MNOIC-UMEMSME特別セミナー(オランダ研究所との国際WS)開催報告
MNOIC-UMEMSME特別セミナー(オランダ研究所との国際WS)開催報告
11月15日にTIA N-MEMS UMEMSME/MNOICの特別セミナーとしてNMEMSイノベーション棟 1F国際セミナー室にて「低炭素社会におけるMEMSセンサーネットワークをテーマとしたオランダHolstセンター/HTCEとの国際ビジネスワークショップ」を開催致しました。主催は一般財団法人マイクロマシンセンター、共催して産総研・集積マイクロシステム研究センター、技術研究組合NMEMS技術研究機構、オランダ王国大使館、Holst Centre・High Tech Campus Eindhoven (the Netherlands)さらにTIAの後援を頂いての開催でした。このセミナーは、最先端TIA研究施設を用いた研究開発支援サービスを実施するマイクロマシンセンター・MNOIC事業が主体となって、産業界を中心に多くの方々に利用して頂く為に人材育成と国際交流の活の一環として取り組んでいます。今回はオランダのオープンイノベーションを推進する研究所の方々との交流で、オランダから3つの講演、日本から3つの講演がなされました。オランダ王国はMEMSやナノバイオの分野で先進的な研究をされていることは有名です。今回講演される ホルストセンター(Holst Center)を含むハイテクキャンパスアイントホーヘン(HTCE)は、フィリップスの半導体研究所のその研究施設、およびその人的資源を引き継いで国際的なオープンイノベーション拠点として活動中の研究所です。
ワークショップの前に、オランダからのお客様にはMEMS8/12インチ研究施設(TKB812)の見学をして頂きました。多くの半導体とMEMSの研究所は、半導体では8インチ、MEMSでは6インチが一般的ですので、オランダからのお客様にもこのMEMS8/12インチ研究施設には大きな関心を持って頂けました。
写真1 MEMS8/12インチ研究施設の見学会
また本ワークショップは、荒川MNOIC開発センター長の司会(チェア)で開催しました。最初に集積マイクロシステム研究センター・前田龍太郎センター長から産総研のMEMS研究の紹介、オランダ大使館・科学技術参事官のPaul op den Brouw氏からオランダの産業技術政策のお話がありました。
写真2 前田龍太郎 センター長の開会のご挨拶
写真3 オランダ大使館・科学技術参事官 Paul op den Brouw氏
セッション1はオランダの研究者からの講演です。最初にオランダ、ホルストセンターのBert Gyselinckx氏からホルストセンターのご紹介と、最新の研究内容の発表がありました。Bert Gyselinckx氏には何度もIMECのセミナーでHuman++等のプロジェクトの報告を聞きましたが、MEMSの研究やセンサーネットワークの研究はオランダのHolstセンターで行なっています。HolstセンターはIMECとオランダTNO(応用科学研究機構)が共同出資したもので175名の研究員、70のユーザ法人が利用し、年間45億円の規模の研究センターです。
写真4 ホルストセンターからBert Gyselinckx氏の講演
HTCEからはCees Admiraal氏からのご紹介がありました。HTCEはまだ7年目のオープンイノベーション拠点ですが、世界の10指に入る規模、質に選択された(順位としては世界7位)とのことです。膨大な敷地内に研究施設、企業のオフィスや共通施設があり、全世界から約120の企業が利用し、約8000人が働いています。後で聞いたところ、前身であるフィリップスの半導体研究所から1200名の研究員を含む4000人が雇用を継続し、オープンイノベーションを開始して約2倍の8000人の規模になったとのことです。オランダは(技術と雇用を守りながら)フィリップスの研究所閉鎖を、世界最大規模のオープンイノベーション拠点に変貌させたわけです。
写真 5 HTCEのCees Admiraal氏
オランダの発表の最後はNXPのJoost van Beek氏からCMOSからMEMSへの発展型デバイス(CMOS集積化MEMS)構想の講演でした。NXPセミコンダクターはフィリップスの半導体部門が2006年に分離し、アイントホーヘンのHCTE内に本社、研究所を持ち、HCTEの最大ユーザでもある世界屈指の半導体企業です。講演内容は次世代半導体の姿としてセンサー、アクチュエータ、RF等を1チップに統合化するものです。
写真 6 NXPセミコンダクターのJoost van Beek氏
セッション2として、日本からの講演では最初にMNOIC荒川センター長から、MNOICの紹介をさせて貰いました。日本でもオープンイノベーション志向になってきたこと、世界的に見ても8から12インチの大口径MEMS研究施設を持つ研究機関はまだ少ないことから、興味を持って頂けたと思います。また日本の誇るMEMS技術の一つに大面積MEMSがありますが、産総研の高松氏から織物機を用いて機能性のある高分子繊維をメートルサイズに折り込み、大面積のセンサーMEMS(分布型圧力センサー)を作成する技術の紹介がありました。
写真 7 産総研の高松氏による講演
最後の講演は集積マイクロシステム研究センター 副センター長の伊藤氏からGSN(グリーンセンサーネットワークシステムプロジェクト)の概要、センサー技術および応用に関する話題提供でした。MEMSセンサーの開発、超低消費電力回路技術、様々な応用と幅広いテーマの講演でした。
写真 8 産総研の伊藤氏による講演
閉会の挨拶はMNOIC今仲所長から、オープンイノベーションと国際連携の重要性に関するコメントがあり、国際ワークショップが完了しました。懇親会の準備の間に、担当者から海外のお客様にポスター展示・報告を行い、その後同じ国際セミナー室で懇親会を行いました。懇親会の挨拶はHTCEのCees Admiraal氏、乾杯の挨拶は(財)マイクロマシンセンター専務理事の青柳です。この講演会と懇親会の参加者は約60名で、オランダ大使館の科学技術ご担当、オープンイノベーション研究拠点での最高レベルのご担当者、最先端の研究者を含む多数の海外からのお客様と直接交流できる貴重な場になったと思います。このようにNMEMS研究拠点の利用(MNOICの利用を含む)をされますと、世界最先端の研究環境の利用や研究支援に加えて、このような刺激のある国際的なイベントにもご参加可能です。MNOICでは最先端の研究施設を使った支援と同時に、このような人材育成、国際交流等の様々な取り組みに努めて参ります。皆様の更なるご利用を期待しています。(MEMS協議会 MNOIC研究企画担当 三原孝士)
写真 9 MNOIC今仲所長による閉会の挨拶
写真 10 HTCEのCees Admiraal氏による懇親会挨拶
写真 11 MMC専務理事 青柳による乾杯の挨拶
写真 12 懇親会にて
写真 13 懇親会にて
| 固定リンク
「MNOIC/TIA」カテゴリの記事
- 第40回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム MNOIC 技術展示報告 (2023年11月6日~8日)(2023.11.09)
- 「MEMS Engineer Forum 2023(MEF2023)」出展報告(2023.04.25)
- MEMSセンシング&ネットワークシステム展2023 開催報告 (2023年2月1日~3日)(2023.02.08)
- 第39回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム MNOIC 技術展示のご報告(2022年11月14日~16日)(2022.11.28)
- 「MEMS Engineer Forum 2022(MEF2022)」に出展しました(2022.04.25)
コメント