« IIIAE2016出展およびTechnical Exhibition Award受賞 | トップページ | PowerMEMS2016 参加報告 »

2016年12月 8日 (木)

IIIAE2016参加報告およびIAES Paper Award受賞報告

2016年12月5日から8日の間、京都テルサを会場としてAE(Acoustic Emission)に関する国際会議であるIIIAE2016が開催された。本国際会議は、欧州のAE関連の国際会議である8th International Conference on Acoustic Emissionと、同じく日本におけるAEの国際会議である23rd International Acoustic Emission Symposiumの共催として開催された。また、別報にもある通り、現在AEに関する学会活動をとりまとめる団体として、欧州のEWGAE(European Working Group of Acoustic Emission)、米国のAEWG(Acoustic Emission Working Group)に続き、日本における拠点としてIIIAE(International Institute of Innovative Acoustic Emission)が新たに設立され、IIIAEの設立記念を兼ねての開催となった。Organizing CommitteeのChairは京都大学の塩谷教授が務めた。
表1にIIIAEのセッション一覧および講演およびポスター発表の件数を示す。最大の件数を集めたのはCivil Engineeringのセッションであり、件数順にAE & Related NDT、Materials Scienceと続く。この傾向は、日本側の主催団体である土木学会や日本非破壊検査協会、日本コンクリート工学会などの、土木および非破壊検査を主な活動領域とする方々の参加が多かったためと推定される。講演件数は少ないものの、Medical Scienceのセッションもあり、AEの活用範囲の広さがうかがえる。

表1 セッション一覧および講演件数

Session_2

図1に講演およびポスターセッション発表者の国別一覧を示す。最大の参加者を集めたのは開催国の日本であるが、総数における日本の割合は半数を若干下回っており、欧州をはじめとして幅広い国の参加者を集めていた。

Participants_2

図1 講演およびポスター発表者の国別人数

RIMSからは、高峯氏が京都大学インフラ先端技術共同研究講座およびNEXCO西日本と連名で「Efficient Damage Inspection of Deteriorated RC Bridge Deck with Rain-induced AE Activity」と題して、雨によって励起されるAEを用いたRC床版の効率的な非破壊検査手法について発表した。本発表の内容は、既に内部き裂が生じている床版の損傷を検査する手法として、継続的なAEモニタリングを必要とせず、雨滴を利用して10分程度の間に内部き裂を明らかにすることが可能であり、今後の床版検査への適用が期待されている。また、同じく大森が東京大学IRT研究機構と連名で「Elastic Wave Measurement using a MEMS AE Sensor」と題して、MEMS AEセンサであるSA(Super Acoustic)センサを用いたペンシルリードブレイク試験の位置標定精度を検証した内容を発表した。アルミニウム板上に設置したSAセンサを用いて、ペンシルリードブレイクの波形を受信し、受信波形のウェーブレット変換から、受信したLamb波の種類およびSAセンサを用いた位置標定の精度を評価した内容である。今後のSAセンサの実フィールド検証において、位置標定および受信波形判別は損傷評価を行う前提となる重要な情報である。また、Invited Talkとして、東京大学下山教授より「Super-acoustic Sensor for Bridge Health Monitoring」と題してSAセンサの研究状況についての講演が行われた。
結果、大森の投稿論文が査読時の委員によるpeer reviewで最高点を獲得し、IAES Paper Awardを受賞した。写真1にBanquetでの受賞告知の様子を示す。また、写真2に表彰式で京都大学塩谷教授より賞を受領した際の写真を写真3に受領したIAES Paper Awardの賞状を示す。RIMSにおける研究開発の成果が学術的にも高い評価に値することが認められ、非常に喜ばしいことである。

Paper_award_2

写真1 BanquetでのIAES Paper Award告知

Paper_award1_2

写真2 表彰式で塩谷教授と握手する筆者

Paper_award_s_2

写真3 受領したIAES Paper Awardの賞状

その他、講演の聴講で印象に残った発表について以下に示す。
T. Nishida et al., Damage Evaluation of RC Bridge Deck under Wheel Loading Test by Means of AE Tomography
京都大学西田准教授の講演で、床版の疲労試験として広く用いられている輪荷重試験の試験進展に従って、床版に入った損傷の様子を3D AEトモグラフィによって可視化した内容であった。輪荷重試験によって進展する損傷と、AEトモグラフィにより示唆される損傷進展領域は良い一致を示しており、AEトモグラフィ法の有用性を再確認できる好例である。

H. Asaue et al., Evaluation of Water Leakage Repair by One Side Access Elastic Wave Tomography Using Rayleigh Wave
京都大学麻植准教授の講演で、漏水によって損傷を受けたコンクリート構造物の補修前後において、表面打撃によってレーリー波を励起し、AEトモグラフィにより補修の効果を可視化した内容であった。補修により速度場が全体的に速い方向に移行しており、AEトモグラフィにより補修効果の確認がなされていた。

S. Fukumoto et al., Three-dimensional source location by water propagating waves in the hydraulic test of CFRP pressure vessel
株式会社IHI検査計測福本氏の講演で、CFRP製の圧力容器において、圧力容器表面に複数設置したAEセンサから、水圧試験によって発生したAEの3次元位置標定を行った内容であった。特徴として、CFRP容器ではなく、水中を伝わるAEによって3次元位置標定を行っており、社会インフラ分野で広く用いられる圧力容器の損傷位置を調べる方法として興味深い内容である。

E. Suarez et al., Influence of an optical fiber embedded on unidirectional CFRP laminates evaluated with the Acoustic Emission and 3D Digital Image Correlation techniques
グラナダ大学Suarez氏の講演で、CFRP内に光ファイバ型のセンサ(FBGセンサ)を埋め込んで外力が与えられた際に、外力によって光ファイバ周辺に損傷が発生し、AEが発生する様子と、デジタル画像相関法(DIC法)によるひずみ分布を比較した内容であった。荷重の方向と光ファイバ配置方向が直行している場合、光ファイバ周辺に応力集中が発生していたが、同じ方向であれば応力集中は発生しなかったとのことであった。FBGセンサはCFRPに適用されるセンサとして広く研究開発が行われているが、埋め込みには注意を要することを示す事例である。

O. Ley et al., Recent advances in structural health monitoring using acoustic emission
Mistras GroupのLey氏の講演で、AEを用いた構造ヘルスモニタリングの近年の進展について、2007年に行われた橋梁のeyebarのき裂モニタリングおよび、2011年に行われたコンバインドサイクルの発電用タービンブレードに発生したき裂のモニタリングの事例を紹介したものであった。タービンのモニタリングについては、Acoustic Combustion Turbine Monitoring System (ACTMS)として実用に供されており、数か月のモニタリングの末、タービンブレードの損傷が発見されたとのことであった。エネルギー分野にもAEの適用が進んでいることを示す好例である。

(NMEMS技術研究機構 大森 隆広)

|

« IIIAE2016出展およびTechnical Exhibition Award受賞 | トップページ | PowerMEMS2016 参加報告 »

Pj RIMS研究開発」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« IIIAE2016出展およびTechnical Exhibition Award受賞 | トップページ | PowerMEMS2016 参加報告 »