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2015年8月 7日 (金)

第30回マイクロナノ先端技術交流会 開催結果

 第30回マイクロナノ先端技術交流会は、「材料技術・表面処理によるMEMS低価格化を目指して」というタイトルで、7月28日に開催しました。  

 最近の先端技術交流会では、ハイブリッドセンサや原子時計など先端的なデバイスに関する講演が主でしたが、今回はものづくりの観点に趣向を少し変え、MEMSデバイスの評価で最も時間がかかる信頼性評価と、MEMSデバイスの製造工程において金属配線の厚膜化で有効になるめっき技術に関して、最先端の研究で活躍されている2名の先生を講師に招いて、それぞれの研究内容につき講演を頂きました。
 最初の講演は、名古屋工業大学大学院 工学研究科 機能工学専攻の神谷庄司教授です。「MEMS構造材料としてのシリコンを中心としたマイクロシステムの破壊リスク・長期信頼性の評価に関する新しい展望」というタイトルで、MEMSなどのマイクロデバイスの構造信頼性保証に重要な要素となる強度特性や、疲労寿命評価の研究内容について話を頂きました。
 様々な研究者から公表された、結晶シリコン(Si)あるいは多結晶Siもしくは非晶質Siの破壊データをそのまま重ねてプロットしても相関性を見い出せないが、初期応力:Kcで規格化してデータをプロットするとパリス則(Paris' law)が見えてくるという事実は、シリコンの疲労破壊の存在に繋がる興味深いお話でした。
 また、デバイス内に残存している、或いはデバイス作成後に侵入する水素:Hが、シリコンデバイスの強度特性に大きな影響を及ぼしている可能性があるというデータを説明して頂きました。水素の存在により転位がシリコン中で発生しやすくなり、転位の蓄積が疲労に繋がるというメカニズムです。
 最後に、加温や加湿により疲労故障が加速評価できる事を示唆するデータも示され、これは長時間を有する信頼性評価の短時間化、つまり評価の低コスト化にもつながるというお話でした。

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神谷先生の講演風景写真

 続く講演は、関東学院大学 総合研究推進機構 材料・表面工学研究所の盧柱亨准教授です。「IoTを支える電子材料と表面処理技術」というタイトルで、メッキによる金属厚膜等の高速・高品質成膜の話や、電子材料への表面処理技術について講演頂きました。
 さまざまなモノがインターネットに接続されているInternet of Things (IoT)時代、あるいは仮想空間と現実空間の垣根がなくなるCyber Physical System(CPS)時代を迎えつつある現在、通信速度の向上に繋がる厚膜めっき配線技術、更には高密度チップ実装用インターポーザー基板のめっきプロセスなど、低コストで高品質な成膜が可能である各種めっき技術が着目されています。このめっき技術は、3次元にチップを積層してシステムの高密度・高速化を実現するThrough Silicon Via(TSV)技術にとっても重要な要素技術です。
 さらにメッキ技術は微細デバイスの製造だけには留まらず、自動車の電気配線の軽重量化や無線給電用のめっきコイル形成などにも有望視されており、メッキ技術抜きには語れない産業分野が増えつつあるということです。その全体を、豊富な実例を挙げて熱弁をふるって頂き、聴講者が興味深々に傾聴されていたのが印象的でした。

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盧先生の講演風景写真

 2名の先生方によるプレゼンテーションを終え、会場をMMC会議室に移した懇親会では、先生方を囲んでの活発な話で盛り上がり、中には持参した技術データを基に先生に意見を伺うなど、懇親会の場を有効に活用しての積極的な会話が時間を超えて続きました。

<産業交流部> 松本一哉

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