2018年9月20日 (木)

【2018年9月の経済報告】

本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

15739355_2平成309月の経済報告をお届けします。

業務の参考として頂ければ幸いです。  

 内容は、以下のPDFをご参照下さい。

 

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2018年8月16日 (木)

【2018年8月の経済報告】

 本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

                             

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今回は20188月の経済報告をお届けします。

業務の参考として頂ければ幸いです。  

 内容は、以下のPDFをご参照下さい。


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2018年8月14日 (火)

MEMSセンシング&ネットワークシステム展の開催準備進む(10月17日-19日)


 MEMS関連の技術・製品・アプリケーションを一堂に展示する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2018」の開催準備が進んでいます。
 
 名称:MEMSセンシング&ネットワークシステム展2018
    -IoTシステムの最先端技術展-
 会期:2018年10月17日(水)~19日(金)
 会場:幕張メッセ 国際展示場ホール7、国際会議場会議室302
 同時開催:InterOpto/Imaging Japan/LED JAPAN/CEATEC
 URL:http://www.mems-sensing-network.com/
 
 国際会議場及び会場内特設ステージで開催するセミナーについてお知らせします。

10月17日(水) 10時30分~12時30分
 名称:MEMS協議会フォーラム
 趣旨:MEMSの実用化・応用先として期待される次世代テクノロジー(人工知能、自動車、5G、IoT、ロボット、VR)にフォーカス。次世代MEMS市場、そして数年先の技術が社会的・産業的に貢献するビジョンや方向性について、最新情報を発信します。さらに、世界のMEMS関連最新研究動向についてもわかりやすく解説します。

 オープニング   発表者 
 10:30-
 11:00
セッション1
MEMSセンサー技術の応用-AIとの連携
東北大学マイクロシステム融合研究開発センター 教授
  江刺 正喜
 11:00
 11:30
セッション2
高度運転支援・自動運転とセンシング技術
株式会社デンソー 先端技術研究所 所長
  川原 伸章
 11:30-
 12:00
セッション3
MEMSセンサ搭載機器のソフトウェアを加速する新しいGUIツール”AlgoBuilder”
 STマイクロエレクトロニクス株式会社
アナログ&MEMS製品グループ
  平間 郁朗
 12:00-
 12:30
セッション4
国際会議発表を通してみる MEMS関連研究の動向
立命館大学
理工学部バイオメディカルデバイス研究センター長 教授
  小西 聡


10月18日(木)
 名称:研究開発プロジェクト成果報告会
 趣旨:本報告会では、マイクロマシンセンター/NMEMS技術研究機構[E:#x100003] が取り組んできたNEDOや国から受託した研究開発プロジェクトの成果や、これまで行ってきた実証実験の紹介などを行います。さらに会場では、開発した技術、サンプルを展示します。
 
セッション1    発表者
10:15-
11:15
「道路インフラモ二タリングシステム(RIMS:ROAD Infrastructure Monitoring System)の研究開発」成果発表 NMEMS技術研究機構 インフラモニタリング研究所所長/ 
東京大学 IRT研究機構・機構長
教授 下山 勲
11:15-
11:45
「センサ端末同期用原子時計(ULPAC:Ultra-Low Power Atomic Clock)の研究開発」成果発表 国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター
物理計測標準研究部門 高周波標準研究グループ 主任研究員
  柳町 真也
11:45-
12:15
ライフラインコアモニタリングシステム(UCoMS:Utility Infrastructure Core Monitoring System)の研究開発」成果発表 コアモニタリング研究体長/
東京大学新領域創成科学研究科
教授 伊藤 寿浩
セッション2    
13:30-
14:00
「組合せ最適化処理に向けた革新的アニーリングマシンの研究開発」成果発表  株式会社日立製作所 研究開発グループ
主任研究員
  山岡 雅直
14:00-
15:00
「超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステム
(LbSS:Learning-based Smart Sensing System)の研究開発」
成果発表
NMEMS技術研究機構 スマートセンシング研究所所長
プロジェクトリーダー 
東京大学名誉教授 藤田 博之

サブプロジェクトリーダー 
株式会社日立製作所 研究開発グループ エレクトロニクスイノベーションセンタ 
 主管研究員
  高浦 則克

サブプロジェクトリーダー 
東京大学生産技術研究所 
教授 年吉 洋
セッション3    
15:00-
15:30
「IoTの裾野を広げるスマートセンサの活用促進に向けた標準化の取組み」 一般財団法人マイクロマシンセンター
調査研究・標準部 担当部長
  中嶋 正臣


10月19日(金)
 名称:スマートセンシング&ネットワーク研究会シンポジウム
 趣旨:
Session1  スマート社会の実現(空間の移動分野)に向けた最新動向ワークショップ
少子高齢化、労働力不足、インフラ老朽化対策、災害課題対応と我が国の直面する社会的課題に対し、それらを解決するスマート社会に対する期待は膨らみます。それらを実現するための最新動向に関するワークショップを開催いたします。

Session2  SSN研究会公開シンポジウム
近年、世界各国の企業は競ってIoT実用化に向けた取り組みを進めていますが、ここではスマートセンシング技術を中心にした、ホットな話題を提供します。

セッション1    発表者
10:00-
10:10
 ご挨拶 経済産業省
産業技術環境局研究開発課 産業技術プロジェクト推進室 
室長
  松本真太郎
10:10
10:30
人工知能技術適用によるスマート社会の実現(空間の移動分野)の目指す姿 産業技術総合研究所
情報・人間工学領域 研究戦略部
イノベーションコーディネータ
  小島 功
10:30-
10:50
地理空間情報プラットフォームの構築と空間移動のスマート化  産業技術総合研究所
人工知能研究センター 地理情報科学研究チーム
チーム長
  中村 良介
10:50-
11:10
空間移動におけるAI融合高精度物体認識システム 東京大学IRT研究機構
講師
  高畑 智之
11;10-
11:30
社会レベルの行動モデリング・シミュレーションの研究開発 産業技術総合研究所
人工知能研究センター 社会知能研究チーム
チーム長
  大西 正輝
11:30-
11:50
物流サービスの労働環境改善と付加価値提供のためのサービス工学×AIの研究開発 産業技術総合研究所 
情報・人間工学領域 サービス観測・モデル化研究グループ
グループ長
  大隈 隆史
11:50-
12:10
AI活用により安全性向上を目指したスマートモビリティ技術の開発 産業技術総合研究所
ロボットイノベーション研究センター スマートモビリティ研究チーム
チーム長
  阪野 貴彦
12:10
12:40
 特別講演:スマート社会と空間情報 東京大学
空間情報科学研究センター
教授
  柴崎 亮介
12:40-
12:55
本テーマへの期待 新エネルギー・産業技術総合開発機構  
ロボット・AI部
プロジェクト
プロジェクトマネージャー  
  小川 泰嗣
セッション2    
13:30-
13:35
開会挨拶 一般財団法人マイクロマシンセンター  
株式会社デンソー 代表取締役副社長
  山中 康司
13:35-
14:05
ナノ機能を駆使した未踏微小シグナルセンシング技術への挑戦 東京大学
IRT研究機構・機構長/
マイクロマシンセンター SSN研究会会長
教授
  下山 勲
14:05-
14:35
グローバルIoT時代におけるセキュアかつ高度な生体医工学拠点の形成に向けて 東京電機大 
工学部 先端機械工学科
准教授
  桑名 健太
14:35-
15:05
「東芝のスマートセンシング技術」 株式会社東芝 研究開発本部 研究開発センター 
首席技監
  黒部 篤 


 成果については展示会場ブースにおいても展示・説明を行っておりますので、お立ち寄りください。
<成果普及部 水島 豊>

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2018年8月 8日 (水)

TIA連携大学院サマーオープンフェスティバル 第2回学生・若手研究者向けMEMS講座及び第30回MEMS講習会開催の報告

 2018年8月7日(火)に、一般財団法人マイクロマシンセンター/新テクノサロンにおいて、午前・午後の2部制で、第2回学生・若手技術者向けMEMS講座(午前)及び、第30回MEMS講習会(午後)を開催致しました。MEMS講習会は、MEMS協議会に所属するMEMSファンドリーネットワーク企業を中心に企画され、都内と地方都市で年に1回ずつ開催しています。昨年度より、TIA連携大学院サマーオープンフェスティバルのプログラムとなったのを受け、学生・若手技術者向けMEMS講座と併せて開催しており、講師の方も含めて総勢56名(学生5名)が熱い討論を繰り広げました。


写真1.講演会会場の様子

 午前中に開催いたしました第2回MEMS講座では、企画を取り纏めたMEMSファンドリーネットワークの浅野委員長の挨拶の後、2つの講座を行いました。まず、最初の講座は、国立研究法人産業技術総合研究所の日暮栄治先生より、「MEMS概論」と題しまして、MEMSの歴史から最新の市場・技術動向までをオプティカルMEMSを中心に解説していただきました。新規にMEMSに取組む技術者が読むべき論文の紹介など、初心者向けの構成となっており、これから研究開発を進める上での参考になったのではないかと思います。

 続きまして、みずほ総合情報総研の浅海和雄氏より、「MEMS設計・解析支援ソフトMemsONEを用いたデバイス設計」と題しまして、MEMSデバイスを設計する一連の流れを解説していただきました。MEMSの研究に取り組んでいる学生には、馴染みのあるMemsONEかと思いますが、その特徴を概説していただくことで、企業に入ってからMEMSの研究開発に取り組みだした技術者にも解析技術を導入することのメリットや使いどころなどを感じ取っていただけたのではないかと思います。


写真2.MEMS概論 日暮先生


写真3.みずほ情報総研 浅野氏

 昼休みを挟みまして、午後からは第30回MEMS講習会「VR/ARを支えるセンシング技術と、その活用事例:見る・触る・嗅ぐを伝えることの価値とは」を開催いたしました。5G通信の足音とともに、スマートフォンなどの「聴く」を伝えるに加えて、「見る・触る・嗅ぐ・味わう」を伝えるVR/AR技術の実用化に向けた動きが活発になっています。本講習会では、五感の伝送を可能とすることで、何が出来るのかを感じ取っていただく一助として、昨年度の「味わう」を除く「見る・触る・嗅ぐ」についてのプログラムを企画いたしました。

 講習会では、主催の一般財団法人マイクロマシンセンター専務理事長谷川英一の挨拶のあと、1件目の特別講演として、東京大学大学院の牧野秦才准教授より「“触る”を伝える- 振動触覚から空中での触覚提示まで - 」と題して、ご講演いただきました。VRの3大要素として、1.等身大の三次元空間、2.実時間相互作用、3.自己投射、があり、ヘッドマウントディスプレイにより実現される等身大の三次元空間に、実時間相互作用や自己投射を付与する手段としての触覚伝送の研究をされておられます。触るという感覚の特徴から、それを伝える触覚ディスプレイの研究開発動向まで、視覚との関りなど具体例を交えたご講演により、触覚を伝えることの意味を考える機会を得られたことは、大変有意義だったと思います。ゲームなどでは実用化例もありますが、より一般的な普及が楽しみになるご講演でした。


写真4.特別講演1 牧野先生

 次に、国立研究開発法人物質・材料研究機構のセンサ・アクチュエータ研究開発センターの吉川元起グループリーダより、「“嗅ぐ”を伝える – 嗅覚IoTセンサ(MSS)と産学官連携によるニオイの標準化への挑戦 - 」と題して、ご講演いただきました。嗅覚センサは、ニオイを人が識別できる情報に変換する素子であり、感応膜への気体分子の吸着による物理化学的変化を電気信号に変換して得た情報を解析することで、ニオイを識別しています。吉川先生らが開発された嗅覚IoTセンサ(MSS)の社会実装に向け、2017年11月にMSSフォーラムを立上げ、公募によるオープンな実装実験に取組まれておられます。様々な物から発するニオイが入り混じった実社会の中で、嗅覚IoTセンサがニオイを嗅ぎ分ける解析手法など興味深いご講演でした。


写真5.特別講演2 吉川先生

 ここで休憩を挟みまして、「見る・触る・嗅ぐ」に関する3件のご講演を企業からしていただきました。

 最初のご講演は、セイコーエプソン株式会社の津田敦也氏より、「“視聴”から“体験”へ – セイコーエプソンが変革する世界 - 」と題して、スマートグラスMOVERIOを支えるコア技術と、その活用事例について、ご講演いただきました。2011年に上市されたMOVERIOは、光学エンジンなどのコア技術の進化による小型・軽量化だけでなく、装着性や堅牢性など、第三世代まで進化しているとのことです。製品ラインアップも個人から商用、作業用など、用途に合わせた製品が用意されているとのことです。社会実装の例としては、AR(拡張現実)の用途が多く、美術館などでの音声+映像ガイドや、映画館での聴覚障害者サポートなど、個人・商用事例の他、現場での機器検査やトラブル対応時のサポートやトレーニング支援など現場用途の活用事例を紹介いただきました。観光用途では、東京オリンピックに向けて、ツアー客へ新しい体験・経験を提供するための実証実験が進行しており、2年度が楽しみとなってくるご講演でした。


写真6.セイコーエプソン 津田氏

 企業からの2つ目のご講演は、株式会社香味醗酵の黒田俊一氏(大阪大学・教授)より、「全ての匂いの定量化をめざして – “嗅ぐ”を伝えるための基盤技術 - 」と題して、匂いの定量化に向けた試みをご紹介いただきました。匂いは、個人に依存する官能試験により評価されていますが、約400種類ある人の嗅覚受容体をバイオセンサとすることで、匂い情報のデジタル化を進めておられます。遺伝子から嗅覚受容体を発現させてバイオセンサとする技術を確立されており、この研究で匂いと心の関係が解き明かされることで、新しいビジネス領域が創成されるのではないかと期待されるご講演でした。

 企業からの最後のご講演は、日本メクトロンの吉原秀和氏より、「“触る”を伝える – 超薄型3原触グローブによるリアルな触感伝送をめざして - 」と題して、FPC技術を応用したセンサグロープをご紹介いただきました。AR/VR市場は、ゲームが牽引していますが、ライブイベントや教育、不動産、ヘルスケア、産業などへの展開が進み、2025年には800億ドルまで拡大すると予測されていますが、その時点では、ハードが半分以上を占めると予測されているそうです。商品化されている触覚グローブは、アクチュエータなどを組込んでいるため大きく、実用的とは言えませんが、この技術により、軽量化が進むことで、一般への普及も期待されます。


写真7.香味醗酵 黒田氏

 引き続きまして、MEMSファンドリーネットワークから6件のファンドリーサービスをご紹介させていただきました。最初にファンドリーサービス産業委員会の浅野委員長より、「MEMSファンドリーネットワークとサービスのご紹介」と題しまして、MEMSを開発したい企業を支援するMEMStationなどの取り組みをご紹介いたしました。所属機関からは、最初に、産総研の設備を運用してMEMS開発を支援するMNOICについて、MNOIC開発センターの原田氏より「MNOICが提供するMEMSオープンイノベーション」と題して報告し、株式会社メムス・コアの慶光院氏より「メムス・コアのビジネス」、大日本印刷株式会社の中谷氏より「大日本印刷MEMSファンドリーご紹介」、富士電機の武居氏より「富士電機のセンシング技術」、みずほ情報総研の鶴岡氏より「みずほ情報総研のサービス」と、各社が得意とする技術について報告させていただきました。

 本講習会の終了後には、講師の方々を囲んだ意見交換会を開催し、講習会での質疑応答では足りなかった時間を補って余りある有意義な時間を過ごせたのではないかと思います


写真8.日本メクトロン

 最後に、ご講演者を始め、ご参加・ご協力いただいた全ての方々のお陰で有意義な時間を持てたことに対して、御礼申し上げます。
(産業交流部 小出晃)

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2018年7月31日 (火)

第36先端技術交流会の報告

 平成30年7月31日(火)の午後、マイクロマシンセンター新テクノサロンで第36回マイクロナノ先端技術交流会を開催しました。

 今回の先端技術交流会は第2回医療MEMS研究会と兼ねて、「生体モニタリングの最前線」をテーマとして、オムロン株式会社 技術専門職の中嶋宏様からは「デジタルヘルスケア-ICTを活用した健康管理」と題して、そして、東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 教授の三林浩二先生からは「次世代ヒトIoTを⾒据えた非侵襲&無拘束バイオ計測」と題してご講演をいただきました。


講演の様子

 最初の中嶋氏からは、超高齢化社会に向けた生活習慣病予防に向けた、健康管理についておご講演をいただきました。心臓病の発症リスクは「肥満(高BMI)」「高血圧」「高血糖」、「高脂血症」の危険因子があり、この因子を2つもつ人は全く持たない人に比べて10倍、3つ以上もつ人は30倍を超えるとのことで、生活習慣予防に向けた取り組みが重要であることを示しておられました。

 血圧は絶えず変動しているので、病院で測定するのではなく、家庭血圧が高血圧治療には必須となってきています。本当は24時間知らずしらずに測定できると良いのですが、血圧測定には現状カフを用いるもの以外は難しいようです。

 また、事例紹介として、内臓脂肪測定装置を紹介いただきました。内臓脂肪の測定には正確性の観点では、X線CTやMRIがありますが、これらの測定は大掛かりで高額になる等の課題があります。そこで、腹部全体のインピーダンス情報、腹部表層部のインピーダンス、および腹部形状によって、内臓脂肪を計測するBIA(Bioelectrical impedance analysis)法を紹介いただきました。

 次に、生活習慣病の改善に向けて、運動・食事・休養(睡眠)のバランスが重要であることを説明され、特に朝は体重が軽く、夜は体重が重くなることを利用し、朝と晩に体重を測定する朝晩ダイエットについて説明されました。実際に朝晩の体重測定をしっかりと行っている人の方が、体重減少率が高い結果を紹介いただきました。

 最後に、生体モニタリングとして、センサに期待することは、「非侵襲、無拘束、そして無意識に計測ができるようになること」とのことであり、三林先生の研究内容がまさにこの取り組みであり、今後のQOLの改善につながると感じました。


オムロン 中嶋様

 東京医科歯科大学の三林先生からは非侵襲、無拘束のバイオ計測について最新の取組みをご紹介いただきました。血糖は食事の前後などでダイナミックに変化するのでリアルタイムで測定したいニーズがあります。従来は指から穿刺して採血する自己血糖評価(4回/日)が主でしたが、4回測定しても血糖値の大きな変化は測れないという課題があります。

 最近ABOTのLIBREという血糖値センサが発売され、センサを2週間つけたままで生活できるものであり、実際にこれを装着した糖尿病患者は手放せない状況にあるとのことです。これは、血糖の変化をリアルタイムでとることの重要性が認識されてきたことの表れと言えます。しかしながら、これは侵襲タイプであり、測定精度も10~20%の誤差があることが課題であり、三林先生のところでは、非侵襲で測定するために、体腔で装着するセンサの開発を進めておられます。

 最初にコンタクトレンズ型のセンサの開発についてご紹介をいただきました。涙の糖の濃度は血液中の糖の濃度と相関があります。実際に兎の目にコンタクトレンズを装着して、ブドウ糖を投与した際の実際の血液の糖と涙の糖の濃度の動的な変化をとらえていました。

 次に、マウスガード型のセンサの紹介をいただきました。唾液は夾雑物が多く、唾液中の糖の濃度も低く難しいところはありますが、糖だけを測定できることに成功されていました。歯列矯正をマウスピースで行う市場は今後広がり、その時は小さな歯科医院で3Dプリンタを用いて作成できるようになるとのことです。口腔でのセンシング加速度、ジャイロ、GPS、バイオセンサ等様々なセンサを取り付けられることから、単に糖濃度などのバイオセンサだけでなく、口の動きのセンシングなど応用がいろいろと考えられるとのことです。

 最後にガスによる糖尿病の検知について紹介をいただきました。アセトンは呼気の中にかなりの量(1ppm)があり、このアセトンは脂質代謝ででてくるとのことです。糖尿病患者は糖代謝ではなく脂質代謝になり、アセトンが多くでるためです。アセトンをたんぱく質(2級アルコール脱水素酵素)を介して光(NHSHという蛍光物質)で見ることによって、呼気だけで糖尿病患者をスクリーニングできるとのことです。 また、皮膚からでるガスについても最近の取り組みについて紹介をいただきました。皮膚ガスの出所は皮膚表面の菌、汗、皮膚の下にある血管からくる揮発性成分の3つに分けられます。これを選択的に測定できれば呼気と同じようにモニタリングすることができるというものです。皮膚ガスは血液や呼気の濃度より低いが相関があるとのことです。実際にエタノールを摂取した際の皮膚ガスの濃度をリアルタイムでみることができることを示しておられました。

 三林先生のご講演をお聞きして、血糖値をはじめ生体情報を非侵襲・無拘束で常時センシングできる社会も近いのではないかと感じました。


東京医科歯科大学 三林先生

 また、講演会後の懇親会では、ご講演いただいた先生方を囲んで、ヘルスケアの話題を中心に遅くまで意見交換に盛り上がっていました。  

 
意見交換会の様子
      
(産学交流担当 今本 浩史)

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2018年7月26日 (木)

【平成30年7月の経済報告】

本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。


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今回は平成307月の経済報告をお届けします。

業務の参考として頂ければ幸いです。  

 内容は、以下のPDFをご参照下さい。

  

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2018年7月13日 (金)

The Sixth Japan-US NDT Symposium 出張報告

7/8~12にかけて米国ハワイ州ホノルルのハワイコンベンションセンター(図1)にて開催されたThe Sixth Japan-US NDT Symposiumに参加した。4年に1度開催されている日米の非破壊検査協会の交流シンポジウムであり、今回は日本側の主催であった。参加者は日米両国からを中心に100名ほどで、2セッションパラレルで進められ、非破壊検査技術全般についての講演があった。同シンポジウムにて、口頭発表によるRIMSの成果アピール、および講演聴講による非破壊検査技術の市場可能性の調査を行った。

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図1 シンポジウム会場(ハワイコンベンションセンター)

セッションの内訳を筆者がまとめたものを表1に示す。基調講演などを含めて全部で85件の講演があった。セッションのテーマから見ると、社会インフラに関するものが28件と最も多く、更に社会インフラ関連のセッションに分類されていない講演であっても社会インフラへの適用を想定しているものが多かった。検査手法に関しては、超音波関連のセッションで8件の講演があったが、その他のセッションでも超音波やAEといった弾性波を利用した技術に関する講演が多く見られた。今後、簡単な検査手法や高度な分析手法への発展が期待される有望な技術として注目されているものと思われる。

表1 セッション内訳

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筆者の口頭発表(図2) では、"Effective Detection of Internal Cracks of RC Bridge Decks with Rain-induced Elastic Wave"と題して、降雨等による内在損傷検出手法を供試体および実橋梁に適用した結果について報告した。本手法では、AE計測により降雨時の雨滴が路面に衝突した位置と分布を解析し、本来の分布からの乱れを元に、内在する損傷を検出する。本技術を用いて、実際に内在損傷検出に成功した成果について紹介した。発表後は活発な質疑が行われ、本技術に興味を持っていただくとともに、成果をPRできたものと思われる。実際に雨や水滴を内在損傷検出に利用できていることが興味を引いたようで、雨が強すぎて雨滴を分離できない場合に処理できるのか、複数の雨滴が同時に当たった場合どう処理するのか、などについて詳細な質問を受けた。分析には個々の雨滴が分離できる必要があることや、解析に有効でない雨滴の信号を除くフィルタリング方法などについて回答した。また、適度な雨の条件でしか計測できないのか、との疑問も出たため、散水車等を利用することで、人工的に最適な弾性波を発生させて計測することも可能である旨を回答した。

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図2 筆者の講演の様子

講演全体の傾向としては、参加者の所属によるところもあると思われるが、日本側の発表が橋梁等、道路インフラに関する講演が多かったのに対して、米国側からの発表では、3DプリンタによるAdditive Manufacturingや鉄道軌道に関する講演が目についた。
3Dプリンティング技術が普及、高度化してきており、従来にない構造の内部の欠陥検出は難しいようで、今後ニーズが広がっていくことが考えられる。鉄道に関しては、米国の広い国土を網羅する鉄道軌道を検査するには、環境変化に対応でき、効率に優れた検査技術が必要とされており、軌道の探傷を高度化する試みがいくつか見られた。
主な講演の概要について下記に紹介する。

“NDT and Additive Manufacturing: State of the Art, Opportunities, and the Path Forward”, Ahmed Arabi Hassen(Oak Ridge National Laboratory)
積層タイプの3Dプリンティング技術であるAM(Additive Manufacturing)を用いることで、大型で複雑な形状の物を製造することが可能になってきている中、新たな非破壊検査技術が必要とされているとの話であった。検出したい欠陥には、層間の分離、空孔、マイクロクラック、マイクロボイドなどがあるが、従来の検査手法では、アクセスが困難であったり、表面形状の影響を受けたり、深いところにある100㎛ オーダーの欠陥の検出が非常に難しいなどで、品質の検査に十分対応できない。今後、損傷検出技術の新たな適用先として、市場が広がる可能性も考えられる。

“Phased Array NDE for Railroads”, Troy Elbert (Herzog Servises, Inc.)
166, 000マイルに及ぶ米国の鉄道軌道を検査するための超音波フェーズドアレイ装置の開発について紹介された。使用環境により、レールが変形した場合など、従来の装置では本来の検出性能が出せなくなるのに対して、レーザースキャンにより変形を検出し、超音波の波面をそれに合わせて調整することで、精度を保ったまま効率良く点検できるように改良した。従来の装置でも47km/hの計測が可能であるが、少し計測するごとに調整が必要となり、これに時間を要するため効率的な検査ができなかった点が改善された。大量のインフラ等を検査するにあたって、移動しながら検査するにしても、我々のようにセンサを設置するにしても、計測の効率に加えて、計測に伴う付随作業の効率も非常に重要となることを再認識した。

(技術研究組合NMEMS技術研究機構 高峯英文)

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2018年6月28日 (木)

国際会議APCOT2018出席(平成30年6月25~27日)

 2018年6月25日~27日の3日間にわたり香港・香港科技大学で開催された、隔年開催のTransducer技術とマイクロナノ技術に関する国際会議である、Asia-Pacific Conference of Transducers and Micro-Nano Technology(APCOT2018)に、IoT(Internet of Things)センサ・デバイスの標準化のための技術調査の目的で参加しました。


開催会場である香港・香港科技大学のエントランスの写真


APCOT2018の開催会場横断幕の写真

・Theory, Design, Analysis, and Simulation
・Material, Fabrication, and Packaging
・Physical Sensors, Micro/Nano Fluidics
・Biological, Medical, Chemical Sensors
・Actuators, Force Sensors, Power MEMS
・RF MEMS/NEMS, Internet of Things(IoTs)
・Optical MEMS and Nano-Photonics
といったセッションにおける口頭発表ならびにポスター発表から構成され、各国から本技術分野に関する最先端の研究発表が繰り広げられ、非常に活況を呈していたことが印象に残りました。

 6月26日の夜には、Crown Plaza Hong Kong Kowloon Eastホテルで開催された学会主催のバンケットに参加することができ、こちらも大盛況でありました。


Crown Plaza Hong Kong Kowloon Eastホテルでの学会主催バンケットの写真

 マイクロマシンセンターでは、「国内外技術動向調査」という取り組みとして、技術進歩が著しい国内外のマイクロマシン/MEMS分野等の研究動向、技術動向を的確に把握するため、MEMS分野の著名な国際会議等をターゲットにした定点観測的な調査を例年行っております。   APCOT2018もこの調査の対象学会であり、本分野の有識者から構成される国内外技術動向調査委員会の委員の方々により、学会の発表内容の調査が行われ、報告書に纏めております。従って、今回のAPCOT2018で発表された技術の詳細・分析結果については、この「国内外技術動向調査」の報告書で改めて報告するため、本ブログ執筆者の今回の学会参加目的でありました、IoT関連技術に関する技術動向を紹介するに留めさせていただきます。

 執筆者は、IoT向けのセンサ技術やエネルギーハーベスタ技術に関心があり、本学会に参加することでIoT向けのセンサ・デバイス・MEMS技術の動向が把握できたことは有意義でした。

 まず、キーノートスピーチ発表では、北京大学のAlice H.X.Zhang教授からは、自立電源駆動のスマートデバイス・システム技術について研究内容が報告されました。エネルギーハーベスタ技術のメカニズムとして、摩擦帯電を用いたTENG(Triboelectric Nanogenerator)技術の紹介もありました。デルフト大学のPaddy French教授からのキーノートスピーチ発表では、シリコンスマートセンサの開発に取り組んできた技術・実績が報告され、シリコン半導体とMEMS技術を集積化する試みにより、アナログ・デジタル変換回路をも集積搭載し、デジタル化・スマート化を実現する等、様々な種類のセンサ・デバイスでの開発例が報告されました。

 エネルギーハーベスタ技術の発表では、中国科学院のQisheng He氏からは、彼らのグループが提案済みの閾値トリガー振動発電エネルギーハーベスタにおいて、Sub-g領域の弱い振動に対しても高効率動作を実現する技術が報告されました。0.25gの振動で、従来比約4倍の発電量0.72μWを達成しました。閾値トリガー振動発電エネルギーハーベスタは、振動をモニターし、閾値以下の弱い振動の時は発電動作をアイドル状態とし電力消費を最小化し、閾値以上の強い振動がある場合にのみ発電を行うものです。エネルギーハーベスタ技術では、発電量から、ハーベスタ自身や後段回路の電力消費量を引き去った、「利用可能な正味の電力量」が重要であり、本手法のような発想となっています。このような考え方は、ハーベスタ自身や後段回路のみならず、ハーベスタで電力をまかなうシステム全体(センサやデバイス、データ無線伝送系)の電力消費量をも考え、計画的かつ効率的な発電ならびにシステム全体の動作を行うことが重要であり、その時・その場における環境発電のAvailability状況(またはハーベスタの発電状況)や蓄電デバイスを有する場合は蓄電量を把握し、その情報をシステム全体で活用できるようにする手立て・設計が今後重要となってくることをあらためて確認できました。

 続いて、兵庫県立大学の内田氏からは、両側電極構造による静電式振動発電エネルギーハーベスタ技術の報告がありました。従来の片側電極構造に対し、両側電極構造を新たに採用することにより、静電引力を低減可能となり、発電量を倍増させることができるとしました。シミュレーション結果を示すとともに、試作結果の速報報告があり、動作波形を実際に確認するところまで到達済みでした。

 また、Industry Sessionでは、鷺宮製作所の三屋氏から、同社における静電式振動発電エネルギーハーベスタの開発状況が報告されました。

 他に、パッシブLC型圧力センサを搭載した、創傷管理できるスマート絆創膏に関する報告や、人体の関節運動により発電するウエアラブルなエネルギーハーベスタの報告等、多岐に渡る取り組みに触れることができ、有意義でありました。

 IoTセンサの自立発電動作化を実現し、センサ動作・センサ制御・そのセンサ出力の無線伝送をも、自立電源動作させるためには、各部分の低消費電力化の取り組みとともに、エネルギーハーベスタ技術研究開発の一層の進展が不可欠です。引き続き、注視していきたいと思います。

 今回、本ブログでは一部の分野のみ紹介しましたが、前述のように、当センターでは、「国内外技術動向調査」の取り組みの中で、本分野の有識者から構成される委員の方々により、本学会APCOT2018での全発表内容の詳細な調査・分析を今後進めていきます。
         
平成30年7月3日
 マイクロマシンセンター 調査研究・標準部長 大中道 崇浩

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2018年6月27日 (水)

MEMS協議会推進委員会、メンバー交流会を開催しました。(6/26)

 2018(平成30)年度のMEMS協議会の活動計画を審議するMEMS協議会推進委員会を6月26日、東京・秋葉原のマイクロマシンセンター(MMC)7階テクノサロンにて開催しました。経済産業省・産業機械課、研究開発課、および新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)さらに産業技術総合研究所からのご来賓を交えて、MEMS協議会正メンバー会員企業から12社が集まりました(写真1)。


写真1 MEMS協議会推進委員会

 本年度はマイクロマシンセンター理事の改選期であり、本推進委員会の前に開催された理事会にて新理事長に選出された山中康司理事長(MEMS協議会会長も兼ねる。株式会社デンソー代表取締役副社長)による主催者挨拶があり、最近のトピックスとして1つはスマートセンシング&ネットワーク研究会(SSN研究会)に、医療MEMS研究会などのワーキンググループを設置し、新テーマ発掘に努めていること、二つ目は、設立から8年目のMNOIC事業が、2020年以降も事業の持続的拡大に向け、現場中心に着実に改善活動を進めていることを述べました(写真2)。


写真2 山中新MEMS協議会会長挨拶

その後、経済産業省産業機械課長の片岡隆一氏からのご挨拶として、第4次産業革命技術がもたらす「Society 5.0」の実現に向けて、MEMS技術が中核技術の一つであることは間違いなく、ここに集まっている企業は、その活躍の場をますます増やすであろうという期待を述べられました(写真3)。


写真3 片岡産業機械課長ご挨拶

 MEMS協議会推進委員会では、今年度の活動計画並びに当センターで取組んでいる研究開発プロジェクトの状況などについて報告があり、活動計画は原案どおり承認されました。この後、アソシエートメンバーと個人会員も含め約60名を超える参加者で行われたメンバー交流会では、昨年度まで、2期4年の当協議会会長(MMC理事長)を務めた山西健一郎三菱電機相談役(写真4)と、2003年MMC専務理事に就任し、2006年の当協議会発足に尽力した前MMC副理事長の青柳桂一氏(写真5)も加わり、設立当時の業界状況やConnected Industries時代のMEMSセンサなどの話題に花が咲きました。またこの交流会には、産総研から金丸正剛理事、NEDOロボットAI部の弓取修二部長も加わり、産官連携研究の進め方や次代のセンサ、ロボット技術についての議論も活発に行われました。


写真4 山西 前MMC理事長


写真5 青柳 前MMC副理事長

(MEMS協議会 渡辺 秀明)

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2018年6月21日 (木)

AEWG-60 参加報告

今年で60回目となる米国AE会議(AEWG: Acoustic Emission Working Group Meeting)がサウスカロライナ大学のPaul Ziehl教授のホストで開催された。本会議は、AEに特化した国際会議として、大学はもとより、企業や公的機関からもAEに関するあらゆる技術、システム、応用事例に関する報告がなされる場である。本学会に参加し、AE技術のビジネス展開に着目し、調査を行った。今回は6セッション37件の講演発表と7件の企業講演があり、56名(米国39、日本5、英国5、中国3、ドイツ3、韓国1)の参加者があった。以下に、いくつかの講演を抜粋して概要を報告する。

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写真1 会場のMiles House Hotel

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写真2 会議場内の様子

<開催概要>
Meeting date: Jun 19-20, 2018
Venue: Miles House Hotel, Charleston, SC, USA
Host & Program Chair: Prof. Paul Ziehl (University of South Carolina)

セッション:(括弧内は講演件数)
1) Keynote I (1)
2) Technical Session I : Infrastructure (4)
3) Technical Session II: Infrastructure (5)
4) Commercial Presentations (7)
5) Technical Session III: Aerospace & Composites (4)
6) Technical Session IV: Aerospace & Composites (3)
7) Keynote II (1)
8) Technical Session V: Sensors/Sensing/Signal Analysis/ Modeling (5)
9) Technical Session VI: Sensors/Sensing/Signal Analysis/ Modeling (4)
10) Technical Session VII: Fatigue/Fracture (5)
11) Technical Session VIII: Fatigue/Fracture (5)

■Keynote, Lee Floyd, P.E.(recently SCDOT: South Carolina Department of Transportation)
元サウスカロライナ交通局のエンジニアのLee Floyd氏による講演。管理者の立場から点検やモニタリングの現状に関する発表があった。米国ではNBIS((National Bridge Inspection Standards)と呼ばれる橋梁の点検基準があり、それに基づいた点検を実施しているが、モニタリング技術の進展によって、”Good”と”Poor”の中間領域を管理できるようになることに大きなメリットがあるとのことである。安全性を向上するだけでなく、不必要な荷重制限の緩和や、修復or架替えの判断にも役立つことが期待されるとのことであった。今後は、ロングスパンの橋梁に対するモニタリング需要が増えるだろうとのことである。

■”A Deep Learning Approach to Localization of Acoustic Emission Sources in Plate-like Structure with One Sensor,” Arvin Ebrahimkhanlou (University of Texas at Austin)
テキサス大のDeep Learningを使ったAE源位置標定に関する発表である。本発表は航空機のモニタリングをターゲットとし、複合材プレートのリベット付近からAEが発生することを想定している。従来の位置標定は、複数センサ間の時間差をもとに、位置を推定する方式が一般的であるが、本アプローチは1センサで位置標定まで行うという点で新しい発想である。プレート内のあらゆる位置からAEが発生した場合のセンサ波形の特徴を事前に学習させることで、1センサでもある程度の位置標定が可能であるという内容であった。今回のAEWGではAEの信号処理にDeep Learningを活用した事例が出てきており、今後も同様の傾向は続くとみられる。

■”Using Artificial Neural Network in a Methodical Approach to Develop Suitable Classification Systems of Acoustic Emission Data Generated in Tribological Contacts,” Knut Wantzen (Karlsruher Institute fur Technologie)
カールスルーエ工科大学からはIndustry4.0の実例ともいえる、製造工程でのAE応用事例に関する報告があった。旋盤のシャフト加工時に発生するAEを基に、製造工程の品質制御(Quality Control)を行っている。従来数量ベースでチップ交換を行っていたものを、AEによるモニタリングデータを活用し、品質ベースでの交換を行うようにした、という内容である。AEパラメータの時系列変化を学習し、品質(良/不良)を判定するニューラルネットワークを構築し、交換時期を決定している。シンプルな内容であるが、AEの特徴を上手く活用したIoTの王道とも言える事例である。

■”A Review of the Application of Acoustic Emission Testing in Composite Repair,” Fady F. Barsoum and Isabel M. McBrayer (Embry-Riddle Aeronautical University)
エンブリー・リドル航空大学から、複合材料の修繕を評価するためのテストとしての非破壊検査手法に関する包括的なレビューがあった。航空宇宙分野、船舶、自動車などで複合材料が広く使われるようになってきているが、一度損傷すると極端に強度が下がるという面がある。また、劣化予兆を検知することが難しいとのことであった。複合材料は損傷があれば交換がスタンダードで、修復は一般的ではなく、コスト高につながっているとのことである。修復と強度に関するデータベースが増えれば、積極的に修復することでコストを抑えられる。世の中の非破壊検査手法をレビューした結果、稼働中の損傷を検出できるという点でAE法には他の手法にない大きなメリットがあるとの結論であった。

次回は2019年、IIIAEとのジョイント開催でイリノイ州シカゴでの開催が予定されている。

(技術研究組合NMEMS技術研究機構 碓井隆)

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