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2022年11月28日 (月)

第39回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム MNOIC 技術展示のご報告(2022年11月14日~16日)

 「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム(協賛 マイクロマシンセンター他)は1981年に第1回目を開催して以来、産学を中心にした研究グループ間の情報交換、アイデア討議の場として我が国のセンサ分野では最大のシンポジウムであり、本年で39回目を迎えました。

 COVID-19感染拡大の影響を受け、本会議も2020年、2021年と2年連続でオンライン開催となりましたが、今年は徳島市のアスティとくしまにて、3年ぶりに対面で開催されました。アスティとくしまは、四国最大級の5,000席の収容人数を誇る多目的ホールがあり、基調講演を始めとする各種講演以外に、ポスターセッションや出展者の技術展示が同一会場で行われるユニークな会場運営でした(写真1)。

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写真1 技術展示(手前)とポスターセッション(中)、
講演(奥)が1ケ所になった会場

 この多目的ホール以外にも、6室の会議室が整備され、本シンポジウムと併催の「機械学会 マイクロ・ナノ工学シンポジウム」、「応用物理学会 集積化MEMSシンポジウム」、「化学とマイクロ・ナノシステム学会 研究会」の複数の連携セッションにも十分対応できる立派な施設です。

 まず、開会式では、ミライズテクノロジーズの磯部良彦実行委員長から、942名(11月13日現在)の参加者と616件の発表があることが紹介されました。次にご来賓として飯泉嘉門徳島県知事から、本シンポジウムが徳島県で開催される意義について触れ、徳島県は、医薬品、LED、リチウムイオン電池などの先端産業が盛んで、製造業係数(全国水準を1としたとき)は1.36と高い工業立県であることなどが紹介されました(写真2)。


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写真2 飯泉徳島県知事の来賓祝辞

 本シンポジウムはセンサ・マイクロマシン技術の成果を4つの学会合同で討議する場を提供する形態となって10周年を迎え、それを企画し創設した大先輩からの講演やパネルディスカッションが実施されました。
 東北大名誉教授の桑野博喜先生からは、「挑戦を続けよう」として、MEMS、センサは今後も加速度的にグローバルに拡大していく技術だとして、挑戦のし甲斐のある領域だということを熱く語られました。
 京大名誉教授の小寺秀俊先生は、機械学会の「マイクロ・ナノ⼯学部⾨の始まりと発展」のテーマのパネラーとして登壇され、マイクロ・ナノ工学に関して学会同士が協力して会議を運営してその場で議論を行い、新たな価値を創出することの重要性について力説されました。
 また、基調講演として「多孔性錯体と無機材料の相乗的インターフェースの空間化学-新しい高感度、非接触、リアルタイム検出システム-」と題し、京都大学 高等研究院 物質―細胞統合システム拠点特別教授北川 進氏の講演がありました。物質捕捉、濃縮、貯蔵、輸送の空間機能を持つ多孔性配位高分子(Porous Coordination Polymer:PCP)と、電荷、電子輸送能を持つ無機半導体、伝導体材料を接合し、そのハイブリッド構造の構築、そのヘテロインターフェース空間を理解、制御する技術について紹介されました。
 その他のMMCにとって注目すべき基調講演として「B5G/6Gに向けた拡張無線ネットワークと時空間同期 マイクロデバイスからのボトムアップアプローチ-」と題し、国立研究開発法人情報通信研究機構電磁波研究所主任研究員 原基揚氏の、原子時計チップ化への取組みについて紹介がありました。
 さらに、NEDOの「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」の成果である、三屋 裕幸氏(鷺宮製作所)らの「カリウムイオンエレクトレット製デバイス量産化のための長期信頼性技術」が、ファイナリストセッション 優秀技術論文賞に採択されました。

 MNOICについては、会期中を通して技術展示を行いました(写真3)。

2022sensorsympo3
写真3 MNOIC展示説明

 お問い合わせの内容としては、MNOICが提供するサービスの主要内容や、具体的な利用の仕方から、主要装置の詳細な仕様など、ファンドリーサービスに関係深い詳細な問い合わせを受けました。
 SDGsへの貢献や、IoTなどの分野において、MEMS、センサはほぼすべてのシステムの必須デバイスであり(上述の桑野博喜東北大学名誉教授の記念講演より)、その活躍が大いに期待されております。この分野でMNOICのサービスの実力をさらに向上させ、試作設備の共用化や、組織間の壁を低くし集団で力を発揮できるオープンイノベーションを推進し、我が国の次世代デジタル技術をはじめとする産業の発展に引き続き貢献していきます。 

(MNOIC研究企画部 渡辺 秀明)

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