2019年5月23日 (木)

2019 第25回「国際マイクロマシンサミット」(中国,西安) 開催報告

マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する場です。日本の提案により1995年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。
2019年は5月6日(月)から9日(木)まで中国の西安で開催されましたので報告致します。中国での開催は2006年の北京,2013年の上海に続く3回目になります。今回のトピックスは”Intelligent Manufacturing: Start from micromachine on a chip”でした。日本からは東京大学の伊藤寿浩教授を団長に、産総研の前田龍太郎先生とマイクロマシンセンターの国際交流担当として武田の3名が出席しました。今回のオーガナイザは、西北工業大学のYuan Weizheng教授でした。日本とも関係の深い古都長安(現在の西安)の西市場(現在残っています市城壁の南西角の外ではありますが、長安の時は城壁の中の西門の近くにあった国際市場)だった場所に建てられたTang Dynasty West Market Hotel(写真1:会場のホテル外観,写真2:会場前の看板)で開催されました。ちなみに東門の近くにありました国内市場だった東市場の場所は,現在は西安交通大学になっています.
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写真1 開催場所のTang Dynasty West Market Hotel外観

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写真2 会場前の看板

今回はタイが新たに加わり、22の地域から64名のデリゲートの登録がありましたが、ビザの関係でラテンアメリカ、イギリス、インド、パキスタンの4地域のデリゲートの欠席があり、デリゲートとしては60名の参加になりました。最も参加者の多かったのは開催国の中国で15名、次いでドイツの7名、イタリアの6名でした。会場での集合写真を写真3に示します。
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写真3 会場での集合写真

第1日目はYuan Weizheng教授の開会の挨拶(写真4:Yuan Weizheng教授の開会の挨拶の様子)の後、各国の現状を報告するカントリーレビューの発表がありました。オーストラリア、ベネルクス、カナダ、中国、EC、フランス、ドイツ、イベリア半島、イタリア、日本、韓国、マレーシア、オランダ、ルーマニア、スイス、米国、シンガポール、タイの順番で報告がありました。各国の産業&技術政策状況、特にIntelligent Manufacturingに関する話題提供があり、日本からは伊藤団長より経産省が進めているConnected Industries及びMEMSやIoTに関する国家プロジェクトの紹介がなされました(写真5:伊藤団長のプレゼンの様子)。また、ECからはDr. Petra Weilerより、新しい5E(Federating European Ecosystems, nano-Electronics, Electronic smart systems, flexible Electronics)プロジェクト等の紹介がありました(写真6:Dr. Weilerのプレゼンの様子)。また、おもしろかったのはスイスから5G通信の世界の話が多くなされているが、本当に5G通信が必要かどうか、4G通信だけで十分ではないかとの問題提起がなされたことでした。時計のスイスらしくCeramic X.0としてセラミックの高精度マイクロ加工によりアナログ時計部品を製造している等の紹介がありました。
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写真4  Yuan Weizheng教授の開会の挨拶の様子

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写真5 伊藤団長による日本のカントリーレビュー報告の様子

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写真6 ECの Dr. Weilerからの5E紹介プレゼンの様子

2日目、3日目は、各国、地域のデリゲートから個別話題の提供があり、計19件の発表がありました。伊藤団長は2日目の午前のセッションの議長もされました(写真7:伊藤団長の議長の様子)。日本からは武田より「Road Infrastructure Monitoring System Development Project(RIMS)」と題してRIMSプロジェクトの紹介を行いました(写真8:武田のプレゼンの様子)。イタリアからイタリアでは最近落橋事故があり、このような技術は重要であるとのコメントを頂きました。個別話題発表では大学や国立研究機関の発表が多かったですが、主要MEMS企業からはBoshとSTMicroelectronicsからの発表があり、どちらの発表でも、MEMSセンサのキートレンドは超低消費電力、高性能、知能組込みであると主張していました。IoT社会において、今後センサは単なるセンシングを行うだけではなくセンサにおいてある程度の情報処理を行ったスマートセンサとして、あらゆるところでの常時モニタリングを実現するフロントエンドとして発展していく世界がすぐそこに来ていることを強く感じました。また、BoshではMEMSデバイスの工場は中国にはつくっていないですが、ユースケース開発のために23のテクニカルセンターを中国において、2007年より中国で積極的な投資を行っているとのことでした。
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写真7 伊藤団長の議長の様子

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写真8 武田のプレゼンの様子

テクニカルツアーとしては、今回議長を務めたYuan Weizheng教授の西北工業大学と空軍の航空機管制研究所の見学がありました。西北工業大学は航空機分野で有名な大学であり、そのためMEMSデバイスの開発としても、航空機の翼に搭載して流れを制御するスマートスキン、竹の表面に氷が付かないことから竹の表面構造を模擬した翼に貼る防氷構造、オプティカルミラーを使った3次元イメージキャプチャーのデモ等を見学しました。また、銃の照準器用のIRカメラ等の開発も行っていました。セキュリティが厳しいため、写真撮影はあまり行えませんでしたが、西北工業大学のState key Laboratory of Intelligent Microsystem for Harsh Environmentsの看板の前での写真を写真9に示します。もう1箇所の訪問先は中国空軍の航空機管制研究所で西安の郊外に1年前に建設された立派な研究所でしたが、セキュリティが厳しく、スマホ等も預けて見学しましたが、研究所のビデオと航空管制コンポーネントの製品を見せられただけで、殆ど中身のないものでした。
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写真9 西北大学の看板の前での写真

マイクロマシンサミットでは、会期中の交流会で、その国の文化を理解するカルチャーイベントが楽しみですが、今回は西安で開催されましたため、有名な兵馬俑(写真11)の見学と中国劇の鑑賞がありました。兵馬俑は写真10に示すように、圧巻であり、多くの見学者が来ていました。中国劇はプロジェクションマッピングも駆使され、幻想的なものでした。また、バンケットは西安で有名な飲茶レストランで行われました。
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写真10 兵馬俑

次回の開催場所を議論するチーフデリゲート会議(ランチミーティング)は通常はチーフデリゲートだけの会議ですが、今回は4か国の欠席があったためか、これまで中国のチーフデリゲートを長年務められ、今回も名誉共同議長をされていた精華大学のZhou Zhaoying教授より創設者のMMCとして参加して欲しいとの依頼があり、参加させて頂きました(写真11:チーフデリゲート会議の様子)。イタリアのDario教授から、前回のMMS2018において候補の上がっていたルーマニアと新たにオーストラリアが候補として推薦され、議論の結果、次回はルーマニアのブカレストで、次々回はオーストラリア、その次はカナダで開催ということに決まりました。次回のMMS2020の開催月は例年通り5月に行い、オーガナイザーはNational Institute for R&D in Microtechnologies-IMT BucharestのAdrian Dinescu会長が務めることになりました。また、推奨テーマとして、気候変動に係るMEMS技術に決まりました。さらに、Dario教授より、テーマは毎回決めているが、各国のカントリーレビューでは様式が様々になっているので、様式を決めて発表しようとの提案もなされました。
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写真11 チーフデリゲート会議の様子

(MEMS協議会 国際交流担当 武田 宗久)


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2019年4月26日 (金)

「MEMS Engineer Forum 2019(MEF2019)」に出展しました

 IoT, センサネットワーク、Industries 4.0、Society 5.0など21世紀のキーテクノロジーであるMEMS技術の現状及び10年後までをエンジニアを中心に議論する国際会議である「MEMS Engineer Forum 2019」(MEF2019)は4月24日、25日、秋葉原のマイクロマシンセンター事務所からもほど近い、両国KFCホールにて、盛況に開催されました。マイクロマシンセンター(MMC)はこのフォーラムに、MNOIC事業を紹介するポスター展示を行いましたので、簡単に報告いたします。
 本フォーラムは、2009年3月の初開催以降、MEF2019で第11回を迎え、実行委員会委員長は10年間勤めていた東北大学の桑野博喜先生から、同じ東北大の田中秀治教授へ交代されました。また同時に副委員長も日立ハイテクノロジーズの野副真理氏と東京大学の三宅亮教授に世代交代がなされましたが、MEMSの世界で成功した人たちが展開する熱い議論の場という会議の性格には変更がありません。MEF2019の主な講演として、国立研究開発法人理化学研究所理事の小寺秀俊先生や、筆者にはBEANSプロジェクト時代の細胞ビーズの研究が懐かしい東京大学生産技術研究所准教授の松永行子氏からバイオMEMSに関するものがありました。一方産業界からは、現在最大の事業量と同時に高成長しているBAW(bulk acoustic wave)フィルタのQorvo社やMEMS業界の巨人のRobert Bosch社からの講演に加え、日本からは当協議会メンバー企業のTDK、ローム、村田製作所などから講演があり、MEMSにかかわる上流の技術から下流のビジネスまでの話題で例年以上に盛り上がりました。
 ポスター展示はKFC HALL ホワイエと、KFC HALL Annexの2か所に分かれて開催され、国内外35機関から出展がありました。質の高い参加者層が多いため、実ビジネスの場として有益であり、MNOIC( MicroNano Open Innovation Center)の活動について、提供できる技術についての詳細な質問を受けました。今後も、わが国の産業競争力強化につながる活動を継続してまいります。

2019mef 写真1 技術展示

                  (MEMS協議会 渡辺 秀明)

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2019年4月23日 (火)

2019年4月の経済報告

マイクロマシンセンターでは、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。
今月号【2019年4月の経済報告】をお届けします。
業務の参考として頂ければ幸いです。  
以下よりPDFをご参照下さい。
 
   「2019_04.pdf」をダウンロード

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2019年4月18日 (木)

マイクロマシンセンター 平成31年度事業計画について

 平成31年度事業において一般財団法人マイクロマシンセンターは、政府が推進するコネクテッド・インダストリーズによるSociety5.0の実現に不可欠なマイクロマシン/MEMS分野及びスマートセンシング分野(以下、「マイクロマシン/MEMS分野等」という。)の一層の発展を支援するため、非営利セクターとしての利点を生かしながら、以下のとおり、基盤技術の研究開発、事業環境整備及び普及促進のための取組みを一層強化していきます。

1. MEMS協議会事業では、まず、MEMS分野におけるオープンイノベーション実践の我が国最大の拠点となったMNOIC(マイクロナノオープンイノベーションセンター)について、広範なユーザーからの多様な要望に応えていくことを目指して、更なる体制整備や活動強化に努めます。
 また、スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会においては、これまで実施してきたWG活動から、複数のナショナルプロジェクトが生まれるなど、一定の成果を上げてきましたが、本年度も引き続き、微小量センシングや医療MEMSをはじめとする各WG活動を強化し、産業技術力強化のためのプロジェクト提案を目指して研究会活動を推進します。

2. 我が国マイクロマシン/MEMS分野等のイノベーション創出に寄与し、コネクテッド・インダストリーズの推進に貢献すべく、本年度も、以下のようなNEDOが主導する先端技術に係る研究開発プロジェクトの推進に参加します。
 (1) 学習型スマートセンシングシステム(LbSS)の研究開発
   平成28~32年度
 (2) 革新的ロボット要素技術開発共同実施事業
   平成30~31年度

3. その他、マイクロマシン/MEMS分野等の国内外の技術動向や産業動向の調査をはじめとする調査研究、会場・会期等を大幅に刷新したMEMSセンシング&ネットワークシステム展の開催なども含めた内外関係機関との交流・協力、標準化の推進など、これまで当センターが推進してきた諸活動も引き続き拡充強化しつつ実施していきます。また、これらの活動の広報や成果発信のために、インターネット上でのホームページ、ブログ、電子版月例ニュース(MICRONANO Monthly)及びMEMSデータベースの公開など、多様な媒体を活用した情報発信・情報公開に努めます。

 

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2019年3月11日 (月)

「微細加工ナノプラットフォームコンソーシアム シンポジウム」でMNOICの 展示報告

 文部科学省の委託事業である微細加工プラットフォームは、大学等の施設の共用と蓄積された知による研究開発の推進と課題解決支援を目的として、2012年開始以来、この3月には7年を経過しました。この微細加工ナノプラットフォームについてのシンポジウムが本年3月8日(金)、東京大学 浅野キャンパス 武田先端知ビル武田ホールにて開催されました。ここ数年、本シンポジウムにMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター)の概要とサービスの内容についてポスター展示しておりますが、本年のシンポジウムの内容についてご報告します。

 この微細加工ナノプラットフォームシンポジウムは、最先端のナノテクノロジーの研究開発動向と、微細加工ナノプラットフォームを活用し産学官の緊密な協力の下で生まれた技術開発の成功事例、ならびに現在開発を進めている企業の生の声などを紹介するものです。

 冒頭、本プラットフォームコンソーシアムの16実施機関を代表して、国立研究開発法人理化学研究所理事の小寺秀俊先生(写真1)から、若手の研究者が本プラットフォームを利用することで、様々なイノベーションの創出が可能となったこと、一方で、日本海側にプラットフォームの拠点がないことが課題と報告されました。

写真1 小寺先生の挨拶

 そして、文部科学省研究振興局参事官齋藤康志氏の来賓挨拶の後、進行役に東京都市大の藤田博之先生(写真2)という豪華な顔ぶれで、基調講演として「ナノハブ拠点でつくるオンチップバイオテクノロジー」と題し、東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻教授 鷲津正夫先生(写真3)から、マイクロデバイスを用いた細胞融合に関する報告があり、細胞核よりも小さいマイクロオリフィスを有するマイクロデバイスを用いることにより,細胞核の混合が起こらないことなどが示されました。

写真2 進行役の藤田先生


写真3 鷲津先生の講演

 続いて特別講演として、「次世代に向けた医療機器戦略」について、シスメックス株式会社 技術開発本部 上席主任研究員 角田正也氏の講演がありました。京大が得意とするバイオ系分野のマイクロ流路作製などの京大プラットフォームを利用して、独自のリキッドバイオプシー技術や全自動免疫測定システムについての紹介でしたが、その肝となるデバイス部分についての詳しい説明はありませんでした。

 休憩後、微細加工ナノプラットフォームの利用事例として、「可変メタサーフェスを利用した光位相変調素子」東京農工大学岩見健太郎准教授、「循環腫瘍細胞の誘電特性測定用デバイスの開発」呉工業高等専門学校江口正徳助教、「容量型MEMS水素センサ向けPdCuSi感応膜開発」株式会社東芝の林裕美研究主務、「広帯域波長掃引パルス量子カスケードレーザの開発」浜松ホトニクス株式会社の杉山厚志氏から4講演があり、最後のセッションとして、実施機関の京大から「バイオ系分野への支援力強化の取り組み」と、北大から「原子層堆積装置(ALD)による支援技術)についての紹介がありました。

 講演会終了後は、ポスターセッションと意見交換会が武田ホールホワイエで開かれました(写真4)。ポスター展示には、微細加工ナノプラットフォームコンソーシアム16機関に加え、協賛機関、協力機関もセッションに参加し、各機関の特色に重きを置いた説明が各所で行われました。MNOICは、微細加工ナノプラットフォームで開発された成果の試作ファンドリーや技術移転先の一つとして期待されており、本コンソーシアムとの連携をさらに強化していきます。こうして、研究開発から商品開発までのリードタイムを短縮し、我が国の産業競争力強化と次代を担う人材の育成につながる活動を継続してまいります。


写真4 MNOICのポスター展示

(MEMS協議会 渡辺 秀明)

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2019年3月 5日 (火)

IEC/TC47/WG6,WG7国際標準化アドホック会議の報告

 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)/WG6,WG7国際標準化アドホック会議が、2月27日から3月1日の日程で中国・深センにて開催され、WG7(エネルギーハーベスタ、エネルギー変換・伝送分野)会議に参加しました。

 WG7会議では、19名(日本4、韓国4、中国10、ドイツ1)が出席し、主査から各審議中案件(韓国6件、日本1件)の進捗状況説明がなされ、活発な意見交換が行われました。日本からの出席者は、WG7の3人の主査の1人である東京大学鈴木雄二教授、兵庫県立大学藤田孝之准教授、産総研山本淳グループ長、マイクロマシンセンターから大中道(本ブログ執筆者)の4名です。

 東京大学鈴木雄二教授からは、先生がプロジェクトリーダとして提案の「低消費電力電子機器向けの力学的環境発電デバイスの試験方法」が、現在、国際標準発行前の最終段階であるFDIS(Final Draft International Standard)提出済みである旨、報告がなされました。韓国提案の6件の審議中規格案についても、各国出席者間で活発な議論が行われました。

 今後提案予定のFuture workとしては、‟Vibration energy harvesters for arm swing motion”というタイトルで、低周波・大振幅の振動発電である、人間の歩行時腕振りによる振動発電の試験方法標準化を計画(2020年中提案予定)していることが報告されました。また、産総研山本淳グループ長からは、‟Thermoelectric-related energy harvester”というタイトルでの熱電発電の試験方法標準化について、提案前準備状況の報告がなされました。WG7では、前回会議までに韓国から紹介済みの‟Hybrid energy harvester”と合わせ、3件がFuture workとして報告済みとなっております。


IEC/TC47/WG7国際標準化アドホック会議@深センの様子

 このアドホック会議は毎年日韓中で持ち回り開催している会議で、今年は中国の主催でした。会議期間中には、ホスト国中国の招待で、各国のメンバーが一同に会したディナーが催され、各国の親交を深め、引き続き国際標準化活動における相互協力を誓い合いました。次回は、アドホック会議としては、ホスト国日本で、2020年2月23日~25日に奈良で開催予定です。また、各国との次回の議論の場は、IECの全体会議(中国・上海)となり、WG7は2019年10月17日に会議が開催されます。

 WG7が扱うエネルギーハーベスタの分野はIoTのキー技術であり、日本から、本分野での有効な規格案を国際標準として発信すべく、引き続き、各国との密な議論・連携を行いながら、規格提案・審議活動に参画していきたいと思います。
調査研究・標準部長 大中道 崇浩

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2019年2月25日 (月)

第7回海外調査報告会を盛況に開催

 第7回MEMS協議会海外調査報告会を2月25日(月)に新テクノサロンで開催し、約40名の方にご参加頂きました(写真1)。このイベントはマイクロマシンセンター/MEMS協議会(MIF)が行っているMEMS関連の海外調査及び国際標準化の最新状況について国際交流事業の一環として報告するものです。今回は以下の5件の報告を行いました。
1.「海外MEMS関連研究開発動向調査」(武田宗久)
2.「IoT社会に向けたセンサ動向調査とMEMS産業動向」(今本浩史)
3.「国際マイクロマシンサミット2018報告」(三原孝士)
4.「MEMS関連の国際会議報告(MEMS2019)」(野田大二)
5.「MEMS国際会議報告(APCOT2018)とMEMS国際標準化に関する活動状況報告」(大中道崇浩)
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  写真1 会場の様子
 MEMS協議会事務局長・長谷川英一からの主催者挨拶(写真2)のあと、最初の報告は「海外MEMS関連研究開発動向調査」と題してMEMS協議会の国際交流担当の武田宗久から、欧州、米国、中国の研究機関、大学、ベンチャー等を訪問し、調査した最新の研究開発動向に関して、欧州研究機関(ドイツのFraunhofer ENAS(Institute for Electro Nano Systems)及びフィンランドのVTT)の研究開発動向、IoTを支える基盤技術の動向、健康・医療分野の動向、自動運転分野の動向、ロボット分野の動向、製造分野の動向に分類して報告しました(写真3)。MEMSの第三の波のアプリであるIoT、健康・医療、自動運転、ロボット関連のMEMS製品の開発が世界で活発に行われている状況が把握できるとともに、ピコセンシング技術がキーとなる製品が多々存在することが分かりました。
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写真2 長谷川専務理事の挨拶
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写真3 武田からのプレゼンの様子
 続いて、「IoT社会に向けたセンサ動向調査とMEMS産業動向」と題して、技術研究組合NMEMS技術研究機構及び一般財団法人マイクロマシンセンターの今本浩史から報告がありました(写真4)。米国MEMS & Sensors Industry Group主催で、2018年10月28日~10月30日の間、米国カリフォルニア州ナパにて開催されましたMEMS & Sensors Executive Congress US 2018(MSEC2018)におけるMEMS&センサの動向調査の結果及びマイクロマシンセンターの産業動向調査委員会の取り組みとして実施しています「IoT社会に向けたセンサ技術動向とMEMS産業動向」の内容について報告がありました。MSECの参加者は減少の傾向にあるようでしたが、MEMSに関係する企業(デバイスメーカ、装置メーカ、センサ利用メーカなど)のExecutiveが中心となってビジネスに関する意見交換が活発に行われていたようです。また、今年の会議ではマシンラーニングがキーワードとして多かったようでした。
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写真4 今本氏からの報告の様子
 次は「国際マイクロマシンサミット2018報告」と題してMEMS協議会の三原孝士氏が報告しました(写真5)。2018年の第24回「国際マイクロマシンサミット」は5月14日(月)から16日(水)までアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されました。農業や畜産大国のアルゼンチンらしくテーマは”Agro-food & Environment. Other related applications and results from new and highly relevant R&D actions”でした。今回のオーガナイザは、アルゼンチンArgentinean Nanotechnology FoundationのDaniel O. Lupi所長でした。今回は立地的な理由もあって参加者が少なく、13の地域から31名のデリゲイトが参加されました。日本からは今年度から団長が東京大学の下山勲教授から伊藤寿浩教授に変更になり、後マイクロマシンセンターの国際交流担当として三原と合わせて2名が出席しました。一日目は各国の現状を報告するカントリーレビューで、各国の産業&技術政策状況、特に農業や畜産におけるマイクロシステムやセンサに関する話題提供があり、日本からも現在進行中のMEMSやIoTに関する国家プロジェクトの紹介と共に、今回のMMサミットのテーマにマッチした養鶏や畜産でのセンサIoTを使ったセンサシステムの研究状況を、伊藤団長から話題提供をされました。二日目は、個別話題の講演会で、16件の発表と農業や畜産におけるセンサやIoTの取り組みを議論するラウンドテーブルがありました。日本からの発表は昨年に引き続き国際標準化の重要性と各国の参加を呼び掛ける内容でした。2019年のサミットは中国の西安で5月6日から5月10日に開催されます。
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写真5 三原氏からの報告の様子
 続いて「MEMS関連の国際会議報告-国際会議 MEMS 2019 報告」とのタイトルでMNOICの野田大二氏から2019年1月28日から31日の4日間、韓国ソウルで開催されましたMEMS2019の報告がありました(写真6)。MEMS2019の議長は韓国KAISTのJun-Bo Yoon教授と日本の東京大学竹内昌治教授で、(一財)マイクロマシンセンターもブロンズスポンサーとして支援を行いました。MEMS 2019では投稿論文数677件、採択論文数281件、採択率は41%との紹介があり、その採択論文の内訳は、口頭発表が76件、ポスター発表が205件となっていました。この他にオープンポスターとして61件が選ばれていました。採択論文著者の所属国別件数順位は、1位中国、2位米国、3位日本、4位韓国、5位台湾、以下スエーデン、ドイツ、フランスとなっており、アジアでの開催のためか、全体の約7割がアジアからの発表で占められていました。投稿論文のカテゴリとしてはバイオ、医療関連への投稿が増えてきているようでした。次回はカナダのバンクーバーにて2020年1月に開催予定です。
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写真6 野田氏からの報告の様子
 最後にMEMS協議会・標準部の大中道崇浩から「MEMS国際会議報告(APCOT2018)とMEMS国際標準化に関する活動状況報告」と題して報告がありました(写真7)。先ずは2018年 6月24日~27日 香港・香港科技大学で開催されました隔年開催の Transducer 技術に関する国際会議であるAsia-Pacific Conference of Transducers and Micro-Nano Technology(APCOT2018)の報告がありました。マイクロマシンセンターでは、「国内外技術動向調査」という取り組みとして、MEMS分野の著名な国際会議等をターゲットにした定点観測的な調査を例年行っており、本国際会議はその調査の対象学会です。国内外技術動向調査は、有識者から成る委員によって分析を行い例年報告書として発行しますが、今回は事務局として学会に参加し、今後の調査報告書の作成により具体的・現実的な側面で支援可能と思います。また、合わせて「MEMS国際標準化に関する活動状況」の報告が同じく大中道崇浩からありました。MEMS国際標準化はIEC(国際電気標準会議)で進められており、日本はMEMS分野を担当する分科委員会SC47Fの幹事国として主導的に推進しています。IECの全体会議は毎年開催され、2018年は10月15日~19日に韓国の釜山で開催されました。また、アドホック会議は2018年6月6日~8日にアメリカ・ハワイのホノルルで開催され、現在審議中の規格案について主査から報告の後、意見交換が実施されました。
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写真7 大中道氏からの報告の様子
  MEMS協議会の会員サービスとして始めた本海外調査報告会も7回を数えるほど、長期間継続しています。本会へのご参加はリピータが多いことも特徴で、会員交流の側面も有しています。海外の状況はインターネット等で公開されているとは言っても、中々生の情報や、専門化の印象&感想を聞ける機会は少ないのが現実です。今回もSPPテクノロジーの神永様に貴重なコメント(写真8)や、報告会の後に行った会員交流会(写真9)でIoTの最新状況や日本の課題を議論することが出来ました。最後のこの場を借りまして、今後のMEMS協議会への積極的なご参加を引き続きお願いしたいと思います。
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写真8 神永氏のコメントの様子
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写真9 意見交換会の様子
(MEMS協議会 国際交流担当 武田 宗久)

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2019年2月21日 (木)

【2019年2月の経済報告】 

本項は、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

                             

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今回は20192月の経済報告をお届けします。

業務の参考として頂ければ幸いです。  

 内容は、以下のPDFをご参照下さい。

 「2019.02.pdf」をダウンロード

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2019年2月13日 (水)

第37回マイクロナノ先端技術交流会開催報告

 平成31年2月12日(火)の午後、マイクロマシンセンター新テクノサロンで第37回マイクロナノ先端技術交流会を開催しました。

 今回の先端技術交流会は「IoT社会に向けた、薄型・低コストのセンサ、および無線給電技術の最前線」をテーマとして、産業技術総合研究所人間拡張研究センター副研究センター長、兼フレキシブルエレクトロニクス研究センター副研究センター長の牛島洋史先生からは「Human Augmentationを目指した、フレキシブルデバイスの製造技術とそのビジネス展開」と題して、そして、東京大学 大学院 情報理工系研究科 准教授、兼ERATO川原万有情報網プロジェクト 研究統括の川原圭博先生からは「ヒューマンファクターを考慮したワイヤレス給電とスマートセンシング」と題してご講演をいただきました。


講演の様子

 最初の牛島先生からは、フレキシブルエレクトロニクスの今後の期待についてお話され、折りたためるスマートフォンの実用化も近い将来あるように感じました。そして、その重要な技術として、各種印刷法の特徴の紹介と併せて、高精細、線幅500nmの最新の印刷方法をご紹介いただきました。

 フレキシブルデバイスを用いたアプリケーションとして、床に貼り付けることによる人の行動計測やベッドに貼り付けて床擦れを検知するシステムなど人の動きをみるシステムを紹介いただきました。また、カーボンナノチューブを用いた薄型大面積フレキシブルの熱電変換デバイスによって、ウェアラブルセンサなどの薄型IoTセンサ端末用の電源の紹介をいただきました。

 また、ウェアラブルデバイスの歴史を紐解き、従来の薄く・軽く装着し易いデバイスから、身に着けることで体温、脈拍等の着用者の情報を取得するデバイスへと進化してきており、今後は例えば、運動による発熱や発汗などを検知し、必要な部位を必要な量だけ加温・冷却・加圧・除圧していくといった、センシングデータに基づきデバイスをアクティブに制御するようになると予測されていました。 


産業技術総合研究所 牛島先生
       
 次に、東京大学の川原先生から、川原先生が研究統括をされているERATO川原万有情報網プロジェクトについて紹介いただきました。ここでは、「まるで空気や水が私たちを生かしてくれているように、知的なデジタルデバイスがどこまでも自然な存在として、私たちの生活に寄り添い、欠かせないモノになっている世界」に向けて、普段の身の回りの環境に溶け込むようなデバイスに関する技術やその応用研究に数多くのテーマを取り組まれています。
今回は、自立型IoT端末のエネルギーの一方法である無線給電を中心にご講演いただきました。その中で、先月(1月)にプレスリリースした切り取れるワイヤレス充電シートについて紹介いただきました。(https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP499279_X00C19A1000000/)  コンセントに繋がっているタイルは1枚だけで、タイル同士を動的に無線でエネルギーを送りあえるというものであり、普段は電磁波は出ていないけれど、負荷となるデバイスが置かれるとその位置を自動的に検出してパスができ充電できる様子を動画で説明していただきました。また、部屋の中でどこでも無線給電できるモデルも紹介いただき、3次元空間に置かれたIoT端末への無線給電も近い将来実用化できそうな感じを受けました。


東京大学 川原先生
           
 また、講演会後の懇親会では、ご講演いただいた先生方を囲んで、Human Factor応用技術やHuman Augmentationの話題を中心に遅くまで意見交換に盛り上がっていました。  
 


意見交換会の様子
      
(産学交流担当 今本 浩史)

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2019年2月 1日 (金)

国際会議 MEMS 2019 参加報告

 2019年1月28日から31日の4日間、韓国のソウルにて開催されましたMEMS関連の主要国際会議であるMEMS 2019に参加しました。(一財)マイクロマシンセンターもブロンズスポンサーとして支援を行いました。会場はソウル江南区にある韓国最大級のコンベンションセンター「Coex」にて開催されました(写真1、写真2)。地下1階はCoex Mallとなっており、ショッピングモール内にはシネマコンプレックスや水族館を備えた一大スポットになっていました。

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       写真1 会場外観(韓国・ソウル,Coex)

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           写真2 講演会場の様子

 近年のMEMS国際会議は毎回700名を超える参加者となっています。今回のMEMS 2019では投稿論文数677件、採択論文数281件、採択率は41%との紹介があり、その採択論文の内訳は、口頭発表が76件、ポスター発表が205件となっていました。この他にオープンポスターとして61件が選ばれていました。採択論文著者の所属国別件数順位は、1位中国、2位米国、3位日本、4位韓国、5位台湾、以下スエーデン、ドイツ、フランスとなっており、アジアでの開催のためか、全体の約7割がアジアからの発表で占められていました。投稿論文のカテゴリ別件数割合は表1に示す通りでした。この表からもバイオ、医療関連への投稿が増えてきていることがわかります。

          表1 投稿論文のカテゴリ別件数割合

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 プレナリー招待講演は1日1件の計4件あり、講演者とそのタイトルは以下の通りです。著名な研究者によるいずれの講演も大変興味深い内容でした。

・Prof. Kevin Kit Parker, Harvard University, USA

 Cardiomyocytes as high-power building blocks for bio-hybrid machines

・Prof. Stephanie P. Lacour, EPFL, SWITZERLAND

 Soft and wearable transducers: opportunities and challenges for daily use

・Prof. Isao Shimoyama, The University of Tokyo, JAPAN

 MEMS Sensors for Robots

・Dr. Chaedeok Lee, LG Electronics, KOREA

 SENSOR AS A SOLUTION: RECENT PROGRESS IN INTELLIGENT SENSORS DEVELOPMENT

 3日目となる1月30日の夜はバンケットが開催されました。会場はHan Riverにある「Floating Island」(写真3)で行われ、盛大な会となりました(写真4)。

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              写真3 バンケット会場

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            写真4 バンケット会場内の様子

 MEMS分野は材料、デバイス構造からその特性評価まで多岐にわたる技術領域を網羅しており、近年ではバイオ、医療、生体情報のセンシング、流体反応などへの広がりも多く見られており、こうした最新の論文発表により活発な議論がなされ、大変有意義な会議でした。また、学生のアワードではポスターと口頭の両方の発表があり、こうした講演の機会は若い研究者の励みとなり、若手研究者がどんどん活躍していくことを期待したいと思います。

 このMEMSの国際会議は1987年にアメリカで初めて開催され、1991年に日本で開催されて以降、アジア、ヨーロッパ、北米の順で毎年開催されています。次回はカナダのバンクーバーにて2020年1月に開催予定です。

                               (MNOIC 野田大二)

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