講習会・先端技術交流会

2019年10月10日 (木)

第38回マイクロナノ先端技術交流会 (第1回医療MEMS研究会(SSN研究会WG5))(9月30日)開催報告

 2019年9月30日(月)の午後、マイクロマシンセンター内にて第38回マイクロナノ先端技術交流会(第1回医療MEMS研究会)を開催しました。

 今回の先端技術交流会は、「ヒトの理解に向けたセンシングの最前線」をテーマに、東北大学 産学連携機構 イノベーション戦略推進センター 特任教授 中村力先生、東京工業大学工学院 研究員 関口武治様、立命館大学 スポーツ健康科学 教授 藤田聡先生にご講演いただき、産業界や大学から42名が出席し大盛況でした。

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会場の様子

 最初の中村先生からは、「飲み込みセンサ」について、ご講演いただきました。内容は、現状の体温測定の課題から深部体温測定の重要性をお話され、それを実現する手段として飲み込みセンサを提案されています。そして、その飲み込みセンサの構造や原理を詳しく紹介いただきました。さらに、深部体温測定が実現する様々なアプリケーションの提案もしていただき、これまで不明であった様々な病気や体調不良のメカニズムの解明が明らかになると大きな期待を抱かせる話でした。

 続いて関口様からは、「多方面での応用が期待されるダイヤモンド量子センサー」について、ご講演いただきました。内容は、固体量子センサの基礎から始まり、関口様が研究されているダイヤモンド中に形成される窒素(N)と空孔(V)からなる格子欠陥を用いたNVセンサの原理や特徴をお話いただきました。また、NVセンサの応用範囲もお話いただき、個人的には今後のヒトの脳の活動を簡便にセンシングできるセンサとして、大いなる期待をもちました。

 最後に、医療MEMS研究会からは、藤田先生より「筋肉の維持・増加に向けた栄養と運動介入」について、ご講演いただきました。内容は、サルコペニア(加齢に伴う筋量と筋機能の低下減少)の概要やその弊害、さらには筋量と筋機能の低下を抑えるための栄養摂取や運動のお話をしていただきました。ヒトが生産的な活動をし続けるには、体力の維持・向上がベースとなり、その大切さを改めて認識することができました。

 講演会後の懇親会では、ご講演いただいた先生方を囲んで、講演内容を中心に多くの意見がかわされました。

(産業交流部 松下智彦 / 医療MEMS研究会 網倉正明)

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2019年9月24日 (火)

TIA連携大学院サマーオープンフェスティバル:第32回MEMS講習会及び第3回学生・若手研究者向けMEMS講座の報告(9月3日)

 2019年9月3日(火)に東京大学工学部5号館56号講義室において、午前・午後の2部制で、第3回学生・若手技術者向けMEMS講座(午前)及び、第32回MEMS講習会(午後)を開催致しました。MEMS講習会は、MEMS協議会に所属するMEMSファンドリーネットワーク企業を中心に企画し、都内と地方都市で年に1回ずつ開催しています。都内でのMEMS講習会が、TIA連携大学院サマーオープンフェスティバルのプログラムとなったのを受け、学生・若手技術者向けMEMS講座も併せて開催しており、講師の方も含めて総勢63名(学生5名)が熱い討論を繰り広げました。今回のプログラムは、次世代医療技術研究会(東京大学)と4大学連携ナノ・マイクロファブリケーションコンソーシアムと共催させていただくことで、TIA連携大学院のプログラムに相応しい学生に寄り添った企画になったのではないかと考えております。

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写真1.講演会会場の様子

 午前中に開催いたしました第3MEMS講座では、企画を取り纏めたMEMSファンドリーネットワークの浅野委員長の挨拶の後、2つの講座を行いました。まず、最初の講座は、東京大学の三宅亮先生より「マイクロ化学システムの高度化のためのマイクロ流体回路解析・設計技術」と題しまして、マイクロ流体の基礎から最新の研究成果までをご講義いただきました。初心者向けにマイクロ化学・流体の基礎に軸足を置いていただいたため、最新の研究成果をもっと詳しく聴きたいという聴講者もいらっしゃったかと思います。特に実機での検証を通して確立された流体回路解析技術は、システム要素間の干渉などの推定を可能としており、システムへ組み込んだリアルタイム制御などの新たな可能性を示した大変興味深い内容でした。今回の講座を機会として、マイクロ化学・流体の分野に興味を持っていただき、研究室の扉を叩いていただければと考えております。

 続いての講座は、慶応義塾大学の田口良広先生より「光MEMSを用いた熱流体システムデザインとバイオ応用」と題しまして、光MEMSを用いた拡散係数計測技術を中心にご講義いただきました。バイオ分野などでは、非測定対象からのノイズを抑制するために微粒子表面を修飾することがありますが、それが微粒子の拡散係数に影響を与えるため、設計時と異なる現象が発生することがありました。田口先生の研究されている熱駆動MEMSミラーを用いた光干渉式マイクロ拡散センサは、表面状態や粒子径に依存する拡散係数の計測を簡単にすることができ、精度の高いシステム設計を可能とします。微粒子が関わる技術分野は多く、様々な応用展開が期待されるため、今後の研究成果が気になる講座となりました。

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写真2.東京大学 三宅先生

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写真3.慶応義塾大学 田口先生

 昼休みを挟みまして、午後からは第32MEMS講習会「超高速・多数同時接続・超低遅延の5G時代が求めるエッジデバイス:―5Gは社会をどう変革していくのか―」を開催いたしました。本講習会は、5Gが生み出す新たな可能性につきまして、その特徴である「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」の3つの観点からプログラムを構成いたしました。

 講習会では、主催の一般財団法人マイクロマシンセンター専務理事長谷川英一の挨拶のあと、1件目の特別講演として、日本電気株式会社のネットワークサービスビジネスユニット新事業推進本部の藤本幸一郎様より「社会変革をもたらす5G -革命的技術が切り拓く未来-」と題して、ご講演いただきました。5Gは、現在の4Gの技術的延長に留まらず、非連続・革新的な技術として社会に貢献していくものであり、AI/IoTによる「人」「モノ」「コト」の時代への変化をもたらしていくそうです。この社会の革新をもたらす「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」という特徴は、一つのシステムで実現するものではなく、複合的なネットワークにより構築されていくようで、用途に応じたシステム構築を必要としているとのことです。また、NECが様々な事業分野での協業で進められている実証実験のご紹介があり、エンターテイメントだけでなく、地域の見守りや遠隔診療、人がいけない場所での遠隔作業など、IT技術で生活のあらゆる面を向上させていくデジタルトランスフォーメーションの一端を垣間見ることができました。4GWiFiなど各種通信手段の急速な発展により格段に便利になっている日常の中で、5Gで何が変わるのかがピンと来ていませんでしたが、その革新技術のポテンシャルの高さを認識することで、5Gに対する期待とともに新たなビジネスチャンスの息吹を感じさせられるご講演となりました。

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写真4.日本電気株式会社 藤本氏

 次に、古野電気株式会社の酒井暢之様より「5Gを支える社会基盤 -高精度時刻同期への取り組み-」と題して、高精度時刻の重要性についてご講演いただきました。スマートフォンなど移動体通信機器は、基地局を経由してお互いに繋がっていますが、それを使っている人が移動することで、それまで繋がっていた基地局から別の基地局への切り替えが必要になります。しかし、受け渡しをする基地局間の時計が合っていないと切り替えができないため、GNSS(Global Navigation Satellite System)などを利用して時計合わせをしています。古野電気は、このGNSS受信チップの国内最大手であり、5Gを支える高精度時刻同期網の一翼を担われておられます。ご講演では、基地局だけでなく、放送局や変電所など、我々の日常に溶け込んでいる様々な事業分野へ拡大していく高精度時刻の用途につきまして、ご紹介いただきました。このように高度情報化社会の根幹をなす高精度時刻だけに、ひとたびトラブルが発生すれば社会的損失も甚大になります。そのため、GNSSからの高精度時刻の安定供給を担保する技術が必要であり、雷等の自然現象だけでなく、ジャミングやスプーフィングなど人的災害への対策や、トラブル発生時のホールドオーバー機能の強化にも取り組まれているとのことで、人知れず社会を支えている技術集団がいることを改めて認識するとともに、高度情報化社会で生きていく我々にとって、今後の動向が気になるご講演となりました。

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写真5.古野電気株式会社 酒井氏

 ここで休憩を挟みまして、「5Gによる革新に向けた取り組み」に関する3件のご講演をしていただきました。最初のご講演では、慶応義塾大学大学院の南澤孝太教授より「超低遅延が実現する距離のゼロ化 -Haptics(触覚)による人の境界線の拡張-」と題しまして、触覚伝送が切り拓く様々な可能性について、ご講演いただきました。触覚は、モノとヒト、自己と環境、自己と他者など、様々な関係性に大きく関わる感覚であり、この情報を伝送できるようになれば経験の共有という新たな可能性が拡がります。これまでに計測・伝送・提示された感覚情報は、視覚の赤・緑・青の3原色などでしたが、経験の共有に向け、力・振動・温度を3原触とした触覚のフルカラー化に取組まれているとのことです。個人的には、触覚は自己の境界を認識する感覚であり、3原触を伝送できるようになれば、人の境界は無限に拡がっていくという話が印象深かったです。これは遠隔診療や遠隔作業だけでなく、直接逢うことが難しい人との経験の共有手段となる可能性を示しており、特に孫の結婚式に出席できない祖母に、孫に直接逢って「おめでとう」と伝えたかのような経験を与える試みは、大変印象に残りました。ロボットなど産業の高度化だけでなく、人々のQOL向上に寄与できる技術としても期待が膨らむご講演となりました。

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写真6.慶応義塾大学 南澤先生

 2つ目のご講演は、株式会社テクサーの朱強代表取締役社長より、「IoT普及への鍵となるか -ZETAの挑戦-」と題して、LPWA(Low Power Wide Area)の一翼を担うZETAについてご講演いただきました。ZETAの特徴は、超狭帯域による多チャンネル通信、メッシュネットワークによる広域分散アクセス、低消費電力双方向通信の3つで、そのアライアンスにはNTTドコモやソフトバンクなどのキャリアーも入っているそうです。ZETAは、世界のLoRa市場の半分を占める中国での導入が進んでおり、既に上海などで大規模メッシュネットワークが構築されています。国内では、アライアンス企業が、鉄道や農業、スマートビルディングなど様々な事業分野でWG活動を進めており、そのいくつかをご紹介いただきました。個人的に興味深かったのは、低ビット画像データをAIで解析することで人・モノの位置情報のみを価値として提供するIoTカメラです。プライバシーを守りながら待機列の長さや空席情報などの情報を数年間にわたり単三電池で提供できるサービスとして注目されます。また、メーター検針のカメラによる自動化も実現しており、低消費電力無線通信技術の可能性の広がりを感じました。昨今の高画像データのAI分析とは逆を行っており、その発想の柔軟さに眼から鱗の思いでした。このZETAが、日常の様々な不便を解消し、人々のQOLを向上させてくれることを期待させるご講演でした。

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写真7.テクサー 朱氏

 最後のご講演は、東京大学地震研究所の中川茂樹准教授より「5Gが切り拓く地震防災・減災-地震発生メカニズムの解明と予測精度向上への挑戦」と題して、地震観測のご講演をしていただきました。日本には地震観測点が1600ヶ所以上あり、鉄道や自動車などノイズ源の多い首都圏では地下20mに地震計が設置されているそうです。地震観測点は、地震計(含むAD変換)とGNSS(高精度時刻)、通信、電力などから構成されており、山岳部等のは電源確保が難しい地域では、太陽電池などが利用されているようです。この観測点で使われている地震計は機械式で、短周期タイプや広帯域タイプなど地震観測に適したものが使われているそうですが、自動車やスマホなどに搭載されているMEMS加速度センサは使われていないとのことです。これは地震計に求められる長期安定性やノイズレベルなどの仕様を満たしていないためですが、MEMS加速度センサの性能も年々向上しており、その最新技術を導入することで建造物やライフラインなど広範な施設から地震計測ビックデータを収集できるようにし、それに基づくインテリジェント地震波動解析などによる地震観測・予測の質の向上を図ろうとされているとのことです。この動向は、MEMS加速度センサのような安価なセンサからのデータであってもビックデータとして解析することで、どんなに正確なデータでもデータ数が少ないために見出せなかった知見などを得られる可能性を示しており、今後のMEMSセンサの活用法の在り方を考えさせるご講演となりました。

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写真8.東京大学地震研究所 中川先生

本講習会の終了後には、講師の方々を囲んだ意見交換会を開催し、講習会での質疑応答では足りなかった時間を補って余りある有意義な時間を過ごせたのではないかと思います。最後に、ご講演者を始め、ご参加・ご協力いただいた全ての方々のお陰で有意義な時間を持てたことに対して、御礼申し上げます。

(産業交流部 小出晃)

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2019年2月13日 (水)

第37回マイクロナノ先端技術交流会開催報告

 平成31年2月12日(火)の午後、マイクロマシンセンター新テクノサロンで第37回マイクロナノ先端技術交流会を開催しました。

 今回の先端技術交流会は「IoT社会に向けた、薄型・低コストのセンサ、および無線給電技術の最前線」をテーマとして、産業技術総合研究所人間拡張研究センター副研究センター長、兼フレキシブルエレクトロニクス研究センター副研究センター長の牛島洋史先生からは「Human Augmentationを目指した、フレキシブルデバイスの製造技術とそのビジネス展開」と題して、そして、東京大学 大学院 情報理工系研究科 准教授、兼ERATO川原万有情報網プロジェクト 研究統括の川原圭博先生からは「ヒューマンファクターを考慮したワイヤレス給電とスマートセンシング」と題してご講演をいただきました。


講演の様子

 最初の牛島先生からは、フレキシブルエレクトロニクスの今後の期待についてお話され、折りたためるスマートフォンの実用化も近い将来あるように感じました。そして、その重要な技術として、各種印刷法の特徴の紹介と併せて、高精細、線幅500nmの最新の印刷方法をご紹介いただきました。

 フレキシブルデバイスを用いたアプリケーションとして、床に貼り付けることによる人の行動計測やベッドに貼り付けて床擦れを検知するシステムなど人の動きをみるシステムを紹介いただきました。また、カーボンナノチューブを用いた薄型大面積フレキシブルの熱電変換デバイスによって、ウェアラブルセンサなどの薄型IoTセンサ端末用の電源の紹介をいただきました。

 また、ウェアラブルデバイスの歴史を紐解き、従来の薄く・軽く装着し易いデバイスから、身に着けることで体温、脈拍等の着用者の情報を取得するデバイスへと進化してきており、今後は例えば、運動による発熱や発汗などを検知し、必要な部位を必要な量だけ加温・冷却・加圧・除圧していくといった、センシングデータに基づきデバイスをアクティブに制御するようになると予測されていました。 


産業技術総合研究所 牛島先生
       
 次に、東京大学の川原先生から、川原先生が研究統括をされているERATO川原万有情報網プロジェクトについて紹介いただきました。ここでは、「まるで空気や水が私たちを生かしてくれているように、知的なデジタルデバイスがどこまでも自然な存在として、私たちの生活に寄り添い、欠かせないモノになっている世界」に向けて、普段の身の回りの環境に溶け込むようなデバイスに関する技術やその応用研究に数多くのテーマを取り組まれています。
今回は、自立型IoT端末のエネルギーの一方法である無線給電を中心にご講演いただきました。その中で、先月(1月)にプレスリリースした切り取れるワイヤレス充電シートについて紹介いただきました。(https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP499279_X00C19A1000000/)  コンセントに繋がっているタイルは1枚だけで、タイル同士を動的に無線でエネルギーを送りあえるというものであり、普段は電磁波は出ていないけれど、負荷となるデバイスが置かれるとその位置を自動的に検出してパスができ充電できる様子を動画で説明していただきました。また、部屋の中でどこでも無線給電できるモデルも紹介いただき、3次元空間に置かれたIoT端末への無線給電も近い将来実用化できそうな感じを受けました。


東京大学 川原先生
           
 また、講演会後の懇親会では、ご講演いただいた先生方を囲んで、Human Factor応用技術やHuman Augmentationの話題を中心に遅くまで意見交換に盛り上がっていました。  
 


意見交換会の様子
      
(産学交流担当 今本 浩史)

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2019年1月 4日 (金)

2018年MMC十大ニュース決まる

 マイクロマシンセンターでは、2018年の10大ニュースを選択いたしました。私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

1.インフラモニタリングプロジェクト(RIMS、UCoMS)、最終年度の開発実証試験成果が各種シンポジウム、展示会で注目
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」において、技術研究組合NMEMS技術研究機構(以下NMEMS組合)が提案した「道路インフラ状態モニタリング用センサシステムの研究開発」及び社会・産業インフラ維持管理・更新等の重要な社会課題の一つである都市機能を支えるライフライン系の都市インフラ(電気、ガス、上下水道、情報、エネルギー)の安全な保全のためのセンサーモニタリングシステムの研究開発の最終年度の実施を行いました。
 これらの成果は、国内外で開催された学会、シンポジウム、展示会等で広く発表を行い多くの関心を集めました。

2.スマートセンシング・インターフェース国際標準化案がIECで1年前倒しでNP提案が承認され審議入り
 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)/SC47F(MEMS分野分科委員会)にて、提案を行っておりました、「スマートセンサの制御方式」が、2018年、NP(New work item Proposal)承認され審議が開始されました。
 IEC国際標準化SC47E/WG1,2F合同アドホック会議において「スマートセンサの制御方式」について、IECへのNP(New work item Proposal)投票が完了し、エキスパート参加国6か国でNP承認(参加国4か国以上が必要)された旨、また、韓国・米国からそれぞれ1件ずつあげられたコメントへの対応方針を各国に説明しました。

3.MNOICの工程受託活動がPR拡大等により引き続き右肩上がりで推移
 研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとして、7年前に開設したつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」も今や中小・ベンチャーを含む40社以上からの研究や工程の受託により、フル稼働の状況にあります。さらに設備整備や技術向上に努めて、我が国のMEMS開発需要に応えてまいります。

4. MMC理事長が山西氏から山中氏に交代、MMCの新体制が始動
 2018年度はマイクロマシンセンター理事の改選期にあたり、MEMS理事会において2期4年にわたり当協議会会長(MMC理事長)を務めて頂いた山西健一郎三菱電機相談役から山中康司株式会社デンソー代表取締役副社長(MEMS協議会会長も兼ねる)に理事長が交代されました。
 新理事長には、続いて開催したMEMS協議会推進委員会において挨拶及び最近のトピックスとして1つはスマートセンシング&ネットワーク研究会(SSN研究会)に、医療MEMS研究会などのワーキンググループを設置し、新テーマ発掘に努めていること、二つ目は、設立から8年目のMNOIC事業が、2020年以降も事業の持続的拡大に向け、現場中心に着実に改善活動を進めていることを述べられました。

5. MEMS講習会、マイクロナノ先端技術交流会、海外調査報告会等セミナーが多くの技術者を集め活況
 マイクロマシンセンターでは、MEMS講習会、マイクナノ先端技術交流会、海外調査報告会を開催しており、多くの技術者の参加を頂き活発な意見交換が行われています。
 MEMS講習会は年2回開催し、そのうち1回は地方で開催しています。2018年は2月に九州で開催し、地方でのMEMS技術の普及に貢献しています。
 先端技術交流会は第2回医療MEMS研究会と兼ねて、「生体モニタリングの最前線」をテーマとして開催し、MEMS及び医療関係の技術者と意見交換が行われました。
 海外調査報告会は、MEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するものです。毎年のように北米や欧州を中心に学会等のイベント、海外の大学や研究施設、関連企業の訪問見学の報告を行っています。

6. MEMSセンシング&ネットワークシステム展2018、盛況でビジネスチャンスが拡大
 2018年 10月 17日(水) から19日(金)まで幕張メッセで開催された「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2018」は、3日間の開催期間を終え、盛況の内に閉幕しました。来場された皆様方に御礼申し上げます。

 初日は、展示会場内特設ステージでMEMS協議会フォーラムを10:00から12:30まで開催いたしました。2日目は、国際会議室で研究開発プロジェクト成果報告会を開催いたしました。最終日は、国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム及びスマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウムが10:00から16:05まで開催致しました。何れのシンポジウムも多くの聴衆が熱心に聞き入っておりました。
 会期中の様子は以下を参照ください。
 (初日)
http://www.nanomicro.biz/mems/2018/10/mems2018-be33.html
 (2日目)
http://www.nanomicro.biz/mems/2018/10/mems2018-9487.html
 (3日目)
http://www.nanomicro.biz/mems/2018/10/mems2018-fd87.html

 今回ご来場頂きました皆様に御礼申し上げます。

 次回は2020年1月29日(水)~31日(金)に、東京ビッグサイトにおいて、nano tech2020と同時開催を予定しております。
 次回もご来場頂けますよう関係者一同お待ちしております。

7. マイクロマシンサミット2018への参加や海外アフィリエート交流など、国際交流事業を活性化
 マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する場です。日本の提案により平成7年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。
 2018年は5月14日(月)から16日(水)までアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されました。南米での開催は、2014年にブラジル・サンパウロに続く2回目になります。今回のトピックスは、農業や畜産大国のアルゼンチンらしく”Agro-food & Environment. Other related applications and results from new and highly relevant R&D actions”でした。
 次回、2019年のマイクロマシンサミットは、中国・西安(Xi’an)で開催されることが決まりました。コーディネータはNorthwestern Polytechnical UniversityのWeizheng Yuan教授です。

8. LbSSプロジェクトも中間(5年のうち3年)に差し掛かり、成果が現実化
 本研究開発では、工場等の設備の稼働状況等の把握を目的とするスマートセンサモジュール、高効率MEH(Micro Energy Harvester)などの自立電源、及びスマートセンシングフロントエンド回路を開発し、動的センシング制御可能な無給電のスマートセンサ端末を実現します。さらに、同時に開発する学習型スマートコンセントレータとの連携により、従来の環境発電で収集可能な有価情報量を100倍化することを可能とする学習型スマートセンシングシステムの基盤開発と実証を行います。
 現在、学習型スマートセンシングシステムの開発として、有価情報を高めるための自立型センサ端末/学習型センシングアルゴリズムの開発、測定パラメータ可変型スマートセンサ、製造往路セス革新で小型・安価、高効率発電デバイスの開発を行っています。

9. センサ端末同期用原子時計(ULPAC)が世界最高水準の長期安定度を達成
 道路インフラモニタリングシステム(RIMS:ROAD Infrastructure Monitoring System)をはじめとするセンサ端末群は、ネットワークを介して時刻同期をすることで、データ取得の正確な時間を把握し、かつ、データ転送の効率化を図っています。もし、その時刻同期を不要とすることが出来れば、ネットワークの構築や運用にかかる負担を大幅に低減することができます。そこで、正確な時を刻む原子時計をセンサ端末に搭載可能なサイズや消費電力、価格にすることが出来るかを解析や試作を通して、長期間安定的に稼働する時計が完成しました。

10. 青柳副理事長、荒川センター長、野村総務担当部長などMMCの中興を担った方々が引退
 2018年に開催したMEMS理事会において、2003年MMC専務理事に就任し、2006年の当協議会発足に尽力した前MMC副理事長の青柳桂一氏も退任しました。
 また、マイクロマシンセンターを発展させてきた有力メンバーである荒川センター長及び野村総務担当部長が退職致しました。

成果普及部 水島 豊

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2018年7月31日 (火)

第36先端技術交流会の報告

 平成30年7月31日(火)の午後、マイクロマシンセンター新テクノサロンで第36回マイクロナノ先端技術交流会を開催しました。

 今回の先端技術交流会は第2回医療MEMS研究会と兼ねて、「生体モニタリングの最前線」をテーマとして、オムロン株式会社 技術専門職の中嶋宏様からは「デジタルヘルスケア-ICTを活用した健康管理」と題して、そして、東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 教授の三林浩二先生からは「次世代ヒトIoTを⾒据えた非侵襲&無拘束バイオ計測」と題してご講演をいただきました。


講演の様子

 最初の中嶋氏からは、超高齢化社会に向けた生活習慣病予防に向けた、健康管理についておご講演をいただきました。心臓病の発症リスクは「肥満(高BMI)」「高血圧」「高血糖」、「高脂血症」の危険因子があり、この因子を2つもつ人は全く持たない人に比べて10倍、3つ以上もつ人は30倍を超えるとのことで、生活習慣予防に向けた取り組みが重要であることを示しておられました。

 血圧は絶えず変動しているので、病院で測定するのではなく、家庭血圧が高血圧治療には必須となってきています。本当は24時間知らずしらずに測定できると良いのですが、血圧測定には現状カフを用いるもの以外は難しいようです。

 また、事例紹介として、内臓脂肪測定装置を紹介いただきました。内臓脂肪の測定には正確性の観点では、X線CTやMRIがありますが、これらの測定は大掛かりで高額になる等の課題があります。そこで、腹部全体のインピーダンス情報、腹部表層部のインピーダンス、および腹部形状によって、内臓脂肪を計測するBIA(Bioelectrical impedance analysis)法を紹介いただきました。

 次に、生活習慣病の改善に向けて、運動・食事・休養(睡眠)のバランスが重要であることを説明され、特に朝は体重が軽く、夜は体重が重くなることを利用し、朝と晩に体重を測定する朝晩ダイエットについて説明されました。実際に朝晩の体重測定をしっかりと行っている人の方が、体重減少率が高い結果を紹介いただきました。

 最後に、生体モニタリングとして、センサに期待することは、「非侵襲、無拘束、そして無意識に計測ができるようになること」とのことであり、三林先生の研究内容がまさにこの取り組みであり、今後のQOLの改善につながると感じました。


オムロン 中嶋様

 東京医科歯科大学の三林先生からは非侵襲、無拘束のバイオ計測について最新の取組みをご紹介いただきました。血糖は食事の前後などでダイナミックに変化するのでリアルタイムで測定したいニーズがあります。従来は指から穿刺して採血する自己血糖評価(4回/日)が主でしたが、4回測定しても血糖値の大きな変化は測れないという課題があります。

 最近ABOTのLIBREという血糖値センサが発売され、センサを2週間つけたままで生活できるものであり、実際にこれを装着した糖尿病患者は手放せない状況にあるとのことです。これは、血糖の変化をリアルタイムでとることの重要性が認識されてきたことの表れと言えます。しかしながら、これは侵襲タイプであり、測定精度も10~20%の誤差があることが課題であり、三林先生のところでは、非侵襲で測定するために、体腔で装着するセンサの開発を進めておられます。

 最初にコンタクトレンズ型のセンサの開発についてご紹介をいただきました。涙の糖の濃度は血液中の糖の濃度と相関があります。実際に兎の目にコンタクトレンズを装着して、ブドウ糖を投与した際の実際の血液の糖と涙の糖の濃度の動的な変化をとらえていました。

 次に、マウスガード型のセンサの紹介をいただきました。唾液は夾雑物が多く、唾液中の糖の濃度も低く難しいところはありますが、糖だけを測定できることに成功されていました。歯列矯正をマウスピースで行う市場は今後広がり、その時は小さな歯科医院で3Dプリンタを用いて作成できるようになるとのことです。口腔でのセンシング加速度、ジャイロ、GPS、バイオセンサ等様々なセンサを取り付けられることから、単に糖濃度などのバイオセンサだけでなく、口の動きのセンシングなど応用がいろいろと考えられるとのことです。

 最後にガスによる糖尿病の検知について紹介をいただきました。アセトンは呼気の中にかなりの量(1ppm)があり、このアセトンは脂質代謝ででてくるとのことです。糖尿病患者は糖代謝ではなく脂質代謝になり、アセトンが多くでるためです。アセトンをたんぱく質(2級アルコール脱水素酵素)を介して光(NHSHという蛍光物質)で見ることによって、呼気だけで糖尿病患者をスクリーニングできるとのことです。 また、皮膚からでるガスについても最近の取り組みについて紹介をいただきました。皮膚ガスの出所は皮膚表面の菌、汗、皮膚の下にある血管からくる揮発性成分の3つに分けられます。これを選択的に測定できれば呼気と同じようにモニタリングすることができるというものです。皮膚ガスは血液や呼気の濃度より低いが相関があるとのことです。実際にエタノールを摂取した際の皮膚ガスの濃度をリアルタイムでみることができることを示しておられました。

 三林先生のご講演をお聞きして、血糖値をはじめ生体情報を非侵襲・無拘束で常時センシングできる社会も近いのではないかと感じました。


東京医科歯科大学 三林先生

 また、講演会後の懇親会では、ご講演いただいた先生方を囲んで、ヘルスケアの話題を中心に遅くまで意見交換に盛り上がっていました。  

 
意見交換会の様子
      
(産学交流担当 今本 浩史)

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2018年2月12日 (月)

第29回MEMS講習会の報告

 2018年2月8日に福岡県において、第29回MEMS講習会を開催致しました。MEMS講習会は、MEMS協議会に所属するMEMSファンドリーネットワーク企業を中心に企画され、都内と地方都市で年に1回ずつ開催しています。  

 今回は「MEMS技術を利用した地域活性化」をテーマに、公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団との共催で、福岡地区の企業とのビジネス交流を目的として、開催いたしました。今回は、FUJICO(Fukuoka Univ. Jisso Consortium)を中核としたオープンな技術交流会であるフジコミーティングとのコラボにより、半導体実装分野とMEMS分野の双方から総勢56名の研究開発者が集まり、技術の融合による新たな可能性について議論する貴重な場となりました。


写真1 講演会場の様子


写真2 公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団
三次元半導体研究センター 野北 副センター長

 講習会では、主催者および共催者の挨拶のあと、本日の基調講演として、九州大学の都甲潔主幹教授から「生態を模倣した味覚・嗅覚センサデバイスの開発」と題して、研究開発されている味覚センサと嗅覚センサについて、ご講演いただきました。開発された味覚センサは、味を数値化することで、曖昧だった消費者のニーズ分析を可能としており、商品開発への応用も進んでいます。味覚センサの製品化は、20年以上も前になされており、蓄積されたデータも多く、うどんやコーヒーなどの好みの地域差や年齢差などの分析結果などをご紹介いただきました。この技術は、これまで官能試験などにより評価してきた商品の味を数値化することで開発効率を向上するだけでなく、将来的には商品に味覚情報を付けることで、自分好みの商品を正確に選べるようになる可能を秘めています。味覚センサの小型化にも取り組まれており、多少お高くても製品化したら購入したいと感じたのは私だけではないでしょう。

 もう一つの話題である嗅覚センサは、味覚の数桁上の感度を要求されるもので、爆薬や麻薬などの危険物を犬以上の感度で検知できます。また、空気の質や健康状態の見える化などにより、健康促進に役立つことも期待されます。味覚に比べて嗅覚は、測定対象が複雑ですが、複数の特性の異なるケモレジスタンスセンサと機械学習を組合わせたパターン認識により、分子の識別を可能にするとのことです。大変興味深いご講演で、質疑時間が15分でも不足する程でしたが、豊かな食生活や健康な日常へのご貢献が期待されるご講演でした。


写真3 基調講演 都甲先生

 続きまして、本日1件目の特別講演として、九州工業大学の坂本憲児準教授より「マイクロTASチップの医療応用」と題して、アレルギー検査チップと血液粘度測定チップについて、ご講演いただきました。九州工業大学には、半導体LSI開発の設計から製造までを可能とする国内有数の研究センターがあり、そこを活用した研究開発をされています。まず、アレルギー検査チップの背景ですが、社会問題となっている食物アレルギーの増加、特に小児では生命にかかわることが多く、小児向けの低侵襲な検査方法が求められています。そこで、広島大学医学部と連携して、好塩基球分離技術と好塩基球応答可視化技術を組合わせた高信頼で低侵襲な診断技術を確立されたそうです。検査装置はできていますが、検査チップの量産化に向け、磁性体でマイクロ流路を加工できる企業を募集中で、一日も早い製品化が待たれます。

 引き続き、生活習慣病の発症や重症化要因マーカーとして注目される血液粘度を簡便・迅速に測定する血液粘度測定チップをご紹介いただきました。従来のように粘度と流体抵抗の相関を利用するのではなく、電気伝導率との相関を利用することで、必要な血液量と処理時間を劇的に減少させることに成功しています。現在は、使い捨ての測定チップを安価に大量生産できる企業や、そのチップを用いた測定器の開発企業を募集中とのことです。どちらのチップも生活に質の向上に寄与するものであり、今回の講習会が、事業化の一助にななれればと感じさせるご講演でした。


写真4 特別講演1 坂本先生

  本日2件目の特別講演は、九州工業大学の矢吹智英准教授より、「マイクロ・ナノテクを用いた沸騰熱伝達の計測と促進」と題して、MEMS温度センサを用いた研究成果について、ご講演いただきました。スマホやパソコン、自動車など、CPUやパワーデバイスなどの高密度実装が進み、その効率的な冷却技術が求められています。そのブレークスルー技術として、沸騰熱伝達が注目されており、MEMSセンサを用いたメカニズム解明と、それに基づく冷却技術の開発に取組まれておられます。沸騰熱伝達では、伝熱面での濡れ性が重要な役割を担っており、超親水化することで、限界熱流束を3倍程度に促進できるため、その実現にMEMS加工の利用価値が高いとのことでした。消費電力削減の観点からは、CPUなどから取り去った熱の再利用も重要な課題となりますので、MEMS企業との連携によるMEMS熱発電素子などと組み合わせた冷却システムの開発など、今後の展開が期待されるご講演でした。


写真5 特別講演2 矢吹先生

 ここでいったん休憩を挟み、休憩明けからは、半導体実装の研究開発をされているフジコミーティングから4件、福岡県の企業から1件のご講演と、ファンドリーサービス産業委員会のご紹介をさせていただきました。フジコミーティングからの最初のご講演は、株式会社ピーエムティーの三宅賢治氏より、「ミニマルファブによるFOWLP試作ビジネス」と題して、チップ面積を超える広い領域に再配線層を形成するウエハレベルパッケージング技術であるFOWLPの試作ビジネスへのミニマルファブの適用についてご紹介いただきました。多額の費用と時間を要するFOWLP試作に小回りの利くミニマルファブを適用することで、コストの削減や期間を短縮する世界に唯一のビジネスモデルを実現しているとのことです。ご興味のある方は、是非、PMTミニマルファウンドリのHPにアクセスください。これまでの半導体製造からは想像できない目から鱗の世界が広がっています。


写真6 株式会社ピーエムティー 三宅氏

 次にローム・アンド・ハース電子材料株式会社の米原良氏より、「三次元配線に最適な感光性電着レジストのご紹介」と題して、ご講演いただきました。光通信の分野で、オプティカルベンチなどの三次元構造への配線形成で、スプレー塗布などの技術と供に用いられたと記憶していますが、逆テーパ部へのレジスト塗布が可能などの利点を持つことから技術開発が進んでおり、露光技術の発展と相まって、その展開が期待される技術となっているようです。MEMSデバイスも三次元構造を持つものが多く、MEMS関連企業にとっては、大変興味深いご講演となりました。


写真7 ローム・アンド・ハース電子材料株式会社 米原氏

 フジコミーティングからの3件目のご講演として、三次元半導体研究センターの八木公輔研究員より、「三次元半導体研究センターのSi加工技術」と題して、Deep-RIE技術について、ご講演いただきました。TSV形成時のシードスパッタ工程での不良原因となるスキャロップの軽減を目的として深堀レシピを開発されており、Cuの埋め込み性の改善を図られておられます。Deep-RIEで一般的に用いられるBoschプロセスの他に、非Boschプロセスにも取り組まれており、用途により組合せたり、使い分けたりすることで、多彩な形状制御を実現されています。MEMS企業も様々な形状を加工していますが、その製造レシピを公開しておりませんので、その一端を垣間見た気にさせていただけたご講演でした。


写真8 三次元半導体研究センター 八木研究員

 フジコミーティングからの最後のご講演は、三次元半導体研究センターの金山天研究員より「微細配線の高信頼化に向けた取組」と題して、再配線層の高信頼化について、ご講演いただきました。有機インターポーザーの配線の微細化とともに、配線不良が増加しており、その解決策として、Cu配線を保護するキャップメタルのピンホールレス化に取組まれております。材料の最適化や膜厚や皮膜状態の制御手法の検討により、キャップメタル厚5nmでのマイグレーション耐性が大幅に改善されており、今後の技術開発の進展が期待されるご講演でした。


写真9 三次元半導体研究センター 金山研究員

 福岡県の企業からのご講演として、アスカコーポレーション株式会社の池田昭和様より「ウエハめっき・ワンストップサービス」と題して、ご講演いただきました。NiやAg、Pd、Ni-Auなどの各種めっきライン、特に主力商品であるUBM・BMワンストップサービスについて、ご紹介いただきました。このサービスでは、表面めっきから裏面めっきまでを一貫加工することにより、短納期、コストや在庫の削減を実現しているとのことです。特徴は、アスカ独自の薄ウエハ(70μm)反り制御技術により、反りの少ない加工を実現している点です。MEMSでも成膜によるウエハの反りが量産時の課題になることが多いので、そういった技術を確立していることは、大きな強みとなると感じます。今後のMEMS企業との更なる連携を期待したいと思います。


写真10 アスカコーポレーション株式会社 池田氏

 本日の講習会の最後は、ファンドリーサービス産業委員会の浅野委員長より、「MEMSファンドリーネットワークとサービスのご紹介」と題しまして、MEMSを開発したい企業を支援する仕組みをご紹介させていただきました。また、委員会を構成する大日本印刷、富士電機、日立製作所、みずほ情報総研、メムス・コア、マイクロナノオープンイノベーションセンタのサービスの特徴や、技術支援していただいている産総研の概要をご紹介させていただいた後、別会場を移動して、委員会企業や産総研による技術相談会を開催いたしました。別会場ではありましたが、多数の参加者に足を運んでいただき、活発な議論が交わされ、半導体実装とMEMSとの技術交流を図ることができました。今後、講習会に参加された方々とMEMSファンドリーネットワークとのコラボによる技術開発や製品開発がなされることを期待したいと思います。


写真11 ファンドリーサービス産業委員会 浅野委員長

 MEMS講習会の翌日には、三次元半導体研究センターの見学会を開催いたしました。最初に、三次元半導体研究センターの野北寛太副センター長より、三次元半導体研究センターの概要について、ご紹介いただきました。プリント配線板製造技術とシリコン基板製造技術の双方から、研究・開発、試作・評価を支援できる世界で唯一の研究センターとのことで、見学会でも幅広い分野の設備が揃っていることに驚かされました。めっきラインをはじめ、大型基板向けのラミネーターや露光装置、プリント基板用穿孔機や部品実装機など、プリント基板関係の設備の他、シリコン基板向けの設備も揃っており、その試作品を評価する設備と合わせて、総合的な研究が可能な設備を見学させていただきました。これだけの設備を維持管理するのは大変なことと推察いたしますが、研究員の方々が対応されていると伺って、生産技術の伝承が危惧される中で、大変とは思いますが、恵まれた環境で研究できていると感じました。ここで地力をつけた研究者の方々が、企業との連携で、製造業の底上げをしていただけることを祈念して、今回のMEMS講習会のご報告とさえていただきたいと思います。最後に、この企画にご協力いただいたご講演者やフジコミーティングの皆様、ご参加いただいた皆様に、改めて御礼申し上げます
(産業交流部 小出晃)

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2018年1月 5日 (金)

「新年のご挨拶」

新年あけましておめでとうございます。

 本年はSociety5.0の実現を世界に打ち出していくための新たな産業・社会の在り方として、「コネクテッド・インダストリーズ」に大きな注目が集るとされています。特に、製造現場、自動走行、健康・医療・介護等の現実の「リアルデータ」を巡る競争が激しくなると予想されていますが、その「リアルデータ」を収集する最前線にMEMSを中心とする多様なセンサが位置しています。従いまして、ナノ・マイクロ技術分野における研究開発や普及促進等を長年担ってきた私どもマイクロマシンセンターの責任はさらに重くなっていくものと考えております。

 仏のヨール社によれば、世界のMEMS市場は消費者用や自動車用がけん引し、2017年の132億ドルから2022年には254億ドルと年率14%で伸びるとされています。MEMSデバイスとしては、スマホの4G/5G 化の進展によりMEMSフィルタの伸びが大きく、従来からの慣性センサ、圧力センサ、ジャイロなどを凌駕していくと見られます。

 このような中、当センターでは2000年代に注力したMEMS技術そのものの研究開発から、2010年代にはセンサネットワーク技術にシフトし、現在は道路やライフラインのインフラモニタリングに加えて、ファクトリやプラントのスマートセンシングの研究開発に注力しています。そして、昨年は経産省・NEDOがコネクテッド・インダストリーズの重点分野として推しているロボティクスや自動走行の鍵となるAI融合高精度物体認識システムの研究開発に着手しました。

 また、それらの研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとして、7年前に開設したつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」も今や中小・ベンチャーを含む40社以上からの研究や工程の受託により、フル稼働の状況にあります。さらに設備整備や技術向上に努めて、我が国のMEMS開発需要に応えてまいります。

 そして、上述の成果などを公開する場として、昨年、MEMSセンシング&ネットワークシステム展を刷新して、初めてCEATECと同時開催とし、5万人を超える来場者の方々にお出でいただくことができました。本年はさらにCEATECやAll about Photonics展とのシナジー効果を高め、IoTシステム、さらにはコネクテッド・インダストリーズの最先端技術展としてのプレゼンスを高めてまいります。

 当センターとしましては、本年もMEMS・スマートセンシング技術の開発や普及に真摯に取り組み、我が国のコネクテッド・インダストリーズの推進に微力ながらも貢献してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。

 皆様方には以下の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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2017年11月29日 (水)

第35先端技術交流会の報告

 平成29年11月29日(水)の午後、マイクロマシンセンター新テクノサロンで第35回マイクロナノ先端技術交流会を開催しました。

 今回のテーマは「RF-MEMS(BAW(Bulk Acoustic Wave)フィルタ)の最前線」として、太陽誘電モバイルテクノロジー(株) 取締役の上田正憲様からは「最近のRF-BAWデバイス(フィルタ)の進展と今後の展望」と題して、そして、早稲田大学 理工学術院 先進理工学部 准教授の柳谷 隆彦先生からは「最新のBAWデバイス材料の研究と応用」と題してご講演をいただきました。

 最初の上田氏からは、最初に近年、Broadcom社やQorvo社に見られる、BAWフィルタ市場の急成長の背景について説明いただきました。既にスマートフォンの中に数多くBAWフィルタが使用されていますが、今後4Gから5Gに向けて、マルチバンド化、そしてCA(キャリアアグリゲーション)やMIMOによる高速通信が進み、ますます市場が広がっていくようです。 次にBAWの技術についてご紹介いただきました。 BAWは大きくキャビティ構造を有するFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)と音響ミラー構造を有するSMR(Solidly Mounted Resonator)の2種類に大別されます。太陽誘電では独自のエアギャップ構造を用いるFBAR構造を採用しています。フィルタの特性向上には周波数の温度ドリフトの影響を総裁する温度補償付きのTC(Temperature Compensated)-FBARを用いて、温度特性の向上を示していました。続いて、電気機械結合係数を向上する方策として、AlNに他の材料をドープする試みを紹介いただきました。結果としてMg,Hfを一緒にドープすることで電気機械結合係数(k2)がAlN7.1%に対して、10%に向上することを示されていました。

太陽誘電 上田氏

 早稲田大学の柳谷先生からはScAlNを中心としたBAWデバイスの材料のお話をいただきました。従来の圧電材料のAlNにScを導入することで圧電定数d33が5倍向上することを産業技術研究所の秋山先生が発見したのを機に、柳谷先生がScAlNを用いた圧電トランスデユーサ、FBARの報告を世界に先駆けて報告されました。Sc組成を徐々に増やしていくとSc組成0.4ぐらいまで徐々に電気機械結合係数が上昇して、AlNではK2が6.4%だったものが、14%近くに向上することを示されていました。

 また、電気機械結合係数の小さいGaN(k2~0.4)にYbを加えることでK2が4%まで大きくなる現象を発見されました。現在、多くの研究者がScAlNの研究、実用化を進めていますが、ScAlNの成膜にはノウハウがあるようです。柳谷先生からはターゲット中のCやOの除去が重要で、ScAl合金の使用やプレスパッタを長時間行うと良いといった報告をいただきました。柳谷先生の研究室では良質の成膜ができるために、ScAlN圧膜によって18%以上の高い電気機械結合係数(K2)の実現に向けて取り込まれているようです。

早稲田大学 柳谷先生

 また、講演会後の懇親会では、ご講演いただいた先生方を囲んで、BAWフィルタの今後の展開や圧戦膜成膜についてのノウハウなど遅くまで多くの意見交換が行われていました。  

意見交換会の様子

(産学交流担当 今本 浩史)

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2017年10月 9日 (月)

スマートセンシング&ネットワーク展2017」 国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム及びスマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウム(2017年10月6日)の開催報告

 2017年 10月 4日(水) から6日(金)まで幕張メッセで開催された「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」は、3日間の開催期間を終え、盛況の内に閉会しました。来場された皆様方に御礼申し上げます。特に、最終日である6日(金曜日)は、午後から雨との予報にもかかわらず多くの来場者がありました。

 最終日は、国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム及びスマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウムが12:30から16:40まで、国際交流委員長であり、スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会の会長でもある下山勲教授に司会をお願いして開催され、約100名の沢山の方々にご参加頂きました。

 本報告書では、セッション1の国際セッションに限って報告致します。

Session 1 International Session   Latest Trends of IoT / MEMS
(セッション1 国際セッション IoT、MEMS分野の最新動向)

(1) Sensors and computing for a safe IoT world
(CEA LETIにおけるIoT関連技術最前線)
Dr. Marc Duranton, CEA-LETI(France), CEA Fellow, Architecture,
IC Design and Embedded Software Division


 MEMS関連の研究所としては世界最大規模の施設と、研究員を擁するフランス・グルノーブルのCEA-LETIの半導体・組み込みソフト部門のMarc Duranton博士から、CEA LETIにおけるIoT関連技術最前線と題する講演がありました。 LETIでは幅広い研究領域や産業界との共同研究案件がありますが、最近ではMEMS領域からナノテク領域へ活用範囲を広げ、かつ産業界が魅力を感じるテーマに取り組んでいます。その中の一つは数百ナノメートルのナノワイヤをセンサの検出素子として使う技術で、既に化学センサや共振器等に使われているとのことです。

(2)MEMS and NEMS Technologies for a Smart World
Dr. Mario Baum(Germany), Fraunhofer Institute for Electronic Nano Systems ENAS


 産業界のユーズに基づいた研究開発を積極的に行うことで日本の産総研のモデルにもなっている、ドイツのFraunhofer Institute、その中でもMEMSを中心に活動を行っている、ChemnitzにあるENASのMario Baum博士からMEMS and NEMS Technologies for a Smart Worldと題する講演がありました。今回の発表は、フランフォーファ研究所の紹介と、世界各地との連携、自動車や工業用スマートシステムに使われるスマートセンサ、健康・医療領域に使われるスマートセンサに関する紹介がメインでした。面白いトピックスとしては、Sens-o-Spheresと言う、直径8mmの球に、センサや信号処理、ワイヤレスバッテリ、無線通信を詰め込んで、工場の様々なプロセスコントロールに使う概念が示されました。

(3) SiTime MEMS Oscillator Technology
(SiTime社のMEMS発振器の最新技術)
Mr. Hideki Yoneda, General Manager, Corporate Strategy, Megachips-Corporation
(株)メガチップス 新事業本部 米田 秀樹


 長い間、タイミングデバイスのデファクトになっていた水晶発振器を置き換える可能性が出てきたシリコン共振器を開発・製造しているベンチャー企業・SiTimeが開発したシリコンタイミング素子に関して、M&Aを行った日本のメガチップス社の米田 秀樹氏からSiTime社のMEMS発振器の最新技術)と題する講演がありました。シリコンを用いた発振器(共振型)は材料のヤング率の温度依存性や熱膨張係数によって、周波数の強い温度依存性がありますが、それを材料&プロセス技術(構造)や、高精度に温度を計測して補正をかけることで水晶発振器を凌ぐ性能を確保し、またシリコン半導体に組み込みことも可能であることを強調されていました。

(4)Metal Oxide Gas Sensing Material and MEMS Process
Mr. Collin Twanow, Micralyne Inc.(Canada), Vice President of Technology


 カナダのアルバータ地方には一般財団法人マイクロマシンセンターと国際アフィリエートになっているナノマイクロ研究所であるACAMPや、MEMSファンドリも行っているMEMS研究開発型の企業Micralyneをはじめ、沢山のMEMS関連企業があり、既に何年にも渡って国際交流を行っています。今回はMNOICをはじめ既に何回もマイクロマシンセンターを訪問頂いている、MicralyneのCollin Twanow副社長からMetal Oxide Gas Sensing Material and MEMS Processと題する講演がありました。大気汚染や環境問題に対する解として、環境センサに注目され、特に大気中の一酸化炭素や、VOC(揮発性有機物)を高感度で検出可能なセンサが重要とされ、最近Micralyneで開発中のマイクロホットプレート型のMOS(金属酸化物)センサの紹介がありました。
国際交流担当 三原 孝士

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2017年9月 7日 (木)

第34回先端技術交流会の報告

 9月1日(金)の午後、マイクロマシンセンター新テクノサロンで第34回マイクロナノ先端技術交流会を開催しました。

 今回は「BEANSプロジェクト研究者達の新たな研究の取組み」というタイトルで開催しました。、BEANSプロジェクトは、MEMS技術とナノ・バイオ技術が融合し、自律的に機能する異分野融合型デバイスの開発を目指し、平成20年度から24年度の5年間にわたり、経済産業省の主導のもと、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から技術研究組合BEANS研究所が委託を受け、企業、大学、独立行政法人産業技術総合研究所の研究者を結集し、産学連携体制のもとで実施しました。今回の先端技術交流会はプロジェクト終了から4年を経て、研究開発を推進した研究リーダー4名の先生方をお招きし、現在の研究内容について発表していただきました。

 最初に、BEANS研究所の所長の遊佐様、副所長の東京大学藤田教授からご挨拶をいただき当時のBEANSの様子を振り返り皆さま懐かしんでおりました。

  
(遊佐さん)              (藤田先生)

 最初の講演者は東京大学先端科学技術センターの杉山正和教授です。「高効率太陽光発電と化学的エネルギー貯蔵がもたらす次世代再生可能エネルギーシステム」というタイトルで研究内容の紹介がありました。2050年までに温室効果ガスを80%削減するという我が国の目標があり、再生可能エネルギーの拡大が期待されています。太陽電池の普及を拡大するために、発電効率のさらなる向上とコスト低減について紹介いただきました。発電効率の向上に向けた取り組みとして、マルチジャンクション型セルにおいて、InGaP、Geに格子整合する1.2eVのバンドギャップを有する材料開発が必要であり、InGaAsバリア層とGaAsP井戸層からなる独自の超格子構造や、3次元の波上構造を提案されていました。また、コストダウンの一方策として、GaAs基板上にAl犠牲層を設けることによって、基板を最後で除去することによる、薄膜太陽電池を提案されていました。この構造では、太陽電池に入射した光によりフォトンリサイクリングの現象によって高効率化が期待できると同時に、基板を何度も利用できるので、GaAs基板という高価な材料コストの低減に期待が持てます。温室効果ガス排出量の低減に向けて、安価、高効率太陽電池の実現に期待が膨らみました。

   
(杉山先生)              (竹内先生)

 2番目の講演者は東京大学生産技術研究所機械・生態系部門の竹内昌治教授です。「バイオハイブリッドシステムに向けた取り組み~Life Beansのその後の展開~」というタイトルで、バイオデバイス技術を使った創薬・医療・環境センシングの研究内容について紹介がありました。最初はBEANSで取り組んでいた脂質2重膜のその後の進展についてです。分子デバイスにとして、膜タンパク質による高感度センサーです。膜タンパク質によるバイオセンサとして研究を進めておられ、蜂、蠅、そして蚊などの昆虫の嗅覚受容体を用いた汗等の匂いセンサの開発を紹介されました。すでに汗で反応するロボットも動画で紹介されており、この技術は人の匂いを検知する災害救助ロボットをはじめとした人体検出センサとして期待されています。次に血糖値センサの研究について紹介いただきました。血糖値は食事や運動などによって、時々刻々と変動するため、無意識のうちに連続して情報を読み取ることが望まれています。竹内先生のところでは、血糖値に応答して光の強度を変えるハイドロゲルビーズを実現し、マウスの耳に埋め込んで140日以上長期完全体内埋め込み可能な血糖値センサを実現していました。

 3番目の講演者は九州大学工学研究院応用化学部門兼、最先端有機光エレクトロニクス研究センターセンター長の安達千波矢教授です。安達先生からははBEANSプロジェクトの時から継続して取り組んでおられる有機EL(OLED)の研究の進展について紹介いただきました。従来蛍光材料では内部効率が25%程度しかなく、またそれまで、イリジウム等の燐光による高効率化が実現されていましたが、この貴金属は希少資源であり高価であったため実用的ではありませんでした。安達先生は熱活性化遅延蛍光(TADF)に着目し、網羅的に分子材料の開発に取り組み、2012年に内部効率100%のTADFの実現に成功しました。この成果をもとに2015年にTADFを実用化する大学発ベンチャー((株)Kyulux)が設立され、その代表取締役の安達淳治氏からも講演中にOLEDのデモをご紹介いただきました。今後、有機急拡大する有機EL市場に本技術がますます広く展開していくと感じました。

  
(安達先生)             (伊藤先生)

 最後のスピーカーは東京大学大学院・新領域科学研究科兼、産業技術総合研究所集積マイクロシステム研究センターの伊藤寿浩教授です。「トリリオンセンサ社会に向けてのセンサネットワークの取組み~牛健康モニタリング用センサネットワーク」というタイトルでBEANSプロジェクトのMacro BEANSのその後の成果について講演頂きました。伊藤先生はBEANSプロジェクトを終えた後は、グリーンセンサネットワーク開発プロジェクト、ライフラインコアモニタリング、そして今回の発表の中心の内容である、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で取り組んできた次世代農林水産業創造技術開発計画のテーマへとセンサおよぶセンサネットワークのプロジェクトで活躍されております。牛の生体内で長期間安定して駆動するセンサを開発し、センサおよびセンサネットワークによって、繁殖管理のためのセンサシステムの開発、および飼養管理のためのセンサシステムの開発に取り組んでおられます。繁殖管理に向けては小型膣内センサの開発を行っており、加速度センサを組み込み牛の活動を分析することによって発情の精度をモニタリングしております。また、飼養管理の観点ではルーメン(牛の第一胃)センサの開発内容を紹介し、胃の中のセンサから首輪の無線中継器へセンサ信号を送り、アンテナまで情報を送るシステムを紹介されました。体内からの無線の難しさ、そして胃の中での長期信頼性の確保が難しいことがわかりました。


(意見交換会)

 4名の先生方によるプレゼンテーションを終え、会場をMMC会議室に移した懇親会では、BEANSの関係者を中心に約50名も集まり、技術的な会話だけでなく、同窓会としても大変盛り上がりました。

(産学交流担当 今本 浩史)

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