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2017年6月12日 (月)

AEWG-59参加報告

本米国AE学会(AEWG: Acoustic Emission Working Group)は、1967年に当時Aerojet-General Corp.のAllen T. Greenと、Battele-NorthwestのJack C. Spanner、両名の呼びかけにより集まった12名の研究者により設立されたAEに特化した会議である。当時Lawrence Radiation Laboratory(現Lawrence Livermore National Laboratory)で、AE分野に多大な影響を及ぼしたHarold L. Duneganが創設者の一人として在籍していたことでも知られ、まさにAE技術の発展をリードしてきた学会であるといえる。本会議の特徴としては、撮影や印刷物を制限する代わりに、AEに関するあらゆるOngoing workの発表を奨励しており、その場に参加しないと得られない貴重な情報が得られる点にある。またAE技術の進化を担ってきた専門家の集まりであり、有益なコメントが得られる場でもある。第59回目を迎える今回のAEWGは、CTL GroupのDr. David Kosnikのホストで、シアトルのCedarbrook Lodgeで開催された。

Pic1_2

写真1 会場のCedarbrook Lodge

Pic2

写真2 講演会場の様子

 参加者は30名程度、多くが米国内の研究者である。全体的な参加者は少ないものの、創始者の一人であるAllen T. Greenをはじめ、AE分野での著名な研究者が数多く参加していた。 セッションは以下の6パートに分かれており、発表は口頭発表18件と、企業からの技術展示3件という構成であった。

<セッション>(括弧内は講演件数)
1) Opening Technical Session(3)
2) Technical Session: Wire Breaks(3)
3) Technical Session: In-Service Monitoring(4)
4) Technical Session: Calibration and Uncertainty(3)
5) Technical Session: Source Location(2)
6) Closing Technical Session and Roundtable Discussion(3)

 RIMSからは碓井が、Opening Technical Sessionにおいて “An Event-Driven, Energy harvesting, Wireless AE Sensor System for Long-term Structural Health Monitoring”と題して講演発表を行った。本プロジェクトの成果である、エナジーハーべスティングにより動作する無線AEセンサシステムに関する基本コンセプトとイベントドリブンアーキテクチャを中心に説明した。発表に対してはAEシステムに関する最大手である米MISTRAS Groupや独Vallen Systeme GmbH、その他大学関係者を含め、延べ10件近くの質問や反響コメントがあり、本プロジェクトの取り組みを存分にPRできたものと考えている。その他、講演の聴講で印象に残った発表について以下に示す。


- Metamaterial design to focus wave energy in pipe-like structures
Minoo Kabir and Didem Ozebin (University of Illinois at Chicago)
UICのOzebin教授による、メタマテリアルの進捗に関する報告である。パイプラインのモニタリングのために、パイプに周期構造の突起を形成し、機械的なバンドリジェクトフィルタ(もしくはバンドパスフィルタ)を構成するというアイデアの発表であった。3Dプリンタで作った箱状の立方体を周期的にパイプの回りに接着する。ノイズの周波数が特定の周波数に決まっているようなアプリケーションであればAE検知時のSNを向上できるというもの。メカニカルなフィルタとして活用できる可能性もあると感じた。

- Long-term acoustic emission structural health monitoring of post-tensioned beams for wire break detection
Terry A. Tamutus, Richard Gostautas and Jon Watson (MISTRAS Group)
MISTRAS社による長大橋のモニタリング事例の紹介である。30システム、430チャネルを使った大規模なPCケーブルのモニタリングを行った。さすがに規模が大きく、業界最大手ならではの事例であるといえる。MISTRASのシステムは、デイジーチェーン型と呼んでいるもので、サブユニット間を数珠つなぎ状に有線接続するタイプのものである。1システムは、2chのユニットを最大16ユニット程度接続している模様である。各ユニットが有線接続されている点が我々の思想と異なる。配線に関しては課題が残るとのことであり、無線システムへの需要を再認識した。

- Intelligent AE sensors  and smart materials
Horst Trattnig (Vallen Systeme GmbH)
  AEセンサの新たな応用として、AEとひずみゲージを合わせたハイブリッドセンサの紹介をしていた。ファイバ型(光ファイバではなく、繊維タイプのひずみセンサ)を織り込んだシート状のセンサで、AEとひずみを同時に計測可能なセンサ試作品を開発したとのことであった。見た目は100mm角程度のCFRPシートで、コネクタが2つ(AE用とひずみ用と思われる)付属している構造になっている。ひずみとAEは同時に計測する場合が多く、新しい発想のセンサとして興味深い事例であった。

次回は2018年、サウスカロライナ大のホストでサウスカロライナ州チャールストンでの開催が予定されている。
       

 (技術研究組合NMEMS技術研究機構 碓井隆)

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