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2016年6月

2016年6月23日 (木)

研究開発プロジェクト(MEH、IRiS)の活動報告

 MMC/NMEMS組合が推進している研究開発プロジェクトにつき、平成27年度の活動成果を報告します。先月はRIMSとUCoMSでしたが、今月はMEHとIRiSについてご報告します。
 
1.「エネルギー・環境新技術先導プログラム/トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動発電デバイスの研究」(MEH)
 本先導研究(トリリオンセンサ社会を支える高効率MEMS振動デバイス)においては、次世代トリリオンセンサ社会およびIoT社会に必要不可欠な高効率の小型自立電源(エナジーハーベスタ)として、環境振動から未利用エネルギーを回収するMEMS型の振動発電素子の開発を実施している。本研究ではとくに、MEMS・マイクロマシン技術の新設計・新工法を新たに導入することで、2020年度までに直径20mm程度の一円玉サイズの面積で発電効率を従来比2桁以上に飛躍的に高めた10mW級の振動発電素子を実現するための設計・製作・評価技術を確立することを研究の目的としている。
 
 ①「高密度固体イオンエレクトレットのエナジーハーベスタ応用」における目標は、発電素子の負荷はキャパシタンスへの充電(すなわち容量性負荷)である特性を踏まえ、発電電力のみならず発電電流を増大する観点から設定されている。発電電流は力係数と振動速度の積で表される。このうち、①-(1) 高電荷密度シリコンエレクトレットの形成法の開発の項目では大きな力係数を得るための開発、①-(2) エレクトレット振動発電素子のパッケージ技術と信頼性評価は小さな振動外力でも大きな振動速度を得るための開発を行った。
 
 ②「大容量イオン液体可変キャパシタ技術のエナジーハーベスタ応用」では、エナジーハーベスタ応用のためのイオン液体と、ゲル化のためのポリマー、および、重合開始剤などの選定基準となる知見を得た。また、研究開発項目①の固体イオンエレクトレットとの組合せに必要なパラメータに関しても把握できた。特に、イオン液体を1V/nm程度の絶縁皮膜を持つ液体導体としてモデル化することで、大幅に理解が進んだ。また、ゲル化イオン液体の弾性を利用し、静電引力による電極-イオン液体間の接触界面の面積変化の減少を抑える新たな技術を開発した。
 
 ③「高効率エナジーハーベスタの開発」では、既存の加工装置を用いてインパルス加振タイプのエナジーハーベスタの一次試作品を製作した。
 
 ④「交通インフラでの振動発電デバイスの導入開発」では、想定した交通インフラにおいて、センシングを要するセンサ端末設置場所を設定し、振動環境(振動状態)を計測し、振動の最大加速度と卓越周波数を評価した。
 
 ⑤「オフィス・工場等での環境発電デバイスの導入開発」では、オフィス・工場での主要な振動環境の把握を目的として、人体、空調機、工作機械で振動波形測定と周波数解析を実施した。
 
 ⑥「標準化の戦略立案」では、標準化の戦略立案のためIEC/SC47Fシンガポール会議(6月)、ミンスク会議(10月)に出席し、MEMSエレクトレット振動発電デバイスの審議を通じて国際標準化動向を調査した。
 
2.「エネルギー・環境新技術先導プログラム/究極の省エネを実現する「完全自動化」自動車に不可欠な革新認識システムの研究開発」(IRiS)
 
 究極のエネルギー効率により30%のCO2の削減が見込まれる未来交通システムを実現すべく、従来技術では到達不可能な「完全自動化」自動車を実現するための革新技術として、①分子慣性ジャイロ:自車位置を常に厳密に把握する技術、②分光イメージャ:周辺環境を常に正確に把握する技術、③高精度認識アルゴリズム技術、の三つの未踏認識技術の可能性を確保することを目的としている。先導研究としてそれぞれの技術の可能性について、自動車の実環境を見据えた視点で研究開発・評価を行った。
 
①分子慣性ジャイロ
 分子慣性ジャイロの原理検証のために、慣性力検出センサとしてMEMSフォースセンサチップを設計、試作し、分子慣性ジャイロラージスケールモデルを製作し、既製MEMSジャイロとの比較を行い、分子慣性ジャイロの有効性を確認した。
 また、MEMSフォースセンサチップの試作ラインへの適用について、高感度化に向けた最適形状を得るべくシミュレーションと試作を行った。
 要求仕様の明確化、省エネ効果の見積り精度向上のため、ジャイロ単独での走行が必須となるGPSが途絶するシーンを抽出し、これらのシーンでの走行速度、距離を加味しジャイロの位置精度を算出した。省エネ効果として合計約30%が期待できることが分かった。
 
②分光イメージャ
 ナノアンテナによる光吸収効率の向上により、シリコン単体では吸収できない光を検出可能とする機能の原理検証として、ナノアンテナを試作し、アレイ化したナノアンテナに光を照射したときに、赤外光の吸収を確認した。
分光検出器の試作ラインへの適用として、i線ステッパを用いて、原理検証の電子線描画法によるナノアンテナの同等構造の作成を行った。
物体の識別、人検知の観点から波長域は可視~遠赤と設定し、イメージャの画素間ばらつきの指標であるNETDを精度指標として、既存技術の開発動向を加味し目標値を設定した。
 
③認識アルゴリズム
 疑似同軸光学カメラの作成を用いて、可視画像と遠赤外画像からなる、人を撮影対象としたデータセットを構築した。上記データセットを用いてディープラーニングによる人識別を行い、遠赤外画像の有効性を確認した。さらに、可視画像と遠赤外画像を組み合わせた多波長データを入力としてディープラーニングを行い、人識別に適用することで、識別率が向上することを示した。また、車載を想定した実環境抽出を行った。

以上

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2016年6月21日 (火)

AEWG-58参加報告

概要:
「スーパーアコースティックセンサによる橋梁センシングシステムの開発」に関する研究動向調査として、フィラデルフィアのドレクセル大学で開催された第58回AEWG(Acoustic Emission Working Group) Meetingに出席した。ホスト及びプログラムチェアは同大学のAssoc. Prof. Antonios Kontsosが務めた。参加者は50名ほどであるが、AEに特化した学会として49年の歴史を持ち、この分野を代表する研究者が集まっている。参加者の多くは米国内からであり、AEによる検査が盛んな米国における動向調査には最適な学会である。米国外からの参加者は、日本から5名の他、ドイツ、英国、イスラエル、ギリシャ等からの参加があった。
開催地のフィラデルフィアは全米5番目の市域人口を有する大都市であり、ドレクセル大学はその中心駅である30th Street Stationから徒歩すぐの場所にある。隣接するペンシルベニア大学とともにUniversity City地区を形成しており、学術都市としての様相を呈している。

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写真1 会場のDrexel University

セッション:
講演は7セッション、33件の発表があった。セッションと講演件数を以下に示す。
Session 1: Progress in AE Sensors (4)
Session 2: AE Sensor Calibration and Characterization (4)
Session 3: Sensing Application (6)
Session 4: Vendor Presentations (4)
Session 5: AE for Damage Monitoring and Detection (4)
Session 6: Detection of AE Sources (5)
Session 7: Application of AE Monitoring (6)

内容、所感:
検査対象としてCFRPを扱っている研究がかなり多くなっている印象を受けた。全体の傾向としては、AEと損傷との対応付けをいかにして行うか、という点に焦点を当てている研究が多い。裏返してみれば、そこにはまだ多くの課題があるということを示している。その課題に対して、一つの有効な解を提示しているのがAEトモグラフィ法であると感じた。その他にも、MEMSタイプのAEセンサを応用した研究や、航空機、自動車、産業機器への適用事例など、AEに関する先端動向を知ることができた。
以下に、注目した発表について概要を記載する。

[1] State-of-the-Art Acoustic Emission Sensors (Univ. of Illinois at Chicago)
昨年のホストでもあった、イリノイ大のOzevin教授による総括的報告であった。1988年以降のAEセンサの開発の歴史を紹介したものであった。これまでにPurdue大からピエゾフィルムを使ったセンサや、1993年にはコニカル形状の素子を用いた広帯域センサが提案され(Koberna, 1993)、そして2007年にはCarnegie Mellon大よりMEMSタイプのAEセンサが登場した(Wright, Oppenheim and Greve, 2007)。イリノイ大ではこれらを受け、さらに狭帯域のMEMS AEセンサを開発していることなどを紹介した。広帯域型と狭帯域型では全く異なる検出波形となるため、帯域の影響をよく考慮する必要がある、とのコメントがあった。またコストと性能のバランスを意識してアプリケーションへの実装を進めるべき、との内容であり、SAセンサにおいても同様のことが言える。

[2] An Acoustic Emission Source Localizer in Plate Structures using Edge Reflections (Univ. of Texas)
エッジ反射を考慮した位置標定方法の報告であった。プレート形状の対象物にセンサを張り付けて位置標定を行う場合、エッジからの反射が含まれるが、エンベロープ波形を取り出して反射パターンを分析し、最大3反射までを考慮した上で位置標定を行うというものであった。計測対象によっては反射波に対する対策も考える必要がある。

[3]Application of MEMS Acoustic Emission Sensors for Source Location Using Quasi-beamforming Approach (TNO)
4つのMEMS AEセンサを使った位置標定方法に関する発表であった。イリノイ大のMEMSセンサを用いているものと考えられる。4つのセンサで囲った範囲内で標定するのではなく、4つのセンサを近接させて配置し、遠方から来たAEを標定するというものであった。標定精度の点でデメリットはあるもののMEMSセンサやワイヤレスシステムとの相性が良く、参考になるアプローチであった。

[4]Utilizing AE data and Stochastic Modeling Towards Fatigue Damage Diagnostics and Prognostics of Composites (Univ. of Patras)
複合材料の健全性を、隠れセミマルコフモデルを用いてリアルタイムに推定する試みであった。材料は健全(1)から損傷(N)までの各状態を遷移し、各状態に応じたAEを確率的に出力すると考えている。外部から観測さるAEパラメータから、尤もらしい内部の状態を推定するというものである。CFRPの試験片を用いた引張り試験を行い、その間に出力されるAEからリアルタイムに状態(健全度)を出力するデモを見せていた。同時に、条件付き確率から残寿命(Remaining Useful Life)を推定して表示していた。実験室レベルでは健全度をオンラインで表示することができており、興味深い結果であった。

[5] Correlation of Corrosion Rates with Acoustic Emission Activity off a Carbon Steel Plate in a 3.5% NaCl Solutions (MISTRAS Group, Inc.)
MISTRASによる、タンクの腐食検知に関する基礎的な実験の報告であった。カーボンスチールプレートに2つのセンサを設置し、離れた場所にNaCl溶液を垂らして腐食させる実験を行っていた。腐食に伴うAEが検知できており、分極抵抗法で測定した腐食速度と、AEヒットレートとの相関を計測した事例であった。腐食が直接検知できる可能性が示されており、一つの有力なアプリケーションであると考えられる。

次回開催:
次回は50周年記念会議として、2017年シアトルでの開催が検討されている。

(技術研究組合NMEMS技術研究機構 碓井隆)

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2016年6月20日 (月)

第22回国際マイクロマシンサミット (MMS2016)報告

国際マイクロマシンサミットは21年前の1995年にマイクロマシンセンターが提唱して始まり、その後は毎年同程度の規模で継続されている国際会議です。通常の学会と異なり、各国の代表が、産業政策や科学技術政策、教育まで含めて議論するのが特徴になっています。日本での開催は、第1回の京都、第8回の広島、今回の第22回が3回目になります。今回のサミットのテーマは、「高齢化社会におけるセンサ・MEMS」であり、健康・医療やライフスタイルに対応するマイクロシステムに関する話題が多く出されました。尚、次回(2017)の開催場所は26日の各国代表者会議で、スペインに決定されました。

開催日時: 2016年5月25日(水)~ 5月27日(金) 
開催場所: ハイアット リージェンシー 東京 
オーガナイザー: 東京大学 下山勲教授
参加者: 世界16ヶ国のデリゲート、51名
事務局:一般財団法人マイクロマシンセンター
プログラム:
24日(火) 夕刻:登録とレセプション 1F 「ラウンジ」
25日(水) 《本会議》27F エクセレンス
   午前:カントリーレビュー
   午後:MEMSによるスマートモニタリング
26日(木) 《本会議》27F エクセレンス
   午前:MEMS医療応用とウェアラブル
   午後:新しいライフスタイル
   夕刻:意見交換会</p></div>
27日(金) 《Technical Tour》(つくば市)
  ①フジキン先端事業所(半導体装置用機器・チョウザメ)
  ②KEK フォトンファクトリー
  ③筑波大学 バイオマス研究施設
  ④産総研・サイエンススクエア

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図1 ハイアット リージェンシー 東京 ロビーの看板

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図2 オーガナイザー(チェア)の東大・下山教授

 25日の本会議では、最初の3つのセッションは各国のチーフデリゲイトによるカントリーレビューです。今回は医療、健康分野の話題提供が比較的多い印象を受けました。まず、Benelux・Van den Berg氏からはフォトニック結晶とMEMSを組み合わせた機能デバイス、MEMSやセンサを医療に用いる様々な活動に関する紹介、EC・Gallardo氏からはデジタル化やスマート化によって如何に産業が変革してきたかを判りやすくご紹介、フランス・Labachelerie氏からはLETI等の成果である極めてファインなシリコン共振器を用いた高精度センサを医療分野に使う取り組み、イベリア・Cané氏からは、PDMSのような比較的作成容易なデバイスによる様々な医療応用、およびIOTに必須なナノテクを用いた発電素子等の発表がありました。

 第二のセッションでは、イタリア・Dario氏から医療に使う様々なカプセル技術とマイクロロボット技術、日本・下山教授からは現在様々なプロジェクトで取り組みがされているスマートセンシング技術や、それを実現する新技術・無線モジュールの紹介、韓国・Kim氏からは将来のスマートホンを支えるナノテクの紹介、南米・Lupi氏からは半導体やMEMSの施設や取り組みの紹介、ノルディック・Ohlckers氏からは医療・バイオを支えるナノテクやMEMS,特にナノピラーの利用、ルーマニア・Dinescu氏からはRFMEMSやマイクロTASの紹介がありました。 

 第三セッションでは、シンガポール・Kumar氏から、小さい国なのに複数の研究者で多数の研究テーマが成果をあげていること、スイス・Fischer氏からは最先端MEMSに加え、最先端のスマート時計の取り組みに関すること、台湾・Chiou氏からは急激な高齢化に備えた医療や診断に関する取組み、米国・Gaitan氏からはロードマップやNISTを含む、様々な側面からの取組み紹介がありました。

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図3 MMサミット2016の会場の様子

第一日目の最後のセッションは、MEMSによるスマートモニタリングで、6つの講演がありました。最初にBosch、Beer氏からIOT時代のスマート化を図った複合センシングに関する話題、ドイツHSHL、Kleinkes氏から将来のデジタル化社会における技術革新について、日本の神永氏からMEMSの歴史から今後のIOTを取り巻く世界の趨勢と、シリコン深掘りを中心とした技術開発、同じく日本からNMEMS組合の今仲氏から道路インフラモニタリング(RIMS)プロジェクトの紹介、イタリアの聖アンナ大、Cavallo氏から健康分野におけるサービスロボット、特に介護や生活空間で実際に使っているロボットに関しての報告、日本のオムロン、関口氏からQOL向上を目的としたマイクロシステムを用いたモニタリング、特に世界初のアレイ型圧力センサを用いた脈波から血圧を計測出来るウェアラブル機器の紹介がありました。セッション後にDario教授によるIOTスマートアプリケーションの未来と題するパネル討論会がありました。このパネル討論会のパネラーは下山教授、Gaitan氏、Fonseca氏であり、MMサミットに何度も来て頂いているデレゲイトの方々にお願いしました。特にコーディネータのDario教授は最高の20回の御参加を頂いています。

 第二日目の午前のセッションは、MEMS医療応用(1)で5件の講演です。BeneluxのenablingMNT,Heeren氏からはマイクロ流体の標準化を睨んだ取り組みとして機能単位でビルディングブロック方式の提案と試作、FranceのCNRS,Franck氏からはLiving Cellを用いたバイオ機械の作成と言うテーマで、細胞を中心に様々な生体物質の変態過程を電子・機械回路のアナロジーから応用する試み、同じくFranceのCNRS,Leclerc氏からから臓器Chipと薬剤スクリーニングに関して人工臓器を製作するためにマイクロ流路を用いて細胞機能の租過程を研究する試み、ドイツのIVAM、Dietrich氏からヘルスケアと治療におけるデジタル化に関して、ドイツではセンサを用いた健康機器が年率22%で伸びており、デジタルヘルスの産業領域が今後伸びるとの見方、またイタリア聖アンナ大、Cavallo氏からはParkinson病の為のウェアラブル指輪センサ、足、指、腕等に多様なウェアラブルセンサを用いて様々な信号処理で人体の動きや疾患を判断する取り組みでした。

 午前の休憩後のセッションはMEMS医療応用(2)で4件の講演です。東大の藤田教授から日本とフランスの本研究領域に関する共同研究と、その成果の報告に加えて、医療診断用のBioMEMS特にナノ領域の細胞ピンセット、細胞分類等の技術の紹介、韓国のKwon氏から高速抗原分析用の様々なマイクロ流体やセルアレイに関して、RomaniaのMoldovan氏から小形医療システムの為のマイクロ・ナノ製造に関してピエゾMEMSやナノデバイス等の様々な取り組み、台湾のLin氏から高齢社会におけるインビトロ高速診断に関して、今後は様々な小形のポイントオブケア機器が開発されるとの報告がありました。

 午後の最初のセッションは、MEMSを使った新しいライフスタイルとのテーマでIberiaのFonseca氏からNffaと言うナノスケールでの研究開発の全てが揃うオープンイノベーション拠点のご紹介やナノ材料を用いたエネルギーハーベスト紹介、ItalyのLeone氏から家庭環境でも使える集積化ウェアラブルセンサとして、モーションセンサが様々な人間の行動パターンを推定できることや、ウルトラワイドバンド無線機器が室内の動作や姿勢を推定できること、韓国のKang氏から喘息診断の為のマイクロシステム、特に電気化学的インピーダンス計測を使った診断等の紹介、米国のWalsh氏からMEMSシステムの商用化の発表として、トリリオンセンサに使う無線周波数の制限をもっと自由にすることで様々な利点が生まれる論点がありました。

図4 集合写真

 このMMサミット最終セッションでは、MEMS産業化と言うテーマにて、日本のLi氏から次世代のリソグラフィー技術に関してマルチチッププローブを用いてナノパターンを生成する取り組み、日本の前田氏から産業技術総合研究所のMEMS関連技術に関して、PZT技術や無線、MEMSアクチュエータ技術を用いた様々な取り組みに関して、NordicのOhlcker氏から超伝導光電子デバイスの実装技術開発であるQ-WAVEと言うEUプロジェクトに関して、超低温で使うジョセフソン素子を多数用いた量子デバイスと光学デバイスの集積化の発表がありました。セッション後にVan den Berg教授による医療アプリケーションの未来と題するパネル討論会がありました。このパネル討論会のパネラーはFisher氏、Heeren氏、Cane氏、Kleinkes氏、Ohlckers氏であり、MMサミットに何度も来て頂いているデレゲイトの方々にお願いしました。特にコーディネータのVan den Berg教授はDario教授と同様に最高の20回の御参加を頂いています。

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図5 MMサミットに多数参加頂いたデレゲイトへのプレゼント

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図6 夜の東京湾&隅田川クルーズの様子

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図7 素晴らしい夜景

 MMサミットの会期終了後の技術ツアして筑波地区の最先端技術を巡るイベントを企画しました。今回は何故か水に絡むテーマが多く、最初にフジキン先端事業所で、半導体装置用制御機器のご紹介、高度の流体制御技術を用いたチョウザメの飼育の見学でした。フジキンはニードルバルブの世界的企業ですが、この技術を応用した様々な事業に挑戦されており、この見学もこの一環でした。午後の最初の見学はKEKのフォトンファクトリーです。特にSOR光を使った計測や分析は世界中の研究者が利用されています。また普段は見ることが難しい見学として筑波大学・バイオマス研究施設を見学しました。これは淡水の藻を育成してバイオマス材料として利用する試みです。再生エネルギー研究施設に多くの研究者が興味深々でした。最後は産総研・サイエンススクエアを見学しました。産総研の最先端の研究、すなわちロボット技術や再生可能エネルギー等が一堂に展示され、我々スタッフも楽しむことが出来ました。

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図8 チョウザメの水槽見学(フジキン)

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図9 バイオマスの研究施設

 このように、何か月もかけて事務局にて準備を行ってきた怒涛の3日間も何とか終わり、2日目に行われた団長会議にて来年の開催国がスペインに決まりました。
 
 最後になりますが、本国際マイクロマシンサミット2016のドイツのチーフデリゲイトとしてご参加されるご予定であったFraunhofer 研究所ENAS研究所長のThomas Gessner教授が、5月25日にご滞在のホテルでHeart Attackによってご逝去されました。サミット参加者一同、Gessner教授のご偉業を称えますと同時に、ご冥福をお祈りいたします。
                        (国際交流担当 三原孝士)

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2016年6月14日 (火)

【平成28年6月の経済報告】 

  本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

 入梅、平成28年6月の経済報告をお届けします。業務の参考として頂ければ幸いです。  

 内容は、以下のPDFをご参照下さい。

「2016.6.pdf」をダウンロード


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2016年6月13日 (月)

IEC/TC47/SC47Fアドホック会議開催される(6月9~10日)

 IEC/TC47技術委員会傘下の、MEMS関連の分科会であるSC47Fのアドホック会議が、6月9日から10日まで、中国・成都にて開催されました。
   
 6月9日に開催されたTC47/SC47F会議には37名(日本8、韓国9、中国18、ドイツ2)が出席し、昨年10月の、ベラルーシ・ミンスクでの全体会議の審議状況の報告、および現在審議中の規格案について、コンビナから報告の後、意見交換が行われました。日本からの提案である「MEMSエレクトレット振動発電デバイス(PL:東京大学 鈴木雄二教授)」が現在CDV回付中である旨の報告がなされました。また、Future workとして、神戸大学 神野伊策教授からMEMS圧電薄膜の信頼性評価についてのプレゼンテーションが行われました。
   
 6月10日にはTC47/SC47FのMEMS Workshopが開催されました。9日の会議と同等の出席者があり、全部で5件の発表がありました。日本からは2件、「フレキシブルMEMSデバイスにおける曲げ信頼性試験(北九州環境エレクトロニクス研究所:宍戸先生)」と「スマートセンシング・インタフェースに関する標準化(マイクロマシンセンター:坂井)」の発表が行われました。韓国からも2件の報告があり、グラフェンの機械的特性に関する報告ならびにresonant mass sensorに関する報告がありました。中国からはMEMS chipsに関する技術的要求事項についての報告がありました。それぞれの発表に対して活発な意見交換が行われ、参加者の意識共有化を図ることができました。
   
 次回会合は10月にドイツ・フランクフルトで開催されるTC47全体会議の予定で、各国参加者と再会を約束して会議日程を終了しました。

(調査研究・標準部 坂井裕一)

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