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2010年5月20日 (木)

国際標準化研究開発の最近の動向

マイクロマシンセンターは経済産業省より受託してMEMSに関連した国際標準の研究開発を2テーマ進めています。両テーマとも、標準案はIEC/SC47F/WG1(微小電気機械システム)への提案を予定しています。

 「小型ジャイロMEMSデバイスの性能評価方法に関する標準化」事業は平成20年度より開始しており、2つの研究開発委員会(小型ジャイロ、電子コンパス)で国際標準の研究開発を行っています。

小型ジャイロMEMSデバイス(以下、「小型ジャイロ」という。)は、携帯電話のカメラ機能、ナビゲーション機能、自動車のエアバッグシステム、スタビリティコントロール、カーナビゲーションシステム等に利用が始まっており、今後ますます市場拡大が期待されています。しかし、性能評価の基準がないため、ユーザは製品開発で必要なジャイロの情報が入手できず、メーカは良い製品が市場において正当に評価されないという状況にあります。

性能評価方法を明確化し、それによって得られた性能を表記することが一般化すると、開発・製造段階での従来の困難さが減少し、応用製品の高付加価値化、高性能化がより進展すると期待できます。

電子コンパスも、GPSが携帯電話の必須アイテムとなりつつあるのに伴い、それを生かした歩行者ナビゲーション等に需要が拡大していますが、その性能・特性を規定する標準がありません。我が国主導で電子コンパスの特性項目と座標系を含むアプリケーションインターフェースを標準化することにより、電子コンパスメーカとユーザの開発効率を向上させ、我が国の産業競争力強化に大きく寄与すると期待しています。

そこで本事業では、小型ジャイロの静的、動的な特性を明確化するとともに、必要な性能パラメータを決定し、小型ジャイロMEMSデバイスの性能評価方法に関する国際標準化案を作成しています。また、電子コンパスについても、三軸電子コンパス及び三軸加速度センサと合わせた六軸電子コンパスの特性の国際標準化案を作成しています。電子コンパスは平成22年度に、小型ジャイロは平成23年度にIEC提案を予定しています。

 「MEMSにおける形状計測法に関する標準化」事業は、今年度より活動を開始し、平成23年度までの3年間に亘り活動予定です。
 MEMS幾何形状は、他の電子デバイスとは異なり、長時間のウエットエッチングや深堀ドライエッチング(Deep-RIE)技術によって立体的3次元構造体が形成されています。しかしながら、順テーパや逆テーパがついたマイクロスケール断面や、高アスペクト構造を持つMEMSの底面・壁面粗さ等、MEMS構造に適した幾何形状計測法や表示法の標準化は、マイクロスケール寸法であるがゆえ確立されていません。MEMS3次元構造体における側壁形状、側壁の角度、アクペクト比といったMEMSデバイス特有の形状パラメータに対する計測は、光学顕微鏡をはじめとする簡便な測長に限られてきました。また、計測によって得られる形状パラメータの表示は、MEMSを設計・製作し、評価する上で必要不可欠であるものの、統一的な表示法は確立されていないのが現状です。これら計測法及び表示法に関する規格・標準化が進むことにより、MEMS製作段階での作業者間の意思疎通が図りやすくなり、効率的なMEMSデバイス開発の促進が期待されます。

そこで本事業では、3年間で、これらMEMSデバイスのマイクロスケール幾何形状の計測法、表示法を研究開発し、その標準の作成を目指します。具体的には計測対象とする立体的三次元構造の基準試験片を作成し、これを各種測定法により計測し、比較します。

基準とする計測法は、測長機能を有する電界放出型高分解能電子顕微鏡(FE-SEM)を利用した断面形状寸法計測とし、この測定結果をもって同構造体の形状寸法に関する基準データとします。FE-SEM観察は、高真空中での試料取り扱いなど簡便さに欠けるものの、広く普及している顕微鏡の中でも高分解能の観察と測長が可能であるため、基準データの抽出に利用しました。基準試験片内に作り込まれた溝やピッチパターンなどの各種測定対象を、光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、白色干渉計、触針式計測器等の各種測定法により計測し、基準データと比較検討を行っています。この結果より、構造やスケールに適した測定法を選定します。さらに、構造やスケールに応じた形状計測の表示法を整備することを予定しています。

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