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2018年5月

2018年5月24日 (木)

【平成30年5月の経済報告】

 本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

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今回は平成305月の経済報告をお届けします。

業務の参考として頂ければ幸いです。  

 内容は、以下のPDFをご参照下さい。


         

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2018年5月18日 (金)

IoTWorld2018参加報告

 

 2018年5月15日‐17日に米国・サンタクララで開催されたInternet of Things World 2018(以下、IoT World)に参加してまいりましたので、ご報告します。
               
 IoT Worldは毎年5月に米国・サンタクララで開催されるIoTに関する米国最大級のイベントであり、今年の講演者はのべ約350人、来場者は約12000人にのぼったことから、本イベントに対する注目度の高さが窺えるものとなりました。
               
 今年は各ブースにおいて実際の現場に即したユースケースを模すデモの展示が増えており、例年コンセプト展示が多かった本イベントですが、IoTゲートウェイの活用事例がより幅広く報告される回となっておりました。また、欧米の工場には日本と同じく古いインタフェースのシステムが未だ多く残るという工業先進国特有の課題がありますが、レガシーなシステムから直結しデータを収集するだけでなく、IoTゲートウェイに多数収容される外付けのセンサからデータを収集する活用事例も多数ありました。
               
 現在、産業機器等から吸い上げたデータの有価情報を効率よく取り出しクラウドに送信する、超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究に従事しておりますが、こうした本イベントの調査内容からいくつか抜粋してご報告します。
                  
                  
                  


図1 マウンテンビューの街並み
                  


 本イベントは、本年度もサンタクララ・コンベンションセンターで実施されました。サンタクララからサンフランシスコ方面にかけては世界有数のIT企業がオフィスを構えており、会場へ向かう途中にこれら企業のオフィスが点在し拠点を構える光景が目に入るのが印象的です。このような米IT企業から、経営者だけではなく、多くの研究者やエンジニアが講演者や出展者として参加するため、直にIoT先端技術における市場動向や課題点をヒアリングできる点も本イベントの特徴で、インダストリアル・インターネット・コンソーシアムが主導するテストベッドのような形での複数社共同による技術展示はあまり見られなかったものの、米国やその他の国々でのユースケースに関する調査をするには最適なイベントとなっておりました。
                  
                  
                  


図 2 会場周辺の様子
                  


 講演では膨大なセンサ群を管理・制御するための仕組みとしてIoTプラットフォームに言及する企業が多く、なかでもセンサ端末やゲートウェイのスケーラビリティやセキュリティに関しての課題が挙がっておりました。
                  
 単独センサとしてデータを即時に取得可能な端末と、そのデータを簡易的に可視化する画面で構成されるシステムの数は年々増えてきております。こうしたセンサ群から得た複数のデータを突き合わせて知見を得ようとした場合はデータを蓄積しアルゴリズムを適用するためのインタフェースが必要となりますが、これには一般的な方法として、DBに蓄積しバッチ処理としてセンサデータのクレンジングと呼ばれる前加工の処理や、分析を行う方法と、データをバッファしマイクロバッチ処理として処理する方法が考えられます。
                  
 本イベントでは有力なクラウドベンダによるリソース管理に関する講演もありましたが、膨大なセンサ群をクラウド側で管理することでスケーラビリティが担保できるものの、マイクロバッチ処理を行った際にセンサをきめ細かく制御するようなリアルタイムに近いレイテンシでの応答速度を出すことが難しいといった課題も存在します。
                  
 ただし、マイクロバッチ処理は1つのセンサデータが処理を行うために割り当てられる時間を制約条件として正しく規定し、時間内に応答を正しく返せない場合の扱いを正しく設計しないと後続するデータが渋滞しデータ欠損が発生するなど、システム全体のボトルネックともなりかねません。データ欠損を起こさせないため、センサデータに対する非同期的または並列的な処理の技術を活用する場合、各センサデータの時系列データを正しく突き合わせるためのアルゴリズムの設計が非常に複雑になりがちです。
                  
 マイクロバッチ処理の分析でできるだけ多くの間引けるデータを導き出すことで、有益なデータのみを集中的に大量に取得することが可能になると考えておりますが、マイクロバッチ処理によるレイテンシの優位性を確保しつつ、リソース管理にもスケーラビリティを持たせることが、膨大なセンサ群を扱うための鍵になると考えます。
                  
                  
                  


図 3 講演会場の様子
                  


                  
                  


図 4 各国の講演数(カンファレンス資料より算出)
                  


 今回行った技術動向調査のうち技術展示2件をご紹介します。
                  
 1件目は、A社の数百km以内の航空機からのストリーミングデータをリアルタイムにキャプチャし高速処理するIoT実機デモとなります。市販のADS-B受信アンテナと専用のハードウェアデコーダを利用し、高頻度でRawデータを受信し、市販のシングルボードコンピュータでデータ変換を行うバッチ処理を施した後、A社DBに転送し、インターネットから取得可能な航空データと地理空間情報を突き合わせ、航空機の飛行速度、ルート、距離を算出することで、多数の航空機のリアルタイムの可視化を行うようです。本例はあくまでデータベース用のコンセンプトデモということでしたので、ADS-B受信アンテナが大量に航空データを受信した場合にシングルボードコンピュータでのデータ前加工処理にどれだけの負荷が掛かるかには言及されておりませんが、多数の飛行機から受信される膨大なセンサデータを扱うためには、シングルボードコンピュータの処理能力を最大限に引き出し、許容されるレイテンシのなかで適切にデータを間引くことができる加工処理を行うことが重要になってくると思われます。
                  
 2件目は、B社によるIoT機器への不正なファームウェア更新の防止デモとなります。Common Criteriaにおいてランク付けされるセキュリティ要件のうち、改ざん防止対策としてのセキュリティ実装を要件定義・設計段階から計画できるような高い基準を満たすSDKを実装しております。実行メモリ展開時にのみ復元されるセキュアイメージのブートや、ファームウェアおよび組込みデータのIoT機器導入後の改ざんを防止しているのが特徴で、特に、IoT機器での装置開閉といった物理的なアクセスが可能なことによる短期間での攻撃試行回数を容易に増加させる攻撃に対して、データを耐タンパ領域に保護すること攻撃の根本を絶っている点が特徴です。
                  
 サイバー攻撃に関して既知の脆弱性の対策をとることは不可欠ですが、IP層での遮断だけでなく物理的レイヤやアプリケーションのレイヤまで一貫して多段的に防御可能なアーキテクチャを検討していかなければなりません。特に、IoT機器やPLC等の装置と双方向性を有するアーキテクチャの場合、脆弱な機器がサイバー攻撃の侵入経路となる可能性が非常に高いため、IoTゲートウェイのアプリケーションの不具合を悪用されて行われる、IPレベルでは遮断不可能なアプリケーションレイヤでの攻撃、を防ぐための仕組みを検討していかなければならないと考えております。
                  
 本イベントでは、収容可能なセンサの数が年々増加するなかで担保しなければならないセキュリティやリソース管理のための技術的課題が健在化しているように感じました。
                  
 また、細かな測定ルールや周辺環境の条件が変化した場合に、迅速なカスタマイズ、またはカスタマイズなしにIoTゲートウェイを即時適用するためには、IoTゲートウェイとセンサ端末のプラットフォームを構築するほかにIoTゲートウェイそのものを管理するための統合的なダッシュボードも迅速に提供しなければなりません。熟練工によらず現場監視を的確に行うためには、現場で起きる異常をユーザが異常として把握できる必要がありますが、IoTゲートウェイを扱う現場作業者が異常に対して原因と事象の関係性をうまく把握できるよう、蓄積されたデータ群を適切かつ迅速にドリルダウンできるダッシュボードを構成するための技術も検討されなければならないと考えます。
                  
 今後もこうした技術動向調査で得られた知見をベンチマークに、研究開発を進めていきたいと考えております。次回のIoT Worldは、2019年5月13日~16日に開催が予定されております。
                  
                  
                  

技術研究組合 NMEMS技術研究機構 相見 眞男
                  

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2018年5月16日 (水)

2018 第24回「国際マイクロマシンサミット」アルゼンチン、ブエノスアイレス開催報告

 マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する場です。日本の提案により平成7年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。

 2018年は5月14日(月)から16日(水)までアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されましたので報告致します。南米での開催は、2014年にブラジル・サンパウロに続く2回目になります。今回のトピックスは、農業や畜産大国のアルゼンチンらしく”Agro-food & Environment. Other related applications and results from new and highly relevant R&D actions”でした。アルゼンチンは日本の国土の7.5倍で南米大陸の南部に位置し、人口は約4400万人です。日本からは東京大学の伊藤寿浩教授を団長に、マイクロマシンセンターの国際交流担当として三原が出席しました。今回のオーガナイザは、Argentinean Nanotechnology FoundationのDaniel O. Lupi所長でした。開催場所は、アルゼンチンの首都であるブエノスアイレスの中心地・サンニコラス地区で、サンマルチン将軍広場に近い、歴史のあるDazzler Hotel San Martineであり、アルゼンチンの大統領府であるレンガ色のカサ・ロサダ(愛称・ピンクハウスと呼ばれる)にも徒歩で15分程度の最高の場所でした。


写真1 開催場所 Dazzler Hotel San Martine


写真2 開催場所の通り


写真3 レセプションの様子

 今回は立地的な理由もあって参加者が少なく、13の地域から31名のデレゲイトが参加されました。

 一日目は各国の現状を報告するカントリーレビューで、各国の産業&技術政策状況、特に農業や畜産におけるマイクロシステムやセンサに関する話題提供があり、日本からも現在進行中のMEMSやIoTに関する国家プロジェクトの紹介と共に、今回のMMサミットのテーマにマッチした養鶏や畜産でのセンサIoTを使ったセンサシステムの研究状況を、伊藤団長から話題提供をされました。(伊藤寿浩教授はセンサIoTを使った鳥インフルエンザの研究を発端に、動物、更に様々な構造物のモニタリングを専門とされている)カントリーレビューは、ドイツ、オーストラリア、中国、韓国、リベリア半島、日本、ラテンアメリカ、英国、ルーマニア、イタリア、フランス、スイス、ECの順番で報告がありました。


写真4 オーガナイザのLupi氏と会場の様子


写真5 集合写真に集まったデレゲイト


写真6 伊藤教授による日本のカントリーレビュー

 マイクロマシンサミットでは、会期中の交流会で、その国の文化を理解するカルチャーイベントが楽しみですが、今回はアルゼンチンタンゴでした。流石はアルゼンチンの首都らしく、アルゼンチンタンゴを上映する劇場が何軒も並んでいましたが、我々はMadero Tangoでタンゴショウを楽しみました。演劇+ミュージカル+タンゴダンスと言った感じで、たっぷり2時間の講演でした。

 二日目は、個別話題の講演会で、16件の発表と農業や畜産におけるセンサやIoTの取り組みを議論するラウンドテーブルがありました。日本からの発表は昨年に引き続き国際標準化の重要性と各国の参加を呼び掛ける内容でした。


写真7 タンゴショウの会場


写真8 劇場の様子

 サミットの翌日は、テクニカルツアーとしてブエノスアイレスのマイクロシステムやナノテクの研究機関3カ所を回りました。

 最初はバイオサイエンス研究センタCIBION(Bioscience Research Center)です。特に興味深いテーマとして、生きたままの数ナノメートルの細胞を操作するレーザ操作顕微鏡を使った研究の紹介がありました。光学顕微鏡を使うと波長の半分程度にしかビームを縛れないために数ナノメートルの細胞を扱うことは出来ませんが、様々な工夫(被検出物やレーザビームへの操作)を行うことで実現しています。


写真 9 バイオサイエンス研究センタ


写真 10 説明の様子

 2ヵ所目は日本の産業技術(総合)研究所に相当するNational Institute of Industrial Technologyでした。ここには半導体やMEMSの研究施設があって、マイクロTAS等を研究開発すると同時に、IoTに必要なセンサ+MPU+無線と言った応用研究も行い、これを使った企業の事業化にも貢献しているようです。


写真 11 研究所の玄関


写真 12 説明の様子

 最後はアルゼンチンのナノテク研究所である、Argentinian Nanotechnology Foundationです。 ここではナノテクの最先端解析装置を中心に見学しましたが、そのナノ材料を使った応用分野の研究も興味深いものでした。特にカーボンファイバー含有ゾルを使った薄膜タッチセンサを使って、靴のインソールを作成し、靴内部センサ回路や無線回路を組み込んで足の圧力分布を計測するシステムは完成度が高く、今後は実用化と、その効果を検証していくとのことでした。


写真 13 研究所のエントランス


写真 14 会議室

 次回、2019年のマイクロマシンサミットは、中国・西安(Xi’an)で開催されることが決まりました。コーディネータはNorthwestern Polytechnical UniversityのWeizheng Yuan教授です。

(MEMS協議会 国際交流部 三原 孝士)

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2018年5月11日 (金)

国際アフィリエート(SHTP Lab、ベトナム)来訪、MEMSに関する情報交換会を開催

 MEMS協議会では、MEMSビジネス内外交流事業の一貫として国際交流事業を行っており、海外のMEMS関連研究機関との交流も活動の大きな柱になっています。2018年5月10日(木)に、MEMS協議会の国際アフィリエートでもあるベトナムのSHTP Lab(http://shtplabs.org/?page_id=133&lang=en)より訪問団が一般財団法人マイクロマシンセンター(MMC、秋葉原本部)を来訪され、MEMSに関する情報交換会を開催致しました(写真1参照)。以下、その時の内容をご報告致します。

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           写真1 意見交換会の様子

 今回来訪されたベトナム訪問団は、SAIGON HI-TECH PARK MANAGEMENT BOARDHCM CITY, RESAERCH LABORATORIES CENTERのNgo Vo Ke Thanh所長とNguyen Van Tam研究員及びホーチミン市立サイゴンハイテクパーク研究所の科学ディレクターでもある立命館大学杉山進名誉教授の3名でした(写真2参照)。

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写真2 ベトナム訪問団の皆様(右から杉山科学ディレクター、Ngo所長、Nguyen研究員)

 当日は 双方の活動紹介を行って意見交換会を行いました。SHTP LabはベトナムにおけるMEMSの産業化をサポートする研究センターで、6インチのMEMS試作ラインを有して、ホーチミン市のスマートシティ構想における道路の冠水・排水モニタリングや大気汚染モニタリング等の研究開発を行っているとのことでした。また、マイクロマシンセンターとより密接な交流を希望されており、MMCのMNOIC(MicroNano Open Innovation Center)やファウンダリネットワークサービスの活用やSHTP LabのセミナーでのMMCの紹介等の交流を今後積極的に進めることで合意しました。

 MEMS協議会・国際交流事業では今後もこのようなビジネス交流を積極的に行う予定です。

              (MEMS協議会国際交流担当 武田 宗久)

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