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2015年4月 1日 (水)

EWSN2015海外出張報告

 The 12th European Conference on Wireless Sensor Networks (EWSN2015)が2015年2月9日~11日の3日間、ポルトガル、ポルトのCISTER(Research Centre in Real-Time and Embedded Computing Systems)で開催されました。(写真1:会場のCISTERのオーディトリアム壁の垂れ幕、写真2:会場の様子)

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               写真1 会場のCISTERのオーディトリアム壁の垂れ幕

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                       写真2 会場の様子

 EWSNはヨーロッパにおける無線センサネットワークの会議で2004年にEuropean Workshop for Wireless Sensor Networks(EWSN)としてドイツのベルリンで開始され、毎年ヨーロッパの都市で開催されています。2007年のオランダ、デルフトの時に今のEuropean Conference on Wireless Sensor Networksとなりましたが、引き続き同じ略称を用いています。参加者は50名強のこぢんまりとした会議ですが、それ故に質疑応答も多く活発な議論がなされていました。EWSN2015では初日の午前にスマートシティに関するワークショップが開催され、午後から開会式、フルペーパーセッション(3件)、インダストリアルセッション(5パネラー)、レセプション、2日目の午前はキーノートスピーチ(Dr. Kamin Whitenhouse, University of Virginia)の後にフルペーパーセッション(3件)、午後にショートペーパーセッション(9件)とポスター&デモセッション(13件)、バンケットが開催されました。3日目にはキーノートスピーチ(Dr. Lothar Thiele, ETH Zurich))の後3つのフルペーパーセッション(計8件)が開催されました。フルペーパーに関しては65件の投稿で14件の採択なので採択率は21.5%と小さな会議ではありますが、かなり厳選した発表がなされる場になっているようです。また、ポスター&デモセッションの前には時間制限の1分間スピーチ(写真3:1分間スピーチを待つ発表者)があるなど小さな会議故のいろいろな工夫がなされていました。さらに、来年度はオーストリアのグラーツで2016年2月15日~17日に開催されますが、来年度より名称をThe International Conference on Embedded Wireless Systems and Networksに変更して、これまでのヨーロッパの会議から国際会議に昇格させますが、EWSNという略称はそのまま継承するとのことでした。

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                  写真3 1分間スピーチを待つ発表者

 フルペーパーセッションのテーマ名は、以下の通りであり、ヨーロッパの無線センサネットワークの分野では、人センシングの分野がホットな話題であることが分かりました。
(1)Services and Applications (3件)
(2)Human-centric Sensing I (3件)
(3)Mobility and Delay-tolerance (3件)
(4)Human-centric Sensing II (2件)
(5)Routing and Data Dissemination (3件)

 今回セキュアなリアルタイム性を有するセンサネットワーク技術を中心に産業的な立場から道路インフラへの適用可能技術を調査しましたので、以下に報告します。
産業的な観点という点では、EWSN2015に於いてはインダストリアルセッションが新たに設けられていました。これは学術的な観点が中心になりやすい学会において、ヨーロッパの無線センサネットワークのコミュニティは実用化を意識して活動していることを示しており、注目に値すると感じました。インダストリアルセッションではAirbus Group InnovationsのMartin Kubisch氏がコーディネータとなり、航空機、自動車、省エネビル、鉄道、人の動きに関する無線センサネットワークに関して、それぞれ産業界からAirbus Group InnovationsのMartin Kubisch氏、AVL ITS Global Research & TechnologyのPeter Priller氏、ISA Energy Efficiency のJorge Landeck氏、Ansaldo STSのFrancesco Flammini氏、KinematixのPaulo Ferreira dos Santos氏による自社の無線センサネットワークへの取組み状況の紹介の後にパネルディスカッションが行われました(写真4:インダストリアルセッションの様子、写真左から上述の発表者順)。各分野とも従来有線で繋がれていたセンサネットワークを無線センサネットワークにすることにより、センサの設置の手間、重量、ノードコスト等においてメリットはありますが、セキュリティを含めた信頼性、コスト、複数のセンサの統合、データ遅延、寿命、自立電源が実用化の上で課題であるとの共通の認識でした。今回は道路インフラのモニタリングに関しては、テーマアップされていませんでしたが、ここで上げられた課題に関しては、我々も取り組んでいるものであり、無線センサネットワークの実用化には関しては、各分野とも共通の課題があることが分かりました。未だこれら課題を有効に解決する手法は完成されている訳ではないので、対象分野は異なるものの我々の開発方針は間違っていないことが確認できました。

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         写真4 インダストリアルセッションの様子、写真左から上述の発表者順

 今回道路インフラモニタリングそのものに関する発表はなかったですが、ポスターセッションにおいて発表された「Development, Reconfiguration and Adaptation through Modeling and Simulation in DREAMS」( Dr. Richard Figura, Informatik und Wirtschaftsinformatik, Networked Embedded Systems Group University of Duisburg-Esse、Germany)において、橋梁モニタリングをターゲットとする図が記載されていました(写真5:ポスターと写真6:ポスターの中の橋梁の図)。発表者に確認しましたところ、ヨーロッパでは鉄道橋梁に関するモニタリングのプロジェクトであるSUSTAINABLE BRIDGESプロジェクト(http://www.sustainablebridges.net/)がFP6で実施されていたことが分かりました。また、スイスのdecentLab社において橋梁の長期構造ヘルスモニタリング(http://www.decentlab.com/structural-monitoring-0)を実施していることも分かりました。今後引き続きこれらの動向をウオッチしていきたいと思います。

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                   写真5 橋梁モニタリング関連ポスター

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            写真6 ポスターの中の橋梁モニタリングの図

 EWSN2015が開催されたポルトはポートワインの発祥の地で世界遺産にも指定されている古い街並みが残っています。しかしながら、その一方で街を網羅するFree-WiFi mesh netや市バスで街の環境情報を取得できるセンシングプラットフォーム等が整備されたスマートシティの一面も持っています。その市街地からドウロ(道路ではありません)川の対岸のポートワインのワインセラーが並ぶヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区へは、1886年に開通したドン・ルイス1世橋(写真7:幅8m、長さ174m)と呼ばれる吊り橋がかかっております。ドン・ルイス1世橋は2階建て構造で上層はメトロと歩行者用、下層は自動車と歩行者用になっております。この橋の前身は1806年にドウロ川に架けられた史上最初の20艘の渡し舟を連鎖させて作られた橋(ポント・ダス・バルカス橋)でしたが、1809年3月29日にナポレオンの命でフランス軍がポルトに攻め入った時に、難を逃れようと、この橋を多くの市民達が渡ったために、寄せる人々の重さに耐えきれず落橋し、多くの人々が溺れ死んだという悲劇が起ったとのことで、鎮魂のための青銅版(写真8)が橋の袂に設けられています。老朽化された橋の落橋等の悲劇が日本でも起こらないように、RIMSプロジェクトの成功を誓いたいと思います。

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                    写真7 ドン・ルイス1世橋

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           写真8 ポント・ダス・バルカス橋の悲劇鎮魂のための青銅版

                            (技術研究組合 NMEMS技術研究機構 武田宗久)

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