IEC/TC47国際標準化全体会議(2019年10月15~18日)参加報告
IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)の国際標準化全体会議が、10月14~18日まで、中国・上海のShanghai EXPO Centre(上海世博中心)にて開催され、関連する10月15~18日の会議に参加しました。
会場の外観写真
10月15日には、TC47/SC47E/WG1会議(個別半導体、センサ分野)が開催され、現在審議中の規格案についての意見交換が行われました。
日本からは、2015~18年度に経産省の国際標準獲得・普及促進事業としてマイクロマシンセンターがとりまとめて取組みました「スマートセンシング・インタフェースに関する標準化」に関して、提案済み・審議中の2件(IEC60747-19-1「スマートセンサの制御方式」、IEC60747-19-2 TS(Technical Specification)「スマートセンサおよびスマートセンサを駆動する電源の特性表示方法」)について、プロジェクトリーダ(PL)の1人であるセイコーインスツル古田部長から、各国に状況説明が行われました。
IEC60747-19-1「スマートセンサの制御方式」については、現在、国際標準発行直前まで到達しており、IECエディターからのエディトリアルな最終確認に対応中であることを報告しました。
IEC60747-19-2 TS「スマートセンサおよびスマートセンサを駆動する電源の特性表示方法」については、CD(委員会原案、Committee Draft)投票結果の各国コメント対応状況を議論し、問題無く了承され、次フェーズ(TSの最終フェーズであるDTS、Draft Technical Specification)へ進むことになりました。
また、今後提案予定の規格案の内容を各国に報告するFuture work presentationでは、一般社団法人慣性センサ応用技術研究協会梅田章理事長から「Measurement methods for Accelerometers」が紹介されました。
10月16日にはTC47/SC47F/WG1-3&MT会議(MEMS分野)が開催され、29名(日本12、韓国4、中国11、ドイツ1、米国1)が出席し、現在審議中の規格案についての意見交換が行われました。
日本からの出席者は、SC47F主査である熊本大学元副学長高島和希教授、同じく主査である次世代センサ協議会大和田邦樹専務理事、PLである神戸大学神野伊策教授、PL名古屋工業大学神谷庄司教授の代理である名古屋工業大学泉隼人助教、SC47F国際幹事マイクロマシンセンター三原孝士をはじめとした12人でした。
日本提案であるIEC62047-37「圧電MEMSデバイスのセンサ特性に関する信頼性試験方法(PL:神戸大学神野教授)」のCDV(投票用委員会原案、Committee Draft for Vote)投票結果の各国コメント対応状況を議論し、問題無く了承され、次フェーズ(国際標準発行前の最終フェーズであるFDIS、Final Draft International Standard、最終国際規格案)へ進むことになりました。
同じく日本提案であるIEC62047-35「フレキシブルMEMSデバイスにおける曲げ強度信頼性試験(PL:名古屋工業大学神谷教授)」については、現在、国際標準発行前の最終フェーズFDISの投票中であることが報告されました。
IEC/TC47/SC47F/WG1-3&MT会議の様子
10月17日に開催されたTC47/WG7会議(半導体デバイス エネルギーハーベスタ、エネルギー変換・伝送分野)では、現在審議中の規格案の審議状況について、主査から報告の後、意見交換が行われました。
日本からの出席者は、本WGにおいて3人の主査の1人として務めておられる東京大学鈴木雄二教授をはじめ、神戸大学神野教授、兵庫県立大学藤田孝之准教授、産総研山本淳先生、他7名が、各国と活発な議論を行いました。
今後提案予定の規格案の内容を各国に報告するFuture work presentationでは、東京大学鈴木雄二教授からは「Measurement method of wrist-worn vibration energy harvesting device」(報告済み)に関する最新検討状況が報告されました。
また、神戸大学神野教授からは、「Standard test method of energy harvesters under impulsive force for wearable applications」について内容紹介が行われ、各国と議論しました。
さらに、産総研山本先生からは、熱電関連で今後日本から提案する規格案(報告済み)に関する最新検討状況が説明されました。
10月17~18日には、TC47/SC47F全体会議、TC47/SC47E全体会議、TC47全体会議が開催され、各WGおよびSCにおいて決議された内容について各主査及び議長から報告が行われ、1週間に渡るTC47全体会議がつつがなく遂行されました。
期間中、各国の出席者と交わした密な議論を通じ、各国の規格案開発について深い相互理解が得られ、引き続き審議への相互協力を誓い合うことができたことは大変有意義でありました。
次回の本会議は来年11月にドイツ・フランクフルトで開催される予定です。 また、日韓中が持ち回り開催を行っているSC47F(MEMS分野)の夏季WG会議としては、次回日本開催となり、来年6月3~5日に熊本で開催します。 同じく、日韓中が持ち回り開催を行っているTC47/WG7(エネルギーハーベスタ分野)の春季WG会議としては、こちらも日本開催となり、来年2月24日に奈良で開催します。
調査研究・標準部長 大中道 崇浩
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