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2014年12月24日 (水)

IEEE SENSORS 2014参加報告

NEDO「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト/インフラ状態モニタリング用センサシステム開発/道路インフラ状態モニタリング用センサシステムの研究開発」における「フレキシブル面パターンセンサによる橋梁センシングシステムの開発」に関する研究動向調査として、スペイン・バレンシアで開催されたIEEE SENSORS 2014に出席した。

IEEE SENSORSは、2002年に始まった比較的若い国際会議で今回は13回目となる。米国→ヨーロッパ→アジアの順で開催地が巡回するのは、IEEE MEMSなどと同様だが、我が国からの参加者は開催国スペインやアメリカについで多いにもかかわらず、未だ日本での開催実績が無いというのは不思議と言えば不思議である。今回は、最終プログラム記載の参加者が650名ということなので、規模的にはそれなりに大きな学会と言えよう。センサと言っても千差万別なので、決してすべてを網羅しているわけではないし、MEMS会議とも重なるところはあるが、センサネットワーク、IoTやウェアラブル、フレキシブルセンサは比較的早くから他の学会に先駆けて積極的にとりあげてきた学会という印象を持っている。また、今回は例年に比べて少し少なかったようにも感じるが、実証的な研究開発の発表件数や企業からの発表がMEMS会議などと比べて比較的多いのも特徴だろう。

ところで、バレンシアと言えば、短絡的ではあるが(というか古い!)、オレンジの町、明るい地中海の町というイメージである。基本的に開催期間は概ね天気にも恵まれたが、海岸がにぎわう季節ではない(完全にオフシーズン)ので、イメージしていたよりは落ち着いた街との印象である。また会議場は、2010年に世界ベスト会議場に選ばれたところだそうだが、町の中心部からは少し離れたところなので、より一層落ち着いて(?)会議に参加できた。

Keynoteは、”THE SENSABLE CITY”(Calro Ratti, MIT)、”GRAPHENE SENSORS IN THE EUROPEAN GRAPHENE FLAGSHIP”(Herre van der Zant、Delft工科大学)、”COMMUNICATION WITH CELLS BY ELECTRICITY AND LIGHT – IMPLANTABLE MICROELECTRONICS DEVICES”(Jun Ohta、奈良先端大)の3件で、セッションと各々の発表件数は以下の表の通りである。


Ieee_sensors_2014_4


以下いくつかの関連発表を簡単に紹介する。

①(Session: ENABLING TECHNOLOGIES)「AN ACCELEROMETER DIGITAL FRONT END FOR EFFICIENT SEISMIC EVENT DETECTION SUPPORT IN A WIRELESS SENSOR NODE」(イタリア・Università degli Studi dell'Aquila) :MEMS加速度センサで地震検出するためのデジタルフロントエンドに関する発表である。Walsh変換を用いることにポイントがあるようである。本プロジェクトでも必須項目の一つである突発事象検出に参考になるかもしれない。なお、実証場所の、S. Maria di Collemaggio教会は有名な建造物らしい。

②(Session: MEDICAL FORCE SENSORS)「A MULTIPOINT THIN FILM POLYMER PRESSURE/FORCE SENSOR TO VISUALIZE TRADITIONAL MEDICINE PALPATIONS」(富士通研究所):シート上にポリプロピレンを電極で挟んだドット型の構造をアレイ状に並べた圧力/力センサアレイである。ポリプロピレンは圧電材料ではないが、ほぼ圧電材料に匹敵する出力が得られるとのことである。特別な材料やプロセスを必要としないため、低コスト製造、大面積化にも向いていると思われる。面パターンセンシングでも活用を考えるべきかもしれない。

③(Session: MEDICAL FORCE SENSORS)「A FLEXIBLE SKIN PILOERECTION MONITORING SENSOR」(韓国KAIST):皮膚の起毛を検出するセンサとのことであるが,製造方法に関し、導電性のポリマー電極パターンをシート内に形成する手法として参考にできるかもしれない。

④(Session: MEDICAL FORCE SENSORS)「FLEXIBLE 3-AXES CAPACITIVE PRESSURE SENSOR ARRAY FOR MEDICAL APPLICATIONS」(フランス・パリ南大学):タイトルの通り、フレキシブルシート状の静電容量型の3軸圧力センサアレイであるが、PDMS膜に印加される応力を静電容量で検出する方式であるので、構造物に貼って面パターンセンサとして動作させることも可能なはずであるが、性能については検討が必要である。

⑤(Session: MEDICAL FORCE SENSORS)「CONFORMABLE TACTILE SENSING USING SCREEN PRINTED P(VDF-TRFE) AND MWCNT-PDMS COMPOSITES」(イタリア・Fondazione Bruno Kessler他):シート状に、スクリーン印刷で、PVDF圧電センサアレイあるいはCNTを使ったひずみ抵抗効果センサアレイをそれぞれ形成したものである。スクリーン印刷を活用する点などで本プロジェクトの面パターンセンシングでも参考にすべきである。触覚センサとしては動作するようであるが、今回面パターンセンシングで目指す性能を持たせることができるかどうかは調査が必要である。

⑥(Session: SAFETY AND SECURITY APPLICATIONS I)「APPLICATION OF MEMS TO MONITORING SYSTEM FOR NATURAL DISASTER REDUCTION」(京都大学他):市販のMEMS加速度センサを用いて斜面の傾き検出を行った実証実験結果の報告である。市販のセンサでもあらかじめ測定した温度特性を用いて補正すれば、傾き精度0.01度が得られるとしている。実験現場はなぜか国内ではなく、台湾とのことであったが、(途中2ヶ月間のデータ欠損がなぜかあったが?)1年以上の実証実験の結果が示されていた。

⑦(Session: SPECIAL SESSION: BATTERY-LESS RF-ENABLED SENSORS FOR WIRELESS SENSOR NETWORKS)「BATTERY-FREE WIRELESS SENSORS FOR INDUSTRIAL APPLICATIONS BASED ON UHF RFID TECHNOLOGY」(スペイン・Farsens SL他):RF-ID技術を無線センサへ応用するためには、センサインターフェースの充実をはかる必要があるという主張であり、1.5 mほどの距離からの温度・圧力の無線モニタリングの実証結果についても報告されていた。インフラモニタリングにおいても、太陽電池などの電源および処理回路等とシートセンサ端末を切り離すことを検討しても良いかもしれない。

⑧(Session: SPECIAL SESSION: BATTERY-LESS RF-ENABLED SENSORS FOR WIRELESS SENSOR NETWORKS)「MULTI-BAND SIMULTANEOUS INDUCTIVE WIRELESS POWER AND DATA TRANSMISSION(ドイツ・フラウンフォファーIIS):構造物モニタリング用のFBG(Fiber Bragg Grating)センサに関するものであるが、埋め込みのために、RF-ID(コイル給電・データ読み取り)技術を用いている。受電電力は、距離5cmで3.3Wとのことである。

⑨(Session: MATERIALS AND PROCESSES)「A POST PROCESSING APPROACH FOR MANUFACTURING HIGH-DENSITY STRETCHABLE SENSOR ARRAYS」(オランダ・デルフト大学他):センサの材料等は異なるが、センサアレイの転写方法で、SOIウェハを用いること、Siの裏面バルクエッチング(DRIE)を用いているという点で、面パターンで検討しているプロセスと似ているところがある。センサ間の配線もうまく転写できており、参考にしたい報告である。

⑩(Session: TACTILE/FORCE SENSORS)「DEVELOPMENT OF A LASER MICRO-MACHINED INTERDIGITATED CAPACITIVE STRAIN SENSOR FOR STRUCTURAL HEALTH MONITORING APPLICATIONS」(アメリカ・テキサス大学アーリントン校他):プレゼンでは橋梁のモニタリングを対象にしているというイントロがなされたが、内容はレーザー加工を使った低コストな櫛歯型静電容量ひずみセンサに関するものであった。35m無線通信可能なセンサ端末もつくったとしており、全体の内容としては最もプロジェクト内容に合致したものである。ただ、ひずみは、0.1 %レベルの大きなひずみを想定しており、より高精度のひずみ計測に使える技術であるかどうかはわからない。

なお次回の会議は、2015年11月1−4日の日程で、韓国・釜山で開催される予定である。


以上(伊藤寿浩)

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