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2022年4月 4日 (月)

マイクロマシンセンター 令和4年度事業計画について

 令和4年度事業において一般財団法人マイクロマシンセンターは、Soceiety5.0の実現に不可欠なマイクロマシン/MEMS分野及びスマートセンシング分野(以下、「マイクロマシン/MEMS分野等」という。)の一層の発展を支援するため、非営利セクターとしての利点を活かしながら、以下のとおり、基盤技術の研究開発、事業環境整備及び普及促進のための取組みを一層強化していきます。

(1) MEMS協議会事業では、まず、MEMS分野におけるオープンイノベーション実践の我が国最大の拠点となったMNOIC(マイクロナノオープンイノベーションセンター)について、広範なユーザーからの多様な要望に応えていくことを目指して、更なる体制整備や活動強化に努めます。
 また、スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会においては、これまで実施してきたWG活動から、複数のナショナルプロジェクトが生まれるなど、一定の成果を上げてきましたが、本年度も新たなWGの立上げなどを通じ、産業技術力強化のためのプロジェクト提案を目指して研究会活動を推進します。

(2)我が国マイクロマシン/MEMS分野等のイノベーション創出に寄与し、Soceiety5.0の実現にも貢献すべく、本年度も、以下のような国/NEDO等が主導する先端技術に係る研究開発プロジェクトや国際標準化の推進に参加します。

  1. 血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイス及び行動変容促進システムの研究開発(BaMBI)
     令和元年度~令和5年度
  2. 薄膜ナノ増強蛍光による経皮ガス成分の超高感度バイオ計測端末の開発(SNIF)
     令和元年度~令和4年度
  3. 量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)
     令和元年度~令和5年度
  4. 薄膜圧電MEMSデバイスの寿命試験及び多方向折り曲げ信頼性試験方法に関する国際標準化
     令和3年度~令和5年度
  5. 振動発電エネルギーハーベスタの信頼性評価に関する国際標準化
     令和4年度~令和6年度

(3)その他、マイクロマシン/MEMS分野等の国内外の技術動向や産業動向の調査をはじめとする調査研究、MEMSセンシング&ネットワークシステム展の開催なども含めた内外関係機関との交流・協力、標準化の推進など、これまで当センターが推進してきた諸活動も引き続き拡充強化しつつ実施していきます。
 また、これらの活動の広報や成果発信のために、インターネット上でのホームページ、ブログ及び月例ニュース(MICRONANO Monthly)など多様な媒体を活用した情報発信・情報公開に努めます。

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2022年1月 6日 (木)

新年のご挨拶(MMC/NMEMS 2021年10大ニュース)

 新年あけましておめでとうございます。

 当センターは本年1月に創立30周年を迎えます。国プロのマイクロマシンの研究開発からスタートし、これまで20ほどの国・NEDOプロを推進してまいりました。また同じく10周年となりますMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター)では、民間企業等のMEMS研究を支援し、工程を受託するなど、日本のMEMS技術や産業の発展に一定の貢献ができたのではないかと思っております。

 本年もコロナ禍による経済の不透明感は続くと見られており、急激に需要が回復しようとする自動車や情報機器に半導体供給が追い付かないなどの状況はありますものの、国が推進しておりますグリーン成長戦略やデジタル・トランスフォーメーション(DX)において、フィジカル空間をサイバー空間に変換するためのゲートともなる各種MEMSセンサへの期待は益々高まっています。

 当センターでは引き続きNEDOプロにおいて非侵襲で血中成分を計測するBaMBIプロジェクトや、防衛装備庁の委託事業で小型原子時計の基礎研究であるHS-ULPACプロジェクトなどを推進していますが、次の課題として政府のグリーン&デジタルにも応えるべく、広大な空間を測る技術と今まで測ってこなかったものを測るという技術に挑戦しようと考えています。
 前者が「環境調和型MEMS(EfriM : Environment friendly MEMS)」と呼ぶもので、インフラ、防災、農業分野において、広く環境に無害なMEMSセンサを配置し、それぞれの分野の課題を解決しようというものです。
 後者は人間の5感の次に来る「感情センシング」により、IoH(Internet of Human)システムを構築し、オフィスや作業環境での生産性や快適性、さらには介護分野などに資するフィードバックを与えようというものです。これらも含め当センターでは常に新たな研究開発プロジェクトの提案を目指し、さらなる検討を続けてまいります。

 さて、当センターでは通算32回目にあたるマイクロナノ分野の展示会である「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2022」を1月26日から28日にかけて東京ビッグサイトで開催いたします。ここでは、MEMSの過去30年の歴史と今後20年の技術展望をテーマとした創立30周年の記念講演会を実施いたします。是非、多くの皆様にご来場いただき、今後のMEMSの発展のために当センターに対するご指導・ご支援を賜れれば幸いです。

 また、皆様方には以下のマイクロマシンセンターの2021年の10大ニュースをご覧いただき、私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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MMC/NMEMS 2021年 10大ニュース
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1.2020年以上に厳しかった2021年のコロナ禍の中でも、業務を滞ることなく実施
 2020年以上に厳しかった2021年のコロナ禍の中でも、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されるなか、当センターの業務を滞ることなく実施するため、理事会、委員会等をweb、書面により開催しました。 また、職員への感染を防止するため、基本的な感染対策を施しつつ、在宅勤務、時差通勤を実施しました。

2.LbSS、数々の成果を上げて5年半の研究開発が終了、次への展開へ向けて始動
 2016年から開始した「超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究開発(LbSS)」プロジェクトが、実証実験でのシステム検証を終え、9月30日をもって終了しました。 また、「NEDO IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」成果報告会では、5年半の研究成果として、13テーマの技術成果資料・デモ動画及び基調講演の公開を実施し、IoT横断プロジェクト全体の成果・普及を図ることができました。
現在は、LbSS研究成果のヒトセンシングへの展開を調査しています。
  ■ この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものです。

3.「節目の年」2022年を迎えるにあたり、イベントや記念誌を企画・制作、あわせてMEMS技術の歴史と今後20年の進展予測をまとめる
 2022年にマイクロマシンセンター設立30周年、MEMS協議会15周年、MNOIC10周年という「節目の年」を迎えるにあたり、セミナーイベントや記念誌の企画・制作を行うとともに、「マイクロマシンセンター産業動向調査委員会」では、MEMS技術の進展の歴史と、今後20年のMEMS関連技術の進展を予測した調査を実施しました。

4.EfriMは開発戦略をまとめて3月に事業終了、SSN研究会「EfriM-WG」を立ち上げ、プロジェクト化に向け本格始動
 一般財団法人機械システム振興協会の「令和2年度イノベーション戦略策定事業」の委託事業として実施し、昨年3月終了した「環境調和型MEMS(EfriM*)技術の研究開発に関する戦略策定」の成果を基に、SSN研究会**のWGとして「EfriM-WG」を立ち上げ、15企業、9大学、6研究機関・財団の49名の会員を集め、プロジェクト化に向けた活動を本格始動しました。
     * EfriM : Environment friendly MEMS
     ** SSN研究会:スマートセンシング&ネットワーク
       (Smart Sensing & Network)研究会

5.MNOIC設立10年で事業成熟、工程受託コースなど定期利用が定着
 2011年に設立し10年経過したマイクロナノ・オープンイノベーションセンター(MNOIC)の利用件数が2021年末で1,300件を超え、産学連携によるマイクロナノ分野のイノベーション実現の場として定着しています。特に近年は、MNOICが研究支援によって開発したサンプルや技術を実用化するために、仕様書に基づいてMNOICの研究員が試作を行う、工程受託コースの利用が急増しています。

6.HS-ULPAC中間を無事終了
 防衛装備庁の「令和元年度安全保障技術研究推進制度(JPJ004596)」の委託事業として実施している「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC*)」の中間評価審査会が11月12日に開催されました。一部新型コロナの影響で中間目標の達成が年度末に延びるものもありますが、ほとんどが中間目標を達成するとともに当初予定していなかった画期的な副次的成果が出ていることを報告し、無事に終了しました。
      *HS-ULPAC : High Stability Ultra Low Power Atomic Clock

7.BaMBIが、NEDOステージゲートを受審し、来年度からのフェーズBに向けて検討を開始
 NEDOの「IoT社会実現のための革新的センシング技術開発」の中で、2019年度に採択され、研究開発進めてきたテーマ「血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイス及び行動変容促進システムの研究開発(BaMBI*)」は、この11月2日にステージゲート審査を受審しました。本事業は、フェーズAの委託3年間を経てステージゲートをクリアすれば、その後の2年間はフェーズBの助成事業として実用化に向けて加速していくことになりますが、本テーマはフェーズAの目標を全て達成できる見込みで、審査結果を待つばかりです。
*BaMBI : Non-ivasive Blood analytic Monitor for Behavior Improvement System

8.MEMS関連標準化についてオンラインで国際会議で規格案審議を推進、関係者がIEC1906賞を受賞、新標準化事業の開始など、活発に活動
 コロナ禍中、オンラインながらも、5月に「IEC(国際電気標準会議)TC47(半導体分野技術委員会)/SC47E(個別半導体デバイス)WG1(半導体センサ分野)、TC47/SC47F(MEMS分野)、TC47/WG7」、10月に「IEC/TC47 国際標準化全体会議」に出席し、活発な議論を交わし、規格案審議を着実に前進させることができました。また、当センターが取り纏めている標準化活動で活躍して頂いた2名の方が、IEC1906 賞を受賞されました。標準化事業では、経済産業省の委託事業で、「薄膜圧電MEMSデバイスの寿命試験及び多方向折り曲げ信頼性法に関する国際標準化」が採択され、国際規格の開発を開始しました。

9.技術研究組合NMEMS技術研究機構の理事長に、東京都市大学の藤田教授が就任
 今仲行一理事長が2021年2月に急逝されました。ご冥福をお祈り申し上げます。
 組合の3月に開催された理事会において、東京都市大学の藤田博之教授が理事長にご就任されました。

10.SNIFがNEDOプロジェクトとしては終了するも、将来の実用化へ向け、今後の研究開発は着実に履行 
 2019年度にBaMBIとともにスタートした革新的センシングのプロジェクト「薄膜ナノ増強蛍光による経皮ガス成分の超高感度バイオ計測端末の開発(SNIF*)」として推進されてきましたが、参加企業の社内体制変更により、残念ながらNEDO受託事業としては2021年度上期までとなりました。ただ、東京医科歯科大学とNMEMS組合で2022年半ばまでフェーズAの研究開発は着実に履行し、将来の実用化への道を繋ぐこととしています。
   *SNIF: Skin volatile biosensor based on Nano-Integrated Fluorometry

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2021年6月30日 (水)

マイクロマシンセンター委員会、MEMS協議会活動報告について

 新型コロナウイルス感染症に関する情勢を踏まえ、今年度のMEMS協議会をはじめとするマイクロマシンセンターの各種委員会活動(図1)も、オンライン開催(以降OL開催と略します)、書面開催中心に運営しております。

 マイクロマシンセンターの第1回運営委員会、第1回理事会、定時評議員会をそれぞれ6月2日(書面)、6月11日(書面)、6月23日(OL開催)に開催しました。

 事業関連の委員会では、6月8日に、産業動向調査委員会をOL開催し、委員長である東京大学の竹内昌治教授から、2021年度は、マイクロマシンセンター創立30年にあたるため、本委員会でもそれに対応した調査を実施したいことなどが述べられました。続いて新委員の紹介、本年度活動方針説明の後、今年度のテーマである「過去のMEMSの歴史とこれから20年の技術展望」について、どの様に進めるかのディスカッションが行われました。

 6月21日には、マイクロマシンセンターの調査研究事業委員会をOL開催し、厳選した活動を行うことなどが議論されました。
 さらに翌22日は、標準化事業委員会をOL開催(一部対面開催)し、経済産業省委託事業である「薄膜圧電MEMSデバイスの寿命試験及び多方向折り曲げ信頼性試験方法に関する国際標準化」への取組みについて議論いたしました。
 また、同日、これらのMEMS協議会委員会活動を統括する産業交流委員会を書面開催し、2020年度のMEMS協議会活動結果と2021年度の活動計画について、報告いたしました。

 また、スマートセンシング&ネットワーク研究会(SSN研究会)で新たに発足したWG9のキックオフミーティングとして、環境調和型MEMS(EfriM : Environment friendly MEMS)技術の研究開発について、6月23日に開催いたしました。

 さて、MEMS協議会推進委員会は、上述の委員会活動に加えて、当協議会の主力事業であるMNOIC事業と、現在実行中の先端技術開発プロジェクト推進について、2020年度成果と今年度の活動計画を議事内容に含め、6月29日にOL開催いたしました。
 喫緊の国家的課題となっている半導体・デジタル産業戦略がMEMSに与える影響についてなど、事務局側が想定していた以上に多くの意見をいただくことが出来まして、大変有意義な会議となりました。

 なお、ファンドリーサービス産業委員会は7月19日に開催します。
また国際交流委員会は国際交流活動が現状では見通せないことから、やむを得ず開催中止といたしました。

Iinnkai_20210701100801

図1 2021年度 委員会構成
(図をクリックで拡大)



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2021年4月 1日 (木)

マイクロマシンセンター 令和3年度事業計画について

 令和3年度は一般財団法人マイクロマシンセンターが設立されて30年という節目の年に当たります。
 過去30年のマイクロマシン/MEMS分野及びスマートセンシング分野(以下、「マイクロマシン/MEMS分野等」という。)での技術の進展を振り返りつつ、コロナ禍も乗り越えて新たな同分野の発展に踏み出すことで、Soceiety5.0の実現を目指します。
 それに向け、非営利セクターとしての利点を活かしながら、以下のとおり、基盤技術の研究開発、事業環境整備及び普及促進のための取組みを一層強化していきます。

(1)MEMS協議会事業では、まず、MEMS分野におけるオープンイノベーション実践の我が国最大の拠点となったMNOIC(マイクロナノオープンイノベーションセンター)について、広範なユーザーからの多様な要望に応えていくことを目指して、更なる体制整備や活動強化に努めます。
 また、スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会においては、これまで実施してきたWG活動から、複数のナショナルプロジェクトが生まれるなど、一定の成果を上げてきましたが、本年度も新たなWGの立上げなどを通じ、産業技術力強化のためのプロジェクト提案を目指して研究会活動を推進します。

(2)我が国マイクロマシン/MEMS分野等のイノベーション創出に寄与し、Soceiety5.0の実現にも貢献すべく、本年度も、以下のような国/NEDO等が主導する先端技術に係る研究開発プロジェクトや国際標準化の推進に参加します。

  1. 学習型スマートセンシングシステム(LbSS)の研究開発
     平成28年度~令和3年度
  2. 振動発電エネルギーハーベスタのIoT・ウエアラブル適用拡大に向けた国際標準化
     令和元年度~令和3年度
  3. 血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイス及び行動変容促進システムの研究開発(BaMBI)
     令和元年度~令和3年度
  4. 薄膜ナノ増強蛍光による経皮ガス成分の超高感度バイオ計測端末の開発(SNIF)
     令和元年度~令和3年度
  5. 量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)
     令和元年度~令和5年度
  6. 薄膜圧電MEMSデバイスの寿命試験及び多方向折り曲げ信頼性試験方法に関する国際標準化
     令和3年度~令和5年度

(3)その他、マイクロマシン/MEMS分野等の国内外の技術動向や産業動向の調査をはじめとする調査研究、MEMSセンシング&ネットワークシステム展の開催なども含めた内外関係機関との交流・協力、標準化の推進など、これまで当センターが推進してきた諸活動も引き続き拡充強化しつつ実施していきます。

 また、これらの活動の広報や成果発信のために、インターネット上でのホームページ、ブログ及び月例ニュース(MICRONANO Monthly)など多様な媒体を活用した情報発信・情報公開に努めます。

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2021年1月 7日 (木)

新年のご挨拶(MMC/NMEMS 2020年10大ニュース)

 新年あけましておめでとうございます。

 昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本経済は急速に悪化し4-6月期のGDPは過去最大のマイナス成長となりました。また5月の緊急事態宣言の解除を受けて7-9月期のGDPはプラスに転じましたものの、感染者の推移から、先行きの不透明感も年を越えてしまいました。
 MEMS市場も同様に不透明感はございますが、医療や通信などの分野は成長を続けております。コロナ禍でニーズの高まった非接触体温計や人工呼吸器、各種検査機器などに対応して、マイクロボロメータ、圧力センサ、流量計、マイクロ流路などの医療用MEMSの需要は増加しております。

 マイクロマシンセンター/NMEMS技術研究機構においても、医療・ヘルスケア用MEMSの研究開発として、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業で「血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイス及び行動変容促進システムの研究開発(BaMBI)」と、「薄膜ナノ増強蛍光による経皮ガス成分の超高感度バイオ計測端末の開発(SNIF)」を実施しております。
 また、防衛装備庁の委託事業で実施しております「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)」は衛星搭載原子時計の性能レベルを小型低消費電力で実現するための研究開発ではありますが、モビリティや通信分野のみならず医療・ヘルスケアを含む多様な分野での応用が可能な課題と考えております。

 これらの研究開発を支えるMEMS試作ファンドリである「マイクロナノ・オープンイノベーションセンター(MNOIC)」は今年10年目を迎えます。企業・ベンチャー、国研・大学によるMEMSの研究・試作並びに少量生産に活用いただいており、2011年の開設当初と比較し、近年では約5倍の年間80件以上の研究・工程の受託をし、フル稼働の状態にあります。

 加えて昨年から一般財団法人機械システム振興協会の委託事業で、SDGsに資する環境調和型MEMS(EfriM:Environment friendly MEMS)を実現するための戦略策定事業も実施しております。

 本年も当センターはMEMSを活かしたソサエティー5.0やデジタル・トランスフォーメーションの実現を目指し、MEMSの基盤技術検討から応用まで幅広い研究開発を行ってまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

 皆様方には以下のマイクロマシンセンターの2020年の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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MMC/NMEMS 2020年 10大ニュース
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1.コロナ禍で多くのイベント等が中止になる中も、職員が無事に業務を推進
 未曽有の新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、理事会、委員会等を書面、Webによる開催方法に変更しました。また、職員の感染防止対策として在宅勤務、時差通勤の導入などを実施し、1年間業務を無事に遂行できました。

2.年に2回のMEMS展開催
 例年開催しておりますMEMS センシング& ネットワークシステム展を、2020 年1月29日(水)~31日(金)にMEMS展2020として、2020年12月8日(水)~10日(金)をMEMS展2021として開催しました。2020は5万人、2021は1万人の来場者数となりましたが、当センターが併催した各種シンポジウ等は好評裡に実施できました。

3.LbSSの実証試験が着実に進展
  振動発電はCEATECアワードのオープン部門グランプリを獲得

 LbSSプロジェクトは最終年度に差し掛かり、多くの成果を上げつつ、最後の実証試験に取り組んでいます。その中で開発した「コインサイズの振動発電器」が、世界最高レベルのエネルギー回収効率93%を達成しつつ、10月のCEATEC 2020 ONLINEでCEATEC AWARD 2020オープン部門グランプリを受賞しました。
  この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものです。
  https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101370.html

4.EfriMの検討が着々と進む
 機械システム振興協会からの受託により、環境調和型MEMS(EfriM:Environment friendly MEMS)に関する新たな研究開発戦略策定を行っています。これまでの屋内設置や機器内部への搭載が主であったMEMSデバイスをインフラ・災害・農業モニタリング分野等の屋外や自然環境に広く設置し、回収が不要で、環境に放置されても自然に還ったり、有害とならなかったりするMEMSシステムの開発とその低炭素負荷での製造や利用を目指してまいります。

5.HS-ULPACが順調に始動
 測位衛星搭載の原子時計と同等の性能を有し、且つ手のひらサイズで低消費電力の小型原子時計を実現するための基礎研究として、原子時計の安定性を阻害する各種周波数変動要因を根本から解明するとともに、自動車等の移動体に搭載可能な耐振性を有するプロトタイプを試作して、その性能を車載環境で実証・評価する研究開発を本格的に開始しました。
 本研究開発は、防衛装備庁が実施する安全保障技術研究推進制度JPJ004596の支援を受けたものです。

6.BaMBI、SNIFの研究開発がコロナで厳しい中も進展
 ヘルスケア系の革新的センシングの開発を目指す、BaMBIとSNIFの両プロジェクトは、コロナ禍のため、一部研究サイトへの立入制限や、装置の導入や利用の停滞などが起こり、研究開発自体にもやや遅れが生じています。これに対して、主にWeb会議の活用により、技術推進研究会等を頻繁に実施することで、毎回、研究サイトごとの課題、問題点を含む研究進捗の共有を行い、迅速な研究開発の実施に努めています。

7.MNOIC事業が前年度より回復基調
 国立研究開発法人産業技術総合研究所様ご協力のもと、研究支援、研究受託、工程受託コースなどのMNOIC試作支援事業がコロナの中でも比較的順調に推移しました。本年度の12月時点で、工程受託コースでは7件の新規契約を獲得し、継続案件を含めて合計86機関の顧客様にMEMSデバイス開発の支援で貢献いたしました。また、MNOICの技術スタッフが、前述のHS-ULPACやBaMBIなどの国家プロジェクトに研究員として参画し、新デバイスの試作開発を通して新しいプロセス技術の腕を磨いて参りました。

8.標準化活動の会議が中止になる中も着実に前進
 4月に国際標準「圧電MEMSデバイスのセンサ特性信頼性試験方法」を発行、9月~12月に3件の新規格を提案するなどの成果を上げています。またコロナ禍のため11月にオンラインで開催されたIEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)国際標準化全体会議に出席して、既提案の改訂説明や新規提案などを積極的に行いました。

9.センサ&IoTコンソーシアムの事務局活動を遂行
 生体情報センサを初めとした各種センサとIoT技術を利用した快適な生活・社会空間の創出を目指す当該コンソーシアムの事務局業務が、2020年4月から当センターに移管されました。例年実施されている公開シンポジウムも今年は「バイオメディカル計測と健康医療センシング」をテーマとして、無事12月にWeb開催することができ、180名を超える参加者がありました。

10.産業動向調査報告「MEMSトップ企業の事業戦略とSDGsへの対応」が好評
 毎年MEMS産業を取り巻く各種環境などを取り上げて、産業動向調査報告を行っていますが、昨年はSDGsに対して、大手MEMS企業がどのような取組みをしているのか等を中心に分析をしました。また、MEMSがどのようにSDGsに貢献できるかについて議論し、その内容をまとめた報告書を作成し、会員企業にご提供いたしました。MEMS展2021でもその内容に注目が集まりました。

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