平成24年度BEANS総合研究会報告
平成24年度BEANS総合研究会が、千葉県習志野市の幕張セミナーハウスにて、5月21日(月)午後1時から22日(火)午後4時までの日程で開催されました。参加者は、ご来賓の独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の大久保主任研究員、渡辺主査、奥谷主査をはじめ、技術研究委員会の委員12名、各センターの研究員(交流研究員、本部スタッフを含む)68名の総勢83名となり、例年の総合研究会に勝るとも劣らない規模で、研究成果報告、技術交流、意見交換が行われました。
■1日目(5月21日(月))
1日目の5月21日(月)は、NEDO大久保主任研究員からのご挨拶、遊佐PLからのお話に続き、各センターの研究員による口頭発表、招待講演、及びグループディスカッションが行われました。遊佐PLのお話では、総合研究会の意義やこれまでのプロジェクト成果のまとめ・課題、プロジェクトの最終的な成果創出を見据えた方針・計画等について、個々の内容をじっくりと熱意を込めてお話頂いたことから、各研究員もプロジェクトの最終的な目標達成に向けて、改めて気持ちを引き締めることができたのではないかと思います。
口頭発表では、各センター長から推薦された研究員による優秀研究発表が行われ、質疑応答が交わされました。
<優秀研究発表テーマと発表者>
・「生体材料を融合したMEMSデバイスのプロセス技術開発
~超高感度センサー実現に向けて~」
(Life BEANSセンター 渡辺 吉彦)
・「ナノ構造を利用した熱電変換素子の高性能化」
(Life BEANSセンター九州 加藤 邦久)
・「微粒子自己整列のガスセンサ応用」
(3D BEANSセンター 阿波嵜 実)
・「繊維状基材への立体インプリント技術」
(Macro BEANSセンター 大友 明宏)
招待講演では、以下の2つのテーマでお話を頂きました。エネルギー分野や生体分野といった社会的なニーズが高い分野への応用を見据えたもので、BEANSプロジェクトの成果展開へのヒントを示唆する内容になっていたのではないかと感じました。
<招待講演テーマと講演者>
・「アルカリイオンエレクトレット技術の開発」
(静岡大学 橋口原 教授)
・「MEMS-Based Human Interface Device」
(慶応義塾大学 三木則尚 准教授)
グループディスカッションでは、竹井副所長がコーディネータとなり、”BEANSプロジェクトで何を生み出したのか?異分野融合はできたのか?それで得たものは?」という自らへの問いかけをメインテーマに、1日目の夕方の1セッションと2日目の午後の2セッションに亘り、各自の研究活動の回顧や成果の広報普及の具体的方法、人材育成やプロジェクト・マネジメントのあり方等、様々な視点で自由闊達な意見交換が行われました。なお、1日目は全てのイベントが終了した後も、夕食やその後の自由時間を活用した意見交換が行われる等、それぞれの研究員が有意義な時間を過ごしたのではないかと思います。
■2日目(5月22日(火))
2日目のプログラムでは、午前中には各研究員によるポスター成果発表が、午後にはグループディスカッション、優秀研究賞、及び優秀ポスター賞の表彰が行われました。
ポスターセッションでは計37件の出展があり、各ポスターの前では、研究テーマの成果や今後の展望等についての活発な議論が行われていました。企業から参加された技術研究委員の方々にとっても、研究員から、直接、研究内容について伺うことができる絶好の機会となったかと思います。
なお、ポスター発表では、技術研究委員や有識者等で構成される14名の審査員により、報告内容、熱心さ等の様々な観点で採点が行われました。その結果、以下の4名の研究員が優秀ポスター賞に選出され、1日目に口頭発表を行った優秀研究者とともに表彰されました。
<最優秀ポスター賞>
・「MEMSと肝臓」
(Life BEANSセンター 小島 伸彦)
<優秀ポスター賞>
・「生体分子認識による選択的ナノ材料修飾
~ペプチド分子はカーボンナノチューブを掴めるのか~」
(3D BEANSセンター 嶋田 友一郎)
・「ナノ構造を利用した熱電変換素子の高性能化」
(Life BEANSセンター九州 加藤 邦久)
・「3D 構造への微粒子配列 -MEMSで花を咲かせたい!!-」
(3D BEANSセンター阿波嵜 実)
・「耳が光る、光を測る、鼠はまた一つ進化する」
(Life BEANSセンター高橋 正幸)
総合研究会の閉会に際して、BEANSプロジェクトの藤田SPLと遊佐PLより講評を頂きました。藤田SPLからは、BEANSプロジェクトによって融合プロセスに対する認識や異分野の知見等を中心として大きな前進が得られているが、研究成果の社会普及という点で道半ばであり、革新的デバイスの実用化等にプロジェクト成果を適用していくための取り組みが必要でないかとの考えが示されました。また、遊佐PLからは、「3人の石工」の例に、仕事へ取り組む上での姿勢やプロジェクト・マネジメントについての整理が行われ、各研究員がより大きな目標を持って研究活動に取り組むことや今後の展開を見直す機会となったのではないかと評価を頂きました。
■所感
各研究員が総合研究会への参加を通して、少しでも多くのことを吸収しようと真剣に取り組んでいるという印象を持ちました。本研究会終了後、遊佐PL以下、本部メンバで軽く食事をしながら総合研究会の回顧を行ったのですが、そこにいたメンバも同様の印象を持っていたようです。
なお、本研究会の1日目の5月21日(月)には日本列島の多くの地域で金環日食が観測され、二日目の5月22日(火)には東京スカイツリー開業といった、世間的にも大きなイベントが重なりました。今回の総合研究会が、プロジェクト関係者にとって、これらのビックイベントに負けないくらい大きな足跡となるよう、本研究会の結果をプロジェクトの活動に反映し、目標達成につなげていきたいと思います。
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