ハノーバメッセ2011 参加報告
2011年4月4日~8日にドイツでハノーバーメッセが開催され、マイクロマシンセンター(MMC)がメッセに出展しました。また同時に開催されたマイクロナノ関連のシンポジウムで発表も行いました。ハノーバーメッセは、産業機器、ファクトリーオートメーションを中心に、エネルギーからマイクロナノまで、幅広い産業をカバーする見本市で、本年度は世界経済の回復の後押しもあり、6,500社の出展者、23万人の来場者を数え(内6万人が海外から)、ここ10年では最大の展示規模となりました。
ハノーバメッセ 会場
メッセ全体のテーマとして”Smart Efficiency”が掲げられ、工場の省エネ化、そのための高効率オートメーションシステムやセンサをはじめとするコンポーネントに関する展示が全体の中心となっていました。またエネルギーハーベストに関する展示も多く見られ、太陽電池の活用や工場内の設備で発生する熱や振動からのエネルギーハーベスティングに注目が集まりました。
展示会場(SIEMENS)
MMCの出展に関して、MEMS協議会の海外アフィリエートであるiVAM(独)が”Product Market Micro, Nano & Materials”をテーマとする展示エリアを展開し、MMCはその中にブースを構えました。そこではMMCの活動紹介と7月に東京ビッグサイトで開催されるマイクロマシン展(総合イベントMicroNano2010)のPRを行い、来場者との交流に努めた結果、多くの人に関心を持って頂けました。また同じMMCのブース内で、MMC会員企業であるパナソニック電工の技術展示も行われました。
マイクロマシンセンター展示ブース
この展示エリアではマイクロナノに関連する企業、研究機関等45の団体がブースを構えました。分野として、MEMS、ナノ材料、半導体マイクロ加工、レーザマイクロ加工等が展示されました。MEMS関連で注目された展示をあげると、Fraunhofer ENASとInfraTec社が共同でMEMS技術を応用した高精度なファブリペロー型チューナブル赤外フィルタの試作品を展示、HSG-IMT社(独)がマイクロ振動型エネルギーハーベスタ、Micropelt社からマイクロ熱型エネルギーハーベスタが、それぞれ商品化されたサンプルの展示が行われました。いずれも環境関連で注目される分野ですが、技術開発段階から商品化段階へ移行していることが印象付けられました。
Micropelt社 熱エネルギーハーベスタ 体温で24μW発電
このエリア内で同時にマイクロナノに関連するシンポジウムが開催されました。4月4日はジャパンセッションが設定され、パナソニック電工から赤外光アレイセンサ、マイクロマシンセンターから日本のMEMSの研究開発と事業化動向について、TDC社から表面研磨技術の講演が行われました。他にMEMS製造技術や圧力センサ、光デバイス、ナノ材料等の講演がありました。特に注目されたセッションは、エネルギーハーベスティングとワイヤレスセンサネットワークをテーマとするセッションで、デバイスからワイヤレス制御回路まで14の講演がなされました(内12はドイツ企業)。エネルギーハーベスタの分野で最も積極的に商品化を進めているEnOcean社は、光発電、熱発電、振動発電と幅広くデバイスを揃え、ビル、工場、車載、家庭、医療等応用範囲が広く事業的も期待できることを示しました。特に押しボタン式リモコンやスイッチで人の指で押す力で発電して通信動作をするデバイスが注目されました。
全体を通して「エコ」関連分野のデバイス、システムの技術革新、新技術の実用化が急速に進んでいることが伺えました。
マイクロナノ シンポジウム会場
メッセを通して多くの海外の方とお話をできる機会を持つことができましたが、必ず震災の影響を尋ねられました。その度、私が把握していた範囲で日本の産業への影響、放射能汚染の状況を伝えました。印象として日本の工業生産への影響をご存じの方はほとんどいませんでしたが、放射能汚染に関しては実状とは違った認識を持たれている方も多く、今後日本から正しい情報発信の必要性があることを感じました。
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