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2011年11月16日 (水)

セミコンヨーロッパ2011(ドレスデン)への参加報告

セミコンヨーロッパ2011(ドレスデン)への参加報告
MMC 三原 孝士

 2011年10月11日から13日まで、ドイツ・ドレスデンで開催されたセミコンユーロに参加しました。ドレスデン(Dresden)はドイツの東の端、チェコとの国境30km、エルベ川のザクセン州の州都です。この地域はSiliconSaxonyとも呼ばれ、独インフィニオン・テクノロジーズ社から独立したキマンダ社、米AMD社の半導体製造部門が独立したGLOBALFOUNDRIES (グローバルファウンドリーズ)社 などの電子デバイス製造拠点や多数のマイクロエレクトロニクス関連の研究所があります。今回の参加の目的は、MNOICの運営に参考になることから、LSI業界から見たMEMSの動向(特に集積化MEMS)、および研究から試作、少量生産・ファンドリーに連携するドイツのMEMS産業化の仕組みを調査することです。今回は(1)ドレスデンでのセミコンヨーロッパと併設されたMEMS産業化フォーラム、および最先端ナノエレセミナーへの参加、(2)MEMS産業化の仕組みを調査するためのフラウンフォーファ研究所(ケミニッツのENAS、イテファーのISITおよびMFI)の訪問、(3)総合イベントマイクロナノへの反映を目的にMMCとアフィリエートの関係にあるドルトムントのIVAMが主催するNRWナノカンファレンスヘ参加しIVAMの地域経済へのサービスの調査、およびIVAMとの連携強化です。今回はその一弾として「セミコンヨーロッパ2011」を報告します。
 今回参加の最大の目的は併設シンポジウムの一つ「国際MEMS/MST産業化フォーラム」です。このフォーラムは10日から11日の2日間で19の発表がありました。そのフォーラムの概要を報告します。
1. 応用セッション 4件
InsenSenseからMotion Sensor、QualcommからMEMSディスプレイ、Hillcresr Labsから最近のMEMS応用、FreescaleからMEMSファンドリーから見た動向、特にデジタル化、ゲーム、スマートフォンに端を発した小型で低価格&高性能のMEMSセンサーがスマートフォンの世界を変え、MEMSに新しい市場ももたらしたこと、それが今後も続くことを予測して見せました。この中で特にQualcomm社のGusev氏からの表面MM技術で製造された静電On/Off 光波長選択エタロンを用いたMirasolディスプレイの発表がありました。原理的には古い技術ですが、長期的に研究開発に取り組んだ様子や、LCD同様のガラス基板に表面MM技術を使って量産するファンドリーを台湾、Longtan Science Parkに立ち上げる等のダイナミックな取り組みがなされています。
2. MEMS試作・生産 5件
VTI Technologiesから高性能ジャイロ用の3D-MEMS技術、TronicsからMEMSの標準化の可能性、MFIからMEMSファンドリモデルに関して、MultitestからMEMSハイブリッド実装におけるテスト方法の考察、DALSAからC2MI(Center de Collaboration MiQro Innivation)のMiQroを中心とした拠点構想の話題提供がありました。この中でMFI(MEMS Foundry Itzehoe)のMerz所長から企業との協業によって研究所とファンドリーの両者を上手く運営可能で或ことが紹介されました。このMFIはセミコンの後研究所訪問を行いましたので別途報告します。
3. MEMSプロセス技術 7件
Sensonor TechnologiesからUncooled Microbolometerの紹介、Tohoku University・江刺先生のMEMS技術の進歩状況、Applied MaterialsからSubmicron MEMS、Saes GettersからMEMSのLifetime Assessmentに関して、EV GroupからWafer Bonding、EpcosからSAW Devicesの小型PKG化、Suss MicroTec LithographyからSelective Plasma Treatmentに関する報告と紹介がありました。特にApplied MaterialsのRosa氏から200nm-500nmの櫛歯電極を作成する技術が完成しつつあるとの報告、近い将来にMEMSセンサーが圧倒的に高性能化する可能性が高いようです。
4. MEMSマーケット 2件
MEMSマーケット予測では、MEMS分野の二大調査会社であるiSuppliとYole Développementから発表がありました。2010年からスマートフォン向けのMEMSが急激に伸びていますが、2015年位に価格が下がって一旦飽和し、その後確実なマーケットの伸びが期待できるとの予測を示しました。
 この「国際MEMS/MST産業化フォーラム」の特徴は、産業化のセミナーとして参加者が特に興味を持ちそうなテーマを挙げ、世界中から発表者を贅沢に集めていること、大学からは江刺先生のみで殆どは企業からの発表で詳細を公開している点です。この辺りは「マイクロナノ2012」の参考にしたいと思います。このような(有料の)産業化フォーラムは「国際MEMS/MST産業化フォーラム」を含めて5コースありました。またこれ以外に100名程度が入れる無料のセミナーが2会場あってセッションを並列で行なっていました。私はこの中で、Lithgraphy と 3D IC のセッションを聞きましたが、どれも最先端の技術発表で立ち見が出るくらいの好評でした。

Messe1
写真 1 メッセドレスデンの正面

Messe2
写真 2 レンガ屋根の会場

Saxony
写真 3 SiliconSaxonyの集合ブース

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