国際標準化

2018年6月 8日 (金)

IEC国際標準化 SC47E WG1,2 & SC47F 合同アドホック会議(2018年6月6~8日)

 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)/SC47E(個別半導体デバイス)WG1(半導体センサ),WG2(半導体高周波デバイス)&SC47F(MEMS)の国際標準化アドホック会議が、6月6日から8日まで、米国・ハワイ・ホノルルにて開催されました。(アドホック会議は、毎年6月に、日韓中が持ち回り開催している本分野の標準化会議で、今年は韓国がホスト国としての開催でした。韓国関係者のご尽力に深く感謝致します。)


開催地ホノルルの風景

 6月6日に開催されたSC47E(個別半導体デバイス)/WG1(半導体センサ)会議では、28名(日本12、韓国10、中国6)が出席しました。日本からの出席者は、IEC/SC47E国際議長をつとめるソニー大芝克幸議長をはじめとした12名でした。会議では、現在審議中の規格案の審議状況について、主査から報告の後、意見交換が行われました。セイコーインスツル古田一吉部長からは、プロジェクトリーダの一人として提案の「スマートセンサの制御方式」について、IECへのNP(New work item Proposal)投票が完了し、エキスパート参加国6か国でNP承認(参加国4か国以上が必要)された旨、また、韓国・米国からそれぞれ1件ずつあげられたコメントへの対応方針を各国に説明しました。

 また、今後提案予定の案件を各国が紹介するFuture workプレゼンテーションでは、同じく古田部長から、今後スマートセンサに関する規格案2件の提案を行っていく事を報告しました(2018年6月中、2019年3月にそれぞれ1件)。これら、スマートセンサの取り組みは、現在、経産省の国際標準獲得・普及促進事業としてマイクロマシンセンターがとりまとめて取組み中の「スマートセンシング・インタフェースに関する標準化」に関してのものであります。

 韓国からは、Dr. Hojun Ryuから「Test method of sound variation detection sensors and the fire detection systems」についてFuture work紹介がありました。

 6月7日には、SC47F会議(MEMS)が開催され、29名(日本12、韓国10、中国7)が出席しました。日本からの出席者は、IEC/SC47Fの各WG主査をつとめる熊本大学副学長高島和希教授および次世代センサ協議会大和田邦樹専務理事、IEC/SC47F国際幹事をつとめるマイクロマシンセンター三原孝士主幹研究員、国際副幹事マイクロマシンセンター竹内南主幹研究員をはじめとした12名でした。会議では、現在審議中の規格案についての意見交換が行われ、名古屋工業大学神谷庄司教授からは、審議中IEC62047-35「フレキシブルMEMSデバイスにおける曲げ信頼性試験」のCD(委員会原案)コメント対応方針について各国に説明しました。

 神戸大学神野伊策教授からは、審議中IEC62047-36「MEMS圧電薄膜のアクチュエータ特性信頼性試験方法」の状況報告(CDV(投票用委員会原案)のコメント投票中)を行いました。また、Future workプレゼンテーションでは、神谷教授から「フレキシブルMEMSデバイスの繰り返し曲げ信頼性試験方法」1件を、神野教授から「MEMS圧電デバイスのセンサ特性信頼性試験方法」、「MEMS圧電デバイスのマイクロカンチレバー構造信頼性試験方法」の2件を、それぞれ報告しました。

 中国および韓国からは、それぞれ1件ずつ(中国:Hebei Semiconductor research InstituteのDr. Bo Cuiから“RF MEMS circulators”、韓国:Korea Institute of Machinery and MaterialsのDr. Jae-Hyun Kimから“Test method for adhesion strength of metal powder paste for MEMS interconnection”)のFuture work紹介がありました。


SC47Fアドホック会議の様子


SC47Fアドホック会議出席者集合写真

 会議終了後、同日夕刻、韓国ホストによるバンケットが開催され、各国の親交を深め、今後の審議における継続的な相互協力を誓いました。


バンケットの様子
(次世代センサ協議会大和田専務理事から日本のHead of delegationとしての挨拶)

 6月8日にはSC47FのMEMS標準化ワークショップが開催されました。前日と同様の出席者にて、各国からMEMSやセンサに関連する技術プレゼンテーションを相互に行うことで、技術交流を図りました。

 中国・北京大学Wei Zhang教授から「MEMS shock inertial switch」、日本・神野教授から「Piezoelectric thin files for MEMS applications」、韓国・Sejong大のDeok-kee Kim教授から「Standardization roadmap and strategy of IEC TC 124 (Wearable electronic devices and technologies)」および「Stress-induced diffusional process in thin films」の発表がなされました。各発表に対し活発な議論が交わされ、参加者の意識共有化を図るとともに、各国の今後の標準化活動や研究活動に資する内容でありました。

 次回会合は、IECのTC47(半導体分野技術委員会)全体会議として、来年10月に韓国・釜山で開催される予定です。
調査研究・標準部長 大中道 崇浩

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2018年3月 9日 (金)

IEC/TC47/WG6,WG7国際標準化アドホック会議(2018年3月7~9日)

 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)/WG6,WG7国際標準化アドホック会議が、3月7日から9日の日程でタイ・バンコク・チュラロンコン大学にて開催され、WG7(エネルギーハーベスタ、エネルギー変換・伝送分野)会議ならびにワークショップに参加しました。
                  
                  


                  開催場所タイ・バンコク・チュラロンコン大学の学内風景


   WG7会議では、19名(日本6、韓国8、中国1、ドイツ1、タイ3)が出席し、主査から各審議中案件(韓国4件、日本1件)の進捗状況説明がなされ、活発な意見交換が行われた。日本からの出席者は、WG7の3人の主査の1人である東京大学鈴木雄二教授、兵庫県立大学藤田孝之准教授、産総研山本淳グループ長、産総研舟橋良次上級主任研究員、マイクロマシンセンターから竹内主幹研究員、大中道(本ブログ執筆者)の6名です。
                  
 東京大学鈴木雄二教授からは、先生がプロジェクトリーダ(PL)として提案の「低消費電力電子機器向けの力学的環境発電デバイスの試験方法」が、現在、CDV(Committee Draft for Voting, 投票用委員会原案)が回付中である旨、報告がなされました。 今後提案予定の‟Future work”としては、今回追加紹介はありませんでしたが、韓国の2件、日本の1件(産総研山本淳グループ長の熱電関連案件)で合計3件となっております。
                  
 ワークショップでは、会議開催地タイからは、チュラロンコン大Pimpin先生からMEMSおよびナノテク研究紹介、サコン・ナコン・ラジャパット大Seetawan先生から熱電研究紹介がなされました。会議期間中に、チュラロンコン大の各研究室の見学・研究内容紹介も実施され、タイにおける活発な研究活動の一端に触れることができ大変有意義でした。Pimpin先生はじめ、チュラロンコン大ならびにタイの多くの先生方に、大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。
                  
 ワークショップでの日本からの発表は2件で、産総研舟橋良次上級主任研究員から‟Application of thermoelectric oxides”と題して、東大鈴木雄二教授から‟Rotational electret generator and future JNC projects in TC47/WG7”と題して、それぞれ発表が行われました。鈴木教授の発表では、日本からの今後のWG7での提案予定内容の紹介も行われ、2019年中のNP提案としてArm swingによる振動発電の標準化を、2020年中のNP提案としてFoot motionによる振動発電の標準化を、それぞれ計画していることが報告されました。韓国からは、クァンウン大Park教授から‟Development of high performance hybrid nanogenerators for wearable and IoT applications”というタイトルで技術発表がありました。大変有意義な技術交流が行われ、それぞれの発表に対して活発な意見交換により、参加者の意識共有化を図ることができました。
                  
                  


                  IEC/TC47/WG7国際標準化アドホック会議@バンコクの様子
                  

                  IEC/TC47/WG7国際標準化アドホック会議@バンコク
出席者集合写真
            
 このアドホック会議は毎年日韓中で持ち回り開催している会議で、今年は韓国の主催でした。会議期間中には、ホスト国韓国の招待で、各国のメンバーが一同に会したディナーが催され、各国の親交を深め、引き続き国際標準化活動における相互協力を誓い合いました。次回は、アドホック会議としては、ホスト国中国で、2019年2月27日~3月1日に中国開催(開催地検討中)となりました。また、各国との次回の議論の場は、IECの全体会議(韓国・釜山)となり、WG7は2018年10月15日に会議が開催されます。
                  
 WG7が扱うエネルギーハーベスタの分野はIoTのキー技術であり、日本から、本分野での有効な規格案を国際標準として発信すべく、引き続き、各国との密な議論・連携を行いながら、規格提案・審議活動に参画していきたいと思います。
                  
                  
調査研究・標準部長 大中道 崇浩
                  

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2018年1月31日 (水)

第6回MEMS協議会・海外調査報告会を盛況に開催

 第6回MEMS協議会海外調査報告会を1月31日に新テクノサロンで開催し、約50名の方にご参加いただきました。このイベントはマイクロマシンセンター/MEMS協議会(MIF)が行っているMEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するものです。毎年のように北米や欧州を中心に学会等のイベント、海外の大学や研究施設、関連企業の訪問見学の報告を行ってきましたが、今回は前回に引き、欧州の橋梁モニタリングに関連する報告を、特別報告として企画致しました。
                  
                  

                  
                   


                    写真1 会場の様子

                  
                  

                  
                   MEMS協議会事務局長・長谷川英一からの主催者挨拶のあと、最初の報告は特別報告として「海外における橋梁・大規模モニタリングの現状と動向」と題して技術研究組合NMEMS技術研究機構の武田宗久氏から、最初にオーストラリアのブリスベンコンベンションセンターにおいて開催されたアセットマネージメントの国際会議である12th World Congress on Engineering Asset Management (WCEAM2017)への参加報告、日本より先行していろいろな活動が行われている海外の橋梁・大規模インフラモニタリングの現状を把握するため、欧州各地の橋梁:van Brienenoord橋(オランダ)、Marchetti橋(イタリア)、Chillon高架橋(スイス)、Sydney Harbor橋(オーストラリア)等の長大橋、発電施設であるBéznar ダム(スペイン)、遺跡建造物であるVenaria宮殿(イタリア)やEl Giraldillo(スペイン)等の大規模インフラの現場等を訪問し、その管理、モニタリングの実態に関する報告がありました。報告者の感想では、欧州は橋梁等のインフラモニタリングは日本よりも進んでいるが、センサは既存の物であって有線接続を使っている。日本はセンサの開発や、無線応用、エネルギーハーベスタ等の技術を平行して進めており、技術的にはむしろ進んでいるとのことです。
                  
                  

                  
                   


                    写真2 武田氏から報告

                  
                  

                  
                   続いて、「IoT社会に向けたセンサ動向調査と産業動向調査報告」と題して、技術研究組合NMEMS技術研究機構および一般財団法人マイクロマシンセンターの今本浩史から報告がありました。
                   米国MEMS & Sensors Industry Group主催で、2017年11月1日~11月2日の間、米国カリフォルニア州サンノゼにて開催されたMEMS                   & Sensors Executive Congressに、IoT社会にむけたMEMS&センサの動向調査の一環として参加したものです。報告者の感想として、産業用IoTに関して様々な事例紹介があったようですが、今までの研究レベルの振動センサによって振動状態のみで故障予測を行うのは、その解釈が困難な場合が多く、他のセンサとのフュージョンが今後重要とのことです。更にバッテリを持たないセンサの発表も紹介されました。更に、産業動向調査委員会にて2025年までのMEMS産業の市場予測を行う取り組みの紹介もありました。
                  
                  

                  
                   


                    写真3 大中道氏から報告

                  
                  

                  
                   次は「マイクロマシンサミット2017」と題してMEMS協議会・国際交流担当の三原が報告しました。2017年の第23回「国際マイクロマシンサミット」は5月15日(月)から17日(水)までスペインのバルセロナで開催されました。今回のトピックスは、”Micro and Nano Systems for Smart Cities applications”です。スペインは、センサやMEMS、無線、半導体や集積回路、ナノ材料と言った複数の専門分野の研究者が同居する研究所が多く、専門領域の融合が進んでいるのが特徴ですが、今回のオーガナイザーは、CNM-CSIC(National Microelectronics Center of Barcelona)の所長Carles Cane教授でした。今回は欧州での開催で参加者も多く、21の地域から73名のデレゲイト、更にスペインからの10名程度のオブザーバの参加もあり、比較的規模が大きいものでした。今まで何年か不参加の期間があった、イギリスやカナダ、オーストラリア等の復帰、更にアイルランドや東欧の新規の参加国もあったのが特徴です。今回はパネルディスカッションとして、バルセロナで実際に中小企業を中心に行われたスマートシティ構想、すなわちエネルギーや交通と言った様々なデータをセンサで取得して、都市の省エネや生活に有効に役立てるための試行の取り組みが印象に残りました。2018年のサミットはアルデンチンのブエノスアイレスで5月14日から16日に開催されます。
                  
                   続いて「MEMS関連の国際会議報告」とのタイトルでMEMS協議会・標準部の大中道崇浩から報告がありました。2017 年 6月 18日~22日に台湾・高雄(Kaohsiung)で開催された、隔年開催の                  Transducer 技術に関する国際会議である、International Conference on Solid-State Sensors,                  Actuators and Microsystems(Transducers2017)の報告がありました。マイクロマシンセンターでは、「国内外技術動向調査」という取り組みとして、MEMS分野の著名な国際会議等をターゲットにした定点観測的な調査を例年行っており、本国際会議はその調査の対象学会です。国内外技術動向調査は、有識者から成る委員によって分析を行い例年報告書として発行しますが、今回は事務局として学会に参加し、今後の調査報告書の作成により具体的・現実的な側面で支援可能と思います。
                  
                   最後は「MEMS国際標準化に関する活動状況」と題して、同じく大中道崇浩から報告がありました。MEMS国際標準化はIEC(国際電気標準会議)で進められており、日本はMEMS分野を担当する分科委員会SC47Fの幹事国として主導的に推進しています。IECの全体会議は毎年開催され、2017年は6月に東京で、10月にロシア・ウラジオストクで開催されました。今回、これらの国際会議を通して、特性計測方法、信頼性評価、エネルギーハーベスティング、スマートセンサ等でのMEMS関連の技術分野における国際標準化の状況についての報告がありました。更に現在、一般財団法人マイクロマシンセンターを中心に取り組んでいるスマートセンサのインターフェースの関わる標準化を日本が主導する取り組みの紹介がありました。
                   MEMS協議会の会員サービスとして始めた本海外調査報告会も6回を数えるほど、長期間継続しています。本会へのご参加はリピータが多いことも特徴で、会員交流の側面も有しています。海外の状況はインターネット等で公開されているとは言っても、中々生の情報や、専門化の印象&感想を聞ける機会は少ないのが現実です。今回もSPPテクノロジーの神永様に貴重なコメントや、報告会の後に行った会員交流会でのご挨拶を頂く等、IoTの最新状況や日本の課題を議論することが出来ました。 最後のこの場を借りて、今後のMEMS協議会への積極的なご参加をお願いしたいと思います。
                  
                  

                  
                   

(MEMS協議会 国際交流担当 三原 孝士)
                   

                  

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2018年1月29日 (月)

国際会議 IEEE MEMS2018 参加報告

 2018年 1月 22日~25日の 4日間にわたり英国・北アイルランド・ベルファストで開催された、MEMS関連の主要国際会議であるIEEE MEMS2018に、センサ・MEMSデバイスの標準化のための技術調査の目的で参加しました。


会場外観(英国・北アイルランド・ベルファスト、ウォーターフロント)


会場メインホール

 学会のオープニングで公表されたデータによりますと、参加者数は600人で、投稿論文数675件、採択論文数346件、採択率51%でした。採択論文の内訳は、口頭68件、ポスター278件。採択論文の国別件数順位は、1位米国、2位日本、3位中国、4位韓国、5位台湾、6位ドイツ・オランダ、8位スイス・英国となっております。採択論文のカテゴリ別件数割合(学会が公表した簡易分別の数字)は、以下に示す表の通りでした。


採択論文のカテゴリ別件数割合(学会が公表した簡易分別の数字)

 プレナリー招待講演は以下の4件であり、いずれの講演も示唆に富んだ感銘深い内容でありました。
  • 藤田博之教授, 東大, “FROM WOW TO WORK: CYCLES OF MEMS EVOLUTION”
  • Dr. M. Steffen, IBM, “EARLY APPLICATIONS OF QUANTUM COMPUTERS”
  • J. Cooper教授, Univ. of Glasgow, “MICROSTRUCTURES TO SHAPE ACOUSTIC FIELDS AND CREATE COMPLEX MICROFLUIDIC FLOWS”
  • Dr. F. Laermer, Bosch, “MEMS AT BOSCH – INVENTED FOR LIFE”

 3日目1月24日の夜には、かの有名な英国客船タイタニック号がベルファストで造船されたことから沈没事故から100年となる2012年にベルファストにオープンしたタイタニック博物館で、学会主催のバンケットが開催されました。参加者一同がタイタニック博物館の展示を見学した後、ウエルカムドリンク、その後にバンケットにうつるという盛大な会でございました。


バンケット会場 タイタニック博物館外観


バンケットの様子

 MEMS分野における多岐の技術領域に渡る充実した内容の論文が数多く発表され、活発な議論が行われた、大変有意義な学会でありました。マイクロマシンセンターでは、「国内外技術動向調査」という取り組みとして、技術進歩が著しい国内外のマイクロマシン/MEMS分野等の研究動向、技術動向を的確に把握するため、MEMS分野の著名な国際会議等をターゲットにした定点観測的な調査を例年行っております。MEMS2018もこの調査の対象学会であり、本分野の有識者から構成される国内外技術動向調査委員会の委員の方々により、学会の発表内容の調査が行われ、報告書に纏めております。従って、今回のMEMS2018で発表された技術の詳細・分析結果については、この「国内外技術動向調査」の報告書で改めて報告するため、本ブログでは、本ブログ執筆者が今回の学会参加で調査を行ったIoT関連エネルギーハーベスティング技術に関する幾つかの論文紹介に留めさせていただきます。すなわち、エネルギーハーベスティング技術として1つの口頭セッションが設けられ、4件の発表がありましたので、その論文の内容を紹介します。

 東北大の桑野教授研究室H. H. Nguyen氏からは、“DEVELOPMENT OF HIGHLY EFFICIENT MICRO ENERGY HARVESTERS WITH MgHf-CODOPED AlN PIEZOELECTRIC FILMS”というタイトルで、AlNにMgとHfを添加したMgHfAlNにより、圧電型振動エナジーハーベスタにおけるパワー密度最高値を更新(34.9mWcm-3g-2)した結果が報告されました。

 英国ケンブリッジ大のY. Jia氏からは、“AUTOPARAMETRIC RESONANCE IN A PIEZOELECTRIC MEMS VIBRATION ENERGY HARVESTER”というタイトルで、圧電型振動エナジーハーベスタにおいて、主副カンチレバーの自動パラメトリック共振により、同一デバイスの直接共振時に比べ2倍以上の高出力を実現し、出力電力密度にて現状技術比で約1桁高いレベルが得られておりました。

 東大の鈴木雄二教授研究室の三好先生から、“LOW-PROFILE ROTATIONAL ELECTRET GENERATOR USING PRINT CIRCUIT BOARD FOR ENERGY HARVESTING FROM ARM SWING”というタイトルで、回転型エレクトレット振動発電エネルギーハーベスタの技術の発表がありました。腕に装着するエネルギーハーベスタを実際に試作し、1.45m/sの歩行速度での歩行時の腕振りで80μWの発電が得られることを実証しました。さらに、今回の口頭発表時、実際に、試作したエネルギーハーベスタを腕に装着し、発電デモを実施されていました。

 韓国Kwangwoon大のM. Salauddin氏の“A FREE MOTION DRIVEN ELECTROMAGNETIC AND TRIBOELECTRIC HYBRIDIZED NANOGENERATOR FOR SCAVENGING LOW FREQUENCY VIBRATIONS”というタイトルで、摩擦発電と電磁誘導発電のハイブリッド発電を提案、ならびに、試作結果の報告がありました。当日、代理発表されたKwangwoon大J. Park教授は、エネルギーハーベスタ分野のIEC(国際電気標準会議)国際標準化におけるキーマン(エネルギーハーベスタ分野のワーキンググループであるIEC/TC47/WG7の主査の一人)であり、2017年10月のIECプレナリー会議@ウラジオストクや2017年11月の国際会議PowerMEMS@金沢でのスクール(ショートコース)招待講演で来日された際にお会いして以来の再会でした。

 IoTセンサの自立発電動作化を実現し、センサ動作・センサ制御・そのセンサ出力の無線伝送をも、自立電源動作させるためには、各部分の低消費電力化の取り組みとともに、エネルギーハーベスティング技術は非常に重要な技術分野です。引き続き、技術の進展を追いかけていきたいと思います。

 前述のように、当センターでは、「国内外技術動向調査」の取り組みの中で、本分野の有識者から構成される委員の方々により、本学会MEMS2018での発表内容詳細の調査・分析を今後進めていきます。平成30年5月頃、発行致しますので、ご参照いただければと存じます。
         
平成30年1月29日
マイクロマシンセンター 調査研究・標準部
大中道 崇浩

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2018年1月 5日 (金)

「新年のご挨拶」

新年あけましておめでとうございます。

 本年はSociety5.0の実現を世界に打ち出していくための新たな産業・社会の在り方として、「コネクテッド・インダストリーズ」に大きな注目が集るとされています。特に、製造現場、自動走行、健康・医療・介護等の現実の「リアルデータ」を巡る競争が激しくなると予想されていますが、その「リアルデータ」を収集する最前線にMEMSを中心とする多様なセンサが位置しています。従いまして、ナノ・マイクロ技術分野における研究開発や普及促進等を長年担ってきた私どもマイクロマシンセンターの責任はさらに重くなっていくものと考えております。

 仏のヨール社によれば、世界のMEMS市場は消費者用や自動車用がけん引し、2017年の132億ドルから2022年には254億ドルと年率14%で伸びるとされています。MEMSデバイスとしては、スマホの4G/5G 化の進展によりMEMSフィルタの伸びが大きく、従来からの慣性センサ、圧力センサ、ジャイロなどを凌駕していくと見られます。

 このような中、当センターでは2000年代に注力したMEMS技術そのものの研究開発から、2010年代にはセンサネットワーク技術にシフトし、現在は道路やライフラインのインフラモニタリングに加えて、ファクトリやプラントのスマートセンシングの研究開発に注力しています。そして、昨年は経産省・NEDOがコネクテッド・インダストリーズの重点分野として推しているロボティクスや自動走行の鍵となるAI融合高精度物体認識システムの研究開発に着手しました。

 また、それらの研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとして、7年前に開設したつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」も今や中小・ベンチャーを含む40社以上からの研究や工程の受託により、フル稼働の状況にあります。さらに設備整備や技術向上に努めて、我が国のMEMS開発需要に応えてまいります。

 そして、上述の成果などを公開する場として、昨年、MEMSセンシング&ネットワークシステム展を刷新して、初めてCEATECと同時開催とし、5万人を超える来場者の方々にお出でいただくことができました。本年はさらにCEATECやAll about Photonics展とのシナジー効果を高め、IoTシステム、さらにはコネクテッド・インダストリーズの最先端技術展としてのプレゼンスを高めてまいります。

 当センターとしましては、本年もMEMS・スマートセンシング技術の開発や普及に真摯に取り組み、我が国のコネクテッド・インダストリーズの推進に微力ながらも貢献してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。

 皆様方には以下の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

続きを読む "「新年のご挨拶」"

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2017年12月13日 (水)

2017年、日本から提案の2件のMEMS分野関連規格案がIEC国際規格として発行

 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)/SC47F(MEMS分野分科委員会)にて、提案を行っておりました、日本からの規格案2件が、今年(2017年)、国際規格として発行されました。

 1件目は、東京大学・大学院工学系研究科・機械工学専攻の鈴木雄二教授がプロジェクトリーダとして提案のエレクトレット振動発電デバイスの規格案「IEC 62047-28:Semiconductor devices – Micro-electromechanical devices – Part 28: Vibration-driven MEMS electret energy harvesting devices MEMS」が、2017年1月にIEC国際規格として発行されました。
 MEMS応用分野として周囲の環境に存在する微小なエネルギーを収穫するエレクトレット振動発電デバイスの特性(性能)表示とその測定法を標準化しました。


 2件目は、神戸大学大学院工学研究科機械工学専攻の神野伊策教授がプロジェクトリーダとして提案のMEMS圧電薄膜の電気機械変換特性の測定方法の規格案「IEC 62047-30:Semiconductor devices - Micro-electromechanical devices - Part 29: Electromechanical relaxation test method for freestanding conductive thin-films under room temperature」が、2017年9月にIEC国際規格として発行されました。MEMS圧電薄膜のアクチュエータ応用を目的とする逆圧電特性の測定方法を標準化しました。


 マイクロマシンセンターでは、IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)/SC47F(MEMS分野分科委員会)において、国内審議団体として活動するとともに、国際幹事を引き受け、幹事国として、MEMS分野の国際標準化活動を推進しております。上記、2件の国際規格発行により、現在、SC47Fでの発行済み国際規格は28件となり、うち13件が日本提案となっております。引き続き、現在審議中の2件の規格案について国際規格発行に向けたフォローアップ活動を実施するとともに、新規提案規格案開発を行っていきます。
   
調査研究・標準部 大中道 崇浩

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2017年10月13日 (金)

IEC/TC47国際標準化会議(2017年10月9~13日)

 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)の国際標準化会議が、10月9日から13日まで、ロシア・ウラジオストクにて開催されました。
 
  
ウラジオストク市内             TC47会議場
 
 10月9日に開催されたTC47/WG7会議(半導体デバイス エネルギーハーベスタ、エネルギー変換・伝送分野)には23名(日本10、韓国10、中国1、ドイツ3)が出席し、現在審議中の規格案の審議状況について、主査から報告の後、意見交換が行われました。東京大学鈴木雄二教授からは、先生がプロジェクトリーダ(PL)として提案の「低消費電力電子機器向けの力学的環境発電デバイスの試験方法」が、現在、委員会ドラフト(Committee Draft, CD)が回付中の状況である旨、報告がなされました。

WG7会議風景

 10月10日には、TC47/SC47E/WG1-2会議(個別半導体、センサ・高周波デバイス分野)が開催され、28名(日本8、韓国14、中国5、IEC事務局1)が出席し、現在審議中の規格案についての意見交換が行われました。また、今後提案予定の案件を各国が紹介するFuture workプレゼンテーションでは、日本から、現在、経産省の国際標準獲得・普及促進事業としてマイクロマシンセンターがとりまとめて取組み中の「スマートセンシング・インタフェースに関する標準化」に関して、次世代センサ協議会大和田邦樹専務理事より発表を行いました。韓国、中国に加え、ドイツ等の他国の出席があった10月12日に開催のTC47/SC47E全体会議でも、本件のFuture workプレゼンテーションを実施し、TC47/SC47E/WG1において2018年3月に規格案の提案を行うことが、両会議で了承されました。


WG1-2会議風景

 10月11日にはTC47/SC47F/WG’s&MT会議(MEMS分野)が開催され、27名(日本10、韓国10、中国5、ドイツ1、IEC事務局1)が出席し、現在審議中の規格案についての意見交換が行われました。日本提案である「MEMS圧電薄膜の特性測定方法(PL:神戸大学神野伊策教授)」が9月に国際標準として発行されたことが報告されるとともに、MEMS圧電薄膜の信頼性評価方法(神戸大学神野教授)」、「フレキシブルMEMSデバイスにおける曲げ信頼性試験(名古屋工業大学神谷教授)」について審議状況説明・内容紹介を実施し、今後の審議における各国への協力要請を行いました。また、SC47Fの国際幹事を9年務め、今年6月に交代したマイクロマシンセンターの竹内南に、IECより感謝状が授与され、セレモニーが行われました。6月からはマイクロマシンセンターの三原孝士が国際幹事に就任し、竹内は引き続き国際副幹事としてサポートを行っています。


感謝状贈呈式

竹内氏への感謝状

 10月12-13日はTC47/SC47F全体会議、TC47全体会議が開催され、各WGおよびSCにおいて決議された内容について各主査及び議長から報告が行われました。

 次回の本会議は来年10月に韓国・釜山で開催される予定です。

                  調査研究・標準部 大中道 崇浩

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2017年10月11日 (水)

IEC(国際電気標準会議)から竹内 南 主幹研究員に感謝状授与

 去る2017年10月にIEC(国際電気標準会議)の総会がロシア・ウラジオストクで開催され、その期間中に執り行われましたIEC/TC47(半導体分野技術委員会)傘下のSC47F(MEMS分野分科委員会)のワーキンググループ会議(2017年10月11日)において、SC47Fの国際幹事を9年(2008年~2017年)務め、今年6月に交代したマイクロマシンセンター 調査研究・標準部の竹内 南 主幹研究員に、IECより感謝状(Certificate of Appreciation)が授与されましたので、報告致します。

 27名(日本10、韓国10、中国5、ドイツ1、IEC事務局1)の出席者のもと、本会議中に、IEC事務局Suzanne Yapさんから感謝状の贈呈が行われました。


IECから授与の感謝状


感謝状贈呈の様子


記念プレゼンテーションの様子

 また、贈呈式に続き、竹内から、「Advices for convenors and project leaders from my personal experiences of IEC works」と題して、記念プレゼンテーションが行われました。マイクロマシンセンターは、2008年のSC47F発足以前から、MEMS分野での国際標準化活動に積極関与し、2008年SC47F発足に際し、竹内が国際幹事に就任し、日本が幹事国として世界を牽引してきました。現在、SC47Fの発行済み国際規格は28件を数えるに至り、うち13件が日本提案となっており、日本が大きなプレゼンスを示すことができております。

 なお、6月からはマイクロマシンセンター調査研究・標準部の三原孝士主幹研究員が国際幹事に就任し、竹内は引き続き国際副幹事としてサポートを行っていきます。

調査研究・標準部 大中道 崇浩

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2017年6月12日 (月)

IEC/TC47/SC47Fアドホック会議東京の開催報告

 IEC/TC47技術委員会傘下の、MEMS関連の分科会であるSC47Fのアドホック会議を、6月8日から9日まで、東京・大手町の電子情報技術産業協会(JEITA)にて開催しました。今年は日本がホスト国であり、マイクロマシンセンターが事務局として会議を主催しました。

 6月8日に開催されたTC47/SC47F会議には33名(日本13、韓国8、中国12)が出席しました。韓国からはSC47F議長を務めるソウル科学技術大のS-H.Choa教授を含む大学教授3名、コンビナを務める韓国機械研究院のH-J.Lee部長他、MEMSならびにセンサ分野からの研究者8名が出席、中国からは北京大の教授3名をはじめとした12名が出席し、本分野における標準化に対する、韓国・中国両国のアクティビティの高さがあらためて印象に残りました。日本からも、会議の総合司会を務められたコンビナの熊本大副学長高島和希教授や、同じくコンビナの次世代センサ協議会大和田邦樹専務、SC47F国際幹事・副幹事であるマイクロマシンセンター竹内南・三原孝士をはじめとした13名が参加しました。


6月8日の会議の様子


 会議では、現在審議中の規格案についてコンビナから報告の後、意見交換が実施されました。日本からの提案である「MEMS圧電薄膜の特性測定方法に関する国際標準化(プロジェクトリーダ(PL):神戸大神野伊策教授)」、ならびに、「MEMS圧電薄膜の信頼性試験方法に関する国際標準化(PL:神野教授)」が、現在、それぞれ、FDIS(最終国際規格案)作成中、CD(委員会原案)作成中である旨の報告がなされました。また、日本から今年4月に規格案提出(NP:New work item Proposal)を行った「薄膜MEMS応用デバイスの曲げ信頼性試験方法に関する国際標準化(PL:名古屋工業大神谷庄司教授)」については、内容説明のプレゼンテーションが実施され、各国への審議協力の呼びかけが行われました。


参加者集合写真


 また、同日夕刻には、場所を如水会館に移し、ホスト国日本の招待でのバンケットが開催され、各国の親交を深め、引き続き国際標準化活動における相互協力を誓い合いました。
 


バンケットの様子

 6月9日にはTC47/SC47FのMEMS Workshopが開催されました。8日の会議と同等の出席者があり、全部で4件の発表がありました。日本からは2件、「走査型白色干渉計によるマイクロスケール構造体の応力ならびに応力分布計測(熊本大副学長高島和希教授)」と「スマートセンシング・インターフェースに関する標準化(マイクロマシンセンター大中道崇浩)」の発表が行われました。また、韓国からは韓国機械研究院J-H.Kim博士から、マイクロLEDディスプレイ向け無機デバイスのロール転写技術に関する報告が、中国からは北京大Z.Dacheng教授から、微細加工構造のin-situ・on-chip機械特性試験についての報告がありました。それぞれの発表に対して活発な意見交換が行われ、参加者の意識共有化を図ることができました。


6月9日の会議の様子


 次回会合は、10月にロシア・ウラジオストクで開催されるTC47全体会議の予定です。


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2017年4月20日 (木)

国際標準化IEC TC47/WG6,7アドホック会議報告(4月6-7日)


 IEC/TC47技術委員会傘下のMEMS関連の分科会であるTC47/WG6,7のアドホック会議が、4月6日から7日まで沖縄県那覇市の沖縄県市町村自治会館で開催されました。
 4月6日に開催されたIEC/TC47/WG6,WG7アドホック会議には、27名(日本9、韓国11、中国1、ドイツ1)が出席し、活発な意見交換が行われました。

 TC47国際幹事からは、2016年10月にフランクフルトで開催されたIEC/TC47/WG6,7会議の未確認議事録の紹介が行われ、若干の修正は有ったものの承認されました。
 WG6担当の文書審議には11件の案件が提案され活発な意見交換が行われた。WG7担当の文書審議には6件の案件が提案され、これもまた活発な意見交換が行われました。
 WG6,7に共通な事項としては、3件提案されました。
 一つ目は、Working programに登録されているPJの文書あるいは発行されたISの管轄をTC47直下のWG7に移行したいとの幹事の意向が表明されましたが、文書番号の変更を伴う作業となるためTC内では無理との判断となりました。
 二つ目は東大の鈴木祐二教授を3人目のコンビナに推挙するQ文書が対立候補なしで承認されたとの紹介があり、担当範囲の棲み分け案が紹介されました。
 三つ目は、次回のIEC TC47技術委員会の国際会議を、2017年10月9日にウラジオストックで開催することが報告されました。また、TC47/WG6,7のアドホック会議は、来年3月または4月に行うことが紹介されました。
                                竹内 南


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