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2014年5月

2014年5月22日 (木)

ナノ・マイクロビジネス展併催プログラム「先導研究成果報告会」開催

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から技術研究組合NMEMS技術研究機構が受託しました「社会課題対応センサーシステム開発プロジェクト(研究開発成果等の他分野での先導研究)社会課題対応常時・継続モニタリングシステムの開発」(期間2013年7月11日~2014年3月20日)は2014年3月に研究活動を完了致しました。実質約8ヶ月の短い研究期間でしたが、①社会・産業インフラ、②農業、③健康医療の3分野における「社会課題対応常時・継続モニタリングシステム」を提案し、「研究開発の課題の明確化と解決策の提示、ならびに期待できる効果を明らかにするとともにキーとなるセンサの原理検証を行う」とした研究目標を達成しました。

 2014年4月23日(水)~25日(金)にパシフィコ横浜で開催されましたナノ・マイクロビジネス展の併催プログラムとして、このプロジェクトの成果報告会を4月24日(木)14:00~16:30にパネルディスカッション形式で開催しました(図1:プログラム、写真1:先導成果報告会会場の様子参照)。 当日は写真1に示すように、会場ほぼ満席になる来場者を得て、活発な議論がなされました。以下、その内容に関しまして、簡単に紹介致します。

 

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        図1 先導研究プロジェクト成果報告会プログラム

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          写真1 先導成果報告会会場の様子

 研究リーダーの東京大学IRT機構長の下山勲教授からの開会挨拶(写真2)の後、委託元のNEDOロボット・機械システム部の渡辺主任研究員から来賓の挨拶として、この報告会への期待と、社会・産業インフラ分野に関してはこの先導研究を受けた本格研究の公募を開始したことの紹介がありました。次に、コーディネーターである東京大学生産技術研究所マイクロナノメカトロニクス国際研究センター長の藤田博之教授からこのパネルディスカッションの趣旨説明がなされた後、藤田コーディネーターの司会のもと、パネルディスカッションが実施されました。

 先ずは、パネリストの一人の下山リーダーより、プロジェクトの概要紹介があり、その後、①社会・産業インフラ分野の今仲行一サブリーダー(技術研究組合NMEMS技術研究機構 理事長)、②農業分野の前田龍太郎サブリーダー(独立行政法人産業技術総合研究所集積マイクロシステム研究センター長)と③健康医療分野の唐木幸一サブリーダー(オリンパス株式会社 執行役員 医療技術開発第1本部長)から各分野の成果報告がなされました(写真3:パネリスト)。

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           写真2 下山研究リーダーの開会挨拶

 

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         写真3 パネリスト(各分野サブリーダー)


 引き続くパネル討論では、藤田コーディネーターから次の2点の質問が出され、各パネリストからそれぞれ以下のような回答がなされました。

(1)無線センサネットだからできることは何か?

  • 従来の精度はあるが消費電力が大きく高価なセンサに比較して、取り付け、取り外しが簡単なのが無線センサのメリットである(今仲サブリーダー)。 

  • 動物は移動するので、ワイヤレス装着することが必須となる。但し、装着方法は難しく研究課題となる(前田サブリーダー)。

  • 人間では着けっぱなしにして、着けていることを意識させないことが継続計測には必要であり、そのためには無線は必須になる(唐木サブリーダー)。

  • インストレーションにコストがかかるので、設置した後に無線で条件を書き換えできることも必要になる(下山リーダー)。


(2)長期運用には、耐久性の問題、エネルギーの問題、キャリブレーションの問題等が発生するが、どのように対処すべきと考えるか?

  • 現状のパーキングメータやガスメータ等屋外で使用しているセンサは厚手の筐体をパッキンで封止しているが、このような大型のものは使えないので、新たな規格や構造を開発する必要がある(今仲サブリーダー)。

  • 農業畜産では、社会インフラと比較すると寿命は短く、環境もそれほど過酷ではない。難易度の低いところからどんどん導入していき、普及を図っていくことが大事である(前田サブリーダー)。

  • 人間も耐久性要求や環境はそれほど過酷ではないが、老廃物等汚い環境であること及び個人差が大きいことが信頼性の課題になる。これを解決することが必要である(唐木サブリーダー)。

  • 信頼性がキモになる。自己診断をして信頼性を維持したり、健全性を調べたりすることも必要になる(下山リーダー)。


 また、フロアからも次の2点の質問・コメントが出され、活発な議論がなされました。

(1)常時・継続モニタリングはビジネスとして成り立つか?ビジネスの観点から投資回収が可能かについてお伺いしたい。

  • 社会課題解決としてやらないといけない使命感がある。道路は市町村レベルまで含めると数は多くなるので、ペイできると考えている。また、プラットフォームとして知財を押さえて標準化し、世界に出ることでさらに市場は広がると考える(今仲サブリーダー)。

  •  →海外では古くなった橋が崩落して種々の試みがなされているが、競争や協調関係はどうなっているか?(藤田コーディネーター)

  •  ⇒海外は調査したレベルであり、コンタクトは未だ取っていない(今仲サブリーダー)。

  •  →標準化のためにはアライアンスも必要になる(藤田コーディネーター)。

  •  →メーカ側の話ではなく、利益を享受する側として、リスクが減る等の投資効果はあるか?

  •  ⇒高速道路を通行止めにした時の経済損失は計算されており、物資輸送の観点で投資効果はある(今仲サブリーダー)。

  •  →社会インフラのメンテナンスに30兆円必要等の調査結果も出されており、これを抑えるために改修の終わったインフラの次のメンテナンス時期を把握する等にも使えると考える。詳細は土木系で検討がなされているので、そちらを調べて欲しい(藤田コーディネーター)


  • 農業畜産では損失が少なくなるという言い方ではユーザの受けは良くない。例えば養鶏でも鶏インフルエンザによる損失が減るということよりは、卵の生産性があがるという主張の方が受け入れられる(前田サブリーダー)。

  • 医療経済は他のものと違って難しい。例えばインシュリン投与では数万円/月の支出だが、病気が悪化して重篤になり、人工透析が必要になると百万円/月かかるので、センサシステムにより1次予防できれば月数十万の効果があるということはできるが、誰がそれに対して対価を支払うかが問題になる。キャッシュフローは減る方向なので、通常の経済論理では考えることはできない(唐木サブリーダー)。

  • JR等の話を聞くと、人口が減ってきているが、インフラの老朽化は進むので、効率的に如何にメンテナンスするかが大事であり、それにセンサは役立つ(下山リーダー)。


(2)話のあった血糖値センサはすぐにでも実用化して欲しい。生体認証との組み合わせや、食の問題を血糖値で見るというのは非常に有望と思う。実用化の目処はどのような状況か?

  • 商品化に関しては企業のビジネスモデルに係るので、答えられないが、原理的には可能なレベルには来ている。但し、製品を作った時に誰が使うかにかかっていると考える(唐木サブリーダー)。

    →血糖値だけでもいろいろなことができそうなので、制度と絡めて是非普及させて欲しい。

 最後に、藤田コーディネーターから、以下のまとめがあり、パネルディスカッションを終了しました。

  • 今回は先導研究なので結論は出た訳ではないが、無線センサネット技術は注目されており、本当の意味で社会に使われそうな気配がいろいろなところで出てきている。世界に先駆けて日本で研究開発を実施することが必要なことを報告できた。

  • この分野は今注目を集めており、いろいろな公募も出ているので、興味ある方は積極的に参加して、みんなでこの分野を盛り上げて頂ければありがたい。


 さらに、主催のマイクロマシンセンターの青柳専務理事が閉会の挨拶を述べ、報告会を終了しました。

  なお、当日の発表資料に関しましては、下記URLから閲覧及びダウンロード出来ます。  http://www.nmems.or.jp/sensor/seika/

(マイクロマシンセンター 武田 宗久)

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2014年5月21日 (水)

【平成26年5月の経済報告】

本稿は、マイクロマシン/MEMSを取り巻く経済・政策動向のトピックをいろいろな観点からとらえて発信しています。今回は平成26年5月分の経済報告をお届けします。

図表を含めた詳細版は、以下のPDFファイルをご覧ください。

「2014.5.pdf」をダウンロード

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2014年5月14日 (水)

第26回マイクロナノ先端技術交流会を開催(5月9日)

ゴールデンウィーク明けの5月9日(金)マイクロマシンセンター新テクノサロンにて第26回マイクロナノ先端技術交流会を開催しました。

今回のテーマは「トリリオンセンサ社会に向けた世の中の動きとワイヤレスセンサネットワークの最前線」。昨今のトリリオンセンサのブームもあってか、定員(40名)を超える参加をいただきました。
今回、“トリリオンセンサ”をテーマに取り組むことから、事前にTrillion Sensors SummitのChairのDr. Janusz Bryzek氏に本交流会開催の了解をいただいた上で進めさせていただいたことを報告します。

ご講演ですが、最初にSPPテクノロジーズ株式会社エグゼキュティブシニアアドバイザー・戦略会議議長の神永晉様より「トリリオンセンサ社会に向けた現状と今後の課題」についてご講演をいただきました。

前半は主に、SPPテクノロジーズ(株)との歴史からのMEMS産業の発展の様子をご紹介され、センサーネットワークを中心にトリリオンセンサへとつながっていることが示されました。後半はトリリオンセンサについての現状の動向についてお話いただきました。年間一兆個のセンサ社会に向けて、T-Sensorsサミットではロードマップづくりに向けた動きが加速している。2014年12月末には原案ができあがってくるとのことでした。初回のトリリオンセンササミットには日本からは神永様以外誰も参加されておらず、日本は蚊帳の外の感がぬぐえなかったそうです。2月に行われたトリリオンセンササミットJAPAN2014では300名もの参加があり盛況であったものの、その後ロードマップに向けての日本の動きは弱いと後の交流会で神永様がお話されていました。しかしながら、日本の技術力は優れており、クロスボーダでの協業が重要であると示されておりました。また、異分野融合、産官学連携等の連携も今後重要であると話をされていました。

後半は、産業技術総合研究所集積マイクロシステム研究センター副研究センター長の伊藤寿浩先生より「MEMS技術を用いたセンサーネットワークの取り組みと今後の展望」についてご講演をいただきました。

最初に無線センサーネットワークの課題についてお話いただき、その後に実際の研究の取り組みとして、技術研究組合NMEMS技術研究機構で現在とりくんでいますNEDOグリーンセンサネットワークプロジェクトおよびアニマルウォッチセンサネットワークプロジェクトについてご講演をいただきました。
小型・安価・低消費電力型センサの進展をご紹介いただき、まさにトリリオンセンサ社会に必須な技術ではないかと感じたのは私だけではないと思います。
また、鳥インフルエンザ対策としてアニマルウォッチ用のセンサのご紹介をいただきました。これは鶏だけでなく、他の牛・豚等の畜産系にも幅広く展開できる技術であり、世界に展開することでまさにトリ(鳥)リオンセンサの一つの候補ではないかと感じました。
 最後に懇親会では両先生を囲んでトリリオンセンサ社会についての動向、日本の課題、そして、センサネットワークのあるべき姿について活発な意見交換が行われており、当初予定時間を大幅に超過して遅くまで議論が続きました。 
 
                          <産業交流部 今本>

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