国際交流

2018年5月16日 (水)

2018 第24回「国際マイクロマシンサミット」アルゼンチン、ブエノスアイレス開催報告

 マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する場です。日本の提案により平成7年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。

 2018年は5月14日(月)から16日(水)までアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されましたので報告致します。南米での開催は、2014年にブラジル・サンパウロに続く2回目になります。今回のトピックスは、農業や畜産大国のアルゼンチンらしく”Agro-food & Environment. Other related applications and results from new and highly relevant R&D actions”でした。アルゼンチンは日本の国土の7.5倍で南米大陸の南部に位置し、人口は約4400万人です。日本からは東京大学の伊藤寿浩教授を団長に、マイクロマシンセンターの国際交流担当として三原が出席しました。今回のオーガナイザは、Argentinean Nanotechnology FoundationのDaniel O. Lupi所長でした。開催場所は、アルゼンチンの首都であるブエノスアイレスの中心地・サンニコラス地区で、サンマルチン将軍広場に近い、歴史のあるDazzler Hotel San Martineであり、アルゼンチンの大統領府であるレンガ色のカサ・ロサダ(愛称・ピンクハウスと呼ばれる)にも徒歩で15分程度の最高の場所でした。


写真1 開催場所 Dazzler Hotel San Martine


写真2 開催場所の通り


写真3 レセプションの様子

 今回は立地的な理由もあって参加者が少なく、13の地域から31名のデレゲイトが参加されました。

 一日目は各国の現状を報告するカントリーレビューで、各国の産業&技術政策状況、特に農業や畜産におけるマイクロシステムやセンサに関する話題提供があり、日本からも現在進行中のMEMSやIoTに関する国家プロジェクトの紹介と共に、今回のMMサミットのテーマにマッチした養鶏や畜産でのセンサIoTを使ったセンサシステムの研究状況を、伊藤団長から話題提供をされました。(伊藤寿浩教授はセンサIoTを使った鳥インフルエンザの研究を発端に、動物、更に様々な構造物のモニタリングを専門とされている)カントリーレビューは、ドイツ、オーストラリア、中国、韓国、リベリア半島、日本、ラテンアメリカ、英国、ルーマニア、イタリア、フランス、スイス、ECの順番で報告がありました。


写真4 オーガナイザのLupi氏と会場の様子


写真5 集合写真に集まったデレゲイト


写真6 伊藤教授による日本のカントリーレビュー

 マイクロマシンサミットでは、会期中の交流会で、その国の文化を理解するカルチャーイベントが楽しみですが、今回はアルゼンチンタンゴでした。流石はアルゼンチンの首都らしく、アルゼンチンタンゴを上映する劇場が何軒も並んでいましたが、我々はMadero Tangoでタンゴショウを楽しみました。演劇+ミュージカル+タンゴダンスと言った感じで、たっぷり2時間の講演でした。

 二日目は、個別話題の講演会で、16件の発表と農業や畜産におけるセンサやIoTの取り組みを議論するラウンドテーブルがありました。日本からの発表は昨年に引き続き国際標準化の重要性と各国の参加を呼び掛ける内容でした。


写真7 タンゴショウの会場


写真8 劇場の様子

 サミットの翌日は、テクニカルツアーとしてブエノスアイレスのマイクロシステムやナノテクの研究機関3カ所を回りました。

 最初はバイオサイエンス研究センタCIBION(Bioscience Research Center)です。特に興味深いテーマとして、生きたままの数ナノメートルの細胞を操作するレーザ操作顕微鏡を使った研究の紹介がありました。光学顕微鏡を使うと波長の半分程度にしかビームを縛れないために数ナノメートルの細胞を扱うことは出来ませんが、様々な工夫(被検出物やレーザビームへの操作)を行うことで実現しています。


写真 9 バイオサイエンス研究センタ


写真 10 説明の様子

 2ヵ所目は日本の産業技術(総合)研究所に相当するNational Institute of Industrial Technologyでした。ここには半導体やMEMSの研究施設があって、マイクロTAS等を研究開発すると同時に、IoTに必要なセンサ+MPU+無線と言った応用研究も行い、これを使った企業の事業化にも貢献しているようです。


写真 11 研究所の玄関


写真 12 説明の様子

 最後はアルゼンチンのナノテク研究所である、Argentinian Nanotechnology Foundationです。 ここではナノテクの最先端解析装置を中心に見学しましたが、そのナノ材料を使った応用分野の研究も興味深いものでした。特にカーボンファイバー含有ゾルを使った薄膜タッチセンサを使って、靴のインソールを作成し、靴内部センサ回路や無線回路を組み込んで足の圧力分布を計測するシステムは完成度が高く、今後は実用化と、その効果を検証していくとのことでした。


写真 13 研究所のエントランス


写真 14 会議室

 次回、2019年のマイクロマシンサミットは、中国・西安(Xi’an)で開催されることが決まりました。コーディネータはNorthwestern Polytechnical UniversityのWeizheng Yuan教授です。

(MEMS協議会 国際交流部 三原 孝士)

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2018年5月11日 (金)

国際アフィリエート(SHTP Lab、ベトナム)来訪、MEMSに関する情報交換会を開催

 MEMS協議会では、MEMSビジネス内外交流事業の一貫として国際交流事業を行っており、海外のMEMS関連研究機関との交流も活動の大きな柱になっています。2018年5月10日(木)に、MEMS協議会の国際アフィリエートでもあるベトナムのSHTP Lab(http://shtplabs.org/?page_id=133&lang=en)より訪問団が一般財団法人マイクロマシンセンター(MMC、秋葉原本部)を来訪され、MEMSに関する情報交換会を開催致しました(写真1参照)。以下、その時の内容をご報告致します。

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           写真1 意見交換会の様子

 今回来訪されたベトナム訪問団は、SAIGON HI-TECH PARK MANAGEMENT BOARDHCM CITY, RESAERCH LABORATORIES CENTERのNgo Vo Ke Thanh所長とNguyen Van Tam研究員及びホーチミン市立サイゴンハイテクパーク研究所の科学ディレクターでもある立命館大学杉山進名誉教授の3名でした(写真2参照)。

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写真2 ベトナム訪問団の皆様(右から杉山科学ディレクター、Ngo所長、Nguyen研究員)

 当日は 双方の活動紹介を行って意見交換会を行いました。SHTP LabはベトナムにおけるMEMSの産業化をサポートする研究センターで、6インチのMEMS試作ラインを有して、ホーチミン市のスマートシティ構想における道路の冠水・排水モニタリングや大気汚染モニタリング等の研究開発を行っているとのことでした。また、マイクロマシンセンターとより密接な交流を希望されており、MMCのMNOIC(MicroNano Open Innovation Center)やファウンダリネットワークサービスの活用やSHTP LabのセミナーでのMMCの紹介等の交流を今後積極的に進めることで合意しました。

 MEMS協議会・国際交流事業では今後もこのようなビジネス交流を積極的に行う予定です。

              (MEMS協議会国際交流担当 武田 宗久)

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2018年4月26日 (木)

第10回MEMS Engineer Forum2018に出展

 第10回MEMS Engineer Forum 2018(MEF2018)は4月25日、26日、両国KFCホールにて、盛況に開催されました。2日間で延べ750名を超えるMEMSのEngineerが世界から集まり、技術やビジネスの未来を語りました。マイクロマシンセンター(MMC)はこのフォーラムにMMCとMNOIC事業を紹介するポスター展示を行いましたので、簡単に報告いたします。

 MEMS Engineer Forum(MEF)は、21世紀のキーテクノロジーとされるMEMS技術の現状と、向こう10年までの技術の将来に迫る、この分野のキープレイヤーの中でもエンジニアを中心に運営されるユニークな場です。世界中のMEMS研究者、開発者、技術者が一堂に集うこのフォーラムは、2009年3月の初開催以降、回を重ね、MEF2018で第10回を迎えました。

 実行委員会委員長は東北大学 桑野博喜教授が前回に引き続き務めました。主な講演者として、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構技術戦略研究センター長の川合 知二氏、University of California San DiegoのAlbert P. Pisano博士、CEA-LetiのJean-Philippe Polizzi氏、Stanford UniversityのThomas Kenny教授、YOLE DeveloppementのJean-Christophe ELOY氏、また、日本からは、東北大学江刺正喜教授、SPPテクノロジーズ株式会社神永晋氏らが2日間に渡り講演され(写真1)、濃密な議論が行われました。

 ポスター展示はKFC HALL ホワイエと、KFC HALL Annexの2か所に分かれて開催され、国内外49機関から出展がありました。MMCはKFC HALL ホワイエでHALL直近の場所で展示を行い(写真2)、10月に開催するMEMSセンシング&ネットワーク展の案内、マイクロマシンセンター概要及びMEMS協議会会員の概要、産総研集積マイクロシステム研究センターの技術やMEMS大型研究設備を活用することにより、ユーザ企業の研究支援や事業化を推進しているMNOIC( MicroNano Open Innovation Center)の活動を紹介しました。今回はウエハーを展示したことからMNOICについての問い合わせが多くありました。また、MEMSセンシング&ネットワーク展2018に興味を示す姿がみられました。今後も、わが国の産業競争力強化につながる活動を継続してまいります。
(MEMS協議会 渡辺 秀明、水島 豊)


写真1 会場の様子


写真2 展示の様子

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2018年3月 2日 (金)

米国研究開発動向調査

 2018年2月25(日)~3/2(金)に東京大学情報理工学系研究科の下山教授の「空間移動時のAI融合高精度物体認識システムの研究開発」の動向調査と並行して米国西海岸の研究機関を訪問して、米国の研究開発動向の調査を行いましたので、以下にご報告致します。今回調査したのは以下の5機関です。
 1. University of California, San Diego (UCSD)
 2. University of California, Los Angeles (UCLA)
 3. California Institute of Technology (CALTEC)
 4. NASA Jet Propulsion Laboratory (JPL)
 5. Microsoft Research (MSR) 
以下に各訪問先での調査結果を示します。

1. University of California, San Diego (UCSD)
(1)訪問先:Albert P. Pisano (Dean, Jacobs School of Engineering)
            Miwako Waga (Director, International Outreach)
(2)訪問日:2018年2月26日(月)午前
(3)調査結果
・Pisano学部長は元UC, BerkeleyでMEMS研究を初期から牽引してこられたMEMSの大御所です。現在、UCSDのJacobs School of Engineeringの学部長を務めています。
・UCSDのJacobs School of Engineeringは 6つの学科(①Bioengineering, ②Computer Science & Engineering,③Electrical & Computer Engineering, ④Mechanical & Aerospace Engineering, ⑤Nanoengineering, ⑥Structural Engineering)から構成されDigital Futureを目指して以下のテーマに注力して研究開発を行っています。
 -Context-aware robotics
 -Nano for energy and medicine
 -5G and future of communication
 -Wearable sensing and computing systems
 -Cyber and digital security
 -Data science and machine learning
・アメリカのホットトピックスに関して意見交換を行い、以下のような意見が出ました。
 -AIに関してはIBMとUCSDでAI for Healthy Living Centerを立ち上げているとのことでした。
 -医療に関してはDigital Health, Precision Medicine, Personalized Medicineが挙げられるとのことでした。
 -構造物モニタリングに関してはUCSDではサンディエゴ市とスマートシティの一環としてBuilding Structural Monitoringを行っているとのことでした。
 -医療認証に関しては、米国のFDAは世界一厳しいとのことでした。
・Pisano学部長がおられるUCSD Jacobs Hallの入口の写真を写真1に、Pisano学部長室の前で、Pisano学部長との写真を写真2に、和賀所長、Pisano学部長との写真を写真3に示します。

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   写真1 UCSD Jacobs Hall入口     写真2学部長室の前でPisano学部長と

3_ucsd_pisano_2      写真3 学部長室の前で和賀所長、Pisano学部長と

2. University of California, Los Angeles (UCLA)
(1)訪問先:
① CJ Kim (Professor, Mechanical & Aerospace Engineering Department)
② Verronica J. Santos (Associate Professor, Mechanical & Aerospace Engineering Department)
③ Tsu-Chin Tsao (Professor, Mechanical & Aerospace Engineering Department)
④ Jacob Rosen (Bionics Lab Director, Mechanical & Aerospace Engineering Department)
(2)訪問日:2018年2月26日(月)午後
(3)調査結果
① CJ Kim 教授
・CJ Kim教授はMEMS分野の権威で、Kim教授のMicro and Nano Manufacturing Labでは、特に表面張力を利用したマイクロナノデバイスの研究を積極的に行っています。
・UCLAはMedical Centerが近いので、医者との連携は容易であり、共同の研究はしていますが、初期はお金がないので、細々と進めざるを得ないとのことでした。但し、試作品が認められれば、病院は寄付によるフレキシブルな予算があるので、大きなプロジェクトにすることは可能とのことでしたが、コンセプトからは5年程度かかるとのことでした。
・CJ Kim教授室の前で、Kim教授との写真を写真4に、下山教授のKim教授への説明の様子を写真5に示します。

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   写真4 教授室の前でKim 教授と     写真5 Kim教授と下山教授

② Santos准教授
・Santos准教授は把持、触覚、義手、人工刺激、機械学習等の専門家でSantos准教授のBiomechatronics Labでは、人工触診(Artificial haptic exploration)、触覚センサ、把持等の研究開発を行っています。
・海軍の予算で義手の研究を行っているとのことでした。その他遠隔操縦や砂の中の触覚による物体認識や把持のための触覚センサ等の研究を行っていました。
・触覚センサは買い物とUniversity of Washingtonで作ってもらったものを使用しているとのことでした。
・Santos准教授室の前で、Santos准教授との写真を写真6に、写真7に遠隔操縦用双腕マニピュレータ、写真8に人工ハンド、写真9に指の触覚センサ、写真10に実験室での説明の様子を示します。

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写真6准教授室の前でSantos准教授と 写真7 遠隔操作用双腕マニュピュレータ

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    写真8 人工ハンド         写真9 指の触覚センサ

10_uccla_santos_2          写真10 実験室での説明の様子


③ Tsao教授
・Tsao教授はダイナミックシステムのモデリングと制御の専門家です。
・アメリカのホットトピックスのキーワードの一つとして、Co-Robotが挙げられるとのことでした。Co-Robotは人間とロボットとの物理的干渉に関する研究です。その場合には触覚センサが重要になるとのことでした。
・もう一つのキーワードとして、 Distributed Sensingが挙げられるとのことでした。Distributed sensingではデータ処理のためAIが必要になるとのことでした。
・アメリカでは義手・義足の研究も負傷した帰還兵のニーズが高く、保障の観点からも盛んとのことでした。
・UCLAではMedical Centerが近いので、医療応用の研究も盛んとのことでした。NIHでは手術用ロボット等治療に係るテーマは良いですが健康に関してはあまり取り上げてもらえないとのことでした。
・Tsao教授室の前で、Tsao教授との写真を写真11に示します。

11_ucla_tsao           写真11 教授室の前Tsao教授と


④ Rosen教授
・Rosen教授は医療用ロボット(手術用+リハビリ用)や遠隔操作の専門家でUCLAのBionics LabのDirectorです。
・Rosen教授に研究室を案内してもらい、アメリカのホットトピックスのキーワードについて討議しました。
・手術用ロボットでは力制御が重要であり、狭いところでも作業できるように、狭いところにマウントできる触覚センサの開発がMEMSに期待するところとのことでした。
・現状はダビンチが市販されている唯一の手術用ロボットですが、最近2社が新たに製品化をしようとしているとのことでした。UCLAではリサーチラボで使うオープンプラットフォームの手術用ロボットの研究開発をしているとのことでした。
・ダビンチはS/Wは公開されていないので、研究開発用としてH/W,S/Wともオープンソースの手術用ロボットの開発は意味があるとのことでした。
・手術用ロボットのFDA認可には、$100million必要ですが、市場は$30billionと言われており、認可にお金がかかっても十分事業として成り立つとのことでした。
・手術用フォースセンサとしては直径5mmに収める必要があるとのことでした。但し、長さ方向に制限はないとのことでした。鉗子の先端に付けるためには幅2mm、長さ2~4mmに収める必要があるとのことでした。
・鉗子は$1200で10回の使用で交換するとのことでした。これは小型のプーリー等が劣化・破損するためとのことでした。これに適用するためにはセンサのコストは安くないと使われないとのことでした。
・この分野のキーワードとしては、Automated Surgeryが挙げられるとのことでした。現状は遠隔操作ですが、場所、縫合数等を与えるだけで自動的に手術をしてくれることが最終目標とのことでした。機械学習等もこの中に含まれるとのことでした。
・現在はサブタスクレベルでのトライアルがなされているレベルであるとのことでした。
・ハンドは2本指で全作業の95%が実現できるとのことでした。3指あれば100%の作業が実現できるとのことでした。人間が5本指なのは冗長性を担保するためとのことでした。
・人間の5指は長さが違うのに、曲げるとそろうのはスライド機構が備わっているためであるとのことで、スライド機構が備わったハンドを作られていました。
・腱機構は先端部を小さくはできますがプーリー部が壊れやすいとのことでした。
・Rosen教授室の前で、Rosen教授との写真を写真12に、写真13に手術用ロボットの全景写真、写真14に手術用ロボットの手先部拡大写真、写真15に鉗子部、写真16に手術ロボット操作コンソール部、写真17に指マスター部を示します。

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  写真12教授室の前でRosen教授と    写真13 手術用ロボット全景写真

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  写真14 ロボット手先部         写真15 鉗子部

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   写真16 操作コンソール部           写真17 指マスター部

3. NASA JPL
(1)訪問先:Dr. Won Soo Kim
(2)訪問日:2018年2月27日(火)午前
(3)調査結果
・NASA JPLのWon Soo Kim博士を訪問し、von Karman Visitor Center、Space Flight Operations Facility、the Spacecraft Assembly Facility、In-situ Instrument Laboratoryを案内して頂き、火星探査車を中心に説明を受けました。
・火星探査車としては、1997年にマーズ・パスファインダーに搭載され着陸に成功したソジャーナ、2004年にマーズ・エクスプローレーション・ローバに搭載され、着陸に成功したスピリットとオポチュニティ、2012年にマーズ・サイエンス・ラボラトリーに搭載され、着陸に成功したキュリオシティがあるとのことでした。
・マーズ・エクスプローレーション・ローバまではバルーンに入れて火星に落下させましたが、マーズ・サイエンス・ラボラトリーでは重量が重いため、キュリオシティをワイヤーで吊って、地表面に到達後すぐにワイヤーを切って逆噴射でマーズ・サイエンス・ラボラトリーを遠ざける方法に変更したとのことでした。
・火星探査車には種々のセンサが搭載されているとのことでした。キュリオシティにはオポチュニティの10倍の化学探査機器が搭載されており、火星が生命を保持する可能性について調査しているとのことでした。
・ミッションを成功させるため、デバイス、コンポーネント、システムレベルでの耐久性評価を行っているとのことでした。
・写真18にオペレーションルーム入口、写真19に衛星組立て工場の入口、写真20にKim博士の居るIn-Situ Instrument Labの入口、写真21にソジャーナ(右)とオポチュニティ(左)の模型、写真22にキュリオシティの模型、写真23にキュリオシティの模型前でのKim博士と下山教授を示します。

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写真18 オペレーションルーム入口  写真19 衛星組立て工場の入口

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写真20 In-Situ Instrument Lab入口   写真21オポチュニティ(左)とソジャーナ(右)

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   写真22  キュリオシティ模型         写真23 下山教授とKim博士

4. CALTEC
(1)訪問先:Yu-Chong Tai (Executive Officer and Professor, Medical Engineering)
(2)訪問日:2018年2月27日(火)午後
(3)調査結果
・Tai教授はMEMSの大御所の一人ですが、15年くらい前からMEMSそのものの研究から医療用MEMSに研究を集中させ、役に立つMEMS の開発を行っているとのことでした。
・アメリカではNIHが医療用で大きな予算を出しており、有望なテーマとしては癌治療や心臓病にかかわるものがあるとのことでした。
・また、DARPAでは1年単位の契約で有望なものは1年単位の更新が基本ですが、NIHでは1年、2年、3年、4年、5年といった種々の枠組みがあり、成果をだせば延長可能で、Tai教授は5年ものを継続させ20年研究開発しているものもあるとのことでした。
・FDAの認可をとるのは大変でコストもかかりますが、認可されれば逆にFDAが守ってくれるので、逆にメリットになっているし、米国では医療用の市場は$400billionあり、他の分野より大きいし、また数はそれほど出さなくても利益率の高い商売ができるとのことでした。
・電気・電子の世界は、数はでますが、コストも下げられ、利益率も悪いし、60年前にトップ60に入っていた企業で今もトップ60に入っているのは3社だけですが、医療は60社がすべてそのまま生き残っているので、医療は非常に安定した業界であるとのことでした。
・VR、ARはこれから伸びるとの意見でした。また、VR、AR絡みでOptical MEMSはまたブームになる可能性はあるとのことでした。
・ビジョンに関してはプライバシーを侵害するものは受入れられないので、注意する必要があるとのことでした。グーグルグラスも当初一般用に考えていたために、撤退を余儀なくされ、最近医療用等の特定分野に限定することで復活したとのことでした。米国では法律でプライバシー保護がなされるので、プライバシーを侵害するものは注意が必要とのことでした。パーソナルユースにするか公共で使うものに関してはホームランドセキュリティにかかわるものしかダメとのことでした。
・IoTに関しては、民生品の分野で有望との見解でした。
・エネルギ分野に関しては、米国では昔はDOEから活発な国の支援が行われましたが、シェールオイルが出てきてからは、米国ではエネルギ関連の予算はほとんどなくなったとのことでした。但し、日本や台湾のようにエネルギを他国に依存しているところは別かもしれないとのことでした。
・MEMSの産業化は、信頼性、再現性等が満足されなければ、無理だとのことで、産業化を考えるにははじめからこれらを考慮する必要があるとの見解でした。
・クリーンルームの前で、Tai教授との写真を写真24に示します

24_caltec_2        写真24 クリーンルームの前で、Tai教授と

5. Microsoft Research
(1)訪問先:
Research Program Managerの公野氏にアレンジして頂き、下記4名の研究者とディスカッションを行いました。
①Yutaka Suzue, Principal Software Development Engineer
②Sing Bing Kang, Principal Researcher Interactive Visual Media
③Gang Hua, Research Manager Machine Perception and Cognition Group
④Sudipta Sinha, Researcher, Aerial Informatics and Robotics (AIR) Group
(2)訪問日:2018年2月28日(火)午後
(3)調査結果
① Dr. Yutaka Suzue
・Dr. Suzueはペッパー、HSR等のロボットを使って、エンタープライズとしてどんなことができるかのシナリオつくりが仕事とのことでした。
・CES (Consumer Electronics Show)ではスマートスピーカを中心とするホームIoTがホットだったとのことでした。
・会議室で、公野氏、鈴江氏への説明の様子を写真25に示します。

25_msr__2       写真25 会議室で公野氏、鈴江氏への説明の様子

② Dr. Sing Bing Kang
・Dr. Kangの研究テーマはエンハンストビジョンやシネマグラフです。360℃カメラの映像をある人が興味のあるものを中心に再構築して、表示させる技術等を開発していました。
・会議室で、Dr. KangとDr. Huaとの写真を写真26に、Dr. Kang、Dr. Hua、公野氏との写真を写真27に示します。

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 写真26 Dr. Kang,Dr. Huaと  写真27 Dr. Kang,Dr. Hua,公野氏と

③ Dr. Gang Hua
・Dr. HuaのグループではVision Analysis, Machine Reading, Machine Learningを研究しているとのことでした。
・Dr. HuaはStyle Transferの研究で、ある絵を別の特徴を持つ絵に変えたり、人の表情を変えたりする研究を行っていました。
・ホットトピックスのキーワードとしては、Co-Robotがあるかもしれないとのことでした。

④ Dr. Sudipta Sinha
・Dr. Sinhaは3Dコンストラクションやステレオマッチング、Mixed Reality、AR、VRの研究を行っていました。
・また、HoloLensの開発を行ったとのことでした。
・キネクトやXBox、Bing検索等がMicrosoft Researchから製品化されたとのことでした。
・会議室で、Dr. Sinhaとの写真を写真28に示します。

28_msr_sinha_2           写真28 会議室でDr. Sinhaと

          (一般財団法人マイクロマシンセンター 武田宗久)

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2018年2月16日 (金)

2018 第24回「国際マイクロマシンサミット」開催のご案内

マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する場です。日本の提案により平成7年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。これまでオーストラリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、日本、韓国、シンガポール、スイス、台湾、イギリス、米国、ベネルクス、ノルディク、ラテンアメリカ、地中海沿岸地域の国々、およびロシアが参加し、各国のマイクロマシン/MEMSやナノテクの取組状況と課題、ならびに世界の産・学研究機関での最先端の研究成果等の発表がなされ、またその討議が行われました。

 2018年は5月14日(月)から5月16日(水)にアルゼンチンのブエノスアイレス(Buenos Aires)で開催されます。
 2014年(第20回)のブラジル・サンパウロの開催のあと南米での2回目の開催となり、今回のトピックスは、"Micro/NanoSystems and Technologies for Agro food and Environmental" です。
オーガナイザーは、FAN (Argentinean Nanotechnology Foundation) のDaniel Lupi所長となります。

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 今回も、日本代表団を構成し、参加を予定しております。マイクロマシンセンターの会員の皆様はご参加いただけます。世界のマイクロマシン/MEMSやナノテクに関する情報収集や意見交換できるまたとない機会ですので、ぜひご参加いただきたくご案内いたします。

サミットの詳細は以下のURLを参照ください。
https://www.mms2018.org/

お問い合わせ先:
  一般財団法人マイクロマシンセンター/MEMS協議会事務局
   国際交流担当 三原 孝士
   〒101-0026東京都千代田区神田佐久間河岸67 MBR99ビル6階
   TEL: 03-5835-1870  FAX: 03-5835-1873
   e-mail:  t_mihara@mmc.or.jp

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2018年1月31日 (水)

第6回MEMS協議会・海外調査報告会を盛況に開催

 第6回MEMS協議会海外調査報告会を1月31日に新テクノサロンで開催し、約50名の方にご参加いただきました。このイベントはマイクロマシンセンター/MEMS協議会(MIF)が行っているMEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するものです。毎年のように北米や欧州を中心に学会等のイベント、海外の大学や研究施設、関連企業の訪問見学の報告を行ってきましたが、今回は前回に引き、欧州の橋梁モニタリングに関連する報告を、特別報告として企画致しました。
                  
                  

                  
                   


                    写真1 会場の様子

                  
                  

                  
                   MEMS協議会事務局長・長谷川英一からの主催者挨拶のあと、最初の報告は特別報告として「海外における橋梁・大規模モニタリングの現状と動向」と題して技術研究組合NMEMS技術研究機構の武田宗久氏から、最初にオーストラリアのブリスベンコンベンションセンターにおいて開催されたアセットマネージメントの国際会議である12th World Congress on Engineering Asset Management (WCEAM2017)への参加報告、日本より先行していろいろな活動が行われている海外の橋梁・大規模インフラモニタリングの現状を把握するため、欧州各地の橋梁:van Brienenoord橋(オランダ)、Marchetti橋(イタリア)、Chillon高架橋(スイス)、Sydney Harbor橋(オーストラリア)等の長大橋、発電施設であるBéznar ダム(スペイン)、遺跡建造物であるVenaria宮殿(イタリア)やEl Giraldillo(スペイン)等の大規模インフラの現場等を訪問し、その管理、モニタリングの実態に関する報告がありました。報告者の感想では、欧州は橋梁等のインフラモニタリングは日本よりも進んでいるが、センサは既存の物であって有線接続を使っている。日本はセンサの開発や、無線応用、エネルギーハーベスタ等の技術を平行して進めており、技術的にはむしろ進んでいるとのことです。
                  
                  

                  
                   


                    写真2 武田氏から報告

                  
                  

                  
                   続いて、「IoT社会に向けたセンサ動向調査と産業動向調査報告」と題して、技術研究組合NMEMS技術研究機構および一般財団法人マイクロマシンセンターの今本浩史から報告がありました。
                   米国MEMS & Sensors Industry Group主催で、2017年11月1日~11月2日の間、米国カリフォルニア州サンノゼにて開催されたMEMS                   & Sensors Executive Congressに、IoT社会にむけたMEMS&センサの動向調査の一環として参加したものです。報告者の感想として、産業用IoTに関して様々な事例紹介があったようですが、今までの研究レベルの振動センサによって振動状態のみで故障予測を行うのは、その解釈が困難な場合が多く、他のセンサとのフュージョンが今後重要とのことです。更にバッテリを持たないセンサの発表も紹介されました。更に、産業動向調査委員会にて2025年までのMEMS産業の市場予測を行う取り組みの紹介もありました。
                  
                  

                  
                   


                    写真3 大中道氏から報告

                  
                  

                  
                   次は「マイクロマシンサミット2017」と題してMEMS協議会・国際交流担当の三原が報告しました。2017年の第23回「国際マイクロマシンサミット」は5月15日(月)から17日(水)までスペインのバルセロナで開催されました。今回のトピックスは、”Micro and Nano Systems for Smart Cities applications”です。スペインは、センサやMEMS、無線、半導体や集積回路、ナノ材料と言った複数の専門分野の研究者が同居する研究所が多く、専門領域の融合が進んでいるのが特徴ですが、今回のオーガナイザーは、CNM-CSIC(National Microelectronics Center of Barcelona)の所長Carles Cane教授でした。今回は欧州での開催で参加者も多く、21の地域から73名のデレゲイト、更にスペインからの10名程度のオブザーバの参加もあり、比較的規模が大きいものでした。今まで何年か不参加の期間があった、イギリスやカナダ、オーストラリア等の復帰、更にアイルランドや東欧の新規の参加国もあったのが特徴です。今回はパネルディスカッションとして、バルセロナで実際に中小企業を中心に行われたスマートシティ構想、すなわちエネルギーや交通と言った様々なデータをセンサで取得して、都市の省エネや生活に有効に役立てるための試行の取り組みが印象に残りました。2018年のサミットはアルデンチンのブエノスアイレスで5月14日から16日に開催されます。
                  
                   続いて「MEMS関連の国際会議報告」とのタイトルでMEMS協議会・標準部の大中道崇浩から報告がありました。2017 年 6月 18日~22日に台湾・高雄(Kaohsiung)で開催された、隔年開催の                  Transducer 技術に関する国際会議である、International Conference on Solid-State Sensors,                  Actuators and Microsystems(Transducers2017)の報告がありました。マイクロマシンセンターでは、「国内外技術動向調査」という取り組みとして、MEMS分野の著名な国際会議等をターゲットにした定点観測的な調査を例年行っており、本国際会議はその調査の対象学会です。国内外技術動向調査は、有識者から成る委員によって分析を行い例年報告書として発行しますが、今回は事務局として学会に参加し、今後の調査報告書の作成により具体的・現実的な側面で支援可能と思います。
                  
                   最後は「MEMS国際標準化に関する活動状況」と題して、同じく大中道崇浩から報告がありました。MEMS国際標準化はIEC(国際電気標準会議)で進められており、日本はMEMS分野を担当する分科委員会SC47Fの幹事国として主導的に推進しています。IECの全体会議は毎年開催され、2017年は6月に東京で、10月にロシア・ウラジオストクで開催されました。今回、これらの国際会議を通して、特性計測方法、信頼性評価、エネルギーハーベスティング、スマートセンサ等でのMEMS関連の技術分野における国際標準化の状況についての報告がありました。更に現在、一般財団法人マイクロマシンセンターを中心に取り組んでいるスマートセンサのインターフェースの関わる標準化を日本が主導する取り組みの紹介がありました。
                   MEMS協議会の会員サービスとして始めた本海外調査報告会も6回を数えるほど、長期間継続しています。本会へのご参加はリピータが多いことも特徴で、会員交流の側面も有しています。海外の状況はインターネット等で公開されているとは言っても、中々生の情報や、専門化の印象&感想を聞ける機会は少ないのが現実です。今回もSPPテクノロジーの神永様に貴重なコメントや、報告会の後に行った会員交流会でのご挨拶を頂く等、IoTの最新状況や日本の課題を議論することが出来ました。 最後のこの場を借りて、今後のMEMS協議会への積極的なご参加をお願いしたいと思います。
                  
                  

                  
                   

(MEMS協議会 国際交流担当 三原 孝士)
                   

                  

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2018年1月29日 (月)

国際会議 IEEE MEMS2018 参加報告

 2018年 1月 22日~25日の 4日間にわたり英国・北アイルランド・ベルファストで開催された、MEMS関連の主要国際会議であるIEEE MEMS2018に、センサ・MEMSデバイスの標準化のための技術調査の目的で参加しました。


会場外観(英国・北アイルランド・ベルファスト、ウォーターフロント)


会場メインホール

 学会のオープニングで公表されたデータによりますと、参加者数は600人で、投稿論文数675件、採択論文数346件、採択率51%でした。採択論文の内訳は、口頭68件、ポスター278件。採択論文の国別件数順位は、1位米国、2位日本、3位中国、4位韓国、5位台湾、6位ドイツ・オランダ、8位スイス・英国となっております。採択論文のカテゴリ別件数割合(学会が公表した簡易分別の数字)は、以下に示す表の通りでした。


採択論文のカテゴリ別件数割合(学会が公表した簡易分別の数字)

 プレナリー招待講演は以下の4件であり、いずれの講演も示唆に富んだ感銘深い内容でありました。
  • 藤田博之教授, 東大, “FROM WOW TO WORK: CYCLES OF MEMS EVOLUTION”
  • Dr. M. Steffen, IBM, “EARLY APPLICATIONS OF QUANTUM COMPUTERS”
  • J. Cooper教授, Univ. of Glasgow, “MICROSTRUCTURES TO SHAPE ACOUSTIC FIELDS AND CREATE COMPLEX MICROFLUIDIC FLOWS”
  • Dr. F. Laermer, Bosch, “MEMS AT BOSCH – INVENTED FOR LIFE”

 3日目1月24日の夜には、かの有名な英国客船タイタニック号がベルファストで造船されたことから沈没事故から100年となる2012年にベルファストにオープンしたタイタニック博物館で、学会主催のバンケットが開催されました。参加者一同がタイタニック博物館の展示を見学した後、ウエルカムドリンク、その後にバンケットにうつるという盛大な会でございました。


バンケット会場 タイタニック博物館外観


バンケットの様子

 MEMS分野における多岐の技術領域に渡る充実した内容の論文が数多く発表され、活発な議論が行われた、大変有意義な学会でありました。マイクロマシンセンターでは、「国内外技術動向調査」という取り組みとして、技術進歩が著しい国内外のマイクロマシン/MEMS分野等の研究動向、技術動向を的確に把握するため、MEMS分野の著名な国際会議等をターゲットにした定点観測的な調査を例年行っております。MEMS2018もこの調査の対象学会であり、本分野の有識者から構成される国内外技術動向調査委員会の委員の方々により、学会の発表内容の調査が行われ、報告書に纏めております。従って、今回のMEMS2018で発表された技術の詳細・分析結果については、この「国内外技術動向調査」の報告書で改めて報告するため、本ブログでは、本ブログ執筆者が今回の学会参加で調査を行ったIoT関連エネルギーハーベスティング技術に関する幾つかの論文紹介に留めさせていただきます。すなわち、エネルギーハーベスティング技術として1つの口頭セッションが設けられ、4件の発表がありましたので、その論文の内容を紹介します。

 東北大の桑野教授研究室H. H. Nguyen氏からは、“DEVELOPMENT OF HIGHLY EFFICIENT MICRO ENERGY HARVESTERS WITH MgHf-CODOPED AlN PIEZOELECTRIC FILMS”というタイトルで、AlNにMgとHfを添加したMgHfAlNにより、圧電型振動エナジーハーベスタにおけるパワー密度最高値を更新(34.9mWcm-3g-2)した結果が報告されました。

 英国ケンブリッジ大のY. Jia氏からは、“AUTOPARAMETRIC RESONANCE IN A PIEZOELECTRIC MEMS VIBRATION ENERGY HARVESTER”というタイトルで、圧電型振動エナジーハーベスタにおいて、主副カンチレバーの自動パラメトリック共振により、同一デバイスの直接共振時に比べ2倍以上の高出力を実現し、出力電力密度にて現状技術比で約1桁高いレベルが得られておりました。

 東大の鈴木雄二教授研究室の三好先生から、“LOW-PROFILE ROTATIONAL ELECTRET GENERATOR USING PRINT CIRCUIT BOARD FOR ENERGY HARVESTING FROM ARM SWING”というタイトルで、回転型エレクトレット振動発電エネルギーハーベスタの技術の発表がありました。腕に装着するエネルギーハーベスタを実際に試作し、1.45m/sの歩行速度での歩行時の腕振りで80μWの発電が得られることを実証しました。さらに、今回の口頭発表時、実際に、試作したエネルギーハーベスタを腕に装着し、発電デモを実施されていました。

 韓国Kwangwoon大のM. Salauddin氏の“A FREE MOTION DRIVEN ELECTROMAGNETIC AND TRIBOELECTRIC HYBRIDIZED NANOGENERATOR FOR SCAVENGING LOW FREQUENCY VIBRATIONS”というタイトルで、摩擦発電と電磁誘導発電のハイブリッド発電を提案、ならびに、試作結果の報告がありました。当日、代理発表されたKwangwoon大J. Park教授は、エネルギーハーベスタ分野のIEC(国際電気標準会議)国際標準化におけるキーマン(エネルギーハーベスタ分野のワーキンググループであるIEC/TC47/WG7の主査の一人)であり、2017年10月のIECプレナリー会議@ウラジオストクや2017年11月の国際会議PowerMEMS@金沢でのスクール(ショートコース)招待講演で来日された際にお会いして以来の再会でした。

 IoTセンサの自立発電動作化を実現し、センサ動作・センサ制御・そのセンサ出力の無線伝送をも、自立電源動作させるためには、各部分の低消費電力化の取り組みとともに、エネルギーハーベスティング技術は非常に重要な技術分野です。引き続き、技術の進展を追いかけていきたいと思います。

 前述のように、当センターでは、「国内外技術動向調査」の取り組みの中で、本分野の有識者から構成される委員の方々により、本学会MEMS2018での発表内容詳細の調査・分析を今後進めていきます。平成30年5月頃、発行致しますので、ご参照いただければと存じます。
         
平成30年1月29日
マイクロマシンセンター 調査研究・標準部
大中道 崇浩

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2018年1月 5日 (金)

「新年のご挨拶」

新年あけましておめでとうございます。

 本年はSociety5.0の実現を世界に打ち出していくための新たな産業・社会の在り方として、「コネクテッド・インダストリーズ」に大きな注目が集るとされています。特に、製造現場、自動走行、健康・医療・介護等の現実の「リアルデータ」を巡る競争が激しくなると予想されていますが、その「リアルデータ」を収集する最前線にMEMSを中心とする多様なセンサが位置しています。従いまして、ナノ・マイクロ技術分野における研究開発や普及促進等を長年担ってきた私どもマイクロマシンセンターの責任はさらに重くなっていくものと考えております。

 仏のヨール社によれば、世界のMEMS市場は消費者用や自動車用がけん引し、2017年の132億ドルから2022年には254億ドルと年率14%で伸びるとされています。MEMSデバイスとしては、スマホの4G/5G 化の進展によりMEMSフィルタの伸びが大きく、従来からの慣性センサ、圧力センサ、ジャイロなどを凌駕していくと見られます。

 このような中、当センターでは2000年代に注力したMEMS技術そのものの研究開発から、2010年代にはセンサネットワーク技術にシフトし、現在は道路やライフラインのインフラモニタリングに加えて、ファクトリやプラントのスマートセンシングの研究開発に注力しています。そして、昨年は経産省・NEDOがコネクテッド・インダストリーズの重点分野として推しているロボティクスや自動走行の鍵となるAI融合高精度物体認識システムの研究開発に着手しました。

 また、それらの研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとして、7年前に開設したつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」も今や中小・ベンチャーを含む40社以上からの研究や工程の受託により、フル稼働の状況にあります。さらに設備整備や技術向上に努めて、我が国のMEMS開発需要に応えてまいります。

 そして、上述の成果などを公開する場として、昨年、MEMSセンシング&ネットワークシステム展を刷新して、初めてCEATECと同時開催とし、5万人を超える来場者の方々にお出でいただくことができました。本年はさらにCEATECやAll about Photonics展とのシナジー効果を高め、IoTシステム、さらにはコネクテッド・インダストリーズの最先端技術展としてのプレゼンスを高めてまいります。

 当センターとしましては、本年もMEMS・スマートセンシング技術の開発や普及に真摯に取り組み、我が国のコネクテッド・インダストリーズの推進に微力ながらも貢献してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。

 皆様方には以下の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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2017年10月 9日 (月)

スマートセンシング&ネットワーク展2017」 国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム及びスマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウム(2017年10月6日)の開催報告

 2017年 10月 4日(水) から6日(金)まで幕張メッセで開催された「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」は、3日間の開催期間を終え、盛況の内に閉会しました。来場された皆様方に御礼申し上げます。特に、最終日である6日(金曜日)は、午後から雨との予報にもかかわらず多くの来場者がありました。

 最終日は、国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム及びスマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウムが12:30から16:40まで、国際交流委員長であり、スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会の会長でもある下山勲教授に司会をお願いして開催され、約100名の沢山の方々にご参加頂きました。

 本報告書では、セッション1の国際セッションに限って報告致します。

Session 1 International Session   Latest Trends of IoT / MEMS
(セッション1 国際セッション IoT、MEMS分野の最新動向)

(1) Sensors and computing for a safe IoT world
(CEA LETIにおけるIoT関連技術最前線)
Dr. Marc Duranton, CEA-LETI(France), CEA Fellow, Architecture,
IC Design and Embedded Software Division


 MEMS関連の研究所としては世界最大規模の施設と、研究員を擁するフランス・グルノーブルのCEA-LETIの半導体・組み込みソフト部門のMarc Duranton博士から、CEA LETIにおけるIoT関連技術最前線と題する講演がありました。 LETIでは幅広い研究領域や産業界との共同研究案件がありますが、最近ではMEMS領域からナノテク領域へ活用範囲を広げ、かつ産業界が魅力を感じるテーマに取り組んでいます。その中の一つは数百ナノメートルのナノワイヤをセンサの検出素子として使う技術で、既に化学センサや共振器等に使われているとのことです。

(2)MEMS and NEMS Technologies for a Smart World
Dr. Mario Baum(Germany), Fraunhofer Institute for Electronic Nano Systems ENAS


 産業界のユーズに基づいた研究開発を積極的に行うことで日本の産総研のモデルにもなっている、ドイツのFraunhofer Institute、その中でもMEMSを中心に活動を行っている、ChemnitzにあるENASのMario Baum博士からMEMS and NEMS Technologies for a Smart Worldと題する講演がありました。今回の発表は、フランフォーファ研究所の紹介と、世界各地との連携、自動車や工業用スマートシステムに使われるスマートセンサ、健康・医療領域に使われるスマートセンサに関する紹介がメインでした。面白いトピックスとしては、Sens-o-Spheresと言う、直径8mmの球に、センサや信号処理、ワイヤレスバッテリ、無線通信を詰め込んで、工場の様々なプロセスコントロールに使う概念が示されました。

(3) SiTime MEMS Oscillator Technology
(SiTime社のMEMS発振器の最新技術)
Mr. Hideki Yoneda, General Manager, Corporate Strategy, Megachips-Corporation
(株)メガチップス 新事業本部 米田 秀樹


 長い間、タイミングデバイスのデファクトになっていた水晶発振器を置き換える可能性が出てきたシリコン共振器を開発・製造しているベンチャー企業・SiTimeが開発したシリコンタイミング素子に関して、M&Aを行った日本のメガチップス社の米田 秀樹氏からSiTime社のMEMS発振器の最新技術)と題する講演がありました。シリコンを用いた発振器(共振型)は材料のヤング率の温度依存性や熱膨張係数によって、周波数の強い温度依存性がありますが、それを材料&プロセス技術(構造)や、高精度に温度を計測して補正をかけることで水晶発振器を凌ぐ性能を確保し、またシリコン半導体に組み込みことも可能であることを強調されていました。

(4)Metal Oxide Gas Sensing Material and MEMS Process
Mr. Collin Twanow, Micralyne Inc.(Canada), Vice President of Technology


 カナダのアルバータ地方には一般財団法人マイクロマシンセンターと国際アフィリエートになっているナノマイクロ研究所であるACAMPや、MEMSファンドリも行っているMEMS研究開発型の企業Micralyneをはじめ、沢山のMEMS関連企業があり、既に何年にも渡って国際交流を行っています。今回はMNOICをはじめ既に何回もマイクロマシンセンターを訪問頂いている、MicralyneのCollin Twanow副社長からMetal Oxide Gas Sensing Material and MEMS Processと題する講演がありました。大気汚染や環境問題に対する解として、環境センサに注目され、特に大気中の一酸化炭素や、VOC(揮発性有機物)を高感度で検出可能なセンサが重要とされ、最近Micralyneで開発中のマイクロホットプレート型のMOS(金属酸化物)センサの紹介がありました。
国際交流担当 三原 孝士

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2017年10月 6日 (金)

「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」、盛況の内に閉幕

                  
                  

  2017年 10月 4日(水) から6日(金)まで幕張メッセで開催された「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」は、3日間の開催期間を終え、盛況の内に閉幕しました。来場された皆様方に御礼申し上げます。特に、最終日である6日(金曜日)は、午後から雨との予報にもかかわらず多くの来場者がありました。
   最終日は、国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム及びスマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウムが12:30から16:40まで開催され、多くの聴衆が熱心に聞き入っておりました。
                  
   以下は、シンポジウムでご講演頂いた講師の方々です。

                  

                  CEA LETI Fellow Dr. Marc Duranton
                  
                  

                  Fraunhofer Institute Dr. Mario Baum
                  
                  

                  メガチップス 米田秀樹氏 
                  
                  

                                                     Micralyne Inc. Mr.Collin Twanow
                  
                  
                  

                  東京女子医大 村垣善浩教授
                  
                  

                  首都大東京 五箇繁善准教授
                  
                  

                  産総研 山本 淳グループ長
                  

    今回ご来場頂きました皆様に御礼申し上げます。
                  
    来年は10月17日(水)~19日(金)に今回と同様、幕張メッセにおいて、CEATEC JAPANと同時開催を予定しております。
                  
    また来年もご来場頂けますよう関係者一同お待ちしております。
                  
                  
                  

                  

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