国際交流

2019年5月23日 (木)

2019 第25回「国際マイクロマシンサミット」(中国,西安) 開催報告

マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する場です。日本の提案により1995年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。
2019年は5月6日(月)から9日(木)まで中国の西安で開催されましたので報告致します。中国での開催は2006年の北京,2013年の上海に続く3回目になります。今回のトピックスは”Intelligent Manufacturing: Start from micromachine on a chip”でした。日本からは東京大学の伊藤寿浩教授を団長に、産総研の前田龍太郎先生とマイクロマシンセンターの国際交流担当として武田の3名が出席しました。今回のオーガナイザは、西北工業大学のYuan Weizheng教授でした。日本とも関係の深い古都長安(現在の西安)の西市場(現在残っています市城壁の南西角の外ではありますが、長安の時は城壁の中の西門の近くにあった国際市場)だった場所に建てられたTang Dynasty West Market Hotel(写真1:会場のホテル外観,写真2:会場前の看板)で開催されました。ちなみに東門の近くにありました国内市場だった東市場の場所は,現在は西安交通大学になっています.
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写真1 開催場所のTang Dynasty West Market Hotel外観

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写真2 会場前の看板

今回はタイが新たに加わり、22の地域から64名のデリゲートの登録がありましたが、ビザの関係でラテンアメリカ、イギリス、インド、パキスタンの4地域のデリゲートの欠席があり、デリゲートとしては60名の参加になりました。最も参加者の多かったのは開催国の中国で15名、次いでドイツの7名、イタリアの6名でした。会場での集合写真を写真3に示します。
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写真3 会場での集合写真

第1日目はYuan Weizheng教授の開会の挨拶(写真4:Yuan Weizheng教授の開会の挨拶の様子)の後、各国の現状を報告するカントリーレビューの発表がありました。オーストラリア、ベネルクス、カナダ、中国、EC、フランス、ドイツ、イベリア半島、イタリア、日本、韓国、マレーシア、オランダ、ルーマニア、スイス、米国、シンガポール、タイの順番で報告がありました。各国の産業&技術政策状況、特にIntelligent Manufacturingに関する話題提供があり、日本からは伊藤団長より経産省が進めているConnected Industries及びMEMSやIoTに関する国家プロジェクトの紹介がなされました(写真5:伊藤団長のプレゼンの様子)。また、ECからはDr. Petra Weilerより、新しい5E(Federating European Ecosystems, nano-Electronics, Electronic smart systems, flexible Electronics)プロジェクト等の紹介がありました(写真6:Dr. Weilerのプレゼンの様子)。また、おもしろかったのはスイスから5G通信の世界の話が多くなされているが、本当に5G通信が必要かどうか、4G通信だけで十分ではないかとの問題提起がなされたことでした。時計のスイスらしくCeramic X.0としてセラミックの高精度マイクロ加工によりアナログ時計部品を製造している等の紹介がありました。
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写真4  Yuan Weizheng教授の開会の挨拶の様子

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写真5 伊藤団長による日本のカントリーレビュー報告の様子

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写真6 ECの Dr. Weilerからの5E紹介プレゼンの様子

2日目、3日目は、各国、地域のデリゲートから個別話題の提供があり、計19件の発表がありました。伊藤団長は2日目の午前のセッションの議長もされました(写真7:伊藤団長の議長の様子)。日本からは武田より「Road Infrastructure Monitoring System Development Project(RIMS)」と題してRIMSプロジェクトの紹介を行いました(写真8:武田のプレゼンの様子)。イタリアからイタリアでは最近落橋事故があり、このような技術は重要であるとのコメントを頂きました。個別話題発表では大学や国立研究機関の発表が多かったですが、主要MEMS企業からはBoshとSTMicroelectronicsからの発表があり、どちらの発表でも、MEMSセンサのキートレンドは超低消費電力、高性能、知能組込みであると主張していました。IoT社会において、今後センサは単なるセンシングを行うだけではなくセンサにおいてある程度の情報処理を行ったスマートセンサとして、あらゆるところでの常時モニタリングを実現するフロントエンドとして発展していく世界がすぐそこに来ていることを強く感じました。また、BoshではMEMSデバイスの工場は中国にはつくっていないですが、ユースケース開発のために23のテクニカルセンターを中国において、2007年より中国で積極的な投資を行っているとのことでした。
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写真7 伊藤団長の議長の様子

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写真8 武田のプレゼンの様子

テクニカルツアーとしては、今回議長を務めたYuan Weizheng教授の西北工業大学と空軍の航空機管制研究所の見学がありました。西北工業大学は航空機分野で有名な大学であり、そのためMEMSデバイスの開発としても、航空機の翼に搭載して流れを制御するスマートスキン、竹の表面に氷が付かないことから竹の表面構造を模擬した翼に貼る防氷構造、オプティカルミラーを使った3次元イメージキャプチャーのデモ等を見学しました。また、銃の照準器用のIRカメラ等の開発も行っていました。セキュリティが厳しいため、写真撮影はあまり行えませんでしたが、西北工業大学のState key Laboratory of Intelligent Microsystem for Harsh Environmentsの看板の前での写真を写真9に示します。もう1箇所の訪問先は中国空軍の航空機管制研究所で西安の郊外に1年前に建設された立派な研究所でしたが、セキュリティが厳しく、スマホ等も預けて見学しましたが、研究所のビデオと航空管制コンポーネントの製品を見せられただけで、殆ど中身のないものでした。
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写真9 西北大学の看板の前での写真

マイクロマシンサミットでは、会期中の交流会で、その国の文化を理解するカルチャーイベントが楽しみですが、今回は西安で開催されましたため、有名な兵馬俑(写真11)の見学と中国劇の鑑賞がありました。兵馬俑は写真10に示すように、圧巻であり、多くの見学者が来ていました。中国劇はプロジェクションマッピングも駆使され、幻想的なものでした。また、バンケットは西安で有名な飲茶レストランで行われました。
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写真10 兵馬俑

次回の開催場所を議論するチーフデリゲート会議(ランチミーティング)は通常はチーフデリゲートだけの会議ですが、今回は4か国の欠席があったためか、これまで中国のチーフデリゲートを長年務められ、今回も名誉共同議長をされていた精華大学のZhou Zhaoying教授より創設者のMMCとして参加して欲しいとの依頼があり、参加させて頂きました(写真11:チーフデリゲート会議の様子)。イタリアのDario教授から、前回のMMS2018において候補の上がっていたルーマニアと新たにオーストラリアが候補として推薦され、議論の結果、次回はルーマニアのブカレストで、次々回はオーストラリア、その次はカナダで開催ということに決まりました。次回のMMS2020の開催月は例年通り5月に行い、オーガナイザーはNational Institute for R&D in Microtechnologies-IMT BucharestのAdrian Dinescu会長が務めることになりました。また、推奨テーマとして、気候変動に係るMEMS技術に決まりました。さらに、Dario教授より、テーマは毎回決めているが、各国のカントリーレビューでは様式が様々になっているので、様式を決めて発表しようとの提案もなされました。
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写真11 チーフデリゲート会議の様子

(MEMS協議会 国際交流担当 武田 宗久)


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2019年2月25日 (月)

第7回海外調査報告会を盛況に開催

 第7回MEMS協議会海外調査報告会を2月25日(月)に新テクノサロンで開催し、約40名の方にご参加頂きました(写真1)。このイベントはマイクロマシンセンター/MEMS協議会(MIF)が行っているMEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するものです。今回は以下の5件の報告を行いました。
1.「海外MEMS関連研究開発動向調査」(武田宗久)
2.「IoT社会に向けたセンサ動向調査とMEMS産業動向」(今本浩史)
3.「国際マイクロマシンサミット2018報告」(三原孝士)
4.「MEMS関連の国際会議報告(MEMS2019)」(野田大二)
5.「MEMS国際会議報告(APCOT2018)とMEMS国際標準化に関する活動状況報告」(大中道崇浩)
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  写真1 会場の様子
 MEMS協議会事務局長・長谷川英一からの主催者挨拶(写真2)のあと、最初の報告は「海外MEMS関連研究開発動向調査」と題してMEMS協議会の国際交流担当の武田宗久から、欧州、米国、中国の研究機関、大学、ベンチャー等を訪問し、調査した最新の研究開発動向に関して、欧州研究機関(ドイツのFraunhofer ENAS(Institute for Electro Nano Systems)及びフィンランドのVTT)の研究開発動向、IoTを支える基盤技術の動向、健康・医療分野の動向、自動運転分野の動向、ロボット分野の動向、製造分野の動向に分類して報告しました(写真3)。MEMSの第三の波のアプリであるIoT、健康・医療、自動運転、ロボット関連のMEMS製品の開発が世界で活発に行われている状況が把握できるとともに、ピコセンシング技術がキーとなる製品が多々存在することが分かりました。
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写真2 長谷川専務理事の挨拶
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写真3 武田からのプレゼンの様子
 続いて、「IoT社会に向けたセンサ動向調査とMEMS産業動向」と題して、技術研究組合NMEMS技術研究機構及び一般財団法人マイクロマシンセンターの今本浩史から報告がありました(写真4)。米国MEMS & Sensors Industry Group主催で、2018年10月28日~10月30日の間、米国カリフォルニア州ナパにて開催されましたMEMS & Sensors Executive Congress US 2018(MSEC2018)におけるMEMS&センサの動向調査の結果及びマイクロマシンセンターの産業動向調査委員会の取り組みとして実施しています「IoT社会に向けたセンサ技術動向とMEMS産業動向」の内容について報告がありました。MSECの参加者は減少の傾向にあるようでしたが、MEMSに関係する企業(デバイスメーカ、装置メーカ、センサ利用メーカなど)のExecutiveが中心となってビジネスに関する意見交換が活発に行われていたようです。また、今年の会議ではマシンラーニングがキーワードとして多かったようでした。
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写真4 今本氏からの報告の様子
 次は「国際マイクロマシンサミット2018報告」と題してMEMS協議会の三原孝士氏が報告しました(写真5)。2018年の第24回「国際マイクロマシンサミット」は5月14日(月)から16日(水)までアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されました。農業や畜産大国のアルゼンチンらしくテーマは”Agro-food & Environment. Other related applications and results from new and highly relevant R&D actions”でした。今回のオーガナイザは、アルゼンチンArgentinean Nanotechnology FoundationのDaniel O. Lupi所長でした。今回は立地的な理由もあって参加者が少なく、13の地域から31名のデリゲイトが参加されました。日本からは今年度から団長が東京大学の下山勲教授から伊藤寿浩教授に変更になり、後マイクロマシンセンターの国際交流担当として三原と合わせて2名が出席しました。一日目は各国の現状を報告するカントリーレビューで、各国の産業&技術政策状況、特に農業や畜産におけるマイクロシステムやセンサに関する話題提供があり、日本からも現在進行中のMEMSやIoTに関する国家プロジェクトの紹介と共に、今回のMMサミットのテーマにマッチした養鶏や畜産でのセンサIoTを使ったセンサシステムの研究状況を、伊藤団長から話題提供をされました。二日目は、個別話題の講演会で、16件の発表と農業や畜産におけるセンサやIoTの取り組みを議論するラウンドテーブルがありました。日本からの発表は昨年に引き続き国際標準化の重要性と各国の参加を呼び掛ける内容でした。2019年のサミットは中国の西安で5月6日から5月10日に開催されます。
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写真5 三原氏からの報告の様子
 続いて「MEMS関連の国際会議報告-国際会議 MEMS 2019 報告」とのタイトルでMNOICの野田大二氏から2019年1月28日から31日の4日間、韓国ソウルで開催されましたMEMS2019の報告がありました(写真6)。MEMS2019の議長は韓国KAISTのJun-Bo Yoon教授と日本の東京大学竹内昌治教授で、(一財)マイクロマシンセンターもブロンズスポンサーとして支援を行いました。MEMS 2019では投稿論文数677件、採択論文数281件、採択率は41%との紹介があり、その採択論文の内訳は、口頭発表が76件、ポスター発表が205件となっていました。この他にオープンポスターとして61件が選ばれていました。採択論文著者の所属国別件数順位は、1位中国、2位米国、3位日本、4位韓国、5位台湾、以下スエーデン、ドイツ、フランスとなっており、アジアでの開催のためか、全体の約7割がアジアからの発表で占められていました。投稿論文のカテゴリとしてはバイオ、医療関連への投稿が増えてきているようでした。次回はカナダのバンクーバーにて2020年1月に開催予定です。
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写真6 野田氏からの報告の様子
 最後にMEMS協議会・標準部の大中道崇浩から「MEMS国際会議報告(APCOT2018)とMEMS国際標準化に関する活動状況報告」と題して報告がありました(写真7)。先ずは2018年 6月24日~27日 香港・香港科技大学で開催されました隔年開催の Transducer 技術に関する国際会議であるAsia-Pacific Conference of Transducers and Micro-Nano Technology(APCOT2018)の報告がありました。マイクロマシンセンターでは、「国内外技術動向調査」という取り組みとして、MEMS分野の著名な国際会議等をターゲットにした定点観測的な調査を例年行っており、本国際会議はその調査の対象学会です。国内外技術動向調査は、有識者から成る委員によって分析を行い例年報告書として発行しますが、今回は事務局として学会に参加し、今後の調査報告書の作成により具体的・現実的な側面で支援可能と思います。また、合わせて「MEMS国際標準化に関する活動状況」の報告が同じく大中道崇浩からありました。MEMS国際標準化はIEC(国際電気標準会議)で進められており、日本はMEMS分野を担当する分科委員会SC47Fの幹事国として主導的に推進しています。IECの全体会議は毎年開催され、2018年は10月15日~19日に韓国の釜山で開催されました。また、アドホック会議は2018年6月6日~8日にアメリカ・ハワイのホノルルで開催され、現在審議中の規格案について主査から報告の後、意見交換が実施されました。
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写真7 大中道氏からの報告の様子
  MEMS協議会の会員サービスとして始めた本海外調査報告会も7回を数えるほど、長期間継続しています。本会へのご参加はリピータが多いことも特徴で、会員交流の側面も有しています。海外の状況はインターネット等で公開されているとは言っても、中々生の情報や、専門化の印象&感想を聞ける機会は少ないのが現実です。今回もSPPテクノロジーの神永様に貴重なコメント(写真8)や、報告会の後に行った会員交流会(写真9)でIoTの最新状況や日本の課題を議論することが出来ました。最後のこの場を借りまして、今後のMEMS協議会への積極的なご参加を引き続きお願いしたいと思います。
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写真8 神永氏のコメントの様子
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写真9 意見交換会の様子
(MEMS協議会 国際交流担当 武田 宗久)

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2019年2月 1日 (金)

国際会議 MEMS 2019 参加報告

 2019年1月28日から31日の4日間、韓国のソウルにて開催されましたMEMS関連の主要国際会議であるMEMS 2019に参加しました。(一財)マイクロマシンセンターもブロンズスポンサーとして支援を行いました。会場はソウル江南区にある韓国最大級のコンベンションセンター「Coex」にて開催されました(写真1、写真2)。地下1階はCoex Mallとなっており、ショッピングモール内にはシネマコンプレックスや水族館を備えた一大スポットになっていました。

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       写真1 会場外観(韓国・ソウル,Coex)

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           写真2 講演会場の様子

 近年のMEMS国際会議は毎回700名を超える参加者となっています。今回のMEMS 2019では投稿論文数677件、採択論文数281件、採択率は41%との紹介があり、その採択論文の内訳は、口頭発表が76件、ポスター発表が205件となっていました。この他にオープンポスターとして61件が選ばれていました。採択論文著者の所属国別件数順位は、1位中国、2位米国、3位日本、4位韓国、5位台湾、以下スエーデン、ドイツ、フランスとなっており、アジアでの開催のためか、全体の約7割がアジアからの発表で占められていました。投稿論文のカテゴリ別件数割合は表1に示す通りでした。この表からもバイオ、医療関連への投稿が増えてきていることがわかります。

          表1 投稿論文のカテゴリ別件数割合

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 プレナリー招待講演は1日1件の計4件あり、講演者とそのタイトルは以下の通りです。著名な研究者によるいずれの講演も大変興味深い内容でした。

・Prof. Kevin Kit Parker, Harvard University, USA

 Cardiomyocytes as high-power building blocks for bio-hybrid machines

・Prof. Stephanie P. Lacour, EPFL, SWITZERLAND

 Soft and wearable transducers: opportunities and challenges for daily use

・Prof. Isao Shimoyama, The University of Tokyo, JAPAN

 MEMS Sensors for Robots

・Dr. Chaedeok Lee, LG Electronics, KOREA

 SENSOR AS A SOLUTION: RECENT PROGRESS IN INTELLIGENT SENSORS DEVELOPMENT

 3日目となる1月30日の夜はバンケットが開催されました。会場はHan Riverにある「Floating Island」(写真3)で行われ、盛大な会となりました(写真4)。

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              写真3 バンケット会場

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            写真4 バンケット会場内の様子

 MEMS分野は材料、デバイス構造からその特性評価まで多岐にわたる技術領域を網羅しており、近年ではバイオ、医療、生体情報のセンシング、流体反応などへの広がりも多く見られており、こうした最新の論文発表により活発な議論がなされ、大変有意義な会議でした。また、学生のアワードではポスターと口頭の両方の発表があり、こうした講演の機会は若い研究者の励みとなり、若手研究者がどんどん活躍していくことを期待したいと思います。

 このMEMSの国際会議は1987年にアメリカで初めて開催され、1991年に日本で開催されて以降、アジア、ヨーロッパ、北米の順で毎年開催されています。次回はカナダのバンクーバーにて2020年1月に開催予定です。

                               (MNOIC 野田大二)

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2019年1月 4日 (金)

2018年MMC十大ニュース決まる

 マイクロマシンセンターでは、2018年の10大ニュースを選択いたしました。私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

1.インフラモニタリングプロジェクト(RIMS、UCoMS)、最終年度の開発実証試験成果が各種シンポジウム、展示会で注目
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」において、技術研究組合NMEMS技術研究機構(以下NMEMS組合)が提案した「道路インフラ状態モニタリング用センサシステムの研究開発」及び社会・産業インフラ維持管理・更新等の重要な社会課題の一つである都市機能を支えるライフライン系の都市インフラ(電気、ガス、上下水道、情報、エネルギー)の安全な保全のためのセンサーモニタリングシステムの研究開発の最終年度の実施を行いました。
 これらの成果は、国内外で開催された学会、シンポジウム、展示会等で広く発表を行い多くの関心を集めました。

2.スマートセンシング・インターフェース国際標準化案がIECで1年前倒しでNP提案が承認され審議入り
 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)/SC47F(MEMS分野分科委員会)にて、提案を行っておりました、「スマートセンサの制御方式」が、2018年、NP(New work item Proposal)承認され審議が開始されました。
 IEC国際標準化SC47E/WG1,2F合同アドホック会議において「スマートセンサの制御方式」について、IECへのNP(New work item Proposal)投票が完了し、エキスパート参加国6か国でNP承認(参加国4か国以上が必要)された旨、また、韓国・米国からそれぞれ1件ずつあげられたコメントへの対応方針を各国に説明しました。

3.MNOICの工程受託活動がPR拡大等により引き続き右肩上がりで推移
 研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとして、7年前に開設したつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」も今や中小・ベンチャーを含む40社以上からの研究や工程の受託により、フル稼働の状況にあります。さらに設備整備や技術向上に努めて、我が国のMEMS開発需要に応えてまいります。

4. MMC理事長が山西氏から山中氏に交代、MMCの新体制が始動
 2018年度はマイクロマシンセンター理事の改選期にあたり、MEMS理事会において2期4年にわたり当協議会会長(MMC理事長)を務めて頂いた山西健一郎三菱電機相談役から山中康司株式会社デンソー代表取締役副社長(MEMS協議会会長も兼ねる)に理事長が交代されました。
 新理事長には、続いて開催したMEMS協議会推進委員会において挨拶及び最近のトピックスとして1つはスマートセンシング&ネットワーク研究会(SSN研究会)に、医療MEMS研究会などのワーキンググループを設置し、新テーマ発掘に努めていること、二つ目は、設立から8年目のMNOIC事業が、2020年以降も事業の持続的拡大に向け、現場中心に着実に改善活動を進めていることを述べられました。

5. MEMS講習会、マイクロナノ先端技術交流会、海外調査報告会等セミナーが多くの技術者を集め活況
 マイクロマシンセンターでは、MEMS講習会、マイクナノ先端技術交流会、海外調査報告会を開催しており、多くの技術者の参加を頂き活発な意見交換が行われています。
 MEMS講習会は年2回開催し、そのうち1回は地方で開催しています。2018年は2月に九州で開催し、地方でのMEMS技術の普及に貢献しています。
 先端技術交流会は第2回医療MEMS研究会と兼ねて、「生体モニタリングの最前線」をテーマとして開催し、MEMS及び医療関係の技術者と意見交換が行われました。
 海外調査報告会は、MEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するものです。毎年のように北米や欧州を中心に学会等のイベント、海外の大学や研究施設、関連企業の訪問見学の報告を行っています。

6. MEMSセンシング&ネットワークシステム展2018、盛況でビジネスチャンスが拡大
 2018年 10月 17日(水) から19日(金)まで幕張メッセで開催された「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2018」は、3日間の開催期間を終え、盛況の内に閉幕しました。来場された皆様方に御礼申し上げます。

 初日は、展示会場内特設ステージでMEMS協議会フォーラムを10:00から12:30まで開催いたしました。2日目は、国際会議室で研究開発プロジェクト成果報告会を開催いたしました。最終日は、国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム及びスマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウムが10:00から16:05まで開催致しました。何れのシンポジウムも多くの聴衆が熱心に聞き入っておりました。
 会期中の様子は以下を参照ください。
 (初日)
http://www.nanomicro.biz/mems/2018/10/mems2018-be33.html
 (2日目)
http://www.nanomicro.biz/mems/2018/10/mems2018-9487.html
 (3日目)
http://www.nanomicro.biz/mems/2018/10/mems2018-fd87.html

 今回ご来場頂きました皆様に御礼申し上げます。

 次回は2020年1月29日(水)~31日(金)に、東京ビッグサイトにおいて、nano tech2020と同時開催を予定しております。
 次回もご来場頂けますよう関係者一同お待ちしております。

7. マイクロマシンサミット2018への参加や海外アフィリエート交流など、国際交流事業を活性化
 マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する場です。日本の提案により平成7年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。
 2018年は5月14日(月)から16日(水)までアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されました。南米での開催は、2014年にブラジル・サンパウロに続く2回目になります。今回のトピックスは、農業や畜産大国のアルゼンチンらしく”Agro-food & Environment. Other related applications and results from new and highly relevant R&D actions”でした。
 次回、2019年のマイクロマシンサミットは、中国・西安(Xi’an)で開催されることが決まりました。コーディネータはNorthwestern Polytechnical UniversityのWeizheng Yuan教授です。

8. LbSSプロジェクトも中間(5年のうち3年)に差し掛かり、成果が現実化
 本研究開発では、工場等の設備の稼働状況等の把握を目的とするスマートセンサモジュール、高効率MEH(Micro Energy Harvester)などの自立電源、及びスマートセンシングフロントエンド回路を開発し、動的センシング制御可能な無給電のスマートセンサ端末を実現します。さらに、同時に開発する学習型スマートコンセントレータとの連携により、従来の環境発電で収集可能な有価情報量を100倍化することを可能とする学習型スマートセンシングシステムの基盤開発と実証を行います。
 現在、学習型スマートセンシングシステムの開発として、有価情報を高めるための自立型センサ端末/学習型センシングアルゴリズムの開発、測定パラメータ可変型スマートセンサ、製造往路セス革新で小型・安価、高効率発電デバイスの開発を行っています。

9. センサ端末同期用原子時計(ULPAC)が世界最高水準の長期安定度を達成
 道路インフラモニタリングシステム(RIMS:ROAD Infrastructure Monitoring System)をはじめとするセンサ端末群は、ネットワークを介して時刻同期をすることで、データ取得の正確な時間を把握し、かつ、データ転送の効率化を図っています。もし、その時刻同期を不要とすることが出来れば、ネットワークの構築や運用にかかる負担を大幅に低減することができます。そこで、正確な時を刻む原子時計をセンサ端末に搭載可能なサイズや消費電力、価格にすることが出来るかを解析や試作を通して、長期間安定的に稼働する時計が完成しました。

10. 青柳副理事長、荒川センター長、野村総務担当部長などMMCの中興を担った方々が引退
 2018年に開催したMEMS理事会において、2003年MMC専務理事に就任し、2006年の当協議会発足に尽力した前MMC副理事長の青柳桂一氏も退任しました。
 また、マイクロマシンセンターを発展させてきた有力メンバーである荒川センター長及び野村総務担当部長が退職致しました。

成果普及部 水島 豊

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2018年11月15日 (木)

米国研究開発動向調査

 2018年11月6日(火)~11月14日(水)に米国の研究機関及びベンチャー企業を訪問して、米国におけるMEMS、IoTセンサ及びピコセンサ技術に関する最新の研究開発動向調査を行いましたので、以下にご報告致します。今回調査したのは以下の7機関です。
 1. eXo Imaging
 2. Stanford Uiversity, Roger Howe研究室
                 3. Stanford Nanofabrication Facility (SNF) &
                  Stanford Nano Shared Facilities (SNSF)
                 4. MIT, Biomimetics Robotics Lab
 5. ORIG3N
                 6. Stanford University, Khuri-Yakub研究室
                 7. Graftworx 
以下に各訪問先での調査結果を示します。

1. eXo Imaging
(1)面談者:Janusz Bryzex, Chairman & Chief Visionary Officer
      Sandeep Akkaraju, CEO & President
(2)訪問日:2018年11月6日(火)
(3)調査結果
                ・eXo ImagingはTrillion Sensors Initiativeを提唱した主宰者のJanusz BryzekがTrillion Sensorsの動きから出た初めての新ビジネスとして2016年に設立したベンチャー会社です。超音波(PMUT)による画像診断(エコー)を、ポータブル機器として開発しています。

                ・ピエゾMEMSを使って、既存の医療用の超音波診断装置を現状の超音波プローブの大きさに収めた製品を来年の9月にFDA認許をとって販売しようとしていました。

                ・超音波診断子はFDAの認可が必要ですが、非侵襲機器であるため、FDA取得はそれほど大変ではないとのことでした。

                ・通常MEMSではアイデアから製品まで27年かかっていますが、それを3年で実現できると言っていました。

                ・超音波診断子ではインピーダンスマッチングが必要で、ピコセンシングで考えているインピーダンスマッチング層には大きなニーズがあることが分かりました。

                ・今後はピエゾ MEMSが大きな広がりを持つとの考えで、多くのアプリ例を出して説明してくれました。今製品化を進めている超音波診断子はその第一歩との考えでした。

                ・トリリオンセンサのフェーズ1は2016年に終了しましたが、Januszは現在トリリオンセンサのフェーズ2(安く大量に製造するためにプリンテッドエレクトロニクスの革新が中心技術になるとの考え)をSEMIと画策しているとのことでした。

・写真1にeXo Imagingの入り口でのJanuszとの写真を示します。

                  

写真1  JanuszとeXo Imagingの入り口で
                  
               

2. Stanford Uiversity, Roger Howe研究室
(1)面談者:Charmaine Chai, PhD student
(2)訪問日:2018年11月7日(月)午前
(3)調査結果
                  ・MEMSの大御所のひとりのRoger Howe教授の研究室を訪問しました。生憎Howe教授は出張中で不在でしたが、PhDの学生であるCharmaineに実験室を案内してもらいました。

                  ・Howe教授はMEMSからバイオセンサの方に研究テーマをシフトしているとのことでした。

                  ・タンパク質の分析を行うバイオセンサの開発をしているとのことでしたが、分子識別能を使うのではなく、トンネル電流をローノイズで検出する方式のバイオセンサを開発しているとのことでした。

                  ・また、開発したバイオセンサのベンチャーも立ち上げているとのことでした。

                  ・実験室を案内してくれましたCharmaineはアプリケーションよりはnAレベルの微小信号を検出するためのトンネル電流検出プローブやローノイズ回路等の要素技術を開発しているとのことでした。

                  ・微小信号を検出するということで、ピコセンシングと通じるものがありました。現状はノイズ等により検出できる電流はnAレベルで、pAまでは検出は困難とのことでした。但し、現在考えているバイオセンサではnAで十分とのことでした。

・写真2にSanford大Howe研究室でのCharmaineとの写真を示します。

                  

写真2  CharmaineとHowe研究室の実験室で
                  
               

3. Stanford Nanofabrication Facility (SNF) & Stanford Nano Shared Facilities (SNSF)
(1)面談者:Dr. Mary X. Tang, Managing Director, SNF

             Dr. Shivakumar Bhaskaran, Coordinator, SNSF
                 Clifford F Knollenberg, Cleanroom Science & Engineering Associate, SNSF

(2)訪問日:2018年11月7日(水)午後
(3)調査結果
                  ・MEMSプロセス施設のSNF及びSNSFをManaging Director のMaryとCoordinatorのShivakumarとに案内して頂きました。

【SNF】
                  ・SNFは10,000 sq ftのクリーンルームを有する施設で、建設当初はStanford大学でCMOSを製作するめに建設されましたが、最近は半導体からMEMSを中心とする種々デバイス製作の施設に移行しており、全米に16あるNanofabrication Facilityの一つと位置付けされているとのことでした。

                  ・基本的には4インチのラインで、一部6インチウエハの処理が可能な装置があるとのことでした。年末年始のメンテナンス期間(20日程度週)を除くと1日24時間、週7日フル稼働しているとのことでした。日中は企業等の外部からの使用が多く、学生はむしろ深夜に使用しており、深夜の装置稼働率の方が高いとのことでした。

                  ・メインのCRはクラス100で写真3にレイアウトを示すように、一通りの装置が揃っていました。また、メインが大学の研究用なのでいろんな材料を使ったデバイスを製作できるように、写真4に示しますように、ExFabと呼ばれるグレイな領域も設けているとのことでした。

                  ・外部使用は20~25%で、後は学内の使用とのことでした。

・スタッフはSNSFと合わせて35名程度で、SNFは18.6人とのことでした。学生への装置トレーニングが主な仕事で、実際の装置操作は学生が実施するのが多いとのことでした。
・また、学生が使用するので、写真5に示しますように、主要な場所は一括でモニタできるようにして、監視しているとのことでした。
・写真6にMaryとSNFのファブの前での写真を示します。

                  
 
                  写真3 SNFメインCRのレイアウト
                  
                  
                  写真4 ExFabのレイアウト
                  
                  
                  写真5 CR監視モニタ
                  
                  
写真6 MaryとSNFの前で
                   

 【SNSF】
・SNSFはStanford大学のナノテク関連の高性能なプロセス装置及び評価装置を共同で利用するために作られたサービスセンターで、以下の4つのグループから構成されています。
① Nanofabrication
② Electron & Ion Microscopy
③ X-ray & Surface Analysis
④ Soft & Hybrid Materials
                  ・SNSFでは学内外合わせて年間約850件のサービスを実施しており、そのうち約750件がStanford大学内の25の学科からの使用とのことでした。

                  ・装置は3つのビルに分かれて設置されています。そのうちメインのSpilkerビルの装置レイアウトを写真7に示します。主要な装置を見学させて頂きましたが、さすがスタンフォードで、高価なプロセス装置や分析装置がたくさんありました。

・NaofabricationのマネジャーのClifford F Knollenbergとの写真を写真8に示します。

                  
                  

写真7 SNSF- Spilkerビルの装置レイアウト
                  
                  
写真8 CliffordとSNSF-CRの前で
                  

4. MIT, Biomimetics Robotics Lab
(1)面談者:Dr. Quan Nguyen, Post-Doctoral Fellow
(2)訪問日:2018年11月9日(金)午前
(3)調査結果
                  ・MIT の4足歩行ロボット「Cheetah(チーター)III」を開発しているBiomimetics Robotics Labを見学し、ポスドクのQuanから説明を受けました。

                  ・CheetahIIIは視覚を使わず、接触検出アルゴリズムによりTV等でも話題のボストンダイナミクスのSpotMiniより外力に強くなっているとのことでした。

                  ・但し、触覚センサは搭載しておらず(足に市販の触覚センサをつけたが、ジャンプ等の衝撃に耐えうるものはなかったそうです。)、各モータにつけたエンコーダと慣性ユニットで足の接地場所を計算しているとのことでした。

・各足に3軸のモータとエンコーダを搭載し、胴体部分に慣性ユニットを搭載していました。
                  ・今年10月に開催されましたThe 2018 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent                   Robots and Systems (IROS 2018)でお披露目となり、不整地や階段歩行、その場回転、ジャンプや棒でつついても倒れないデモ等をこなし、話題となっている4足歩行ロボットです。(http://news.mit.edu/2018/blind-cheetah-robot-climb-stairs-
                  obstacles-disaster-zones-0705
)

                  ・写真9にCheeterIIIの外観を写真10に説明してくれているQuanの写真を示します。

                  

写真9 MITの4足ロボットCheeterIII
                  
                  
写真10 説明しているQuan
                  
               

5. ORIG3N
(1)面談者:Kate Blanchard, Founder & COO
(2)訪問日:2018年11月9日(金)午後
(3)調査結果
                  ・ORIG3Nは2014年に設立された遺伝子検査を行うベンチャーで、COOのKate Blanchardに会社概要を紹介頂いた後、会社見学(写真11、写真12:事務所の外観、写真11奥にPCR解析装置が写真12に幹細胞貯蔵用の冷凍タンクが置かれています)をさせて頂きました。

                  ・PCRによる遺伝子解析装置を使った人間のDNA検査(FDAの認可は不要)をサービスとしており、フィットネスDNA検査キット等20種類($24~$149)のDNA検査キットを現在ドラッグストア等で販売する一方で、幹細胞やiPS細胞を培養して、医療応用を目指した研究の2本柱で会社運営をしようとしていました。

                  ・DNA検査キットの方はドラッグストア等で販売するビジネスモデルである程度の成長はするとは感じましたが、現状は人をターゲットにした検査だけを考えているようで、リピータの確保が難しく、検査時間も2,3週間かかるとのことでしたので、成長には限界があるように感じました。

                  ・製品としては、パッケージの中に口内の皮膚細胞を採取する検査綿棒が入っており、それでDNAを採取して、内蔵されているビニール袋と封筒に入れて送付するだけで、結果は専用のアプリをダウンロードすることでスマホから見れるというものでした。

                  ・技術的には同じなので、食品やセキュリティ分野でMEMS技術を使ったリピータの確保が可能なポータブル検査の方向も考えた方が良いように思いました。

・幹細胞やiPS細胞の医療応用ビジネスに関しては、まだまだ製品には遠そうな印象を受けました。
                  ・DNA検査キットに関しては、現在は米国での販売ですが、1,2年後にはアジアを含めた海外展開を考えているとのことでした。

                  ・試しに、フィットネスDNAテスト($149のもので6種類の検査を行う)をして頂いたので、結果楽しみですが、フィットネスDNAテストで$149は少し高いようにも感じました。

                  ・TVを見ているとORIG3N以外の会社から自分のルーツを探るDNA検査キットのコマーシャルが流れていましたので、米国では遺伝子検査ビジネスはかなりポピュラーになっているように見受けられました。

・写真13にORIG3Nの玄関の製品陳列棚の前でのCOOのKateとの写真を示します。

                  

                  写真11 ORIG3Nの事務所外観(1)
                  
                  
                  写真12 ORIG3Nの事務所外観(2)
                  
                  
写真13 ORIG3N玄関の製品陳列棚の前でのCOOのKateと
                    
                  

6. Stanford University, Khuri-Yakub研究室
(1)面談者:Dr. Butrus (Pierre) T. Khuri-Yakub, Professor
       Dr. Kamyar Firouzi, Research Associate
        Dr. Quintin Stedman, Research Associate
              Dr. Minoo Kabir, Post-Doctoral Fellow
              Dr. Bo Ma, Post-Doctoral Fellow
              Farah Memon, PhD Candidate
(2)訪問日:2018年11月12日(月)午前
(3)調査結果
                  ・Khuri-Yakub先生はゼロックスでインクジェットプリンタの開発をされておられた方です。ゼロックスはプリンタの事業からは撤退し、その技術は製薬開発に使う液滴滴下装置に転用されLabcyte(                   https://www.labcyte.com/ )という会社に引き継がれているとのことでした。

                  ・また超音波のCMUT(Capacitive micromachined ultrasonic transducers)の考案者で基本特許を持っておられた方です。1.のeXo ImagingではピエゾMEMSが今後広がるとJanuszさんが言っていましたが、超音波診断子としてはCMUTの方が広帯域、高感度で優れているというのがKhuri-Yakub先生の主張でした。

                  ・また、超音波プローブだけでスマホに接続できるCMUTの製品はButterfly (https://www.butterflynetwork.com/)という会社から1年前に製品化されているとのことでした。ここでもeXo Imagingは出遅れているように感じました。

・また、0.75agの重量を検知できるCMUTを使った化学量センサ(ガスセンサ)の開発をされており、まさにピコ(10-12)どころかアト(10-18)グラムの検出が可能とのことでした。但し、ガス吸着の高分子膜の開発が必要になりますが、それは専門外とのことでした。実際の化学量センサ(写真14)をDr. Quintin Stedmanに説明頂きました。
・そのほかカプセル超音波センサ(カプセル内視鏡のように飲んで超音波診断を行うもの)や脳の活動量モニタリング等の研究をされておられました。
                  ・写真15に教授室でのKhuri-Yakub教授と写真を示します。

                                      

                  写真14 agの検出可能な化学量センサ
                  
                  
写真15 Khuri-Yakub教授と教授室で
                   

7. Graftworx
(1)面談者:David J. Kuraguntla, CEO
      Anthony F. Flannery Jr. Vice President
(2)訪問日:2018年11月12日(月)午後
(3)調査結果
                  ・CEOのDavid J. KuraguntlaとVPのAnthony F. Flannery Jr.に対応頂きました。Davidから会社概要、Anthonyから来年にFDAを取得して発売予定の透析患用のモニタリングシステムの技術的な説明をパワーポイント及び試作品を使って受けました。

                  ・モニタリングシステムは①スマートパッチ(写真16)、②携帯対応データハブ(写真17)、③データ蓄積クラウドと④診断用フロントエンドから構成されていました。

                  ・スマートパッチはマイクロフォン、3軸加速度センサ、高精度温度計と光学の脈波センサ(PPG)を12mm角の基板に実装し、特注のバッテリを搭載したパワーマネージメントユニットとマイコン、メモリー、通信(BLE4.2)ユニットを耐久性のあるフレキシブル基板で接続し、シャワーでも使えるIP64相当を有するコーティングで実装したものでした。

                  ・脈波センサの詳細は分からなかったですが、ピコセンシングで考えている脈波センサのアプリの例として参考になると思いました。

                  ・また、システムとして製品化するためには、MEMSそのものよりは、耐久性、データのセキュリティ、診断技術等周辺の技術が大事とAnthonyは言っておりました。

                  ・本システムではハブにセキュリティ機能を持たせ、スマートパッチからスマートフォンにデータを直接やり取りすることはやめ、ハブを介することでセキュリティを高めたと言っておりました。

                  ・AthonyはInvenSenseの創始者でしたが最近はMEMSそのものよりは医療用デバイスとして役にたつものを開発したいと言っておりました。その他有意義なディスカッションができました。

・写真18に会議室でのDavidとAnthonyとの写真を示します。

                                      

写真16 スマートパッチ
                  
                  
写真17 携帯対応データハブ
                  
                  
写真18 会議室でDavid(左)とAnthony(右)と
                  

以上

                  
(一財)マイクロマシンセター 武田宗久
                  
               

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2018年5月16日 (水)

2018 第24回「国際マイクロマシンサミット」アルゼンチン、ブエノスアイレス開催報告

 マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する場です。日本の提案により平成7年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。

 2018年は5月14日(月)から16日(水)までアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されましたので報告致します。南米での開催は、2014年にブラジル・サンパウロに続く2回目になります。今回のトピックスは、農業や畜産大国のアルゼンチンらしく”Agro-food & Environment. Other related applications and results from new and highly relevant R&D actions”でした。アルゼンチンは日本の国土の7.5倍で南米大陸の南部に位置し、人口は約4400万人です。日本からは東京大学の伊藤寿浩教授を団長に、マイクロマシンセンターの国際交流担当として三原が出席しました。今回のオーガナイザは、Argentinean Nanotechnology FoundationのDaniel O. Lupi所長でした。開催場所は、アルゼンチンの首都であるブエノスアイレスの中心地・サンニコラス地区で、サンマルチン将軍広場に近い、歴史のあるDazzler Hotel San Martineであり、アルゼンチンの大統領府であるレンガ色のカサ・ロサダ(愛称・ピンクハウスと呼ばれる)にも徒歩で15分程度の最高の場所でした。


写真1 開催場所 Dazzler Hotel San Martine


写真2 開催場所の通り


写真3 レセプションの様子

 今回は立地的な理由もあって参加者が少なく、13の地域から31名のデレゲイトが参加されました。

 一日目は各国の現状を報告するカントリーレビューで、各国の産業&技術政策状況、特に農業や畜産におけるマイクロシステムやセンサに関する話題提供があり、日本からも現在進行中のMEMSやIoTに関する国家プロジェクトの紹介と共に、今回のMMサミットのテーマにマッチした養鶏や畜産でのセンサIoTを使ったセンサシステムの研究状況を、伊藤団長から話題提供をされました。(伊藤寿浩教授はセンサIoTを使った鳥インフルエンザの研究を発端に、動物、更に様々な構造物のモニタリングを専門とされている)カントリーレビューは、ドイツ、オーストラリア、中国、韓国、リベリア半島、日本、ラテンアメリカ、英国、ルーマニア、イタリア、フランス、スイス、ECの順番で報告がありました。


写真4 オーガナイザのLupi氏と会場の様子


写真5 集合写真に集まったデレゲイト


写真6 伊藤教授による日本のカントリーレビュー

 マイクロマシンサミットでは、会期中の交流会で、その国の文化を理解するカルチャーイベントが楽しみですが、今回はアルゼンチンタンゴでした。流石はアルゼンチンの首都らしく、アルゼンチンタンゴを上映する劇場が何軒も並んでいましたが、我々はMadero Tangoでタンゴショウを楽しみました。演劇+ミュージカル+タンゴダンスと言った感じで、たっぷり2時間の講演でした。

 二日目は、個別話題の講演会で、16件の発表と農業や畜産におけるセンサやIoTの取り組みを議論するラウンドテーブルがありました。日本からの発表は昨年に引き続き国際標準化の重要性と各国の参加を呼び掛ける内容でした。


写真7 タンゴショウの会場


写真8 劇場の様子

 サミットの翌日は、テクニカルツアーとしてブエノスアイレスのマイクロシステムやナノテクの研究機関3カ所を回りました。

 最初はバイオサイエンス研究センタCIBION(Bioscience Research Center)です。特に興味深いテーマとして、生きたままの数ナノメートルの細胞を操作するレーザ操作顕微鏡を使った研究の紹介がありました。光学顕微鏡を使うと波長の半分程度にしかビームを縛れないために数ナノメートルの細胞を扱うことは出来ませんが、様々な工夫(被検出物やレーザビームへの操作)を行うことで実現しています。


写真 9 バイオサイエンス研究センタ


写真 10 説明の様子

 2ヵ所目は日本の産業技術(総合)研究所に相当するNational Institute of Industrial Technologyでした。ここには半導体やMEMSの研究施設があって、マイクロTAS等を研究開発すると同時に、IoTに必要なセンサ+MPU+無線と言った応用研究も行い、これを使った企業の事業化にも貢献しているようです。


写真 11 研究所の玄関


写真 12 説明の様子

 最後はアルゼンチンのナノテク研究所である、Argentinian Nanotechnology Foundationです。 ここではナノテクの最先端解析装置を中心に見学しましたが、そのナノ材料を使った応用分野の研究も興味深いものでした。特にカーボンファイバー含有ゾルを使った薄膜タッチセンサを使って、靴のインソールを作成し、靴内部センサ回路や無線回路を組み込んで足の圧力分布を計測するシステムは完成度が高く、今後は実用化と、その効果を検証していくとのことでした。


写真 13 研究所のエントランス


写真 14 会議室

 次回、2019年のマイクロマシンサミットは、中国・西安(Xi’an)で開催されることが決まりました。コーディネータはNorthwestern Polytechnical UniversityのWeizheng Yuan教授です。

(MEMS協議会 国際交流部 三原 孝士)

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2018年5月11日 (金)

国際アフィリエート(SHTP Lab、ベトナム)来訪、MEMSに関する情報交換会を開催

 MEMS協議会では、MEMSビジネス内外交流事業の一貫として国際交流事業を行っており、海外のMEMS関連研究機関との交流も活動の大きな柱になっています。2018年5月10日(木)に、MEMS協議会の国際アフィリエートでもあるベトナムのSHTP Lab(http://shtplabs.org/?page_id=133&lang=en)より訪問団が一般財団法人マイクロマシンセンター(MMC、秋葉原本部)を来訪され、MEMSに関する情報交換会を開催致しました(写真1参照)。以下、その時の内容をご報告致します。

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           写真1 意見交換会の様子

 今回来訪されたベトナム訪問団は、SAIGON HI-TECH PARK MANAGEMENT BOARDHCM CITY, RESAERCH LABORATORIES CENTERのNgo Vo Ke Thanh所長とNguyen Van Tam研究員及びホーチミン市立サイゴンハイテクパーク研究所の科学ディレクターでもある立命館大学杉山進名誉教授の3名でした(写真2参照)。

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写真2 ベトナム訪問団の皆様(右から杉山科学ディレクター、Ngo所長、Nguyen研究員)

 当日は 双方の活動紹介を行って意見交換会を行いました。SHTP LabはベトナムにおけるMEMSの産業化をサポートする研究センターで、6インチのMEMS試作ラインを有して、ホーチミン市のスマートシティ構想における道路の冠水・排水モニタリングや大気汚染モニタリング等の研究開発を行っているとのことでした。また、マイクロマシンセンターとより密接な交流を希望されており、MMCのMNOIC(MicroNano Open Innovation Center)やファウンダリネットワークサービスの活用やSHTP LabのセミナーでのMMCの紹介等の交流を今後積極的に進めることで合意しました。

 MEMS協議会・国際交流事業では今後もこのようなビジネス交流を積極的に行う予定です。

              (MEMS協議会国際交流担当 武田 宗久)

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2018年4月26日 (木)

第10回MEMS Engineer Forum2018に出展

 第10回MEMS Engineer Forum 2018(MEF2018)は4月25日、26日、両国KFCホールにて、盛況に開催されました。2日間で延べ750名を超えるMEMSのEngineerが世界から集まり、技術やビジネスの未来を語りました。マイクロマシンセンター(MMC)はこのフォーラムにMMCとMNOIC事業を紹介するポスター展示を行いましたので、簡単に報告いたします。

 MEMS Engineer Forum(MEF)は、21世紀のキーテクノロジーとされるMEMS技術の現状と、向こう10年までの技術の将来に迫る、この分野のキープレイヤーの中でもエンジニアを中心に運営されるユニークな場です。世界中のMEMS研究者、開発者、技術者が一堂に集うこのフォーラムは、2009年3月の初開催以降、回を重ね、MEF2018で第10回を迎えました。

 実行委員会委員長は東北大学 桑野博喜教授が前回に引き続き務めました。主な講演者として、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構技術戦略研究センター長の川合 知二氏、University of California San DiegoのAlbert P. Pisano博士、CEA-LetiのJean-Philippe Polizzi氏、Stanford UniversityのThomas Kenny教授、YOLE DeveloppementのJean-Christophe ELOY氏、また、日本からは、東北大学江刺正喜教授、SPPテクノロジーズ株式会社神永晋氏らが2日間に渡り講演され(写真1)、濃密な議論が行われました。

 ポスター展示はKFC HALL ホワイエと、KFC HALL Annexの2か所に分かれて開催され、国内外49機関から出展がありました。MMCはKFC HALL ホワイエでHALL直近の場所で展示を行い(写真2)、10月に開催するMEMSセンシング&ネットワーク展の案内、マイクロマシンセンター概要及びMEMS協議会会員の概要、産総研集積マイクロシステム研究センターの技術やMEMS大型研究設備を活用することにより、ユーザ企業の研究支援や事業化を推進しているMNOIC( MicroNano Open Innovation Center)の活動を紹介しました。今回はウエハーを展示したことからMNOICについての問い合わせが多くありました。また、MEMSセンシング&ネットワーク展2018に興味を示す姿がみられました。今後も、わが国の産業競争力強化につながる活動を継続してまいります。
(MEMS協議会 渡辺 秀明、水島 豊)


写真1 会場の様子


写真2 展示の様子

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2018年3月 2日 (金)

米国研究開発動向調査

 2018年2月25(日)~3/2(金)に東京大学情報理工学系研究科の下山教授の「空間移動時のAI融合高精度物体認識システムの研究開発」の動向調査と並行して米国西海岸の研究機関を訪問して、米国の研究開発動向の調査を行いましたので、以下にご報告致します。今回調査したのは以下の5機関です。
 1. University of California, San Diego (UCSD)
 2. University of California, Los Angeles (UCLA)
 3. California Institute of Technology (CALTEC)
 4. NASA Jet Propulsion Laboratory (JPL)
 5. Microsoft Research (MSR) 
以下に各訪問先での調査結果を示します。

1. University of California, San Diego (UCSD)
(1)訪問先:Albert P. Pisano (Dean, Jacobs School of Engineering)
            Miwako Waga (Director, International Outreach)
(2)訪問日:2018年2月26日(月)午前
(3)調査結果
・Pisano学部長は元UC, BerkeleyでMEMS研究を初期から牽引してこられたMEMSの大御所です。現在、UCSDのJacobs School of Engineeringの学部長を務めています。
・UCSDのJacobs School of Engineeringは 6つの学科(①Bioengineering, ②Computer Science & Engineering,③Electrical & Computer Engineering, ④Mechanical & Aerospace Engineering, ⑤Nanoengineering, ⑥Structural Engineering)から構成されDigital Futureを目指して以下のテーマに注力して研究開発を行っています。
 -Context-aware robotics
 -Nano for energy and medicine
 -5G and future of communication
 -Wearable sensing and computing systems
 -Cyber and digital security
 -Data science and machine learning
・アメリカのホットトピックスに関して意見交換を行い、以下のような意見が出ました。
 -AIに関してはIBMとUCSDでAI for Healthy Living Centerを立ち上げているとのことでした。
 -医療に関してはDigital Health, Precision Medicine, Personalized Medicineが挙げられるとのことでした。
 -構造物モニタリングに関してはUCSDではサンディエゴ市とスマートシティの一環としてBuilding Structural Monitoringを行っているとのことでした。
 -医療認証に関しては、米国のFDAは世界一厳しいとのことでした。
・Pisano学部長がおられるUCSD Jacobs Hallの入口の写真を写真1に、Pisano学部長室の前で、Pisano学部長との写真を写真2に、和賀所長、Pisano学部長との写真を写真3に示します。

12_ucsd
   写真1 UCSD Jacobs Hall入口     写真2学部長室の前でPisano学部長と

3_ucsd_pisano_2      写真3 学部長室の前で和賀所長、Pisano学部長と

2. University of California, Los Angeles (UCLA)
(1)訪問先:
① CJ Kim (Professor, Mechanical & Aerospace Engineering Department)
② Verronica J. Santos (Associate Professor, Mechanical & Aerospace Engineering Department)
③ Tsu-Chin Tsao (Professor, Mechanical & Aerospace Engineering Department)
④ Jacob Rosen (Bionics Lab Director, Mechanical & Aerospace Engineering Department)
(2)訪問日:2018年2月26日(月)午後
(3)調査結果
① CJ Kim 教授
・CJ Kim教授はMEMS分野の権威で、Kim教授のMicro and Nano Manufacturing Labでは、特に表面張力を利用したマイクロナノデバイスの研究を積極的に行っています。
・UCLAはMedical Centerが近いので、医者との連携は容易であり、共同の研究はしていますが、初期はお金がないので、細々と進めざるを得ないとのことでした。但し、試作品が認められれば、病院は寄付によるフレキシブルな予算があるので、大きなプロジェクトにすることは可能とのことでしたが、コンセプトからは5年程度かかるとのことでした。
・CJ Kim教授室の前で、Kim教授との写真を写真4に、下山教授のKim教授への説明の様子を写真5に示します。

45_ucla_kim
   写真4 教授室の前でKim 教授と     写真5 Kim教授と下山教授

② Santos准教授
・Santos准教授は把持、触覚、義手、人工刺激、機械学習等の専門家でSantos准教授のBiomechatronics Labでは、人工触診(Artificial haptic exploration)、触覚センサ、把持等の研究開発を行っています。
・海軍の予算で義手の研究を行っているとのことでした。その他遠隔操縦や砂の中の触覚による物体認識や把持のための触覚センサ等の研究を行っていました。
・触覚センサは買い物とUniversity of Washingtonで作ってもらったものを使用しているとのことでした。
・Santos准教授室の前で、Santos准教授との写真を写真6に、写真7に遠隔操縦用双腕マニピュレータ、写真8に人工ハンド、写真9に指の触覚センサ、写真10に実験室での説明の様子を示します。

67_ucla_santos1
写真6准教授室の前でSantos准教授と 写真7 遠隔操作用双腕マニュピュレータ

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    写真8 人工ハンド         写真9 指の触覚センサ

10_uccla_santos_2          写真10 実験室での説明の様子


③ Tsao教授
・Tsao教授はダイナミックシステムのモデリングと制御の専門家です。
・アメリカのホットトピックスのキーワードの一つとして、Co-Robotが挙げられるとのことでした。Co-Robotは人間とロボットとの物理的干渉に関する研究です。その場合には触覚センサが重要になるとのことでした。
・もう一つのキーワードとして、 Distributed Sensingが挙げられるとのことでした。Distributed sensingではデータ処理のためAIが必要になるとのことでした。
・アメリカでは義手・義足の研究も負傷した帰還兵のニーズが高く、保障の観点からも盛んとのことでした。
・UCLAではMedical Centerが近いので、医療応用の研究も盛んとのことでした。NIHでは手術用ロボット等治療に係るテーマは良いですが健康に関してはあまり取り上げてもらえないとのことでした。
・Tsao教授室の前で、Tsao教授との写真を写真11に示します。

11_ucla_tsao           写真11 教授室の前Tsao教授と


④ Rosen教授
・Rosen教授は医療用ロボット(手術用+リハビリ用)や遠隔操作の専門家でUCLAのBionics LabのDirectorです。
・Rosen教授に研究室を案内してもらい、アメリカのホットトピックスのキーワードについて討議しました。
・手術用ロボットでは力制御が重要であり、狭いところでも作業できるように、狭いところにマウントできる触覚センサの開発がMEMSに期待するところとのことでした。
・現状はダビンチが市販されている唯一の手術用ロボットですが、最近2社が新たに製品化をしようとしているとのことでした。UCLAではリサーチラボで使うオープンプラットフォームの手術用ロボットの研究開発をしているとのことでした。
・ダビンチはS/Wは公開されていないので、研究開発用としてH/W,S/Wともオープンソースの手術用ロボットの開発は意味があるとのことでした。
・手術用ロボットのFDA認可には、$100million必要ですが、市場は$30billionと言われており、認可にお金がかかっても十分事業として成り立つとのことでした。
・手術用フォースセンサとしては直径5mmに収める必要があるとのことでした。但し、長さ方向に制限はないとのことでした。鉗子の先端に付けるためには幅2mm、長さ2~4mmに収める必要があるとのことでした。
・鉗子は$1200で10回の使用で交換するとのことでした。これは小型のプーリー等が劣化・破損するためとのことでした。これに適用するためにはセンサのコストは安くないと使われないとのことでした。
・この分野のキーワードとしては、Automated Surgeryが挙げられるとのことでした。現状は遠隔操作ですが、場所、縫合数等を与えるだけで自動的に手術をしてくれることが最終目標とのことでした。機械学習等もこの中に含まれるとのことでした。
・現在はサブタスクレベルでのトライアルがなされているレベルであるとのことでした。
・ハンドは2本指で全作業の95%が実現できるとのことでした。3指あれば100%の作業が実現できるとのことでした。人間が5本指なのは冗長性を担保するためとのことでした。
・人間の5指は長さが違うのに、曲げるとそろうのはスライド機構が備わっているためであるとのことで、スライド機構が備わったハンドを作られていました。
・腱機構は先端部を小さくはできますがプーリー部が壊れやすいとのことでした。
・Rosen教授室の前で、Rosen教授との写真を写真12に、写真13に手術用ロボットの全景写真、写真14に手術用ロボットの手先部拡大写真、写真15に鉗子部、写真16に手術ロボット操作コンソール部、写真17に指マスター部を示します。

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  写真12教授室の前でRosen教授と    写真13 手術用ロボット全景写真

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  写真14 ロボット手先部         写真15 鉗子部

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   写真16 操作コンソール部           写真17 指マスター部

3. NASA JPL
(1)訪問先:Dr. Won Soo Kim
(2)訪問日:2018年2月27日(火)午前
(3)調査結果
・NASA JPLのWon Soo Kim博士を訪問し、von Karman Visitor Center、Space Flight Operations Facility、the Spacecraft Assembly Facility、In-situ Instrument Laboratoryを案内して頂き、火星探査車を中心に説明を受けました。
・火星探査車としては、1997年にマーズ・パスファインダーに搭載され着陸に成功したソジャーナ、2004年にマーズ・エクスプローレーション・ローバに搭載され、着陸に成功したスピリットとオポチュニティ、2012年にマーズ・サイエンス・ラボラトリーに搭載され、着陸に成功したキュリオシティがあるとのことでした。
・マーズ・エクスプローレーション・ローバまではバルーンに入れて火星に落下させましたが、マーズ・サイエンス・ラボラトリーでは重量が重いため、キュリオシティをワイヤーで吊って、地表面に到達後すぐにワイヤーを切って逆噴射でマーズ・サイエンス・ラボラトリーを遠ざける方法に変更したとのことでした。
・火星探査車には種々のセンサが搭載されているとのことでした。キュリオシティにはオポチュニティの10倍の化学探査機器が搭載されており、火星が生命を保持する可能性について調査しているとのことでした。
・ミッションを成功させるため、デバイス、コンポーネント、システムレベルでの耐久性評価を行っているとのことでした。
・写真18にオペレーションルーム入口、写真19に衛星組立て工場の入口、写真20にKim博士の居るIn-Situ Instrument Labの入口、写真21にソジャーナ(右)とオポチュニティ(左)の模型、写真22にキュリオシティの模型、写真23にキュリオシティの模型前でのKim博士と下山教授を示します。

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写真18 オペレーションルーム入口  写真19 衛星組立て工場の入口

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写真20 In-Situ Instrument Lab入口   写真21オポチュニティ(左)とソジャーナ(右)

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   写真22  キュリオシティ模型         写真23 下山教授とKim博士

4. CALTEC
(1)訪問先:Yu-Chong Tai (Executive Officer and Professor, Medical Engineering)
(2)訪問日:2018年2月27日(火)午後
(3)調査結果
・Tai教授はMEMSの大御所の一人ですが、15年くらい前からMEMSそのものの研究から医療用MEMSに研究を集中させ、役に立つMEMS の開発を行っているとのことでした。
・アメリカではNIHが医療用で大きな予算を出しており、有望なテーマとしては癌治療や心臓病にかかわるものがあるとのことでした。
・また、DARPAでは1年単位の契約で有望なものは1年単位の更新が基本ですが、NIHでは1年、2年、3年、4年、5年といった種々の枠組みがあり、成果をだせば延長可能で、Tai教授は5年ものを継続させ20年研究開発しているものもあるとのことでした。
・FDAの認可をとるのは大変でコストもかかりますが、認可されれば逆にFDAが守ってくれるので、逆にメリットになっているし、米国では医療用の市場は$400billionあり、他の分野より大きいし、また数はそれほど出さなくても利益率の高い商売ができるとのことでした。
・電気・電子の世界は、数はでますが、コストも下げられ、利益率も悪いし、60年前にトップ60に入っていた企業で今もトップ60に入っているのは3社だけですが、医療は60社がすべてそのまま生き残っているので、医療は非常に安定した業界であるとのことでした。
・VR、ARはこれから伸びるとの意見でした。また、VR、AR絡みでOptical MEMSはまたブームになる可能性はあるとのことでした。
・ビジョンに関してはプライバシーを侵害するものは受入れられないので、注意する必要があるとのことでした。グーグルグラスも当初一般用に考えていたために、撤退を余儀なくされ、最近医療用等の特定分野に限定することで復活したとのことでした。米国では法律でプライバシー保護がなされるので、プライバシーを侵害するものは注意が必要とのことでした。パーソナルユースにするか公共で使うものに関してはホームランドセキュリティにかかわるものしかダメとのことでした。
・IoTに関しては、民生品の分野で有望との見解でした。
・エネルギ分野に関しては、米国では昔はDOEから活発な国の支援が行われましたが、シェールオイルが出てきてからは、米国ではエネルギ関連の予算はほとんどなくなったとのことでした。但し、日本や台湾のようにエネルギを他国に依存しているところは別かもしれないとのことでした。
・MEMSの産業化は、信頼性、再現性等が満足されなければ、無理だとのことで、産業化を考えるにははじめからこれらを考慮する必要があるとの見解でした。
・クリーンルームの前で、Tai教授との写真を写真24に示します

24_caltec_2        写真24 クリーンルームの前で、Tai教授と

5. Microsoft Research
(1)訪問先:
Research Program Managerの公野氏にアレンジして頂き、下記4名の研究者とディスカッションを行いました。
①Yutaka Suzue, Principal Software Development Engineer
②Sing Bing Kang, Principal Researcher Interactive Visual Media
③Gang Hua, Research Manager Machine Perception and Cognition Group
④Sudipta Sinha, Researcher, Aerial Informatics and Robotics (AIR) Group
(2)訪問日:2018年2月28日(火)午後
(3)調査結果
① Dr. Yutaka Suzue
・Dr. Suzueはペッパー、HSR等のロボットを使って、エンタープライズとしてどんなことができるかのシナリオつくりが仕事とのことでした。
・CES (Consumer Electronics Show)ではスマートスピーカを中心とするホームIoTがホットだったとのことでした。
・会議室で、公野氏、鈴江氏への説明の様子を写真25に示します。

25_msr__2       写真25 会議室で公野氏、鈴江氏への説明の様子

② Dr. Sing Bing Kang
・Dr. Kangの研究テーマはエンハンストビジョンやシネマグラフです。360℃カメラの映像をある人が興味のあるものを中心に再構築して、表示させる技術等を開発していました。
・会議室で、Dr. KangとDr. Huaとの写真を写真26に、Dr. Kang、Dr. Hua、公野氏との写真を写真27に示します。

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 写真26 Dr. Kang,Dr. Huaと  写真27 Dr. Kang,Dr. Hua,公野氏と

③ Dr. Gang Hua
・Dr. HuaのグループではVision Analysis, Machine Reading, Machine Learningを研究しているとのことでした。
・Dr. HuaはStyle Transferの研究で、ある絵を別の特徴を持つ絵に変えたり、人の表情を変えたりする研究を行っていました。
・ホットトピックスのキーワードとしては、Co-Robotがあるかもしれないとのことでした。

④ Dr. Sudipta Sinha
・Dr. Sinhaは3Dコンストラクションやステレオマッチング、Mixed Reality、AR、VRの研究を行っていました。
・また、HoloLensの開発を行ったとのことでした。
・キネクトやXBox、Bing検索等がMicrosoft Researchから製品化されたとのことでした。
・会議室で、Dr. Sinhaとの写真を写真28に示します。

28_msr_sinha_2           写真28 会議室でDr. Sinhaと

          (一般財団法人マイクロマシンセンター 武田宗久)

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2018年2月16日 (金)

2018 第24回「国際マイクロマシンサミット」開催のご案内

マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する場です。日本の提案により平成7年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。これまでオーストラリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、日本、韓国、シンガポール、スイス、台湾、イギリス、米国、ベネルクス、ノルディク、ラテンアメリカ、地中海沿岸地域の国々、およびロシアが参加し、各国のマイクロマシン/MEMSやナノテクの取組状況と課題、ならびに世界の産・学研究機関での最先端の研究成果等の発表がなされ、またその討議が行われました。

 2018年は5月14日(月)から5月16日(水)にアルゼンチンのブエノスアイレス(Buenos Aires)で開催されます。
 2014年(第20回)のブラジル・サンパウロの開催のあと南米での2回目の開催となり、今回のトピックスは、"Micro/NanoSystems and Technologies for Agro food and Environmental" です。
オーガナイザーは、FAN (Argentinean Nanotechnology Foundation) のDaniel Lupi所長となります。

2018summit_hp_9

 今回も、日本代表団を構成し、参加を予定しております。マイクロマシンセンターの会員の皆様はご参加いただけます。世界のマイクロマシン/MEMSやナノテクに関する情報収集や意見交換できるまたとない機会ですので、ぜひご参加いただきたくご案内いたします。

サミットの詳細は以下のURLを参照ください。
https://www.mms2018.org/

お問い合わせ先:
  一般財団法人マイクロマシンセンター/MEMS協議会事務局
   国際交流担当 三原 孝士
   〒101-0026東京都千代田区神田佐久間河岸67 MBR99ビル6階
   TEL: 03-5835-1870  FAX: 03-5835-1873
   e-mail:  t_mihara@mmc.or.jp

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