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2014年12月22日 (月)

EWGAE2014参加報告(2)

概要:

EWGAE(Conference of the European Working Group on Acoustic Emission)は、AE(Acoustic Emission)に関する科学的、技術的な発展に関する情報交換を行うことを目的に2年に一度開催される国際会議である。本年は、ドイツ非破壊検査協会(DGZfP)とドイツ連邦材料試験研究所(BAM)の共催で開催された。ヨーロッパ、米国を中心に、数多くのAE関係者が参加する会議であり、AEの情報を収集するためには最適な国際会議である。本出張では、EWGAEの各種講演を聴講し、構造解析、破壊力学、構造ヘルスモニタリング等の機械・構造的な観点からAEに関する情報収集を行った。以下、機械・構造に関連するセッションを聴講した中で、いくつかの発表について紹介する。

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開催地ドレスデンの市街地

(1)Corrosion Evaluation of Glass Fiber Reinforced Plastic (GFRP) Tanks & Pressure Vessels Using Acoustic Emission Technology(Technip, Compiegne, France)
GFRP製臭素タンクの腐食をAE法により検出する手法についての内容。パッシブモニタリング(稼働時測定)で腐食箇所を検出し、タンク内部の圧力を増したプルーフテストで、腐食箇所が検出できるAEが発生していても供用には問題がないことを確認している。テスト後にタンクを分解し、AEによる検出部位に腐食を発見したとのこと。腐食のような化学反応によって引き起こされた構造劣化についても、AEによるモニタリング、検出ができる実例として有用である。

(2)The Acoustic Emission Monitoring System of Aboveground Storage Tanks(Cracow University of Technology, Poland)
AEセンサによって地上オイルタンクのリークと腐食を判別するために、両者を判別する閾値を得るための手法を紹介した内容。リークについては、リークシミュレーターをタンク底面に設置して様々な条件のリークによるAEを検出・データ蓄積している。腐食については、1年間継続してタンクのAEを測定し、腐食によるAEのデータを取得している。得られた蓄積データを元に、リークと腐食を検出できるモニタリングシステムを構築したとある。リーク音も機械的観点からは音響放射の一種であり、AEセンサによる構造モニタリングの適用分野であることが知見として得られた。

(3)Observation and Analysis of Fracture Processes in Concrete with Acoustic Emission (AE) and Digital Image Correlation (DIC) (Technical University of Denmark, Kgs. Lyngby, Denmark)
コンクリートのCT(コンパクトテンション)試験片に対して、繰り返し負荷を与えてき裂を進展させ、同時にAEによる発生位置標定とDIC(Digital Image Correlation、デジタル画像相関)を取得することにより、AE発生位置とき裂との関係を明らかにした内容。き裂の進展経路とAEの発生位置は傾向が良く一致しており、コンクリートの損傷を捉えるためにAEを用いることは合理的であることが伺える。本発表以外にも、AEとDICの両方を用いてき裂経路とAEの関係を調査している発表が複数あり、構造劣化とAEを相関づける分析手法として広まりつつあることが伺える。インフラ構造物でも、画像診断と組み合わせることで、き裂のアクティブ性をより明確に診断できる可能性があると感じた。

(4) Real Time & Long Term Acoustic Emission Monitoring: A New Way to Use Acoustic Emission - Application to Hydroelectric Penstocks and Paper Machine (EDF, Grenoble, France)
水力発電所の導水管と紙工場のロール機に対してAEセンサによる長期モニタリングを実施した内容。AEセンサは見方を変えれば超高感度の超音波帯域弾性波センサであり、その用途は必ずしもき裂発生時のAEを捉えるだけのものとは限らない。異常発生時に構造物の発する超音波帯の振動を広義のAEと捉えて、その兆候を継続モニタリングすることにより、異常診断に活用することができる。本発表では、導水管を締結する金属製フープ20本それぞれにAEセンサを取り付け、27か月間の連続モニタリングを実施したとのこと。連続モニタリングの結果から、フープによってAEの発生状況が異なり、負荷の大きいフープにAEが発生していることが確認されたとのこと。また、紙工場のロールについても、軸受けから発生するAEを捉えて、同じように傾向分析ができるとしている。産業用の応用についても、モニタリングの需要は多々存在する好例である。

所管:

全体的な学会の傾向としては、実験室・試験片でのAE法の新規データ処理方法など、AEの適用法を検証する大学の発表が多かった。発表を分野ごとに分類すると、概ね、土木・機械構造物のAEを用いた診断の内容が30%程度、AEに関する信号処理・可視化に関する内容が30%程度、AEによる異常モニタリンに関する内容が10%程度、その他10%程度の発表構成であった。社会インフラ分野への構造モニタリング適用事例は、タンク・圧力容器などの定期点検を代用する事例が複数見られた。

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EWGAE 発表分野構成

基礎的な理論については概ね完成されているものの、そこに新たな視点で画像相関やウェーブレット等の分析手法を適用して新規性を訴求している。聴講した範囲では、M2M(Machine to Machine)・センサネットワークなどとAEを組み合わせた内容は事例が少なく、まだまだこれからの段階のように感じた。本報告で紹介したような、常時モニタリングを意識した構造モニタリング・産業応用としてのAEは、発展の余地が大いにあると推察される。

(NMEMS組合 大森 隆広)

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