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2016年10月27日 (木)

IoTSWC2016参加報告

IoTSWC(正式名称、IoT Solutions World Congress)は、2015年より1年に一度、スペインのバルセロナで開催されるIIC(正式名称、Industrial Internet Consortium)主催のイベントになります。本イベントは、実運用に向けた検証プラットフォームであるテストベッドが公開される場となっており、Industrial Internet of Things(以下、インダストリアルIoT)分野の最先端技術を用いたリファレンス実装や、その先の社会実装を調査するうえで最適なイベントと考えます。今年は、2016年10月25日から27日までの3日間で来場者数が70ヶ国8000人以上となり、来場者の54%が経営幹部や上位管理職の方々となったようです。また、テレビ局の取材も多数行われる等、インダストリアルIoT分野の盛り上がりを感じさせるものでした。

1 開催地バルセロナの街並み

2 講演会場の様子


[IICに関して]

 IICは米国の通信キャリア、重工業、コンサルティング、ネットワーク機器、半導体関連の企業により2014年3月に設立され、インダストリアルIoTの社会実装の検証と、標準化団体への検証結果の引き渡しを目的とした団体として活動しております。IIC自体は標準化団体ではありませんが、2016年11月時点では各国から250以上の組織が加盟する規模となっていることから、インダストリアルIoT分野におけるデファクトスタンダード形成の場として動向を注視していく必要があると考えております。

[動向調査]

 イベントは、IICに関連するテストベッド展示、一般展示の他に、ヘルスケア、製造、輸送、インフラ、先端技術、事業改革に関する講演や、パネルディスカッションが実施されました。講演した企業、団体の国別内訳では、北米と欧州で全体の9割を占めており、IICの活動に対して積極的な参加を行う北米、欧州からの講演が目立つものとなりました。(図3)

 

3 各国の講演数(カンファレンス資料より算出)


 欧州企業の講演でも特に、ドイツの板金加工機械メーカーであるトルンプ社のスマートファクトリーのリファレンス実装のデモや、自動車部品メーカーのボッシュにおける生産性能管理プロトコルの標準化活動の紹介では、具体的な活動内容が公開されていることから、研究から運用に至るまで他社を先行しているようにも思えました。

 今回の業界動向調査では、IoTゲートウェイでのデータ転送量制御の最適化技術に関連して、センサデバイス、IoTゲートウェイ、データフォーマット、の観点から企業・団体がどのような技術を有しているのか、調査を実施して参りました。

 この中で印象に残る展示としましては、HPE(Hewlett Packard Enterprise)社、NI(National Instruments)社、PTC社(Parametric Technology Corporation)の共同提案による燃料ポンプ監視システムがありました。本デモでは、燃料ポンプに取り付けられた多数のセンサデータをNI社の制御ハードウェアが集約し、HPE社のコンバージドIoTシステム上でエッジコンピューティングにより解析することで、キャビテーションを引き起こすような深刻な燃料ポンプの異常を可視化するものでした。NI社の制御ハードウェアからHPE社のコンバージドIoTシステムにセンサデータを送信する際に帯域を圧迫しないよう、コンバージドIoTシステム上では全データから異常と判断されるデータの範囲が分析され、NI社の制御ハードウェアが次回以降の送信時に異常値のみを送信することで転送データの大幅な削減が可能となるデータ転送制御を実装している点が特徴です。

 また、コンバージドIoTシステムでは、グラフィカルなダッシュボードも具備しており、燃料ポンプを構成する各パーツにおける異常データをPCモニタ上で可視化しておりました。さらに、本デモではPTC社による拡張現実(Augmented Reality)技術を用いることにより可視化結果を現実の燃料ポンプに投影でき、オペレータは燃料ポンプの監視を行いながら修復作業を行えるようです。

 このように本イベントでは、実運用レベルのユースケース検証を複数社が共同で実施し、その結果を展示していたことも非常に興味深い点でした。

[全体的な傾向]

 IICに関連するテストベッドや参考展示のほとんどが、複数社共同でのユースケース検証を目的としたものであり、一社単独の提案だけでインダストリアルIoT分野を突き進むことが難しいことを再確認致しました。イベントを通して、センサデバイス、ゲートウェイ装置、クラウド分野の米、欧州の企業や通信キャリアが共同で、IT(Information Technology)におけるデバイスの集合とOT(Operational Technology)をどのように連携させ新たな価値を生み出すか、全体論的な話し合いが活発に行われているように感じました。

[次回開催]

 次回のIoTSWCは、2017年10月3日~5日に開催が予定されております。IoTSWCで得られるインダストリアルIoT分野の動向調査の結果をベンチマークとしてフィードバックし、今後も将来を見据えた研究を継続していきたいと思います。

             技術研究組合NMEMS技術研究機構
                    相見 眞男

 

 

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