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2020年1月 6日 (月)

新年のご挨拶(MMC/NMEMS 2019年10大ニュース)

 新年あけましておめでとうございます。

 本年の世界情勢としましては、米中貿易摩擦、英国のEU離脱、中東情勢等の不確実性が残ってはいますが、国内では令和の代を迎え、東京2020オリンピックによる経済効果が期待されています。オリンピックを支える技術としては、「AI」、「4K」、「5G」を核にして、「スマートホスピタリティ」、「次世代都市交通システム」、「新・超臨場感映像システム」等の開発が積極的に行われています。

 マイクロマシンセンターは、これら新技術に不可欠なスマートセンサを支えるマイクロマシン・MEMSなどのナノマイクロ分野に係る基盤技術の確立を図るべく産官学の力を結集し、国やNEDO主導の技術研究開発プロジェクトを推進しています。最近では、今後期待される人間の五感を補うセンサとして、人間がとらえられない物理量や化学量を捉えるセンサが重要との観点から、革新センシング基盤技術の研究開発に注力し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から2019年の10大ニュースの1番目に記載の2つのテーマを受託し、研究開発に邁進しております。また、10大ニュースの2番目に記載のように、防衛装備庁から原子時計関連のプロジェクトを採択頂けました。

 さらに、これらの研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとしまして、2011年に開設しましたつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」を運営し、これまで企業・ベンチャー、国研・大学も含む100近い機関からの研究や工程の受託を行ってきており、現時点でもフル稼働の状況にあります。

 本年度は引き続き革新センシング技術の研究開発を進めるととともに、その基盤となるMEMS技術を社会が求めるSociety5.0のキー技術ととらえ、新たな技術開発やそれらの広報・普及に努めて参ります。MEMS技術の広報・普及活動の一環として、主催していますMEMSセンシング&ネットワークシステム展2020(https://www.optojapan.jp/mems/ja/)が1月29日から31日まで、東京ビッグサイト西ホールにてナノテック2020と同時開催されますので、多数のご来場をお待ちしています。

 当センターとしましては、本年もMEMS・スマートセンシング技術の開発や普及に真摯に取り組み、我が国のコネクテッド・インダストリーズの推進に微力ながらも貢献してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

 皆様方には以下の2019年の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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MMC/NMEMS 2019年 10大ニュース
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1.NEDO事業「IoT社会実現のための超微小量センシング技術開発」に BaMBI、SNIF の 2件が採択される
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2019年度新規委託事業「IoT社会実現のための超微小量センシング技術開発」の採択4テーマのうち、マイクロマシンセンター等が提案した「血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイス及び行動変容促進システムの研究開発(BaMBI)」とNMEMS技術研究機構等が提案した「薄膜ナノ増強蛍光による経皮ガス成分の超高感度バイオ計測端末の開発(SNIF)」の2テーマが入り、それぞれ、6月及び7月から本格的な研究開発をスタートしました。
    BaMBI :  http://mirai.la.coocan.jp/bambi/
    SNIF:   http://nmems.or.jp/snif/

2.防衛装備庁安全保障技術研究推進制度に「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)」が採択される
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業において実施致しました「センサ端末同期用原子時計(ULPAC:Ultra-Low Power Atomic Clock)の研究開発」をさらに発展させ、より高安定な原子時計を実現するための基礎研究を実施するため、防衛装備庁安全保障技術研究推進制度に応募していました「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)」が2019年12月24日に採択決定されました。

3.MMC/NMEMSが受託した研究開発 5 プロジェクト(RIMS、ULPAC、UCoMS、SSI、AIRs)が目標を達成し終了
 MMC/NMEMSが受託していた研究開発 5 プロジェクトが各々目標を達成し、2019年2月、3月に終了しました。

① 道路インフラ状態モニタリング用センサシステムの研究開発(RIMS)
 本技術開発プロジェクトは、NMEMSが実施主体となり、NEDOから業務委託を受け研究開発を5年間実施したものです。
高速道路の橋梁,道路付帯物,法面を対象にして,環境エネルギーを利用した自立電源を有し,モニタリングに適した新規の小型,安価,高性能,高耐久性の無線センサ端末を開発すると共に、センシングシステムを統合した道路インフラのトータルな維持管理が可能な道路インフラモニタリングシステムを開発し、実際の高速道路での実証を進め成果を上げました。
 また、これらモニタリング技術の長大橋や発電所等の大規模インフラへの展開も検討しました。
 本プロジェクトは、2019年3月、目標を達成し終了しました。

②  センサ端末同期用原子時計の研究開発(ULPAC)
 本研究は、センサ端末間の衛星利用や有線による時刻同期を不要とすることで誰もが容易に無線センサネットワークを構築できることを目指して、2015年度よりRIMSの中の先導研究という位置づけで始まりました。
 センサ端末に実装可能なサイズや消費電力の原子時計が実現可能かを探求し、開発した原子時計プロトタイプは、移動体通信基地局などで使われている小型原子時計と同等以上の時刻精度を二桁小さな消費電力で実現し、屋外での連続稼働実験などで、その性能を実証しています。
 本プロジェクトは2019年3月に終了しましたが、センサ端末に搭載するには、さらなる精度や安定度等が必要なため、その実現を目指して新しいプロジェクトとして挑戦していきます。(➡上記の2.参照)

③ ライフラインコアモニタリングシステムの研究開発(UCoMS)
 本プロジェクトでは、振動発電によるセンシング方式と低消費電力(10年間電池交換不要な)マルチホップ無線通信により、従来のシステムに比べ導入コストを格段に低く抑え、かつ監視ポイントの増減などの現場状況の変化への柔軟な対応を可能とする振動のモニタリングシステム及び異常振動固有の周波数情報だけを収集するP型(ペットボトルキヤップサイズ)端末の開発を行いました。
 モニタリングシステムによる異常検知の検証と長期安定性・耐久性について実証を進め、2019年3月プロジェクトは成果を上げ終了しました。
 開発したシステム、端末につきましては、担当した企業により実用化・製品化の検討が進められています。

④ スマートセンシング・インタフェースの国際標準化(SSI)
 2016年度から3年間、経済産業省からの受託事業として国際標準化を進めてきましたが、目標としていた、端末モジュールからスマートセンサを制御する方式に関する規格案1件と、スマートセンサと自立電源モジュールの特性表示方法に関する規格案1件の開発を完了し、IEC(国際電気標準会議)に提案しました。
 MMC自主事業として、IECでの規格成立に向け、引き続き審議フォローアップを推進しています。(➡後述の5.参照)

⑤ 空間移動時のAI融合高精度物体認識システムの研究開発(AIRs)
 本先導研究は、2017年度のNEDO委託事業「次世代人工知能・ロボット中核技術開発/次世代人工知能技術分野(先導研究)」から2018年度「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」/空間の移動分野(先導研究)」へと移行して実施した2年間の研究開発です。
 革新センサとしての要素技術や可視赤外光による次世代認識アルゴリズムなど、先導研究としてのすべての目標を達成し、2019年2月に研究開発を完了しました。

4.MNOIC事業が引き続き好調に推移し、MEMS産業裾野拡大に貢献
 研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとして、2011年に開設したつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」も今や中小・ベンチャーを含む90社以上から、1100件を超えるご利用があり、フル稼働の状況にあります。さらに設備整備や技術向上に努めて、我が国のMEMS開発需要に応えていきます。

5.国際標準「スマートセンサの制御方式」の発行等、国際標準化事業を活発に実施
 6月12~14日、中国・蘇州にて開催されたIEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)/SC47E(個別半導体デバイス)WG1(半導体センサ)、WG2(半導体高周波デバイス)& SC47F(MEMS)の国際標準化WG会議に出席、また、10月14~18日、中国・上海IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)の国際標準化全体会議に出席する等、活発に国際標準化事業を推進しており、11月に国際標準「スマートセンサの制御方式」が発行するなどの成果を上げています。

6.「学習型スマートセンシングシステムの研究開発(LbSS)」が成果を上げつつ、実証実験段階に移行
 2016年度に受託したNEDO「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト/超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究開発(LbSS)」が4年目を迎え、LbSS研究等の成果である「未利用環境振動でIoT センサを駆動するMEMS エナジーハーベスタ」が2019年度先端技術大賞の「経済産業大臣賞」を受賞する等、着実に成果を上げています。
 2019年度は、実証実験段階に移行し、実用化・事業化を目指した実証実験を行っています。

7.SSN(スマートセンシング&ネットワーク)研究会のワーキンググループが範囲を拡大し、国プロ等採択の成果に繋がる
 2015年にMEMS協議会傘下に発足したSNS研究会では、これまでもいくつかのワーキンググループ(GP)で研究開発プロジェクトの提案をまとめ、国プロ等の採択につなげてきました。
 2019年には、前述1.で採択されたBaMBIがWG8の成果として、また同じくSNIFがWG7の成果としてスタートしました。また、前述2.のHS-ULPACは、以前ULPACをスタートさせたWG3を再開して検討を継続してきたことの成果として採択されたものです。
 その他にも、WG5の「医療MEMS研究会」は引き続き国プロ等につなげるべく活動を展
開中であるなど、この先もSSN-WG活動をさらに活発化していきます。
  
8.MEMS協議会の産業交流活動の一環である「マイクロナノ先端技術交流会」及び「MEMS講習会」が活況を呈する
 マイクロマシンセンターMEMS協議会では、産業交流活動の一環として「マイクロナノ先端技術交流会」及び「MEMS講習会」を開催しております。
 2019年は、MEMS講習会2回(2月、9月)、先端技術交流会2回(2月、9月)を開催し、多くの方々のご参加を頂き、活発な意見交換が行われました。
 MEMS講習会:  http://fsic.nanomicro.biz/seminar/
 先端技術交流会: http://www.mmc.or.jp/business/kouryuukai/

9.国際マイクロマシンサミット(西安)での議論をリードするなど国際交流活動にも注力
 マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジー技術に関する課題や展望につき意見交換する場あり、当センターのイニシアチブで1995年から開催されています。
 2019年はその第25回として、中国西安で5月6日(月)~ 9日(木)に開催され、世界22の地域から64名のデリゲートの登録がありました。
トピックスは”Intelligent Manufacturing: Start from micromachine on a chip”で、会議を通して各国のマイクロマシン/ナノテクノロジー技術を俯瞰することができました。(国際マイクロマシンサミットでの収集資料の一部はMMC賛助会員専用ページから閲覧可となっています。)
 その他にも、国内外のイベントの機会などに、当センターのアフィリエート団体や研究者などとの交流を積極的に行っています。

10.「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」、より高いシナジーを求め「nano tech」との同時開催に刷新
 2019年度の「MEMSセンシング&ネットワークシステム2020」は2020年1月29日-31日東京ビッグサイト (西2ホール及び会議棟)での開催となります。
 昨年、一昨年と「CEATEC」との同時開催としてきましたが、今年度は「nanotech」との同時開催とし、マイクロマシン/ナノテクノロジー技術を一堂にご覧いただける展示会としています。
 また、「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」同時開催セミナーも充実した内容を準備しています。
 皆様のご来場をお待ちしております。

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