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2014年12月18日 (木)

PowerMEMS2014参加報告

The 14th International Conference on Micro and Nanotechnology for Power Generation and Energy Conversion Applications (PowerMEMS2014)が2014年11月19日~21日の3日間、淡路夢舞台国際会議場で開催されました(写真1:国際会議場、写真2:エントランス看板、写真3:前中委員長(兵庫大学)の開会挨拶の様子)。

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                  写真1 会場の淡路夢舞台国際会議場

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                       写真2 エントランス看板

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                      写真4 前中い印象開会挨拶の様子

PowerMEMS2014は発電とエネルギー変換のためのマイクロ、ナノ分野の国際会議で、基礎研究から応用研究までの最新の研究発表が行われました。172の投稿から選ばれた133の論文と6つのLate-news論文から選ばれた1つの論文の計134論文が16のオーラルセッション(64論文)と2つのポスターセッション(70論文)で発表されました。各日とも招待講演の後に2トラックでオーラルセッションが開催され、初日と2日目の午後にポスターセッション(写真4:ポスターセッションの様子)が開催されました。参加者は21カ国から182人(1位:日本77人、2位:英国15人、3位:独国14人、米国14人)が集まり活発な議論が行われておりました。以下3件の招待講演と全体の動向について報告致します。

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                     写真4 ポスターセッションの様子

初日の招待講演は当初予定していたGeorgia Institute of TechnologyのProf. Manos M. Tentzerisが急遽政府の重要な仕事で参加できなくなったため、Prof. Tentzerisと共同研究をしている東京大学大学院情報理工学研究科の川原圭博准教授が「Internet of “printed” Things」(当初の題は「Inkjet-Printed Nanotechnology-enabled RFID, Internet of Things and “Zero-Power” Wireless Sensor Nodes」)の題で代わりに講演をされました。川原先生の講演はナノ銀粒子インクを使ってインクジェットプリンタで紙やフィルム上に回路を形成したFlexible Inkjet-Printed Electronicsの紹介で、その技術で製作したアンテナで環境電波から集電するエネルギーハーベスタと湿度センサを組み合わせたスマート灌漑システム等の紹介がありました。ナノ銀粒子は焼結プロセスなしで回路を形成できるため、紙やフィルム等への回路形成が容易にできる技術であり、フレキシブルエレクトロニクスの新技術として興味あるものでした。また、インクジェットプリンタを使わなくてもナノ銀インクのペンで紙に回路を書いたり、または消しペンで書いた線を消したりすることもでき、非常に面白い技術であると思いました(写真5:講演終了後、紙にナノ銀ペンで書いた回路でLEDを点灯させているデモの様子)。

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                 写真5 川原先生ご講演後のデモの様子

2日目の招待公演は東京都市大学の三木千壽副学長が「Can Sensors Solve the Deterioration Problems of Public Infrastructure?」と題して講演をされました。社会インフラ老朽化の事例紹介、三木先生がこれまで実施されてこられた橋のヘルスモニタリングの研究内容等が詳しく紹介されました。この中で、社会インフラのモニタリングでは3W1H(何を、どこに、いつ、どのように付けるか)が重要であることを力説されていました。

3日目の招待講演はNiPS Laboratory, Università di Perugia, ItalyのProf. Luca Gammaitoniが「Energy Conversion at Micro and Nanoscale」と題して講演をされました。Prof. Luca Gammaitoniはマイクロ・ナノスケールではマクロの熱力学のエネルギー平衡とは異なることが起こるので、これに注目して、マイクロ・ナノ情報通信デバイスを考える必要があることを数学的に説明されていました。

冒頭述べましたように、本会議では以下の16のオーラルセッション(括弧内はセッションでの発表件数)が開かれました。
①W1M:RF Energy Transfer(4)
②W1R:Fuel Cell & Batteries(4)
③W2M:Electrostatic Energy Harvesting(4)
④W2R:Thermal Energy Harvesting(4)
⑤W3M:Engineered Material for Energy Harvesting(4)
⑥W3R:Energy Storage(4)
⑦W4M:Electret Energy Harvesting,(4)
⑧W4R:Micro Thermal Devices(4)
⑨T1M:Industrial Applications of Energy Harvesting(4)
⑩T1R:Microscale Combustion-I(4)
⑪F1M:Wideband Vibration Energy Harvesting-I(4)
⑫F1R:Microscale Combustion-II(4)
⑬F2M:Wideband Vibration Energy Harvesting-II(4)
⑭F2R:Power Electronics for Miniature Energy Conversion(4)
⑮F3M:Piezoelectric Energy Harvesting(4)
⑯F3R:Magnetic Devices(4)

今回の会議では、自立電源の方式として、代表的な圧電、静電、電磁、熱電の他に、燃焼、燃料電池、蓄電、RF給電等幅広い自立発電の手法が議論されていました。ポスターセッションも含めた全論文の分野別発表件数を図1に示します。図1より、方式としては圧電方式が最も多く、その次に静電気の発電効率を大幅に向上できるエレクトレットを含めた静電、電磁、熱電の順に多いことがわかります。静電発電ではエレクトレットを中心にかなり理論的にも詰められてきて、数百μWの発電が可能になってきており、オムロンから製品発表もされ、実用化のフェーズに入ってきたように感じました。社会インフラのセンサネットワークシステムをはじめとして、あらゆる場面で物がネットワークに繋がるInternet of Thingsが進展するにつれ、他の方式も含め、今後環境エネルギーを活用した自立電源の必要性は益々重要になってくると思われますので、PowerMEMSの分野は今後ともウオッチをしていく必要があると感じました。

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                     図1 発表論文の分野別分類

閉会式では、優秀論文の表彰のあと、参加者全員の記念撮影が行われ、米国ボストンで12月1日~4日に開催予定の次回のPowerMEMS2015(http://www.powermems2015.org/)での再会を約束して閉会されました。

(技術研究組合 NMEMS技術研究機構 武田宗久)

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