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2015年9月

2015年9月29日 (火)

ET-NDT6海外出張報告

■■ET-NDT6

2015年5月27日から29日にベルギーで開催されたET-NDT6(6th Conference on Emerging Technologies in Non-Destructive Testing)は、1995年に第一回の会議が開かれ、今回で6回目を迎える会議である。非破壊検査分野におけるEmerging Technologiesの発表を聞ける機会となっている。招待講演を含め講演数95件で、欧州と日本の発表が多かった。会議参加者分布を図1に示す。

会場はブリュッセル大学(写真1)で、パラレルセッション形式の発表であった。

高峯が情報処理、小職が機械系が多くなるように分担し聴講した。発表で特に興味深いものを以下に詳述する。

Fig1

図1. ET-NDT6会議参加者分布

Fig2

写真1. ブリュッセル大学

■Two-dimensional AE-Tomography based on ray-trace technique for anisotropic materials(Y.Kobayashi :日本大学他)

従来のAEトモグラフィーは等方性材料に限定さていたが、光線追跡法による2次元の異方性を考慮したトモグラフィーアルゴリズムを提案していた。速度異方性材料の速度場分布を等方性アルゴリズムで計算した推定速度場と異方性アルゴリズムで計算した推定速度場の比較をシミュレーションにより行い、その有効性を実証した。

CFRP等の複合材は繊維方向により速度が異なるため、このアルゴリズムはCFRP補強されたコンクリート床版の劣化モニタリングや、CFRP補強されたタンク等の社会インフラのモニタリングに有効となる可能性が高い。今後、小林教授(日本大学)と情報交換を密に行う事にした。

■Detection and localization of debonding damage in composite-masonry strengthening systems with the acoustic emission technique(E.Verstrynge :KU Leuven, Department of Architecture他)

歴史的建造物の補強に用いられているFRP(Fiber Reinforce Polymer)とSRG(Steel Reinforced Grout)の環境劣化加速試験を行い、補強材が剥離していく過程をAEセンサーによるモニタリングを行った。結果、AEセンサーで剥離状況を検知できることを実証した。ただし、FRPとSRGではAE発生パターンが異なっており、補強方法に合わせた判断基準が必要となっていた。環境加速試験では温度サイクル(1時間上昇、2時間保持、1時間下降、2時間保持の繰り返し)と繰り返しせん断試験が行われた。

この知見はコンクリート床版の鉄板による補強後のモニタリングに活用できる可能性があり興味深い。

■Innovative applications of micro-destructive cutting techniques in the field of cultural heritage(M.Teodoridou: University of Cyprus他)

押し付け力を一定に制御した状態でドリルで小さな穴をあけ、その時の振動、反力、音をモニタリングし構造物内部の組成変化をモニタリングする手法を提案していた。大理石試験片による実験での有効性を確認した。

現在コンクリート床版の土砂化はアスファルトとの界面に発生し、発見が困難な状況である。現状の確認試験は10cm程度の穴をあけて行っているが、この手法を用いれば、穴径を劇的に小さくできる為、容易に適用範囲を広げる事ができ、見逃し防止率を高めることに貢献できる可能性がある。

■■アムステルダム現地調査:

ET-NDT6の開催に先立って、隣国であるオランダのアムステルダムにて現地の橋梁の調査を行った。アムステルダムには多数の運河が流れており、非常に多くの橋梁が設置されている。

アムステルダムには多くの運河にかけられた古い橋が存在する。特にトラムが走行する橋は大きな負荷がかかるため繰り返し荷重による損傷と、塩害によるダブルの損傷が予測される。

運河にかけられた古い橋はトラムが通過する橋(写真2)と、そうでない橋(写真3)とでメンテナンス補強のレベルが異なっていた。

トラムが通過する橋は、オリジナルの橋の下側にだけ、I鋼とモルタルで補強され、過負荷による引っ張り応力耐性を向上させていた。力学的に下部の補強は理にかなったものであり、通路面側オリジナルのままで、景観が維持されている。

また、I鋼の表面は錆などによる腐食は無く、適切なタイミングでメンテナンスされているように見えるが、モルタルに埋もれた内部の状況は目視での確認はできな状況で不安が残る。但し、I鋼の表面が露出している構造であったため、露出I鋼面にAEセンサーを取り付け、常時モニタリングすることで、内部に埋もれた鋼材の亀裂や腐食劣化をモニタリングでる可能性がある。

Fig3

写真2. トラムが通過する橋の裏側     写真3. トラムが通過しない橋の裏側

(技術研究組合NMEMS技術研究機構 笠原章裕)

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2015年9月17日 (木)

【平成27年9月の経済報告】

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 本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

 初秋、平成27年9月の経済報告をお届けします。業務の参考として頂ければ幸いです。  

 内容は、以下のPDFをご参照下さい。
   「2015.9.pdf」をダウンロード


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2015年9月14日 (月)

スマートセンシング&ネットワーク研究会キックオフ会合の開催案内

 一般財団法人マイクロマシンセンターでは、スマートセンシング及びネットワーク関連の諸課題解決、技術標準化促進及び我が国における一層の普及促進のために、関連団体(大学・企業・研究機関等)が一堂に会し、発表、討論する場を提供することを目的とする「スマートセンシング&ネットワーク研究会(SSN研究会)」(第1回研究会は来年2月頃を予定)を設置することにいたしました(研究会会長:東京大学大学院 情報理工学系研究科下山勲教授)。
 つきましては、来る平成27年10月1日(木)「スマートセンシング&ネットワーク研究会 キックオフ会合」を開催し、関係者の皆様に「スマートセンシング&ネットワーク研究会」の取り組み等をご紹介する事となりましたのでご案内致します。
 今回の「キックオフ会合」では、関連プロジェクト等から講師をお招きし、無線センサーネットワークの現状と課題、IoTシステム・製造システムに求められる無線自立電源センサ・技術標準化動向、製造ラインにおける無線自立電源センサ導入の効果等についてご紹介頂きます。
 この機会に関係者の皆様にご参加頂き、本研究会の取組みをご理解頂き、引き続きのご支援をいただければ幸いです。


【開催概要】
日時 平成27年10月1日(木)12:30~17:40 / 17:45~
場所 東京大学 山上会館 (〒113-8654 東京都文京区本郷 7-3-1)
主催 一般財団法人マイクロマシンセンター MEMS協議会
共催 技術研究組合NMEMS技術研究機構
申込期限 平成27年9月24日(木)必着  定員100名
(定員になり次第、締め切らせていただきます。
会場の都合から1社2名までに絞らせていただく場合がございます。)
参加対象者 MMC賛助会員
MEMS協議会 メンバー
技術研究組合NMEMS技術研究機構 会員
関連プロジェクト(GSN、RIMS、UCoMS、MEH、IRiS)関係者等
参加費 無料(意見交換会を含む)
申込先 E-mail: front@mmc.or.jp (MEMS協議会事務局)
問合せ先 一般財団法人マイクロマシンセンター MEMS協議会事務局 Tel: 03-5835-1870

【プログラム】
12:30-
12:40
主催者挨拶
(一財)マイクロマシンセンター 専務理事 青柳 桂一
12:40-
12:55
SSNが目指す共通プラットフォームと対象分野
(一財)マイクロマシンセンター 産業インフラ研究センター 逆水 登志夫
12:55-
13:40
SSNの開発と今後の展望(仮題)
東京大学 大学院情報理工学系 研究科教授 下山 勲 氏
13:40-
14:25
IoTシステム開発の課題とサービス事例
(株)NTTデータ サービスイノベーションセンタ センター長 風間 博之 氏
14:25-
14:55
産業インフラ向け無線センサネットワークの特徴とサービス事例(仮題)
沖電気工業(株)通信システム事業本部 SC事業部 マーケティング部 担当課長 橋爪 洋 氏
14:55-
15:20
【休憩】
15:20-
15:50
国際標準化動向について(仮題)
経済産業省 産業技術環境局 国際電気標準課 統括基準認証推進官 辻本 崇紀 氏
15:50-
16:50
IoT標準化動向と社会インフラシステム事例
(株)日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業部 IoTビジネス推進統括本部 事業主管
新世代M2Mコンソーシアム 理事 木下 泰三 氏
16:50-
17:05
共通PF国際標準化に向けたWG活動について
(一財)マイクロマシンセンター 調査研究・標準部
17:05-
17:35
NEDO先導研究(MEH・CSAC)の概要およびSSNへの効果
(一財)マイクロマシンセンターMEMS協議会 産業交流部
17:35-
17:40
今後の研究会・WGの進め方について
(一財)マイクロマシンセンター MEMS協議会事務局長 長谷川 英一
17:45-
19:30
【意見交換会】 山上会館食堂
プログラムはやむを得ず変更になる場合がございますのでご了承下さい。

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IEC(国際標準化機構)・SC47F(MEMS分科会)の国際副幹事就任に伴うセミナーに参加しました。

 一般財団法人マイクロマシンセンターは、特にMEMS分野において、研究開発や産業推進の国際的なイニシアチブを発揮しつつ標準化事業を進めております。特に当センターは、IEC/TC47/SC47F(国際標準機関IECにおけるMEMS分野の分科会)の国内審議団体であり、この分科会の国際幹事を派遣し、様々な国際標準化活動を実施しております。

 ここでIECは1906年に創設された電気分野を専門に扱う標準化機構です。スイスのジュネーブに本部があり、日本も加盟しています。電気・電子技術および関連技術分野の発展、世界貿易の推進に寄与するために、国際電気標準規格(IEC規格)を発行し、その標準・規格に適合した製品の品質と安全性を保証する適合性評価制度を提供することです。またIECは、国際標準化機構(ISO)、国際電気通信連合(ITU)など国際機関との密接な連携を図っています。

 このIEC規格を登録するには、その提案から、ドラフト作成、国際会議での審議(利害関係のある国際代表団や専門家を含む関係者の協議、投票、調整)等に多大な時間が必要であって、最低でも約3年間の月日を要します。この国際調整のキーマンが国際幹事であって、中立的な立場で利害関係のある関係者の整合を取りながら、厳密に管理されているプロトコルに従って、国際規格発行まで辛抱強く対応していく必要があります。現在、当センターの竹内南がSC47Fの国際幹事を務めています。この竹内の業務を支援するために、私、三原が国際副幹事に就任致しました。その研修のために8月5-6日にIECのアジア・太平洋中央事務所のあるシンガポールに行って参りました。シンガポールは赤道直下ですが、毎日のように訪れるシャワーと海に近いせいか、気温が30℃前後であって日本の猛暑よりも涼しく感じます。 

 研修は、IECのミッションや組織から始まって、国際規格発行に至るまでの手順、提出すべき様々な書類、会議の種類と仕組み、審議の進め方、投票の仕組み、膨大なIECドキュメントと会議システム等々と膨大で密度の濃い内容でした。実際に国際標準を提案される各国の研究者の方々、議長や代表者の方々の熱心な姿を見ると、私も「何だかの貢献をしなくては」と言う気持ちになります。今回の研修に参加して、このような立場で少しでも国際的な科学技術の進展・当該分野での産業推進に貢献できる機会を与えてくださった多くの方に感謝したいと思います。(国際標準 三原 孝士)

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写真1 IECのホームページ

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写真2 IECのシンガポール事務所

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写真3 今回研修を受けた3人と、Dennis Chew所長を中心にIECのメンバー

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2015年9月 2日 (水)

MNOIC実習セミナー 「大口径最先端光学式評価装置を用いた圧電体薄膜の評価」【TIA連携大学院サマー・オープン・フェスティバル2015】の実施

 一般財団法人マイクロマシンセンター・MEMS協議会では、MEMS・マイクロナノ領域における産業推進の一環として国立研究開発法人産業技術総合研究所 集積マイクロシステム研究センターの研究施設を用いた研究支援サービスであるMNOIC(MicroNano Open Innovation  Center)事業を実施しています。その中のサービスの一つである人材育成について、MNOICで利用可能な最先端装置を用いた実習形式の「MNOIC実習セミナー」を毎年開催し、好評を得て参りました。今年は、「大口径最先端光学式評価装置を用いた圧電体薄膜の評価」を2015年8月27/28日に実施致しました。尚、この実習講座はTIA人材育成活動の一環として、「TIA連携大学院サマー・オープン・フェスティバル2015」として実施しました。
 「インダストリー4.0」や「Industrial Internet」などの製造業の新たな方向を目指す動きが活発になるにつれ、センサの製造に用いられるMEMS技術の重要性はますます増していきます。そのMEMSの材料の中でも、優れた圧電特性を有する薄膜は機械的(Mechanical)作用と電気的(Electrical)作用を橋渡しする材料として、MEMSへの応用が盛んに研究されています。本実習では圧電体薄膜の物性を理解して、最適なMEMSを設計する手法を短時間で習得するとともに、大口径最先端光学式評価装置を実際に使い、圧電材料への理解を深めることを意図しました。
 今回の参加者は企業から6名、学部、大学院生6名の計12名でした。例年になく、企業からの参加者が多く、本材料への産業界側の期待の高さがうかがえます。なお、装置を使っての実習になるため、あまり多くの参加者を募集することができず、締切間際で応募された方には、参加をお断りせざるを得ませんでした。
 開講にあたって、まず産総研廣島洋集積マイクロシステム研究センター長から挨拶(写真1)があり、その後事務局からオリエンテーションの後、産総研集積マイクロシステムセンター社会実装化センサシステム研究チーム長小林健氏の講義(写真2)から実習セミナーが始まりました。講義内容は、PZT薄膜を中心にその形成プロセスとデバイスへの応用を初歩から応用までを詳説し、講義の後半は2日目の実習で測定する圧電定数の理論的導出を解説されました。評価サンプル電極の直径依存性があることや、変位量の印加電圧依存性がバタフライカーブになる理由などを解説し、受講者アンケートでも全員が非常にわかりやすい講義だったとの評価でした。

   写真 1セミナーの風景(廣島センター長挨拶)

   写真2セミナーの風景(小林氏)

 次に、2日目の実習で使う強誘電体テストシステム (aixACT)の日本代理店である、ヤーマン株式会社先端電子グループの山﨑常生氏が、ダブルビームレーザー変位計を取り入れ強誘電体薄膜の絶対変位計測をも可能にした同システムについて解説しました。また途中から、本装置の製造メーカーのドイツのアグザクトシステムズ社の Roland Kessels 氏(写真3)も加わり、600℃までの温度特性を測定可能にしたシステムと実際のデータについて紹介しました。示されたデータには若干の温度依存性がありましたが、それが装置起因なのか、材料特性なのか、熱心な討論がなされ、さながら、圧電材料分野の国際会議のような雰囲気でした。

   写真 3 セミナーの風景(Kessels 氏)

 最後に2日目の実習プログラムについて、マイクロマシンセンターMNOIC開発センターの野田大二研究員から説明があり、1日目の講義を終えました。
 2日目は2班に分かれ、1班は圧電体薄膜評価からサンプル作製・評価、2班はその逆で実習しました。
 圧電薄膜評価は、産総研の小林チーム長と牧本なつみ研究員、さらにはヤーマンの山﨑氏、アグザクトシステムズ社の Kessels氏も加わった講師陣のもと、様々な電極径の圧電薄膜の圧電定数の測定実習を行いました(写真4、5)。受講者の中には、自ら作製した圧電薄膜のサンプルを持参し、aixACTでの測定を試した受講者もいました。測定サンプル作製のプロセスでは、MNOIC野田研究員の指導により、ドライエッチングとレーザー顕微鏡での形状測定と触針段差計を使ったエッチング深さ測定実習を行いました。またクリーンルーム内のプロセス装置の紹介も実施しました。

   写真 4 実習風景

   写真5 実習風景
 最後に、今回の実習を振り返って皆様にアンケートの実施と、実習の感想をお聞きしました。全体的には大変好評で、普段はあまり触れることのできない最先端の評価装置を使った内容に満足いただきました。今回は材料としての薄膜評価でしたが、実デバイスを用いた評価も実施してほしいとの要望もありました。今後の検討課題としたいと思います。
(MEMS協議会 渡辺 秀明)




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