« 2022年10月 | トップページ | 2022年12月 »

2022年11月

2022年11月28日 (月)

IEC/TC47 国際標準化全体会議(サンフランシス開催)参加報告(2022年10月31日~11月4日)

 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)の国際標準化全体会議が、10月31日から11 月4日まで、サンフランシスコの Hilton San Francisco Union Square Hotelで開催され、関連する会議に参加しました。

 10月31日には、TC47WG7会議(半導体デバイス エネルギーハーベスタ、エネルギー変換・伝送分野)とSC47F Officer/Convenor会議(MEMS分野)が開催されました。

 TC47WG7会議では、現在審議中の規格案、新規提案等について議論しました。日本からは、本WGの主査を務めておられる東京大学鈴木教授、兵庫県立大学藤田孝之教授、名古屋工業大学泉隼人准教授、近畿大学宍戸信之講師、産総研山本淳先生他、計7名が参加しました。
 鈴木教授が現在提案中のCD(委員会原案、Committee Draft)「低周波・大振幅かつ回転運動を含む振動発電の特性試験方法」について、コメント対応とCDV( 投票用委員会原案、Committee Draft for Vote)提出スケジュールについて説明されました。神戸大学神野伊策教授が現在提案中のCD「衝撃力による振動発電の特性試験方法」について、CD投票終了後のCCファイルが未回付であることを鈴木教授が言及されました。その結果、TC47 Assistant SecretaryからCCファイルを至急回付して頂くことになりました。
 また、今後提案予定の規格を紹介するFuture workでは、鈴木教授と藤田教授が今年度から開発に着手している「振動発電エネルギーハーベスタの信頼性評価に関する国際標準化」の概要及び提案スケジュールを、山本先生が開発している規格案「熱電発電エネルギーハーベスタ」のNP(新業務項目提案、New Work Item Proposal)開発状況を説明されました。
 最後に、来年の本WG春季会議を日本・熊本で5月下旬から6月中旬にSC47Fと同時開催することを鈴木教授が紹介し、了承されました。

 SC47F Officer/Convenor会議では、本SCのアクティビティについて議論しました。 日本からMT1主査をつとめる熊本大学高島和希教授及びWG1主査の先端素材高速開発技術研究組合古田一吉部長、SC47Fの国際幹事をつとめるマイクロマシンセンター三原孝士をはじめとした4名が参加しました。
 会議では、同SCでのNP提案活性化、新規メンバー獲得の取り組み等について議論しました。加えて、熊本で開催予定の来年度春季WG会議でのワークショップの内容について意見を交換しました。

Iec_tc47_2022_1

TC47/WG7会議の様子

 11月1日には、TC47/SC47F/WG1-3&MT1会議(MEMS分野)が開催され、26名(日本6、韓国5、中国10、ドイツ1、米国1、Young Professional 3)が出席し、現在審議中の規格案、新規提案等について議論しました。
 日本の主な参加者は、MT1の主査をつとめる熊本大学高島和希教授及びWG1主査の先端素材高速開発技術研究組合古田一吉部長、プロジェクトリーダー(PL)である近畿大学宍戸信之講師、名古屋工業大学泉隼人准教授、国際幹事をつとめるマイクロマシンセンター三原孝士でした。サンフランシスコに渡航できなかった中国の主査、エキスパートはオンラインで参加しました。
 最初に前回会議の議事録を確認し、承認されました。次いで、三原孝士国際幹事がIEC本部からの連絡事項を説明しました。
 各WGの活動概要をWG主査が紹介した後、現在審議中の規格案についての意見を交換しました。
 日本からは宍戸講師がPLである提案「IEC 62047-43:フレキシブルMEMSデバイスの繰返し曲げ耐久性試験方法」について、CD投票結果の各国コメント対応状況をPLが説明し、次段階であるCDVへ進めることが了承されました。
 他国からは、中国のDacheng Zhang氏がシリコンMEMSに関するCDV3件、韓国のJoon-Shik Park氏がバイオMEMSに関するCD1件、中国のPeng Chunrong氏がMEMS共鳴電界デバイスに関するCDV1件それぞれついて、進捗を報告しました。
 既に成立しているIS(国際規格、International Standard)のメンテナンスを管理するMT1で、事前に調査したIS見直し期限変更について主査の高島教授が説明し、承認されました。
 今後提案予定の規格案を紹介するFuture Worksでは、日本からは、神戸大学神野教授がPLである新規提案「薄膜圧電MEMSの寿命に関する試験方法」について、今年中にNPをIECへ提出する予定であることをマイクロマシンセンター時岡が報告しました。また、名古屋工業大学神谷庄司教授がPLである新規提案「フレキシブルMEMSデバイス耐久性の両方向折り曲げに関わる試験方法」の開発状況を泉准教授が代理で説明しました。
 他国からは、中国のYongzhi Zhao氏がRF-MEMSに関する規格開発、韓国のHak-joo Lee氏がフレキシブル/ストレッチャブルMEMSに関する規格開発それぞれについて、概要を紹介しました。
 その他では、10月31日に開催されたSC47F Officer/Convenor会議の議事内容を、Sung Hoon Choa SC47F議長が説明しました。加えて、来年の本WG春季会議を日本・熊本で5月下旬から6月中旬に開催することをマイクロマシンセンターが提案し、了承されました。

Iec_tc47_2022_2Iec_tc47_2022_3

TC47/SC47F/WG1-3&MT1会議の様子

 11月3、4日には、それぞれTC47/SC47F全体会議、TC47全体会議が開催され、WGおよびSCにおいて決議された内容について各主査及び議長が報告しました。

 今回は3年ぶりに対面で開催したこともあり、予定していた議題全てを円滑に議論できました。加えて、各国主査やPLと会議前後の時間に交流を図ることができ、充実した会議となりました。
 次回の本TC47会議の開催地は未定で、今後ホスト国を募ることになりました。また、日韓中が持ち回りで開催しているTC47/WG7(エネルギーハーベスタ分野)、SC47F(MEMS分野)等の春季合同会議は、来年5月中旬から6月中旬に熊本で開催する予定です。

調査研究・標準部長 時岡 秀忠

| | コメント (0)

第39回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム MNOIC 技術展示のご報告(2022年11月14日~16日)

 「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム(協賛 マイクロマシンセンター他)は1981年に第1回目を開催して以来、産学を中心にした研究グループ間の情報交換、アイデア討議の場として我が国のセンサ分野では最大のシンポジウムであり、本年で39回目を迎えました。

 COVID-19感染拡大の影響を受け、本会議も2020年、2021年と2年連続でオンライン開催となりましたが、今年は徳島市のアスティとくしまにて、3年ぶりに対面で開催されました。アスティとくしまは、四国最大級の5,000席の収容人数を誇る多目的ホールがあり、基調講演を始めとする各種講演以外に、ポスターセッションや出展者の技術展示が同一会場で行われるユニークな会場運営でした(写真1)。

2022sensorsympo1
写真1 技術展示(手前)とポスターセッション(中)、
講演(奥)が1ケ所になった会場

 この多目的ホール以外にも、6室の会議室が整備され、本シンポジウムと併催の「機械学会 マイクロ・ナノ工学シンポジウム」、「応用物理学会 集積化MEMSシンポジウム」、「化学とマイクロ・ナノシステム学会 研究会」の複数の連携セッションにも十分対応できる立派な施設です。

 まず、開会式では、ミライズテクノロジーズの磯部良彦実行委員長から、942名(11月13日現在)の参加者と616件の発表があることが紹介されました。次にご来賓として飯泉嘉門徳島県知事から、本シンポジウムが徳島県で開催される意義について触れ、徳島県は、医薬品、LED、リチウムイオン電池などの先端産業が盛んで、製造業係数(全国水準を1としたとき)は1.36と高い工業立県であることなどが紹介されました(写真2)。


2022sensorsympo2
写真2 飯泉徳島県知事の来賓祝辞

 本シンポジウムはセンサ・マイクロマシン技術の成果を4つの学会合同で討議する場を提供する形態となって10周年を迎え、それを企画し創設した大先輩からの講演やパネルディスカッションが実施されました。
 東北大名誉教授の桑野博喜先生からは、「挑戦を続けよう」として、MEMS、センサは今後も加速度的にグローバルに拡大していく技術だとして、挑戦のし甲斐のある領域だということを熱く語られました。
 京大名誉教授の小寺秀俊先生は、機械学会の「マイクロ・ナノ⼯学部⾨の始まりと発展」のテーマのパネラーとして登壇され、マイクロ・ナノ工学に関して学会同士が協力して会議を運営してその場で議論を行い、新たな価値を創出することの重要性について力説されました。
 また、基調講演として「多孔性錯体と無機材料の相乗的インターフェースの空間化学-新しい高感度、非接触、リアルタイム検出システム-」と題し、京都大学 高等研究院 物質―細胞統合システム拠点特別教授北川 進氏の講演がありました。物質捕捉、濃縮、貯蔵、輸送の空間機能を持つ多孔性配位高分子(Porous Coordination Polymer:PCP)と、電荷、電子輸送能を持つ無機半導体、伝導体材料を接合し、そのハイブリッド構造の構築、そのヘテロインターフェース空間を理解、制御する技術について紹介されました。
 その他のMMCにとって注目すべき基調講演として「B5G/6Gに向けた拡張無線ネットワークと時空間同期 マイクロデバイスからのボトムアップアプローチ-」と題し、国立研究開発法人情報通信研究機構電磁波研究所主任研究員 原基揚氏の、原子時計チップ化への取組みについて紹介がありました。
 さらに、NEDOの「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」の成果である、三屋 裕幸氏(鷺宮製作所)らの「カリウムイオンエレクトレット製デバイス量産化のための長期信頼性技術」が、ファイナリストセッション 優秀技術論文賞に採択されました。

 MNOICについては、会期中を通して技術展示を行いました(写真3)。

2022sensorsympo3
写真3 MNOIC展示説明

 お問い合わせの内容としては、MNOICが提供するサービスの主要内容や、具体的な利用の仕方から、主要装置の詳細な仕様など、ファンドリーサービスに関係深い詳細な問い合わせを受けました。
 SDGsへの貢献や、IoTなどの分野において、MEMS、センサはほぼすべてのシステムの必須デバイスであり(上述の桑野博喜東北大学名誉教授の記念講演より)、その活躍が大いに期待されております。この分野でMNOICのサービスの実力をさらに向上させ、試作設備の共用化や、組織間の壁を低くし集団で力を発揮できるオープンイノベーションを推進し、我が国の次世代デジタル技術をはじめとする産業の発展に引き続き貢献していきます。 

(MNOIC研究企画部 渡辺 秀明)

| | コメント (0)

2022年11月 7日 (月)

マイクロマシン/MEMS分野関連【経済報告 2022年11月号】

 マイクロマシンセンターでは、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。
 今月号、マイクロマシン/MEMS分野関連 【経済報告 2022年11月号】 をお届けします。
 業務の参考として頂ければ幸いです。
 以下より【経済報告 2022年11月号】PDFをご参照下さい。

 【経済報告 2022年11月号】(「2022_11.pdf」)へアクセス (https://mmc.or.jp//info/monthly/economic_report/2022_11.pdf

| | コメント (0)

« 2022年10月 | トップページ | 2022年12月 »