« 2017年7月 | トップページ | 2017年9月 »

2017年8月

2017年8月30日 (水)

WCEAM2017技術展示及び大規模インフラモニタリング調査報告

 12th World Congress on Engineering Asset Management(WCEAM2017:http://2017.wceam.com/)が2017年8月2日(水)~8月4日(金)にオーストラリアのブリスベンコンベンションセンターにおいて開催されました(写真1:会場のコンベンションセンター入口、写真2:オープニングのスライド)。

1

       写真1 会場のコンベンションセンター入口

2

          写真2 オープニングのスライド

 本国際会議において技術展示を行うとともにRIMS技術の大規模インフラモニタリングへの展開可能性に関して調査をしましたので、その内容について以下に報告致します。

(1)WCEAM2017

WCEAM2017はThe International Society of Engineering Asset Management (ISEAM,www.iseam.org)が開催する年次大会で、全世界のアセットマネージメントに関連する産学官の関係者が集まり、最先端技術、産学間連携、応用展開について議論する国際会議で、今年12回目を迎えました。今年度は振動工学に関する国際会議VETOMAC-XIII (Vibration Engineering and Technology of Machinery)と共同開催されました。本年度は約250名が参加し、活発な議論が行われていました。セッション構成を表1に示しますが、7件のキーノートスピーチ、4件のパネルセッション、3件のワークショップ、3件のミニコースと20件のテクニカルセッションが行われました。キノートセッション以外は4パラレルセッションで行われました。

        表1 WCEAM2017のセッション構成

1wceam2017

 センシング・モニタリング関連のセッションは紫で示した4セッションがありました。今回NDT & AE in Condition Monitoringのセッションが設けられ、RIMSプロジェクトのメンバーである京大の塩谷特定教授が” Advanced NDT contributing performance evaluation of civil structure”と題する招待講演(写真3:塩谷先生の講演の様子)を行われるとともに、東芝の渡部氏がRIMSの成果の発表(写真4:渡部氏講演の様子)を行いました。

3

           写真3 塩谷先生講演様子

4

            写真4 渡部氏講演の様子

 アプリケーション関連のセッションとしては、緑で示したPublic Assets(鉄道、道路含む)、Energy Assets、Water Assets、Defence Assets、Health Infrastructureの5セッションがありました。Assets Managementの対象としては発表件数からも分るように、石油、石炭、風力、水力等の発電施設を含むEnergy Assetsが最も多いことが分かりました。その他としては、上下水道関係のWater Assetsが次に多く、鉄道、道路を含めたPublic Assetsが次に続くことが分かりました。現在オーストラリアでは艦船の老朽化が進んで、更新の計画があることから、今回はオーストラリアから4件のDefence Assetsの発表がありましたが、これは特殊事例と考えて良いと思います。これらのことから道路インフラモニタリング技術の大規模インフラへの展開に関してはEnergy Assetsへの展開が最も有力なことが分かりました。

 WCEAM2017としては、今年度から会議アプリを採用して、プロシーディングレスが図られていました。会議アプリに関しては、畜産関係の国際会議のブログ(http://www.nanomicro.biz/mems/2016/08/precision-dairy.html)でも紹介しましたが、世界的に広がりつつある印象を受けました。また、今回Video Conferencing Presentationとして、Skypeを使ってイギリスからの講演を受け付ける試みもなされていました。

 次回のWCEAM2018は2018年9月24日~26日にノルウエイのStavangerで開催予定です。

(2)技術展示会

 今回、RIMS技術を道路インフラだけでなく、大規模インフラに展開するため、上記のように幅広いインフラ(Assets)に関するAssets Managementが扱われているWCEAM2017の技術展示会に技術研究組合NMEMS技術研究機構として出展を行いました。出展を行うにあたり、費用対効果を考え、出展者ではなくブロンズスポンサーとして出展を行いました。ブロンズスポンサーになったため、学会のHPからRIMSのHPへのリンクがはられたり、学会においても、オープニングやクロージングにおいて紹介(写真5:オープニングでの紹介スライド)されたり、ウエルカムレセプションにおいて紹介する機会(写真6:ウエルカムレセプションによる武田のプレゼンの様子)が与えられたりして、効果的に広報をすることができました。

5

        写真5 オープニングでの紹介スライド

6

    写真6 ウエルカムレセプションによる武田のプレゼンの様子

 展示ブースの全景を写真7に示します。写真7、写真8に示すように、パネルにてRIMS技術の成果の紹介を行いました。オイルプラント等のマネージメントサイドの来場者が多数あり、RIMSで開発したセンサシステムに興味を持って頂き、RIMS技術のアピールができたと考えます。

7

      写真7 NMEMS技術研究機構の展示ブース全景

8

       写真8  NMEMS技術研究機構展示ブースの様子

 技術展示会では表2に示す13の企業・団体が出展を行いました。

             表2 出展者一覧

2_2

 コーヒーブレーク及びランチの会場の周りに出展(写真9:ランチタイムの展示会場の様子)することで、観客を確保するとともに、今回はスタンプラリーのように、各展示ブースを訪問するとシールが配られて、全ての展示のシールを集めた人にはクロージングにおいて、抽選で液晶テレビとノイズキャンセレーションヘッドホンが当たるというような企画も行われて、集客を増やす努力がなされておりました。

9

         写真9 ランチタイムの展示会場の様子

(3)ブリスベン、シドニーの長大橋調査

 今回WCEAM2017が開催されたブリスベンはオーストラリア、クイーンズランド州の南東部に位置し、シドニー、メルボルンに次ぐオーストラリア第3の都市です。市街地はブリスベン川の半島部に位置し、ブリスベン川には100m以上の長大橋が15橋、架かっています。今回会場に近いビクトリアブリッジ(写真10)、キャプテンクックブリッジ(写真11)、ストーリブリッジ(写真12)を調査しました。

10

         写真10 ビクトリアブリッジ外観

11

        写真11 キャプテンクックブリッジ外観

12

         写真12 ストーリーブリッジ外観

 ビクトリアブリッジは1969年に開通しました全長313mのコンクリート橋、キャプテンクックブリッジは1972年に開通しました全長555mのコンクリートボックス桁橋、ストーリーブリッジは1940年に開通しました全長777mの鉄骨トラス橋です。最も古いストーリーブリッジは77年経過しており、補修をしながら使用していました(写真13)が、モニタリングによる劣化診断までは行われていませんでした。

13

        写真13 ストーリーブリッジの補修の様子

 オーストラリアにおいてブリッジの構造健全性モニタリング(SHM: Structural Health Monitoring)が行われている代表として、シドニーのハーバーブリッジ(写真14)の調査を行いました。

14

          写真14 ハーバーブリッジの外観

 ハーバーブリッジは1932年に開通しました全長1,149mの鉄骨アーチ橋です。シドニーの中央ビジネス地域と北海岸の海峡に架けられた橋で、海水と強風に晒されているため、塗装をしても鉄骨の腐食(写真15)がひどく、1年中どこかで速乾性の塗料を使って塗装を行っている状態です。

15

      写真15 ハーバーブリッジ頂上付近のさびの様子

 また、温度差により頂上で18cmも高さが変化するため、ヒンジ機構でサポートされています。開通から85年が経ち老朽化が進んできていること及び交通量が増えてきていることから、バスレーンで重量の大きなバスが通過する第7レーンを支える800の構造部材に3個ずつのMEMS加速度センサを取りつけ、総数2400個のセンサを使った劣化診断モニタリング(サンプリングレート1500Hzまで可能)が非営利の研究機関であるNICTA(National ICT Australia)によって行われています。2400個のセンサからのデータは1日1TBにもなるため、センサのそばにスマートセンサノードを配置して、フィルタリングしてデータ量を削減しています。各ジョイント部が同期して動いている場合には問題はないですが、非同期で動いていることを検知して、AIをつかった解析により劣化診断を行っていました。但し、センサは有線のデイジーチェーンネットワークで接続されており、課題として、ワイヤレス化と自立電源が挙げられており、RIMS技術の展開が可能と感じました。

            (NMEMS技術研究機構 今仲行一、武田宗久)

| | コメント (0)

2017年8月28日 (月)

TIA連携大学院サマーオープンフェスティバル:第28回MEMS講習会&第1回学生・若手研究者向けMEMS講座開催の報告

 2017年8月24日、25日の両日に、国立研究開発法人産業技術総合研究所において、第28回MEMS講習会及び第1回学生・若手技術者向けMEMS講座を開催致しました。MEMS講習会は、MEMS協議会に所属するMEMSファンドリーネットワーク企業を中心に企画され、都内と地方都市で年に1回ずつ開催していますが、本年度は都内開催に替わり、TIA連携大学院サマーオープンフェスティバルの一環として、つくばで開催いたしました。また、TIA連携大学院ということで、学生・若手研究者向けMEMS講座も初めて開催し、両日で44名(学生1名)の聴講者を迎え、総勢58名が、IoT社会で求められるMEMSとは何かについて、活発に討論いたしました。

 24日の第28回MEMS講習会では、「IoT社会で求められるMEMSとは」と題して、IoT活用事例の紹介からIoT社会を支えるセンサやフィルタ、スイッチなどの部品までを網羅したプログラム構成といたしました。主催の一般財団法人マイクロマシンセンター専務理事長谷川英一の挨拶のあと、1件目の特別講演として、新世代M2Mコンソーシアム理事の木下泰三氏より、「トリリオンIoTと先端技術・事例動向」と題して、ご講演いただきました。


写真1 講演会場の様子(主催者挨拶)

 木下氏は、最近まで日立製作所に在籍されており、日立での社会インフラへのIoT活用事例を中心に、その基盤を担うセンサ・電源・通信に関する技術や規格などもご紹介いただきました。道路や鉄道、ビル、発電設備など、様々な社会インフラ分野で導入が試みられていますが、その導入が進むかは、通信費も含めたコストの低減が重要だそうです。また、現状では、IoT導入の効果の検証から始めなければならないことが、導入の障害となっており、先行する企業が検証した効果を共有化する仕組み作りが重要になると感じました。


写真2 特別講演1 木下氏

 続きまして、2件目の特別講演として、東京エレクトロンデバイス株式会社のアナログ・デバイセズ社製品セールスグループの増田祐一氏より「MEMSデバイスを鍵とするIoT社会で目指す安心/安全な社会」と題して、ご講演いただきました。ご存知の通り、アナログ・デバイセズ社は、これまでに100億個を超えるMEMSデバイスを出荷している大手であり、RFスイッチを製品化した数少ない企業としても知られています。アナログ・デバイセズ社のRFスイッチは、従来のRFリレーに対して、容積で95%、電力で90%を削減し、スイッチングスピードで30倍、寿命で10倍を達成しており、計測機器の小型化などに貢献しているとのことです。また、IoT向けのセンサとして、FFT処理をしたデータを出力する3軸加速度センサなどもご紹介いただきました。IoT社会に向け、単に計測するだけのセンサからユーザーの用途に応じたデータ処理までしてくれるセンサへと進化しているようです。これは、伝送するデータの圧縮だけでなく、IoT社会で増える技術者以外のセンサ利用者にとって、センサ利用の敷居を下げてくれるコンセプトかと思います。今後のアナログ・デバイセズ社のIoT向けセンサに注目していきたいと感じさせてくれるご講演でした。


写真3 特別講演2 増田氏

 ここでいったん休憩を挟み、休憩明けからは一般講演3件と、ファンドリーサービス産業委員会からの各社サービスを4件、ご紹介させていただきました。最初の一般講演では、太陽誘電株式会社の上田政則氏より、「無線通信システム用RF弾性波デバイスの開発」と題して、スマホなどに多数搭載されているFBAR/SAWデバイスの最新動向をご講演いただきました。現在の主流は、SAWデバイスですが、IoT社会で求められる高速・大容量通信には、ロールオフ特性に優れるFBARが適しており、その更なる性能改善に向けた圧電薄膜の研究成果など、IoT社会に向け進展する最先端の技術もご紹介いただきました。SAWデバイスを手掛ける企業は多いですが、FBARを製品化している企業は少なく、今後のIoT社会でのご活躍が期待されるご講演となりました。  


写真4 太陽誘電株式会社 上田氏

 次に東京エレクトロンデバイスの倉田伸一氏より、「低消費電力・高信頼性無線技術を応用したモニタリング事例」と題して、ご講演いただきました。IoT社会では、あらゆる物にセンサが組み込まれ、その情報を基にシステムの最適な運用を目指しますが、その中でも重要性が高いインフラストラクチャモニタリングを中心に、適用事例をご紹介いただきました。構造物のモニタリングで求められるのは、低ノイズ・低周波観測が可能な加速センサと、切れない低消費電力無線とのことです。ご紹介いただいたDustNetworksは、電池駆動できる無線メッシュネットワークで、極めて正確な時計を元にした駆動時間管理で最小消費電力にするとともに、複数の通信路を確保する空間冗長性と15chのチャンネルホッピングによる周波数冗長性、繋がるまで送信を行う時間的冗長性により、切れない通信を実現しているそうです。電池で数年間駆動できるそうですが、環境発電とバッテリーとの組合せにより駆動することも可能とのことです。現状のインフラストラクチャモニタリングは、主に有線で行われていると思われますが、低消費電力なセンサと無線技術の進展により、無線化することによる普及が待たれます。


写真5 東京エレクトロンデバイス 倉田氏

 一般講演の最後は、大阪ガス株式会社の木村浩康氏より、「大阪ガスの法人向け簡易計測・お知らせサービス」と題して、ご講演いただきました。大阪ガスでは、これまでもエネルギーの見える化サービスを展開しており、そこでの経験を基に、簡易計測・通知サービス「ekul」を立ち上げたとのことです。従来のサービスに対しては、導入してもデータ管理など運用方法がわからないなどを理由に、導入を躊躇する企業が多かったため、大阪ガスが計測からデータの見守りまでを代行するサービスとすることで、運用面だけでなくコスト的にも導入しやすいサービスとしたそうです。このサービスでは、ガス・電気のエネルギー監視だけでなく、水道や来客数など、ユーザーの要望に応じて計測項目を増やすことが可能で、そこから得られる複合データを処理することで、新たな価値創造を目指しておられるそうです。多くの企業との連携も視野に入れて取り組まれており、今後の進展に注目したいと思います。


写真6 大阪ガス株式会社 木村氏

 MEMSファンドリーネットワークからは、4件のファンドリーサービスをご紹介させていただきました。最初にファンドリーサービス産業委員会の浅野委員長より、「MEMSファンドリーネットワークとサービスのご紹介」と題しまして、MEMSを開発したい企業を支援するMEMStationなどの取り組みをご紹介いたしました。所属機関からは、最初に、産総研の設備を運用してMEMS開発を支援するMNOICについて、MNOIC開発センターの渡辺氏より、「MNOICが提供するMEMSオープンイノベーション」と題して報告し、大日本印刷株式会社の中本氏より「大日本印刷MEMSファンドリーご紹介」、株式会社メムス・コアの慶光院氏より「メムス・コアのビジネス」と題し、得意とする技術について報告いたしました。本講習会の終了後には、会場を移動して意見交換会を開催いたしました。別会場ではありましたが、多数の参加者に足を運んでいただき、講習会での質疑応答では足りなかった時間を補って余りある有意義な時間を過ごせたのではないかと思います。最後まで活発な意見交換をされていた参加者には申し訳ないと思いつつ、翌日のMEMS講座に備えて、早めのお開きとさせていただきました。

 25日は、第1回目となる学生・若手技術者向けMEMS講座「企業の開発事例に学ぶMEMS」を開催いたしました。このMEMS講座では、ファンドリーサービス産業委員会に所属する企業などでのMEMSデバイスの開発事例を中心にプログラムを構成いたしました。

 まず、国立研究法人産業技術総合研究所からは、集積マイクロシステム研究センターの廣島洋センター長より、「産総研集積マイクロ獅子テム研究センターのMEMS技術」と題しまして、ご講演いただきました。集積マイクロシステム研究センターには、6つの研究組織があり、MEMSの基礎研究から実用化研究まで、幅広い研究をされています。センターには、日本のMEMS開発の中核拠点として整備された8・12インチ対応のMEMS研究設備が揃っており、その設備を企業が利用できる仕組みも整備されています。国のプロジェクトへの参画も積極的に進めており、様々なセンサの開発事例をご紹介いただきました。これまでの研究開発で培ったノウハウを基に企業支援を積極的に進めており、MEMSデバイスの研究開発を進める企業にとっては、頼もしい存在だと感じました。


写真7 国立研究開発法人産業技術総合研究所 廣島氏

次に大日本印刷株式会社の浅野雅朗氏より、「ガラス基材を用いたMEMS加工技術について」と題して、ご講演いただきました。大日本印刷は、日本のMEMSファンドリー企業の老舗的存在で、様々なMEMSデバイスの受託生産をされて経験をお持ちですが、本講演では、ガラスインターポーザ―について、ご紹介いただきました。ガラスインターポーザ―は、IoT時代の高周波デバイスに対応した技術として期待されており、今後の展開が期待されます。 
引き続き、富士電機株式会社の古田稔貴氏より、「電池駆動可能な低消費電力ガスセンサの開発」と題して、ご講演いただきました。富士電機では、コンポーネント・システムの価値を高めるセンシングの実現にMEMS技術を活用されており、特徴あるセンサの開発を進めておられます。これまでに、様々な用途に応じた仕様のセンサを開発して機器に組み込んでこられましたが、今回ご講演いただいたのは、ガス警報器への組込を目的に電池駆動を可能とする超低消費電力なガスセンサの開発事例です。これまでのガスセンサは、消費電力が大きいためにコンセントからの電力供給を受ける必要がありましたが、その消費電力を1/1000の0.06mWに低減することで、電池駆動型ガス警報器の製品化を実現したとのことです。現状では、メタンガスしか検出できませんが、この技術をベースに多成分ガス検出の可能性を見出しており、今後の技術展開から目が離せないご講演となりました。

 ここで休憩を挟み、休憩明けからは株式会社日立製作所の青野宇紀氏より、「2種類の圧力チャンバを有する1チップ複合センサの開発」と題して、ご講演いただきました。加速度と角速度センサを混載した複合センサの開発に当たり、その駆動原理から各々を異なる圧力で気密封止する必要に迫られ、技術開発に取り組まれたそうです。二つのセンサを別々に作製すれば良いのではとの質問もでましたが、高感度なセンサを角度や位置を調整して組み立てるのは難しく、こちらの方が低コストにできるそうです。接合時の温度と加圧圧力を制御することで、同一ウエハ内での2段階の気密接合を実現しており、大変興味深いご講演でした。

 次に、みずほ情報総研株式会社の岩崎拓也氏より、「MEMSデバイスの開発に最適化した設計・解析支援システムMemsONE」と題して、ご講演いただきました。MEMSデバイスの開発に、様々な企業が参入してきたことを受け、異分野の企業の技術者でも容易にMEMSデバイスを設計できるツールをコンセプトに、大学や企業など21組織が参画して総事業費16億円を投入したNEDO委託事業の成果とのことです。マルチプロセス・エミュレーターを駆使することで、MEMSのプロセスを知らなくてもMEMSデバイスの設計ができる点を特徴とし、大学やファンドリー企業などが構築したデータベースを基にデバイスの性能などを解析できるようになっています。国内のファンドリー企業も協力して開発したシステムのため、そういったところを利用する場合に、強力なツールになるのではないかとの印象を受けました。

 午前中の最後は、株式会社メムス・コアの慶光院利映氏より、「メムス・コアのビジネス」と題して、ご講演いただきました。国内では珍しく技術開発も請け負うファンドリー企業であり、その技術開発のために東北大学を始めとした様々な組織とネットワークを組まれているため、その技術範囲を把握するのが難しい企業でもあります。セット・システムメーカーを顧客とし、メムス・コアで開発するMEMSデバイスを核として、協業企業とともに顧客の要望に応じた製品を納品する体制を組まれておられます。今回のご講演では、特徴的な技術として、ステルスダイシングをご紹介いただきました。ブレードダイシングやレーザ加工と異なり、完全ドライで発塵や欠けの無い切りシロゼロのダイシングが可能で、切断後に応力が加わるようなデバイスや微小なデバイスなどに適した手法と言えます。このご講演を聴講して、MEMSには興味はあるが、その作り方が分からないといった新規参入企業には、強い味方になるという印象を受けました。

 ここで少し長めの昼休みに入り、午後からのMNOIC見学会へ備えました。午後の最初は、MNOICの原田武氏より「大面積圧電薄膜形成技術を核とした圧電薄膜MEMSの開発」と題して、ご講演いただきました。MNOICは、日本初の本格的なMEMSオープンイノベーション拠点であり、2011年より稼働しております。最高水準の設備・装置群が利用可能で、多彩な研究支援サービスを提供しており、最近では少量量産までは対応して貰えるようになりました。今回のご講演では、そのMNOICが有する技術の一つであるAlN圧電膜を利用したMEMSデバイスの開発事例をご紹介いただきました。産業機器の振動を利用して発電する圧電デバイスを利用した振動モニタリングシステムを開発しており、その感度向上のためにScを添加したScAlN膜のプロセスの確立を進めているとのことです。8インチオールドライの一貫プロセスで製作しており、振動の減衰を抑えるための真空封止をウエハレベルパッケージプロセスで実現するなど、後ろ盾として産総研が控えているだけのことはあり、技術力の高さが印象的でした。

 最後に、MNOICの見学会を実施いたしました。参加人数が多かったため、残念ながらクリーンルームに入ることはできませんでしたが、クリーンルーム内の見学コースをビデオ撮影した映像を拝見しながら説明を伺うことで、クリーンルームに入ったかのような体験をすることができました。また、8・12インチ対応の大きな設備を窓越しに見学するだけでも、その迫力を感じ取ることができたのではないでしょうか。MNOICは、研究支援だけでなく、ファンドリーサービスを実施しており、大変多忙を極めていると伺っておりますが、その中で丁寧にご対応いただいたことに感謝したいと思います。


写真8 MNOIC見学会

 最後に、2日間の全ての日程を無事に終えることができましのも、ご講演者を始め、ご参加・ご協力いただいた全ての方々のお陰であり、御礼申し上げます。

(産業交流部 小出晃)

| | コメント (0)

2017年8月24日 (木)

【平成29年08月の経済報告】

 本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

 

13851929_2

                             

 真夏となり、平成2908月の経済報告をお届けします。

業務の参考として頂ければ幸いです。  

 内容は、以下のPDFをご参照下さい。

   

         「2017.08.pdf」をダウンロード

 

| | コメント (0)

2017年8月22日 (火)

NEDO先導研究に「空間移動時のAI融合高精度物体認識システムの研究開発(AIRs)」が採択される

 本研究開発は、NEDO「次世代人工知能技術の社会実装を目指した先導研究」として採択(2017年8月9日)された15件の中の一つとなります。


 本研究開発の提案は、国立大学法人東京大学、国立大学法人電気通信大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、オリンパス株式会社、株式会社デンソー及び一般財団法人マイクロマシンセンターが共同で行いました。

 NEDO採択情報は、以下のサイトを参照下さい。
 http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100814.html

一般財団法人マイクロマシンセンター

| | コメント (0)

2017年8月21日 (月)

MEMSセンシング&ネットワークシステム展の開催準備進む その2

 MEMS関連の技術・製品・アプリケーションを一堂に展示する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2017」の開催準備が進んでいます。
 
 名称:MEMSセンシング&ネットワークシステム展2017
     -IoTシステムの最先端技術展-
 会期:2017年10月4日(水)~6日(金)
 会場:幕張メッセ 国際展示場ホール7、国際会議場会議室302
 同時開催:InterOpto/LaserTech/BioOpto Japan/LED JAPAN/CEATEC
 URL:http://www.mems-sensing-network.com/

 開催内容を順次ご紹介しますが、今回は「国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム」及びい「MEMS協議会フォーラム」のプログラムをお伝えします。

------------------------------------------------------------------
 名称:国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム
  スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会 公開シンポジウム
 開催日時:2017年10月6日(金)12:30-16:40
 趣旨:"センサからのデータをつなぎそれらを有効活用する「超スマート社会」実現に向けて、様々な”スマートセンシング&ネットワーク”技術開発が必要であると考えられます。 今回、IoT、MEMS分野の国際的最新動向を紹介するとともに、医療、環境発電、時刻同期分野から、最新の役立つ情報を提供します。 "

オープニング    発表者
12:30-
12:35 
開会挨拶 東京大学教授
  下山 勲
セッション1  国際セッション IoT、MEMS分野の最新動向  
12:35-
13:05
CEA LETIにおけるIoT関連技術最前線 CEA Fellow
Dr.Marc   Duranton
13:05-
13:35
MEMS and NEMS Technologies for a Smart World  Dr.Mario Baum
13:35-
14:05 
SiTime MEMS Oscillator Technology ㈱メガチップス
  米田 秀樹
14:05-
14:35 
Metal Oxide Gas Sensing Material and MEMS Process Vice President
Mr.Collin Twanow
14:35-
14:45
休憩   
セッション2  SSN研究会公開シンポジウム
 スマートセンシング&ネットワークの目指す世界
 
14:45-
15:35 
IoTを駆使したスマート治療室SCOT 東京女子医大
 教授
  村垣 善浩
15:35-
16:05 
 超小型原子時計の最新展望 首都大学東京
 教授
  五箇 繁善
16:05-
16:35
 熱電発電の最新動向と課題 産総研
 熱電変換G長
  山本 淳 
クロージング    
16:35-
16:40
閉会挨拶 MMC専務理事
 長谷川 英一

----------------------------------------------------------
 名称:MEMS協議会フォーラム
 開催日時:2017年10月4日(水)13:30-16:10
 趣旨:"一般財団法人マイクロマシンセンター MEMS協議会(MIF)はMEMS関連企業をメンバーとするビジネスコミュニティです。 本セミナーではMEMS協議会の活動報告を通じ、注目すべきトピックスにつき報告します。 セッション1はセンサとモジュールのインタフェース標準化によりプラグインのスマートセンシングを目指す研究開発、セッション2はわが国有数のMEMSファンドリーとなったMNOICでは何ができるのか、セッション3はMEMS関連の主要国際会議であるTransducers2016とMEMS2017の発表から世界のMEMS関連研究動向を、セッション4ではMEMS関連市場についてそれぞれ報告します。"

オープニング    発表者
13:30-
13:35 
開会挨拶 MMC副理事長
 青柳 桂一
   
13:35-
14:10
セッション1
 センサネットワーク時代に向けたSSI(スマートセンシングインタフェース)標準の研究開発
MMC
 標準部長
 大中道 崇浩
14:10-
14:35
セッション2
 MNOICが提供するMEMSオープンイノベーション
MMC MNOIC
 開発センタ長
 荒川 雅夫
 休憩  
15:00-
15:35 
セッション3
 国際会議におけるMEMS関連研究の動向
立命館大学
 教授
 小西 聡
15:35-
16:10 
セッション4
 MEMS関連市場の最新動向
MMC
 産業交流部長
 今本 浩史

 成果については展示会場ブースにおいても展示・説明を行っておりますので、是非お立ち寄りください。
                    <成果普及部 水島 豊>

| | コメント (0)

2017年8月 9日 (水)

MEMSセンシング&ネットワークシステム展の開催準備進む(10月4日-6日)

 MEMS関連の技術・製品・アプリケーションを一堂に展示する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2017」の開催準備が進んでいます。
                 
  名称:MEMSセンシング&ネットワークシステム展2017
    -IoTシステムの最先端技術展-
    会期:2017年10月4日(水)~6日(金)
    会場:幕張メッセ 国際展示場ホール7、国際会議場会議室302
    同時開催:InterOpto/LaserTech/BioOpto Japan/LEDJAPAN/
        CEATEC JAPAN 2017
          URL:http://www.mems-sensing-network.com/
                 
    開催内容を順次ご紹介しますが、今回は「研究開発プロジェクト成果報告会」のプログラムをお伝えします。
                 
    名称:研究開発プロジェクト成果報告会
      開催日時:2017年10月5日(木)10:30-16:10(昼休み1時間を含む)
       趣旨:工場の操業状況や道路インフラ構造の健全性などを確認するために、センサをいたるところに配置し、無線ネットワークで測定データを集めるIoT(Internet of Things)が注目されています。本セミナーでは、NEDOや国から受託し、研究開発を進めているプロジェクトについて報告します。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
オープニング  発表者
10:35-
                        11:15
特別講演
                        (仮)”Connected Industries”に向けた我が国製造業の課題と取組
経済産業省
                         参事官
                         徳増 伸二
第一部  
11:15-
                        12:15
超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステム(LbSS:Learning based Smart Sensing                        System)の研究開発東京大学教授
                         藤田 博之
12:15-
                        13:15
昼休み 
第二部  
13:15-
                        14:15
道路インフラの統合的な常時監視を実現するモニタリングシステムの研究開発成果発表東京大学教授
                          下山 勲
14:15-
                        14:45
センサ端末同期用原子時計(ULPAC:Ultra-Low Power Atomic Clock)の研究開発成果発表 産総研
                         柳町 真也
14:45-
                        15:00
休憩  
第三部  
15:00-
                        15:50
ライフラインコアモニタリングシステムの研究開発成果発表東京大学教授
                         伊藤 寿浩
第四部  
15:50-
                        16:10
空間移動時のAI融合高精度物体認識システムの研究開発東京大学教授
                          下山 勲
                  


                   成果については展示会場ブースにおいても展示・説明を行っておりますので、是非お立ち寄りください。
                                      <成果普及部 水島 豊>

| | コメント (0)

« 2017年7月 | トップページ | 2017年9月 »