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2009年4月23日 (木)

未来デバイス研究会(その3)ホワイトデバイス

 前回のグリーンデバイスの話に続いて、今回はホワイトデバイスの紹介です。ホワイトデバイス分科会の委員長は、やはり「未来に責任を持てる」バリバリの若手研究者である東京大学生産技術研究所の竹内准教授にお願いしました。同准教授は現在BEANSプロジェクトの中でLifeBEANSセンター長として活躍中です。
 
 本分科会では、20年後の少子高齢化社会を見据えて「最期まで元気」をキーワードとして、誰もが長く働き自律して生活できる環境づくりに貢献できるような健康・医療のためのデバイス(ホワイトデバイス)を提案しました。
 
(1)超小型体内埋め込みデバイス
 体内の各所に長時間埋め込み可能な超小型デバイスです。腹腔や消化器官内に滞在し、自律的に自走することで積極的に腫瘍やがん細胞などを発見し、治療することができます。このため早期発見率、治癒率が劇的に向上するでしょう。また、電源の要らないカプセル型のデバイスも考えられます。これらは、肝臓の門脈に、また腕部の静脈内に存在することが可能で、体外からの観察によって造影剤のように機能するので、カプセル周辺の血糖値や温度、圧力などの情報を24時間モニタリングできるようになります。糖尿病など、血液からの情報を慢性的にモニタする必要がある場合は、このような超小型カプセルによって患者の負担を激減させることができます。
 
(2)生体機械ハイブリッドデバイス
 生体分子や細胞などが融合したハイブリッドなデバイスです。生体材料や機能的高分子材料を用いることで生体情報や環境情報を、従来のセンサに比べ、高速・高感度にセンシングすることができます。これらは、生体に馴染む材料や機構から成り立っているので、生体と機械とのインタフェース(BMI(Brain MachineInterface)など)の強力なツールとなるでしょう。たとえば、生体分子として膜タンパク質などが活性を維持したまま人工膜上に再構成され、匂いセンサや味センサなどの超高感度化学量センサとして機能するものが考えられます。また、神経細胞がフレキシブル基板上に培養され、これらを脳表面に当てることで、細胞が脳内に軸索を伸ばし、所望の細胞と結合できるようになるかもしれません。これらの制御可能な培養細胞を通じて、組織電気・化学的な信号を計測したり、刺激が行なえれば、生体との適合性の高い、高精度なインタフェースができると考えられます。
 
(3)シート型健康モニタリングデバイス
 体表面に湿布のように貼り付けることによって、健康を管理するデバイスです。階層に無数のセンサやアクチュエータなどが埋め込まれているので、貼った部分の体内の情報を表示したり、体内への投薬操作や傷口の治癒促進など簡単な作用を施すことができます。たとえば、シート表面には、薄型超音波センサアレイが集積化され、裏面には平面フレキシブルディスプレイがあるデバイスなどが考えられます。これによって、取得した情報を素人でも2次元の大面積で観察できるようになるでしょう。また、侵襲なく貼り付けることができるため、健常者でも血流や心臓の様子などを判断でき、健康管理に利用できます。手術時に医師が容易に体内を観察できるツールにもなるので、医療技術の向上にもつながります。
20年後の健康と医療技術を支えるデバイス群

(ホワイトデバイスWG委員)
  竹内 昌治 東京大学生産技術研究所
  芳賀 洋一 東北大学先進工学研究機構
  小西  聡 立命館大学理工学部
  興津  輝 京都大学医学部附属病院
  鈴木 隆文 東京大学大学院情報理工学系研究科
  松本 壮平 (独)産業総合研究所
  岩崎 拓也 みずほ情報総研 株式会社
  長谷川友保 オリンパス 株式会社
  細野 靖晴 株式会社 東芝
  藤田 博之 東京大学生産技術研究所

 なお、上述のホワイト分科会の活動については、竹内委員長による 広報誌第60号(2007年7月号)の記事 から一部抜粋しました。(青柳@BEANS本部)

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