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2015年4月28日 (火)

EWSN2015海外出張報告(その2)

会議の概要や開催地の情報は、すでに“その1”で報告されていますの、この報告では4つほど個別の発表を取り上げたいと思います。
1つ目は、初日2月9日の午前の“PORTO SMARTCITY WORKSHOP”における「Outlook – smartcity initiatives」というセッションの2番目の、ICE-gateway社のGerd Ascheid氏(アーヘンにある大学の教授が本業?)の講演です。講演タイトルは「Smart City Infrastructure as a Service」でした。講演の内容は比較的単純な話で(難しい話もあったかもしれませんが)、ヨーロッパの街灯のLED化に合わせて、街灯を端末化しようという取組に関するものでした。さて、プロジェクトでは、当然ながら、基本的にセンシング機能が先にあり、それに必要な自立電源や無線通信システム、あるいはパッケージ等を導入していくという形で開発が進められていますが、無線センサ端末の機能は多くの場合、電源の制約が大きいということを考えれば、電源が直接供給できる端末(コンセントレータを含む)(本講演の場合は街灯です)を最大限活用するのは重要です。つまり、橋梁や道路にも道路灯はあり、そのLED化が行われるでしょうから、その際に、無線センシングのインフラを導入していくといった視点も重要なのではないかと思いました。

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                  写真1 Gerd Ascheid氏の講演の様子

2つ目は、2日目の朝の、バージニア大学のKamin Whitehouse教授の基調講演「The Rise on the Smart Household」です。内容そのものは、家の中のドアに設置できるセンサ端末“Smart Doorways”によって、カメラなどで直接センシングすることなく、各部屋で誰が何をしているかを間接的に検出して、家の消費電力を最少化するような制御ができるというような話でした。質疑応答では、「間接的とは言え、監視されているような家に誰が住みたいのか?」といったコンセプトを否定するような意見も出ていましたが、それはさておき、プロジェクトでも、カメラのような情報量が多いセンサではなく、ドアの開閉センサのような単純なセンサでも(当然低コストです)、簡単な解析(プロジェクトの場合にはある程度の初期診断のようなこと)はできるのではないかという視点も必要なのではないかと改めて思いました。もともと面パターンセンシングのコンセプトは、単純なセンサ(アレイ)でも情報処理と組み合わせれば、簡単な診断に使えるのではないかというところにありますので、アプリそのものというよりも、情報処理の方法に関しては、参考にできるかもしれません。

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                                   写真2 Kamin Whitehouse氏の講演の様子

 3つ目は、2日目午後のポスターセッションで、開催会場であるCISTER(Research Centre in Real-Time and Embedded Computing Systems)の学生であるJoão Loureiro氏が発表していた「Towards the Development of XDense, A Sensor Network for Dense Sensing」です。少々驚いたのは、まさにXDenseは面パターンセンシングデバイスであるということです。簡単なデモも行われていましたが、デモそのものは、3×3にアレイ上に並べた(接続した)光センサ端末を使った試作デバイスで行われていましたが、アプリは、表面の圧力(風力)分布のようなものを想定しているようでした。現時点では、試作されているものもかなりプリミティブで、面パターンの回路・情報処理等もこれからの課題のようでしたが、今後もウォッチしていきたい研究の一つです。

最後の4つ目は、最終日2月11日の朝に、チューリッヒ工科大学のLothar Thiele教授の基調講演「Predicatable wireless multi-hop communication ?」です。内容は、これまで教授のグループが取り組んできた無線センサネットワークのコンセプト“Synchronous transmissions”に関する研究のレビューのようなものだったと理解しています。詳細内容はネットワークの専門家でないと理解が容易でない部分も多くありましたが、重要なメッセージは、「ある程度無線センサ端末同士の同期がとれていれば(時計があっていれば)、マルチホップ通信のような複雑なことをやらなくても、無線バスとして(有線のように)通信することが可能であり、それに必要とされる時計の精度は、0.5 µsec以下である」ということです。精度の高い時計(時刻合わせ)は、コストも高く、電力も消費しますので、この時計の精度とコストバランス等について、さらに調査する必要はありますが、マルチホップ通信を必要とするような場合には、このような考え方についても研究する必要があると感じました。

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                                        写真3 Lothar Thiele氏の講演の様子

  最後になりますが、“その1”で紹介されていたインダストリアルセッションでも、例えばマルチホップ通信に関する必要性については議論が分かれていましたが、やはり各アプリ、各環境により、システムの最適解が異なることを改めて感じました。プロジェクトでも、より良いシステムを設計開発するため、適用フィールドでの調査が最重要であることを改めて認識しました。

(産業技術総合研究所 伊藤寿浩)

 

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