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2018年7月13日 (金)

The Sixth Japan-US NDT Symposium 出張報告

7/8~12にかけて米国ハワイ州ホノルルのハワイコンベンションセンター(図1)にて開催されたThe Sixth Japan-US NDT Symposiumに参加した。4年に1度開催されている日米の非破壊検査協会の交流シンポジウムであり、今回は日本側の主催であった。参加者は日米両国からを中心に100名ほどで、2セッションパラレルで進められ、非破壊検査技術全般についての講演があった。同シンポジウムにて、口頭発表によるRIMSの成果アピール、および講演聴講による非破壊検査技術の市場可能性の調査を行った。

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図1 シンポジウム会場(ハワイコンベンションセンター)

セッションの内訳を筆者がまとめたものを表1に示す。基調講演などを含めて全部で85件の講演があった。セッションのテーマから見ると、社会インフラに関するものが28件と最も多く、更に社会インフラ関連のセッションに分類されていない講演であっても社会インフラへの適用を想定しているものが多かった。検査手法に関しては、超音波関連のセッションで8件の講演があったが、その他のセッションでも超音波やAEといった弾性波を利用した技術に関する講演が多く見られた。今後、簡単な検査手法や高度な分析手法への発展が期待される有望な技術として注目されているものと思われる。

表1 セッション内訳

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筆者の口頭発表(図2) では、"Effective Detection of Internal Cracks of RC Bridge Decks with Rain-induced Elastic Wave"と題して、降雨等による内在損傷検出手法を供試体および実橋梁に適用した結果について報告した。本手法では、AE計測により降雨時の雨滴が路面に衝突した位置と分布を解析し、本来の分布からの乱れを元に、内在する損傷を検出する。本技術を用いて、実際に内在損傷検出に成功した成果について紹介した。発表後は活発な質疑が行われ、本技術に興味を持っていただくとともに、成果をPRできたものと思われる。実際に雨や水滴を内在損傷検出に利用できていることが興味を引いたようで、雨が強すぎて雨滴を分離できない場合に処理できるのか、複数の雨滴が同時に当たった場合どう処理するのか、などについて詳細な質問を受けた。分析には個々の雨滴が分離できる必要があることや、解析に有効でない雨滴の信号を除くフィルタリング方法などについて回答した。また、適度な雨の条件でしか計測できないのか、との疑問も出たため、散水車等を利用することで、人工的に最適な弾性波を発生させて計測することも可能である旨を回答した。

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図2 筆者の講演の様子

講演全体の傾向としては、参加者の所属によるところもあると思われるが、日本側の発表が橋梁等、道路インフラに関する講演が多かったのに対して、米国側からの発表では、3DプリンタによるAdditive Manufacturingや鉄道軌道に関する講演が目についた。
3Dプリンティング技術が普及、高度化してきており、従来にない構造の内部の欠陥検出は難しいようで、今後ニーズが広がっていくことが考えられる。鉄道に関しては、米国の広い国土を網羅する鉄道軌道を検査するには、環境変化に対応でき、効率に優れた検査技術が必要とされており、軌道の探傷を高度化する試みがいくつか見られた。
主な講演の概要について下記に紹介する。

“NDT and Additive Manufacturing: State of the Art, Opportunities, and the Path Forward”, Ahmed Arabi Hassen(Oak Ridge National Laboratory)
積層タイプの3Dプリンティング技術であるAM(Additive Manufacturing)を用いることで、大型で複雑な形状の物を製造することが可能になってきている中、新たな非破壊検査技術が必要とされているとの話であった。検出したい欠陥には、層間の分離、空孔、マイクロクラック、マイクロボイドなどがあるが、従来の検査手法では、アクセスが困難であったり、表面形状の影響を受けたり、深いところにある100㎛ オーダーの欠陥の検出が非常に難しいなどで、品質の検査に十分対応できない。今後、損傷検出技術の新たな適用先として、市場が広がる可能性も考えられる。

“Phased Array NDE for Railroads”, Troy Elbert (Herzog Servises, Inc.)
166, 000マイルに及ぶ米国の鉄道軌道を検査するための超音波フェーズドアレイ装置の開発について紹介された。使用環境により、レールが変形した場合など、従来の装置では本来の検出性能が出せなくなるのに対して、レーザースキャンにより変形を検出し、超音波の波面をそれに合わせて調整することで、精度を保ったまま効率良く点検できるように改良した。従来の装置でも47km/hの計測が可能であるが、少し計測するごとに調整が必要となり、これに時間を要するため効率的な検査ができなかった点が改善された。大量のインフラ等を検査するにあたって、移動しながら検査するにしても、我々のようにセンサを設置するにしても、計測の効率に加えて、計測に伴う付随作業の効率も非常に重要となることを再認識した。

(技術研究組合NMEMS技術研究機構 高峯英文)

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