« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »

2012年8月

2012年8月21日 (火)

ナノマイクロ関連展示会「NANO KOREA」参加報告(2012年8月16日~18日)

8月16日~18日にソウル市内のCOEXで開催されたナノマイクロ関連の展示会「NANO KOREA」(第10回)に参加しましたのでその内容を報告します。
 展示機関は企業、大学等含めて全体で約340団体(日本から約20団体)、来場者は1万数千人と思われ、東京ビッグサイト4ホール分位のエリアを使って開催されました。
全体構成と対象分野は、ナノテク関連の「NANO KOREA」、マイクロ/MEMS関連の「Microtech World 」、レーザ関連の「Laser Korea 」、セラミック関連の「Advanced Ceramic 」、印刷法関連の「Printed Electronics 」の5つの展示会で構成され、NANO KOREAが全体の半分を占めました。
 展示機関は大きく、企業、公的研究機関、大学に分類されますが、韓国では専門分野毎に多数の国立研究機関が設立されているのが特徴で、本展示会(ナノ/マイクロ分野)では30もの国立研究機関のブースが設けられました。それぞれの機関が最新鋭のインフラを保有し、企業との共同研究を積極的に進めており、国策としてマイクロ/ナノ関連の産業を育成しようとする強い姿勢が伺えました。
Coex_2

                 NANO KOREAが開催されたCOEXモール

 マイクロマシンセンターはMicrotech Worldの中にブースを設けて、来年のマイクロマシン/MEMS展のPRとMEMS協議会の活動の紹介を行いました。
韓国やイスラエルなどの企業が当ブースに来られて日本企業へのPRを要望されましたので、マイクロマシン展への出展や、MMCのブログ上で紹介する手段があることを説明しました。またMEMSの研究に携わる韓国の大学から情報交換と来年大学へ招待したい旨の要望もあり、他多くの機関と交流することができました。

Mmc              マイクロマシンセンター展示ブース
 展示内容の全体動向を紹介しますと、ナノテクエリアは評価分析装置、製造装置、ナノ材料が大半を占め、本展示会においてもこの分野は引き続き次世代のアプリケーションを目指した研究段階にあることがわかります。ナノ材料の中ではグラフェン等のナノカーボン材料、化合物半導体の量子ドット材料の展示が多くを占めました。ナノカーボン材料を応用したアプリケーションとして樹脂と複合化された導電シートや透明電極の試作品が展示されていました。
 前述したように国立の研究機関では豊富なインフラを武器に企業と共同研究を進めており、研究機関のブースの中で赤外線センサやヘルスケア機器等、事業化に至った商品の展示が行われていました。これらの展示より研究成果が徐々に実を結び、ナノ/マイクロ分野で産業化の裾野が広がっている様子が伺えました。

Photo_3

                  展示会場ロビー
 次世代デバイスを目指した研究テーマの中で最も多かったのはGaN系LEDです。狙いの用途は照明用途で、高輝度化、低コスト化、大面積化に向けた多くの研究テーマが展示されていました。例えば大面積ガラス基板上に低温でアレイ状に形成された大面積LEDデバイス、導電性基板上に形成されたLED他、多くのアプローチがなされていました。
 ナノマテリアルの応用デバイスで多かったのはグラフェン応用デバイスです。例えばZnOナノ粒子にグラフェンをコーティングしたコアシェル構造ナノ粒子で白色LEDの機能を発揮させた展示は注目されてました。
 Printed ElectronicsやLaser分野では製造装置の展示が主体で、超高精細インクジェットプリンタなどが注目されていました。Microtechでは研究機関でのデバイス開発やMEMSセンサ等、企業の新商品がPRされていました。
 エレクトロニクス最大手企業のSamsung、LGは大きなブースを設けて、ナノ/マイクロ関連テーマへの取組みや高精細ディスプレイ等の新製品を紹介していました。
 全体として、韓国は民生機器においてすでに世界最強の地位を固めつつあり、将来さらに優位性を高めるために、それを構成する材料技術や製造プロセス技術に関しても強化していこうという姿勢と国立研究機関のサポートの元でそれが徐々に花を開きつつあるという印象を受けました。

Nanokorea_2

               展示会場 SAMSUNG、LGブース
注目された展示内容を以下に紹介します。
【国立研究機関】
◆Korea Advanced Nano Fab Center
・Vertical LED(導電性基板上に形成することによりキャリアが基板に垂直な方向に流れる)従来の横方向LEDと比較した利点:発光面積大、耐熱性大、光取出し効率大。
・Vertical LED製法
サファイア基板上GaN LED形成→導電性基板ボンディング→サファイア基板剥離(レーザリフトオフ)→GaN表面エッチング(凹凸化)→パッシベーション、上部電極形成
・Si基板上にGaNナノロッドを形成したNano DISC-LED、偏光発光、LCD向け
・上記LED技術を元にベンチャー立ち上げ。YNG Inc.
・主要製品は凹凸構造を持つサファイア基板を用いた高輝度LED
・ナノインプリントによる平面レンズをLEDチップにマウントしたレンズ一体型チップ
・2軸加速度と1軸ジャイロをWLPを応用して1チップ化した車載用モーションセンサ

◆National Nano Fab Center
・CMOS、MEMS、ナノバイオ、6~8インチラインを保有するデバイス開発センター
・180nmCMOS、MEMSスイッチ、ボロメータ赤外線センサ、可視スペクトルセンサ等を企業と共同で商品化。
・RFスイッチはGalaxyに搭載
・新ナノマテリアル応用デバイス開発:グラフェン電極赤外線センサ、BiTeナノワイヤ熱電素子、ナノメタルクラスタデバイス。

◆Korea Institute of Science & Technology
・ZnOナノ粒子にグラフェンをコートした量子ドットを用いた白色LED
・Agナノワイヤ、Cuナノワイヤを応用した高透過率、低抵抗透明電極

◆Electronics & Telecommunications Research Institute
・パッチ型心拍モニター
・タンパク質センサ

◆Korea Institute of Industrial Technology
・CNT、グラフェン混合電極を応用した透明性フレキシブル色素増感太陽電池

【民間企業】
◆Samsung
・リチウムイオン2次電池正極材料
2次電池はモバイル、自動車、住宅から公共設備まで巨大な市場が控えており、サムソンは材料開発を含めて積極的に2次電池の開発を進めています。

Photo_4

低コスト、高出力を目指して正極材料としてLiFePO4系、LiNiMnO系をベースに粉末合成や焼成プロセスを開発している。また新材料としてNiCoMn系、LiMnP系、LiNiMn系を開発している。
・ガラス基板LEDアレイ形成:大面積基板、照明用途
LEDは通常化合物半導体結晶基板、サファイア基板上に形成されるが、大面積、照明用途を目指して、アモルファスのガラス基板上に結晶GaNをアレイ状に成長させる技術を開発。キー技術は下地層に結晶性Ti薄膜、低温成長GaNを形成したことで、この上に単結晶GaNを成長させる。
・照明向け超高輝度LED
・12インチウェハ、20nmメモリデバイス パターニングプロセスへのナノインプリントの応用
・超高精細ディスプレイ及び制御用IC
・創薬向けバイオセルチップ
・ピコリッター制御 高精細インクジェットプリンタ

◆LG
ナノテクノロジを幅広く民生機器へ応用:ディスプレイ、モバイル機器、家電全般、省エネ照明、省エネ空調等。
ナノテクを用いた新事業として太陽電池、照明デバイス、医療/ヘルスケア、自動車用インバータ、パワー半導体等。
・グラフェン応用タッチスクリーン
・量子ドット応用ディスプレイ
・半導体デバイス製造プロセス:精密研磨、レーザパターニング、スパッタ、CVD
・Si太陽電池用銅コート銀ナノ粒子電極

◆Advanced Materials & Nano Technology Co. (AMNT)
・フィルム基板にZnO圧電膜を形成→フレキシブルスピーカ、触覚ディスプレイ、フレキシブルエナージハーベスタ

◆CORECHIPS Co.
・ピエゾ膜形成カンチレバー技術を応用した振動発電。それを応用したワイヤレスセンサ。
・I-Tire 次世代センサ付タイヤ:従来の空気圧だけではなくせん断力を検知して横滑り開始を検出。

◆SIJ Technology Inc.(産総研村田先生が立ち上げたインクジェットプリンタベンチャー)
・微小液滴 0.1 fL – 10 pL を制御して1μmのライン&スペース形成を可能に
・使用可能インク材料:強誘電体、CNT、導電性ポリマー、バイオ材料、ナノメタル
・径5μm、高さ20μmのバンプ電極も形成可能
・高速乾燥によるファインパターン形成

【同時開催シンポジウム Microtech World Symposium】
全体テーマ:生物の構造/機能を模倣した人工生体材料及びデバイス

◆「マイクロ加工による超親水性表面形成と応用」 POHANG University of Science and Technology
表面のナノ構造によって親水、疏水を制御できることを示し、応用として液体金属を用いた加速度センサ、マイクロ流路、冷却用ジルコニアチューブ等で効果を確認。

◆「人工聴覚」 Korea Institute of Machinery & Materials
マイクロ圧電構造を人工内耳として耳に埋め込む。
圧電構造はフィルム基板にZnOナノワイヤを形成したもの、PVDFフィルムを用いたものを開発

◆「人工視覚」 Korea Advanced Institute of Science & Technology
動物の目の構造を模倣した人工視覚
ハニカム構造半球状のポリマーマイクロレンズアレイと導波路をCMOSイメージセンサ上に形成
ポリマーレンズの製法は、Si基板レンズアレイ形成→フィルム基板に転写→半球状に成形

◆「しわ状の表面構造形成とその光デバイスへの応用」 Korea Advanced Institute of Science & Technology
通常の凹凸構造に機械的な変形を加えて、さらにアスペクト比の高いしわ状構造を形成
光の透過、反射、散乱特性を制御、有機太陽電池表面に応用することによって効率向上確認

◆「マイクロフルイデクスを応用したナノ粒子の自己組織化とその応用」 Sogang University
ナノ粒子自己組織化のための流路の形状にテーパーを設けて自己組織の粒子間隔を制御

上記を含めNanoKoreaでの技術資料に関して詳細を知りたい等のご要望がありましたらマイクロマシンセンターまで問合せお願いします。
                                       (阪井 淳)

| | コメント (0)

2012年8月 9日 (木)

「マイクロナノ2012」マイクロマシンセンターのブースにたくさんのご来場ありがとうございました

 7月11日から13日まで東京ビッグサイトで開催しました「マイクロナノ2012」には多数の皆様のご来場をいただき、ありがとうございました。
 マイクロマシンセンターのブースでは以下の内容で展示・説明を行いました。
 ・MMCとMEMS協議会の活動紹介と、ご入会の案内
 ・MEMS関連の国際標準(IEC)について制定済みと進行中の内容
 ・MEMS設計支援・解析システムMemsONEと知識データベースMEMSPediaのPCによる紹介
 ・MEMSの概要、MEMSの市場と研究開発動向、MEMS製品・技術のネット上のバーチャル・モールであるMEMSモール
 ・つくばに開設したMEMSの研究・試作支援を行うMNOIC(マイクロナノ・オープン・イノベーション・センター)のビデオによる紹介と試作したウエハーの展示
 ブースにはMEMSにご関心の方が多数おいでいただき、展示パネルについてご質問や資料請求がありました。特にMEMSについて作り方、活用分野、市場等について解説した「MEMS読本」は用意した500部がすべて無くなり、MMCホームページからのダウンロードをご案内しました。
P7120087_1600

 

| | コメント (0)

2012年8月 6日 (月)

「マイクロナノ2012」 TIA N-MEMSシンポジウムPart1 MNOICセミナー開催(2011年7月12日)」

 世界最大規模のマイクロマシン/MEMSの総合イベントである「マイクロナノ2012」(東京ビッグサイト)の中で、MEMS協議会が主催する同時開催プログラムとして国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム以外に、MEMS協議会フォーラムとMNOICセミナーがあります。2010年からMEMS協議会がTIA(つくばイノベーションアリーナ)のTIA N-MEMS WGの事務局となってから、MEMS協議会フォーラムとMNOICセミナーをTIA N-MEMSシンポジウム(TIA後援)として開催しています。今回はイベントの中日である7月12日にこのプログラムを企画しました。特に今年は、「マイクロナノ2012」の全体テーマである「オープンイノベーション」に沿ったプログラム設定を行いました。このオープンイノベーションの背景には、大規模なMEMS研究拠点であるMNOICが昨年度に設置され、順調に整備されて来ていること、また同時期に東北大学のMEMSコインランドリーや京都大学のナノハブ研究拠点が開設され、いよいよ日本でも高価な研究施設を持たなくても研究開発や産業化が可能な「オープンイノベーション」の環境が揃いつつあることがあります。このような背景から、MNOICセミナーでは、パートナーである産総研・集積マイクロシステム研究センターの前田龍太郎センター長とも議論を重ね、「MNOICセミナー:世界的なMEMS研究拠点の活用」と題してプログラムを作成し、NMOICで利用可能な最先端の蓄積技術と、海外の研究拠点も含めた日本を代表するナノテク&MEMS研究拠点の紹介をしました。
 今仲MNOIC所長の主催者挨拶に続いて、経産省・福島研究開発課長のご来賓のご挨拶のあと、以下の2つのセッションを行いました。
セッション1:「技術シーズと世界最先端装置」
最初の講演は、MNOICパートナーである産総研・集積マイクロシステム研究センター(UMEMSME)に長く蓄積された技術のご紹介として、廣島副センター長から「大口径のナノインプリント技術のご紹介」でした。ナノインプリント技術は、超LSIのホトリソグラフィー技術の有力代替技術として注目されましたが、最近では大面積の表面反射膜等の光学フィルターも有力な候補であり用途が広がって来ています。特にこのナノインプリント技術では大面積精密モールド装置に加えて、大面積で精密な金型作成も普及の鍵であり、MNOICが極めて有効に利用出来ることも分かって来ました。二番目の講演は、MNOICが所有する世界最先端大口径300mmシリコン深堀装置の紹介を、製造・販売会社であるSPPテクノロジー社の田中氏から紹介頂きました。この300mmシリコン深堀装置Pegasus 300は単に大口径のみならず、DeepRIEに必要な最先端の様々な技術が導入されていて、安定なMEMS三次元構造の作成ができます。第三の講演はMNOICには整備されていせんが、将来はMEMSでも必要になると推測されるALD(分子層成膜)の技術開発や装置の最新状況を、オックスフォードインスツルメントの鈴木氏に紹介頂きました。オックスフォードは、ご存知のように英国の装置メーカですが、研究用市場に最先端装置を提供し続けている企業です。
P1
写真1 産総研 廣島氏からナノインプリントに関する講演

P2
写真2 SPPテクノロジーズ 田中氏からシリコン深堀装置の講演

P3
写真 3 オックスフォードの鈴木氏から分子層成膜の講演

セッション2:「最先端研究拠点を用いたオープンイノベーション」
本セッションでは、オープンイノベーションを実現可能な国内外の3つの研究拠点から紹介して頂きました。最初の講演は京都大学の次世代低炭素ナノデバイス創製ハブ拠点(京都大学ナノハブ)の取り組みを竹内先生から紹介頂きました。京都大学ナノハブは、大学や企業の最先端のナノテク・MEMSの研究に必要な、ウェハーサイズで4から6インチの加工、成膜、評価装置が揃っています。特に他の大学も含めてオープンにしているのが特徴で、アカデミアからの利用が半数以上あるようです。第二の講演は東北大学・MEMSコインランドリーの状況を戸津先生に紹介頂きました。東北大学は既に何十年に渡って企業からの研究者を受け入れ、実用化を目指した研究開発を行うことで有名ですが、MEMSコインランドリーは、この取り組みをオープンイノベーションに向けて制度化した印象です。装置は2から6インチで、手作り装置を含めて多彩な装置が利用でき、しかも安価に使える特徴があって、既に多くのユーザが利用しているようです。最後の講演はフランスLETI発ベンチャーで、MEMSのファンダリーを行なっているTronics社からStephan Louwers氏です。Tronics社は、設計-プロセス開発-ファンドリーと全てを受託可能な、世界でも有数のファンドリーです。LETIで長年経験を積んだ研究者・技術者が最適解を提案出来るところに強みがあります。また現在注目を浴びている携帯端末用のMEMSではなく、幅広い産業用MEMSや医療・バイオ用のMEMSに注力しています。
今回はスケジュールの関係で、TIA N-MEMS関連セミナーは、12日にPart1  MNOICセミナー、13日にPart 2 MEMS協議会フォーラムと日程をずらしての開催でした。MNOICセミナーの参加者は118名でしたが、多くの方々にご参加頂いたことに感謝致します。来年に向けて更に充実した企画をして行きたいと思いますので、お気軽にご意見を頂ければと思います。(MEMS協議会事務局 三原 孝士)

P4
写真 4 京都大学ナノハブの竹内先生の講演

P5
写真 5 東北大学 MEMSコインランドリー 戸津先生の講演

P6
写真 6 フランスTronics社からStephan Louwers氏の講演

| | コメント (0)

「マイクロナノ2012」TIA N-MEMSシンポジウムPartⅡ「開催(2012年7月13日)

 マイクロマシン/MEMS展2012(7月11日~13日)の開催期間中にいくつかの併設シンポジウムが開催されました。ここではその中からTIA N-MEMSシンポジウムPartⅡMEMS協議会フォーラムMEMS関連産業発展のための活動支援のセッションから講演概要を紹介します。
 マイクロマシンセンターではMEMS産業の発展を目的に研究開発プロジェクトの企画運営をはじめ、技術開発をサポートするオープンイノベーションセンター(MNOIC)の設立/運営、MEMS関連の技術/産業動向調査、国際標準化の推進等、様々な活動を行っています。このセッションではそれらの活動状況が紹介されました。
2_640

○マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)活動状況 MMC 三原 孝士
 MNOICは最新鋭のMEMS8インチラインを備え、主に企業のMEMSデバイス開発をサポートする目的で昨年度開設されました。本公演では、最新鋭設備の稼働状況、利用方法の説明、開設後順調に利用者が増えていること、海外のオープンイノベーションセンターの活動等が紹介されました。

○MEMS関連市場動向 MMC 阪井 淳
 マイクロマシンセンターでは毎年MEMS関連産業動向を調査して報告書にまとめています。平成23年度はMEMS関連の市場予測が行われましたので、その内容について紹介されました。
 国内のMEMS組込み製品の生産金額より求めた独自の市場予測によりますと2010年のMEMS市場は約7000億円、2015年予測は約1.5兆円、2020年は約3兆円と市場が大きく拡大すると予測されました。年率に換算すると平均して15%/年の伸びになります。市場予測はアプリケーション分野毎にまとめられ、ほぼすべての分野で高い伸びが予測されました。中でも絶対額の大きさで高い伸びを牽引するのが自動車、モバイル機器、医療・ヘルスケア分野とされており、その要因分析が紹介されました。

3_6401

○MEMS国内外技術動向 早稲田大学 教授 庄子 習一
 MEMSの技術動向としてMEMS関連の著名な国際学会であるTransducers'11、MEMS2012で発表された内容を分析して得られた技術動向が紹介されました。国別発表件数では依然として米国が最も多いですが、中国、韓国からの発表件数が伸びており、MEMS分野の開発に注力し始めた様子が伺えました。分野別で発表件数の伸びが著しいのが非シリコンの加工プロセスとマイクロフルイディクスでした。いずれも医療系への応用を狙ったものでMEMSの新たなアプリケーションとして世界中で注目されていることが紹介されました。

○MEMS国際標準化動向 帝京大学 教授 大和田 邦樹
 マイクロマシンセンターでは、MEMSの国際標準化を推進しています。本セッションではこれまで標準化された内容、現在標準化に向けて推進中の内容、今後の動向が紹介されました。新しい分野としてエネルギーハーベスティングに関する新規標準化提案が増加しており、この分野で各国がイニシアティブをとろうと積極的にあー活動していることが伺えました。

マイクロマシンセンターでは今後もMEMS産業の発展に向けて様々な活動を推進して行く予定で、これらに関し何かご意見、ご要望がありましたら、センターまでお問い合わせお願いします。

| | コメント (0)

2012年8月 3日 (金)

「マイクロナノ2012」国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム開催(2012年7月11日)

既にこの「MEMSの波」でご紹介していますが、世界最大規模のマイクロマシン/MEMSの総合イベント「マイクロナノ2012」(東京ビッグサイト)が好評のうちに終了しました。また各種セミナーを含む、多数の併設イベントを実施しました。この中でも、18回と言う長い歴史を持つ「国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム」は、(同時通訳もついて)世界のマイクロマシン/MEMSの産業、技術動向を得ることが出来る絶好の場となっています。今回は、「マイクロナノ2012」の全体テーマである「オープンイノベーション」に沿ったプログラム設定を行いました。このオープンイノベーションの背景には、大規模なMEMS研究拠点であるMNOICが昨年度に設置され、順調に整備されて来ていること、また同時期に東北大学のMEMSコインランドリーや京都大学のナノハブ研究拠点が開設され、いよいよ日本でも高価な研究施設を持たなくても研究開発や産業化が可能な「オープンイノベーション」の環境が揃いつつあることがあります。このような背景から、国際交流委員会の委員長である、東大・下山勲教授チェアマンを中心に「オープンイノベーションによるMEMS産業の新しい波、世界最先端オープン研究拠点からの報告」と題したテーマでプログラムを作成しました。
 シンポジウムでは作田理事長の主催者挨拶に続いて、経産省・藤木産業機械課長のからご来賓のご挨拶のあと、以下のキーノート講演と3つのセッションを行いました。
キーノート講演:クウォルコム社 MEMS表示デバイス
 MEMSは多くのゲームやスマートフォンに搭載され、その有用性が認知されるとともに市場も拡大してきました。更に表示デバイスにMEMSディスプレイが搭載されようとしています。その最前線がクウォルコム社の超低消費電力のmirasolTM表示デバイスです。この技術詳細と、デバイスの特徴、今後の実用化展開を Dr. Evgeni Gousevからご紹介頂きました。mirasolTM表示デバイスの原理はOn/Off制御付きエタロンで、その光学フィルターの光路差で波長を自由に変化出来、またOn/Off制御の高速駆動によって変調が自由にできます。更にフィルターや偏光板が不要で消費電力が激減します。また光学変調素子と表面との距離があるので反射率が表示量によらず、電子ペーパのように自然の視認性を持つとのことです。クウォルコム社は無線用IC等のデバイス・コンポーネントを販売する事業も強く、ディスプレイデバイスのコンポーネント販売ビジネスを目指し、既に台湾のファンドリ企業にて大面積表示装置の生産の準備もされています。現在は台湾、韓国、中国のスマートフォンに搭載されているようで、日本でも直に見られるようになるかも知れません。
I1_2

写真 1 キーノート講演  Evgeni Gousev氏の講演

I2
写真 2 会場の様子

セッション1:「最先端技術」
最初の講演は米国アプライドマテリアルのDr. Mike Rosa氏から微細加工が可能なシリコン深堀技術の紹介でした。プラズマ処理中でのエッチングガスの供給や、ポリマー形成のメカニズムを制御することで、非常に滑らかなエッチング側面を得つつ、高速で高いアスペクト比を実現可能なシリコン深堀技術(装置)の開発を紹介されました。
二番目のご講演は米国MIG(MEMS Industrial Group)を代表してオムロンの関口様からでした。MIGは米国の企業を中心とした工業会で、広報活動や会員向けサービス等を行っていますが、最近では米国以外の企業も積極的に呼び込んでいます。今年は欧州(ドイツ)、来年はアジアでイベントを希望されています。マイクロマシンセンターとMIGは国際アフィリエイトの関係にあります。MEMSの産業化には、研究開発から産業化まで国際的な取り組みが欠かせないものです。今後の益々の協調を進めたいと思います。

I3
写真 3 米国アプライドマテリアルのDr. Mike Rosa氏

I4
写真 4 米国MIG(MEMS Industrial Group)を代表してオムロンの関口様

セッション2:「世界の研究拠点から」日本、欧州、北米の代表的なオープンイノベーション研究拠点の紹介です。最初に今仲MNOIC所長からMNOICの紹介があったあと、ドイツFraunhofer 研究所の集積化MEMS研究拠点であるISIT、およびISITから派生した研究開発型ファンドリーのMFI(MEMS Foundry Itzehoe)を、Prof. Ralf Duddeおよび、CEOのDr. Peter Merzからの報告でした。ドイツ研究拠点の特徴はdual-use conceptと言う考え方で、CMOS・MEMSの研究・製造設備をISITの研究用と、企業の製造ライン用およびMFIのファンドリー用と二つの目的で利用するものです。最後に北米・カナダのアルバータ州のACAMP (Alberta Centre for Advanced MNT Products)の紹介をCEOのMr. Ken Brizelからご紹介頂きました。アルバータ州は石油輸出の潤沢な資金をMEMS分野に先行投資を行い、最近ではMiQro Innovation Collaborative Center (C2MI) と言うIBMやアルバータ州政府が出資する最先端で大型の研究施設が稼働を開始し、またそこから年間数十のベンチャー企業が排出されています。
I52
写真 5 ドイツFraunhofer 研究所 ISITのProf. Ralf Dudde氏

I5
写真 6 ドイツ ファンドリーMFIのCEO Dr. Peter Merz氏

I6_2
写真 7 ・カナダ アルバータ州 ACAMPのCEO Mr. Ken Brizel

セッション3:「MEMSの新しい波」と話題で、米国Hillcrest Labsから、Dr. Chad Lucienが多機能で複雑なセンサーを活用するには複雑なセンサー融合ソフトウェアが必要であり、その出来によって使い勝手が決まるとの講演がありました。今後の高度なセンサーネットワークにおいては、アーキテクチャやソフトウェアは益々重要になってきます。最後にナノバイオ分野で世界的な成果を出しておられる東大・竹内昌治先生から膜蛋白を用いたナノバイオ化学センサー、およびナノ蛍光粒子を用いた非接触グルコースセンサーの紹介がありました。
この国際シンポジウムの参加者数は132名でした。多くの方々にご参加頂いたことに感謝致します。来年に向けて更に充実した企画をして行きたいと思いますので、ご気軽にご意見を頂ければと思います。(MEMS協議会事務局 三原 孝士)
I7
写真 8 米国Hillcrest Labs Dr. Chad Lucien氏

I8
写真 9 東大 竹内昌治先生

 

| | コメント (0)

« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »