« 2017年9月 | トップページ | 2017年11月 »

2017年10月

2017年10月25日 (水)

南欧州大規模インフラモニタリングの現地実態調査報告

 日本より先行して様々な活動が行われている南欧州(スペイン、イタリア、スイス)における大規模インフラモニタリングの現状を把握するため、2017年10月14日(土)~ 10月25日(水)に下山リーダを団長とする8名の調査団(五十音順:伊藤寿浩、奥西史伸、塩谷智基、下山勲、武田宗久、中嶋正臣、橋本勝文、渡部一雄)を組んで、南欧州大規模インフラモニタリングの現地実態調査を行いました。

 今回調査しましたのは、次の組織と大規模インフラです。
(1)LACIAID of ORITIA & BOREAS(Granada, Spain)
(2)The Béznar Dam(Granada, Spain)
(3)Structural Engineering Group, University of Sevilla
  (Sevilla, Spain)
(4)El Alamilo Bridge & La Barqueta Bridge(Sevilla, Spain)
(5)Center for Advanced Aerospace Technologies (CATEC)
  (Sevilla, Spain)
(6)Politecnico di Trino(Turin, Italy)
(7)Reggia di Venaria(Turin, Italy)
(8)Marchetti Bridge(Turin, Italy)
(9)Murisengo gypsum cave(Turin, Italy)
(10)EPFL  (Lausanne, Switzerland)
(11)Chillon Viaduct (Veytaux, Switzerland)

 以下に各調査先での調査結果の概要を報告します。

(1)LACIAID of ORITIA & BOREAS(Granada, Spain)の調査
 風工学をベースに橋梁、高層建物等の大規模インフラの解析やモニタリングを実施しているコンサルタント会社であるORITIA & BOREASを訪問しました。ORITIA & BOREASはグラナダ大学のJosé Terrés-Nícoli教授らが2010年に設立した大学スピンオフ会社です。ORITIA & BOREASが建設中(外観ができたところで、内部の水平及び垂直の風洞設備はこれから製作し、2018年完成予定)のスペイン最大の風洞設備(写真1:外観、写真2:内部、写真3:外構造を支えるヒンジ構造)があるLACIAD(LABORATORIO DE AERODINÁMICA CIVIL, INDUSTRIAL, AMBIENTAL Y DEPORTIVA: Civil, Industrial, Environmental and Sports Aerodynamics Lab)(写真4:事務所入口)を見学するとともにTerrés-Nícoli教授と議論を行いました(写真5:Terrés-Nícoli教授からの説明の様子)。大規模インフラの状態を把握するために市販のひずみゲージや加速度センサを使っており、高性能のひずみ、加速度等のモニタリング技術は大規模インフラのモニタリング及び風洞実験において重要でRIMSで開発していますセンサシステムが使えれば有難いとのコメントを得ました。現状センサは有線ですが、サーバにあげられたセンサデータはスマホ等どこでも見えるようになっていました(写真6:スマホでのデータの表示の様子)。これらのことからRIMS技術の展開として大規模インフラのモニタリングは有望である感触を得ました。

12_3

  写真1 大型風洞設備外観       写真2 大型風洞設備内部

34_2

写真3 外構造を支えるヒンジ構造    写真4  LACIAD事務所入口

56_2

写真5 Terrés-Nícol教授説明の様子  写真6 スマホでのデータ表示

(2)The Béznar Dam(Granada, Spain)の調査
 大規模インフラとして、ダムのモニタリングを実施しているスペインのグラナダ近郊のBéznar ダム(写真7:ダム外観)の調査を行いました。Béznarダムは灌漑及び水力発電用のダムで、両側を重力方式の迫持台で支えられたアーチダムです。ダム頂上でのアーチ長さ213m、基礎からの中心高さは134mです。このダム周辺の地形は凝灰岩層等のはっきりした地層に分かれ(写真8:ダム監査廊内奥の地層)、また、縦に数cmから1m幅の割れ目(写真9:ダム監査廊内奥の割れ目)が多数存在しています。そのため、クラウド剤の充填等の対策を施してダムを建設していますが、その状態をモニタリングするために、6層の監査廊の中に割れ目幅計測の変位計(写真10)、加速度センサ(写真11)や振り子式電位差変位ゲージ(写真12)等種々のセンサを配置して、モニタリングを行っていました。振り子式電位変位計は写真12(左)の上部固定型と写真12(右)の下部固定型の両方を設置して精度を確保していました。なお、センサへの電源は有線でした。想像していたよりもはるかに大きい割れ目のモニタリングを実施しており、大規模インフラでの常時モニタリングの必要性を痛感しました。写真13に管理棟でのグラナダ大学Delgado教授の説明の様子、写真14に監査廊内での説明の様子、写真15にダムの前での集合写真を示します。

7_2

           写真7  Béznarダム外観89_2
 写真8 ダム監査廊奥の断層      写真9  ダム監査廊奥の割れ目

1011_2

   写真10 割れ目幅計測変位計    写真11 監査内設置加速度計

12_4

         写真12 振り子タイプ電位変位計
    (左:上部固定タイプ、中:拡大図、右:下部固定タイプ)

1314_2

写真13 管理棟でのDelgado教授の説明   写真14 監査廊内での説明

15_beznar
     写真15  Béznarダムの前での調査団の集合写真

(3)Structural Engineering Group, University of Sevilla(Sevilla, Spain)の調査
 スペインにおいて大規模インフラのモニタリングの活発な研究を実施しているセビーリャ大学の構造エンジニアリング部門を訪問しました(写真16:セビーリャ大校舎)。セビーリャ大学は1505年に創立された大学で、65,000人の学生を有するスペインのトップクラスの大学です。Mario Solís教授からセビーリャ大学における大規模インフラのSHM(Smart Health Monitoring)研究の紹介を受けました(写真17:Solís教授講演の様子)。Solís教授のグループでは以下のような研究開発を行っていました。
①加速度センサを用いた鉄道橋梁の振動特性に着目した健全性評価手法の研究
 ・列車高速化に伴い、橋梁の共振速度と列車速度が一致したときに振動が増加することを実験(計測)と解析により明らかにしていました。
②1568年に建築された建物(El Giraldillo)の塔の損傷評価
 ・加速度センサ、傾斜センサ、歪ゲージ、温湿度計、腐食プローブ等を2005年から塔につけて、風速と関連づけた動解析、モーダルパラメータの変動等から損傷を評価していました。
③橋の実稼働モーダル解析(Operational Modal Analysis)の研究
 ・Operational Modal Analysisは、構造物の固有振動数、固有モード、モード減衰比といったモーダルパラメータ求めることを目的として、実験的に対象物を加振することなく、人の歩行、自動車の通行、風などの時間的及び空間的な外力のみからモーダルパラメータを求める手法です。セビーリャ大学の構造工学チームでは、Operational Modal Analysisの手法を開発するとともに、セビーリャ市のEl Alamillo 橋、La Barqueta橋、El Guardián del Castillo橋やLa Cartuja橋等のモーダルパラメータを求めていました。
 また、下山リーダ(写真18:下山リーダ講演の様子)及び阪神高速の奥西課長代理(写真19:奥西課長代理の講演の様子)よりRIMS及び阪神高速の概要紹介を行うとともに意見交換を行いました(写真20:意見交換会会場の様子)。また、写真21にセビーリャ大学のテラスでの集合写真を示します。

1617_2

写真16 セビーリャ大校舎        写真17  Solís教授講演

1819_2

 写真18  下山リーダ講演      写真19  奥西課長代理講演

2021_2

 写真20 意見交換会会場       写真21  テラスでの集合写真

(4)El Alamillo Bridge & La Barqueta Bridge(Sevilla, Spain)の調査
 セビーリャ大学が実稼働モーダル解析を実施した長大橋であるEl Alamillo 橋と La Barqueta 橋を調査しました。El Alamillo 橋と La Barqueta 橋は1992年のセビーリャ万博の時に建設されたセビーリャ市を代表する橋です。
 特に、El Alamillo 橋は橋長200m、塔高140mの片持ち翼桁斜張橋で、その特徴的な構造から橋梁の世界では有名な橋です。El Alamillo 橋の全景を写真22に、橋塔前での集合写真を写真23に示します。加速度センサにより計測された固有振動数は0.4~3.32Hzでした。

2223el_alamilo_2

  写真22  El Alamilo 橋の全景     写真23 橋塔前での集合写真

 La Barqueta 橋は橋長:198.8mのアーチ橋です。La Barqueta橋の全景を写真24に、橋の袂でSolís教授から説明を受けている様子を写真25に示します。GPS付の加速度計を16地点に設置し、モーダルパラメータを求めた結果、固有振動数は0.7~6Hzであり、El Alamillo 橋よりも固有振動数が高くなっているのが分かります。

2425_la_barqueta_2

写真24  La Barqueta橋の全景   写真25 橋の袂でのSolís教授説明

(5)Center for Advanced Aerospace Technologies (CATEC)(Sevilla, Spain)の調査
 大規模インフラとして、航空機のモニタリングを実施しているCATECを訪問調査しました。CATEC(Center for Advanced Aerospace Technologies )(写真26:CATEC入口)はエアバス等がサポータとなっている非営利団体であるFADA(The Andalusian Foundation for Aerospace Development )の一つのセンターで、ロボット、3Dプリンタ等の付加加工、航空管制等の研究開発を行っています。航空機の非破壊検査やヘルスモニタリングの研究開発も行っています。Ms. ValderasからCATECの概要説明を受けた後(写真27:CATEC概要説明会場の様子)、実験室を見学させて頂きました。航空機体のひずみ計測のための光ファイバひずみ計測実験装置等を見学しました。写真28に玄関ロビーでの集合写真を示します。

2627catec_2

    写真26  CATEC入口      写真27  CATEC概要説明会場

28_
         写真28 CATEC玄関ロビーでの集合写真

(6)Politecnico di Trino(Turin, Italy)の調査
 イタリアにおける大規模インフラのモニタリングで活発な研究を実施しているトリノ工科大学(Politecnico di Trino)(写真29:トリノ工科大学の入口)を訪問し、大規模インフラのモニタリングに関して、幅広く意見交換を行いました(写真30:意見交換会場の様子)。トリノ工科大学は1859年に創立されたイタリアで最も古い工科大学で、33,000人の学生を有するイタリアのトップクラスの大学です。先ず、Chiaia副学長によるトリノ工科大学の紹介、Carpinterik教授による洞窟における中性子及びAE(Acoustic Emission)モニタリングによる地震予知の研究、Ventura准教授による橋梁のアクティブモニタリングの研究、Lacidogna准教授による歴史的建造物の劣化モニタリングの研究、道路保守点検会社(INFRA.TO)のCurrado本部長とCrovaプロジェクトマネージャによるトリノ市メトロの維持管理・モニタリング技術等の紹介を受け、トリノ工科大学が産業界と連携したレベルの高い研究開発を実施していることが把握できました。
 その後、下山リーダ(写真31:下山リーダ講演の様子)及び阪神高速の奥西課長代理(写真32:奥西課長代理講演の様子)よりRIMS及び阪神高速の概要紹介を行うとともに意見交換を行いました。写真33にトリノ工科大学入口での集合写真を示します。

2930

写真29  トリノ工科大学の入口     写真30 意見交換会場

3132
  写真31  下山リーダ講演       写真32 奥西課長代理講演

33_
        写真33 トリノ工科大学入口での集合写真

(7)Reggia di Venaria(Turin, Italy)の調査
 大規模インフラのモニタリングとして、歴史的遺産のモニタリングの可能性を調査するため、イタリアのReggia di Venaria(ヴェナリア宮殿)(写真34)を調査しました。ヴェナリア宮殿はサヴォイア家の狩猟場として16世紀末に建設されましたが、1693年にフランス軍の侵攻によって破壊されました。その後20年以上の歳月をかけ、修復され、サヴォイア家の王宮群の一つとして世界遺産登録されています。先ず、ヴェナリア宮殿保存修復センター(写真35ヴェナリア宮殿保存修復センター入口)を見学しました。ヴェナリア宮殿保存修復センターでは、彫刻の修復(写真36)、ミイラ棺の修復(写真37)、大絵画の修復(写真38)等を見学しました。大絵画の修復では大きな絵画をサポートするためテンション機構を設けていますが、絵画に大きな負荷を与えないための簡易なひずみ計測用のセンサ等のニーズがあることが分かりました。ヴェナリア宮殿保存修復センターでは過去の状態を忠実に再現するため、材料自身の基礎研究から内部の状態をモニタリングするためのX線透過装置(写真39)や形状を詳細にモニタリングする3次元変位計測装置(写真40)等の最先端計測装置を使った最先端の研究も実施していました。なお、歴史的遺産は古く、傷んでおり、材料自身がもろくなっているため、非接触・非破壊のモニタリング技術が必要とのことでした。
 ヴェナリア宮殿保存修復センター見学後、ピエモンテ州の王宮施設管理関係者と歴史的遺産の修復及び非破壊・モニタリング技術適用の可能性についての意見交換を行いました。意見交換会ではヴェナリア宮殿研修センターのMerlottiセンター長、La Mandria ParkのGrella所長、トリノ工科大学のVolpiano教授及びGrazzini博士からの講演並びに下山リーダからRIMSの紹介の後、意見交換を行いました。その結果、歴史的構造物のモニタリングの要求仕様をヴェナリア宮殿側で明らかにして頂き、トリノ工科大学の Lacidogna准教授を介して、今後連携をしていくこととしました。下山リーダの講演の様子を写真41に意見交換会後の集合写真を写真42に示します。

 3435pptx
    写真34  ヴェナリア宮殿    写真35 保存修復センター入口

3637  
   写真36  彫刻の修復        写真37 ミイラ棺の修復

3839x
   写真38  大絵画の修復        写真39  X線透過装置

40413d
写真40 3次元変位計測装置     写真41 下山リーダの講演

42__2
          写真42 意見交換会後の集合写真

(8)Marchetti Bridge(Turin, Italy)の調査
 イタリアでは2,000の高速道路橋梁と14,000の一般道橋梁があり、法規制により3か月毎の目視点検と1年毎の詳細点検が義務付けされており、点検コストの増大が問題となっています。この問題を解決する手法として、トリノ工科大学のVentura准教授は計算機モデルとセンサの実測データをリアルタイムで比較して異常を判断するアクティブモニタリングを提唱しています。今回イタリアにおける長大橋のモニタリングの調査として、このアクティブモニタリングの適用第1号であるMarchetti橋(写真43)の調査を行いました。
 Marchetti橋は河川(通常は殆ど水の流れなし)の洪水を機にデザイン会社SETECOが設計したアーチスパン250mのタイドアーチ橋で2015年に建設されました。法律で川底には橋脚を立てられないため、アーチスパンの長いタイドアーチ橋になっています。この橋の設計者であるSETECOのSimone Varni氏及びVentura准教授にMarchetti橋及びアクティブモニタリングシステムの説明を受けました。全てのサスペンションケーブル終端部の張力のほか、傾斜、加速度、温度、風力などを約30のセンサにより、2015年からアクティブモニタリングを行っています。センサは米国製(軍事仕様)で、現在のところ故障は一つもなく、20年程度の使用を見込んでいるということです。電源は既設の電源ラインから取られていました。サスペンションケーブル終端部に取り付けられたロードセルと傾斜計を写真44、写真45に示します。これらセンサからの信号はデータ収集装置(写真46)を経由して、橋の袂の橋梁管理室のサーバに送られ、サーバにおいて構造的挙動の解析が実施され、橋梁を視覚的に表現したユーザインタフェース(写真47:モニタ画面)にその結果が表現されるシステム構成となっています。モニタリング結果はデイリーで管理者にメールで送信されますが、日々のサマリデータを残して生データは廃棄されているとのことでした。検査路内及び橋梁管理室でのVentura准教授の説明の様子を写真48、写真49に示します。

4243marchetti 
    写真43  Marchetti橋         写真44 ロードセル

4546

     写真45  傾斜計          写真46 データ収集装置

47__2
           写真47 モニタ画面

4849
  写真48 検査路内での説明   写真49 橋梁管理室での説明

(9)Murisengo gypsum cave(Turin, Italy)の調査
 大規模インフラとして、鉱山のモニタリングの可能性を調査するため、Murisengo石膏採掘洞窟の調査を行いました。トリノ工科大学のCarpinterik教授のグループでは、石膏採掘場の地下約100m地点の岩盤にて主に地震検知を目的としたモニタリングを実施しています。AE、電磁波、中性子(Neutron)の3種をモニタしています。2013年に設置し、これまでに地震に伴う主振動の予兆をこれら信号により数日前から検知した実績があるとのことでした。AEの検知帯域は50kHz~800kHzで、採掘のための発破振動は50kHzよりも低域のため、モニタリングには影響しないということでした。電磁波は2MHz以上の帯域を検知していますが、地上と違い、放送や通信による妨害電波の影響を受けないため特別なノイズ除去は不要とのことでした。洞窟内計測現場と設置されたAEセンサ及びNeutron検出器を写真50に示します。各センサへの電源は既設の電源ラインからとっていました。洞窟内は暗渠で振動も少なく自立電源化は困難です。写真51に洞窟入口での集合写真を示します。

50_
       写真50 洞窟内計測現場と設置されたセンサ

51_
           写真51 洞窟入口での集合写真

(10)EPFL  (Lausanne, Switzerland)の調査
 スイスにおける大規模インフラのモニタリングで活発な研究を実施しているEPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)のBrühwiler教授を訪問し、意見交換を行いました。 EPFLは1969年に創立されたフランス語系のスイス連邦工科大学で、約10,000人の学生を有する世界有数の工科大学です。
 Brühwiler教授からEPFLにおける大規模インフラの長期モニタリングによる疲労評価とUHPFRC(Ultra-High Performance Fiber Reinforced Cement-based Composites)による補強の研究内容(写真52:Brühwiler教授の講演の様子)及びインフラ管理のコンサルタント会社であるIMDMのPutallaz社長からアセットマネージメントの事業紹介(写真53:Putallaz社長の講演の様子)を受けるとともに、武田室長からRIMSの概要を説明し、RIMSの広報を行いました(写真54:武田室長の講演の様子)。また、京都大学の橋本講師より非破壊検査の研究紹介(写真55:橋本講師の講演の様子)を行って、大規模インフラにおけるモニタリング及び非破壊検査に関して幅広い意見交換を行いました。写真56にEPFLの食堂での集合写真を示します。
 Bruhwiler教授は長期モニタリングで構造物の挙動を正確に把握して、UHPFRCで補強して橋梁の寿命及び維持費用の削減を目指すExamineering(examination engineering)という構造物の維持管理概念を提唱しており、橋梁だけでなく、風力発電のタービンなど大型の構造物に適用しています。利用しているセンサは基本的には従来型のひずみゲージであり、電源は既設の電源ラインから取っていました。橋梁の場合は鉄筋のひずみを直接測定しています。タービンはブレード、主塔、軸受などのひずみ計測を行ない、設計寿命より10倍以上持つと判断したケースもあるとのことでした。基本的な方針は既存の構造物を出来る限り長持ちさせていくというスタンスです。

5253epfl
写真52  Brühwiler教授の講演      写真53  Putallaz社長の講演

5455
 写真54  武田室長の講演       写真55  橋本講師の講演

56_

           写真56  EPFLの食堂での集合写真

(11)Chillon Viaduct (Veytaux, Switzerland)の調査
 EPFLがモニタリングを実施している長大橋であるChillon高架橋(写真57)を調査しました。Chillon高架橋は1969年に建設された全長2×2,210m、スパン長92m~104mの箱桁PC橋です。EPFLが箱桁内に設置したセンサにてモニタリングを実施しています。長期(1年以上)のモニタリングで疲労の有無を判断します。疲労は基本的に鉄筋のひずみのデータから判断します。コンクリートのかぶりをはつって直接鉄筋にひずみゲージを設置(写真58)して、主鉄筋と配力筋の両方のひずみを測定します。また、道路幅方向のひずみのように、十分なひずみ値が得られないケースのために、床版下面に特別なひずみ拡大治具(橋軸方向、直行方向に2段のひずみセンサを設置する治具:写真59)を作製し、現地で実証実験も行っていました。写真60に箱桁内の計測システムを示します。サンプリングレートは100Hzです。交通荷重の影響や温度変動はノイズとして排除した上で判断します。疲労の変化曲線に応じて補修の必要の有無を判断し、その結果踏まえて、2014年~2015年にUHPFRCの補強工事を行い、引き続きモニタリングを実施していました。電源は既設の電源ラインからとっていました。
 なお、ETH(スイス連邦工科大チューリッヒ校)による加速度センサ(写真61)も設置されていました(固有振動の変化のモニタリング)。写真62に箱桁内での説明の様子、写真63に道路デッキでの集合写真を示します。

5758chillon
    写真57  Chillon高架橋        写真58  ひずみゲージ

59_
             写真59 ひずみ拡大治具

6061g
写真60  箱桁内の計測システム       写真61 ETH加速度センサ

6263
 写真62 箱桁内での説明     写真63 道路デッキでの集合写真

 今回の調査で、南欧州(スペイン、イタリア、スイス)の大規模インフラのモニタリングの実態を把握することができました。また、下山リーダから各所でRIMSの紹介をしていただき、RIMSの活動を関係者に理解頂いて広報が図れました。今回の訪問先では我々の開発している技術にも興味を持って頂いており、今後今回の訪問先とは引き続き連携を図る予定です。

NMEMS南欧州大規模インフラモニタリング実態調査団:伊藤寿浩、奥西史伸、塩谷智基、下山勲、武田宗久、中嶋正臣、橋本勝文、渡部一雄)

| | コメント (0)

2017年10月19日 (木)

【平成29年10月の経済報告】

本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

16768993_2

                             

 10月も中旬となり紅葉が美しくなる季節となりましたが、相変わらず雨の日が続きかつ寒さがきつくなってきました。今回は平成2910月の経済報告をお届けします。

業務の参考として頂ければ幸いです。  

 内容は、以下のPDFをご参照下さい。

   「2017.10.pdf」をダウンロード

| | コメント (0)

2017年10月13日 (金)

IEC/TC47国際標準化会議(2017年10月9~13日)

 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)の国際標準化会議が、10月9日から13日まで、ロシア・ウラジオストクにて開催されました。
 
  
ウラジオストク市内             TC47会議場
 
 10月9日に開催されたTC47/WG7会議(半導体デバイス エネルギーハーベスタ、エネルギー変換・伝送分野)には23名(日本10、韓国10、中国1、ドイツ3)が出席し、現在審議中の規格案の審議状況について、主査から報告の後、意見交換が行われました。東京大学鈴木雄二教授からは、先生がプロジェクトリーダ(PL)として提案の「低消費電力電子機器向けの力学的環境発電デバイスの試験方法」が、現在、委員会ドラフト(Committee Draft, CD)が回付中の状況である旨、報告がなされました。

WG7会議風景

 10月10日には、TC47/SC47E/WG1-2会議(個別半導体、センサ・高周波デバイス分野)が開催され、28名(日本8、韓国14、中国5、IEC事務局1)が出席し、現在審議中の規格案についての意見交換が行われました。また、今後提案予定の案件を各国が紹介するFuture workプレゼンテーションでは、日本から、現在、経産省の国際標準獲得・普及促進事業としてマイクロマシンセンターがとりまとめて取組み中の「スマートセンシング・インタフェースに関する標準化」に関して、次世代センサ協議会大和田邦樹専務理事より発表を行いました。韓国、中国に加え、ドイツ等の他国の出席があった10月12日に開催のTC47/SC47E全体会議でも、本件のFuture workプレゼンテーションを実施し、TC47/SC47E/WG1において2018年3月に規格案の提案を行うことが、両会議で了承されました。


WG1-2会議風景

 10月11日にはTC47/SC47F/WG’s&MT会議(MEMS分野)が開催され、27名(日本10、韓国10、中国5、ドイツ1、IEC事務局1)が出席し、現在審議中の規格案についての意見交換が行われました。日本提案である「MEMS圧電薄膜の特性測定方法(PL:神戸大学神野伊策教授)」が9月に国際標準として発行されたことが報告されるとともに、MEMS圧電薄膜の信頼性評価方法(神戸大学神野教授)」、「フレキシブルMEMSデバイスにおける曲げ信頼性試験(名古屋工業大学神谷教授)」について審議状況説明・内容紹介を実施し、今後の審議における各国への協力要請を行いました。また、SC47Fの国際幹事を9年務め、今年6月に交代したマイクロマシンセンターの竹内南に、IECより感謝状が授与され、セレモニーが行われました。6月からはマイクロマシンセンターの三原孝士が国際幹事に就任し、竹内は引き続き国際副幹事としてサポートを行っています。


感謝状贈呈式

竹内氏への感謝状

 10月12-13日はTC47/SC47F全体会議、TC47全体会議が開催され、各WGおよびSCにおいて決議された内容について各主査及び議長から報告が行われました。

 次回の本会議は来年10月に韓国・釜山で開催される予定です。

                  調査研究・標準部 大中道 崇浩

| | コメント (0)

2017年10月11日 (水)

IEC(国際電気標準会議)から竹内 南 主幹研究員に感謝状授与

 去る2017年10月にIEC(国際電気標準会議)の総会がロシア・ウラジオストクで開催され、その期間中に執り行われましたIEC/TC47(半導体分野技術委員会)傘下のSC47F(MEMS分野分科委員会)のワーキンググループ会議(2017年10月11日)において、SC47Fの国際幹事を9年(2008年~2017年)務め、今年6月に交代したマイクロマシンセンター 調査研究・標準部の竹内 南 主幹研究員に、IECより感謝状(Certificate of Appreciation)が授与されましたので、報告致します。

 27名(日本10、韓国10、中国5、ドイツ1、IEC事務局1)の出席者のもと、本会議中に、IEC事務局Suzanne Yapさんから感謝状の贈呈が行われました。


IECから授与の感謝状


感謝状贈呈の様子


記念プレゼンテーションの様子

 また、贈呈式に続き、竹内から、「Advices for convenors and project leaders from my personal experiences of IEC works」と題して、記念プレゼンテーションが行われました。マイクロマシンセンターは、2008年のSC47F発足以前から、MEMS分野での国際標準化活動に積極関与し、2008年SC47F発足に際し、竹内が国際幹事に就任し、日本が幹事国として世界を牽引してきました。現在、SC47Fの発行済み国際規格は28件を数えるに至り、うち13件が日本提案となっており、日本が大きなプレゼンスを示すことができております。

 なお、6月からはマイクロマシンセンター調査研究・標準部の三原孝士主幹研究員が国際幹事に就任し、竹内は引き続き国際副幹事としてサポートを行っていきます。

調査研究・標準部 大中道 崇浩

| | コメント (0)

2017年10月 6日 (金)

「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」、盛況の内に閉幕

                  
                  

  2017年 10月 4日(水) から6日(金)まで幕張メッセで開催された「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」は、3日間の開催期間を終え、盛況の内に閉幕しました。来場された皆様方に御礼申し上げます。特に、最終日である6日(金曜日)は、午後から雨との予報にもかかわらず多くの来場者がありました。
   最終日は、国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム及びスマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウムが12:30から16:40まで開催され、多くの聴衆が熱心に聞き入っておりました。
                  
   以下は、シンポジウムでご講演頂いた講師の方々です。

                  

                  CEA LETI Fellow Dr. Marc Duranton
                  
                  

                  Fraunhofer Institute Dr. Mario Baum
                  
                  

                  メガチップス 米田秀樹氏 
                  
                  

                                                     Micralyne Inc. Mr.Collin Twanow
                  
                  
                  

                  東京女子医大 村垣善浩教授
                  
                  

                  首都大東京 五箇繁善准教授
                  
                  

                  産総研 山本 淳グループ長
                  

    今回ご来場頂きました皆様に御礼申し上げます。
                  
    来年は10月17日(水)~19日(金)に今回と同様、幕張メッセにおいて、CEATEC JAPANと同時開催を予定しております。
                  
    また来年もご来場頂けますよう関係者一同お待ちしております。
                  
                  
                  

                  

| | コメント (0)

「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」最終日(3日)を迎える


                  
                  

                  

                  
   盛況開催中の「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」は本日、最終日3日目を迎えました。
   昨日2日目も初日同様、展示会場は、IoTに不可欠な技術分野ということで来場者からも関心が高く、例年にも増して多くの来場者にあふれた活気に満ちた会場風景となりました。
                  
   本日は、国際マイクロマシン・ナノシンポジウムを開催いたします。
                  
                  

                  

 最終日もよろしくお願い致します。
                  
  昨日開催した研究開発プロジェクト成果報告会では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や国から受託し、研究開発を進めているプロジェクトについて、各プロジェクトの責任者から報告がなされ、聴衆者が熱心に聞き入っていました。
                  
                  
                  


                  司会・進行を行う長谷川専務理事
                  
                  

                  特別講演を行う 経済産業省 徳増伸二参事官
                  
                  

                  LbSSの成果発表を行う 東大 藤田教授
                  
                  

                  RIMSの成果発表を行う 東大 下山教授
                  
                  

                  ULPACの成果発表を行う 産総研 柳町主任研究員
                  
                  

                  UCoMSの成果発表を行う 東大 伊藤教授
                  
                  

                  AIRsの研究開発を発表する 東大 下山教授
                  
                  

                  講評を行う NEDO 弓取ロボット・AI部長
                  

| | コメント (0)

2017年10月 5日 (木)

「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」2日目を迎える

                  

   開催中の「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」の1日目の様子をお知らせします。まず、展示会場ですが、IoTに不可欠な技術分野ということで来場者からも関心が高く、CEATECからの来場者も多く活気に満ちた会場風景となりました。

   本日は、研究開発プロジェクト成果報告会を開催します。プログラムは、以下のとおりです。本日もご来場をお待ちしております。

                  

                  

   昨日開催しましたMEMS協議会フォーラムには、多くの参加者があり盛況の内に終了しました。                   

                  
                  開会挨拶 MMC青柳副理事長
                  
                  
                  MMC調査研究・標準部長 大中道崇浩
                  
                  
                  MNOIC開発センター長 荒川雅夫
                  
                  
                  会場風景
                  
                  
                  立命館大学理工学部 教授 小西 聡
                  
                  
                  MMC産業交流部長 今本浩史

続きを読む "「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」2日目を迎える"

|

2017年10月 4日 (水)

MEMSセンシング&ネットワークシステム展2017開幕

  本日10時、10月4日(水)から6日(金)までの3日間を会期とした「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」が開幕しました。会場は、幕張メッセ内の国際展示場7及び国際会議室302です。

   MEMSセンシング&ネットワークシステム展 2017」には、早朝からの小雨にも関わらず開催時から多くの来場者が訪れ、スマートMEMS、最先端センサー&デバイス、技術開発プロジェクトが一堂に会する展示会として活況を呈しています。                  

Dsc00669

                  

Dsc00671

                  

Dsc00675

              

  今回は、『CEATEC2017』と同時開催を行っており、お互いの参加者が行き来できる環境が整っています。また、昨年と同様に国内外のフォトニクス製品・技術が集結する先端光技術の展示会である『InterOpto』と共同開催しています。いろいろな分野で、幅広い最新技術・動向も併せてご覧頂けますので、明日以降も奮ってご来場方お願い致します。(事前登録で入場料は無料となります。)    

 本日開催のMEMS協議会フォーラムのプログラムは以下のとおり。                                   Photo_2

  会場では、IoT分野の核となるMEMSセンシング&ネットワークシステム分野の未来ビジネスの核となる先端技術の紹介や、先進プロジェクトや産学連携の情報を提供致しますので、皆様のご来場をお待ちしております。

(一般財団法人マイクロマシンセンター 水島)
                  
                  
                  

                  

| | コメント (0)

2017年10月 3日 (火)

NEDO委託事業「空間移動時のAI融合高精度物体認識システムの研究開発(AIRs)」がキックオフ

 このたび国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「次世代人工知能・ロボット中核技術開発/次世代人工知能技術分野(先導研究)」において、国立大学法人東京大学、国立大学法人電気通信大学、国立研究開発法人産業技術総合技術研究所、オリンパス株式会社、株式会社デンソー及び一般財団法人マイクロマシンセンターの産官学連携チームが受託した「空間移動時のAI融合高精度物体認識システムの研究開発(AIRs)」がスタートし、それに伴い第1回研究推進委員会・キックオフ会議を10月3日(火)、東京大学工学部2号館3階31A 機械系会議室にて実施しました。本キックオフ会議には、経済産業省及びNEDOからのご来賓の臨席を賜り、プロジェクトに参画する各社/各機関の研究者及び事務局メンバ総勢30名が参加しました。

 全体の研究開発管理や試作開発を受け持つマイクロマシンセンター長谷川専務理事からのご挨拶と併せてのご来賓紹介の後、ご来賓の方々のご挨拶を賜りました。

 その後研究推進委員会の本題として、キックオフにあたっての研究開発の取り組み概要について以下の通り報告しました。

  • 1)スタートに当たっての取り組み概要と方針:研究開発責任者下山先生(東京大学、図1下山先生報告)
    2)各研究開発の取り組みについて
    • ①革新センサ情報に基づいた次世代人工頭脳:高畑研究員(東京大学)
      ②プラズモニックワイドバンドイメージャ:菅研究員(電気通信大学)
      ③高精度分子慣性ジャイロ:高畑研究員(東京大学、高橋研究員代理)
      ④プロジェクト推進:小池研究員(マイクロマシンセンター)


図1 下山先生報告

 この後、特に本研究開発のポイントである人工知能に関して、本研究のAI研究開発責任者である原田先生(東京大学、図2原田先生報告)が、「多波長カメラを活用したAI認識」について報告しました。

 
図2 原田先生報告

 最後に、これらの報告を踏まえてご来賓の方々のご講評を頂き、先導研究としての取り組みの成果の最大化と本格研究等繋げていくことへの期待やそれに向けての激励を頂きました。研究員全員で目標達成に向けプロジェクトを推進してくことを確認して、キックオフ会議を閉会しました。

 またキックオフ会議のあと、意見交換会を開催して、研究者間で活発な意見交換がなされました。今後得られました成果については、適宜発表したいと存じますので、ご期待ください。

→空間移動時のAI融合高精度物体認識システムの研究開発(AIRs:AI-enabled Innovative Recognition System for spatial mobile Robots) 
    HP:http://mirai.la.coocan.jp/airs/index.html

             (マイクロマシンセンター 小池智之)

| | コメント (0)

« 2017年9月 | トップページ | 2017年11月 »