韓国マイクロナノ展示会(NanoKorea2011)参加報告
平成23年8月24日~26日に韓国ソウル近郊でマイクロナノに関する総合展示会(NanoKrea2011)が開催され、マイクロマシンセンターは展示ブースを設けて活動のPRを行いました。また同展示会への各機関の出展からMEMSに関連する情報収集を行いました。
マイクロマシンセンター 展示ブース
展示規模は7月に東京ビッグサイトで開催されましたマイクロマシン展2011とほぼ同じ程度でした。展示内容は大きく分けると、MEMS、ナノ材料、レーザ加工、プリントプロセス機器から成り、それぞれの分野において、韓国の企業、研究機関を中心に日米欧の企業も出展していました。
韓国の代表企業であるサムソン、LGも展示していましたが、マイクロデバイスに関してはサムソンがZnO圧電体を織物に形成したエナジハーベストウェアの技術展示をしていたのが注目された程度でした。
SAMSUNGの展示ブース
全体を通して韓国企業によるMEMSの展示は少なかったですが、韓国国立研究機関のMEMS試作設備及びデバイス開発の充実ぶりが目立っていました。例えばNational NanoFab Center(NNFC)の設備は8インチのCMOS、MEMSラインを基本とし、同じフロアにナノバイオゾーン、ナノマテリアルゾーンが隣接し、それらを融合させたプロセスの開発もできるように設計されていました。ここには韓国の企業、大学から研究者が集まっており、展示ブースでは赤外線センサ等共同研究の成果が展示されていました。
他に韓国の国公立の多く研究機関から展示がありましたが、設備や研究内容で重複しているところも見られました。今後これらの研究機関のサポートのもとで、韓国企業がMEMSデバイス事業へ進出してくることが予測されます。
海外からもいくつかの企業、研究機関の展示がありました。技術的に高いポテンシャルを示したところでは、既によく知られていますがSTMicroelectronics、台湾ETRYの展示が注目されました。
以下に注目された機関の展示内容を示します。
◆National Nanofab Center (NNFC)
CMOS、MEMS試作ラインを有し、企業の技術開発をサポート
・試作設備技術:8インチ180nmCMOSライン、TSMC180nmCMOSとコンパチ性確保
8インチMEMSライン、Bio、Nano New Material作製設備
・MEMSマイクロボロメータ型赤外線画像センサ:企業との共同研究、
マイクロボロメータ材料にアモルファスSiを採用、
赤外線画像素子とCMOS素子を3次元積層化
NNFC:CMOS一体赤外線画像センサ
◆Korea Institute of Science and Technology (KIST)
韓国の中心的な国立総合研究機関でシリコンマイクロ加工を含むマイクロナノデバイス試作ラインを保有する開発センターを持つ。
◆Korea Advanced Institute of Science and Technology(KAIST)
国立総合科学技術大学院でMEMS分野の研究も盛ん
・RF-MEMS他試作品を展示
◆Korea Advanced Nano Fab Center (KANC)
マイクロナノデバイスを開発、2軸Gセンサ、ウェハレベルパッケージを展示
◆Korea Institute of Material Science
ナノマテリアルの国立研究機関、CNT、メタルナノ粒子等の材料開発から太陽電池、熱電発電素子の開発を展示
他、国立研究機関としてKorea Institute of Material Science(KIMS)、Center for Nanostructured Materials Technology(CNMT)等多くの研究機関がマイクロデバイスを展示していた。
◆STMicroelectronics
マイクロデバイスの重点分野としてモバイルデバイス、モーションセンサ、ヘルスケアデバイスをあげ、それぞれの分野の代表的なデバイスを展示。
STはモーションセンサ関連で世界トップを走り、将来展開としてヘルスケア用デバイスにも注力、新規デバイスとしてMEMSインシュリンポンプ、コンタクトレンズ型眼圧センサを展示
・MEMSインシュリンポンプ:糖尿病管理、ドラッグデリバリに応用
ピエゾでダイアフラムを駆動する形式
デバイスサイズ:22.5x14.5x3.8mm
1回の駆動で200nlを排出
MEMSインシュリンポンプ
・コンタクトレンズ型眼圧センサ:コンタクトレンズ表面に歪ゲージ、回路を形成◆Electronics and Telecomunications Research Institute(ETRY:台湾)
台湾の電子デバイスの代表的な研究機関、MEMSガスセンサ、熱電素子、色素増感太陽電池、フィルム型1次、2次電池等を展示
・Siナノワイヤ熱電デバイス:これまでの熱電材料はBi-Te系が代表だが、Siプロセスで作製可能なSiナノワイヤ型を開発
Siナノワイヤ熱電変換素子
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