2020年1月 6日 (月)

新年のご挨拶(MMC/NMEMS 2019年10大ニュース)

 新年あけましておめでとうございます。

 本年の世界情勢としましては、米中貿易摩擦、英国のEU離脱、中東情勢等の不確実性が残ってはいますが、国内では令和の代を迎え、東京2020オリンピックによる経済効果が期待されています。オリンピックを支える技術としては、「AI」、「4K」、「5G」を核にして、「スマートホスピタリティ」、「次世代都市交通システム」、「新・超臨場感映像システム」等の開発が積極的に行われています。

 マイクロマシンセンターは、これら新技術に不可欠なスマートセンサを支えるマイクロマシン・MEMSなどのナノマイクロ分野に係る基盤技術の確立を図るべく産官学の力を結集し、国やNEDO主導の技術研究開発プロジェクトを推進しています。最近では、今後期待される人間の五感を補うセンサとして、人間がとらえられない物理量や化学量を捉えるセンサが重要との観点から、革新センシング基盤技術の研究開発に注力し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から2019年の10大ニュースの1番目に記載の2つのテーマを受託し、研究開発に邁進しております。また、10大ニュースの2番目に記載のように、防衛装備庁から原子時計関連のプロジェクトを採択頂けました。

 さらに、これらの研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとしまして、2011年に開設しましたつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」を運営し、これまで企業・ベンチャー、国研・大学も含む100近い機関からの研究や工程の受託を行ってきており、現時点でもフル稼働の状況にあります。

 本年度は引き続き革新センシング技術の研究開発を進めるととともに、その基盤となるMEMS技術を社会が求めるSociety5.0のキー技術ととらえ、新たな技術開発やそれらの広報・普及に努めて参ります。MEMS技術の広報・普及活動の一環として、主催していますMEMSセンシング&ネットワークシステム展2020(https://www.optojapan.jp/mems/ja/)が1月29日から31日まで、東京ビッグサイト西ホールにてナノテック2020と同時開催されますので、多数のご来場をお待ちしています。

 当センターとしましては、本年もMEMS・スマートセンシング技術の開発や普及に真摯に取り組み、我が国のコネクテッド・インダストリーズの推進に微力ながらも貢献してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

 皆様方には以下の2019年の10大ニュースをご覧いただき、このような私どもの活動状況をご賢察いただければ幸いです。

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MMC/NMEMS 2019年 10大ニュース
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1.NEDO事業「IoT社会実現のための超微小量センシング技術開発」に BaMBI、SNIF の 2件が採択される
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2019年度新規委託事業「IoT社会実現のための超微小量センシング技術開発」の採択4テーマのうち、マイクロマシンセンター等が提案した「血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイス及び行動変容促進システムの研究開発(BaMBI)」とNMEMS技術研究機構等が提案した「薄膜ナノ増強蛍光による経皮ガス成分の超高感度バイオ計測端末の開発(SNIF)」の2テーマが入り、それぞれ、6月及び7月から本格的な研究開発をスタートしました。
    BaMBI :  http://mirai.la.coocan.jp/bambi/
    SNIF:   http://nmems.or.jp/snif/

2.防衛装備庁安全保障技術研究推進制度に「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)」が採択される
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業において実施致しました「センサ端末同期用原子時計(ULPAC:Ultra-Low Power Atomic Clock)の研究開発」をさらに発展させ、より高安定な原子時計を実現するための基礎研究を実施するため、防衛装備庁安全保障技術研究推進制度に応募していました「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC)」が2019年12月24日に採択決定されました。

3.MMC/NMEMSが受託した研究開発 5 プロジェクト(RIMS、ULPAC、UCoMS、SSI、AIRs)が目標を達成し終了
 MMC/NMEMSが受託していた研究開発 5 プロジェクトが各々目標を達成し、2019年2月、3月に終了しました。

① 道路インフラ状態モニタリング用センサシステムの研究開発(RIMS)
 本技術開発プロジェクトは、NMEMSが実施主体となり、NEDOから業務委託を受け研究開発を5年間実施したものです。
高速道路の橋梁,道路付帯物,法面を対象にして,環境エネルギーを利用した自立電源を有し,モニタリングに適した新規の小型,安価,高性能,高耐久性の無線センサ端末を開発すると共に、センシングシステムを統合した道路インフラのトータルな維持管理が可能な道路インフラモニタリングシステムを開発し、実際の高速道路での実証を進め成果を上げました。
 また、これらモニタリング技術の長大橋や発電所等の大規模インフラへの展開も検討しました。
 本プロジェクトは、2019年3月、目標を達成し終了しました。

②  センサ端末同期用原子時計の研究開発(ULPAC)
 本研究は、センサ端末間の衛星利用や有線による時刻同期を不要とすることで誰もが容易に無線センサネットワークを構築できることを目指して、2015年度よりRIMSの中の先導研究という位置づけで始まりました。
 センサ端末に実装可能なサイズや消費電力の原子時計が実現可能かを探求し、開発した原子時計プロトタイプは、移動体通信基地局などで使われている小型原子時計と同等以上の時刻精度を二桁小さな消費電力で実現し、屋外での連続稼働実験などで、その性能を実証しています。
 本プロジェクトは2019年3月に終了しましたが、センサ端末に搭載するには、さらなる精度や安定度等が必要なため、その実現を目指して新しいプロジェクトとして挑戦していきます。(➡上記の2.参照)

③ ライフラインコアモニタリングシステムの研究開発(UCoMS)
 本プロジェクトでは、振動発電によるセンシング方式と低消費電力(10年間電池交換不要な)マルチホップ無線通信により、従来のシステムに比べ導入コストを格段に低く抑え、かつ監視ポイントの増減などの現場状況の変化への柔軟な対応を可能とする振動のモニタリングシステム及び異常振動固有の周波数情報だけを収集するP型(ペットボトルキヤップサイズ)端末の開発を行いました。
 モニタリングシステムによる異常検知の検証と長期安定性・耐久性について実証を進め、2019年3月プロジェクトは成果を上げ終了しました。
 開発したシステム、端末につきましては、担当した企業により実用化・製品化の検討が進められています。

④ スマートセンシング・インタフェースの国際標準化(SSI)
 2016年度から3年間、経済産業省からの受託事業として国際標準化を進めてきましたが、目標としていた、端末モジュールからスマートセンサを制御する方式に関する規格案1件と、スマートセンサと自立電源モジュールの特性表示方法に関する規格案1件の開発を完了し、IEC(国際電気標準会議)に提案しました。
 MMC自主事業として、IECでの規格成立に向け、引き続き審議フォローアップを推進しています。(➡後述の5.参照)

⑤ 空間移動時のAI融合高精度物体認識システムの研究開発(AIRs)
 本先導研究は、2017年度のNEDO委託事業「次世代人工知能・ロボット中核技術開発/次世代人工知能技術分野(先導研究)」から2018年度「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」/空間の移動分野(先導研究)」へと移行して実施した2年間の研究開発です。
 革新センサとしての要素技術や可視赤外光による次世代認識アルゴリズムなど、先導研究としてのすべての目標を達成し、2019年2月に研究開発を完了しました。

4.MNOIC事業が引き続き好調に推移し、MEMS産業裾野拡大に貢献
 研究開発を支えるMEMS試作ファンドリとして、2011年に開設したつくばの「マイクロナノオープンイノベーションセンター(MNOIC)」も今や中小・ベンチャーを含む90社以上から、1100件を超えるご利用があり、フル稼働の状況にあります。さらに設備整備や技術向上に努めて、我が国のMEMS開発需要に応えていきます。

5.国際標準「スマートセンサの制御方式」の発行等、国際標準化事業を活発に実施
 6月12~14日、中国・蘇州にて開催されたIEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)/SC47E(個別半導体デバイス)WG1(半導体センサ)、WG2(半導体高周波デバイス)& SC47F(MEMS)の国際標準化WG会議に出席、また、10月14~18日、中国・上海IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)の国際標準化全体会議に出席する等、活発に国際標準化事業を推進しており、11月に国際標準「スマートセンサの制御方式」が発行するなどの成果を上げています。

6.「学習型スマートセンシングシステムの研究開発(LbSS)」が成果を上げつつ、実証実験段階に移行
 2016年度に受託したNEDO「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト/超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究開発(LbSS)」が4年目を迎え、LbSS研究等の成果である「未利用環境振動でIoT センサを駆動するMEMS エナジーハーベスタ」が2019年度先端技術大賞の「経済産業大臣賞」を受賞する等、着実に成果を上げています。
 2019年度は、実証実験段階に移行し、実用化・事業化を目指した実証実験を行っています。

7.SSN(スマートセンシング&ネットワーク)研究会のワーキンググループが範囲を拡大し、国プロ等採択の成果に繋がる
 2015年にMEMS協議会傘下に発足したSNS研究会では、これまでもいくつかのワーキンググループ(GP)で研究開発プロジェクトの提案をまとめ、国プロ等の採択につなげてきました。
 2019年には、前述1.で採択されたBaMBIがWG8の成果として、また同じくSNIFがWG7の成果としてスタートしました。また、前述2.のHS-ULPACは、以前ULPACをスタートさせたWG3を再開して検討を継続してきたことの成果として採択されたものです。
 その他にも、WG5の「医療MEMS研究会」は引き続き国プロ等につなげるべく活動を展
開中であるなど、この先もSSN-WG活動をさらに活発化していきます。
  
8.MEMS協議会の産業交流活動の一環である「マイクロナノ先端技術交流会」及び「MEMS講習会」が活況を呈する
 マイクロマシンセンターMEMS協議会では、産業交流活動の一環として「マイクロナノ先端技術交流会」及び「MEMS講習会」を開催しております。
 2019年は、MEMS講習会2回(2月、9月)、先端技術交流会2回(2月、9月)を開催し、多くの方々のご参加を頂き、活発な意見交換が行われました。
 MEMS講習会:  http://fsic.nanomicro.biz/seminar/
 先端技術交流会: http://www.mmc.or.jp/business/kouryuukai/

9.国際マイクロマシンサミット(西安)での議論をリードするなど国際交流活動にも注力
 マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジー技術に関する課題や展望につき意見交換する場あり、当センターのイニシアチブで1995年から開催されています。
 2019年はその第25回として、中国西安で5月6日(月)~ 9日(木)に開催され、世界22の地域から64名のデリゲートの登録がありました。
トピックスは”Intelligent Manufacturing: Start from micromachine on a chip”で、会議を通して各国のマイクロマシン/ナノテクノロジー技術を俯瞰することができました。(国際マイクロマシンサミットでの収集資料の一部はMMC賛助会員専用ページから閲覧可となっています。)
 その他にも、国内外のイベントの機会などに、当センターのアフィリエート団体や研究者などとの交流を積極的に行っています。

10.「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」、より高いシナジーを求め「nano tech」との同時開催に刷新
 2019年度の「MEMSセンシング&ネットワークシステム2020」は2020年1月29日-31日東京ビッグサイト (西2ホール及び会議棟)での開催となります。
 昨年、一昨年と「CEATEC」との同時開催としてきましたが、今年度は「nanotech」との同時開催とし、マイクロマシン/ナノテクノロジー技術を一堂にご覧いただける展示会としています。
 また、「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」同時開催セミナーも充実した内容を準備しています。
 皆様のご来場をお待ちしております。

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2019年12月26日 (木)

MEMS協議会 2019年度MEMS懇話会開催(2019年12月26日)

 一般財団法人マイクロマシンセンター・MEMS協議会はMEMSを中心とした我国の産業競争力の強化を目的に、「MEMS懇話会」として、MEMS協議会正メンバーの委員と経済産業省など行政側との情報交換や意見交換を毎年年末に実施しています。2019年度MEMS懇話会は、会場を霞が関ビル35階の東海大学校友会館に移し、12月26日にマイクロマシン・MEMS分野に係る今後の課題について意見交換を行いました(写真1)。

 最初に山中康司会長(デンソー代表取締役副社長)による主催者挨拶があり、MEMS協議会の「スマートセンシング&ネットワーク研究会(SSN研究会)」から提案した、超微小量センシング技術開発に関する2テーマがNEDOのプロジェクトに採択され、順調に研究を進めていることなどが紹介されました。その後、経済産業省産業機械課長玉井優子氏から最近の経済、産業動向として、「令和2年度(2020年度)税制改正と経済産業省関係当初予算案のポイント」についてと今里和之技術振興・大学連携推進課長から、「イノベーションマネジメント」と題し、日本企業のイノベーション力の現状と価値創造マネジメントに関する行動指針についての紹介がありました(写真2)。

 続いて長谷川MEMS協議会事務局長 から、産業・研究開発動向で日本のMEMSセンサ市場規模として、1,400億円であることなどが紹介され、経済産業省、NEDO,産総研との意見交換が始まりました。今年度のテーマは「「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)の達成に向けた、自社のMEMSに対する取組みと、行政・国研への要望について」であり、SDGsに向けた製品・サービス実現のために、MEMS技術はキーデバイスや差別化機能に大きく関わっていることなどが発表され、それを受けて、経済省、NEDO、産総研から、イノベーションを成功させるためには結局人材育成が鍵となることなどのコメントが出されました。懇話会に引き続き、参加メンバー間の懇親会を開き、会員相互の懇親を深め、イノベーションエコシステムなどで深い議論がなされました(写真3)。

Photo1_20200109182401 写真1 MEMS懇話会 

Photo2_20200109182401 写真2 玉井産業機械課長(左)と今里技術振興・大学連携推進課長(右)による経済・政策動向説明


Photo3_20200109182401写真3 MEMS懇話会懇親会

(MEMS協議会 渡辺秀明)

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2019年12月23日 (月)

マイクロマシン/MEMS分野関連【2019年12月の経済報告】

マイクロマシンセンターでは、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く
経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。
今月号、マイクロマシン/MEMS分野関連【2019年12月の経済報告】をお届けします。
業務の参考として頂ければ幸いです。  
以下アドレスよりPDFをご参照下さい。

   2019年12月号(「2019_12.pdf」)をダウンロード
    (http://mmc.or.jp/info/monthly/economic_report/2019_12.pdf

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2019年12月18日 (水)

第36回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム参加報告(11月19日-21日)

 第36回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウムが、2019年11月19日から21日までの3日間にわたって静岡県浜松市のアクトシティ浜松で開催され、マイクロマシンセンターが技術展示に出展してきましたのでここにご報告いたします。

 本シンポジウムは、一般社団法人電気学会E部門の主催で行われる、当該分野における日本最大級の学術シンポジウムで、日本機械学会マイクロ・ナノ工学部門主催の「マイクロ・ナノ工学シンポジウム」、応用物理学会集積化MEMS技術研究会主催の「集積化MEMSシンポジウム」、化学とマイクロ・ナノシステム学会主催の研究会と、また一般社団法人エレクトロニクス実装学会連携セッションとの同時開催により、”Future Technologies from HAMAMATSU” の一環として開催されました。発表件数は、本シンポジウムの263件を始め、全体で582件を数え、高機能の物理・化学・イメージセンサデバイス、トランスデューサ、エネルギーハーベスタ、最先端パッケージング技術などの注目すべき発表が行われ、1,000名を超える参加者による熱心な技術交流が行われました。

 今回、マイクロマシンセンターは、本シンポジウムの技術展示コーナーにおいて、センサネットワークシステム用基盤技術としてのパッケージング技術の研究開発成果とMEMS研究開発支援サービスについて出展いたしました。

(1)インフラモニタリングセンサネットワークシステム用パッケージング技術
マイクロマシンセンターのマイクロナノ・オープンイノベーションセンター (MNOIC)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) 殿から技術研究組合NMEMS技術研究機構が受託した国家プロジェクト「道路インフラ状態モニタリング用センサシステム (RIMS) 研究開発」に参画して、インフラモニタリング用無線センサ端末の高耐久性パッケージング技術を開発しました。試作開発品として、屋外の過酷な環境での長年月の使用に耐える耐候性に優れた透光性セラミックスと特殊グレードのポリカーボネート樹脂材料からなる2種類のパッケージと高気密性封止センサ端末を出展し、センサデバイスの実装評価に携わる多くの研究機関や開発メーカーの方々にご興味を持っていただきました。本技術は主として物理・光・電磁センサの実装に役立つ基盤技術で、原理検証から実証評価までの各段階でお役に立てるものと考えております。

(2)MEMS研究開発試作支援サービス
マイクロマシンセンターの主要事業のひとつであるMNOICが担当するMEMS研究開発試作支援サービスの活動状況を展示いたしました。本事業は国立研究開発法人産業技術総合研究所殿 (茨城県つくば市) の8/12インチ対応MEMS研究開発拠点を利用して展開する事業で、2011年の創設以来400件を超える試作契約実績をいただいており、研究開発初期段階から製品開発に至る幅広い試作開発をサポートしております。技術展示では、MEMS研究開発拠点の8/12インチMEMSラインと、触覚センサ、圧電型振動センサ、マイクロ流路などのMEMSデバイスの試作例をご紹介いたしました。前項でご紹介したパッケージング技術も含めて、MNOICでは試作開発のご希望を常時受け付けておりますので、私どもの窓口をご訪問下さるようお願い申し上げます。

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写真1 展示会場と説明風景

(MNOIC 原田 武)

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2019年11月27日 (水)

NEDO IoT横断技術開発プロジェクトの成果であるIoTエッジシステム(自立電源センサ/コンセントレータ)活用事例の講演とデモ展示の報告(2019.11.27)

 IoTワークショップ「センシング・エッジによるIoT革新的ビジネスの潮流」と題し、2019年度第1回産業・インフラ向けIoTデバイス・システムの進展と活用事例を、会津若松市のスマートシティAiCT交流棟で行いました。今回のワークショップでは、下記のプログラムの様に、IoTセンサシステム及びエッジ処理の高性能化技術を講演とデモ展示で紹介いたしました。会津地域のものづくり企業から成る会津産業ネットワークフォーラムの会員企業やスマートシティAiCTに入居しているICT企業他一般参加者と講演関係者の約60名が集まり、各テーマの成果ポスター、開発したセンサ・コンセントレータ等のデモにより、開発者と参加者の間で、システムの設置方法やユースケース等について活発な意見交換が行われました。開発者にとっても中小企業のIoT導入課題や会津若松市のスマートシティの取り組みの中でセンサ活用について直接話を聞ける良い機会になったと思います。2020年度のIoT横断技術開発プロジェクト終了まで、学習型スマートセンシングシステムは、工場の現場作業者だけで容易に設置し、あとは学習型コンセントレータが無線センサを自動制御して必要なデータだけを収集するシステムの完成を目指し、今後もユーザヒアリングや展示会(MEMSセンシング&ネットワークシステム展)・ワークショップでの成果展示を通じて、様々なユーザのユースケースを抽出してシステムソフトウェアへのフィードバックを進めます。


Pb270023
講演会場の様子
   
Pb270070
 パネル・デモ展示の様子

(プログラム)

【開会挨拶・来賓挨拶】

 ①NMEMS事務局 長谷川英一研究調整監 

 ②アクセンチュア㈱イノベーションセンター福島 中村彰二朗センター長

【セッション1 IoTセンサシステムの紹介①】

 超低消費電力データ収集システムの開発と実証実験

 (㈱デバイス&システム・プラットフォーム開発センター 開発第一部 勝村英則プロジェクトマネージャー)

 トリリオンノード・エンジンの開発と実証実験

 (東京大学大学院工学系研究科 桜井貴康上席研究員/東京大学名誉教授) 

【セッション2 IoTセンサシステムの紹介②】

 MEMS振動発電デバイスを用いたポンプ監視システム

 (高砂熱学工業㈱ 事業革新本部 イノベーションセンター 技術研究所 柴田克彦担当部長)

 学習型スマートセンシングシステムの開発と実証実験

 (東京都市大学総合研究所 藤田博之教授/東京大学名誉教授)

【Coffee break&デモ・パネル展示】

 セッション12及び()ナカヨIoTセンシングシステムの紹介

【セッション3 エッジ処理の高性能化技術】

 ソフトテンソルプロセッサによる超広範囲・高精度にセンシング

 可能なAlエッジ技術

 (会津大学コンピュータ理工学部 富岡洋一上級准教授)

【閉会挨拶】

 NEDO IoT推進部 遠藤勇徳 プロジェクトマネージャー

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2019年11月25日 (月)

マイクロマシン/MEMS分野関連【2019年11月の経済報告】

マイクロマシンセンターでは、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く
経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。
今月号、マイクロマシン/MEMS分野関連【2019年11月の経済報告】をお届けします。
業務の参考として頂ければ幸いです。  
以下アドレスよりPDFをご参照下さい。

   2019年11月号(「2019_11.pdf」)をダウンロード
    (http://mmc.or.jp/info/monthly/economic_report/2019_11.pdf

 

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2019年11月 7日 (木)

IEC/TC47国際標準化全体会議(2019年10月15~18日)参加報告

 IEC(国際電気標準会議)/TC47(半導体分野技術委員会)の国際標準化全体会議が、10月14~18日まで、中国・上海のShanghai EXPO Centre(上海世博中心)にて開催され、関連する10月15~18日の会議に参加しました。

Fig1_20191107160901

会場の外観写真

 10月15日には、TC47/SC47E/WG1会議(個別半導体、センサ分野)が開催され、現在審議中の規格案についての意見交換が行われました。
日本からは、2015~18年度に経産省の国際標準獲得・普及促進事業としてマイクロマシンセンターがとりまとめて取組みました「スマートセンシング・インタフェースに関する標準化」に関して、提案済み・審議中の2件(IEC60747-19-1「スマートセンサの制御方式」、IEC60747-19-2 TS(Technical Specification)「スマートセンサおよびスマートセンサを駆動する電源の特性表示方法」)について、プロジェクトリーダ(PL)の1人であるセイコーインスツル古田部長から、各国に状況説明が行われました。
 IEC60747-19-1「スマートセンサの制御方式」については、現在、国際標準発行直前まで到達しており、IECエディターからのエディトリアルな最終確認に対応中であることを報告しました。
 IEC60747-19-2 TS「スマートセンサおよびスマートセンサを駆動する電源の特性表示方法」については、CD(委員会原案、Committee Draft)投票結果の各国コメント対応状況を議論し、問題無く了承され、次フェーズ(TSの最終フェーズであるDTS、Draft Technical Specification)へ進むことになりました。
また、今後提案予定の規格案の内容を各国に報告するFuture work presentationでは、一般社団法人慣性センサ応用技術研究協会梅田章理事長から「Measurement methods for Accelerometers」が紹介されました。
 10月16日にはTC47/SC47F/WG1-3&MT会議(MEMS分野)が開催され、29名(日本12、韓国4、中国11、ドイツ1、米国1)が出席し、現在審議中の規格案についての意見交換が行われました。
 日本からの出席者は、SC47F主査である熊本大学元副学長高島和希教授、同じく主査である次世代センサ協議会大和田邦樹専務理事、PLである神戸大学神野伊策教授、PL名古屋工業大学神谷庄司教授の代理である名古屋工業大学泉隼人助教、SC47F国際幹事マイクロマシンセンター三原孝士をはじめとした12人でした。
 日本提案であるIEC62047-37「圧電MEMSデバイスのセンサ特性に関する信頼性試験方法(PL:神戸大学神野教授)」のCDV(投票用委員会原案、Committee Draft for Vote)投票結果の各国コメント対応状況を議論し、問題無く了承され、次フェーズ(国際標準発行前の最終フェーズであるFDIS、Final Draft International Standard、最終国際規格案)へ進むことになりました。
 同じく日本提案であるIEC62047-35「フレキシブルMEMSデバイスにおける曲げ強度信頼性試験(PL:名古屋工業大学神谷教授)」については、現在、国際標準発行前の最終フェーズFDISの投票中であることが報告されました。

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IEC/TC47/SC47F/WG1-3&MT会議の様子

 10月17日に開催されたTC47/WG7会議(半導体デバイス エネルギーハーベスタ、エネルギー変換・伝送分野)では、現在審議中の規格案の審議状況について、主査から報告の後、意見交換が行われました。
 日本からの出席者は、本WGにおいて3人の主査の1人として務めておられる東京大学鈴木雄二教授をはじめ、神戸大学神野教授、兵庫県立大学藤田孝之准教授、産総研山本淳先生、他7名が、各国と活発な議論を行いました。
 今後提案予定の規格案の内容を各国に報告するFuture work presentationでは、東京大学鈴木雄二教授からは「Measurement method of wrist-worn vibration energy harvesting device」(報告済み)に関する最新検討状況が報告されました。
 また、神戸大学神野教授からは、「Standard test method of energy harvesters under impulsive force for wearable applications」について内容紹介が行われ、各国と議論しました。
 さらに、産総研山本先生からは、熱電関連で今後日本から提案する規格案(報告済み)に関する最新検討状況が説明されました。

10月17~18日には、TC47/SC47F全体会議、TC47/SC47E全体会議、TC47全体会議が開催され、各WGおよびSCにおいて決議された内容について各主査及び議長から報告が行われ、1週間に渡るTC47全体会議がつつがなく遂行されました。
 期間中、各国の出席者と交わした密な議論を通じ、各国の規格案開発について深い相互理解が得られ、引き続き審議への相互協力を誓い合うことができたことは大変有意義でありました。

 次回の本会議は来年11月にドイツ・フランクフルトで開催される予定です。 また、日韓中が持ち回り開催を行っているSC47F(MEMS分野)の夏季WG会議としては、次回日本開催となり、来年6月3~5日に熊本で開催します。 同じく、日韓中が持ち回り開催を行っているTC47/WG7(エネルギーハーベスタ分野)の春季WG会議としては、こちらも日本開催となり、来年2月24日に奈良で開催します。

調査研究・標準部長 大中道 崇浩

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2019年10月23日 (水)

第2回SSN-WG3交流会「高精度時刻の社会実装の意義と課題」(10月9日)開催報告

 2019年10月9日(水)14:00~18:15にマイクロマシンセンター会議室にて第2回SSN-WG3交流会「高精度時刻の社会実装の意義と課題」及び意見交換会を開催致しました。
 スマートセンシング&ネットワーク研究会ワーキンググループ3(SSN-WG3)では原子時計の研究開発に関する活動を行っており、2015年~2018年にNEDO道路インフラモニタリングプロジェクトの中で高精度(10ms@30カ月)と低消費電力(60mW)を両立した小型原子時計(ULPAC : Ultra-Low Power Atomic Clock)の開発を行いましたが、さらなる原子時計の高度化に向けたプロジェクト立案活動を行っており、その一環として、小型原子時計が社会実装された時に、どのような社会変革が起きるかを議論する場として本交流会「高精度時刻の社会実装の意義と課題」を開催しております。
 第2回の今回は、放送局や海底で高精度時刻がどのように活用されているかに関して、セイコーソリューションズ株式会社の橋本直也様と国立大学法人東京大学地震研究所海半球観測研究センターの塩原肇教授からご講演を頂くとともに、国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標準総合センター物理計測標準研究部門高周波標準研究グループの柳町真也主任研究員を座長として「小型原子時計が革新する高度情報化社会と、そこで求められるスペック」に関した討論会を行いました。この分野に関心のあるメーカ、ユーザ、商社、研究機関を含め42名の参加者があり、活発な議論がなされ、大盛況でした(写真1:会場の様子)。

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写真1 会場の様子

 先ず初めに、主催者の一般財団法人マイクロマシンセンターの長谷川専務理事より、開会の挨拶(写真2:長谷川専務挨拶)がありました。

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写真2 長谷川専務理事挨拶

 その後セイコーソリューションズの橋本氏から「次世代放送局を支える高精度時刻同期技術PTP(Precision Time Protocol)と超小型原子時計CSACを内蔵した製品が必要とされる背景」と題する講演(写真3:橋本氏講演の様子)が行われました。橋本氏の講演では、現在、放送局ではSDI(Serial Digital Interface)システムからIP(Internet Protocol) システムへの大きなパラダイムシフトが起きており、 IP化することでケーブル本数や機器数を大幅に削減できるばかりでなく、リモート制作や機器の共有化等のこれまでにない新機能の実現が期待できるようになっているとのことでした。このIP化ではPTPによる高精度に時刻同期する仕組みが必要であり。そのためには小型の原子時計(CSAC : Chip Scale Atomic Clock)が必要であるが、現状は高価で品質にも課題のある海外製しかなく、国産の安価で高品質のCSACが待望されているとのことでした。

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写真3 橋本氏講演の様子


 続いて、東大地震研の塩原教授から「海底観測での小型原子時計の活用」と題する講演(写真4:塩原教授講演の様子)が行われました。海底地震観測の概要からこれまで東大地震研で実施されてきたオフライン海底地震観測例とその時に使用した内部時計、高精度周波数源の海底観測での活用、CSACの海底観測での国内外の導入例とULPACに期待するポイントのご紹介がありました。海底地震観測のULPACへの期待としては低コスト化と低消費電力化が最も大きいとのことでした。

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写真4 塩原教授講演の様子

 最後に産総研の柳町先生から「小型原子時計が革新する高度情報化社会と、そこで求められるスペック」に関する概要紹介の後、どのようなスペックが高度情報化社会において原子時計に求められるかの討論が行われました(写真5 柳町先生の討論会の様子)。会場から活発な発言があり、大いに盛り上がりました。精度的にはNEDOの道路インフラモニタリングプロジェクトで開発したもので十分であるが、現状海外製品で問題となっている品質等についての要望が多く出されました。
 講演会、討論会の後、ご講演頂いた講師の方々を囲んで、有志で意見交換会が行われ、国産原子時計開発に向け、活発な意見交換がなされ、大いに盛り上がりました。
 次回の交流会は2020年の1月頃に開催を予定しています。

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写真5 柳町先生の討論会の様子

(一般財団法人マイクロマシンセンター 武田宗久)

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マイクロマシン/MEMS分野関連【2019年10月の経済報告】

マイクロマシンセンターでは、マイクロマシン/MEMS分野を取り巻く
経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。

今月号、マイクロマシン/MEMS分野関連【2019年10月の経済報告】をお届けします。
業務の参考として頂ければ幸いです。  
以下アドレスよりPDFをご参照下さい。
 
   2019年10月号(「2019_10.pdf」)をダウンロード
    (http://mmc.or.jp/info/monthly/economic_report/2019_10.pdf

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2019年10月10日 (木)

第38回マイクロナノ先端技術交流会 (第1回医療MEMS研究会(SSN研究会WG5))(9月30日)開催報告

 2019年9月30日(月)の午後、マイクロマシンセンター内にて第38回マイクロナノ先端技術交流会(第1回医療MEMS研究会)を開催しました。

 今回の先端技術交流会は、「ヒトの理解に向けたセンシングの最前線」をテーマに、東北大学 産学連携機構 イノベーション戦略推進センター 特任教授 中村力先生、東京工業大学工学院 研究員 関口武治様、立命館大学 スポーツ健康科学 教授 藤田聡先生にご講演いただき、産業界や大学から42名が出席し大盛況でした。

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会場の様子

 最初の中村先生からは、「飲み込みセンサ」について、ご講演いただきました。内容は、現状の体温測定の課題から深部体温測定の重要性をお話され、それを実現する手段として飲み込みセンサを提案されています。そして、その飲み込みセンサの構造や原理を詳しく紹介いただきました。さらに、深部体温測定が実現する様々なアプリケーションの提案もしていただき、これまで不明であった様々な病気や体調不良のメカニズムの解明が明らかになると大きな期待を抱かせる話でした。

 続いて関口様からは、「多方面での応用が期待されるダイヤモンド量子センサー」について、ご講演いただきました。内容は、固体量子センサの基礎から始まり、関口様が研究されているダイヤモンド中に形成される窒素(N)と空孔(V)からなる格子欠陥を用いたNVセンサの原理や特徴をお話いただきました。また、NVセンサの応用範囲もお話いただき、個人的には今後のヒトの脳の活動を簡便にセンシングできるセンサとして、大いなる期待をもちました。

 最後に、医療MEMS研究会からは、藤田先生より「筋肉の維持・増加に向けた栄養と運動介入」について、ご講演いただきました。内容は、サルコペニア(加齢に伴う筋量と筋機能の低下減少)の概要やその弊害、さらには筋量と筋機能の低下を抑えるための栄養摂取や運動のお話をしていただきました。ヒトが生産的な活動をし続けるには、体力の維持・向上がベースとなり、その大切さを改めて認識することができました。

 講演会後の懇親会では、ご講演いただいた先生方を囲んで、講演内容を中心に多くの意見がかわされました。

(産業交流部 松下智彦 / 医療MEMS研究会 網倉正明)

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