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2015年7月 9日 (木)

AEWG-57参加報告2

AEWG-57参加報告2

概要:
AEWG(Acoustic Emission Working Group)-57は47年の歴史を持ち、AE理論・実用化の両面で貢献してきた組織である。 今回は33件の講演と、装置メーカーのプレゼンテーション(3件)、パネルディスカッション、及びホストであるUIC(University of Illinois at Chicago)のラボ紹介が行われた。 著者の所属別件数(共著含む)では、ホストであるUIC, 次回ホストであるDrexel大、Mistras Groupの順で多く、その他に関しても米国の大学、企業が主体となっている。 NASA Langley研究所との共著も2件見られるなど、AEによる構造物検査が盛んな米国における情報収集には最適な会議であるといえる。 参加者のAEに関する見識も深く、議論も中身の濃いものであった。

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写真1 会場のUIC(University of Illinois at Chicago)

 

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図1 所属別講演件数(共著含む)

セッション:
以下に本学会のセッションと各発表件数を紹介する。

  1. Session1:New Acoustic Emission Instrumentation and Sensors (5)
  2. Session2:Acoustic Emission for Materials/ Structure Damage Mechanics (5)
  3. Session3:Acoustic Emission Applications for Large Scale Structural and   Materials Testing (5)
  4. Special Session:Acoustic Emission Instrumentation Presentations (3)
  5. Session4:Acoustic Emission Applications for Damage Detection in Composites (6)
  6. Session5:Acoustic Emission Applications in Metals (5)
  7. Session6:Wave Propagation Modeling of Acoustic Emission (4)
  8. Session7:Acoustic Emission for Continuous Source Monitoring (3)
  9. Panel Discussion
  10. Visiting to UIC NDE related Research Laboratories

内容、所感:
以下に、注目した発表について概要を記載する。特にAEによる劣化診断のための評価指標の観点から、3つの講演の概要について紹介する。

■Wireless Remote Monitoring of Alkali-Silica Reaction using Acoustic Emission(M. K. ElBatanouny, Wiss Janney Elster Associates Inc.)
コンクリートのアルカリ金属と骨材のシリカの化学反応(ASR:アルカリ-シリカ反応)による膨張が原因で、コンクリートにき裂が生じることが知られている。その微小なき裂をAEを用いて常時モニタリングする試験を、テキサス交通局と協力して行っているとの報告であった。一辺14インチの立方体サンプルを自然環境下に設置しモニタリングした結果、ASRにより生じたき裂をAEで捉えることが可能であった。リアルタイムモニタリングのための評価指標を工夫しており、総累積AEエネルギーに対する直近の累積エネルギーの比を基にしたHI(Historic Index)と、深刻度を表すSeverityを定義し、評価しているとのことであった。

■The Busyness Concept for Checking Data Quality at High Hit Rates(Adrian A. Pollock, MISTRAS Group)
MISTRASがデータ品質を計る新たな評価指標パラメータとして提案している"Busyness"に関する報告であった。AEヒットが連続的に発生した場合に、1つ目のAEが収束する前に2つ目のAE波が到達することがある。従来のヒットベースのAEシステムではそれぞれを判別することができず、特性を見誤る可能性があった。所定の時間セグメントに対するAEの検出時間の割合を観測することで、どれだけビジーであったかを示す指標("Busyness")を求めることができる。このBusynessをもとにデータ品質を推定することができるというものであった。簡易な計算で求めることができ、データの有効性を重みづけするための評価指標として用いることでより信頼性を高めることができる可能性がある、という提案である。

■AE Leak Rate Prediction: Some New Application to Control Valves (S. Jelkin, Emerson Process Management)
AEのバルブ検査への応用に関する報告であった。バルブのシーリングを強化するためにバルブスプリングが使われている。バルブスプリングは何度も交換が必要であるが、その際に向きを間違えるという作業ミスが発生することがある。誤って取り付けるとリークが増加するが、間違えていてもすぐにわからないことが多い。AE信号振幅のRMS値を評価指標として用いると、正常に取り付けた場合に比べて、逆に取り付けた場合の値が大きく増加し、取り付けミスを検知することができるという報告であった。このように、ハンドヘルドのAE装置を使ったバルブ検査は実用化の段階に来ているとの報告であった。劣化診断のみならず、作業や施工のチェックにAEを用いるという応用もなされているという具体的な事例を知ることができた。

次回開催:
次回は2016年フィラデルフィアでの開催が予定されている。

(技術研究組合NMEMS技術研究機構 碓井隆)

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