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2016年2月

2016年2月24日 (水)

第1回スマートセンシング&ネットワーク研究会の開催報告

 去る2月23日(火)、当センター新テクノサロンにて、第1回スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会が開催されました(写真1)。当日はSSN研究会メンバー機関に加え、情報賛助会員機関もオブザーバーとして産官学23機関40名を越える当分野に関心深い参加者が集り、IoTやセンサネットワーク関連の最新の技術、市場動向の発表と、活発な質疑応答がなされました。
 先ず冒頭に本研究会会長の東京大学 大学院情報理工学系研究科教授 下山勲先生のご挨拶があり、先生の大学院時代の歩行ロボットに関するほろ苦いエピソードから、当研究会の活動の意義や取り組んでいく方向について示されました(写真2)。続いて第1回研究会特別講演として、M2Mの世界や、リアルデータ、サイバー分野などIoT関連の多方面の最前線でご活躍中の東京大学先端科学技術研究センター森川博之教授(写真3)が「データ駆動型経済:未来を拓くIoT」をテーマに、Pay-Per-Laugh(笑った分だけ料金を支払う劇場)や、ウィンクル社のGatebox(ホログラムや音声認識技術を用いたコミュニケーションロボット)などのIoTビジネスの実例を紹介され、IoTに関する4つの重要なポイントについてわかりやすく解説されました。次に当センターから、SSN研究会活動とわが国の関連施策状況の紹介をいたしました。後半は、産業界からの講演があり、日本ナショナルインスツルメンツ社の長久文彦氏、岡田一成氏(写真4)より「インダストリアルIoTの実現に必須のセンサ計測とエッジコンピューティング」について発表があり、インダストリアルIoTへの先進的な取組み事例が紹介されました。最後に三菱電機産業メカトロニクス事業部技師長安井公治氏(写真5)から、「機械関連産業の新産業革命狙いとスマート化ニーズ」について、歴史的な意味と安井氏のグローバルでの実ビジネスから得られたIoTに関する様々な話題を紹介されました。その後、意見交換会が行われ、日本企業が狙うべきIoT市場やオープンイノベーションのあり方など、活発に議論がされました(写真6)。(当日のプログラム詳細については当センターブログサイト「MEMSの波」を参照ください)
 当研究会はいつでも新規入会を歓迎します。入会を希望される方は、MEMS協議会事務局までお問い合わせください。


(写真1)

(写真2)

(写真3)

(写真4)

(写真5)

(写真6)
            <MEMS協議会 渡辺秀明>

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2016年2月18日 (木)

【平成28年2月の経済報告】

 本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

 向春、平成28年2月の経済報告をお届けします。業務の参考として頂ければ幸いです。  

 内容は、以下のPDFをご参照下さい。

「2016.2.pdf」をダウンロード


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2016年2月10日 (水)

カナダ・アルバータ州MEMS関連機関との情報交換会参加報告(1月25日)

 MEMS協議会では、MEMSビジネス内外交流事業の一貫として国際交流事業を行っており、海外のMEMS関連研究機関との交流も活動の大きな柱になっています。昨年に続き今年も、カナダ・アルバータ州MEMS関連機関との国際ビジネス交流会を実施致しましたので、以下に報告します。
 
   国際ビジネス交流会の開催を知らせる看板

 カナダ・アルバータ州は豊富な天然資源から得られる利益を、MEMSやナノテクの研究開発に長期間に渡って集中投資すると同時に、ACAMP(アルバータ先端MNT製品センター)に代表される大型のオープンイノベーションセンターが、企業の研究開発支援、更に先端技術を武器に展開するスタートアップ企業の育成等によって、最先端分野の産業化促進を行っています。

 今回来日されたNINT(National Institute for Nanotechnology)の  Executive Director: Marie D‘Iorio女史をはじめとするご一行は、nano tech 2016に出展するカナダ・アルバータ州MEMS関連機関企業の経営者・研究者・技術者として来日されました。そこで展示会に先立ち、1月25日に赤坂のカナダ大使館にて、マイクロマシンセンターと情報交流会を行いました。

 当日の交流会は、アルバータから来日された方々などが14名、アルバータ東京事務所の方が3名、一般財団法人マイクロマシンセンターから2名で、計19名でした。


 
           交流会風景

 日本からは、MEMS協議会の活動、MEMS関連プロジェクトの動向、日本における企業、大学での研究開発のトピックス、ナノマイクロビジネス展のご紹介等を行いました。カナダからは、代表してNINTのMarie D‘Iorio女史(アルバータ大学の物理学教授を兼ねる)の講演の他、既に何回も御会いしている方々との間で和やかに情報交換が出来ました。(産業交流部 松本一哉)


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2016年2月 4日 (木)

第4回海外調査報告会を盛況に開催(1月21日)

 第4回MEMS協議会海外調査報告会を1月21日に新テクノサロンで開催し、約40名の方にご参加いただきました。このイベントはマイクロマシンセンター/MEMS協議会(MIF)が行っているMEMS関連の海外調査及び国際標準化の状況について報告するものです。毎年のように北米や欧州を中心に学会等のイベント、海外の大学や研究施設、関連企業の訪問見学を行ってきましたが、今回は特に特別報告として世界の家畜に関連する報告を企画致しました。
         
                        写真1 会場の様子
                  
  MEMS協議会事務局長・長谷川英一からの主催者挨拶のあと、最初の報告は特別報告として「欧州と豪州の畜産用センサの現状と動向」と題して技術研究組合NMEMS技術研究機構およびマイクロマシンセンターのMEMSシステム開発センター  武田宗久から、イギリス、エクスターのeCow社、オーストリア、グラーツのsmaXtec社、オーストラリア、ガトンのQueensland大学、および Sydney大学の報告がありました。最初に畜産業の産業内の位置付けとして、国内の畜産は農業生産額の31%を占める最大(2.5兆円産業)であること、世界のスマートフォンの台数が2012年に約7億台に対して、牛の数は15億頭と極めて大きな数字であるとの報告でした。また子牛の誕生、生育、乳牛、健康管理や販売に至る産業形態も説明がありました。牛用のセンサとして各種体温計(深部、耳、膣等)、発情検知(モーションセンサ)、ルーメン(胃)のPHセンサの説明と、何故センサによる牛の管理が必要であるかの説明、受胎率の向上や、生産病(肺炎やストレス)等の課題の説明もありました。また現在取組を行っている、SIP次世代農林水産産業創造技術の研究内容の紹介によって、現在の最先端の状況も判りました。
  海外の状況として、最初に英国のeCOW社は、2007年に設立、Royal Agricultural 大学のToby Mittram教授がCEOです。PHセンサに無線モジュールを付けたセンサで、既に1000台以上が出荷されているようですが、実際に稼働しているのは250台とのことです。
  またオーストリア、smaXtec社は2009年設立、製品のラインナップは広く、Phセンサに加え、気象センサ、センサステーションも含み、出荷台数は2015年に2万台とのことです。このルーメンセンサPHセンサと温度センサを搭載し、センサ内メモリに蓄積したデータを纏めて送る仕組みです。
   豪州の調査では、クイーンズランド大学とシドニー大学の調査報告がありました。この大学ではルーメンセンサや温度センサ、ストレスセンサを活用している(特に運搬時のストレス評価のため)とのことです。
                  
                           写真2 武田から報告
                  
   続いて、「米国のMEMS産業動向」についてMEMS協議会 松本 一哉からMEMS Industry Group(MIG)国際ビジネス会議 (MEMS Executive Congress US in 2015)、Stanford大学工学部・大学院Ginzton Laboratory訪問の報告がありました。
   最初にMEMS Industry Group(MIG)のKaren代表から、IoTの到来を見据え、同団体の名称をMEMS & Sensors Industry Groupに改名することを宣言、更にトリリオンセンサビジョンを2015年5月に傘下に納めた事の報告があったとのことです。またSteve Nasiri氏からベンチャー発の企業であるInvenSenseが何故ここまで成功したかを、要因分析し、実装技術を中心に常に技術で先駆的に進めていたことの報告がありました。
  市場動向として特に市場が拡大するセンサは、BAW(Bulk Acoustic Wave)フィルタで、iPhone6sで20個搭載され、今後更に搭載個数は伸びる見込み、同センサ市場は、Avago社(60%)、Qorvo社(40%)の寡占市場となるとのことです。高周波共振器のRF-MEMSは日本が従来強かったので、最近の状況は残念です。
  またMEMSマイクロフォンの性能向上も素晴らしく、マイクロフォンは、概ねスマートフォンに4つ搭載され、ノイズキャンセラとして音質向上に貢献しています。マイクロフォンの感度向上(機能改善)によって価格下落を阻止できている稀なケースです。現在マイクロフォンの感度は約60dBですが、次世代技術では75dB以上になるものと考えられるほか、Optical MEMSマイクロフォンといった新しいセンサも出てくると推測されます。この場合、82dBに性能向上が可能との事です。
  前回は日本からの参加者は2名と少なかったのですが、今年は8名とのことです。MIGに詳しいSPPの神永アドバイザーによりますと、日本からの参加や講演寄与が増えたことに、主催者が驚いていたとのことです。
                  
                            写真3 松本から報告
                  
  次は「マイクロマシンサミット2015と題してMEMS協議会・国際交流担当の三原孝士が報告しました。マイクロマシンサミットは毎年、各国のMEMS関連状況をそれぞれ報告し、意見交換する場として開催され、今回は第21回となります。今回は久しぶりに欧州のドイツでの開催であり、またテーマも「SMART SYSTEMS FOR MANUFACTURING AND FACTORY AUTOMATION」とドイツ発のインダストリ4.0の話題が共鳴し、欧州からの参加者が例年以上に多く、参加人数は70名、発表数は約60件、Delegatesの多い国は、ドイツ 12名、イタリア 11名、オーストラリア 5名、中国 5名、イベリア半島 5名、スイス 4名またUSA 4名の順でした。
  また研究所の訪問では、ベルリン近郊にあるFraunhofer研究所のIZM(マイクロエレクトロニクス信頼性研究所)でした。Fraunhofer研究所は最先端でなくても、企業にとって必要な研究開発を行う研究所として世界的に有名ですが、IZMは半導体やセンサ、電子基板モジュールの研究開発を行っています。MEMSの研究は勿論ですが、例えばフレキシブルプリント基板の研究等です。日本では論文が書けないと研究テーマは成り立たないことが多いのですが、Fraunhofer研究所では産業界が望めは継続する歴史があります。
  今年のマイクロマシンサミット2016(第22回)は久しぶりに日本で開催されます(第1回が京都、第6回が広島でした。)、場所は新宿のハイアットリージェンシー東京(新宿)で、日程は5月25日、26日です。全世界のMEMSやナノテクの産業推進状況が判ります。御参加を希望される場合は事務局までお問い合わせください。
                  
                         写真 三原から報告
                  
                        写真 坂井から報告
   最後は「MEMS国際標準化に関する活動状況」と題して調査研究・標準部長の坂井裕一より報告がありました。最近は、センサに無線システムが搭載され、更にエネルギーハーベストに対しての取組みも強化されており、マイクロマシンセンターでもSSN(スマートセンシング&ネットワーク)研究会を設立して、その活動を強化しています。この分野は、応用分野別にセンサ・無線・エネルギーハーベスト・電源管理・実装と言った要素デバイスや技術の評価を含む国際標準化が必要ですが、特に無線等ではデファクトスタンダードに頼っている側面もあります。このような背景からMEMSの国際標準化はIECを舞台に、更に進められるように「プロダクトアウト/プロセス重視型」のアプローチから「マーケットイン/結果重視型」へと転換が進められています。IECから発行済みのMEMS関連規格は24件で日本提案が11件、韓国提案が13件となっており、現在審議中が5件あります。審議中の案件には日本・韓国が2件づつ、中国とドイツがそれぞれ1件あります。
                  
   最後に閉会の挨拶 として、専務理事 青柳桂一から熱心にご参加、ご議論して頂いた方々へのお礼がありました。
                  
                           写真 熱心な議論
                  
                  
                         写真 懇親会の様子
   報告会には住友精密工業・神永様、次世代センサ協議会・大和田専務も参加いただき、コメントを頂きました。さらに報告会の終了後には懇親会に場所を移し、情報交換を行いました。(MEMS協議会 国際交流担当 三原 孝士)

                  

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2016年2月 3日 (水)

PowerMEMS2015参加報告

 PowerMEMS2015 – the 15th International Conference on Micro and Nanotechnology for Power Generation and Energy Conversion Applicationsが2015年12月1日(火)から4日(金)に,米国マサチューセッツ州ボストンにおいて開催(共催:the Transducers Research Foundation, the Massachusetts Institute of Technology, Northeastern University)され(写真1),NEDO委託事業である高効率MEH振動発電先導研究から2件(芦澤研究員,三屋)の研究成果を口頭発表して参りました.また,その後米国カリフォルニア州クパチーノにあるApple本社を訪れ,振動発電に関してプレゼン,情報収集・意見交換をして参りました.

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写真1  PowerMEMS2015の会場 

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写真2  オープニングセッションの様子 

 まず,PowerMEMSに関してですが,第1回が2000年に仙台で行なわれてから,年々規模,評判,そして研究範囲を大きくしています.15回目となる今回は参加者216名,6件のプレナリートークと,全169の応募の中から,60件の口頭発表(パラレルセッション),75件のポスター発表により行なわれ,マイクロ,ナノのエネルギー関連の国際学会としては最大級の規模でした.
 初日のオープニングセッション(写真2)に続き,プレナリートークではトップバッターとして神戸大学の神野伊策教授が,「Piezoelectric MEMS for energy harvesting」と題してご講演され,機能性マイクロデバイスである圧電MEMSエナジーハーベスタなどについての貴重なご経験や研究成果などをご発表されました.ピエゾタイプは確かに低周波では不利な技術なのですが,高い電気機械変換効率を有しており,エナジーハーベスタだけではなく,高感度なマイクロセンサとしても期待される技術であり,非常に勉強になりました.
 その後,パラレルセッションにて口頭発表がスタートしました.今回,私達の口頭発表はプレナリートーク直後の,最初のエレクトレットセッションにおいて,1番目に芦澤研究員(写真3)の「Impulse-excited energy harvester based on potassium-ion-electret」,3番目に三屋(写真4)の「Soft electret gel for low energy harvesters」の発表であったため非常に注目もされました.

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写真3 口頭発表(芦澤研究員)の様子

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写真4 口頭発表(三屋)の様子

 まず芦澤研究員は,カリウムイオンエレクトレットを使ったインパルス振動型のエナジーハーベスタについての研究結果を発表しました.カリウムイオンエレクトレットとは,熱酸化中にアルカリイオンを取り込み作られるエレクトレットで,高アスペクト比のギャップ側壁,またどんな微細な狭ギャップ構造の側壁でも一様に成膜できる技術で,もともとは静岡大学の橋口原教授が考案されました.今回は,この技術を使い環境振動の中でもインパルス振動に特化したエナジーハーベスタを,東京大学の年吉洋教授のグループと共に開発し,LEDを直に接続し,蓄電なしで点灯できる150µW級発電に成功しました.そのデモンストレーションの動画は,多くの方に非常に興味深かったようです.今後はさらに高電荷密度に形成したり,狭ギャップ化することで更なる発電効率のアップを目指しています.
 また,次に三屋が発表したソフトエレクトレットゲルは,他にはないイオン液体を使ったゲル状のエレクトレットで,東京大学の藤田博之教授のグループ,電力中央研究所,及び鷺宮製作所で開発した技術です.このエレクトレットゲルは直に電極と接触しても帯電劣化がなく発電できるため,従来のように大きな重りを細いバネでつるような構造は不要であり,人の動きなどの非常に低い周波数でも堅牢なエネジハーベスタが作ることができる技術です.似た技術として,摩擦発電もありますが,それとは異なり大きな外力を必要としないのが大きな利点です.こちらも今後さらに大きな発電量をめざしています.
 全体を通して,やはりほとんどの研究がまだまだ発電量が低く,現状で使える用途・範囲は限定的な印象でした.いずれにしても,mW級のエネジーハーベスタを安価に実現しなければ,トリリオンセンサユニバースのような爆発的な普及は難しいように感じました.

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写真5 Apple本社の外観

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写真6 Apple本社前

 PowerMEMSの終了後,西海岸のカリフォルニア州クパチーノを訪れ,Apple本社にて情報収集,および意見交換をして参りました(写真5,6).Apple本社は,クパチーノの閑静な住宅街の中にあり,本社内部は非常にきれいで,多くの国籍の方が働いているという印象でした.また,同じクパチーノの少し離れたところに「Apple Campus 2」を現在建設中で,訪れたときもまさに建設を行っているところでした(写真7).東京ディズニーランドの1.4倍とも言われる規模は,まさに圧巻でした.残念ながら情報管理が非常に厳しいため,情報収集・意見交換の内容を詳しく書くことができず,また,内部の撮影も一切禁止のため内部の写真などもありませんが,我々の研究成果に非常に興味を持たれておりました.これまでにもiPhone,iPadなどを普及させてきた発信力の非常に高い企業です.ウェアラブルデバイスであるApple watchの動向も注目しつつ,今後私たちの技術によって,Apple製品にも新たな流れを作り出せればよいと思いました.

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写真7 建設中のApple Campus 2の様子

(技術研究組合 NMEMS技術研究機構 芦澤久幸,三屋裕幸)

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