未来デバイス研究会(その5)プロセスインテグレーション
これまで紹介したグリーン、ホワイト、およびブルーデバイスの実現を支えるためには、従来のトップダウンプロセスとボトムアッププロセスを融合させた新たなプロセス技術群が必要になるわけで、この検討はプロセスインテグレーション分科会(委員長:首都大学東京システムデザイン学部 諸貫教授)にお願いしました。同分科会では、未来デバイスのアプリケーション実現に必要なプロセス基幹技術群を次のように整理しています。
(1)三次元ナノ構造の製造技術
リソグラフィとエッチングを組合せることで、いわゆる2.5次元構造(円柱など)が製作され、これのさらなる高分解能化も当然求められるでしょう。しかし、例えばテーパや自由曲面などの三次元加工要求に現状技術で十分に対応できるとはいえません。周期ナノメートルレベルの微細三次元構造の加工技術開発が必要となります。
(2)大面積
ポスターサイズレベルの大面積の応用に対しては、印刷技術を適用すべきであり、これにより高速で大量の生産が可能となります。一方で、印刷技術の中でも一品物に対応可能なのがインクジェット技術です。スループットは落ちるもののカスタマイズされた製品設計に個々に対応するプロセスとしては有望と考えられます。この技術においても使用する材料に研究余地が残されており、将来的にはバイオを含めた微小デバイスそのものを付着させることも考えられます。自己組織プロセスによる構造形成においても面積拡大が重要な課題のひとつと考えられます。
(3)界面制御
固体表面の濡れ性などを場所ごとに変えることができると自律的な組立てを行うことができます。例えば水に機能デバイスを分散させ、ここから基板を引上げることで親水部のみにデバイスを固定することなどが期待されています。様々な機能デバイス組立てに適用するためには、表面修飾を含む多くの技術開発が必要です。また、分子レベルの分解能でこれを行うためには、界面制御を極めて微細に行う必要があります。

(プロセスインテグレーションWG委員)
諸貫 信行 首都大学東京
芦田 極 産業技術総合研究所
橋口 原 静岡大学
寒川 誠二 東北大学
銘苅 春隆 産業技術総合研究所
不破 耕 株式会社アルバック
五十嵐泰史 沖電気工業株式会社
水田 千益 株式会社数理システム
田中 浩一 ソニー株式会社
川原 伸章 株式会社デンソー
益永 孝幸 株式会社東芝
橋本 廣和 株式会社フジクラ
友高 正嗣 富士電機システムズ株式会社
久保 雅男 松下電工株式会社
浅海 和雄 みずほ情報総研株式会社
なお、上述のプロセスインテグレーション分科会の活動については、諸貫委員長による 広報誌第62号(2008年1月号)の記事 から一部抜粋しました。(青柳@BEANS本部)
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