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2016年10月20日 (木)

EWGAE2016参加報告

EWGAEは2年に一度ヨーロッパで開催される、AE(Acoustic Emission)に関する最大規模の国際会議である。開催回数は32回を数え、ヨーロッパを中心とした産学のAE関係者が一同に集結する。本年はチェコ非破壊検査協会との共催でプラハのCogress Centre Olympicにて開催された。ChairmanはCracow UniversityのZdenek Prevorovsky氏、Local CommitteeのChairはBrno University of TechnologyのPavel Mazal氏が務めた。参加者は160名ほどであるが、欧州のAE関連の中心的な国際会議であり、動向調査として最適な学会である。

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図1 開催地プラハの街並み

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図2 学会会場

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図3 会場内の様子

図4に各国の投稿件数を示す。最多投稿国はチェコの14人であり、以下ロシア13人、日本12人、ドイツ8人と続く。多数の投稿者を集めている国で、日本以外はほぼヨーロッパ各国であり、本会議の特色を表していると言える。

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図4 各国の投稿件数

図5にセッションの一覧および発表件数を示す。

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図5 セッション名と発表件数

[全体的な傾向]
複合材料に関するセッションが新設され、最大の講演数を集めている。複合材料の世界的な普及に従って、モニタリングにAEを用いる研究が増えているものと推測される。 社会インフラ分野への構造モニタリング適用事例は、タンク、圧力容器、クレーンなどへの適用が複数見られた。

[学会聴講]
狭義のAEの意味である、材料欠陥から発せられる超音波帯の弾性波という枠を超えて、AEを検出手法、可視化を含む計測手法の一つとして使用している例が多く見られた。一方、旧来の材料破壊やタンク・パイプラインのモニタリングなどの研究も引き続き数は多く、AEの幅が広がっていることを感じさせる内容であった。以下にインフラモニタリング関連の特徴的な発表の例を示す。

(1) The Test of Railway Steel Bridge with Defects using Acoustic Emission Method (Cracow University of Technology, Poland)
1915年供用開始のクラックが生じている鉄橋において、クラックの進展度合いとAE発生との関係を調べた内容であった。クラック長さが部材の全長、1/2、1/2+ストップホール補修ありの3種類のき裂に対して、き裂周りにAEセンサを設置し、AE発生頻度を調べている。クラックが全長に渡って発生しているものは、クラック先端ではなくクラック中央部から最も多くのAEが発生しており、クラック発生後の摩擦によるAEが原因と推定される。橋梁においてはクラック長が長い場所の計測をする際に参考となる内容である。

(2) Acoustic Emission Testing on LPG Tanks -Defect Detection Case Studies (TUV Austria)
地上設置のLPGタンクに対して、応力腐食割れによって発生するき裂検出をAEにより行った内容であった。円筒形のLPGタンクにおいて、鉄板から円筒型に成形する際に溶接した溶接線に発生する応力腐食割れをAEで検出するというものである。溶接線は円筒タンクの側面に一直線に存在するため、センサは直線の端部に2つ設置するだけで良く、加圧時に腐食部から発生したAEを一次元標定で特定している。構造物の特徴的な形状をAE計測に利用した好例であり、橋梁の接合部や溶接部などにも応用できる。

(3) AE Defect Evaluation of the Upper Anchorage Elements of a Stayed Bridge
メキシコに20年前に建造された全長204mの斜張橋であるRio Papaloapan bridgeについて、溶接不良から発生したケーブルの損傷をAEによって評価した内容であった。斜張橋のロープを上部で固定するアンカリング部にAEセンサを取り付け、供用中の13時間AE計測を行い、得られたAEから各アンカリング部のSeverity indexを算出している。 Severity indexは最も振幅の大きい50個のAEヒットの平均値に相当し、各アンカリングの相対的な損傷状態を比較するのに適している。モニタリング結果から、損傷度の大きなアンカリングを特定できたとのことであった。相対的比較ではあるものの、損傷の進展している部位を特定できるというAEの特性を利用したモニタリング手法であり、他の形式の橋梁へも応用が期待できる。

[次回開催]
次回のEWGAEは2018年にフランスにて開催される予定である。

技術研究組合NMEMS技術研究機構 大森 隆広

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