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2021年1月 7日 (木)

新年のご挨拶(MMC/NMEMS 2020年10大ニュース)

 新年あけましておめでとうございます。

 昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本経済は急速に悪化し4-6月期のGDPは過去最大のマイナス成長となりました。また5月の緊急事態宣言の解除を受けて7-9月期のGDPはプラスに転じましたものの、感染者の推移から、先行きの不透明感も年を越えてしまいました。
 MEMS市場も同様に不透明感はございますが、医療や通信などの分野は成長を続けております。コロナ禍でニーズの高まった非接触体温計や人工呼吸器、各種検査機器などに対応して、マイクロボロメータ、圧力センサ、流量計、マイクロ流路などの医療用MEMSの需要は増加しております。

 マイクロマシンセンター/NMEMS技術研究機構においても、医療・ヘルスケア用MEMSの研究開発として、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業で「血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイス及び行動変容促進システムの研究開発(BaMBI)」と、「薄膜ナノ増強蛍光による経皮ガス成分の超高感度バイオ計測端末の開発(SNIF)」を実施しております。
 また、防衛装備庁の委託事業で実施しております「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)」は衛星搭載原子時計の性能レベルを小型低消費電力で実現するための研究開発ではありますが、モビリティや通信分野のみならず医療・ヘルスケアを含む多様な分野での応用が可能な課題と考えております。

 これらの研究開発を支えるMEMS試作ファンドリである「マイクロナノ・オープンイノベーションセンター(MNOIC)」は今年10年目を迎えます。企業・ベンチャー、国研・大学によるMEMSの研究・試作並びに少量生産に活用いただいており、2011年の開設当初と比較し、近年では約5倍の年間80件以上の研究・工程の受託をし、フル稼働の状態にあります。

 加えて昨年から一般財団法人機械システム振興協会の委託事業で、SDGsに資する環境調和型MEMS(EfriM:Environment friendly MEMS)を実現するための戦略策定事業も実施しております。

 本年も当センターはMEMSを活かしたソサエティー5.0やデジタル・トランスフォーメーションの実現を目指し、MEMSの基盤技術検討から応用まで幅広い研究開発を行ってまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

 皆様方には以下のマイクロマシンセンターの2020年の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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MMC/NMEMS 2020年 10大ニュース
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1.コロナ禍で多くのイベント等が中止になる中も、職員が無事に業務を推進
 未曽有の新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、理事会、委員会等を書面、Webによる開催方法に変更しました。また、職員の感染防止対策として在宅勤務、時差通勤の導入などを実施し、1年間業務を無事に遂行できました。

2.年に2回のMEMS展開催
 例年開催しておりますMEMS センシング& ネットワークシステム展を、2020 年1月29日(水)~31日(金)にMEMS展2020として、2020年12月8日(水)~10日(金)をMEMS展2021として開催しました。2020は5万人、2021は1万人の来場者数となりましたが、当センターが併催した各種シンポジウ等は好評裡に実施できました。

3.LbSSの実証試験が着実に進展
  振動発電はCEATECアワードのオープン部門グランプリを獲得

 LbSSプロジェクトは最終年度に差し掛かり、多くの成果を上げつつ、最後の実証試験に取り組んでいます。その中で開発した「コインサイズの振動発電器」が、世界最高レベルのエネルギー回収効率93%を達成しつつ、10月のCEATEC 2020 ONLINEでCEATEC AWARD 2020オープン部門グランプリを受賞しました。
  この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものです。
  https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101370.html

4.EfriMの検討が着々と進む
 機械システム振興協会からの受託により、環境調和型MEMS(EfriM:Environment friendly MEMS)に関する新たな研究開発戦略策定を行っています。これまでの屋内設置や機器内部への搭載が主であったMEMSデバイスをインフラ・災害・農業モニタリング分野等の屋外や自然環境に広く設置し、回収が不要で、環境に放置されても自然に還ったり、有害とならなかったりするMEMSシステムの開発とその低炭素負荷での製造や利用を目指してまいります。

5.HS-ULPACが順調に始動
 測位衛星搭載の原子時計と同等の性能を有し、且つ手のひらサイズで低消費電力の小型原子時計を実現するための基礎研究として、原子時計の安定性を阻害する各種周波数変動要因を根本から解明するとともに、自動車等の移動体に搭載可能な耐振性を有するプロトタイプを試作して、その性能を車載環境で実証・評価する研究開発を本格的に開始しました。
 本研究開発は、防衛装備庁が実施する安全保障技術研究推進制度JPJ004596の支援を受けたものです。

6.BaMBI、SNIFの研究開発がコロナで厳しい中も進展
 ヘルスケア系の革新的センシングの開発を目指す、BaMBIとSNIFの両プロジェクトは、コロナ禍のため、一部研究サイトへの立入制限や、装置の導入や利用の停滞などが起こり、研究開発自体にもやや遅れが生じています。これに対して、主にWeb会議の活用により、技術推進研究会等を頻繁に実施することで、毎回、研究サイトごとの課題、問題点を含む研究進捗の共有を行い、迅速な研究開発の実施に努めています。

7.MNOIC事業が前年度より回復基調
 国立研究開発法人産業技術総合研究所様ご協力のもと、研究支援、研究受託、工程受託コースなどのMNOIC試作支援事業がコロナの中でも比較的順調に推移しました。本年度の12月時点で、工程受託コースでは7件の新規契約を獲得し、継続案件を含めて合計86機関の顧客様にMEMSデバイス開発の支援で貢献いたしました。また、MNOICの技術スタッフが、前述のHS-ULPACやBaMBIなどの国家プロジェクトに研究員として参画し、新デバイスの試作開発を通して新しいプロセス技術の腕を磨いて参りました。

8.標準化活動の会議が中止になる中も着実に前進
 4月に国際標準「圧電MEMSデバイスのセンサ特性信頼性試験方法」を発行、9月~12月に3件の新規格を提案するなどの成果を上げています。またコロナ禍のため11月にオンラインで開催されたIEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)国際標準化全体会議に出席して、既提案の改訂説明や新規提案などを積極的に行いました。

9.センサ&IoTコンソーシアムの事務局活動を遂行
 生体情報センサを初めとした各種センサとIoT技術を利用した快適な生活・社会空間の創出を目指す当該コンソーシアムの事務局業務が、2020年4月から当センターに移管されました。例年実施されている公開シンポジウムも今年は「バイオメディカル計測と健康医療センシング」をテーマとして、無事12月にWeb開催することができ、180名を超える参加者がありました。

10.産業動向調査報告「MEMSトップ企業の事業戦略とSDGsへの対応」が好評
 毎年MEMS産業を取り巻く各種環境などを取り上げて、産業動向調査報告を行っていますが、昨年はSDGsに対して、大手MEMS企業がどのような取組みをしているのか等を中心に分析をしました。また、MEMSがどのようにSDGsに貢献できるかについて議論し、その内容をまとめた報告書を作成し、会員企業にご提供いたしました。MEMS展2021でもその内容に注目が集まりました。

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