講習会・先端技術交流会

2022年8月 4日 (木)

第42回マイクロナノ先端技術交流会 「MEMSとコンピューティングの接近」 開催報告(2022年7月27日)

 2022年7月27日(水)13:55 – 16:00に、第42回マイクロナノ先端技術交流会をオンラインにて開催しました。

 今回の先端技術交流会は、「MEMSとコンピューティングの接近」をテーマに、京都大学工学研究科 マイクロエンジニアリング専攻ナノシステム創成工学講座 教授 土屋智由先生、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 デバイス技術研究部門 エマージングデバイスグループ 島久様にご講演いただきました。 産業界や大学から計141名の参加申込があり大盛況でした。

 最初の京都大学 土屋先生からは、「MEMSリザバーコンピューティング」について、ご講演いただきました。
 内容は、MEMSセンサは物理リザバーを一体化することで知能化できることを示すものでした。また、加速度センサとMEMSリザバーの一体化やMEMS非線形振動子アレイのダイナミクスなど実例を詳細にお話いただきました。

 続いて産業技術総合研究所 島様からは、「エッジAIのための抵抗変化デバイス技術」について、ご講演いただきました。
 内容は、酸化物の抵抗変化現象を利用した抵抗変化素子による情報処理を示すものであり、これにより実デバイスでのニューラルネットワークの機能の実現が期待されるものでした。

 最後に、今回も前回と同様に新型コロナ感染症の影響もあり、オンラインによる開催を行いました。色々とご不便をお掛けすることもありましたが、ご講演いただいた先生をはじめ、多くの方々にご参加いただき、大変感謝を申し上げます。

(産業交流部)

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2021年12月 1日 (水)

第41回マイクロナノ先端技術交流会(11月25日)開催報告

 2021年11月25日13:55~16:00に、第41回マイクロナノ先端技術交流会をオンラインで開催しました。

 今回の先端技術交流会は、「ヒトの感情・幸福感を推定するセンシング技術の最前線」と題し、国立研究開発法人産業技術総合研究所 情報・人間工学領域 人間情報インタラクション研究部門 研究部門長 佐藤 洋先生、株式会社日立製作所 フェロー・株式会社ハピネスプラネット 代表取締役 CEO 矢野 和男先生にご講演頂きました。産業界、大学、公的研究機関から計155名の参加申込があり大盛況でした。

 最初の産業技術総合研究所佐藤先生から、「人間センシングを生活・サービスに活かす」についてご講演頂きました。
 内容は人間の特性として脳機能・認知機能計測に基づく実環境での行動能力をモデル化して健康にする技術や、人と人とのインタラクションを成功させるための要因を標準化する活動について知ることができました。

 続いて、日立製作所矢野先生からは、「予測不能の時代: データが明かす新たな生き方、企業、そして幸せ」についてご講演頂きました。
 内容は、名刺サイズのウェアラブルセンサで、従業員の行動を計測・ビックデータ解析した結果、生産的で幸せな集団には、上下や同僚とのつながり・発言が均等で、5分間会話が多い、会話中に体がよく動くという特徴があるとのことでした。

 最後に、今回も前回と同様にオンラインで行いました。視聴の際には、不行き届きの点も多々あったかと存じますが、ご講演頂いた先生をはじめ、多くの方々にご参加頂き、感謝申し上げます。

( NMEMS技術研究機構 スマートセンシング研究センター 逆水登志夫)

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2021年4月22日 (木)

第40回マイクロナノ先端技術交流会(3月31日)開催報告

 2021年3月31日(水)13:30 – 15:35に、第40回マイクロナノ先端技術交流会をオンラインにて開催しました。

 今回の先端技術交流会は、「新しいセンサ、新しいセンシング手法を用いた社会課題の解決」をテーマに、豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 電気・電子情報工学系 教授 兼エレクトロニクス先端融合研究所 所長 澤田和明先生、東京大学 新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 兼情報理工学系研究科 システム情報学専攻 教授 篠田裕之先生にご講演いただきました。産業界や大学から計122名の参加申込があり大盛況でした。

 最初の豊橋技術科学大学 澤田先生からは、「集積化センサ技術によるニューロトランスミッターのリアルタイムイメージング」について、ご講演いただきました。
 内容は、LSIとバイオセンサの集積化の効果をその実例を挙げてお話いただき、集積化によってその価値が広がることを認識しました。
 また、先生が研究されているイメージングについても集積化によって、これまで見えなかったものが見えるようになり、例えば生体の新たな活動が判るようになった実例を詳細にお話いただきました。

 続いて東京大学 篠田先生からは、「心とMEMS」について、ご講演いただきました。
 内容は、心・感性とテクノロジーの関係を詳しくお話いただき、近い将来、心の推測、そして心の操作も可能になる世界が来るとのことでした。
 また、人が認知する上で、重要な感覚である視覚、聴覚、触覚の内、特に先生が研究されている触覚インターフェースの最先端の研究内容を紹介いただき、実用化が近いことを期待させるものでした。

 最後に、今回も前回と同様に新型コロナ感染症の影響もあり、オンラインによる開催を行いました。色々とご不便をお掛けすることもありましたが、ご講演いただいた先生をはじめ、多くの方々にご参加いただき、大変感謝を申し上げます。

(産業交流部 松下智彦)

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2020年12月15日 (火)

MEMSセンシング&ネットワークシステム展2021 開催報告 (2021年12月9-11日)

 マイクロマシンセンター(MMC)は、2020年12月9日から11日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」に出展しました。

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写真1 MMC展示ブース

 MMCブースでは、技術研究プロジェクトとして昨年度から開始した「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC:High Stability Ultra Low Powe Atomic Clock)」と今年度から開始した「環境調和型MEMS技術の研究開発に関する戦略策定(EfriM: Environment friendly MEMS)」の紹介を初め、MNOIC事業、標準化事業、SSN研究会の概要などを展示しました。
 また、ブース入口には「マイクロマシンセンター 活動の歩み」として、前述の2プロジェクトを含む、1991年のマイクロマシン技術研究開発プロジェクトからほぼ30年間に渡る研究開発PJの歴史を展示紹介しました。

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写真2 活動の歩み

 また、会議棟102会議室において、12月9日~10日にかけて、スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウム「MEMS次世代テクノロジーフォーラム」、環境調和型MEMSの研究開発シンポジウム、MEMS協議会フォーラム「MEMS講習会」、研究開発プロジェクト成果報告会を連続して開催しました。
 公開シンポジウムでは、MEMSの実用化・応用先として期待される次世代テクノロジー(5G、IoT、ロボット、AI、バイオ、自動運転など)に注目し、次世代MEMS市場、最先端のMEMS技術が社会および産業に貢献するビジョンや方向性についての講演が行われ、DX進展の中でAIとMEMS技術が重要であることや、人とのインターフェースや各種センシングにおけるMEMSの重要性について紹介がありました。

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写真3 特別シンポジウム「MEMS次世代テクノロジーフォーラム」より

 環境調和型MEMSの研究開発シンポジウムではMMCブースで紹介しておりましたしました自然に溶け込む環境調和型MEMS(EfriM)」に関しましてその概要とそれが活躍する応用分野 並びにEfriMを実現するために必要な代表的な材料技術と製造技術についての講演があり、EfriMのサブプロジェクトリーダである東大伊藤教授からEfriMの概要説明を初め、防災科学技術研究所酒井副センター長のEfriMの必要性、東大磯貝特別教授の新規バイオ系ナノ素材の紹介、産総研鎌田センター長のプリンテッドエレクトロニクスの紹介がありました。

 

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写真4「環境調和型MEMSの研究開発シンポジウム」より

 MEMS協議会フォーラムでは、MEMSに関する産業動向や近年注目されている圧電MEMS、異種材料集積などの最新技術をMEMS初心者にもわかりやすく解説が行われました。

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写真5 MEMS協議会フォーラム「MEMS分野の産業動向と注目技術」より

 研究開発プロジェクト成果報告会では現在弊センターが研究開発している次の4件について報告がありました。

  1. 「小型高安定で超低消費電力な原子時計の基礎研究」
  2. 「超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究開発」
  3. 「『血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイスおよび行動変容促進システムの研究開発』の取組み状況について」
  4. 「医療・健康を目的とした経皮ガス成分の超高感度バイオ蛍光センシング」

  どの報告会も盛況で当該分野への関心の高さが伺われました。

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写真6「研究開発プロジェクト成果報告会」より

 2021年度は2022年1月26日~28日、東京ビッグサイト東ホールで開催予定しております。

(MEMS協議会 八嶋 昇)

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2020年11月19日 (木)

第39回マイクロナノ先端技術交流会/2020年度 第1回医療MEMS研究会 開催報告

 2020年10月22日(木)13:30 – 15:35に、「第39回マイクロナノ先端技術交流会/第1回医療MEMS研究会」をオンラインにて開催しました。

 今回の先端技術交流会/医療MEMS研究会は、「医薬品事業におけるCAEの活用事例と予防医学への応用研究」をテーマに、サイバネットシステム株式会社 CAE事業本部CAE第1事業部 メカニカル 第2技術部 副部長 三浦孝広様、東京大学 生産技術研究所 マイクロメカトロニクス国際研究センター 教授 金範埈先生にご講演いただきました。
産業界や大学から計84名の参加申込があり大盛況でした。

 最初のサイバネットシステム株式会社 三浦様からは、「ヘルスケア業界におけるデジタルエンジニアリングの活用事例」について、ご講演いただきました。
 内容は、経済産業省のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に係るヘルスケア業界における課題とデジタル技術への期待について、医薬品事業や様々な医療機器開発へのCAE活用事例と医療工学・診断技術を支援する新しいデジタルエンジニアリングについて詳しく紹介いただきました。
 この研究によって、ヘルスケア業界だけでなく製造業のサプライチェーンにおいて、イノベーションが起きるのではないか、と大きな期待を抱かせる内容でした。

 続いて東京大学 金先生からは、「生体分解性マイクロニードルバッチを用いた新規DDSとグルコースセンサーへの応用」について、ご講演いただきました。
 内容は、生体分解性材料を用いた医療機器による新規治療と予防医学への応用をお話いただきました。
 生体分解性材料を用いた医療機器としてマイクロニードルの話をされたのですが、その特徴だけでなく作製方法についても詳しく紹介いただき、ご参加いただいた産業界の方の興味を引く内容でした。
 また、先生の研究は、非侵襲の生体モニタリングだけでなく、非侵襲でのワクチン投与への応用が可能ということで、将来に向けて、大いなる期待を持ちました。

 最後に、今回は新型コロナ感染症の影響もあり、初めてオンラインによる開催を行いました。
 ご不便をお掛けした面も多々ございましたが、ご講演いただいた先生方をはじめ、ご参加いただいた多くの方々に、改めて感謝申し上げます。

(産業交流部 松下智彦 / 医療MEMS研究会 網倉正明)

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2019年10月10日 (木)

第38回マイクロナノ先端技術交流会 (第1回医療MEMS研究会(SSN研究会WG5))(9月30日)開催報告

 2019年9月30日(月)の午後、マイクロマシンセンター内にて第38回マイクロナノ先端技術交流会(第1回医療MEMS研究会)を開催しました。

 今回の先端技術交流会は、「ヒトの理解に向けたセンシングの最前線」をテーマに、東北大学 産学連携機構 イノベーション戦略推進センター 特任教授 中村力先生、東京工業大学工学院 研究員 関口武治様、立命館大学 スポーツ健康科学 教授 藤田聡先生にご講演いただき、産業界や大学から42名が出席し大盛況でした。

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会場の様子

 最初の中村先生からは、「飲み込みセンサ」について、ご講演いただきました。内容は、現状の体温測定の課題から深部体温測定の重要性をお話され、それを実現する手段として飲み込みセンサを提案されています。そして、その飲み込みセンサの構造や原理を詳しく紹介いただきました。さらに、深部体温測定が実現する様々なアプリケーションの提案もしていただき、これまで不明であった様々な病気や体調不良のメカニズムの解明が明らかになると大きな期待を抱かせる話でした。

 続いて関口様からは、「多方面での応用が期待されるダイヤモンド量子センサー」について、ご講演いただきました。内容は、固体量子センサの基礎から始まり、関口様が研究されているダイヤモンド中に形成される窒素(N)と空孔(V)からなる格子欠陥を用いたNVセンサの原理や特徴をお話いただきました。また、NVセンサの応用範囲もお話いただき、個人的には今後のヒトの脳の活動を簡便にセンシングできるセンサとして、大いなる期待をもちました。

 最後に、医療MEMS研究会からは、藤田先生より「筋肉の維持・増加に向けた栄養と運動介入」について、ご講演いただきました。内容は、サルコペニア(加齢に伴う筋量と筋機能の低下減少)の概要やその弊害、さらには筋量と筋機能の低下を抑えるための栄養摂取や運動のお話をしていただきました。ヒトが生産的な活動をし続けるには、体力の維持・向上がベースとなり、その大切さを改めて認識することができました。

 講演会後の懇親会では、ご講演いただいた先生方を囲んで、講演内容を中心に多くの意見がかわされました。

(産業交流部 松下智彦 / 医療MEMS研究会 網倉正明)

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2019年9月24日 (火)

TIA連携大学院サマーオープンフェスティバル:第32回MEMS講習会及び第3回学生・若手研究者向けMEMS講座の報告(9月3日)

 2019年9月3日(火)に東京大学工学部5号館56号講義室において、午前・午後の2部制で、第3回学生・若手技術者向けMEMS講座(午前)及び、第32回MEMS講習会(午後)を開催致しました。MEMS講習会は、MEMS協議会に所属するMEMSファンドリーネットワーク企業を中心に企画し、都内と地方都市で年に1回ずつ開催しています。都内でのMEMS講習会が、TIA連携大学院サマーオープンフェスティバルのプログラムとなったのを受け、学生・若手技術者向けMEMS講座も併せて開催しており、講師の方も含めて総勢63名(学生5名)が熱い討論を繰り広げました。今回のプログラムは、次世代医療技術研究会(東京大学)と4大学連携ナノ・マイクロファブリケーションコンソーシアムと共催させていただくことで、TIA連携大学院のプログラムに相応しい学生に寄り添った企画になったのではないかと考えております。

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写真1.講演会会場の様子

 午前中に開催いたしました第3MEMS講座では、企画を取り纏めたMEMSファンドリーネットワークの浅野委員長の挨拶の後、2つの講座を行いました。まず、最初の講座は、東京大学の三宅亮先生より「マイクロ化学システムの高度化のためのマイクロ流体回路解析・設計技術」と題しまして、マイクロ流体の基礎から最新の研究成果までをご講義いただきました。初心者向けにマイクロ化学・流体の基礎に軸足を置いていただいたため、最新の研究成果をもっと詳しく聴きたいという聴講者もいらっしゃったかと思います。特に実機での検証を通して確立された流体回路解析技術は、システム要素間の干渉などの推定を可能としており、システムへ組み込んだリアルタイム制御などの新たな可能性を示した大変興味深い内容でした。今回の講座を機会として、マイクロ化学・流体の分野に興味を持っていただき、研究室の扉を叩いていただければと考えております。

 続いての講座は、慶応義塾大学の田口良広先生より「光MEMSを用いた熱流体システムデザインとバイオ応用」と題しまして、光MEMSを用いた拡散係数計測技術を中心にご講義いただきました。バイオ分野などでは、非測定対象からのノイズを抑制するために微粒子表面を修飾することがありますが、それが微粒子の拡散係数に影響を与えるため、設計時と異なる現象が発生することがありました。田口先生の研究されている熱駆動MEMSミラーを用いた光干渉式マイクロ拡散センサは、表面状態や粒子径に依存する拡散係数の計測を簡単にすることができ、精度の高いシステム設計を可能とします。微粒子が関わる技術分野は多く、様々な応用展開が期待されるため、今後の研究成果が気になる講座となりました。

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写真2.東京大学 三宅先生

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写真3.慶応義塾大学 田口先生

 昼休みを挟みまして、午後からは第32MEMS講習会「超高速・多数同時接続・超低遅延の5G時代が求めるエッジデバイス:―5Gは社会をどう変革していくのか―」を開催いたしました。本講習会は、5Gが生み出す新たな可能性につきまして、その特徴である「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」の3つの観点からプログラムを構成いたしました。

 講習会では、主催の一般財団法人マイクロマシンセンター専務理事長谷川英一の挨拶のあと、1件目の特別講演として、日本電気株式会社のネットワークサービスビジネスユニット新事業推進本部の藤本幸一郎様より「社会変革をもたらす5G -革命的技術が切り拓く未来-」と題して、ご講演いただきました。5Gは、現在の4Gの技術的延長に留まらず、非連続・革新的な技術として社会に貢献していくものであり、AI/IoTによる「人」「モノ」「コト」の時代への変化をもたらしていくそうです。この社会の革新をもたらす「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」という特徴は、一つのシステムで実現するものではなく、複合的なネットワークにより構築されていくようで、用途に応じたシステム構築を必要としているとのことです。また、NECが様々な事業分野での協業で進められている実証実験のご紹介があり、エンターテイメントだけでなく、地域の見守りや遠隔診療、人がいけない場所での遠隔作業など、IT技術で生活のあらゆる面を向上させていくデジタルトランスフォーメーションの一端を垣間見ることができました。4GWiFiなど各種通信手段の急速な発展により格段に便利になっている日常の中で、5Gで何が変わるのかがピンと来ていませんでしたが、その革新技術のポテンシャルの高さを認識することで、5Gに対する期待とともに新たなビジネスチャンスの息吹を感じさせられるご講演となりました。

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写真4.日本電気株式会社 藤本氏

 次に、古野電気株式会社の酒井暢之様より「5Gを支える社会基盤 -高精度時刻同期への取り組み-」と題して、高精度時刻の重要性についてご講演いただきました。スマートフォンなど移動体通信機器は、基地局を経由してお互いに繋がっていますが、それを使っている人が移動することで、それまで繋がっていた基地局から別の基地局への切り替えが必要になります。しかし、受け渡しをする基地局間の時計が合っていないと切り替えができないため、GNSS(Global Navigation Satellite System)などを利用して時計合わせをしています。古野電気は、このGNSS受信チップの国内最大手であり、5Gを支える高精度時刻同期網の一翼を担われておられます。ご講演では、基地局だけでなく、放送局や変電所など、我々の日常に溶け込んでいる様々な事業分野へ拡大していく高精度時刻の用途につきまして、ご紹介いただきました。このように高度情報化社会の根幹をなす高精度時刻だけに、ひとたびトラブルが発生すれば社会的損失も甚大になります。そのため、GNSSからの高精度時刻の安定供給を担保する技術が必要であり、雷等の自然現象だけでなく、ジャミングやスプーフィングなど人的災害への対策や、トラブル発生時のホールドオーバー機能の強化にも取り組まれているとのことで、人知れず社会を支えている技術集団がいることを改めて認識するとともに、高度情報化社会で生きていく我々にとって、今後の動向が気になるご講演となりました。

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写真5.古野電気株式会社 酒井氏

 ここで休憩を挟みまして、「5Gによる革新に向けた取り組み」に関する3件のご講演をしていただきました。最初のご講演では、慶応義塾大学大学院の南澤孝太教授より「超低遅延が実現する距離のゼロ化 -Haptics(触覚)による人の境界線の拡張-」と題しまして、触覚伝送が切り拓く様々な可能性について、ご講演いただきました。触覚は、モノとヒト、自己と環境、自己と他者など、様々な関係性に大きく関わる感覚であり、この情報を伝送できるようになれば経験の共有という新たな可能性が拡がります。これまでに計測・伝送・提示された感覚情報は、視覚の赤・緑・青の3原色などでしたが、経験の共有に向け、力・振動・温度を3原触とした触覚のフルカラー化に取組まれているとのことです。個人的には、触覚は自己の境界を認識する感覚であり、3原触を伝送できるようになれば、人の境界は無限に拡がっていくという話が印象深かったです。これは遠隔診療や遠隔作業だけでなく、直接逢うことが難しい人との経験の共有手段となる可能性を示しており、特に孫の結婚式に出席できない祖母に、孫に直接逢って「おめでとう」と伝えたかのような経験を与える試みは、大変印象に残りました。ロボットなど産業の高度化だけでなく、人々のQOL向上に寄与できる技術としても期待が膨らむご講演となりました。

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写真6.慶応義塾大学 南澤先生

 2つ目のご講演は、株式会社テクサーの朱強代表取締役社長より、「IoT普及への鍵となるか -ZETAの挑戦-」と題して、LPWA(Low Power Wide Area)の一翼を担うZETAについてご講演いただきました。ZETAの特徴は、超狭帯域による多チャンネル通信、メッシュネットワークによる広域分散アクセス、低消費電力双方向通信の3つで、そのアライアンスにはNTTドコモやソフトバンクなどのキャリアーも入っているそうです。ZETAは、世界のLoRa市場の半分を占める中国での導入が進んでおり、既に上海などで大規模メッシュネットワークが構築されています。国内では、アライアンス企業が、鉄道や農業、スマートビルディングなど様々な事業分野でWG活動を進めており、そのいくつかをご紹介いただきました。個人的に興味深かったのは、低ビット画像データをAIで解析することで人・モノの位置情報のみを価値として提供するIoTカメラです。プライバシーを守りながら待機列の長さや空席情報などの情報を数年間にわたり単三電池で提供できるサービスとして注目されます。また、メーター検針のカメラによる自動化も実現しており、低消費電力無線通信技術の可能性の広がりを感じました。昨今の高画像データのAI分析とは逆を行っており、その発想の柔軟さに眼から鱗の思いでした。このZETAが、日常の様々な不便を解消し、人々のQOLを向上させてくれることを期待させるご講演でした。

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写真7.テクサー 朱氏

 最後のご講演は、東京大学地震研究所の中川茂樹准教授より「5Gが切り拓く地震防災・減災-地震発生メカニズムの解明と予測精度向上への挑戦」と題して、地震観測のご講演をしていただきました。日本には地震観測点が1600ヶ所以上あり、鉄道や自動車などノイズ源の多い首都圏では地下20mに地震計が設置されているそうです。地震観測点は、地震計(含むAD変換)とGNSS(高精度時刻)、通信、電力などから構成されており、山岳部等のは電源確保が難しい地域では、太陽電池などが利用されているようです。この観測点で使われている地震計は機械式で、短周期タイプや広帯域タイプなど地震観測に適したものが使われているそうですが、自動車やスマホなどに搭載されているMEMS加速度センサは使われていないとのことです。これは地震計に求められる長期安定性やノイズレベルなどの仕様を満たしていないためですが、MEMS加速度センサの性能も年々向上しており、その最新技術を導入することで建造物やライフラインなど広範な施設から地震計測ビックデータを収集できるようにし、それに基づくインテリジェント地震波動解析などによる地震観測・予測の質の向上を図ろうとされているとのことです。この動向は、MEMS加速度センサのような安価なセンサからのデータであってもビックデータとして解析することで、どんなに正確なデータでもデータ数が少ないために見出せなかった知見などを得られる可能性を示しており、今後のMEMSセンサの活用法の在り方を考えさせるご講演となりました。

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写真8.東京大学地震研究所 中川先生

本講習会の終了後には、講師の方々を囲んだ意見交換会を開催し、講習会での質疑応答では足りなかった時間を補って余りある有意義な時間を過ごせたのではないかと思います。最後に、ご講演者を始め、ご参加・ご協力いただいた全ての方々のお陰で有意義な時間を持てたことに対して、御礼申し上げます。

(産業交流部 小出晃)

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2019年2月13日 (水)

第37回マイクロナノ先端技術交流会開催報告

 平成31年2月12日(火)の午後、マイクロマシンセンター新テクノサロンで第37回マイクロナノ先端技術交流会を開催しました。

 今回の先端技術交流会は「IoT社会に向けた、薄型・低コストのセンサ、および無線給電技術の最前線」をテーマとして、産業技術総合研究所人間拡張研究センター副研究センター長、兼フレキシブルエレクトロニクス研究センター副研究センター長の牛島洋史先生からは「Human Augmentationを目指した、フレキシブルデバイスの製造技術とそのビジネス展開」と題して、そして、東京大学 大学院 情報理工系研究科 准教授、兼ERATO川原万有情報網プロジェクト 研究統括の川原圭博先生からは「ヒューマンファクターを考慮したワイヤレス給電とスマートセンシング」と題してご講演をいただきました。


講演の様子

 最初の牛島先生からは、フレキシブルエレクトロニクスの今後の期待についてお話され、折りたためるスマートフォンの実用化も近い将来あるように感じました。そして、その重要な技術として、各種印刷法の特徴の紹介と併せて、高精細、線幅500nmの最新の印刷方法をご紹介いただきました。

 フレキシブルデバイスを用いたアプリケーションとして、床に貼り付けることによる人の行動計測やベッドに貼り付けて床擦れを検知するシステムなど人の動きをみるシステムを紹介いただきました。また、カーボンナノチューブを用いた薄型大面積フレキシブルの熱電変換デバイスによって、ウェアラブルセンサなどの薄型IoTセンサ端末用の電源の紹介をいただきました。

 また、ウェアラブルデバイスの歴史を紐解き、従来の薄く・軽く装着し易いデバイスから、身に着けることで体温、脈拍等の着用者の情報を取得するデバイスへと進化してきており、今後は例えば、運動による発熱や発汗などを検知し、必要な部位を必要な量だけ加温・冷却・加圧・除圧していくといった、センシングデータに基づきデバイスをアクティブに制御するようになると予測されていました。 


産業技術総合研究所 牛島先生
       
 次に、東京大学の川原先生から、川原先生が研究統括をされているERATO川原万有情報網プロジェクトについて紹介いただきました。ここでは、「まるで空気や水が私たちを生かしてくれているように、知的なデジタルデバイスがどこまでも自然な存在として、私たちの生活に寄り添い、欠かせないモノになっている世界」に向けて、普段の身の回りの環境に溶け込むようなデバイスに関する技術やその応用研究に数多くのテーマを取り組まれています。
今回は、自立型IoT端末のエネルギーの一方法である無線給電を中心にご講演いただきました。その中で、先月(1月)にプレスリリースした切り取れるワイヤレス充電シートについて紹介いただきました。(https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP499279_X00C19A1000000/)  コンセントに繋がっているタイルは1枚だけで、タイル同士を動的に無線でエネルギーを送りあえるというものであり、普段は電磁波は出ていないけれど、負荷となるデバイスが置かれるとその位置を自動的に検出してパスができ充電できる様子を動画で説明していただきました。また、部屋の中でどこでも無線給電できるモデルも紹介いただき、3次元空間に置かれたIoT端末への無線給電も近い将来実用化できそうな感じを受けました。


東京大学 川原先生
           
 また、講演会後の懇親会では、ご講演いただいた先生方を囲んで、Human Factor応用技術やHuman Augmentationの話題を中心に遅くまで意見交換に盛り上がっていました。  
 


意見交換会の様子
      
(産学交流担当 今本 浩史)

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2019年1月 4日 (金)

2018年MMC十大ニュース決まる

 マイクロマシンセンターでは、2018年の10大ニュースを選択いたしました。私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

1.インフラモニタリングプロジェクト(RIMS、UCoMS)、最終年度の開発実証試験成果が各種シンポジウム、展示会で注目
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」において、技術研究組合NMEMS技術研究機構(以下NMEMS組合)が提案した「道路インフラ状態モニタリング用センサシステムの研究開発」及び社会・産業インフラ維持管理・更新等の重要な社会課題の一つである都市機能を支えるライフライン系の都市インフラ(電気、ガス、上下水道、情報、エネルギー)の安全な保全のためのセンサーモニタリングシステムの研究開発の最終年度の実施を行いました。
 これらの成果は、国内外で開催された学会、シンポジウム、展示会等で広く発表を行い多くの関心を集めました。

2.スマートセンシング・インターフェース国際標準化案がIECで1年前倒しでNP提案が承認され審議入り
 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)/SC47F(MEMS分野分科委員会)にて、提案を行っておりました、「スマートセンサの制御方式」が、2018年、NP(New work item Proposal)承認され審議が開始されました。
 IEC国際標準化SC47E/WG1,2F合同アドホック会議において「スマートセンサの制御方式」について、IECへのNP(New work item Proposal)投票が完了し、エキスパート参加国6か国でNP承認(参加国4か国以上が必要)された旨、また、韓国・米国からそれぞれ1件ずつあげられたコメントへの対応方針を各国に説明しました。

3.MNOICの工程受託活動がPR拡大等により引き続き右肩上がりで推移
 研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとして、7年前に開設したつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」も今や中小・ベンチャーを含む40社以上からの研究や工程の受託により、フル稼働の状況にあります。さらに設備整備や技術向上に努めて、我が国のMEMS開発需要に応えてまいります。

4. MMC理事長が山西氏から山中氏に交代、MMCの新体制が始動
 2018年度はマイクロマシンセンター理事の改選期にあたり、MEMS理事会において2期4年にわたり当協議会会長(MMC理事長)を務めて頂いた山西健一郎三菱電機相談役から山中康司株式会社デンソー代表取締役副社長(MEMS協議会会長も兼ねる)に理事長が交代されました。
 新理事長には、続いて開催したMEMS協議会推進委員会において挨拶及び最近のトピックスとして1つはスマートセンシング&ネットワーク研究会(SSN研究会)に、医療MEMS研究会などのワーキンググループを設置し、新テーマ発掘に努めていること、二つ目は、設立から8年目のMNOIC事業が、2020年以降も事業の持続的拡大に向け、現場中心に着実に改善活動を進めていることを述べられました。

5. MEMS講習会、マイクロナノ先端技術交流会、海外調査報告会等セミナーが多くの技術者を集め活況
 マイクロマシンセンターでは、MEMS講習会、マイクナノ先端技術交流会、海外調査報告会を開催しており、多くの技術者の参加を頂き活発な意見交換が行われています。
 MEMS講習会は年2回開催し、そのうち1回は地方で開催しています。2018年は2月に九州で開催し、地方でのMEMS技術の普及に貢献しています。
 先端技術交流会は第2回医療MEMS研究会と兼ねて、「生体モニタリングの最前線」をテーマとして開催し、MEMS及び医療関係の技術者と意見交換が行われました。
 海外調査報告会は、MEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するものです。毎年のように北米や欧州を中心に学会等のイベント、海外の大学や研究施設、関連企業の訪問見学の報告を行っています。

6. MEMSセンシング&ネットワークシステム展2018、盛況でビジネスチャンスが拡大
 2018年 10月 17日(水) から19日(金)まで幕張メッセで開催された「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2018」は、3日間の開催期間を終え、盛況の内に閉幕しました。来場された皆様方に御礼申し上げます。

 初日は、展示会場内特設ステージでMEMS協議会フォーラムを10:00から12:30まで開催いたしました。2日目は、国際会議室で研究開発プロジェクト成果報告会を開催いたしました。最終日は、国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム及びスマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウムが10:00から16:05まで開催致しました。何れのシンポジウムも多くの聴衆が熱心に聞き入っておりました。
 会期中の様子は以下を参照ください。
 (初日)
http://www.nanomicro.biz/mems/2018/10/mems2018-be33.html
 (2日目)
http://www.nanomicro.biz/mems/2018/10/mems2018-9487.html
 (3日目)
http://www.nanomicro.biz/mems/2018/10/mems2018-fd87.html

 今回ご来場頂きました皆様に御礼申し上げます。

 次回は2020年1月29日(水)~31日(金)に、東京ビッグサイトにおいて、nano tech2020と同時開催を予定しております。
 次回もご来場頂けますよう関係者一同お待ちしております。

7. マイクロマシンサミット2018への参加や海外アフィリエート交流など、国際交流事業を活性化
 マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する場です。日本の提案により平成7年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。
 2018年は5月14日(月)から16日(水)までアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されました。南米での開催は、2014年にブラジル・サンパウロに続く2回目になります。今回のトピックスは、農業や畜産大国のアルゼンチンらしく”Agro-food & Environment. Other related applications and results from new and highly relevant R&D actions”でした。
 次回、2019年のマイクロマシンサミットは、中国・西安(Xi’an)で開催されることが決まりました。コーディネータはNorthwestern Polytechnical UniversityのWeizheng Yuan教授です。

8. LbSSプロジェクトも中間(5年のうち3年)に差し掛かり、成果が現実化
 本研究開発では、工場等の設備の稼働状況等の把握を目的とするスマートセンサモジュール、高効率MEH(Micro Energy Harvester)などの自立電源、及びスマートセンシングフロントエンド回路を開発し、動的センシング制御可能な無給電のスマートセンサ端末を実現します。さらに、同時に開発する学習型スマートコンセントレータとの連携により、従来の環境発電で収集可能な有価情報量を100倍化することを可能とする学習型スマートセンシングシステムの基盤開発と実証を行います。
 現在、学習型スマートセンシングシステムの開発として、有価情報を高めるための自立型センサ端末/学習型センシングアルゴリズムの開発、測定パラメータ可変型スマートセンサ、製造往路セス革新で小型・安価、高効率発電デバイスの開発を行っています。

9. センサ端末同期用原子時計(ULPAC)が世界最高水準の長期安定度を達成
 道路インフラモニタリングシステム(RIMS:ROAD Infrastructure Monitoring System)をはじめとするセンサ端末群は、ネットワークを介して時刻同期をすることで、データ取得の正確な時間を把握し、かつ、データ転送の効率化を図っています。もし、その時刻同期を不要とすることが出来れば、ネットワークの構築や運用にかかる負担を大幅に低減することができます。そこで、正確な時を刻む原子時計をセンサ端末に搭載可能なサイズや消費電力、価格にすることが出来るかを解析や試作を通して、長期間安定的に稼働する時計が完成しました。

10. 青柳副理事長、荒川センター長、野村総務担当部長などMMCの中興を担った方々が引退
 2018年に開催したMEMS理事会において、2003年MMC専務理事に就任し、2006年の当協議会発足に尽力した前MMC副理事長の青柳桂一氏も退任しました。
 また、マイクロマシンセンターを発展させてきた有力メンバーである荒川センター長及び野村総務担当部長が退職致しました。

成果普及部 水島 豊

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2018年7月31日 (火)

第36先端技術交流会の報告

 平成30年7月31日(火)の午後、マイクロマシンセンター新テクノサロンで第36回マイクロナノ先端技術交流会を開催しました。

 今回の先端技術交流会は第2回医療MEMS研究会と兼ねて、「生体モニタリングの最前線」をテーマとして、オムロン株式会社 技術専門職の中嶋宏様からは「デジタルヘルスケア-ICTを活用した健康管理」と題して、そして、東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 教授の三林浩二先生からは「次世代ヒトIoTを⾒据えた非侵襲&無拘束バイオ計測」と題してご講演をいただきました。


講演の様子

 最初の中嶋氏からは、超高齢化社会に向けた生活習慣病予防に向けた、健康管理についておご講演をいただきました。心臓病の発症リスクは「肥満(高BMI)」「高血圧」「高血糖」、「高脂血症」の危険因子があり、この因子を2つもつ人は全く持たない人に比べて10倍、3つ以上もつ人は30倍を超えるとのことで、生活習慣予防に向けた取り組みが重要であることを示しておられました。

 血圧は絶えず変動しているので、病院で測定するのではなく、家庭血圧が高血圧治療には必須となってきています。本当は24時間知らずしらずに測定できると良いのですが、血圧測定には現状カフを用いるもの以外は難しいようです。

 また、事例紹介として、内臓脂肪測定装置を紹介いただきました。内臓脂肪の測定には正確性の観点では、X線CTやMRIがありますが、これらの測定は大掛かりで高額になる等の課題があります。そこで、腹部全体のインピーダンス情報、腹部表層部のインピーダンス、および腹部形状によって、内臓脂肪を計測するBIA(Bioelectrical impedance analysis)法を紹介いただきました。

 次に、生活習慣病の改善に向けて、運動・食事・休養(睡眠)のバランスが重要であることを説明され、特に朝は体重が軽く、夜は体重が重くなることを利用し、朝と晩に体重を測定する朝晩ダイエットについて説明されました。実際に朝晩の体重測定をしっかりと行っている人の方が、体重減少率が高い結果を紹介いただきました。

 最後に、生体モニタリングとして、センサに期待することは、「非侵襲、無拘束、そして無意識に計測ができるようになること」とのことであり、三林先生の研究内容がまさにこの取り組みであり、今後のQOLの改善につながると感じました。


オムロン 中嶋様

 東京医科歯科大学の三林先生からは非侵襲、無拘束のバイオ計測について最新の取組みをご紹介いただきました。血糖は食事の前後などでダイナミックに変化するのでリアルタイムで測定したいニーズがあります。従来は指から穿刺して採血する自己血糖評価(4回/日)が主でしたが、4回測定しても血糖値の大きな変化は測れないという課題があります。

 最近ABOTのLIBREという血糖値センサが発売され、センサを2週間つけたままで生活できるものであり、実際にこれを装着した糖尿病患者は手放せない状況にあるとのことです。これは、血糖の変化をリアルタイムでとることの重要性が認識されてきたことの表れと言えます。しかしながら、これは侵襲タイプであり、測定精度も10~20%の誤差があることが課題であり、三林先生のところでは、非侵襲で測定するために、体腔で装着するセンサの開発を進めておられます。

 最初にコンタクトレンズ型のセンサの開発についてご紹介をいただきました。涙の糖の濃度は血液中の糖の濃度と相関があります。実際に兎の目にコンタクトレンズを装着して、ブドウ糖を投与した際の実際の血液の糖と涙の糖の濃度の動的な変化をとらえていました。

 次に、マウスガード型のセンサの紹介をいただきました。唾液は夾雑物が多く、唾液中の糖の濃度も低く難しいところはありますが、糖だけを測定できることに成功されていました。歯列矯正をマウスピースで行う市場は今後広がり、その時は小さな歯科医院で3Dプリンタを用いて作成できるようになるとのことです。口腔でのセンシング加速度、ジャイロ、GPS、バイオセンサ等様々なセンサを取り付けられることから、単に糖濃度などのバイオセンサだけでなく、口の動きのセンシングなど応用がいろいろと考えられるとのことです。

 最後にガスによる糖尿病の検知について紹介をいただきました。アセトンは呼気の中にかなりの量(1ppm)があり、このアセトンは脂質代謝ででてくるとのことです。糖尿病患者は糖代謝ではなく脂質代謝になり、アセトンが多くでるためです。アセトンをたんぱく質(2級アルコール脱水素酵素)を介して光(NHSHという蛍光物質)で見ることによって、呼気だけで糖尿病患者をスクリーニングできるとのことです。 また、皮膚からでるガスについても最近の取り組みについて紹介をいただきました。皮膚ガスの出所は皮膚表面の菌、汗、皮膚の下にある血管からくる揮発性成分の3つに分けられます。これを選択的に測定できれば呼気と同じようにモニタリングすることができるというものです。皮膚ガスは血液や呼気の濃度より低いが相関があるとのことです。実際にエタノールを摂取した際の皮膚ガスの濃度をリアルタイムでみることができることを示しておられました。

 三林先生のご講演をお聞きして、血糖値をはじめ生体情報を非侵襲・無拘束で常時センシングできる社会も近いのではないかと感じました。


東京医科歯科大学 三林先生

 また、講演会後の懇親会では、ご講演いただいた先生方を囲んで、ヘルスケアの話題を中心に遅くまで意見交換に盛り上がっていました。  

 
意見交換会の様子
      
(産学交流担当 今本 浩史)

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